3DCGの業務委託を在宅で受けるには|契約前に確かめる条件


この記事のポイント
- ✓3DCGの業務委託を在宅で受けたい人に向けて
- ✓在宅で受けやすい3DCGの仕事の種類
- ✓フリーランス法で発注側に求められること
3DCGの仕事を業務委託で、在宅のまま受けたいと考える人が増えています。ゲームや映像の制作会社で経験を積んだ人が独立を考える場合もあれば、会社員のまま副業で3DCGのモデル制作を受けたい人、BlenderやMayaを独学で覚えて最初の案件を探している人もいます。共通する悩みは、「在宅でどんな案件があるのか」「業務委託の契約で何を確かめればよいのか」の2つです。
3DCGの業務委託は、成果物をデータで納める仕事が中心のため、在宅との相性がよい分野です。その一方で、雇用と違って働く人を守る仕組みが手薄になりやすく、報酬の支払い、修正の回数、著作権の扱いといった条件を、契約の前に自分で確かめる必要があります。この記事では、在宅で受けやすい3DCGの仕事の種類、雇用との違い、フリーランス法で発注する側に求められていること、契約の前に確かめる条件、作品集の作り方と案件の探し方までを順に説明します。
3DCGの業務委託とはどんな働き方か
業務委託とは、会社に雇われるのではなく、仕事の完成や作業の提供を約束して、その対価として報酬を受け取る契約のことです。3DCGの業務委託では、「このキャラクターの3Dモデルを作る」「この建物のパース(完成予想図)を作る」といった仕事を引き受け、完成したデータを納めて報酬を受け取ります。
厚生労働省は、こうした在宅での業務委託の働き方を「自営型テレワーク」と呼び、次のように説明しています。
自営型テレワークとは、注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して主として自宅又は自宅に準じた自ら選択した場所において、成果物の作成又は役務の提供を行う就労をいいます。 出典: 厚生労働省 在宅就業(自営型テレワーク)
3DCGの仕事は、この定義にそのまま当てはまります。制作に使うソフトとパソコンがあれば、作業する場所を選びません。データはクラウドのストレージで受け渡しができ、打ち合わせもオンラインで済ませられます。
ただし、求人サイトで「3DCG 在宅」と検索すると、業務委託の案件だけでなく、雇用の求人も多く出てきます。たとえば、正社員やアルバイトとして雇われたうえで、在宅勤務が認められている求人です。「在宅OK」「残業月20時間以内」「土日休み」「週5日勤務」と書かれた3DCGデザイナーの求人は、雇用の形で在宅勤務ができる仕事です。業務委託と雇用は、同じ「在宅の3DCGの仕事」でも、契約の性質がまったく違います。次の節で、その違いを整理します。
雇用の在宅勤務と、業務委託の違い
3DCGの在宅の仕事を、雇用と業務委託で比べると次のようになります。
| 項目 | 雇用(在宅勤務) | 業務委託 |
|---|---|---|
| 働く時間 | 会社が決める(勤務時間がある) | 原則として自分で決める |
| 報酬の決まり方 | 時間や月で決まる給与 | 案件ごとの報酬 |
| 最低賃金 | 適用される | 適用されない |
| 社会保険・雇用保険 | 条件を満たせば加入 | 自分で国民健康保険と国民年金に加入 |
| 制作に使う機材とソフト | 会社が用意することが多い | 自分で用意するのが一般的 |
| 仕事の進め方の指示 | 会社の指示に従う | 成果物の条件は決まるが、進め方は自分で決める |
| 税金 | 年末調整で済むことが多い | 自分で確定申告をする |
業務委託の利点は、仕事を選べることと、時間の使い方を自分で決められることです。複数の取引先から仕事を受けることもできます。一方で、仕事がない月は収入がなく、病気で働けない間の手当(会社員の健康保険にある傷病手当金のような給付)もありません。高価なソフトのライセンス料や、性能の高いパソコンの費用も自分で負担します。
注意したいのは、「業務委託」という名前の契約でも、実際の働き方によっては労働者として扱われる可能性があることです。厚生労働省も、フリーランスであっても働き方によっては「労働者」に当たる可能性があると案内しています。毎日決まった時間にオンラインで待機するよう求められる、仕事の進め方を細かく指示される、ほかの仕事を受けることを禁じられる、といった場合は、契約の名前ではなく実態で判断されます。「業務委託だから時間の拘束はない」と思って契約したのに、実際は社員と同じように働かされている、という場合は、労働基準監督署などの窓口に相談できます。
在宅で受けやすい3DCGの仕事の種類
3DCGの業務委託には、さまざまな分野の案件があります。在宅で受けやすい主な分野を見ていきます。
ゲームのモデル制作
ゲームに登場するキャラクター、背景、小物(武器や家具など)の3Dモデルを作る仕事です。ゲーム会社が制作の一部を外部に委託することは多く、在宅の業務委託の案件として代表的なものです。ゲームでは、動作の軽さのためにポリゴン数(モデルを形作る面の数)の上限が決められていることが多く、指定された条件の中で見栄えのよいモデルを作る技術が求められます。
建築・不動産のパース
マンションや住宅、店舗の完成予想図を3DCGで作る仕事です。広告やパンフレット、販売用のウェブサイトに使われます。図面を読み取る力と、光や素材の質感を写真のように表現する力が求められます。図面と資料がデータで届けば在宅で完結しやすい分野です。
映像・アニメーション
テレビ番組やCM、ミュージックビデオ、アニメに使う3DCGの映像を作る仕事です。モデル制作、リギング(モデルを動かすための骨組みを入れる作業)、アニメーション、ライティング、レンダリング(最終的な画像や映像を書き出す作業)など、工程ごとに分けて委託されることがあります。
商品・製品のビジュアル
家電や家具、化粧品などの商品を3DCGで表現する仕事です。撮影の代わりに3DCGで商品画像を作ることで、色違いの商品や、まだ完成していない試作品の画像を用意できます。写真のように見える質感の表現が求められます。
VTuberやメタバース向けのアバター
配信者向けの3Dアバターや、仮想空間で使うアバター、アイテムの制作も、在宅で受けやすい分野です。個人の依頼主から直接受けることも多く、依頼主とのやり取りの丁寧さが評価に直結します。
3Dプリント用のデータ
フィギュアや試作品を3Dプリンターで出力するためのデータを作る仕事です。画面で見栄えがよいだけでなく、実際に出力できる形になっていることが求められます。
どの分野でも、在宅で業務委託を受けるには、実務で通用する水準の作品を見せられることが前提になります。分野によって求められる技術とソフトが違うので、まずは自分の得意な分野を1つ決めて、その分野の作品を集めるところから始めます。3DCGの分野ごとの仕事の特徴やソフトの使い分けは、3DCGデザイナーのフリーランス案件と年収|Blender・Maya活用ガイド【2026年版】で詳しく紹介しています。
フリーランス法で発注する側に求められること
在宅で業務委託を受ける人を守るために、2024年11月1日にフリーランス法(正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)が施行されました。従業員を使わずに1人で事業をしている人が、事業者から仕事を受ける場合に適用されます。会社員が副業で業務委託を受ける場合も、対象になります。
この法律で、発注する側にはいくつかの義務が課されています。もっとも基本となるのが、取引の条件を明らかにすることです。
業務委託事業者は、特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項を、書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により特定受託事業者に対し明示しなければならない。 出典: e-Gov法令検索 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 第3条
つまり、発注する側は、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを、書面かメールなどで示さなければなりません。口頭だけで仕事を頼むことは認められていません。
このほか、主な決まりは次のとおりです。
・報酬の支払期日は、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で決める(従業員を使う発注者の場合)
・1か月以上の業務委託では、受け取りの拒否、報酬の減額、不当なやり直しなどを禁じる
・募集の情報を出すときは、うその表示や誤解させる表示をしない
・6か月以上の継続した業務委託を解除するときは、少なくとも30日前に予告する
・ハラスメントの相談に応じる体制を整える
厚生労働省は、SNSなどで募集をする際にも、発注する側の氏名や名称、住所、連絡先、業務の内容、業務に従事する場所、報酬を記載する必要があると案内しています。募集の段階で報酬や連絡先が書かれていない案件は、それだけで注意して見る必要があります。
この法律があるからといって、すべてのトラブルが防げるわけではありません。取引の条件を自分でも確かめ、記録に残すことが基本です。困ったときは、フリーランスの相談窓口である「フリーランス・トラブル110番」で、弁護士に無料で相談できます。
契約の前に確かめる条件
3DCGの業務委託で、契約の前に必ず確かめておきたい条件を整理します。
成果物の仕様
何を作るのかを、できるだけ具体的に決めます。3DCGでは、次のような項目が仕様になります。
・作るものの内容と点数(キャラクター1体、背景3点など)
・使うソフトと、納めるファイルの形式
・ポリゴン数の上限、テクスチャ(表面の模様や色を描いた画像)の大きさ
・リギングやアニメーションまで含むか
・レンダリングした画像や映像まで納めるか、モデルのデータだけか
仕様があいまいなまま作業を始めると、納品のときに「思っていたものと違う」と言われ、作り直しになることがあります。
報酬と支払い
報酬の額、消費税の扱い、支払期日、支払いの方法を確かめます。大きな案件では、着手のときに一部を受け取る、工程ごとに分けて受け取る、といった方法も相談できます。報酬の振込手数料をどちらが負担するかも、細かいようで後から揉めやすい点です。
修正の回数と範囲
修正を何回まで報酬に含めるか、どこからが追加の料金になるかを決めます。3DCGでは、形の調整、色の変更、ポーズの変更など、修正の種類が多岐にわたります。「軽微な修正は2回まで、仕様の変更は別料金」のように、範囲と回数を決めておくと安心です。フリーランス法では、受け手に責任がないのに給付の内容を変更させたり、やり直させたりして利益を不当に害することも禁じられています。
納期と進め方
納期だけでなく、途中の確認の時期を決めます。ラフ(大まかな形)の段階、モデルの完成の段階、仕上げの段階などで確認をもらうと、最後の段階での大きな作り直しを防げます。
著作権の扱い
3DCGのモデルや画像には著作権が生じます。納品後に著作権を発注者に譲るのか、利用を許すだけなのかを決めます。この点は重要なので、次の節で詳しく説明します。
素材とデータの扱い
発注者から預かった図面や設定資料、キャラクターのデザインは、仕事以外に使わないのが原則です。秘密保持の契約(NDA)を結ぶことも多くあります。また、自分が作ったモデルを作品集に載せてよいかどうかも、契約の前に確かめておきます。ゲームや広告の仕事では、公開の前に作品を外に出すことが禁じられているのが一般的です。
著作権と作品集への掲載
3DCGの業務委託でトラブルになりやすいのが、著作権の扱いです。
著作権は、作品を作った人に生じます。業務委託で作ったモデルの著作権は、契約で何も決めなければ、作った受け手にあるのが原則です。発注者が自由に使えるようにするには、著作権を譲るか、使ってよい範囲を決めて利用を許す契約を結びます。
著作権を譲る契約では、注意すべき点があります。著作権法では、作品を改変する権利(翻案権)や、改変した作品を利用する権利について、契約で特に書いていない場合は、譲った側に残ると推定されます。
著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。 出典: e-Gov法令検索 著作権法 第61条第2項
そのため、発注者側の契約書には「著作権法第27条及び第28条の権利を含む」と書かれていることがよくあります。これは、発注者がモデルを改変したり、別の作品に使ったりすることを認める意味です。署名する前に、この一文が何を意味するのかを理解しておきます。
また、作者として名前を表示する権利や、作品を勝手に改変されない権利(著作者人格権)は、譲ることができません。そのため、契約書では「著作者人格権を行使しない」と定めることが一般的です。これに同意すると、作品が改変されても異議を唱えにくくなります。
作品集への掲載は、著作権とは別に、契約で決めておく必要があります。著作権を譲った後でも、発注者の許可があれば作品集に載せられる場合があります。「公開後であれば、作品集への掲載を認める」「クレジットの表記は不要」といった条件を、契約の段階で確かめておくと、次の仕事を探すときの材料を失わずに済みます。
著作権の扱いは、案件の内容や報酬の額で変わります。判断に迷うときは、契約を結ぶ前に、フリーランス・トラブル110番などの窓口で相談するのが確実です。
在宅で業務委託を始めるまでの準備
3DCGの業務委託を在宅で受けるために、準備しておきたいことを順に挙げます。
機材とソフト
3DCGの制作には、性能の高いパソコンが必要です。とくにレンダリングやリアルタイムの表示には、グラフィックの処理に強い部品(GPU)の性能が作業の速さを大きく左右します。ソフトは、無料で使えるBlenderから始める人が多く、案件によってはMayaや3ds Max、ZBrush、Substance Painterなどの指定があります。有料のソフトは、個人で仕事に使う場合のライセンスの条件を、各社の公式の案内で確かめてから購入します。
作品集(ポートフォリオ)
業務委託の案件を受けるうえで、もっとも大切なのが作品集です。発注者は、作品集を見て、自分が頼みたい仕事を任せられるかどうかを判断します。
作品集を作るときのポイントは次のとおりです。
・受けたい分野の作品を中心に並べる(ゲームのモデルを受けたいならゲーム向けのモデルを)
・完成した画像だけでなく、ワイヤーフレーム(ポリゴンの面の構造を示した表示)やテクスチャも見せる
・使ったソフト、ポリゴン数、制作にかかった時間を添える
・点数を絞り、質の高いものだけを載せる
作品の数が多ければよいわけではありません。発注者が見たいのは、自分の案件の条件で、どの水準のものを作れるかです。
開業の手続き
業務委託で継続して収入を得る場合は、税務署に開業届を出し、確定申告をします。開業届は、開業した年分の確定申告の期限までに出すことになっています。青色申告を選ぶと、帳簿のつけ方に応じて控除が受けられます。会社員が副業で受ける場合も、所得が一定額を超えると確定申告が必要です。
なお、個人に支払う報酬のうち、デザインの報酬などは、支払う側が所得税を差し引いて納める源泉徴収の対象とされています。3DCGの仕事が対象になるかどうかは仕事の内容によって変わるため、報酬から差し引かれていた場合は、確定申告で精算します。
業務委託で評価されるスキルと、身に付け方
3DCGの業務委託では、ソフトを使えることに加えて、発注者が安心して任せられるかどうかを左右するスキルがいくつかあります。
仕様どおりに作る力
業務委託の仕事では、自由な創作より、決められた仕様の中で求められた品質を出すことが評価されます。ポリゴン数の上限、テクスチャの大きさ、ファイルの名前の付け方、データの階層の整理など、発注者の決まりに合わせて作れることが大切です。納品したデータを発注者がそのまま次の工程に使えるかどうかが、継続の依頼につながるかの分かれ目になります。
参考資料から形を読み取る力
キャラクターの設定画や建物の図面、商品の写真といった資料から、立体の形を正確に読み取る力が求められます。資料の中で分からない部分があれば、推測で作らずに質問することも、この力の一部です。
進み具合を伝える力
在宅の業務委託では、発注者は作業の様子を直接見られません。途中の段階でスクリーンショットを送る、予定より遅れそうなときは早めに伝える、といった報告が、信頼の土台になります。文章で正確に伝える力を磨きたい人は、ビジネス文書検定の学習範囲が参考になります。
学び方
独学で3DCGを学ぶ人は、無料で使えるBlenderから始めることが多く、公式の解説や動画の教材が数多くあります。基礎の操作を覚えたら、受けたい分野の作品を実際の案件の条件をまねて作ってみるのが効果的です。たとえば、ゲームのモデルなら「ポリゴン数を決めて作る」、パースなら「実在の図面をもとに作る」といった具合です。条件のある制作を重ねることで、業務委託の仕事に必要な感覚が身に付きます。
学校や講座で学ぶ方法もあります。費用はかかりますが、講師から作品の講評を受けられること、同じ分野を目指す人とつながれることが利点です。どの方法でも、最後に残るのは作品集の質です。学んだ成果を作品として形に残すことを意識しておきます。
在宅で長く続けるための作業環境
3DCGの制作は、長い時間画面に向かって細かな作業を続ける仕事です。在宅の業務委託では、作業の時間を自分で決められる反面、締め切りの前には休憩を取らずに作業を続けてしまいがちです。
体への負担を減らすために、1時間に1回は立ち上がって体を動かす、画面から目を離して遠くを見る、といった習慣を付けておきます。マウスやペンタブレットを長時間使うと、手首や肩に負担がかかります。机と椅子の高さを合わせ、手首を支える道具を使うなど、作業の姿勢を整えることも大切です。
レンダリングの間はパソコンが高い負荷で動き続けるため、部屋の温度や機材の熱にも気を配ります。パソコンが熱で止まると、作業が失われたり、納期に間に合わなくなったりすることがあります。
データの保全も、在宅の業務委託では自分の責任です。作業中のデータは、外付けのストレージやクラウドに定期的に保存し、パソコンが故障しても作業を失わないようにします。ただし、発注者から預かったデータをクラウドに保存してよいかは、秘密保持の契約で決まっていることがあるので、確かめてから使います。
締め切りの管理も、自分で行う必要があります。複数の案件を受けると、納期が重なって作業が回らなくなることがあります。案件ごとの納期と、途中の確認の時期を一覧にして、無理のない量だけを引き受けるようにします。
案件の探し方
3DCGの業務委託の案件を探す方法は、主に次の4つです。
業務委託の仲介サイト
クラウドソーシングや業務委託の仲介サイトには、3DCGのモデル制作やパース制作の案件が掲載されています。案件の数が多く、最初の実績を作る場として使われます。仲介の手数料の仕組みはサイトによって違うので、手取りがいくらになるかを確かめてから応募します。
制作会社への直接の応募
ゲーム会社や映像の制作会社の中には、外部の協力者を公式サイトで募集しているところがあります。作品集を送って登録し、案件があるときに声がかかる形が一般的です。
SNSでの発信
3DCGは、作品が目で見て分かる分野のため、SNSで作品を発信していると、発注者から直接依頼が届くことがあります。個人の依頼主からの仕事も、この経路で届くことが多くあります。ただし、SNS経由の依頼は条件が口頭やメッセージだけで決まりがちです。フリーランス法の対象になる取引であっても、受け手の側からも条件を文書で確かめる習慣を付けておきます。
以前の勤め先や知人からの紹介
制作会社で働いた経験がある人は、以前の勤め先や同僚からの紹介で仕事を受けることが多くあります。紹介の仕事は、すでに技術を知っている相手からの依頼のため、条件の調整がしやすいのが利点です。
注意して見たい募集
案件を探していると、条件があいまいな募集にも出会います。報酬の額が書かれていない、発注する側の名前や連絡先が分からない、最初に講座や素材の購入を求められる、といった募集は注意が必要です。業務の内容と関係のない費用を先に払わせる形は、仕事の紹介を装った勧誘であることがあります。応募する前に、発注する側の情報と、報酬の条件が示されているかを確かめましょう。
報酬の考え方
3DCGの業務委託の報酬は、案件の内容、求められる品質、納期によって大きく変わります。同じ「キャラクター1体のモデル」でも、ゲームの背景に立つ人物と、主役のキャラクターでは、求められる作り込みが違い、報酬も大きく異なります。
報酬を考えるときは、作業にかかる時間を見積もり、時間あたりに直していくらになるかを計算します。業務委託では、ソフトのライセンス料、パソコンの費用、国民健康保険と国民年金の保険料をすべて自分で負担するため、雇用の時給と同じ額では生活が成り立ちません。国民年金保険料だけでも、令和8年度で1か月あたり17,920円かかります。こうした費用を含めて、1時間あたりいくら必要なのかを把握しておくと、安すぎる案件を見分けられます。
修正の回数が多い案件や、仕様の決まっていない案件は、見積もりの時間を超えやすいため注意します。見積もりの段階で、どこまでが報酬に含まれるかを示しておくと、後から追加の料金を相談しやすくなります。
会社員として3DCGやソフトウェアの仕事をする場合の収入の水準は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で確かめられます。業務委託の報酬を考えるときに、雇用で働いた場合の水準と比べる材料になります。
よくあるトラブルと防ぎ方
3DCGの業務委託で起こりやすいトラブルと、その防ぎ方を挙げます。
修正が終わらない
修正の回数を決めていないと、細かな変更の依頼が続き、作業が終わらなくなります。契約の段階で回数と範囲を決め、途中の段階で確認をもらう進め方にします。
報酬が支払われない
納品したのに報酬が支払われない、支払いが遅れる、というトラブルは、条件を文書で残していない取引で起こりやすいものです。発注者には取引条件を示す義務があるので、文書で受け取り、保存しておきます。支払いが遅れたときは、まず文書で催促し、解決しなければ相談窓口に相談します。
納品後に仕様の変更を求められる
納品後に「やはり別のポーズにしてほしい」と求められることがあります。当初の仕様と違う依頼は、追加の料金で対応するのが原則です。当初の仕様を文書で残しておくことが、話し合いの土台になります。
作品集に載せられない
契約で作品集への掲載を決めていないと、何年も作品を外に出せず、実績を示せないことがあります。契約の前に必ず確かめます。
預かったデータの流出
発注者から預かった資料やデータを、誤って公開したり、ほかの人に送ったりすると、損害の賠償を求められることがあります。作業用のフォルダを案件ごとに分け、終わった案件のデータは契約に沿って削除するなど、管理のルールを決めておきます。
副業から独立へ進むときの目安
会社員として働きながら副業で3DCGの業務委託を受け、いずれ独立を考えている人もいます。副業から独立へ進むときは、次の点を目安に判断すると、収入が途切れるリスクを小さくできます。
1つ目は、継続して依頼をくれる取引先があるかどうかです。単発の案件だけでは、毎月の収入が安定しません。少なくとも複数の取引先から継続の依頼があり、1社に頼りきりになっていない状態が望ましいといえます。1社からの依頼が収入の大半を占めていると、その取引先の方針が変わったときに、一度に収入を失うことになります。
2つ目は、生活費の蓄えです。業務委託では、納品から報酬の入金までに1か月から2か月かかることも珍しくありません。独立した直後は案件の数も読めないため、数か月の生活費を蓄えておくと、安い案件を無理に受けずに済みます。
3つ目は、会社員でなくなった後の保険と年金の手続きです。退職すると、会社の健康保険と厚生年金から外れ、国民健康保険と国民年金に切り替えるか、条件を満たせば会社の健康保険を任意継続するかを選ぶことになります。保険料の負担が変わるため、事前に試算しておきます。
副業の段階で、確定申告や帳簿のつけ方、取引条件の確認に慣れておくと、独立した後の負担が大きく減ります。副業は、独立に向けた練習の期間でもあります。
長く市場を見てきた立場から
在宅で働ける仕事を紹介する場を長く運営してきた立場から見ると、3DCGの業務委託で長く仕事が続いている人は、技術の高さだけでなく、「条件を先に言葉にできる人」です。何を、どの形式で、何回の修正までで、いつまでに納めるのか。これを最初の打ち合わせで整理して文書にできる人は、発注者から見て安心して任せられる相手になり、継続の依頼が増えていきます。
また、仲介の手数料が間に入らない形で発注者と直接つながれば、同じ予算でも受け手の手取りは厚くなり、発注者はより多くの仕事を頼めます。直接の取引では条件の確認をすべて自分で行う必要がありますが、その手間を惜しまない人ほど、長く安定した関係を築いています。
アプリやゲームの開発の現場で3DCGがどのように使われているかを知っておくと、発注者との会話もしやすくなります。開発の仕事の全体像は、アプリケーション開発のお仕事で紹介しています。まずは受けたい分野を1つ決め、その分野の作品集を作るところから始めましょう。
よくある質問
Q. 3DCGの業務委託は未経験でも在宅で受けられますか?
実務の経験がなくても、作品集の質が十分であれば受けられる案件はあります。ただし、発注者は作品集を見て任せられるかを判断するため、受けたい分野の作品を実務で通用する水準で用意することが前提です。最初は業務委託の仲介サイトの小さな案件で実績を作り、作品集に加えていくのが一般的な進め方です。
Q. 業務委託の契約で必ず確かめるべきことは何ですか?
作るものの仕様、報酬の額と支払期日、修正の回数と範囲、納期と途中の確認の時期、著作権の扱い、作品集への掲載の可否、預かったデータの扱いの7つは必ず確かめます。フリーランス法では、発注する側に仕事の内容や報酬の額、支払期日を書面やメールで示すことが義務付けられているので、文書で受け取って保存しておきましょう。
Q. 業務委託で作ったモデルの著作権は誰のものになりますか?
契約で何も決めなければ、作った受け手にあるのが原則です。発注者に譲る契約では、改変する権利などは特に書いていなければ受け手に残ると推定されるため、契約書に「著作権法第27条及び第28条の権利を含む」と書かれることがよくあります。作者として名前を表示する権利などは譲れないため、行使しないと定めるのが一般的です。
Q. 会社員が副業で3DCGの業務委託を受けても大丈夫ですか?
まず勤め先の就業規則で副業が認められているかを確かめます。会社員が副業で事業者から業務委託を受ける場合も、フリーランス法の対象になります。副業の所得が一定額を超えると確定申告が必要になり、勤め先の仕事と競合する内容や、勤め先の秘密に関わる内容は避ける必要があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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