70代でも続けられる在宅のハンドメイド販売|無理なく続けるコツと注意したい募集 2026

中西 直美
中西 直美
70代でも続けられる在宅のハンドメイド販売|無理なく続けるコツと注意したい募集 2026

この記事のポイント

  • 70代 ハンドメイド販売 在宅を検討している方へ
  • 体に負担をかけない作業リズム
  • そして注意したい募集の見分け方までを

「70代 ハンドメイド販売 在宅」と検索された方から、こんなご相談をよくいただきます。「編み物や刺しゅうは何十年もやってきた。でも、それを売るとなると、どこから手をつけていいか分からない」。この戸惑いは、とても自然なものです。作ることと売ることは、まったく別の技術だからです。

大丈夫ですよ。この記事では、70代の方が在宅でハンドメイド販売を始めるときに知っておきたいことを、順番にお話しします。売り先の選び方、値段のつけ方、年金や税金への影響、そして「体を壊さずに続ける」ための作業リズム。最後に、シニア向けの在宅の募集にまぎれ込む、注意したほうがいい話の見分け方もお伝えします。

先に結論をお伝えします。70代のハンドメイド販売で大事なのは、売上の大きさではありません。「作る時間」「売る作業」「休む時間」の3つが、無理なく回り続ける形をつくることです。回り始めれば、収入は後からゆっくりついてきます。

70代のハンドメイド販売は、もう特別な選択ではない

「この年齢で何かを売るなんて」と、ためらう方が本当に多いです。でも、数字を見ていくと、その感覚のほうが少し古くなってきています。

70代の就業は10年で大きく増えた

総務省の労働力調査を見ると、65歳以上の就業者数はこの10年ほど増え続けており、就業率も上昇傾向が続いています。70代前半に限っても、働いている人の割合はおよそ3割を超える水準まで来ています。かつては「70代は引退世代」と一括りにされていましたが、いまは「働き方を選び直す世代」に変わりました。

そのなかで在宅の比重が上がっているのは、通勤という一番大きな体力の壁がなくなるからです。厚生労働省が示す高年齢者の雇用に関する各種の資料でも、体力面の負担を理由に短時間・在宅型の働き方を希望する割合は年齢とともに高くなります。統計の詳細は厚生労働省の公表資料で確認できます。

つまり、70代で在宅の仕事を探すのは、少数派の変わった選択ではありません。むしろ人数が増え続けている、ごく一般的な流れの中にいるということです。

ハンドメイド市場そのものが広がっている

もうひとつの追い風は、ハンドメイド作品を買う人が増えたことです。国内のハンドメイドマーケットプレイスは、この10年ほどで作家数・作品数ともに大きく伸びました。主要なサービスでは登録作家が数十万人規模、出品作品は1,000万点を超えるとされる規模まで育っています。

買い手側の変化も見逃せません。以前は「手作り品は安いもの」というイメージがありましたが、いまは「大量生産にはない一点物にお金を払う」層がはっきり存在します。ギフト需要、推し活のグッズ、子ども用品、和装小物、介護や医療の現場で使う実用品まで、買われる理由は多様になりました。

この変化は、70代の作り手にとって有利に働きます。長年やってきた技術には、若い作家がすぐには真似できない精度と手数があるからです。ざっくりした「かわいい」だけでは勝負しにくい分野、たとえば和裁、組みひも、かぎ針の細編み、刺し子、藍染めの仕立てなどは、むしろ経験の長さがそのまま品質になります。

「売る場所」が家の中に移った

昔のハンドメイド販売は、フリーマーケットや委託ショップに「作品を持っていく」ことから始まりました。いまは、スマートフォンで写真を撮って登録すれば、その日のうちに全国の買い手に見てもらえます。梱包した箱は、コンビニや集荷サービスで家から出せます。

これが、70代の在宅販売を現実的にした一番大きな変化です。売り場が家の中にあるので、体調の波に合わせて作業量を調整できます。今日は目が疲れたから写真だけ撮る、明日は手が動くから縫う。そういう配分ができるのは、通勤型の仕事にはない大きな利点です。

在宅の求人情報を見ていても、シニア層が幅広く関わる領域が広がっていることが分かります。

【経験・資格】<資格>初任者研修修了 必須 20代から70代まで幅広い年代が活躍中です。22時以降は18歳以上 出典: 求人ボックス

年齢の上限を設けず、「20代から70代まで」と書く募集が普通になってきました。ハンドメイドの分野でも、作品を評価するのは年齢ではなく仕上がりです。

在宅でハンドメイド作品を売る、4つの経路

「売る」と一口に言っても、経路によって手間もお金の入り方もまったく違います。ここを分けて理解しておくと、自分に合う入口が見つけやすくなります。

1. ハンドメイドマーケットプレイス(ネット販売)

もっとも一般的な入口です。作品の写真と説明文を登録し、売れたら自分で梱包して発送します。初期費用はかからないところがほとんどで、売れたときに販売手数料が引かれる仕組みです。手数料の水準は、主要なサービスで10%前後が目安になります。

利点は、買い手の母数が圧倒的に大きいこと。欠点は、その分だけ埋もれやすいことです。同じような作品が何万点も並ぶなかで、写真と説明文の作り込みが売れ行きを大きく左右します。ここは「作る技術」とは別に、覚える必要がある部分です。

2. 委託販売(実店舗・ギャラリー・道の駅)

地元の雑貨店、ギャラリー、道の駅、福祉施設の売店などに作品を置いてもらう方法です。売れた分から店舗側の手数料が引かれます。手数料は20%〜40%と、ネット販売より高めになることが多いです。

そのかわり、写真撮影も発送作業も不要です。パソコンやスマートフォンの操作が苦手な方にとって、これは決して小さくないメリットです。実際に、私がご相談を受けた方のなかにも、「ネットは息子に頼まないと分からないけれど、道の駅なら自分で完結する」という理由で委託から始めた方が何人もいらっしゃいました。

納品は月に1回、売上の精算も月に1回。このゆっくりしたリズムが性に合う方は、無理にネットから始めなくてもいいのです。

3. イベント・マルシェへの出店

在宅とは少し外れますが、作った作品を持って地域のイベントに出る方法です。1日の出店料が数千円程度からで、その場で現金が入ります。

70代の方には体力面での負担が大きい経路なので、「毎月出る」ものとしてではなく、「年に2〜3回、季節のイベントに出る」くらいの位置づけが現実的です。ただ、対面でお客さまの反応を直接聞けるので、何が求められているかを知る場としての価値は高いです。ネット販売の説明文を書き直すヒントは、たいていこういう場で手に入ります。

4. 受託型の内職(自分の作品ではなく、頼まれたものを作る)

これは厳密にはハンドメイド「販売」ではありませんが、混同されやすいので触れておきます。企業や工房から材料と仕様を受け取り、決められたものを作って納品する働き方です。縫製、袋詰め、アクセサリーの組み立て、シール貼りなどが該当します。

報酬は出来高制で、1個あたり数円から数十円という単価が一般的です。まとまった金額にするには数をこなす必要があるため、手が速い方でないと時間あたりの効率は上がりません。一方で、「何を作るか考えなくていい」「売れるかどうかを気にしなくていい」という気楽さがあります。

自分の作品を売ることに気後れがある方は、まず受託型で手を動かす感覚を取り戻し、そこから自分の作品づくりへ移る、という順番もあります。順番は人それぞれで構いません。

70代に向いているハンドメイドのジャンルの選び方

何を作って売るか。ここで多くの方がつまずきます。判断の軸は3つだけです。

軸1:手が覚えている技術を最優先にする

新しく習い事を始めてから売る、というのは遠回りです。すでに何十年もやってきたことの中から選ぶのが、いちばん確実です。

編み物、刺しゅう、洋裁、和裁、刺し子、パッチワーク、つまみ細工、押し花、木工、陶芸。どれも70代の方が長く続けてこられた例が多い分野です。「趣味の域を出ない」と謙遜される方が本当に多いのですが、20年、30年やってきた手の精度は、始めて2年の人には出せません。

ここで大切なのは、自分の技術の「どこが売り物になるか」を言葉にすることです。たとえば「かぎ針編みができます」より、「和綿の糸で、洗っても形が崩れない台所用のアクリルたわしを編めます」のほうが、買い手には伝わります。抽象的な技術名ではなく、具体的な完成品で考えてみてください。

軸2:目と手の負担が少ないものを選ぶ

70代でハンドメイドを続けるうえで、いちばん現実的な制約は視力と手指の状態です。ここを無視した計画は、必ず途中で止まります。

細かいビーズ細工、極細の糸を使うレース編み、小さなパーツを扱うミニチュア作品は、単価が取れる反面、目への負担が非常に大きいジャンルです。もともと得意でも、若い頃と同じ集中時間は保てません。

負担が比較的軽いのは、糸や布が太めのもの、パーツが大きいもの、作業の姿勢を変えられるものです。太めの毛糸のマフラーやひざ掛け、大きめの布で作るエコバッグや巾着、木のスプーンや小箱、リースやドライフラワーの装飾品などが該当します。

手指に痛みが出やすい方は、握力を使う工程が続くものを避けてください。関節リウマチや腱鞘炎の既往がある方は、1回の作業を短く区切ることが前提になります。

軸3:単価と作業時間のバランスを先に計算する

これは冷たい話に聞こえるかもしれませんが、続けるためには避けて通れない計算です。

作品が完成するまでの時間を、正直に測ってみてください。マフラー1本に12時間かかるとします。材料費が1,500円、販売価格が4,000円、手数料が10%なら、手元に残るのは2,100円。時間あたりに直すと175円です。

この数字を見て「安すぎる」と感じるなら、選ぶジャンルを変えるか、価格を上げるか、作業時間を短くするかのどれかが必要です。逆に、「作るのが楽しいから、これでいい」と思えるなら、それも立派な判断です。

私がカウンセリングでお伝えしているのは、「どちらの答えでもいい。ただし、数字を見てから決めてください」ということです。計算せずに始めると、半年後に「こんなに働いてこれだけか」と落ち込むことになります。最初に知っていれば、落ち込まずに済みます。

値段の決め方は「材料費の3倍」から考える

ハンドメイド販売でいちばん多い失敗は、安く売りすぎることです。

原価の計算に入れるべきもの

多くの方が材料費だけを原価と考えます。でも実際には、次のものが全部かかっています。

・材料費(糸、布、パーツ、金具、接着剤) ・梱包資材(箱、封筒、緩衝材、ラッピング) ・送料(自分が負担する場合) ・販売手数料(プラットフォームや委託店に払う分) ・振込手数料 ・そして、あなたの作業時間

一般的な価格設定の目安として、「材料費の3倍」が最低ラインとよく言われます。材料費1,500円なら4,500円です。ここから手数料と送料が引かれて、ようやく作業代が残ります。3倍でもまだ安いくらいだと考えてください。

「高くて売れないのでは」という不安について

このご相談も、本当に多いです。「4,000円のマフラーなんて、誰も買わないんじゃないか」と。

でも、思い出してみてください。既製品のマフラーが百貨店で1万円で売られていても、私たちは驚きません。手編みの一点物が4,000円なのは、むしろ安いのです。買い手が見ているのは価格そのものではなく、「この値段に見合うか」という納得感です。

納得感をつくるのは、写真の質と説明文です。糸の種類、編み方の名前、洗濯の方法、何時間かけて編んだか。こういう情報が丁寧に書かれていると、価格への抵抗はかなり下がります。逆に、写真がぼやけていて説明が2行しかないと、1,500円でも売れません。

安売りは、自分を追い込むだけでなく、同じジャンルで頑張っている他の作り手の相場も下げてしまいます。適正価格をつけることは、市場全体への礼儀でもあります。

パソコンが苦手でも進められる5つのステップ

「ネット販売は無理」とおっしゃる方に、いつもお伝えしている順番です。1日で全部やろうとしないでください。1ステップに1週間かけて構いません。

ステップ1:スマートフォンで写真を撮る練習だけする

登録もアカウント作成も後回しです。まず、完成した作品を撮る練習から始めます。

コツは3つ。窓際の自然光で撮る(照明は色が転びます)。背景は白い紙か無地の布を敷く。真上からと、斜め45度からの2枚を撮る。これだけで見違えます。

売れる写真かどうかの基準は簡単です。「自分がその写真を見て、買いたいと思うか」。思わないなら、撮り直してください。

ステップ2:作品の説明文を紙に書き出す

いきなり画面に入力しようとすると、手が止まります。まず紙に書きます。

書く項目は決まっています。サイズ(縦・横・厚み)、使った素材、色、お手入れの方法、制作にかかった日数、どんな場面で使ってほしいか。この6項目を埋めれば、それだけで説明文になります。

ステップ3:家族か知人に「登録だけ」手伝ってもらう

アカウント作成とメールアドレスの登録は、正直なところ一番つまずきやすい工程です。ここだけは遠慮せず、誰かに頼んでください。1回作ってしまえば、次からはログインするだけです。

パスワードは必ず紙に書いて、決まった場所に保管してください。デジタルに強い方ほど「メモは危ない」と言いますが、70代の在宅販売では、紙の控えがないことのほうがずっと危険です。

ステップ4:最初の1点だけ出品する

10点まとめて出そうとすると、途中で疲れて全部止まります。まず1点。売れなくても構いません。

「出品する」という操作を1回経験することが目的です。写真をアップし、説明文を貼り、価格を入れて、公開ボタンを押す。この一連の流れが手に馴染めば、2点目からはずっと速くなります。

ステップ5:発送の練習をする

売れる前に、梱包と発送を1回試しておくと安心です。作品を箱に入れ、緩衝材で包み、伝票を書く。この作業を初めて売れた日にぶっつけ本番でやると、慌てて壊してしまうことがあります。

配送方法は、宛名書きが不要な匿名配送の仕組みを使えると、住所を相手に知られずに済みます。この点は、特に一人暮らしの方には大事な安心材料になります。

パソコン操作そのものに苦手意識がある方は、基礎から学び直す選択肢もあります。文書作成の基本を体系的に押さえたい方にはビジネス文書検定のような資格の学習範囲が参考になりますし、シニア世代がITスキルを身につけ直す道筋については50代の転職に役立つWebスキル|未経験でも身につくIT技術5選でも扱っています。年齢に関係なく、必要な部分だけ学べば十分です。

年金・税金・保険はどうなるのか

ここは不安を持つ方がいちばん多い部分です。順に整理します。

年金は減るのか

まず、ハンドメイド販売の収入で老齢年金が減額されることは、基本的にありません。

年金が減る仕組み(在職老齢年金)は、厚生年金に加入して働いている場合に適用されるものです。個人でハンドメイドを販売する収入は事業所得または雑所得であり、厚生年金の被保険者としての報酬ではないため、この調整の対象外です。

したがって、在宅で自分の作品を売る限り、年金額を心配する必要はほとんどありません。制度の詳細は日本年金機構の説明で確認できます。

ただし、企業に雇用されて厚生年金に加入する形の在宅勤務であれば話は別です。自分がどちらの形で働いているかは、必ず確認してください。

確定申告はどこから必要か

年金を受け取りながらハンドメイド販売をする場合、判断の目安は次のようになります。

公的年金等の収入が年400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は原則不要です。ハンドメイドの「所得」は、売上から材料費・送料・手数料などの経費を引いた後の金額なので、売上が30万円あっても経費が15万円なら所得は15万円です。

ここを誤解して、売上そのものが20万円を超えたら申告が必要だと思い込む方がいます。引くべき経費は正しく引いてください。

注意したいのは、所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別に必要になる場合があることです。お住まいの市区町村によって扱いが異なるので、確定申告をしない場合は役所の窓口で一度確認しておくと安心です。制度の一次情報は国税庁で公開されています。

経費として記録しておくもの

領収書は、最初から取っておく習慣をつけてください。後からまとめようとすると、必ず抜けます。

対象になるのは、材料費、梱包資材費、送料、販売手数料、制作に使う道具(ミシン針、編み針、はさみ等)、作品撮影用の背景紙、そして委託販売の際の交通費などです。自宅の一部を作業場にしている場合、電気代の一部を按分して計上できるケースもあります。

記録はノートでも構いません。日付・品名・金額の3項目だけ書いておけば十分です。

健康保険はどうなるか

75歳未満で国民健康保険に加入している方は、前年の所得に応じて保険料が計算されます。ハンドメイドの所得が増えれば、翌年の保険料も少し上がる可能性があります。

75歳以上の後期高齢者医療制度でも同様に、所得に応じた保険料の区分があります。ただ、在宅のハンドメイド販売で得られる所得の規模で区分が大きく変わることは稀です。過度に心配する必要はありませんが、「収入が増えたら翌年の保険料も少し動く」という感覚は持っておいてください。

配偶者の扶養に入っている方は、収入が一定額を超えると扶養から外れる可能性があります。この基準は健康保険組合によって異なるため、該当しそうな方は加入先に直接確認するのが確実です。

注意したい募集の見分け方

ここは、安心して続けるためにいちばん大事な章です。

シニア向けの在宅ワークをうたう募集のなかには、残念ながら、働く人からお金を取ることが目的のものが混じっています。手口には共通のパターンがあります。

危険信号1:先にお金を払わせる

「登録料」「材料費」「保証金」「教材費」「資格取得費用」。名目は何であれ、仕事を始める前にこちらがお金を払う構造になっていたら、いったん止まってください。

まっとうな内職や委託の仕事で、働く側が先に十数万円を払う必要があるものは、ほぼありません。「最初に道具を買えば、後から仕事を回します」という説明は、典型的なパターンです。

危険信号2:収入の保証をうたう

「毎月確実に5万円」「誰でも簡単に稼げます」「未経験でも高収入」。こういう表現が並ぶ募集は、内容を読む前に警戒してください。

出来高制の仕事で収入を保証することは、構造的に不可能です。保証できるように見せているのは、契約させるための表現である可能性が高いです。

危険信号3:連絡先が携帯番号とメールだけ

会社の所在地、固定電話、法人番号、代表者名。これらが確認できない相手とは、契約しないでください。

会社の実在は、国税庁の法人番号公表サイトで検索できます。名前を入れるだけなので、5分もかかりません。この一手間で防げるトラブルは、かなり多いです。

危険信号4:契約書を出さない、急がせる

「今日中に決めてください」「枠が埋まりそうです」と急がせるのは、考える時間を与えないための手法です。

契約書を書面で出さない相手も避けてください。フリーランスとして業務を受ける場合、発注者には取引条件を書面や電子データで明示する義務があります。これは法律で定められたことで、「口頭で十分」という説明は通りません。

不当な取引や消費者被害に関する相談は、公正取引委員会や各地の消費生活センターが窓口になっています。少しでもおかしいと感じたら、契約する前に相談してください。契約してからでは、選べる手が減ってしまいます。

危険信号5:SNSのダイレクトメッセージから始まる勧誘

「あなたの作品を見ました。ぜひうちで扱わせてください」という連絡が、SNSのメッセージで突然届くことがあります。本物のオファーもありますが、そうでないものも混じっています。

見分け方はシンプルです。相手のアカウントの実績を確認する。会社名を検索する。そして、契約前にお金の話が出てきたら止まる。この3つを守れば、ほとんどの被害は防げます。

体と心を守りながら続けるための、現実的なリズム

技術も市場もそろっていても、続かなければ意味がありません。ここが、私がいちばんお伝えしたい部分です。

1日2時間を上限にする

70代でハンドメイドを在宅の仕事にする場合、作業時間の上限を先に決めておくことを強くおすすめします。目安は1日2時間です。

「まだできる」と思える日ほど、危険です。目の疲れや手指の炎症は、その日ではなく2〜3日後に出ます。痛みが出てから休むのでは遅く、回復に2週間かかることもあります。2週間止まると、注文への対応が滞り、心理的な負担が一気に増えます。

上限を決めて守るほうが、結果的に年間の総生産量は増えます。これは、私が多くの方の相談を受けてきて、はっきり見えているパターンです。

「注文を断る」練習をしておく

売れ始めると、必ず訪れる場面があります。「あと1つ、追加でお願いできますか」というお客さまの声です。

嬉しいご相談ですが、体調と納期を考えて無理なら、断ってください。断るのは失礼ではありません。むしろ、無理に受けて納期に遅れたり、仕上がりが落ちたりするほうが、相手にとっても残念な結果になります。

断るときの言い方を、あらかじめ用意しておくと楽です。「現在お受けしている分で手一杯のため、次にお作りできるのは◯月以降になります。それでもよろしければ、あらためてご連絡いたします」。この一文をメモしておけば、その場で悩まずに済みます。

孤独への備えをしておく

これは、私がカウンセリングの現場でいちばん多く扱っているテーマです。

在宅で一人で作業する時間が長くなると、誰とも話さない日が続きます。作ることに集中している間は気になりませんが、注文が途切れた時期や、体調を崩して手が止まった時期に、それが重くのしかかってきます。

対策は、意識して人と接する予定を先に入れておくことです。週に1回の買い物、月に1回の手芸教室、季節に1回のイベント出店。予定を入れておかないと、「今日は出かけなくてもいいか」が積み重なって、外に出ない生活が固まってしまいます。

作品づくりは、本来とても健やかな活動です。手を動かし、色や形に集中する時間には、心を整える働きがあります。その良さを損なわないためにも、「作る時間」と「人と会う時間」の両方を、はじめから予定に組み込んでおいてください。

体験から学んだこと

私自身、独立してすぐの頃に、依頼を断れずに詰め込みすぎた時期がありました。全部引き受けることが誠実さだと思い込んでいたのです。

結果として、3か月目に声が出なくなりました。カウンセラーが声を失うというのは、笑い話にもなりません。回復までに1か月かかり、その間にお受けしていた予約はすべてお断りすることになりました。断らなかったことで、結局もっと大きく断ることになったのです。

あのとき学んだのは、「自分の限界を先に決めておくことは、相手への裏切りではなく、相手を守ることでもある」ということでした。ハンドメイドの受注でも、まったく同じことが起きます。

市場データから見た、70代の在宅ワークの現実的な位置づけ

ここからは、在宅ワーク市場を長く見てきた立場からの整理です。

「作る仕事」と「教える仕事」を組み合わせる

ハンドメイド販売だけで収入を組み立てようとすると、作れる量が上限になります。手が動く時間には限りがあるので、当然です。

そこで、多くの方が到達するのが「教える」という選択肢です。長年の技術は、作品としてだけでなく、教える内容としても価値があります。オンラインで手芸を教える方法についてはシニアのオンライン講座開業|Udemyやストアカで教える方法で具体的な手順を扱っています。1回作った講座は繰り返し使えるため、体への負担と収入が比例しなくなるのが最大の利点です。

同じ発想で、現役時代の職業経験を活かす道もあります。特定の業界で長く働いた経験は、それ自体が相談相手としての価値になります。この方向性はシニアのコンサルティング副業|長年の業界経験を高額案件に変えるで詳しく整理しています。

文章が書ける方は、その技術も収入になる

意外に見落とされるのが、「説明を書ける」という技術です。ハンドメイドの説明文を丁寧に書ける方は、その能力自体が仕事になります。

制作物の解説、手順の記録、体験の言語化。これらはすべて、需要のある技術です。文章を書く仕事の相場感については著述家,記者,編集者の年収・単価相場にデータをまとめています。ハンドメイドと並行して、手が疲れた日に文章を書く、という組み合わせ方をしている方もいます。

デジタル分野で在宅の仕事を探す場合の全体像は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で職種ごとに整理されています。70代からこの分野に入る方は多くありませんが、選択肢として知っておく価値はあります。

運営者として見てきた、長く続く方の共通点

在宅ワークの仲介を20年見てきた立場から言えば、長く続く方には、はっきりした共通点があります。それは、単発の注文をこなすことよりも、「この人に頼むと安心だ」という関係を積み上げることに時間を使っている点です。

具体的には、納期を守る。仕上がりの写真を送る。相手の要望を一度確認してから作る。この3つを繰り返している方には、リピートの依頼が集まります。逆に、作品の質だけを磨いて連絡を後回しにする方は、技術が高くても注文が続きません。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。中間に何段も業者が入る取引では、依頼者が払った金額と、作り手の手元に残る金額が大きく離れます。同じ予算で発注しているのに、作り手の手取りが薄くなるのです。

直接取引の形であれば、この差が生まれません。依頼者は同じ予算でより多くを頼めますし、作り手は同じ作業でより厚い手取りを得られます。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額の大小の話ではなく、「働いた分がちゃんと自分に届く」という質の話です。70代で作業時間に限りがある方ほど、この差は効いてきます。

数字ではなく、続く形をつくる

最後に、いちばん大事なことをもう一度お伝えします。

70代のハンドメイド販売で目指すべきなのは、月にいくら売り上げるかではありません。「作る時間」「売るための作業」「休む時間」の3つが、体調の波に合わせて回り続ける形をつくることです。

この形さえできれば、作品は少しずつ増え、買ってくださる方も少しずつ増えます。1年目は月に数点かもしれません。でも、2年目には常連の方ができ、3年目には「あの人に頼みたい」と名前で選ばれるようになります。

急がなくて大丈夫です。あなたが何十年もかけて身につけた技術は、逃げていきません。今日できるのは、作品を1つ、窓際で撮ってみることだけで十分です。そこから始まった方を、私はたくさん見てきました。

よくある質問

Q. 70代でハンドメイドを在宅で売る場合、月にどのくらいの収入が見込めますか?

作品のジャンルと作業時間で大きく変わります。1日2時間、月に20日作業するとして、単価3,000円〜5,000円の作品を月に5〜10点販売できれば、売上は1万5,000円〜5万円程度が現実的な範囲です。ここから材料費と手数料を引いた分が手元に残ります。最初の半年は売上より、作って売る流れを固めることを優先してください。

Q. パソコンが使えなくてもハンドメイド販売はできますか?

できます。スマートフォンだけで出品から発送まで完結するサービスが主流です。それも難しければ、地元の道の駅やギャラリーへの委託販売という方法があります。委託は手数料が20%〜40%と高めですが、写真撮影も発送作業も不要なので、機械操作が苦手な方には現実的な入口になります。

Q. ハンドメイドの収入で年金が減ることはありますか?

自分で作品を販売する形であれば、年金が減額されることは基本的にありません。年金の減額(在職老齢年金)は厚生年金に加入して働いている場合の仕組みで、個人の販売収入は対象外です。ただし企業に雇われて厚生年金に加入する在宅勤務の場合は別なので、自分の契約形態を確認してください。

Q. 在宅ハンドメイドの募集で、詐欺を見分けるポイントは何ですか?

仕事を始める前にこちらがお金を払う構造なら、まず疑ってください。登録料・材料費・教材費・保証金といった名目で先に支払いを求めるものは危険です。あわせて、収入を保証する表現、会社の所在地や固定電話が確認できないこと、契約書を出さずに急がせることも警戒信号です。契約前に法人番号公表サイトで会社の実在を確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月16日最終更新:2026年9月7日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方