Webライターと交わす記事執筆契約書の要点|権利の譲渡と検収基準の書き方 2026


この記事のポイント
- ✓ライターに記事執筆を外注する際に必要な契約書の項目を解説します
- ✓著作権譲渡・検収基準・報酬支払いなど
- ✓発注者が押さえるべきポイントを具体例つきで紹介します
「ライターさんに記事の執筆をお願いしたいけれど、契約書って何を書けばいいんだろう」。そんなご相談を、私はカウンセリングの現場でもよく耳にします。ライター 執筆 契約書というキーワードで検索してこのページにたどり着いた方は、きっと初めて外部のライターに業務を委託しようとしていて、トラブルなく進めたいという誠実な気持ちをお持ちのはずです。この記事では、記事執筆を外注する際に契約書へ盛り込むべき項目、特に権利の譲渡と検収基準という、後々のトラブルに直結しやすい2つのポイントを中心に、具体的な書き方をお伝えします。
ライター発注の契約書、なぜ今これほど重視されるのか
まず、なぜ今これほどまでに「契約書をきちんと交わすこと」が重視されているのか、その背景からお話しします。
在宅ワーク・副業の広がりとともに、企業や個人事業主がフリーランスのライターに記事執筆を依頼するケースは年々増えています。オウンドメディアの記事、ECサイトの商品説明文、採用広報のコラム、社内報の取材記事など、外部のライターに委託する業務の種類も幅広くなりました。それにともなって、口約束やメールのやり取りだけで発注してしまい、後から「著作権はどちらのものか」「修正は何回まで無料か」「支払いはいつなのか」といった認識のズレでトラブルになるケースも増えています。
Webライティングの発注単価は、文字単価で1文字1円〜5円程度、専門性の高い記事や取材を伴う記事では1文字5円〜15円程度が目安とされています。1本3,000文字の記事であれば、報酬は3,000円〜4万円と幅が非常に広く、依頼する記事の専門性・取材の有無・SEO対策の要否によって大きく変わります。この価格の幅広さこそが、契約書で業務範囲を明確にする必要性を裏づけています。「この金額に何が含まれているのか」を曖昧にしたまま発注すると、発注者側は「これくらいはやってくれるはず」と期待し、ライター側は「契約外の作業だ」と感じる、というすれ違いが起きやすいのです。
また、フリーランスへの業務委託については、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や、2024年に成立したフリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象になる場合があります。これらの法律は、発注者が優越的な立場を利用して不当に支払いを遅らせたり、一方的に業務内容を変更したりすることを防ぐためのものです。契約書に業務内容・報酬・支払期日を明記することは、法令順守の観点からも重要な意味を持ちます。詳しい適用範囲については、公正取引委員会の公表資料を確認しておくと安心です。
記事執筆の契約書に必ず盛り込むべき項目
ここからは、実際に契約書を作成する際に押さえておきたい項目を、順を追って説明します。
業務内容と成果物の定義
まず最初に明確にすべきは「何を、どこまでお願いするのか」です。記事執筆の契約でよくある失敗は、「記事を1本書いてもらう」としか書いておらず、以下のような認識のズレが起きることです。
・見出し構成(構成案)は発注者が作るのか、ライターが考えるのか ・画像やアイキャッチの選定・挿入は含まれるか ・入稿作業(CMSへのアップロード)まで依頼するのか ・SEOキーワードの選定は発注者側の指示か、ライターの提案か
これらを契約書または個別の発注書に、箇条書きで具体的に記載しておくことをおすすめします。「記事執筆一式」というような曖昧な表現ではなく、「見出し構成(発注者提供)に沿って本文を執筆する。文字数は3,000字〜4,000字。画像選定・入稿作業は含まない」というように、含む作業と含まない作業をセットで書くと、双方の認識が揃いやすくなります。
報酬と支払い条件
報酬額の記載はもちろんですが、支払い条件についても具体的に定める必要があります。特に以下の点は、契約書に明記しておくべき重要な項目です。
・報酬の金額(文字単価か、記事単価か) ・支払いのタイミング(検収完了後、当月末締め翌月末払い、など) ・修正対応の回数と、範囲を超えた修正の追加費用 ・交通費や取材費など、実費の扱い
支払いサイト(発注から支払いまでの期間)が長すぎると、フリーランス側の資金繰りを圧迫し、良質なライターとの継続的な関係が築きにくくなります。フリーランス新法では、業務の給付を受領した日から起算して60日以内のできるだけ早い時期に支払期日を定めることが求められています。発注者としても、この期間を意識した契約書を作成することが、法令順守だけでなく、優秀なライターに長く協力してもらうための土台になります。
納期とスケジュール
納期についても、単に「〇月〇日まで」と書くだけでなく、以下のようなプロセス全体のスケジュールを共有しておくと、後々の行き違いを防げます。
・構成案の提出期限 ・初稿の提出期限 ・修正依頼を出す期限とライターからの修正提出期限 ・最終検収の期限
特に、発注者側の確認・フィードバックが遅れることで全体のスケジュールが崩れるケースは非常に多く見られます。契約書に「発注者は初稿受領後、〇営業日以内にフィードバックを行うものとする」といった、発注者側の義務も明記しておくと、双方にとって公平な契約になります。
著作権の譲渡について
ここが、この記事で最もお伝えしたいポイントの一つです。記事執筆の契約でトラブルになりやすいのが、著作権の扱いです。
日本の著作権法では、著作物を創作した人(この場合はライター)に著作権が発生するのが原則です。つまり、契約書に何も書かなければ、発注者がお金を払って書いてもらった記事であっても、著作権はライター側に残ったままになる可能性があります。これでは、発注者がその記事を自由に編集・転載・二次利用することができず、後になって「この記事を他の媒体にも使いたいのに、ライターの許可が必要になってしまった」という事態になりかねません。
そのため、記事執筆の契約書には、著作権の譲渡に関する条項を必ず盛り込む必要があります。一般的には、以下のような内容を記載します。
ライター業務委託契約書では、業務内容、報酬や納期、著作権の取り扱いなどを明確に定めることができます。ライター業務委託契約書の作成が初めての方や作成に不安を感じる方は、以下サイトのテンプレートを活用するのがおすすめです。こちらでは、弁護士監修のライター業務委託契約書の基本的なテンプレートを無料でダウンロードできます。 出典: biz.moneyforward.com
著作権譲渡の条項では、以下の点を具体的に定めておくことが望ましいです。
・成果物の著作権(著作財産権)は、報酬の支払い完了をもって発注者に譲渡される ・著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権など)については、ライターが発注者に対して行使しない旨を定める(著作者人格権自体は譲渡できないため、不行使特約という形で対応するのが一般的です) ・二次利用(他媒体への転載、書籍化、SNSでの引用など)の範囲
著作者人格権の不行使特約を入れ忘れると、発注者が記事の一部を修正・要約して他のメディアに掲載した際に、「同一性保持権の侵害だ」と主張されるリスクが残ります。逆にライター側としても、無条件に人格権を放棄させられることに抵抗を感じる場合もあるため、双方が納得できる条件をすり合わせることが大切です。
検収基準を明確にする
もう一つ、この記事でぜひお伝えしたいのが検収基準です。検収とは、納品された成果物が契約内容に合致しているかを発注者が確認し、受け入れる手続きのことです。
検収基準が曖昧なままだと、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。
・発注者が「もっとこう書いてほしい」と際限なく修正を求め続ける ・ライターが「これで完成」と思って提出したのに、発注者が「求めていたものと違う」と受け取りを拒否する ・修正がいつまでも終わらず、次の記事の発注スケジュールにも影響する
これを防ぐために、契約書または発注書に、検収の具体的な基準を書いておくことをおすすめします。例えば、以下のような項目です。
・検収期間(納品後、発注者は何営業日以内に検収結果を通知するか) ・検収基準(構成案・キーワード指定・文字数・トンマナなど、当初の発注条件を満たしているか) ・修正依頼の回数の上限(例: 軽微な修正は2回まで無料) ・検収期間内に発注者から連絡がない場合、みなし検収(自動的に検収完了とみなす)とするかどうか
特に「みなし検収」の条項は、発注者側の確認が遅れて支払いまでずるずると先延ばしになる事態を防ぐために、双方にとって有効です。「納品から7営業日以内に修正依頼または不合格の連絡がない場合、検収完了とみなす」といった一文を入れておくと、支払いサイトの見通しが立てやすくなります。
秘密保持義務(NDA)
取材内容や、公開前の商品情報、社内の数値データなどをライターに共有する場合は、秘密保持義務についても契約書に盛り込む必要があります。単独の秘密保持契約(NDA)を別途締結するケースもありますが、記事執筆の契約書に条項として組み込んでしまう方法も一般的です。
秘密保持の対象となる情報の範囲、契約終了後も義務が継続する期間(一般的には1年〜3年程度)、違反した場合の対応などを明記しておきましょう。
契約解除の条件
途中で契約を解除する必要が生じた場合の取り扱いも、事前に定めておくべき項目です。
・発注者側の都合で解除する場合、着手済みの作業に対する報酬の扱い ・ライター側の都合で解除する場合の通知期限 ・解除の通知方法(書面、メールなど)
特に、構成案の作成や取材がすでに完了している段階で契約を解除する場合、それまでの工程に対する報酬をどう扱うかは、事前に取り決めがないと揉めやすいポイントです。「着手済みの工程については、進捗に応じた報酬を支払う」といった条項を入れておくと、双方にとって安心です。
損害賠償・免責事項
万が一、納品された記事の内容に事実誤認や著作権侵害(他サイトからの無断転載など)があった場合の責任の所在についても定めておきます。ライターには、成果物がオリジナルであり、第三者の権利を侵害していないことを保証する条項(表明保証)を入れるのが一般的です。
管轄裁判所
万が一、契約に関する紛争が発生した場合に備え、どの裁判所で手続きを行うかを定めておくことも重要です。
ライター業務委託契約書には、契約に関する紛争が発生した場合の解決方法として、どこの裁判所で手続きを行うのかを明確にするため、管轄裁判所を決めておきましょう。委託者の所在地を管轄する裁判所を指定することが一般的です。実際に裁判に至るトラブルは稀ですが、管轄裁判所の記載はトラブルを未然に防ぐ効果があります。 出典: biz.moneyforward.com
実際に裁判にまで発展するケースは多くありませんが、この一文があるだけで「もし何かあってもきちんと対応してくれる相手だ」という安心感をライター側に与えることができます。信頼関係を築く意味でも、省略しない方がよい項目です。
契約書はどう用意すればよいか
ここまで読んで、「これだけの項目を一から自分で書くのは大変そうだ」と感じた方も多いのではないでしょうか。大丈夫です。ゼロから作成する必要はありません。
弁護士監修の無料テンプレートを配布しているサービスも複数あり、業務委託契約書の基本的なひな形をダウンロードして、自社の条件に合わせて調整するのが現実的な進め方です。テンプレートを使う場合でも、先ほど説明した「著作権の譲渡」と「検収基準」の2項目については、テンプレートの文言をそのまま使うのではなく、自社の業務内容に合わせて具体的に書き換えることを強くおすすめします。この2つは、業種や記事の種類によって最適な条件が変わるため、汎用的なひな形のままだと実態と合わないことが多いからです。
契約書は紙の書面である必要はなく、電子契約サービスを利用してオンラインで締結することも一般的になっています。印紙税がかからず、締結までのスピードも早いため、単発の記事執筆を複数のライターに依頼するような場合には特に便利です。
仲介を挟むか、直接依頼するかで費用構造が変わる
記事執筆を外注する方法は、大きく分けて2つあります。制作会社やライティングエージェントに依頼する方法と、フリーランスのライターに直接依頼する方法です。
制作会社やエージェントを経由する場合、企画立案からディレクション、品質管理まで一括で任せられる安心感がある一方で、仲介手数料が上乗せされる分、同じ予算で発注できる記事の本数や、ライター個人に渡る報酬は少なくなる傾向があります。一般的に、仲介会社を通す場合は20%〜50%程度の手数料が発生すると言われており、この分が発注者のコストに上乗せされるか、ライターの取り分が削られるかのいずれかになります。
一方で、フリーランスのライターに直接依頼する場合は、この中間マージンが発生しないため、手数料0%で発注できる分、同じ予算でより多くの記事を発注できたり、より専門性の高いライターに依頼できたりするメリットがあります。ただし、直接依頼の場合は、契約書の作成・進行管理・品質チェックといった、エージェントが担っていた業務を発注者自身で行う必要があります。だからこそ、この記事で説明したような契約書の要点を、発注者自身が理解しておくことが重要になるのです。
発注者としての気づき、契約書は「安心のための言語化」
私自身、フリーランスとして独立してから、逆の立場で外部の専門家に業務をお願いする機会が何度かありました。最初にWebサイトの文章を外部のライターさんにお願いしたとき、見積もりの金額の安さだけで依頼先を決めてしまい、後になって「思っていた内容と違う」と感じてしまったことがあります。振り返ってみると、私自身が「何をどこまでお願いしたいのか」を言語化しないまま依頼してしまっていたことが原因でした。契約書や発注書にきちんと条件を書き出す作業は、面倒に感じるかもしれませんが、実は自分自身の要望を整理する時間でもあるのだと、その経験から学びました。
20年フリーランス・在宅ワーク市場を見てきた立場から言えば、記事執筆の発注で長く良い関係を続けている発注者ほど、契約書を単なる形式的な書類として扱っていません。むしろ、最初の発注時にどこまで具体的に条件をすり合わせられるかが、その後の記事の質やライターとの関係の長さを左右しているように見えます。逆に、口約束や簡単なメールのやり取りだけで進めてしまった案件ほど、修正のやり取りが長引いたり、途中で関係が途切れてしまったりする傾向が見られます。
そして、この一次的な観察からもう一つ言えることがあります。中間マージンの乗らない直接取引は、単に「発注者が安く発注できる」という話にとどまりません。同じ予算であれば発注者はより多くの記事や、より専門性の高いライターに依頼する余地が生まれ、受け手であるライター側は同じ仕事量でも手取りが厚くなります。この「双方が得をする」構造は、金額の大小以上に、双方が長く協力し続けられる関係の土台になっていると感じます。契約書で条件を明確にする手間を惜しまないことは、この関係を築くための最初の一歩と言えるでしょう。
記事執筆の外注は、一度信頼できるライターと出会えれば、その後の発注はぐっとスムーズになります。最初の契約書づくりに少し時間をかけることは、遠回りのようで、実は最短の道なのです。
契約書の実務的な書き方や具体的なひな形をさらに探している方には、契約書・資料・企画書作成のお仕事のガイドで、契約書作成そのものを外部の専門家に依頼する場合の相場や流れも紹介しています。また、契約書のフォーマットや文書デザインを整えたい場合は、ビジネス文書・契約書作成のお仕事も参考になります。ライターへの発注と合わせて、AIツールを活用したコンテンツ制作やセキュリティ面の体制づくりを検討している場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のガイドも役立つはずです。
発注する記事の専門性に応じた単価感を把握しておきたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種別の年収・単価データを確認できます。あわせて、記事のシステム実装やCMS連携までを見据える場合には、ソフトウェア作成者の年収・単価相場も参考になるでしょう。社内で契約書の文書力を高めたい担当者の方には、ビジネス文書検定の資格ガイドもおすすめです。
よくある質問
Q. ライターとの契約書は必ず書面で交わす必要がありますか?
書面である必要はありません。電子契約サービスやメールでの合意でも有効ですが、後日のトラブルを防ぐため、業務内容・報酬・著作権・検収基準を明記した文書を必ず残すことをおすすめします。
Q. 著作権の譲渡を契約書に書き忘れた場合、記事は自由に使えないのですか?
原則として著作権は創作したライターに帰属するため、譲渡の記載がないと二次利用に制限が生じる可能性があります。後からでも覚書を交わして譲渡条件を追加することはできます。
Q. 検収期間はどのくらいに設定するのが一般的ですか?
納品後5営業日〜10営業日程度に設定するケースが多く見られます。期間内に連絡がない場合は検収完了とみなす条項を入れておくと、支払いスケジュールが明確になります。
Q. 修正回数の上限は何回に設定すればよいですか?
軽微な修正は2回程度を無料の目安とし、それ以上の大幅な修正や方向性の変更は追加費用の対象とする契約が一般的です。事前に上限を明記しておくと、双方の認識のズレを防げます。
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入力は3分ほど。掲載料も取引手数料も0円です。@SOHOに登録しているフリーランス・副業ワーカーから、早ければ当日中に最初の応募が届きます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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