Wワークが40時間以上になるとき法律の上限と会社への伝え方


この記事のポイント
- ✓wワークで40時間以上働きたい人向けに
- ✓シフトを組む前の逆算手順
- ✓勤務先への伝え方を実務ベースで解説
wワークで40時間以上働けるのかどうか。結論から言うと、法律上は「週40時間を超えて働くこと自体」は禁止されていません。禁止されているのは、割増賃金を払わずに超えさせること、そして36協定の範囲を超えて超えさせることです。つまり問題は「超えられるか」ではなく「超えることを、どちらの勤務先が、どうやって把握しているか」に移ります。
そして、ここが実務で一番こじれるポイントです。多くの人は超えてしまってから慌てます。本来は逆で、シフトを提出する前に自分の労働時間の枠を確定させておけば、揉める余地はほとんど消えます。この記事では、法解説そのものよりも「シフトを組む前にやっておく管理作業」に焦点を当てます。具体的には、週の起算日の決め方、労働時間の記録の取り方、勤務先への伝え方の3つです。
週40時間の管理は「シフトを組む前」で9割決まる
wワークで40時間以上のトラブルが起きる典型パターンは、だいたい同じ形をしています。副業先のシフト希望を先に出してしまい、あとから本業側の残業が入り、気づいたら通算で週45時間になっていた。副業先に「本業が長引いたので今週は削ってください」と言えず、そのまま出勤する。副業先は本業の時間を知らないので割増賃金を払っていない。数か月後に社会保険の適用調査や本業の副業申告のタイミングで発覚する、というものです。
この流れを止められるポイントは1か所しかありません。シフト希望を出す前です。シフトを出した後は、相手先の人員配置が確定してしまうので、こちらの都合で削るのが極端に難しくなります。飲食や小売のように週単位でシフトを組む職場では、締切の3日前から4日前が実質的な最終確定タイミングです。そこまでに自分の枠を把握していないと、あとは運任せになります。
労働時間の通算ルールを解説する記事は山ほどありますが、正直なところ、ルールを知っているだけでは何も守れません。ルールは「超えたらこうなる」という結果の話であり、超えないための行動を教えてくれないからです。必要なのは、週が始まる前に自分の持ち時間を数字で持っておくことです。銀行口座の残高を見ずに買い物をしないのと同じ感覚で、労働時間の残高を見てからシフトを出す。これだけで大半の事故は防げます。
実際の検索の場では、この不安がかなり生々しい形で表れています。
wワークで週40時間以上働きたいが、バレない方法はありますか? 新しくバイトをしたいのですが、そのバイト先がwワークokですが、両社合わせて週40時間以内までと記載されていてます。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
「両社合わせて週40時間以内」という求人票の条件は、実はかなり多く見かけます。これは副業先が自衛のために引いている線です。超えた分の割増賃金を負担したくない、あるいは労務管理の手間を増やしたくないという事情がある。この条件を隠して働くと、契約違反として扱われます。隠すのではなく、枠を作って正面から相談するほうが、結果的に働ける時間は長くなります。
労働時間通算ルールの前提を1分で整理する
管理方法の話に入る前に、前提だけ最短で押さえます。ここを誤解していると、記録の取り方そのものが的外れになるからです。
通算されるのは「雇用契約」だけ
労働基準法第38条は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めています。ここでいう「事業場を異にする」には、経営者が違う会社も含まれます。つまり本業のA社と副業のB社は、別の会社であっても労働時間が足し算されます。
ただし、通算されるのは労働者として雇われている場合、すなわち雇用契約を結んでいる場合に限られます。業務委託契約、請負契約、フリーランスとしての受注は、労働基準法上の労働時間ではないため通算されません。ここが実務上の分岐点になります。アルバイトを2つ掛け持ちするなら通算、アルバイト1つと在宅の業務委託なら通算されない、という理解で構いません。
この区別は名称ではなく実態で判断されます。「業務委託」という契約書を交わしていても、勤務時間と勤務場所が指定され、業務の進め方に具体的な指揮命令があり、代わりの人に任せることができないなら、実態としては雇用と判断される可能性があります。契約書のタイトルだけで安心しないほうがいい部分です。
法定労働時間と所定労働時間を混同しない
週40時間は「法定労働時間」です。会社が就業規則で決めている勤務時間は「所定労働時間」で、別物です。所定労働時間が1日7時間の会社なら、7時間を超えて8時間まで働いた分は「法定内残業」で、割増は不要です。8時間を超えた分から25%以上の割増が必要になります。
wワークでは、この所定と法定のズレが計算をややこしくします。管理を簡単にしたいなら、自分の記録は「法定基準」で一本化するのが実務的です。1日8時間、週40時間という基準だけを見て、両社の実労働時間を単純に足していく。所定労働時間の細かい違いは給与計算の話であり、自分が枠を管理するうえでは法定基準だけ見れば足ります。
深夜と休日はまた別枠
22時から翌5時までの深夜労働は、週40時間とは無関係に25%以上の割増が発生します。法定休日の労働は35%以上です。wワークで夜の時間帯に副業を入れる人は多いので、40時間の枠内でも深夜割増は別途つく点は覚えておく価値があります。逆に言えば、同じ時間働くなら深夜帯のほうが手取りは厚くなります。
最初にやること1:週の起算日を確定させる
ここからが本題です。週40時間を管理するには、まず「その週がいつ始まるか」を決めなければ話が始まりません。当たり前に聞こえますが、ここを曖昧にしたまま働いている人が圧倒的に多い。
定めがなければ日曜起算が原則
労働基準法上、1週間は就業規則などに別段の定めがない限り、日曜日から土曜日までを指すとされています。多くの職場は月曜起算で運用していますが、それは就業規則にそう書いてあるからです。まずは本業の就業規則を確認してください。「賃金計算期間」ではなく「1週間の起算日」あるいは「労働時間」の条文に書かれています。
確認先が分からない場合は、給与明細の勤怠欄を見るのが早い方法です。週の集計が入っている明細なら、どこで区切っているかが読み取れます。それでも分からなければ、人事や店長に「うちの週の起算日は日曜ですか、月曜ですか」と一言聞けば済みます。この質問は副業を疑われる類のものではないので、気負わず聞いて構いません。
本業と副業で起算日がズレると何が起きるか
厄介なのは、A社が月曜起算、B社が日曜起算というケースです。これが起きると、自分の記録上は40時間に収まっていても、どちらかの会社の集計基準では超えている、という事態が発生します。日曜に副業で6時間働いた場合、月曜起算のA社にとっては前の週、日曜起算のB社にとっては今週の労働時間になるからです。
対処法はシンプルで、自分の管理は「厳しいほう」に合わせます。両方の起算日でそれぞれ集計し、どちらの基準でも40時間を超えない範囲でシフトを組む。手間は増えますが、表計算ソフトで列を2つ作るだけなので、実際の作業時間は週に5分程度です。この5分を惜しんだために、後から数か月分の割増賃金の遡り精算が発生した例を何度も見てきました。
変形労働時間制の職場は要注意
1か月単位の変形労働時間制を採用している職場では、特定の週が40時間を超える設定になっていることがあります。月末が忙しい業種で多い仕組みです。この場合、その週の法定労働時間はシフト表で定められた時間になり、40時間という固定の数字では判断できません。
変形労働時間制の職場を本業にしている人は、月のシフトが確定した段階で「今月のどの週が何時間設定なのか」を書き出しておく必要があります。忙しい週に副業を詰めると一瞬で超えるので、逆に閑散週へ副業を寄せる設計にすると枠を作りやすくなります。この調整ができるかどうかで、月間の稼働可能時間はかなり変わります。
最初にやること2:労働時間を自分で記録する
起算日が決まったら、次は記録です。会社は自社分の労働時間しか記録していません。両方を合算した数字を持っているのは、世界中で本人だけです。ここを他人任せにできない以上、自分で記録するしかありません。
記録すべき5項目
記録の項目は多すぎると続きません。実務で回るのは次の5つです。
| 項目 | 記録内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日付 | 実際に働いた日 | 深夜またぎは開始日で記録 |
| 勤務先 | A社かB社か | 複数店舗なら店舗名まで |
| 開始・終了時刻 | 実労働の始終 | 着替えや朝礼を含むか要確認 |
| 休憩時間 | 実際に取れた時間 | 取れなかった日は正直に書く |
| 実労働時間 | 終了引く開始引く休憩 | 分単位で切り捨てない |
このうち一番ごまかされやすいのが休憩時間です。休憩を取ったことになっているが実際は取れていない、という日は珍しくありません。自分の記録には実態を書いてください。もし後から労働時間を巡って話し合いになったとき、実態に沿った記録があるかどうかで立場が変わります。
記録の粒度と保存方法
粒度は「日次で当日中に記入」が基本です。週末にまとめて思い出そうとすると、必ず精度が落ちます。私も駆け出しのころ、複数の現場を掛け持ちしていた時期にまとめ記入をやっていて、月末に「この日は何時上がりだったか」がどうしても思い出せず、給与明細の数字と自分のメモが噛み合わなくなったことがあります。そこで学んだのは、記録は正確さより即時性が大事だということです。多少雑でもその日のうちに書いたメモのほうが、後から整えた記録より信用できます。
保存方法は、スマートフォンの表計算アプリかメモアプリで十分です。凝ったツールを使う必要はありません。重要なのは、週の合計が自動で出ることと、いつでも見返せることの2点だけです。表計算なら合計欄を作っておき、シフトを出す前にそこを見る習慣をつけます。タイムカードの打刻画面をスクリーンショットで残しておくのも、証拠力という意味では有効です。
移動時間と待機時間の扱い
wワークで見落とされやすいのが、勤務先間の移動時間です。原則として、A社を退勤してB社へ向かう移動時間は労働時間に含まれません。通勤と同じ扱いです。ただし、A社の指示でB社の場所へ荷物を運ぶといった業務性がある場合は労働時間になります。判断に迷う場合は、指揮命令があったかどうかで考えると整理しやすくなります。
待機時間、いわゆる手待ち時間は労働時間です。客が来ないので裏で待っている、電話が鳴るまで待機している、といった時間は、自由に離れられない以上は労働時間として通算されます。「暇だったから働いていないようなもの」と自己判断で削ってしまうと、記録が実態からずれます。記録の目的は自分を守ることなので、少なめに書く動機はどこにもありません。
最初にやること3:残り枠から逆算してシフトを出す
起算日が決まり、記録の仕組みができたら、あとは逆算するだけです。順番を間違えないことが唯一のコツで、必ず本業の枠を先に固定します。
逆算の4ステップ
まず、本業の来週の勤務予定を確定させます。シフト制ならシフト表、固定勤務なら所定時間に加えて、想定される残業時間を上乗せします。ここで残業をゼロと見積もるのが最大の失敗要因です。過去1か月の実績平均を使い、繁忙期なら多めに見積もってください。
次に、40時間から本業の想定時間を引きます。本業が週32時間なら残りは8時間、週38時間なら残りは2時間です。この残りが副業に使える枠です。
3つ目に、その枠から安全マージンを引きます。実務的には2時間から3時間を引いておくと、突発的な本業の残業を吸収できます。残り8時間なら、副業のシフト希望は5時間から6時間に留める。ここでケチると後で調整が効きません。
最後に、確定した枠の中で副業のシフト希望を出します。1回の勤務を短くして日数を増やすより、勤務日数を絞って1日を長くするほうが、移動時間の無駄が減り、超過リスクも読みやすくなります。
本業の勤務形態別の副業可能枠
| 本業の週労働時間 | 40時間までの残り | 推奨する副業シフト上限 |
|---|---|---|
| 20時間(週3日パート) | 20時間 | 週15時間から17時間 |
| 30時間(時短勤務) | 10時間 | 週7時間から8時間 |
| 35時間 | 5時間 | 週3時間から4時間 |
| 40時間(フルタイム) | 0時間 | 割増前提での相談が必要 |
フルタイムの正社員が副業でアルバイトをする場合、法定の枠はすでにゼロです。この場合、副業先での労働は最初から時間外労働となり、副業先に25%以上の割増賃金の支払い義務が生じます。副業先がこれを嫌がって「両社合わせて週40時間以内」と条件を出しているケースが多い理由がここにあります。フルタイム勤務者が時間を増やしたいなら、雇用ではない働き方を検討したほうが現実的です。
割増賃金は「後から契約した側」が負担する
40時間を超えたとき、どちらの会社が割増賃金を払うのか。ここは誤解が多い部分です。
原則として、時間的に後から労働契約を締結した会社が、超過分の割増賃金を負担します。A社に先に入社し、あとからB社でアルバイトを始めたなら、通算して40時間を超える部分はB社の負担です。B社にとっては、自社の所定労働時間内であっても、通算すると法定労働時間を超えるため時間外労働として扱われます。
ただし、契約の前後だけで機械的に決まるわけではありません。所定労働時間を超える部分については、実際に法定労働時間を超えさせた側が負担します。たとえば通算で38時間の状態で、A社が急な残業を4時間入れて42時間になったなら、超過分2時間はA社の負担になります。契約の順番は所定労働時間の通算順を決めるもので、突発的な残業は発生させた側が持つ、という整理です。
具体的な計算例
時給1,200円の副業先で、通算して週44時間働いた場合を考えます。超過は4時間です。この4時間には25%の割増がつくので、時給は1,500円換算になります。差額は1時間あたり300円、4時間で1,200円です。
金額としては大きくないと感じるかもしれませんが、これを月4週続けると4,800円、年間では57,600円になります。副業先が支払っていなければ未払い賃金であり、遡って請求されると会社側の負担は無視できません。だからこそ副業先は時間を把握したがるし、把握できないなら最初から40時間以内という線を引くわけです。
簡便な労働時間管理モデルという選択肢
厚生労働省は副業・兼業の推進に関するガイドラインの中で、実労働時間を都度把握する原則的な方法に加えて「管理モデル」を示しています。あらかじめA社とB社それぞれの労働時間の上限枠を設定しておき、その枠内で働く限りは、他社の実労働時間を都度確認しなくてもよいとする仕組みです。
この方式が採られていれば、B社は自社の枠内で割増賃金を計算すればよく、A社の残業状況を毎週確認する必要がなくなります。労務管理の負担が下がるため、副業を受け入れる会社側にとって導入しやすい方法です。制度の詳細は厚生労働省の副業・兼業関連の資料で公開されています。
働く側にとっての意味は明確で、「枠が最初から決まっているので、その中で自由に組める」という点です。毎週の調整が不要になるので、精神的な負担がかなり軽くなります。副業先の面接や本業への申告のタイミングで、この管理モデルを採用しているか確認しておくと、その後の働き方の見通しが立ちます。
勤務先への伝え方:申告のタイミングと文面
管理の最後のピースが、勤務先とのコミュニケーションです。ここを避けて通ろうとすると、結局すべての管理が意味を失います。
本業への申告は「開始前」が原則
多くの企業の就業規則には、副業の届出制または許可制の規定があります。届出制なら申告するだけ、許可制なら承認が必要です。どちらにせよ、副業を始める前に手続きするのが原則です。始めてから発覚すると、内容の是非以前に「隠していた」という事実が問題になります。
申告書に書く内容は、一般的に副業先の名称、業務内容、契約形態、勤務日数と時間帯です。労働時間の通算が必要になるため、雇用契約かどうかは必ず聞かれます。ここで正確に伝えておくと、後の割増賃金の処理がスムーズになります。
申告の文面は、余計な説明を足さず事実だけを簡潔に書くのが最も通りやすい形です。たとえばこうなります。
「副業(兼業)許可申請書。副業先:株式会社〇〇(飲食店)。業務内容:ホール接客。契約形態:雇用契約(アルバイト)。勤務予定:週2日、1日4時間程度、土日の夕方。合計週8時間を上限とします。本業の勤務およびシフトを優先し、通算で週40時間を超えないよう自身で管理します。」
最後の一文が効きます。時間管理の意思を明示しておくと、労務担当者の懸念が一段下がるからです。逆に「時間は未定」「先方の都合による」と書くと、通算管理ができないと判断されて差し戻される可能性が上がります。
副業先には「本業の枠」を数字で伝える
副業先に対しては、本業の会社名まで伝える必要は基本的にありません。伝えるべきは「他社で雇用されていること」と「その週の労働時間」です。この2点がなければ、副業先は割増賃金の計算ができません。
面接時点で伝える内容は、他社で雇用契約があること、そちらの週の労働時間がおおよそ何時間であること、したがって自社では週何時間まで働けること、の3点です。この3点を最初に出しておくと、シフトの組み方がその前提で設計されるので、後から調整する手間がなくなります。
伝え方の例としてはこうなります。「他社で雇用契約があり、そちらで週30時間ほど勤務しています。通算の関係で、こちらでは週8時間程度までを想定しています。本業側の残業で変動する可能性があるため、週ごとに実績をお知らせできます。」
ここまで言うと採用されにくくなるのではないか、と心配する人がいます。実際には逆の反応が多いというのが現場の実感です。労務管理をきちんと理解している人だと受け取られるので、店舗側は安心します。あとから発覚するほうが、よほど信頼を損ないます。
週の途中で予定が変わったときの連絡
本業の残業でその週の枠が減った場合、副業先へは早ければ早いほど良いという単純な原則が働きます。連絡は事実と対応案をセットで出します。
「本業の都合で今週の労働時間が想定より3時間増える見込みです。通算40時間を超えないよう、土曜のシフトを4時間から2時間に短縮させていただけないでしょうか。難しい場合は、来週分で調整いたします。」
代案を添えるのがポイントです。「削ってほしい」だけだと相手は困りますが、来週での調整案が付いていれば店舗側も人員計画を立て直せます。この一手間を惜しまない人は、結果として長く働き続けられます。
逆に、どうしても超過が避けられない週が出た場合は、隠さず副業先に伝えてください。超過分は副業先が割増で計算する必要があり、それを知らせないことは相手の法令違反を誘発する行為になります。伝えたうえで超えるのは適法ですが、伝えずに超えるのは両方にとって不利益です。
40時間の枠が足りないときに検討する選択肢
ここまでの管理を丁寧にやっても、フルタイム勤務の人の枠はゼロに近い。この場合、雇用を積み増す方向では限界があります。
業務委託は労働時間が通算されない
前述の通り、業務委託契約で受ける仕事は労働基準法上の労働時間に含まれないため、週40時間の通算対象になりません。在宅でのライティング、データ入力、デザイン、翻訳、動画編集、プログラミングといった仕事は、業務委託で受注するのが一般的です。
この形態の利点は、時間の管理主体が自分になることです。シフトの提出も、勤務先との調整も不要で、納期だけを守ればいい。本業の繁忙期には受注を絞り、閑散期に増やすといった調整が自分の裁量でできます。wワークの時間管理で消耗している人にとって、この自由度の差はかなり大きい。
一方で注意点もあります。業務委託には残業代の概念がなく、最低賃金の保護もありません。作業時間あたりの報酬が低い案件を受けると、時給換算でアルバイトを下回ることは普通に起こります。単価の相場感を持ってから受注することが前提になります。参考として、ソフトウェア作成者の年収・単価相場や著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、職種別の報酬水準を統計ベースで確認できます。時給換算で自分の現在の水準を上回るかどうか、受注前に一度見ておくと判断を誤りません。
なお、本業の就業規則では、雇用か業務委託かを問わず副業を届出対象としている場合がほとんどです。「業務委託だから通算されない」ことと「申告不要」はまったく別の話なので、混同しないでください。
社会保険と雇用保険の論点
週の労働時間が増えると、社会保険の加入要件にも触れてきます。厚生年金保険と健康保険は、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であることが基本的な加入要件です。加えて、従業員数が一定規模以上の事業所では、週20時間以上かつ月額賃金88,000円以上といった短時間労働者の適用要件があります。
複数の勤務先でそれぞれ加入要件を満たした場合、「二以上事業所勤務届」を提出し、保険料を按分して負担する仕組みになります。手続きが必要になるので、副業先で加入要件に近づいてきたら早めに確認してください。制度の詳細は日本年金機構で公開されています。
雇用保険は原則として主たる賃金を受ける1社でのみ加入します。ただし65歳以上については、2つの事業所の労働時間を合算して週20時間以上になる場合に加入できる仕組みが設けられています。年齢によって扱いが変わる部分なので、該当する人は確認しておく価値があります。
資格を使って時間単価を上げる
そもそも週40時間の枠が足りないという悩みは、裏を返せば時間単価が低いということでもあります。同じ枠で得られる金額が増えれば、時間を増やす必要は下がります。
短期で効きやすいのは、事務系なら文書作成の正確さを証明できるビジネス文書検定、IT系ならネットワークの基礎を体系的に証明できるCCNA(シスコ技術者認定)といった資格です。どちらも実務との距離が近く、副業案件の応募時に書ける材料になります。資格そのものが単価を上げるというより、応募段階で選考に残る確率が変わる、という効き方をします。
管理を続けた人と続けられなかった人の差
20年この市場を見てきた立場から言えば、wワークを長く続けられる人と、半年で疲弊してやめる人の差は、稼働時間の長さではありません。管理の仕組みを持っているかどうかです。週の起算日を把握し、日々の実労働を記録し、枠から逆算してシフトを出す。この3つを回している人は、労働時間が同じでも消耗の度合いが明らかに小さい。逆に、毎週その場の成り行きでシフトを埋めている人は、超過の不安を常に抱えたまま働くことになり、そちらの精神的コストのほうが実は重い。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、時間を増やす方向で解決しようとする人ほど手詰まりになりやすい傾向があります。週40時間という上限は動かせないので、雇用を積み増す戦略にはどこかで必ず天井がきます。そこを越えられた人は、たいてい途中で「時間を売る」から「成果を納める」へ軸を移しています。中間マージンが乗らない直接取引の場では、同じ予算で依頼者はより多くを頼めて、受け手の手取りは厚くなる。手数料0%の取引が効いてくるのは、金額の派手さではなく、この手取りの質の部分です。時間あたりの手取りが上がれば、そもそも40時間の枠と格闘する必要が薄れていきます。
独自データから見た「時間を増やさない」働き方の広がり
在宅ワークの求人データを職種軸で見ると、時間拘束の弱い業務委託型の仕事が増えている領域と、そうでない領域がはっきり分かれています。具体的には、生成AIの導入支援や業務設計に関わる領域が近年伸びており、AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業側の内製化支援としてスポットで入る形の依頼が目立ちます。稼働は週単位ではなくプロジェクト単位で組まれるため、本業のシフトと衝突しにくい構造です。
同様に、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事の領域は、成果物や運用改善で評価されるため、時間の切り売りにならない案件が多い分野です。開発寄りであればアプリケーション開発のお仕事のように、要件と納期で契約する形が標準になります。いずれも共通するのは、労働時間の通算という概念そのものから外れた働き方だという点です。
もっとも、この方向に切り替えるには生活時間の設計が必要になります。決められたシフトがない分、自分で作業時間を確保しないと何も進まないからです。この点は、在宅で働く人の1日の組み立てを具体的に追った在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が参考になります。細切れの時間をどう束ねるかという実例が示されており、シフト制から移行する人がつまずくポイントがよく分かります。
作業効率の面では、時間を確保しても集中が続かないという問題が次に来ます。在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックでは、環境設計とタスク分割の観点から、在宅特有の集中の切れ方への対処法がまとめられています。wワークで疲労が蓄積している状態では特に効いてくる部分です。
案件の探し方そのものに不安がある場合は、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説に、募集の見分け方と避けるべき条件の判断軸が整理されています。前払いを要求してくる相手や、身元が確認できない発注者を最初の段階で外すだけでも、無駄な時間の損失はかなり減ります。
最後に整理すると、wワークで40時間以上働くことは違法ではありません。違法になるのは、割増賃金が支払われないまま超過すること、そして36協定の上限を超えることです。この2つを避けるために必要なのは法律の暗記ではなく、週の起算日を確定させ、労働時間を自分で記録し、残り枠から逆算してシフトを出すという3つの作業です。シフトを提出する前の10分間の作業が、その後の数か月分のトラブルを消します。そして、枠そのものが足りない段階まで来たなら、時間を積み増す発想から、時間あたりの手取りを厚くする発想へ切り替える時期に来ていると考えたほうが、現実的な打開策になります。
よくある質問
Q. wワークで週40時間以上働くのは違法ですか?
違法ではありません。労働基準法が禁じているのは、割増賃金を支払わずに法定労働時間を超えさせることと、36協定の上限を超える時間外労働です。両社に労働時間を正しく申告し、超過分に25%以上の割増賃金が支払われていれば適法です。ただし雇用契約同士の場合に限り労働時間は通算されます。
Q. 週40時間の起算日はどこで確認できますか?
まず本業の就業規則の労働時間に関する条文を確認してください。定めがなければ日曜日から土曜日までが1週間とされます。本業と副業で起算日が違う場合は、両方の基準で集計し、どちらでも40時間を超えない範囲でシフトを組むのが安全です。就業規則が見つからなければ人事や店長に直接聞いて構いません。
Q. 40時間を超えたとき割増賃金はどちらの会社が払いますか?
原則として、時間的に後から労働契約を結んだ会社が超過分を負担します。所定労働時間を通算して超える部分がこれにあたります。一方、突発的な残業で超えた場合は、その残業を発生させた側が負担します。契約の順番と、実際に超えさせた側という2つの基準で判断されます。
Q. 業務委託の副業も週40時間に通算されますか?
通算されません。労働時間の通算は雇用契約を結んでいる場合に限られ、業務委託や請負は労働基準法上の労働時間に該当しないためです。ただし契約書の名称ではなく実態で判断されるため、勤務時間や場所が指定され具体的な指揮命令がある場合は雇用と扱われる可能性があります。また通算されなくても本業への副業申告は別途必要です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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