【収入の目安】写真レタッチの在宅は1日3時間でいくら稼げるか


この記事のポイント
- ✓うつ・適応障害を経験した方に向けて
- ✓在宅の写真の加工・レタッチという働き方を実務ベースで解説
- ✓AI普及後の需要の変化
結論から書きます。在宅の写真の加工・レタッチは、体調に波がある時期の働き方として、条件がかなり良い部類に入ります。
理由は3つです。作業が1枚単位で完結すること、納期が「今日中」ではなく数日単位で設定されることが多いこと、そして対人のやり取りが指示書のテキストでほぼ完結すること。この3つが揃っている在宅職種は、実はそれほど多くありません。
ただし、無条件におすすめできる仕事かというと、そこは違います。単純な切り抜き作業の単価は下がり続けており、AI画像処理ツールの普及がその流れを加速させています。この現実を無視して「初心者でも簡単に始められる」と書くのは、正直なところ、どうかと思います。
この記事では、レタッチという仕事の中身、案件の種類別の単価相場、AI普及後に何が起きているか、必要なスキルと資格、そして体調に合わせた一日の進め方を整理します。症状や治療の判断は医療の領域なので触れません。あくまで働き方と市場の話です。
レタッチの仕事は、大きく3つのタイプに分かれる
まず、仕事の中身を分解します。「レタッチ」という言葉は範囲が広く、案件によって求められる技術がまったく違うからです。
EC商品画像の加工
最も案件数が多いのがこのタイプです。ネットショップに掲載する商品写真を、掲載できる状態に整える作業を指します。
具体的には、背景の切り抜き(白背景への差し替え)、色味の補正(実物の色に近づける)、サイズと縦横比の統一、影の追加や除去、傷やホコリの除去などです。
技術的な難度は高くありません。手順が決まっており、複数枚を同じ設定で処理するバッチ作業に向いています。その代わり単価は低く、量をこなす仕事になります。
人物レタッチ
ポートレート、広告写真、ウェディング写真などで、被写体を美しく仕上げる作業です。肌の質感の調整、髪の毛の処理、明暗のバランス、色調の統一といった処理を行います。
こちらは技術と美的判断の両方が求められます。1枚に30分から数時間かけることも珍しくありません。単価は高い一方、参入には相応の経験が必要です。
実際の募集を見ると、この領域の要求水準がよく分かります。
プロのレタッチャーとして、撮影済み画像データの修正・加工業務に携わっていただきます。Photoshop、Illustrator等の画像編集ソフトの使用経験が必須で、レタッチャーとしての実務経験3年以上の方を募集しております。テレワーク・在宅勤務が可能です。完全成果報酬制で、依頼する業務量に応じて5,000円からとなります。勤務時間については指定がありません。待遇・福利厚生、加入保険、受動喫煙防止措置事項、試用期間、契約期間については、求人票に記載がない場合... 出典: 求人ボックス
注目すべきは「勤務時間については指定がありません」という一文です。完全成果報酬で、いつ作業するかは自由。この条件は、体調に波がある時期には大きな意味を持ちます。一方で「実務経験3年以上」という条件も同時に書かれている。この2つがセットになっているのが、この職種の実態です。
用途特化の加工
不動産の物件写真(明るさの補正、電線や生活感の除去)、料理写真(色味とツヤの調整)、商品カタログ用の合成など、業界ごとに特化した加工です。
このタイプは単価が中間くらいで、しかも継続案件になりやすいという特徴があります。同じ不動産会社から毎月100枚、といった形です。個人的には、体調の波と付き合いながら働くなら、この領域がいちばんバランスがいいと考えています。
市場の現状を、AIの影響も含めてフェアに見る
ここは正直に書きます。楽観的な話だけを並べても意味がないからです。
需要そのものは増えている
背景にあるのはEC市場の拡大です。物販分野のBtoC電子商取引の市場規模は14兆円を超える水準まで成長し、オンラインで物を売る事業者の数も増え続けています。市場統計や事業者向けの情報は各省庁が公開しています(総務省)。
商品を売るには画像が要ります。しかも1商品あたり複数枚。SNS用、広告用、商品ページ用でサイズも仕様も違う。必要な画像の枚数は、商品数の増加以上のペースで増えています。
さらに、動画コンテンツとSNS運用の広がりが加わります。実際の募集にも、レタッチとSNS運用を組み合わせた形が出てきています。
【仕事内容】週4日在宅あり 時短!17時半まで!Webサイト制作など! 【経験・資格】Webデザイン(HTML言語での制作)の経験が必要です。 ECサイト運営&画像レタッチ業務... 出典: 求人ボックス
「週4日在宅あり」「時短」という条件が普通に並ぶようになったのは、この数年の変化です。
一方で、単純作業の単価は下がっている
需要が増えているのに単価が下がる。この矛盾した現象が、いま起きていることです。
原因は明確で、AI画像処理ツールの普及です。背景の切り抜きは、かつてはPhotoshopで丁寧にパスを切る作業でした。今は自動処理でおおむね済みます。明るさや色味の一括補正も同様です。
その結果、EC商品画像の単純な切り抜きの単価は、数年前の水準から下がりました。この流れが反転する見込みは、正直なところ、薄いと考えています。
では、どこに仕事が残るのか
残るのは、次の3つの領域です。
1つめは、AIが苦手な処理。髪の毛の輪郭、透明感のある素材(ガラス、水、レース)、複雑に重なった被写体。ここは自動処理が破綻しやすく、人の手が必要です。
2つめは、判断が要る処理。「ブランドのトーンに合わせる」「この商品はこの色味で見せたい」という基準は、指示書に書ききれません。前後の文脈を理解して調整する作業は、人にしかできません。
3つめは、量と品質の管理。500枚を同じ品質で、期限内に、抜けなく仕上げる。これは技術というより運用能力の問題です。AIツールを使いこなして効率を上げつつ、最終チェックを人が担う形が、現在の実務の主流になりつつあります。
つまり、AIを敵視するのではなく、AIを使う側に回る。これが2026年時点での現実的な立ち位置です。
単価相場を、案件タイプ別に数字で示す
数字をはっきり書きます。
EC商品画像の加工
背景の切り抜きのみなら、1点50円から200円。色補正やサイズ統一まで含むと1点150円から500円が目安です。
慣れれば1時間に15点から30点を処理できます。単価150円で1時間20点なら、時間あたり3,000円相当。ただし、これは作業が定型化された後の数字です。最初の数か月は、この3分の1程度と見ておくのが現実的です。
用途特化の加工
不動産の物件写真なら1点300円から1,000円。料理写真も同程度のレンジです。月100点の継続案件を単価500円で受ければ、月5万円という計算になります。
人物レタッチ
1点1,000円から5,000円。広告用の高精度な仕上げになると、1点1万円を超えることもあります。ただし、この領域は実務経験を条件にする案件がほとんどで、未経験からの参入は難しいのが実情です。
時給制の場合
制作会社や広告代理店の在宅スタッフとして時給で働く形もあります。相場は1,200円から1,800円。デザイン業務を兼ねる場合は2,000円を超える案件も見られます。
手取りの構造を確認しておく
ここは冷静に見るべき部分です。
クラウドソーシングサイトを経由すると、システム利用料として16.5%から20%が差し引かれます。年間100万円受注する人なら、16万5,000円から20万円が消える計算です。単価150円の切り抜き案件で言えば、1,100点から1,300点分の作業が手数料に消えるということ。これはかなり重い。
これに対して、仲介手数料を取らずに依頼者と受け手が直接契約する在宅ワーク仲介サービスもあります。手数料0%の構造では、同じ作業量で手取りが厚くなります。個人的には、まずどこかで実績を作り、継続案件は手数料のかからない経路に移すのが最も合理的だと考えています。作業量を増やすより先に、経路を見直すほうが負担は軽い。
なお、業務委託で受ける場合は事業所得として確定申告が必要です。控除や経費の考え方は国税庁の情報が正確です(国税庁)。ソフトの利用料やPCの購入費は経費に計上できるので、記録は最初から残しておくべきです。
体調の波との相性を、作業の性質から検証する
作業が1枚単位で完結する
これが最大の利点です。1枚仕上げれば、そこで区切れます。10枚やって止めても、翌日に前の文脈を思い出す必要がありません。
長い文章を書く仕事や、企画を組み立てる仕事だと、中断すると思考の続きを取り戻すのに時間がかかります。レタッチにはそれがほとんどない。この「再開コストの低さ」は、集中の持続に不安がある時期には決定的に重要です。
納期に幅があることが多い
「200点を2週間で」という形の依頼が一般的です。この2週間の中で、いつ作業するかは自由。調子のいい日にまとめて進め、悪い日は休むという配分ができます。
先の求人にあった「勤務時間については指定がありません」という条件は、この職種では珍しくありません。
対人のやり取りが少ない
やり取りは指示書の受け取りと納品、そして修正依頼への対応が中心です。多くはメールやチャットで完結します。オンラインの打ち合わせがあっても、案件の開始時だけというケースが大半です。
成果が目に見える
仕上げた画像は、そこに残ります。今日30点仕上げた、という事実は消えません。しかも、加工前と加工後を並べれば、自分がやったことがはっきり見えます。
自己評価が揺れやすい時期に、成果が可視化される仕事の価値は小さくありません。
デメリットも明確に書く
フェアに整理します。
第一に、目と姿勢への負担です。画面を凝視する作業なので、目の疲れと肩や首のこりは避けられません。50分作業して10分休むといった区切りを最初から組み込むべきです。
第二に、修正依頼の存在です。「イメージと違う」という理由で差し戻されることがあります。指示が曖昧なまま進めると、この確率が上がります。
第三に、初期投資です。ソフトの利用料と、それなりのスペックのPCが必要になります。この点は後で詳しく扱います。
第四に、単価下落の圧力です。前述の通り、単純作業の領域は競争が激しくなっています。
一日の進め方と、体調に合わせた受注量の決め方
標準的な一日の流れ
作業開始前に、まず指示書を読み返します。5分から10分。この時間は、作業のエンジンを緩やかにかける役割も果たします。
次に、素材の確認。ファイル数、解像度、破損の有無をチェックします。ここで不備を見つけたら、作業を始める前に依頼側へ連絡します。作業後に発覚すると、やり直しになるからです。
続いて、最初の1枚を丁寧に仕上げます。この1枚が基準になります。可能なら、この1枚を先に依頼側に送って確認を取る。200点仕上げてから「イメージが違う」と言われる事態を防げます。
基準が固まったら、量産に入ります。同じ処理を繰り返す作業なので、アクション(処理の自動記録)やバッチ処理を使って効率化します。
作業の区切りごとに、仕上がりを一覧表示で確認します。1枚ずつ見ていると気づかない色味のばらつきが、並べると見えます。
最後に納品。ファイル名の規則、フォルダ構成、書き出し形式を指示通りに揃えます。ここを雑にすると、技術以前の評価を落とします。
受注量は「悪い週」を基準に決める
これがいちばん重要な原則です。調子のいい日の処理量を基準に受注すると、必ずどこかで破綻します。
決め方の順序はこうです。まず、調子が良くない週でも確実に稼働できる時間を見積もる。次に、自分の処理速度を実測する。この2つを掛けた数字から、さらに20%を引く。これが受注量の上限です。
たとえば、悪い週でも週10時間は稼働できるとします。処理速度が1時間15点なら、週150点。ここから20%を引いて120点が上限です。
余白を引くのは無駄ではありません。素材の不備、想定より難しい画像、修正依頼。想定外は必ず起こります。
納期の相談は「条件の提示」で行う
依頼側に伝えるのは、診断名ではなく作業条件です。「200点であれば14日いただければ確実に納品できます。7日ご希望でしたら100点までとさせてください」。
断るのではなく、条件を提示する。この形なら依頼側は選べる状態になるので、話がこじれません。
記録を取る
稼働時間、処理枚数、その日の負担感の自己評価。この3つを毎日記録します。1分で終わります。
処理速度の実測値が溜まると、受注量の見積もり精度が上がります。同時に、負担が重くなってきたことを数字が教えてくれます。在宅では誰も変化に気づかないので、記録が代わりを果たします。
作業の区切り方については、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで紹介されている時間管理の方法が、目の負担が大きいレタッチ作業と相性がいいと思います。1日の時間割の作り方としては在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開も、限られた稼働時間に作業を配置する考え方の参考になります。
必要なスキル、ソフト、資格
ソフトの選択肢
業界標準はPhotoshopです。案件の指示書もPhotoshopの機能名で書かれていることが多く、これを避けるのは実務上ほぼ不可能です。サブスクリプションの費用は月1,000円台からで、写真関連のプランならLightroomも含まれます。
無料の選択肢としては、GIMPやブラウザで動くPhotopeaがあります。学習の入口としては十分に使えますが、案件で「PSD形式のレイヤー付きで納品」と指定されると対応が難しくなる場面があります。最初は無料ツールで練習し、受注を始める段階でPhotoshopに移行する、という順序が現実的です。
PCのスペック
画像処理は負荷の高い作業です。メモリは16GB以上が実質的な下限で、高解像度の素材を扱うなら32GBあると安心です。ストレージはSSD。
ディスプレイの色の正確さも重要です。色補正の案件では、自分の画面と依頼側の画面で色が違うと修正が発生します。キャリブレーション(色の校正)ができる環境が理想ですが、最初から揃える必要はありません。
資格は必須ではないが、判断材料にはなる
レタッチに必須の資格はありません。実績と作品集(ポートフォリオ)のほうが、はるかに評価されます。
ただし、未経験から始める場合、学習の到達度を客観的に示す手段としては使えます。Photoshopの操作能力を測る民間資格や、色の知識を測る色彩関連の検定などが代表的です。
もうひとつ、意外に効くのが文書作成の力です。レタッチの仕事では、指示書を正確に読み取り、確認事項を簡潔に質問し、納品時に作業内容を報告する場面が必ずあります。ビジネス文書検定で学べる簡潔で誤解を生まない書き方は、そのまま実務で使えます。正直なところ、技術より先にここでつまずく人のほうが多いというのが実感です。
実務で気づいたこと
編集の仕事で外部のレタッチャーに依頼する側に回ったことがあります。そのとき痛感したのは、依頼側の指示がいかに曖昧かということでした。
「もう少し明るく」「自然な感じで」。こんな指示を平気で出していました。受け手からすれば、判断のしようがありません。
そのとき、返信が的確な方がいました。「明るさについて、A案とB案を作りました。どちらが近いですか」と、2パターンを添えて返してきた。この1往復で認識が揃い、以降の修正がほぼゼロになりました。
私自身、記事の校正依頼で似た失敗をしています。曖昧な指示を出して、想定と違うものが返ってきて、結局やり直しになった。この経験から学んだのは、曖昧さを放置するコストは、確認する手間よりはるかに大きいということです。受ける側から確認を投げるのは、遠慮ではなく実務能力です。
副業として始めるか、転職を目指すか
副業から入るのが基本形
体調に波がある時期は、副業として小さく始めるのが現実的です。単発の案件を受け、処理速度と品質を実測し、そこから受注量を組み立てる。
副業の場合、収入によっては確定申告が必要になります。給与所得がある方は、副業分の所得が年20万円を超えるかどうかが一つの目安になります。判断に迷う場合は国税庁の情報を確認してください。
転職を視野に入れる場合
制作会社や広告代理店、EC事業者のインハウス(社内)デザイナーという道もあります。在宅勤務やハイブリッド勤務の求人が増えており、選択肢は広がっています。
Webデザイナー・フォトレタッチャー募集。Webページ制作、広告デザイン、フォトレタッチ、コンサルタント、カメラマン業務など、あなたのスキルを活かせる仕事です。Illustrator・Photoshop経験者歓迎。未経験者からWeb関連業界経験者まで幅広く歓迎します。週休2日制、夏季・年末年始休暇あり。交通費支給、独身寮あり、テレワーク・在宅OK、服装自由など、充実した待遇をご用意しています。 出典: 求人ボックス
「未経験者から歓迎」と書かれた求人が存在するのは事実です。ただし、こうした募集では入社後の研修と、それに耐えられる稼働が前提になります。体調の波が大きい時期に、いきなりここを目指す必要はありません。
障害者手帳をお持ちの場合は、障害者雇用枠での在宅求人も選択肢に入ります。短時間勤務や通院への配慮が制度として組み込まれている点が利点です。就労に関する公的な支援制度の全体像は厚生労働省が案内しています(厚生労働省)。
案件の探し方と、避けるべき募集
主な入口は、在宅ワーク求人サイト、クラウドソーシングサイト、制作会社の直接募集、そして求人検索サイトです。
避けるべき募集の特徴は明確です。登録料や教材費を先に請求するもの。作業内容が「画像の簡単な編集」としか書かれていないもの。報酬が相場から極端に外れているもの。そして、単価も納期も曖昧なまま「まずは無料でテストを」と大量の作業を求めるもの。
最後のパターンは、実際に相談が多いケースです。テスト作業は1点から3点程度が常識的な範囲で、20点や30点を無償で求めるのは、テストではなく無償労働です。
在宅の仕事全体を見渡して比較したい場合は、在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングがスキル別に整理されていて把握しやすいと思います。レタッチは初期投資が必要な部類なので、他の選択肢と並べて検討する価値があります。
差し戻しを減らす、納品時の作法
レタッチの仕事で消耗の原因になるのは、作業そのものより差し戻しです。しかも差し戻しの多くは、画像の出来ではなく渡し方が原因で起きます。ここを整えるだけで、1件あたりの往復回数が目に見えて減ります。
ファイル名は指示どおりに、1文字も変えない
EC案件では、ファイル名が商品管理番号と紐づいていることがほとんどです。連番の桁数、区切り記号、拡張子の大文字と小文字。ここを1つ変えると、発注者側の取り込み処理でエラーになり、全件が戻ってきます。指示がない場合は、支給された元ファイルの命名規則をそのまま踏襲し、加工後の接尾辞だけを付けるのが安全です。
書き出し設定を案件ごとに固定する
カラープロファイル、解像度、圧縮率、背景の色。この4つは案件ごとに違います。毎回手で設定すると、必ずどこかで取り違えます。案件を受けた時点で書き出し設定を保存し、以後はそれを呼び出すだけにします。作業前の5分が、後の数時間を守ります。
元データを残す形で作る
切り抜きや色調整を直接ピクセルに焼き込んでしまうと、修正指示が来たときにやり直しになります。マスクと調整レイヤーで組んでおけば、修正は数分で終わります。納品はJPEGやPNGでも、手元には編集可能な状態を残す。これは体調に波がある人にとって特に重要です。修正依頼が来た日が不調な日でも、数分で返せる形にしてあれば乗り切れます。
見え方の議論を、比較の議論に変える
自分の画面の明るさと、発注者の画面の明るさは違います。明るさや色味の評価で食い違ったときは、支給された元画像と並べた比較用の1枚を添えて「元画像比で明るさを一段上げています」と書き添える。感覚のやり取りが、確認できる事実のやり取りに変わります。
調子が落ちた週に備えて、先に用意しておくもの
不調は必ず来ます。来てから対応しようとすると、対応そのものが負担になります。調子の良い日に、次の不調に備えた仕込みをしておくのが実務的です。
定型作業を再生できる形にしておく
よく使う切り抜きの手順、色調整の初期値、書き出しの一式は、記録して呼び出せる形にしておきます。頭が働かない日でも、手順を思い出さずに手が動く状態を作っておくことが目的です。これは効率化の話というより、1日に下す判断の回数を減らす話です。
連絡文をあらかじめ書いておく
「今週は体調の都合で新規のお受けが難しく、◯日以降でしたらお受けできます」という文面を、調子の良い日に書いて保存しておきます。不調な日に文面を考えると、それだけで半日使います。用意してあれば、貼り付けて送るだけで済みます。
数字で記録を取る
月ごとの納品枚数と入金額を、1枚の表に記録し続けます。3か月分たまると、自分にとっての「悪い月」の水準が数字で見えます。この数字があると、受注量の判断を気分ではなく実績で決められます。逆に記録がないと、調子の良い日に受けすぎて不調の週に破綻する、という循環から抜けられません。
体調と制度のことは、必ず窓口と主治医に確認する
この記事は、働き方の設計について書いていますが、制度の細部を断定しません。治療を続けながら働けるかどうか、どの程度の稼働が妥当かは、主治医の判断によって変わります。傷病手当金や障害年金を受けながら在宅の仕事を始めた場合の扱いも、加入している健康保険の窓口、年金事務所や日本年金機構の窓口で個別に確認する必要があります。就労の支援制度についても、お住まいの自治体やハローワークの窓口で、自分の状況を伝えたうえで確認してください。始める前に確認を済ませておくことが、後から不安なく続けられる条件になります。
市場を長く見てきた立場からの観察
ここからは、フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場からの観察を記します。
運営者として見てきた限りでは、画像制作の領域で長く続いている方には共通点があります。技術が突出している人ではなく、依頼側の手間を減らす人です。
具体的には、素材の不備を作業前にまとめて指摘する、指示が曖昧な箇所を最初に確認する、納品時にファイル構成を揃えて渡す。こうした動きをする人には、翌月も、その翌月も依頼が届きます。
理由ははっきりしていて、依頼側の確認作業が減るからです。「この人に任せると自分が楽になる」という状態を作った人が、結果的にいちばん安定して働いています。単価交渉よりも、この関係のほうが確実に手取りを押し上げるというのが、現場を見てきた実感です。
もうひとつ、額面と手取りの話をします。中間マージンが厚い経路では、依頼者が支払う額と受け手に届く額の差が大きくなります。中間が乗らない直接取引なら、依頼者は同じ予算でより多くを頼めますし、受け手は同じ作業量で手取りが厚くなる。手数料0%の意味は、金額の派手さではなく、この「双方が損をしない」構造の質にあります。20年この市場を見てきて、長く続いている関係はほぼ例外なくこの形をしていました。
職種データから見る、レタッチの位置づけと広げ方
在宅職種を横断して見ると、レタッチの特徴が整理できます。学習コストは中程度、初期投資はやや必要、需要は安定だが単純作業の単価は下落傾向。この3つです。
単価下落への対処は、隣接領域への展開です。
まず、AIツールを使う側に回る道があります。画像生成や自動補正のツールを業務に組み込む支援は、この数年で職種として立ち上がりました。AIコンサル・業務活用支援のお仕事には、こうした業務改善の案件が含まれます。手作業の限界と自動処理の癖を両方知っている人は、この領域で強い。
集客の側に広げる道もあります。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事には、広告運用やSNS運用といった、画像が売上に直結する職種が並びます。どんな画像が反応を取れるかを実務で見てきた人の知見は、ここで評価されます。
文章方向に伸ばす選択肢もあります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、書く仕事の単価分布が確認できます。画像と文章の両方を扱えると、コンテンツ制作を一括で受けられるようになり、単価の構造そのものが変わります。
技術方向に進むなら、アプリケーション開発のお仕事やソフトウェア作成者の年収・単価相場で、開発職の単価水準と必要スキルを確認できます。画像処理の自動化スクリプトを書けるようになると、同じ時間でこなせる量が桁で変わります。インフラ寄りの基礎を固めたい場合はCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク資格も土台になります。
数字で見る、無理のない計画
最後に時間軸を整理します。
学習期間は2か月から4か月。切り抜きと色補正の基本操作、そしてバッチ処理の使い方を覚えるまでです。並行して、練習作品を10点ほど作っておくと、応募時の材料になります。
受注開始後の最初の3か月は、処理速度が習熟後の3分の1程度と見込みます。単価150円で1時間7点なら、時間あたり1,050円相当。この時期の目標は収入ではなく、修正ゼロで納品することです。
6か月を過ぎて1時間15点に届けば、時間あたり2,250円相当。週10時間の稼働で月9万円前後の水準になります。
このペースを遅いと感じる人もいると思います。ただ、レタッチは処理速度が収入に直結する仕事です。速度は反復でしか上がらず、反復は継続でしか積めない。急いで受注量を増やして崩れるのが、いちばん遠回りになります。
増やせない月があっても、同じ量を維持できたなら後退ではありません。納期を守り続けたという実績は、次の依頼につながる最も確実な資産です。
よくある質問
Q. 未経験から在宅のレタッチを始められますか?
EC商品画像の切り抜きや色補正であれば、未経験からでも入口はあります。基本操作の習得に2か月から4か月、練習作品を10点ほど用意して応募するのが標準的な流れです。ただし人物レタッチは実務経験3年以上を条件にする募集が多く、いきなりこの領域を狙うのは現実的ではありません。
Q. 単価の相場はどのくらいですか?
背景の切り抜きのみなら1点50円から200円、色補正やサイズ統一まで含むと150円から500円です。不動産や料理などの用途特化なら1点300円から1,000円、人物レタッチは1点1,000円から5,000円が目安になります。時給制の在宅スタッフなら1,200円から1,800円が中心です。
Q. AIの普及でレタッチの仕事はなくなりますか?
単純な切り抜きや一括補正の単価は下がっており、この流れは続くと見ています。一方で、髪の毛や透明素材などAIが苦手な処理、ブランドのトーンに合わせる判断、大量の画像を同じ品質で仕上げる運用管理は人の役割として残ります。AIツールを使う側に回るのが現実的な立ち位置です。
Q. 始めるのに必要な機材とソフトは何ですか?
業界標準はPhotoshopで、費用は月1,000円台からのサブスクリプションです。PCはメモリ16GB以上、高解像度素材を扱うなら32GBが安心で、ストレージはSSDを推奨します。学習段階ならGIMPやPhotopeaといった無料ツールでも練習できますが、PSD形式での納品を求められる案件には対応しづらくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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