タイポグラフィの資格|文字のデザインの学び方


この記事のポイント
- ✓タイポグラフィの資格を探す人向けに
- ✓レタリング技能検定・DTPエキスパート・ウェブデザイン技能検定などを整理
- ✓レタリング技能検定は2027年の第55回で休止予定です
タイポグラフィの資格を取りたい。そう思って調べ始めると、「タイポグラフィ検定」という名前の資格が見つからず、どれを受ければよいのか迷う人が多いはずです。先に結論を書くと、タイポグラフィだけを専門に認定する公的な資格は、ほぼありません。文字のデザインに最も近いのはレタリング技能検定ですが、この検定は2027年の第55回を最後に休止すると、主催団体が発表しています。
そのため、これから文字のデザインを学ぶ人は、「文字そのものを描く力」「印刷や画面で文字を正しく扱う知識」「ソフトで組む技術」の3つに分けて、それぞれに合う資格と学び方を組み合わせるのが現実的です。この記事では、関連する資格を一つずつ整理し、どの順番で何を学べば仕事につながるのかを、手順に沿って解説します。
タイポグラフィとは何を学ぶ分野か
タイポグラフィとは、文字を読みやすく、伝わりやすく、美しく見せるために、書体の選び方や大きさ、行の間隔、文字の間隔を整える技術のことです。言い換えると、「同じ文章でも、文字の扱い方で伝わり方が変わる」ことを意識して設計する仕事です。
タイポグラフィで扱う内容は、大きく4つに分けられます。
- 書体の知識。明朝体とゴシック体の違い、欧文書体のセリフ(文字の端にある小さな飾り)とサンセリフの違い、それぞれが与える印象を知ること
- 文字組み。字間(文字と文字の間隔)、行間(行と行の間隔)、行長(1行の長さ)を整えて、読み続けても疲れない文章のかたまりを作ること
- 階層の設計。見出し、本文、注釈の大きさや太さの差をつけ、読む人が情報の重要度を一目で判断できるようにすること
- 文字のデザイン。ロゴタイプ(社名や商品名を文字で表したマーク)のように、文字そのものの形を作ること
このうち、4つ目の「文字の形を作る」部分を正面から扱ってきた資格がレタリング技能検定です。一方、1つ目から3つ目は、印刷物の制作やウェブのデザインの資格の中に含まれる形で問われます。タイポグラフィの資格を探すときに見つけにくいのは、この分野が複数の資格に散らばっているためです。
タイポグラフィに関係する主な資格
文字のデザインに関わる資格を、目的別に一覧にします。
| 資格 | 主催 | 文字との関わり | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| レタリング技能検定 | 公益財団法人国際文化カレッジ | 文字の形を手で描く技能そのもの | ロゴや文字の造形を学びたい人 |
| DTPエキスパート | 公益社団法人日本印刷技術協会 | 文字組みや書体、印刷の知識 | 印刷物の制作にかかわる人 |
| ウェブデザイン技能検定 | 特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会 | 画面での文字の扱いを含むウェブ制作 | ウェブサイトを作る人 |
| 色彩検定 | 公益社団法人色彩検定協会 | 文字と背景の配色、見やすさ | 配色に自信をつけたい人 |
| Adobe認定の資格 | Adobe | IllustratorやInDesignで文字を組む操作 | ソフトの操作を証明したい人 |
表のうち、ウェブデザイン技能検定は国家検定です。国家検定とは、国が定めた基準で技能を認定する制度のことで、合格すると「ウェブデザイン技能士」と名乗れます。それ以外は民間の資格や検定ですが、業界での知名度が高く、採用や発注の場で評価されるものが並んでいます。
ここから、それぞれの資格を詳しく見ていきます。
レタリング技能検定は2027年で休止する
レタリング技能検定は、文字を手で描く技能を認定する検定です。1973年から続いてきた歴史のある検定で、文部科学省の後援を受けています。試験は4級から1級までの4段階で、すべての級に知識問題1枚と実技問題3枚があります。合格するには、どの問題でもおおむね70%前後の得点が必要で、1枚でも基準に届かなければ不合格になります。
各級の対象は、1級がプロのデザイナー、2級がプロのデザイナーを目指す人、3級が学校や職場でレタリングを特技とする人、4級がレタリングに興味を持つ初心者や学生と案内されています。受検資格はなく、どの級から受けてもかまいません。
ただし、この検定には大きな注意点があります。主催する国際文化カレッジは、2026年2月に試験の休止を発表しました。
1973年より半世紀以上にわたりご愛顧いただいておりました「レタリング技能検定」ですが、諸般の事情により、次回2027年(令和9年)の『第55回レタリング技能検定』を最後に休止の運びとなりましたことをご報告申し上げます。 出典: レタリング技能検定(公益財団法人国際文化カレッジ)
最後の試験は、A日程が2027年6月6日、B日程が2027年6月12日の予定です。受検の申し込みは2027年3月1日から4月21日までとされています。再開の見通しはなく、2028年以降の試験は行わないと明記されています。休止後も、合格証明書の追加交付は続けると案内されているので、すでに合格している人の資格が消えるわけではありません。
2026年度の第54回の合格率は、1級が7.7%、2級が44.2%、3級が57.8%、4級が68.8%でした。1級は非常に狭き門で、2級でも半分以上が不合格になります。最後の1回に向けて受けるなら、今から準備を始めて、3級か2級を目標にするのが現実的です。受検料は1級6,000円、2級4,900円、3級3,800円、4級2,400円と案内されています(予定額)。
レタリングの練習が文字のデザインに効く理由
検定が休止しても、レタリングの練習そのものの価値は変わりません。むしろ、タイポグラフィを学ぶうえで最も効く練習の一つです。
レタリングとは、定規や筆記用具を使って、決まった書体の文字を手で正確に描く技術のことです。明朝体の横線が細く縦線が太いこと、「うろこ」と呼ばれる三角の飾りが横線の右端につくこと、ゴシック体でも縦と横の線の太さが目で見て同じに見えるよう微妙に変えてあること。こうした細部は、パソコンの画面で書体を眺めているだけでは気づきません。手で描いて初めて、「この書体はなぜこの形なのか」が体に入ります。
文字の形を理解すると、ソフトで文字を組むときの判断が変わります。たとえば、見出しに太いゴシック体を使うと、ひらがなと漢字の大きさの差が目立つことがあります。レタリングで文字の骨格を学んだ人は、こうした差に気づき、字間を一文字ずつ詰めて整えるといった調整ができます。
練習の手順は、料理のレシピのように決まっています。
- 方眼の用紙に正方形の枠を描き、その中に文字の骨格(線の中心)を鉛筆で描く
- 骨格に沿って、書体の線の太さを決めて輪郭を描く
- 輪郭の内側を塗りつぶし、はみ出しや線の揺れを確かめる
- 見本の書体と並べて、違いを一つずつ書き出す
主催団体は「書体サンプル集」と「文字骨格練習帳」という教材を、休止までの間は従来どおり販売すると案内しています。手に入るうちに入手しておくと、検定を受けない人でも練習の教材として長く使えます。
DTPエキスパートで文字組みと印刷を学ぶ
DTPエキスパートは、印刷物の制作にかかわる人のための資格です。DTPとはデスクトップパブリッシングの略で、パソコンで印刷物のデータを作ることを指します。主催は公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)です。
メディアの持つ役割とそのもたらす結果に目を向けたメディア設計及び制作を実践するために、「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」関連知識を習得した人材を認証します。受験者は延べ5 万人、合格者は2万人を超えており、営業から現場にいたるまで、グラフィックアーツに関わる人すべての共通言語、必須知識として広く認知されています。 出典: DTPエキスパート(公益社団法人日本印刷技術協会)
タイポグラフィとの関係でいうと、DTPエキスパートでは、書体の種類や文字の単位(ポイントや級といった文字の大きさの数え方)、組版(文字を並べて紙面を作ること)のルールといった、印刷の現場で文字を扱うための知識が問われます。たとえば、行頭に句読点が来ないようにする「禁則処理」や、ルビ(ふりがな)の付け方といった、日本語の文字組みの決まりも出題の範囲に入ります。
この資格が向いているのは、チラシやパンフレット、書籍の制作にかかわる人です。印刷会社やデザイン事務所では知名度が高く、営業や進行管理の担当者が取ることも多い資格です。一方で、ウェブだけで仕事をしている人には、印刷の工程に関する出題が多く、遠回りになる場合があります。試験の内容や日程、受験料は変わることがあるため、受ける前にJAGATの案内で最新の情報を確かめてください。
ウェブデザイン技能検定で画面の文字を学ぶ
ウェブデザイン技能検定は、ウェブサイトの制作に関する国家検定です。主催団体の案内では、厚生労働省から職業能力開発促進法に基づく指定試験機関の指定を受けた特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が実施しています。試験は学科と実技の2つで、1級から3級まであります。1級の合格者には厚生労働大臣から、2級と3級の合格者には協会の理事長から、ウェブデザイン技能士の合格証書が発行されます。
タイポグラフィとの関係では、画面で文字を読みやすく表示するための知識が問われます。印刷と違い、ウェブでは読む人の画面の大きさや設定によって文字の見え方が変わります。文字の大きさを相対的な単位で指定する方法や、背景色と文字色のコントラスト(明るさの差)を確保して誰にでも読みやすくする考え方は、ウェブのタイポグラフィの基本です。
令和8年度は第3回の試験が11月29日に予定されていると、協会のサイトに案内があります。年に複数回の試験があるため、レタリング技能検定と違って、自分の学習の進み具合に合わせて受ける回を選べるのが利点です。3級はウェブの作成や運営の仕事をしている人、またはこれからしようとしている人が受けられ、初めてウェブ制作を学ぶ人でも挑戦しやすい級です。2級は2年以上の実務経験、3級の合格、関連する学科の卒業などのいずれかが受検の条件になります。受検の条件や手数料は改定されることがあるので、申し込む前に協会のサイトで確かめてください。
色彩検定とソフトの資格の使い方
文字のデザインでは、色の扱いも避けて通れません。同じ書体でも、背景と文字の色の組み合わせによって読みやすさが大きく変わるためです。色彩検定は、色の理論や配色の考え方を学べる検定で、主催は公益社団法人色彩検定協会です。文字と背景のコントラストや、色の見え方の違いに配慮する考え方を学ぶと、看板やバナーの文字が遠くからでも読めるかを判断できるようになります。
ソフトの操作を証明する資格としては、Adobeが認定する資格があります。IllustratorやInDesign、Photoshopといったソフトごとに試験があり、文字ツールの使い方や段落の設定といった操作も出題に含まれます。未経験から制作の仕事に入るときに、「基本の操作は身についている」と示す材料になります。
ただし、ソフトの資格は操作の証明であって、文字のデザインの良し悪しを判断する力の証明ではありません。ソフトが使えることと、読みやすく美しい紙面を作れることは別の力です。ソフトの資格と、レタリングや文字組みの知識を組み合わせて、初めてタイポグラフィの力として評価されます。
資格を取るメリットと限界
タイポグラフィに関係する資格を取るメリットは、主に3つあります。
1つ目は、学ぶ範囲がはっきりすることです。タイポグラフィは独学だと「何から学べばよいか」が見えにくい分野です。資格の出題範囲に沿って学ぶと、書体の分類、文字の単位、組版の決まりといった基礎を抜けもれなく押さえられます。
2つ目は、未経験の人の信用の材料になることです。実績がまだない段階では、発注者や採用の担当者は、応募者の力を判断する手がかりを探しています。資格は、その手がかりの一つになります。
3つ目は、学ぶ期限ができることです。試験日が決まると、それに向けて学習の計画を立てられます。特にレタリング技能検定は、最後の試験が2027年6月と決まっているため、締め切りのある目標として使えます。
一方で、限界もはっきりしています。デザインの仕事では、最終的に評価されるのは作ったものです。資格を持っていても、制作物を見せられなければ仕事にはつながりません。また、タイポグラフィは「正解が一つではない」分野です。資格の試験は基準に沿った正確さを問いますが、実際の仕事では、商品の雰囲気や読む人に合わせて、あえて基準を外す判断も求められます。資格は土台であり、その上に制作の経験を積むことで初めて力になります。
資格を履歴書やポートフォリオに書くときにも、ひと工夫が効きます。資格名だけを並べるのではなく、「その資格で学んだことを、どの制作物でどう使ったか」を一言添えると、読む人に力が伝わります。たとえば、「DTPエキスパートで学んだ禁則処理の知識を生かし、社内報の文字組みを整えた」と書けば、資格と実務がつながって見えます。レタリング技能検定に合格した人は、休止が決まった検定であることも含めて、文字の形を手で学んだ経験として説明できます。資格の名前よりも、資格を通じて身につけた判断の基準を伝えることが、発注者や採用担当者の評価につながります。
独学でタイポグラフィを身につける手順
資格の学習と並行して、独学でタイポグラフィの力を伸ばす手順を紹介します。最初に覚えることは、3つに絞れます。
- 書体を2種類だけ使い分ける。本文に読みやすい書体を1つ、見出しに目立つ書体を1つ決め、それ以外は使わない
- 行間を文字の大きさの1.5倍から1.8倍程度にとる。日本語の本文はこの範囲で読みやすくなることが多い
- 見出しと本文の大きさの差をはっきりつける。差が小さいと、どこが見出しなのか読む人が迷う
この3つを守るだけで、資料やチラシの見え方は大きく変わります。たとえば、社内の案内文を作り直す練習をすると効果がわかりやすくなります。書体が4種類混ざり、行間が詰まった案内文を、書体を2種類に減らし、行間を広げ、見出しを本文より大きく太くする。それだけで、同じ文章とは思えないほど読みやすくなります。作り直す前と後を並べて保存しておくと、自分の上達を確かめる材料にもなり、そのまま作品として見せることもできます。
次の段階では、好きな雑誌や書籍、ウェブサイトの紙面を見て、書体と大きさと行間を書き出す「写経」のような練習が効きます。プロが作った紙面を分解して、なぜ読みやすいのかを言葉にすると、自分で組むときの判断の基準ができます。
さらに進んだら、レタリングの練習で文字の形そのものを学びます。ここまでを繰り返すと、書体を選ぶ理由を説明できるようになり、発注者との打ち合わせでも説得力が増します。
日本語の文字組みと欧文の文字組みの違い
タイポグラフィの本や講座の多くは、欧文(アルファベット)を前提に書かれています。日本語の文字を扱う仕事では、この違いを知っておかないと、学んだことがそのまま使えずに戸惑います。
欧文は、文字ごとに幅が違うのが基本です。「i」は細く、「m」は広い。そのため、単語の間のスペースや、文字と文字の組み合わせごとの間隔の調整(カーニングと呼ばれます)が仕上がりを左右します。一方、日本語の漢字とかなは、すべて同じ大きさの正方形の枠に収まるように作られています。この枠をそのまま並べる「ベタ組み」が日本語の基本の形です。
ところが、ひらがなやカタカナは、漢字より枠の中で小さく見えます。そのため、ベタ組みのまま大きな見出しにすると、かなの前後に余計な隙間があるように見えます。見出しや広告のコピーでは、かなの前後を少しずつ詰めて、文字の並びを目で見て均等にそろえる調整が必要になります。この調整を「詰め組み」と呼び、DTPの現場ではよく使われる技術です。
もう1つの違いは、句読点や括弧の扱いです。日本語の句読点や括弧は、枠の半分ほどの空きを持っています。括弧が続く部分や、句読点が行末に来る部分では、この空きが重なって間延びして見えることがあります。印刷物では、こうした空きを詰める決まりがソフトに組み込まれており、DTPエキスパートの学習ではその考え方を学びます。ウェブでも、近年は文字の詰めを指定できる仕組みが整ってきています。
日本語と欧文が混ざる文章では、さらに注意が要ります。和文の書体に含まれる欧文は、欧文専用の書体に比べて形が整っていない場合があります。本文で英単語が多く出る資料では、欧文部分だけを別の書体にする「混植」という方法がとられます。ただし、混ぜる書体の太さや高さがそろっていないと、かえって読みにくくなります。混植を試すときは、同じ文章を何通りか組んで印刷し、離れて見比べるのが確実です。
書体を使うときの権利の確認
タイポグラフィを仕事にするなら、書体を使う権利についても知っておく必要があります。パソコンで使う書体(フォント)は、ソフトとして提供されている商品です。どんな用途に使えるかは、提供元が定める使用許諾の条件(ライセンス)で決まっています。
たとえば、個人の趣味の範囲では無料で使えても、商用の制作物に使うには別の契約が必要な書体があります。ロゴに使う場合だけ条件が違う書体や、ウェブサイトに埋め込んで表示する場合に別の許諾が必要な書体もあります。パソコンにはじめから入っている書体でも、制作物の種類によっては使える範囲に制限がある場合があります。
仕事で使うときは、次の手順で確かめると安全です。
- 使う書体の提供元と、使用許諾の条件が書かれた文書を確認する
- 商用利用、ロゴへの使用、ウェブでの埋め込み、動画への使用のそれぞれが許されているかを見る
- 発注者の会社がすでに契約している書体があるかを、制作の前に聞いておく
- 納品のときに、使った書体の名前を一覧にして伝える
最後の一覧は、発注者が後で修正を加えるときにも役立ちます。書体の名前がわからないと、別の制作者が同じ見た目を再現できず、修正のたびに見た目がずれていきます。書体の権利の判断は提供元の条件によって変わるため、迷ったときは提供元の案内を確認し、必要なら発注者と相談して決めてください。
最後のレタリング技能検定に向けた学習の計画
2027年6月の最後のレタリング技能検定を受けるなら、逆算して計画を立てておくと準備が進めやすくなります。受検の申し込みは2027年3月1日から4月21日までなので、遅くとも2027年の初めには、受ける級を決めておく必要があります。
3級を目指す場合の目安の流れは、次のとおりです。
・2026年の終わりまで。教材を手に入れ、明朝体とゴシック体の骨格を描く練習を始める。1日に数文字でよいので、毎日描く習慣をつける
・2027年1月から2月。過去の試験問題を取り寄せ、制限時間を計って解いてみる。知識問題の範囲を一通り確認する
・2027年3月から4月。願書を請求して申し込む。苦手な文字を集中的に練習し、仕上げの丁寧さを上げる
・2027年5月。本番と同じ道具と時間で通しの練習を数回行う
試験の時間は、3級が午前、2級と4級が午後に分かれています。3級を受ける人は、午後の4級か2級とあわせて受けることもできます。たとえば、3級を本命にしながら、同じ日の午後に2級に挑戦するといった受け方もあります。最後の1回なので、自分の力に合った級を選びつつ、上の級にも挑戦する価値があります。
主催団体のサイトでは、過去の試験問題と模範解答が案内されています。実技の採点の基準は、模範解答と自分の作品を並べてみると見えてきます。線の太さがそろっているか、文字の中心が枠の中でずれていないか、塗りにむらがないか。この3点を確かめながら練習すると、仕上がりが安定します。練習した作品は日付を書いて保存しておくと、数か月後に見返したときに上達がはっきりわかり、試験までの残りの期間でどこを重点的に練習すべきかも判断しやすくなります。
学ぶ場所の選び方
タイポグラフィを学ぶ場所は、大きく分けて4つあります。目的と使える時間で選びます。
1つ目は、デザインの専門学校や美術系の大学です。書体の歴史や文字組みの理論から、実際に紙面を組む演習まで、体系的に学べます。講師が作品を添削してくれるため、自分では気づけない癖を直せるのが最大の利点です。一方で、学費と時間の負担は大きく、働きながら通うのは簡単ではありません。
2つ目は、社会人向けのスクールや講座です。夜間や週末に通える講座が多く、ソフトの操作とあわせて文字組みの基本を学べます。受講の前に、講座の中で文字の扱いにどれだけ時間を割いているかを確かめておくと、ソフトの操作だけで終わる講座を避けられます。講座によっては、雇用保険の教育訓練給付金の対象になっているものもあります。教育訓練給付金とは、雇用保険に加入している人などが、国が指定した講座を受けたときに受講料の一部が戻ってくる制度のことです。対象かどうかは講座ごとに異なるので、申し込む前に確かめてください。
3つ目は、通信教育です。レタリングは、手を動かす練習が中心なので、通信教育と相性がよい分野です。添削を受けながら自分のペースで進められます。
4つ目は、書籍と自主練習です。費用は最も少なくすみますが、自分の作品の良し悪しを客観的に判断するのが難しいという弱点があります。独学で進める場合は、作品をデザインの経験者に見てもらう機会を意識して作ることが大切です。勉強会や作品の講評会に参加したり、仕事で組んだ紙面について発注者から感想を聞いたりするだけでも、自分では見えなかった改善点が見つかります。
どの方法を選んでも、学んだことを実際の制作物に当てはめる回数が、上達の速さを決めます。講座で学んだ翌日に、自分の名刺や身近な掲示物を作り直してみる。その繰り返しが、資格の合格以上に確かな力になります。
タイポグラフィの力を生かせる仕事
タイポグラフィの力は、デザインの仕事だけでなく、文字を扱う多くの仕事で生かせます。
最もわかりやすいのは、グラフィックデザインやウェブデザインの仕事です。ロゴ、バナー、チラシ、ウェブサイトのデザインでは、文字の扱いが仕上がりの質を大きく左右します。デザイナーの報酬の水準や働き方の違いは、デザイナーの年収・単価相場で職種ごとの相場とあわせて確かめられます。
動画の編集でも、タイポグラフィは欠かせません。テロップ(画面に出す文字)の書体、大きさ、縁取り、表示する位置で、動画の見やすさは大きく変わります。短い動画ほど、文字を一瞬で読ませる工夫が求められます。テロップを入れる仕事では、読みやすさを保ちながら動画の雰囲気に合う書体を選ぶ判断が、仕上がりの評価を分けます。
文章を書く仕事でも、文字の扱いの知識は役立ちます。見出しの付け方や段落の区切り方、強調の使い方は、タイポグラフィの考え方と共通しています。読みやすい文書の形式を体系的に学ぶなら、ビジネス文書検定のような文書作成の検定も選択肢になります。ビジネス文書検定は、社外に出す文書の形式と表現を問う検定で、文字の配置や見出しの立て方を意識する訓練になります。
ライターとして仕事を受ける場合は、記事の見た目まで整えた原稿を納品できると評価が上がります。実績の見せ方はWebライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、単価を上げる考え方はWebライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】で解説しています。
求人データから見るタイポグラフィの資格
最後に、在宅や業務委託の求人の出方から見えることを整理します。
業務委託の求人サイトに並ぶデザインの案件を見ていくと、応募の条件として資格名が挙がることは多くありません。条件として挙がるのは、IllustratorやPhotoshopが使えること、過去の制作物を見せられることが中心です。タイポグラフィの資格が直接の条件になる案件はまれで、文字の扱いの力は、ポートフォリオ(過去の作品をまとめた資料)の中で判断されています。
ただし、資格が役に立たないわけではありません。ポートフォリオの最初のページに、DTPエキスパートやウェブデザイン技能士、レタリング技能検定の合格を書いておくと、「基礎を体系的に学んだ人」という印象を与えられます。特に、まだ作品の数が少ない段階では、資格が信用を補う役割を果たします。
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、デザインの仕事で長く依頼が続く人には共通点があります。派手な作品を並べる人よりも、「この文字の大きさにした理由」を発注者に短く説明できる人のほうが、同じ発注者から繰り返し依頼を受けています。タイポグラフィを学ぶ価値は、作品の見た目を良くすることに加えて、自分の判断を言葉で説明できるようになることにあります。
また、仲介の手数料がかからない直接の取引では、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、発注者は浮いた分で修正の回数や依頼の本数を伸ばせます。手数料0%の取引は、金額の大小よりも、双方が納得して長く付き合える関係を作りやすい点に価値があります。
タイポグラフィの資格は、一つで完結するものではありません。文字の形を学ぶならレタリング技能検定の最後の試験、印刷物ならDTPエキスパート、ウェブならウェブデザイン技能検定と、目指す仕事に合わせて選び、作品づくりと並行して学ぶのが近道です。デザインの仕事を目指す人は、資格の学習を進めながら、デザイナーの年収・単価相場で仕事ごとの相場を確かめ、どの分野で文字の力を生かすかを決めておくと、学ぶ順番が定まります。
よくある質問
Q. タイポグラフィ専門の資格はありますか?
タイポグラフィだけを専門に認定する公的な資格は、ほぼありません。文字の形を描く技能に最も近いのはレタリング技能検定です。そのほか、印刷物の文字組みはDTPエキスパート、ウェブの文字の扱いはウェブデザイン技能検定で問われます。目指す仕事に合わせて組み合わせるのが現実的です。
Q. レタリング技能検定はいつまで受けられますか?
主催する公益財団法人国際文化カレッジは、2027年の第55回を最後に試験を休止すると発表しています。最後の試験はA日程が2027年6月6日、B日程が2027年6月12日の予定で、2028年以降の試験は行わないと明記されています。合格証明書の追加交付は休止後も続くと案内されています。
Q. 未経験から文字のデザインを学ぶには何から始めればよいですか?
最初は、書体を2種類に絞る、行間を広めにとる、見出しと本文の大きさの差をはっきりつける、の3つを守って資料を作り直す練習から始めると効果がわかりやすいです。慣れてきたら、好きな雑誌やウェブサイトの書体と大きさを書き出して分析し、その後にレタリングで文字の形を学ぶ順番が向いています。
Q. デザインの仕事で資格は評価されますか?
業務委託の案件では、資格よりも過去の制作物で判断されることがほとんどです。ただし、作品の数が少ない段階では、資格が基礎を体系的に学んだことを示す材料になります。ポートフォリオの最初に資格を書き、その後に作品を並べると、信用を補う効果があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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