自宅でヨガ教室を開くまでの手順|場所づくりと生徒の集め方


この記事のポイント
- ✓自宅でヨガ教室を開くまでの手順を
- ✓住まいの契約と管理規約の確認
- ✓部屋の広さと防音などの場所づくり
自宅でヨガ教室を開きたいと考える人は、スタジオに勤めて経験を積んだインストラクターから、資格を取ったばかりの人、子育てと両立できる働き方を探している人まで幅広くいます。自宅の教室なら家賃がかからず、少人数で始められる一方で、住まいの契約、近所への音の配慮、生徒が自宅に来ることへの備えなど、スタジオで働いていたときには考えなかった準備が必要になります。
この記事では、自宅でヨガ教室を開くまでの手順を、資格の考え方、住まいの確認、場所づくり、保険と開業の手続き、料金の決め方、生徒の集め方の順に整理します。結論を先に書くと、自宅のヨガ教室は「住まいの契約と規約の確認」と「安全への備え」を最初に固め、そのうえで少人数の固定の生徒から始めるのが、無理なく続けるための近道です。
自宅のヨガ教室という働き方
自宅のヨガ教室とは、自宅の一室を教室として使い、生徒を招いてヨガのクラスを開く働き方です。個人で開業するヨガ教室の形には、スタジオを借りる、公民館やレンタルスペースを借りる、オンラインで教える、自宅で教える、という4つの選択肢があります。
自宅で開く利点
自宅で開くいちばんの利点は、家賃や会場費がかからないことです。レンタルスペースを使うと、クラスを開くたびに会場費がかかり、生徒が少ない日は赤字になることもあります。自宅なら、生徒が2人や3人でもクラスを開けます。移動の時間がかからず、家事や育児の合間にクラスを入れやすいことも利点です。
自宅で開く難しさ
一方で、自宅で開くには、住まいの契約や管理規約で事業での利用が認められているか、近所に迷惑をかけないか、知らない人を自宅に招くことへの不安をどう減らすか、といった課題があります。教室の広さにも限りがあるため、1回のクラスで受け入れられる人数は多くありません。
どんな人に向いているか
自宅のヨガ教室は、大人数のクラスで収入を伸ばすよりも、少人数で一人ひとりに目の届くクラスを開きたい人に向いています。近所の顔見知りの人や、スタジオに通うのが苦手な人、産後や体力に不安のある人など、落ち着いた環境を求める生徒と相性のよい形です。
資格は必要か
ヨガを教えるために、国が定めた資格は必要ありません。医師や理学療法士のような国家資格ではないため、資格がなくても教室を開くこと自体はできます。
民間の資格の位置づけ
ヨガの資格は、民間の団体がそれぞれの基準で認定しているものです。代表的なものに、全米ヨガアライアンスの認定校で200時間の講座を修了した人が登録できるRYT200があります。ヨガスタジオの開業を支援する会社のブログは、資格について次のように説明しています。
実際、資格を持たずに開業している方も一定数います。ただし、信頼性・安全性・差別化の観点から、民間団体が認定するインストラクター資格(例:全米ヨガアライアンスRYT200など)を取得しておくことは強く推奨されます。 出典: re-air.jp
資格よりも大切なこと
資格がなくても開業はできますが、自宅の教室で生徒を受け入れるなら、体の仕組みについての知識、けがを防ぐための指導の仕方、体調に不安のある人への配慮は欠かせません。資格の講座では、これらを体系的に学べます。また、教室で入る保険の中には、資格を持っていることを加入の条件にしているものもあります。資格の有無よりも、安全に教えられるだけの知識と経験があるかどうかが問われると考えてください。
医療の代わりにはならない
ヨガ教室では、体の不調を治すことを目的にした指導や、病気についての助言はできません。生徒から持病や痛みについて相談された場合は、医師に相談するよう勧めるのが基本です。持病のある人や妊娠中の人を受け入れる場合は、主治医の了解を得ているかを確かめるなど、教室としての決まりを作っておくと安心です。
最初に確かめる住まいの条件
自宅でヨガ教室を開く前に、必ず確かめておきたいのが、住まいの条件です。ここを確かめずに始めると、後から教室を続けられなくなることがあります。
賃貸住宅の場合は契約書を読む
賃貸住宅に住んでいる場合、賃貸借契約書に「住居としてのみ使用する」「事業での使用を禁止する」といった条項が入っていることがよくあります。生徒からお金をもらってクラスを開くことは、事業での使用にあたる可能性があります。契約書を確かめ、不明な点があれば、大家さんや管理会社に教室として使ってよいかを相談してください。無断で始めると、契約違反として退去を求められるおそれがあります。
分譲マンションの場合は管理規約を読む
分譲マンションでは、管理規約で専有部分の使い方が決められています。住宅以外の用途での使用を禁止している規約や、不特定の人の出入りを制限している規約もあります。管理規約を確かめ、必要なら管理組合に相談します。
一戸建ての場合も近所への配慮は欠かせない
一戸建ての持ち家なら、契約や規約の制約は少なくなります。それでも、生徒の車の駐車、自転車の置き場、話し声や音楽の音など、近所に迷惑をかける要素はあります。教室を始める前に、近所の人にひと言伝えておくと、後のトラブルを防げます。
家族の理解を得る
自宅で教室を開くと、クラスの時間は家族が自由に使えない部屋ができ、知らない人が家に出入りすることになります。家族の生活のリズムとクラスの時間が重ならないか、家族の写真や私物を生徒の目に触れない場所にしまえるかなど、家族と話し合っておくことが大切です。
教室の場所づくり
住まいの条件を確かめたら、教室として使う部屋を整えます。
必要な広さの目安
ヨガのマットは、一般的な大きさで幅60cm前後、長さ180cm前後です。マットを並べたうえで、手足を伸ばしても隣の人とぶつからない間隔と、インストラクターが生徒の間を歩ける通路が必要です。6畳の部屋なら、インストラクターを含めて2人から3人、10畳前後の部屋なら4人から5人程度が、無理のない人数の目安になります。実際に部屋にマットを並べて、手足を伸ばしてみて確かめてください。
床と音への配慮
ヨガは激しく跳ぶ運動ではありませんが、マットの上で立ったり座ったりする動きや、ポーズを変えるときの足音は、集合住宅では下の階に響くことがあります。厚めのマットや、防音のためのマットを床に敷くと、音を和らげられます。クラスで音楽を流す場合は、音量を控えめにし、早朝や夜遅くのクラスは避けるのが無難です。
空気と温度
締め切った部屋で数人が体を動かすと、室温と湿度が上がり、空気がこもります。クラスの前後に窓を開けて換気し、夏は冷房、冬は暖房で、生徒が汗をかきすぎず、体が冷えすぎない温度に整えます。ホットヨガのように室温を大きく上げるクラスは、体への負担が大きく、自宅の設備では安全に管理するのが難しいため、慎重に考えてください。
生徒が使う場所を決める
教室の部屋のほかに、生徒が着替える場所、荷物を置く場所、トイレを使ってもらう動線を決めておきます。家族の生活の場を通らずに教室まで案内できると、生徒も家族も気を遣わずに済みます。貴重品の扱いは生徒の自己管理とするのか、教室で預かるのかも決めておきます。
備品をそろえる
最初にそろえたい備品は、生徒用のヨガマット、ブロック、ストラップ、ブランケット、時計、音楽を流す機器です。マットは衛生面から生徒に持参してもらう教室もありますが、貸し出す場合は、クラスのたびに拭いて清潔に保ちます。救急箱を用意し、近くのAEDの場所を確かめておくことも大切です。
安全への備えと保険
自宅の教室では、インストラクター自身が教室の運営者として、生徒の安全に責任を持つことになります。
生徒の体調を把握する
初めて来る生徒には、体調や持病、けがの経験、妊娠の有無などを書いてもらう用紙を用意します。この用紙は個人の情報を含むため、鍵のかかる場所に保管し、教室の運営以外には使わないようにします。クラスの前には、その日の体調を聞き、無理をしないよう伝えます。
けがを防ぐ指導
ヨガのポーズの中には、首や腰、膝に負担がかかるものがあります。生徒の体の柔らかさや筋力には個人差があるため、全員に同じ形を求めず、ブロックやストラップを使った楽な形を示します。痛みを感じたらすぐにやめるよう、クラスの最初に伝えておきます。
保険に入る
自宅の教室で生徒がけがをした場合、教室の運営者として責任を問われることがあります。生徒のけがや、生徒の持ち物を壊したときの賠償に備えて、賠償責任保険に入っておくことを勧めます。ヨガのインストラクター向けの保険は、資格の団体や業界の団体を通じて入れるものがあり、資格を持っていることを加入の条件にしているものもあります。自宅の火災保険の契約内容が、教室としての利用で変わらないかも、保険会社に確かめておきます。
開業の手続きとお金の管理
自宅でヨガ教室を開いて収入を得る場合、税金の手続きが必要になります。
開業届を出す
個人で事業を始めた場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を出します。国税庁の案内では、提出時期は事業を始めた年分の確定申告期限までとされています。開業届の様式や出し方は、国税庁の開業届の案内で確かめられます。
青色申告を考える
青色申告とは、決まった形式の帳簿をつける代わりに、所得から一定の額を差し引ける申告のやり方です。国税庁の青色申告特別控除の案内によると、控除は原則55万円で、電子帳簿保存かe-Taxで申告する場合は65万円です。青色申告にするには、別に「青色申告承認申請書」を期限までに出す必要があります。
経費と自宅の按分
自宅の一室を教室として使う場合、家賃や電気代の一部を経費にできることがあります。全体のうち教室として使っている割合で分けることを按分といいます。按分の割合は、使っている面積や時間をもとに、説明のつく形で決めます。どこまで経費にできるかは使い方によって変わるので、判断に迷うときは税務署や税理士に確かめてください。
会社員の副業として始める場合
会社員が副業として自宅のヨガ教室を開く場合は、本業の会社の就業規則で副業が認められているかを先に確かめます。副業の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。
料金とクラスの決め方
自宅の教室の料金は、周りのスタジオやレンタルスペースの教室の料金を参考に、自宅ならではの価値を踏まえて決めます。
料金の形
ヨガ教室の料金の形には、1回ごとに払う都度払い、数回分をまとめて買う回数券、毎月決まった回数を受けられる月謝制があります。自宅の教室では、固定の生徒に長く通ってもらうことが安定の鍵になるため、月謝制や回数券を中心にし、体験や都度払いで入口を作る形がよく選ばれます。
料金を決めるときの考え方
料金は、近くのスタジオやレンタルスペースの教室の1回あたりの料金を調べたうえで決めます。自宅の教室は、少人数で一人ひとりに目が届くことが価値になります。安さだけで選ばれる教室にすると、生徒が増えても収入が伸びず、続けることが苦しくなります。
キャンセルと振替の決まり
少人数の教室では、1人のキャンセルが収入に大きく響きます。何時間前までのキャンセルなら無料にするか、当日のキャンセルは1回分として数えるか、月謝制で休んだ分を別の日に振り替えられるかを、最初に決めて生徒に伝えておきます。決まりを文章にして、体験の段階で渡しておくと、後からのトラブルを防げます。
クラスの組み立て
クラスの時間は、60分か75分が一般的です。自宅の教室なら、平日の午前に子育て中の人向けのクラス、夜に仕事帰りの人向けのクラス、というように、生徒の生活に合わせた時間を組めます。最初から多くのクラスを用意するよりも、週に2つか3つのクラスから始め、生徒の希望を聞きながら増やしていくほうが、無理なく続けられます。
生徒の集め方
自宅の教室は、看板を出して通りがかりの人を集めることが難しいため、知ってもらうための工夫が必要です。
知り合いから始める
最初の生徒は、友人や知人、子どもの学校の保護者仲間など、顔見知りの人から集めることが多くなります。知らない人を自宅に招く不安も少なく、教室の運営に慣れる期間として最適です。顔見知りの生徒に感想を聞き、クラスの内容や運営の仕方を整えていきます。
SNSで教室の様子を伝える
InstagramなどのSNSで、教室の雰囲気、クラスの内容、インストラクターの人柄を伝えると、近くに住む人が教室を知るきっかけになります。ただし、自宅の場所が特定されるような写真や情報を不用意に載せないよう注意します。詳しい住所は、体験を申し込んだ人にだけ伝える形にすると安心です。
地域の情報の場を使う
地域の情報誌、公民館の掲示板、地域の子育ての集まりなど、近くに住む人が目にする場所での告知も効果があります。自宅の教室に通う生徒の多くは、歩いて来られる範囲や自転車で来られる範囲に住む人です。広く知ってもらうことより、近くの人に確実に届けることを意識します。
広告の表現で気をつけること
教室の案内や広告で、「腰痛が治る」「必ず痩せる」のように、効果を言い切る表現を使うことは避けます。実際より著しく良いと思わせる表示は、景品表示法で禁止されている不当な表示にあたるおそれがあります。表示の決まりは、消費者庁の景品表示法のページで確かめられます。生徒の感想を載せる場合も、個人の感想であることがわかる形にし、誇張しないことが大切です。
体験クラスから入会につなげる
自宅の教室では、体験クラスに来てもらうことが入会への第一歩です。体験クラスでは、教室の決まりや料金、キャンセルの扱いを丁寧に説明し、無理に入会を勧めないことが信頼につながります。体験の後に、感想や不安な点を聞く時間を取ると、生徒が通い続けるかどうかを判断しやすくなります。
自宅、レンタルスペース、オンラインの比べ方
自宅の教室だけにこだわらず、レンタルスペースやオンラインのクラスと組み合わせる人も増えています。それぞれの特徴を比べておくと、自分に合った形を選びやすくなります。
自宅の教室
家賃や会場費がかからず、少人数でもクラスを開けます。移動の時間もかかりません。その一方で、住まいの契約や規約の制約、近所への配慮、受け入れられる人数の限界があります。知らない人を自宅に招くことへの不安も、人によっては大きな負担になります。
レンタルスペースや公民館
クラスのたびに会場を借りる形です。会場費はかかりますが、自宅の場所を知られずに済み、自宅より広い部屋を使えることが多くなります。公民館は、営利目的の利用を認めていない施設や、利用の条件として団体の登録を求める施設もあるため、借りる前に利用の決まりを確かめます。会場費を払っても利益が出るよう、1回のクラスに何人集まれば赤字にならないかを計算しておきます。
オンラインのクラス
ビデオ会議の道具を使って、自宅から生徒に向けてクラスを配信する形です。住まいの場所を問わず、遠くに住む人も参加でき、生徒が自宅に来ることもありません。ただし、画面越しでは生徒の体の動きが見えにくく、細かい指導が難しくなります。カメラの角度や照明、音声の聞こえ方など、配信の環境を整える手間もかかります。
組み合わせて始める
最初は顔見知りの生徒を自宅に招いて小さく始め、生徒が増えてきたらレンタルスペースのクラスを加える、平日の夜はオンラインで開く、という組み合わせ方もあります。自宅の教室は少人数でじっくり教える場、レンタルスペースは人数を受け入れる場、オンラインは遠くの人や忙しい人とつながる場、と役割を分けると、それぞれの弱みを補い合えます。
オンラインのクラスを加えるときに必要なもの
自宅の教室にオンラインのクラスを加えると、遠くに住む人や、教室に来る時間が取れない人ともつながれます。自宅にはすでにクラスを開く部屋があるため、少しの準備で始められます。
機材
最低限必要なのは、カメラのついたパソコンかスマホ、安定したインターネット回線、マイクです。インストラクターの全身が映るように、カメラを床から少し離れた高さに置き、部屋の端から撮ると、生徒が動きを真似しやすくなります。声が届きにくい場合は、襟元につける小さなマイクを使うと、動きながらでも声がはっきり届きます。
映り方と音の確認
照明が背中側にあると顔や体が暗く映るため、窓や照明を正面に置くように配置を工夫します。音楽を流す場合は、声とのバランスを確かめ、生徒の端末で声が聞き取りにくくならないようにします。始める前に、知り合いに参加してもらって、映り方と音の聞こえ方を確かめておくと安心です。
オンラインならではの安全の配慮
オンラインのクラスでは、生徒の様子を細かく見ることができません。無理のない動きを中心に組み立て、痛みや違和感があればすぐに休むよう、クラスの最初に伝えておきます。生徒の周りに家具や物がないか、床が滑りにくいかを確かめてから始めるよう促すことも大切です。
料金と決まり
オンラインのクラスの料金は、自宅の教室と同じにするのか、低めにするのかを決めます。参加のための案内の送り方、開始時刻に遅れた場合の扱い、録画を残すかどうかと、その扱いについても、事前に決めて生徒に伝えます。
開業までの準備の流れ
自宅でヨガ教室を開こうと決めてから、最初のクラスを開くまでの流れを順番に並べます。
1. 住まいの条件を確かめる
最初に、賃貸借契約書や管理規約を確かめ、必要なら大家さんや管理会社、管理組合に相談します。家族にも、教室を開くことと、クラスの時間や部屋の使い方を説明して理解を得ます。ここで難しいとわかった場合は、自宅ではなくレンタルスペースやオンラインで始める道を考えます。
2. 教える内容と対象を決める
どんな人に、どんなクラスを開くのかを決めます。初心者向けのやさしいクラス、産後の人向けのクラス、仕事帰りの人向けのリラックスのクラスなど、対象を絞るほど、教室の特徴が伝わりやすくなります。自分の得意な分野と、近くに住む人の暮らしを照らし合わせて決めます。
3. 部屋と備品を整える
教室として使う部屋を片付け、マットを並べて広さを確かめます。床の音への対策、換気と温度の管理、着替えと荷物の場所、トイレまでの動線を決め、必要な備品をそろえます。
4. 保険と手続きを済ませる
賠償責任保険に入り、自宅の火災保険の契約内容も確かめます。税務署に開業届を出し、青色申告にするなら青色申告承認申請書も出します。会社員の副業なら、本業の会社への届け出も済ませておきます。
5. 料金と決まりを文章にする
料金、キャンセルと振替の決まり、体調についての確認、持ち物、駐車や駐輪の決まりを文章にして、体験の段階で渡せるように準備します。
6. 体験クラスから始める
知り合いを招いて、体験クラスを何回か開きます。クラスの流れ、時間の配分、部屋の使い勝手、家族の生活との兼ね合いを確かめ、気づいたことを直してから、本格的に生徒を募集します。
始めたばかりの頃につまずきやすい点
自宅のヨガ教室を始めたばかりの頃に、よく聞かれるつまずきと、その乗り越え方を整理します。
生徒が集まらない
最初の数か月は、思ったように生徒が集まらないことがほとんどです。告知を続けることに加えて、今いる生徒の満足を高めることが、口コミでの紹介につながります。生徒が少ない時期は、クラスの内容を見直したり、自分の練習に時間を使ったりする期間と考えると、焦らずに済みます。
準備と片付けに時間がかかる
自宅の教室では、クラスの前に部屋を片付け、クラスの後にマットを拭いて元に戻す作業が毎回発生します。この時間を見込まずに予定を組むと、家事や家族の時間を圧迫します。準備と片付けの手順を決め、なるべく短い時間で済むように部屋の配置を工夫します。
収入が安定しない
少人数の教室では、生徒の休みや退会がそのまま収入の変化につながります。月謝制にして毎月の収入の見通しを立てる、オンラインのクラスや出張のクラスなど別の収入の柱を持つ、といった工夫で、収入の波を小さくできます。
続けるために気をつけたいこと
自宅のヨガ教室は、始めることより続けることのほうが難しい仕事です。
生徒との距離の取り方
自宅に招く関係は、生徒との距離が近くなりやすい一方で、私生活との境目があいまいになりがちです。クラスの時間以外の連絡の受け方、個人的な相談への対応、教室の外での付き合い方について、自分なりの線を引いておくと、長く続けやすくなります。
予約と連絡の管理
生徒が増えてくると、予約の受付、キャンセルの連絡、回数券の残りの管理に手間がかかるようになります。最初は紙の台帳やメッセージのやり取りで足りても、生徒が10人を超えるあたりから、予約の管理の仕組みを整えることを考えます。管理の手間が減れば、クラスの準備や自分の練習に時間を使えます。
学び続けること
インストラクターとして教え続けるには、自分の練習と学びを続けることが欠かせません。ほかのインストラクターのクラスに参加する、解剖学の勉強会に出る、新しい分野の講座を受けるといった学びが、クラスの質を保ち、生徒に長く選ばれる教室につながります。
生徒の情報と記録の扱い
自宅の教室でも、生徒の名前、連絡先、体調や持病についての情報を預かることになります。小さな教室だからこそ、情報の扱いの決まりを最初に作っておくことが大切です。
預かる情報は必要なものだけにする
体調の確認の用紙で尋ねる項目は、安全にクラスを開くために必要なものに絞ります。生年月日や家族構成など、教室の運営に使わない情報は尋ねないようにします。何のために情報を預かるのかを用紙に書いておくと、生徒も安心して記入できます。
保管の場所と期間を決める
紙の用紙は鍵のかかる引き出しに、データはパスワードをかけたパソコンやスマホに保存します。家族が共有で使う端末には保存しないようにします。退会した生徒の情報をいつまで残すかも決めておき、不要になった用紙はシュレッダーで処分します。
写真の扱い
クラスの様子をSNSに載せたい場合は、写る生徒に必ず事前に了解を得ます。顔が写らない角度で撮る、了解を得た人だけを写す、といった配慮が必要です。了解の有無を記録しておくと、後から「載せないでほしかった」と言われたときにも、すぐに対応できます。
季節と生徒の暮らしに合わせたクラスの工夫
自宅の教室は少人数で小回りが利くため、季節や生徒の暮らしの変化に合わせて、クラスの内容を柔軟に変えられます。
季節に合わせる
夏は汗をかきにくい穏やかなクラスや、夕方の涼しい時間のクラスを、冬は体を温めるゆっくりした動きのクラスを用意する、というように、季節に合わせて内容を変えると、生徒が通い続けるきっかけになります。年末年始や夏休みの時期は、生徒の予定が読みにくくなるため、休講の予定を早めに伝えておきます。
生徒の暮らしに合わせる
子育て中の生徒が多い教室なら、子どもの学校の行事が多い時期にクラスの数を調整する、長期の休みの間は午前のクラスを休む、といった配慮が喜ばれます。仕事帰りの生徒が多い教室なら、年度末の忙しい時期に短めのクラスを用意するのも1つの方法です。
生徒の声を聞く
数か月に1度、生徒に簡単な感想を聞く機会を作ると、クラスの時間や内容の改善点が見えてきます。対面で聞きにくいことは、紙や回答フォームで尋ねると、率直な意見が集まりやすくなります。生徒の声をもとにクラスを変えたときは、そのことを生徒に伝えると、教室への信頼が深まります。
小さな事業を長く見てきた立場からの考察
フリーランスと在宅ワークの仲介を20年続けてきた運営者として見てきた限りでは、自宅で教室や小さな事業を長く続けている人には共通点があります。それは、生徒や顧客の数を急いで増やすよりも、今いる人に「ここに通ってよかった」と思ってもらうことに時間を使っていることです。自宅の教室は、口コミと紹介で生徒が広がる世界です。一人ひとりへの丁寧な対応が、そのまま次の生徒を連れてきます。
もう1つの共通点は、教えることだけにとどまらず、自分の得意を周りの仕事に広げていることです。教室の案内のチラシやWebページを自分で作る、オンラインのクラスを開く、企業の健康づくりの取り組みに講師として招かれるなど、働き方は広がっています。仲介の手数料が乗らない直接の取引なら、同じ予算で依頼する側はより多くを頼め、受ける側の手元にはより多く残ります。手数料0%で依頼主と直接つながれる場を使い、教室の外の仕事を少しずつ育てていくのも、自宅の教室を続けるための支えになります。教室の案内物の制作を外に頼む場合の相場はデザイナーの年収・単価相場で、生徒への案内文の書き方の基礎はビジネス文書検定で確かめられます。
よくある質問
Q. 資格がなくても自宅でヨガ教室を開けますか?
ヨガを教えるために国が定めた資格はないため、資格がなくても開業すること自体はできます。ただし、体の仕組みやけがを防ぐ指導の知識は欠かせません。民間の資格の講座で体系的に学べるほか、教室で入る賠償責任保険の中には資格を加入の条件にしているものもあります。
Q. 賃貸住宅でもヨガ教室を開けますか?
賃貸借契約書で住居以外の使用や事業での使用が禁止されていることがあります。生徒からお金をもらってクラスを開くことは、事業での使用にあたる可能性があるため、契約書を確かめ、大家さんや管理会社に教室として使ってよいかを相談してから始めてください。
Q. 自宅の教室では何人くらいまで受け入れられますか?
部屋の広さによります。ヨガのマットは幅60cm前後、長さ180cm前後が一般的で、手足を伸ばしても隣とぶつからない間隔が必要です。6畳ならインストラクターを含めて2人から3人、10畳前後なら4人から5人程度が目安です。実際にマットを並べて確かめてください。
Q. 自宅でヨガ教室を始めたら開業届は必要ですか?
個人で事業として教室を開いて収入を得る場合は、税務署に開業届を出します。提出時期は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。青色申告にしたい場合は、青色申告承認申請書も期限までに出します。会社員の副業の場合は、本業の就業規則も先に確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
榊原 隼人@SOHO編集部
フルスタックエンジニア・テックライター
SIerで8年間システム開発に携わった後、フリーランスエンジニアに転身。React/Next.js/Pythonを中心に開発案件をこなしながら、技術系の記事を執筆しています。
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