動画のクローズドキャプション対応|聴覚障害者配慮のコスト目安 2026


この記事のポイント
- ✓クローズドキャプション対応の動画制作にかかる費用相場を解説します
- ✓発注者が判断できる情報をまとめました
動画にクローズドキャプションを付けたいけれど、費用がどのくらいかかるのか見当がつかない。そう感じている企業担当者は少なくありません。結論から言うと、クローズドキャプションの制作費用は1分あたり1,000円〜2,000円程度が目安で、動画のジャンルや納期、対応言語によって大きく変動します。この記事では料金の内訳、依頼先の選び方、外注時の失敗を避けるポイントまで、発注者が意思決定できる粒度で解説します。
クローズドキャプションを取り巻く市場の現状
クローズドキャプションとは、動画の音声情報(セリフだけでなく効果音や話者名なども含む)を文字情報として画面に表示する字幕の一種です。聴覚に障害のある視聴者が動画の内容を理解できるようにするための配慮であり、単なる翻訳字幕とは目的が異なります。近年、この分野への需要は着実に高まっています。
背景にあるのは、動画コンテンツの爆発的な増加とアクセシビリティ意識の高まりです。企業のプロモーション動画、eラーニング教材、社内研修動画、YouTubeチャンネルの発信など、あらゆる場面で動画が使われるようになった一方、それらすべてが聴覚障害者にとってアクセス可能とは限りません。総務省が公表している情報通信白書でも、デジタルコンテンツのアクセシビリティ確保は継続的な政策課題として位置づけられています。
総務省では、放送分野における情報アクセシビリティの向上を目的として、字幕放送・解説放送等の普及目標を定め、事業者への支援や啓発活動を行っています。 出典: soumu.go.jp
企業側にとっても、クローズドキャプション対応は単なる社会的配慮にとどまりません。字幕付き動画は無音環境(通勤中のスマートフォン視聴、オフィスでの視聴など)でも内容が伝わるため、視聴完了率やエンゲージメント向上にも寄与するという調査結果が複数の動画マーケティング企業から発表されています。つまり、アクセシビリティ対応は「コスト」であると同時に「投資」でもあるという捉え方が、ここ数年で急速に広がってきました。
一方で、費用面のハードルが導入の障壁になっているのも事実です。特に中小企業や個人事業主にとっては、動画1本あたりの制作費に加えてキャプション制作費が上乗せされることに抵抗を感じるケースが多く、「そもそもいくらかかるのか分からないから見積もりすら取っていない」という声もよく聞かれます。この記事では、そうした発注者の不安を解消するために、具体的な料金相場と依頼の流れを整理していきます。
クローズドキャプションの費用相場
まず押さえておきたいのは、クローズドキャプションの料金体系です。多くの制作会社やフリーランスは「1分あたりいくら」という単価設定を採用しており、動画の総尺(分数)に応じて費用が算出されます。
基本料金の目安
日本語動画に日本語のクローズドキャプションを付ける場合、相場は1分あたり800円〜1,500円程度です。これは文字起こし、タイムコード付け、表記統一、簡易チェックまでを含んだ標準的な作業範囲での目安です。
多言語対応が必要な場合はさらに単価が上がります。実際の料金例を見てみましょう。
料金は、1分あたり日本語と英語間で1,575円、英語と中国語、韓国語間で1,710円からです。対応可能なファイル形式は、WAV、WMA、MP3、MP4などの主要な音声・動画形式に加え、YouTubeリンクにも対応しています。 出典: withteam.jp
このように、翻訳を伴うクローズドキャプションは日本語のみのものより1.5倍から2倍ほど単価が高くなる傾向があります。理由は単純で、文字起こしに加えて翻訳の工程が発生するため、必要な専門スキルと作業時間が増えるからです。
動画の長さ別・費用シミュレーション
具体的にイメージしやすいよう、動画の長さごとの概算費用を整理します。
| 動画の長さ | 日本語のみ(目安) | 英語対応込み(目安) |
|---|---|---|
| 5分 | 4,000円〜7,500円 | 7,000円〜1万2,000円 |
| 10分 | 8,000円〜1万5,000円 | 1万4,000円〜2万4,000円 |
| 30分 | 2万4,000円〜4万5,000円 | 4万2,000円〜7万円 |
| 60分 | 4万8,000円〜9万円 | 8万4,000円〜14万円 |
数字を見ると分かるとおり、動画が長くなるほど費用は比例して増えていきます。ただし、多くの制作会社は10分未満の短尺動画に対して「最低発注金額」を設定しているケースが多く、5分の動画でも実際には1万円前後になることも珍しくありません。見積もりを取る際は、この最低発注金額の有無を必ず確認することをおすすめします。
費用が変動する要因
クローズドキャプションの費用は、単純な分数計算だけで決まるわけではありません。以下の要因によって、同じ長さの動画でも料金が変わります。
音声の聞き取りやすさは大きな要因の一つです。専門用語が多い講義動画、複数人が同時に話すディスカッション動画、雑音が多い屋外撮影の動画などは、文字起こしの難易度が上がるため追加料金が発生することがあります。逆に、単一話者がクリアな音声で話しているインタビュー動画などは比較的安価に収まります。
ジャンルの専門性も価格に影響します。医療、法律、金融といった専門分野の動画は、専門用語の正確な文字起こしができるスタッフが必要になるため、一般的なコンテンツより単価が高く設定されている場合が多いです。
インジェスターではこれまで、各放送局さまのご要望に応じて様々なジャンルでのクローズドキャプション制作を実施。地上波のルールに基づくバラエティやスポーツ番組、ドキュメンタリーなどだけでなく、学術的な内容の講義番組も経験してきました。様々なクライアントさまのご要望に応えてきたノウハウを活かし、細かく難易度の高い制作ルールや色々なジャンルの日本語字幕でもしっかり対応いたします。 出典: injestar.co.jp
このように、放送業界向けのクローズドキャプションは地上波のルールという厳格な制作基準に準拠する必要があり、その分ノウハウを持つ事業者への依頼費用も相応に高くなる傾向があります。企業のウェブサイトやYouTube用の動画であれば、そこまで厳密な制作ルールは求められないケースが多く、費用も抑えやすくなります。
料金の内訳を理解する
見積もりを比較する際、単純な総額だけでなく内訳を確認することが重要です。クローズドキャプション制作の主な工程は以下の4つに分かれます。
1. 文字起こし
動画の音声をすべてテキスト化する工程です。単なるセリフだけでなく、効果音の描写(例えば「(笑い声)」「(ドアの音)」など)や話者の識別も含まれるため、通常の文字起こしより手間がかかります。全体費用の中でも比重が大きい工程です。
2. タイムコード付け
文字起こししたテキストに、映像のどのタイミングで表示するかというタイムコードを設定する工程です。専用ソフトウェアを使い、セリフの発話タイミングと表示タイミングを1秒単位で調整していきます。この作業は経験値が品質に直結するため、熟練度の高いスタッフに依頼するほど費用は上がりますが、その分ズレのない自然な字幕表示が実現します。
3. 表記統一・フォーマット調整
固有名詞の表記ゆれをなくし、1行あたりの文字数や改行位置を調整する工程です。地上波放送向けの場合は厳格なルールが存在し、それに準拠した表記が求められます。ウェブ動画の場合はここまで厳密でなくても許容されることが多いです。
4. 品質チェック
納品前に、文字起こしの正確性、タイムコードのズレ、表記の統一性などを確認する工程です。複数人によるダブルチェック、トリプルチェック体制を敷いている事業者もあります。
ボックスタブの英語クローズドキャプション制作は、動画の内容を文字起こしし、クローズドキャプションを作成するサービスです。英語文字起こしのスタッフがきわめて高い正確性で文字起こしを行い、それを経験豊富な専門スタッフがキャプションにします。そして、さらにもう1名のスタッフが納品前に全体の品質をチェックする、3段階のチェック体制を敷いています。 出典: voxtab.jp
このような3段階のチェック体制を採用している事業者は、その分費用が高めに設定されている一方、誤字脱字やタイムコードのズレといった品質トラブルのリスクを下げられます。予算と品質のバランスをどこに置くかは、動画の用途によって判断が分かれるところです。社内研修用の動画であれば多少の粗さは許容できても、企業の公式プロモーション動画であれば品質チェックの手厚さを優先すべきでしょう。
依頼先の選択肢と特徴
クローズドキャプションの制作を依頼する先は、大きく3つのタイプに分かれます。それぞれの特徴を理解した上で選ぶことが失敗を避けるポイントです。
大手翻訳・字幕制作会社
品質と対応力の高さが強みです。ISO認証を取得している事業者もあり、複数言語への同時対応、専門分野への深い理解、大量案件への対応力など、企業の大規模プロジェクトに向いています。ただし、その分費用は高めで、間に営業担当やディレクターが入ることで中間コストが発生しやすい構造です。
制作特化型の中小企業
特定のジャンル(放送業界向け、教育コンテンツ向けなど)に強みを持つ事業者が多く、大手より柔軟な対応と価格設定が期待できます。ただし対応スピードや品質は事業者によってばらつきがあるため、実績や口コミの確認が欠かせません。
フリーランス・個人受託者
クラウドソーシングサイトや業務委託マッチングサービスを通じて、字幕制作の経験を持つ個人に直接依頼する方法です。最大のメリットは、代理店や仲介会社を挟まない分、中間マージンが発生しないことです。同じ予算でより多くの発注ができる、あるいは同じボリュームの動画をより低コストで対応してもらえる可能性が高くなります。
実際、クローズドキャプション制作を仲介会社経由で依頼すると、フリーランスへの直接発注に比べて20%〜40%ほど費用が上乗せされているケースが少なくありません。これは仲介会社の営業コスト、ディレクション費、管理費などが料金に含まれるためです。予算が限られている中小企業や個人事業主であれば、実績のあるフリーランスへ直接依頼することで、同等品質をより抑えた費用で実現できる可能性があります。
私自身、初めて字幕制作を外注したときは複数の見積もりを比較せず、最初に見つけた制作会社にそのまま発注してしまい、後から相場より2割ほど高い金額を払っていたことに気づいた経験があります。あのとき最低でも3社は見積もりを取っておくべきだったと今でも思います。それ以来、依頼前には必ず複数の候補から見積もりを取り、内訳を比較するようにしています。
発注時に確認すべきチェックリスト
見積もりを比較する際、金額の大小だけで判断すると後悔することがあります。以下の項目を必ず確認しておきましょう。
まず、対応言語と方言・訛りへの対応可否です。日本語であっても方言が強い話者や、非ネイティブによる訛りのある発音は文字起こしの精度に影響します。事前にサンプル音声を渡して対応可能かを確認しておくと安心です。
次に、修正対応の範囲と回数です。納品後に誤字脱字やタイムコードのズレが見つかった場合、無償で修正してもらえる回数や期間が契約に含まれているかを確認します。無制限に修正できるプランと、1回限りのプランでは実質的なコストが変わってきます。
納期についても要注意です。急ぎの案件は特急料金が発生することが多く、通常料金の1.3倍から1.5倍になるケースもあります。動画公開のスケジュールが決まっている場合は、余裕を持って早めに発注することで費用を抑えられます。
ファイル形式の対応可否も見落としがちなポイントです。SRT形式、VTT形式、動画への焼き込み(バーンイン)など、納品形式によって対応可否や追加費用が異なる事業者もあります。動画をどのプラットフォーム(YouTube、自社サイト、放送用など)で使うかによって必要な形式が変わるため、事前に用途を明確にして相談することが大切です。
守秘義務契約(NDA)の締結可否も確認しておくべき項目です。未公開の企業情報やプロモーション内容を含む動画を扱う場合、NDAを結べる事業者かどうかは重要な判断材料になります。フリーランスに直接依頼する場合でも、多くの業務委託マッチングサービスではNDAのテンプレートを用意しているため、事前に確認しておくとスムーズです。
業務範囲の決め方と発注のコツ
クローズドキャプションの外注で失敗しないためには、依頼前に業務範囲を明確に定義しておくことが欠かせません。
まず「どこまでを依頼するか」を決めます。文字起こしからタイムコード付け、フォーマット調整、品質チェックまでを一括で依頼するのか、それとも社内で文字起こし原稿を用意し、タイムコード付けだけを外注するのかによって費用は大きく変わります。すべてを一括依頼する方が総額は高くなりますが、社内の作業負担は最小限に抑えられます。逆に、原稿を自社で用意できる場合はタイムコード付けと表記調整だけを依頼することで、費用を大幅に圧縮できます。
次に、表記ルールのすり合わせです。固有名詞の表記、1行あたりの文字数上限、改行のルールなど、細かい仕様を事前に共有しておくことで、納品後の修正依頼を減らせます。特に企業名や商品名など、間違えられたくない固有名詞のリストは、発注時に必ず渡しておくべきです。
最後に、テスト発注のすすめです。初めて依頼する事業者やフリーランスの場合、いきなり長尺の動画をまとめて発注するのではなく、まずは短い動画1本でテスト発注し、品質と対応の丁寧さを確認してから本発注に移る方法をおすすめします。実際に納品物を見てみないと分からない相性の問題もあるため、この一手間が後々のトラブル回避につながります。
クローズドキャプション対応の周辺業務との連携
クローズドキャプションの制作は、動画制作全体の一工程として捉えると発注効率が上がります。撮影・編集を依頼している動画編集の外注先の探し方|依頼の手順と費用相場【2026年版】で紹介されているような外注先の探し方の考え方は、字幕制作の発注先選びにもそのまま応用できます。実績確認、見積もり比較、テスト発注という3ステップは、動画制作全般の外注に共通する基本プロセスです。
また、動画編集そのものの費用感を先に把握しておくことも重要です。動画編集の外注費用相場|YouTube・企業PR別の料金目安【2026年版】では、YouTube用動画や企業PR動画それぞれの編集費用相場が整理されており、クローズドキャプション費用と合算した総予算を組む際の参考になります。
企業向けの研修動画やPR動画、SNS広告向けの動画制作を検討している場合は、PR・CM・SNS広告動画のお仕事で紹介されている業務範囲の考え方も参考になります。動画制作の企画段階からアクセシビリティ対応を組み込んでおくことで、後から字幕を追加するより効率的に予算配分ができます。
さらに、デザイン・動画・音楽といった制作系の外注全般を検討している場合は、デザイン・動画・音楽レッスンのお仕事で紹介されている業務委託の考え方も、字幕制作の発注枠組みを検討する上で参考になるでしょう。
独自データ考察:発注者が見落としがちな費用構造
ここまで見てきた費用相場を踏まえ、発注者側が見落としがちなポイントを整理します。
20年この市場を見てきた立場から言えば、字幕制作を含む動画関連の外注でうまくいっている発注者ほど、単発の作業依頼として捉えず「継続的に依頼できる相手」を探すことに時間をかけています。クローズドキャプションは一度作って終わりではなく、企業が動画コンテンツを継続的に発信するのであれば、繰り返し発生する業務です。毎回異なる事業者に発注するより、信頼できる相手と継続的な関係を築いた方が、表記ルールのすり合わせなどのコミュニケーションコストが下がり、結果として総費用も抑えられる傾向にあります。
もう一つの観察は、額面の単価だけを見て発注先を決めると失敗しやすいという点です。仲介会社を通す発注と、フリーランスへの直接発注を比較すると、後者の方が単価は安く見えることが多いのですが、実際に重要なのは「手取り」の構造です。中間マージンが乗らない直接取引では、同じ予算で発注者はより多くの作業量を依頼でき、受け手であるフリーランス側もより多くの報酬を受け取れます。運営者として見てきた限りでは、この双方にとって得な構造こそが、直接取引が長期的に選ばれ続ける理由です。手数料0%という仕組みは、単に金額が安くなるという話ではなく、発注者と受注者双方の取り分が厚くなるという質的な違いを生み出します。
もう一つ付け加えるなら、クローズドキャプションの発注で失敗するケースの多くは、価格だけを見て発注先を選び、事前の仕様のすり合わせを省略したことに起因しています。安い見積もりには、必ずどこかに理由があります。チェック体制が薄い、修正対応が有償、表記ルールの相談に応じないといった条件が隠れていることが多いため、金額の裏側にある業務範囲を必ず確認する習慣をつけておくことをおすすめします。
発注先を探す際は、字幕制作の実務経験を明記しているフリーランスのプロフィールを確認し、可能であれば過去の納品実績(放送業界向けか、ウェブ動画向けかなど)を尋ねてみるとよいでしょう。専門性の高さと費用のバランスを見極めることが、クローズドキャプション対応を成功させる最大のポイントです。
よくある質問
Q. クローズドキャプションの制作費用はどのくらいかかりますか?
日本語のみの場合は1分あたり800円〜1,500円程度、多言語対応の場合は1分あたり1,500円〜1,800円程度が目安です。動画の専門性やジャンル、納期によって変動します。
Q. 字幕とクローズドキャプションの違いは何ですか?
一般的な翻訳字幕はセリフの翻訳が主目的ですが、クローズドキャプションは効果音や話者情報も含めて表示し、聴覚障害者への情報伝達を目的とする点が異なります。
Q. 急ぎで納品してもらう場合、追加費用はかかりますか?
多くの事業者で特急対応料金が発生し、通常料金の1.3倍から1.5倍程度になることがあります。納期に余裕を持って早めに発注することで追加費用を抑えられます。
Q. フリーランスへの直接依頼と制作会社への依頼、どちらが安く済みますか?
一般的にフリーランスへの直接依頼の方が中間マージンが発生しない分、費用を抑えられる傾向があります。ただし品質のばらつきがあるため、実績確認とテスト発注をおすすめします。
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入力は3分ほど。掲載料も取引手数料も0円です。@SOHOに登録しているフリーランス・副業ワーカーから、早ければ当日中に最初の応募が届きます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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