透析クリニックの1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓透析クリニックの1日の流れを
- ✓終業まで時間順に追いました
- ✓人員体制と病院の透析室との違い
先日、ある看護師さんから相談を受けました。「透析クリニックに転職を考えているけれど、1日がどう動くのか想像できない。求人票には『日勤のみ』『残業少なめ』と書いてあるのに、実際には朝がとても早いと聞いて不安になった」と。
結論から言うと、透析クリニックの1日は、患者さんの透析の「クール」を軸に、ほぼ決まった時間割で動きます。朝は患者さんが来る前の準備から始まり、穿刺、透析中の観察、返血と止血、片付けを、午前と午後で繰り返す。夜間の透析を行うクリニックでは、夕方からもう1回この流れが加わります。
これ、知らない人が本当に多いんです。同じ「日勤のみ」でも、午前と午後の2回で終わるクリニックと、夜間のクールまであるクリニックとでは、働き方がまったく違います。そして、その違いは求人票の書き方から、ある程度読み取れます。
この記事では、透析クリニックの1日を朝から終業まで時間順に追いかけます。そのうえで、曜日や月によって変わる動き、人員体制と病院の透析室との違い、求人票で勤務の実態を確かめるポイントを整理します。最後に、勤務時間や休憩をめぐる法律の基本にも少しだけ触れます。
透析クリニックという職場の前提
1日の流れを追う前に、透析クリニックがどんな職場なのかを確認しておきます。ここを押さえておくと、時間割の意味がよく分かります。
患者さんは、週に3回、決まった曜日に通ってくる
血液透析を受けている患者さんの多くは、週に3回、1回4時間ほどの透析を続けています。国内で慢性の透析を受けている患者さんは、日本透析医学会の調査で約34万人にのぼります。
通院の曜日は「月・水・金」と「火・木・土」の2つの組に分かれるのが一般的です。つまり、クリニックでは、曜日によって来る患者さんの顔ぶれが入れ替わります。同じ患者さんと週に3回、何年にもわたって顔を合わせる。これが、病棟とも外来とも違う、透析クリニックならではの関係のつくられ方です。
多くは入院のベッドを持たない診療所
透析の治療を始める「導入」は、多くの場合、病院で行われます。状態が落ち着いた患者さんが、自宅や職場の近くのクリニックに通って透析を続ける。透析クリニックの多くは、この「維持透析」を担う、入院のベッドを持たない診療所です。
透析施設の選び方を紹介しているサイトでも、次のように説明されています。
クリニックは入院用のベッドが20床未満の施設です。透析クリニックの多くは入院用ベッド数が0の無床診療所で、病院で透析導入を行ってから患者さんの自宅近くの透析クリニックに通院して透析治療を行う流れとなります。 出典: toseki.tokyo
入院の患者さんがいないので、基本的に夜勤はありません。そのかわり、1日の中で、同じ流れを決まった回数だけ繰り返すことになります。
1日を区切る「クール」という単位
透析クリニックでは、同じ時間帯に一斉に透析を始める患者さんのまとまりを「クール」と呼びます。午前のクール、午後のクール、夜間のクール、という形です。
実際のクリニックの診療時間の案内を見ると、クールの組み方がよく分かります。
※月・水・金 8:30〜23:00 / 火・木・土 8:30〜17:00※火・木・土については13時より2クール目をお受け いたします。お気軽にご相談ください。 出典: hosoeclinic.or.jp
このクリニックでは、月・水・金は夜まで、火・木・土は夕方までの運営です。つまり、同じ職場でも、曜日によって終業の時間が変わります。働く人の勤務は、この曜日ごとの違いに合わせて、早番、遅番などのシフトで組まれています。
朝:患者さんが来る前の準備
ここからは、午前と午後の2クールに、月・水・金だけ夜間のクールがあるクリニックを例に、1日の流れを追っていきます。時間はあくまで目安で、クリニックによって前後します。
7時30分ごろ:出勤と、機械の立ち上げ
午前のクールが8時30分ごろに始まるクリニックでは、スタッフの出勤は7時30分から8時ごろです。求人票に「日勤 8時から」と書かれていても、早番の日はさらに早い、ということがあります。
最初に動くのは、主に臨床工学技士です。透析に使う水をつくる装置と、透析液を各ベッドに送る装置を立ち上げ、水質や濃度に問題がないかを確かめます。各ベッドの透析の監視装置も起動し、自己点検を行います。
回路の組み立てと、プライミング
次に、各ベッドの装置に、血液を通す回路と、血液をきれいにするダイアライザーを取り付けます。そのうえで、回路の中を生理食塩液などで満たし、空気を抜いて洗い流す作業をします。これを「プライミング」と呼びます。
この作業を、看護師と臨床工学技士で手分けして、午前のクールの人数分すべてのベッドに行います。30床のクリニックなら、30台分です。慣れた人でも1台あたり数分かかるので、ここで朝の時間の多くが使われます。
その日の患者さんの情報を確かめる
準備と並行して、看護師はその日に来る患者さんの記録を確認します。前回の透析で血圧が下がった人はいないか、前回からの体重の増え方が大きそうな人はいないか、検査の結果で注意が必要な人はいないか。医師の指示の変更がないかも、ここで確かめます。
朝のミーティングで、スタッフ同士で注意が必要な患者さんを共有し、誰がどのベッドを担当するかを決めます。この数分のミーティングの質が、その日の安全を左右すると言っても言いすぎではありません。
午前のクール:来院から穿刺、透析の開始まで
8時30分ごろ:来院と、体重・血圧の測定
患者さんが来院すると、まず体重を測ります。透析の前後の体重の差から、その日に体から除く水分の量を決めるためです。基準になるのは、医師が患者さんごとに決めている「ドライウェイト」と呼ばれる目標の体重です。
続いて、血圧や体温を測り、体調を聞き取ります。食事や水分のとり方、足のむくみ、息苦しさ、前回の透析のあとの体調など。看護師は、ここで気になることがあれば、医師に報告します。
穿刺:クリニックの朝で一番緊張する時間
準備が整ったら、ベッドに横になった患者さんの腕の血管に、2か所針を刺します。血液を取り出す針と、きれいにした血液を戻す針です。これを「穿刺」と呼びます。
透析看護師向けの情報サイトでは、この穿刺の負担について次のように説明されています。
透析室や透析クリニックでは、1日に2クール、8~10名程度の患者さまに対して2か所ずつ穿刺を行わなければなりません。業務の難易度の高さから「自分には向いていない」と感じれば、透析看護師を辞めたいと思うこともあるでしょう。 出典: kango-oshigoto.jp
患者さんは、何年も同じ血管に針を刺し続けています。血管の状態は人によって違い、刺しやすい人もいれば、とても難しい人もいます。そして患者さんにとって、穿刺は週に3回、毎回の痛みです。「今日は1回で入った」「今日は失敗された」という経験が、スタッフへの信頼に直結します。
穿刺は、看護師のほか、臨床工学技士も医師の指示のもとで行います。どちらが担当するかはクリニックによって分かれますが、未経験で入った看護師は、刺しやすい患者さんから少しずつ担当を広げていくのが一般的です。
開始:回路をつなぎ、機械の設定を確かめる
穿刺が終わったら、針と回路をつなぎ、透析を始めます。その日に除く水分の量、血液を流す速さ、透析の時間などの設定を、2人で確認する「ダブルチェック」を行うクリニックが多くあります。
午前のクールの患者さんが全員そろって透析が始まるまで、8時30分から9時30分ごろまで、フロアはとても慌ただしくなります。この1時間が、透析クリニックの1日で最も手が足りない時間帯です。
透析中の4時間:観察と、合間の仕事
透析が始まってからの4時間は、朝の慌ただしさとは打って変わって、観察と記録を中心にした時間になります。
定期的な血圧測定と、全身の観察
透析中は、体から水分を除いていくため、血圧が下がりやすくなります。多くのクリニックでは、30分から1時間ごとに血圧と脈拍を測り、記録します。監視装置の数値や、針を刺した部分に出血や腫れがないかも、あわせて確かめます。
透析中によく起きるのが、血圧の低下、足のつり、気分の悪さなどです。看護師は、患者さんの表情やあくび、冷や汗といった小さな変化から、血圧が下がる前触れに気づき、水分を除く速さを落とす、足を上げるなどの対応をします。医師への報告もこの流れの中で行います。
医師の回診と、患者さんとの会話
透析中には、医師がベッドを回って患者さんの状態を確認します。看護師は、朝の聞き取りで気になったこと、透析中の血圧の変化などを伝え、指示を受けます。
透析の時間は、患者さんとゆっくり話せる時間でもあります。食事の内容、家での過ごし方、仕事や家族のこと。週に3回、何年も顔を合わせる中で、生活の変化に気づけるのは透析のスタッフです。食事の制限や薬の飲み方について、生活に合わせた助言をするのも、看護師の大切な役割です。
合間に行う仕事
観察の合間には、記録の整理、次のクールの物品の準備、足の傷やむくみを確かめるフットケア、検査の準備などを行います。透析の患者さんは足のトラブルを起こしやすく、フットケアに力を入れるクリニックも増えています。
また、この時間帯に交代で休憩をとるクリニックもあります。フロアに必要な人数を残しながら、1人ずつ、または数人ずつ休憩に入る形です。
終了から昼休み、午後のクールの準備まで
12時30分から13時ごろ:返血と止血
4時間の透析が終わると、回路の中の血液を患者さんの体に戻す「返血」を行います。そのあと針を抜き、針を刺していた部分を押さえて血を止めます。止血には数分から10分ほどかかり、患者さんご自身で押さえてもらうこともあります。
止血を確かめたら、もう一度体重と血圧を測り、除いた水分の量が予定どおりか、ふらつきがないかを確かめます。問題がなければ、患者さんは帰宅します。送迎のサービスを行っているクリニックでは、送迎の車の時間に合わせて、終了の順番を調整することもあります。
午前のクールの患者さんが帰る時間帯は、朝の開始と同じくらい、フロアが慌ただしくなります。
片付けと、昼休み
患者さんが帰ったら、使い終わった回路やダイアライザーを片付け、ベッドや装置を清掃・消毒します。血液に触れる作業が多いので、感染を防ぐための手順を丁寧に守ることが求められます。
昼休みは、この片付けが一段落した時間にとります。ただし、午後のクールの開始時間が早いクリニックでは、昼休みの時間が短くなったり、交代でとったりすることがあります。
午後のクールの準備
休憩が終わると、朝と同じように、午後のクールの人数分の回路を組み立て、プライミングを行います。午前のクールと午後のクールで使うベッドは同じなので、片付けと準備の時間を、どれだけ無駄なく回せるかが大切になります。
午後のクール、夜間のクール、そして終業まで
13時から14時ごろ:午後のクールの開始
午後のクールは、朝と同じ流れです。来院、体重と血圧の測定、穿刺、透析の開始。そして4時間の観察を経て、17時から18時ごろに返血と止血を行い、患者さんが帰宅します。
午後のクールの患者さんは、午前中に家事や通院などを済ませてから来る方も多く、朝とは少し違う体調の聞き取りが必要になることもあります。
火・木・土:午後のクールで終業
夜間のクールがない曜日は、午後のクールの片付けと、翌日の準備、記録の整理を終えたら終業です。17時30分から18時30分ごろに仕事を終えるクリニックが多い傾向があります。
月・水・金:夕方から夜間のクール
夜間のクールがある曜日は、17時ごろから、仕事を終えた患者さんが来院します。夜間の透析は、日中に働いている患者さんが仕事を続けながら治療を受けるための大切な仕組みです。
夜間のクールは、日勤のスタッフとは別に、遅番のスタッフや夜間専任のパートの看護師さんが担当することが多くあります。終了は22時から23時ごろになり、片付けを終えると、遅番のスタッフの終業は23時を過ぎることもあります。
つまり、「日勤のみ」と書かれた求人でも、遅番で夜間のクールを担当する日がある場合があります。これが、冒頭の相談者さんが感じた「話が違う」の正体の1つです。
終業前の記録と、翌日への引き継ぎ
どのクールで終わる日も、終業の前には記録の整理があります。透析中の血圧の変化、除いた水分の量、穿刺の状態、患者さんから聞き取った生活の変化などを記録に残し、次の透析の担当者が読める形にしておきます。
患者さんは曜日の組ごとに来るので、月曜日に気づいたことを伝える相手は、水曜日にその患者さんを担当するスタッフです。自分が次の勤務にいないこともあるため、口頭ではなく記録で伝えることが基本になります。
あわせて、翌日の午前のクールに使う物品の補充や、翌日来る患者さんの検査の予定の確認も行います。翌朝の準備の時間を少しでも短くするための作業です。この終業前の30分ほどの過ごし方で、翌朝の慌ただしさが変わります。
曜日や月で変わる動き
透析クリニックの1日は決まった時間割で動きますが、曜日や月の中で、仕事の量が変わる日があります。
週のはじめは、体重の増えが大きい
月・水・金の組の患者さんにとって、金曜日から月曜日までは2日空きます。火・木・土の組なら、土曜日から火曜日までが2日空きます。この「中2日」のあとの透析は、体に水分がたまりやすく、体重の増えが大きくなりがちです。
除く水分の量が多い日は、透析中に血圧が下がりやすくなります。そのため、週のはじめの透析では、看護師の観察の目がより重要になります。
月に1回から2回の定期検査
多くのクリニックでは、月に1回から2回、透析の前後に採血をして、定期的な検査を行います。胸のレントゲンや心電図の検査を定期的に行うクリニックもあります。検査の日は、通常の流れに採血や検体の準備が加わるので、朝の時間がさらに慌ただしくなります。
感染症がはやる時期は、動線が変わる
冬にインフルエンザや新型コロナウイルス感染症などがはやる時期は、透析クリニックの1日の動きが変わります。透析の患者さんは感染したときに重症になりやすく、しかも多くの患者さんが同じフロアで同じ時間を過ごすからです。
発熱などの症状がある患者さんには、来院前に電話で連絡してもらい、別の時間帯や、ほかの患者さんと離れたベッドで透析を行うなどの対応をとります。来院時の検温や症状の聞き取りも、ふだんより丁寧になります。スタッフの側も、自分が体調を崩したときの連絡や勤務の交代の段取りが大切になり、この時期は勤務表が組み替わることもあります。
祝日や年末年始も、透析は止められない
透析は、休むと命に関わる治療です。そのため、多くの透析クリニックは、祝日も通常どおり運営しています。年末年始やお盆の時期も、患者さんの透析の間隔が空きすぎないよう、曜日をずらすなどして運営を続けます。
働く側から見ると、「日曜日は休み」でも「祝日は出勤」ということがよくあります。求人票の「年間休日」の数字と、休みの曜日の書き方をあわせて確認しておきましょう。
未経験で入った看護師の1日は、どう変わっていくか
透析の経験がない状態でクリニックに入った場合、最初から先ほどの流れをすべて担うわけではありません。任される範囲は、段階的に広がっていきます。
最初の1か月:準備と観察から
入って最初の数週間は、回路の組み立てやプライミング、透析中の血圧測定と記録、返血後の体重測定など、穿刺以外の作業を覚えるところから始まることが多いです。先輩について、どのタイミングで何を確かめるのか、1日の流れを体で覚えていきます。
この時期に大切なのは、患者さんの名前と顔、それぞれの注意点を覚えることです。週に3回、同じ患者さんが来るので、覚えた分だけ観察の質が上がります。
2か月目から:刺しやすい患者さんから穿刺を始める
流れに慣れてきたら、血管の状態がよく、刺しやすい患者さんから穿刺を担当し始めます。最初は先輩が横について、血管の走り方の見方や、針の角度を確かめながら進めます。
患者さんの中には、「新しい人に刺されるのは不安」と感じる方もいます。どの患者さんを任せるかは、先輩や主任が患者さんとの関係も見ながら判断します。失敗が続いて落ち込む時期もありますが、多くの人が通る道です。
半年から1年:担当の幅と、指導の役割
穿刺を担当できる患者さんが増え、血圧が下がりやすい患者さんの観察にも慣れてくると、ベッドの担当をまとめて任されるようになります。1年ほど経つと、食事や水分のとり方についての指導や、新しく入ったスタッフへの説明を担うことも増えていきます。
透析の分野で経験を積むと、透析療法指導看護師や透析技術認定士などの資格を目指す道もあります。いずれも実務の経験が条件になっているので、まずは1日の流れを安全に回せるようになることが先です。
人員体制と、病院の透析室との違い
透析クリニックで働く人たち
透析クリニックのフロアには、看護師、臨床工学技士、医師がいます。そのほかに、受付や会計を担う医療事務、送迎の運転手、食事の相談を担う管理栄養士が関わるクリニックもあります。
看護師と臨床工学技士の役割の分け方は、クリニックによってかなり違います。臨床工学技士が機械の管理と穿刺の多くを担い、看護師は観察や患者さんへの指導を中心にするクリニックもあれば、看護師も穿刺や回路の準備を同じように担うクリニックもあります。
病院の透析室との違い
同じ透析でも、病院の透析室とクリニックでは、職場の中で起きていることが違います。
・病院の透析室は、透析の導入や、入院中で状態が不安定な患者さん、合併症の多い患者さんを受け入れることが多い ・クリニックは、状態が落ち着いた維持透析の患者さんが中心で、1日の流れが読みやすい ・病院の透析室では、病棟から透析を受けに来る患者さんの搬送や、急な依頼が入ることがある ・クリニックは夜勤がなく、休みの曜日が決まっている一方、祝日の出勤があることが多い
つまり、クリニックでは「決まった流れを、決まった患者さんと、安全に繰り返す力」が、病院の透析室では「状態の変わりやすい患者さんに対応する力」が、より求められる傾向があります。
看護師の収入の目安
透析クリニックは、専門性が高く、感染のリスクに対する手当を支給するところもあるため、他の診療科のクリニックより給与が高めに設定される傾向があります。一方で、夜勤のある病院と比べると、年収の合計が低くなる場合もあります。看護師全体の年収の相場や、働く場所ごとの違いを知っておきたい方は、看護師の年収・単価相場を参考にしてください。
求人票で、1日の実態を読むところ
ここからは、私の専門の話も少し交えます。求人票の書き方から、1日の実態をどこまで読み取れるかを整理します。
勤務時間の欄は、シフトの数を見る
「日勤 8:00〜17:00」とだけ書かれているのか、「早番 7:30〜16:30、遅番 13:30〜22:30」のように複数のシフトが書かれているのか。ここで、夜間のクールがあるかどうか、自分が遅番に入る可能性があるかどうかが分かります。診療時間の案内とあわせて見ると、より確かです。
休憩の欄は、とり方まで確かめる
労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えることが定められています。つまり、午前と午後の2クールを続けて担当する日は、きちんと休憩がとれる仕組みになっているかが大切です。
面接では、「休憩は交代でとる形ですか。午後のクールの準備と重なることはありますか」と聞いてみてください。
夜間のクールと、深夜の割増賃金
夜間のクールの終了が22時を過ぎる場合、22時から翌朝5時までの労働には、通常の賃金の25%以上を割り増しした賃金を支払うことが、労働基準法で定められています。夜間のクールの片付けが22時を過ぎることがあるなら、その時間の扱いがどうなっているかを確かめておきましょう。
先日、こんな相談もありました。「夜間のクールを担当していて、片付けで毎回22時半を過ぎるのに、給与明細に深夜の割増が付いていない」。確認すると、勤務の記録が22時で打ち切られていました。こうしたことは、働く側が法律の決まりを知っていれば、早く気づけます。
私自身、事務所を開いたばかりのころ、自分の仕事の時間を細かく記録していなかったせいで、どれだけ働いたのかを後から説明できず困ったことがあります。働いた時間を自分でも簡単に記録しておくことは、どんな働き方でも自分を守る基本です。
※賃金の未払いなど、職場と話がこじれた場合は、労働基準監督署や、各都道府県の労働局の総合労働相談コーナー、労働問題に詳しい弁護士に相談してください。
見学で確かめたいこと
可能であれば、午前のクールの開始の時間帯に見学をさせてもらうのがおすすめです。1日で最も慌ただしい時間に、スタッフが声をかけ合って落ち着いて動けているか、新しく入った人がどう教わっているかが、よく見えます。
1日の流れを知ることは、働き方を選ぶ第一歩
最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見えることを、少しお話しします。
透析クリニックの仕事は、決まった時間割の中で、同じ患者さんと長く関わる仕事です。運営者として見てきた限りでは、医療の分野で長く働き続ける人ほど、「その職場の1日が、自分の生活とどう重なるか」を具体的に確かめてから働く場所を選んでいます。朝の早さ、遅番の頻度、祝日の出勤。こうした条件は、仕事内容と同じくらい、続けられるかどうかを左右します。
そして、自分の条件を言葉にして確かめる力は、組織の中でも外でも役に立ちます。医療の知識を活かして、健康に関する記事の監修や企業の健康相談などを業務委託で引き受ける看護師さんも増えていますが、そうした働き方でも、作業の範囲や時間、報酬の条件を最初に書面でそろえることが、長く続く関係の土台になっています。
働き方の方向性を1人で整理しにくいときは、職業選択や転職の相談に乗る専門職の力を借りる方法もあります。どんな相談を受け、どう支援する仕事なのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。
依頼する側と受ける側が直接つながる働き方では、仲介の手数料がかからない分、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなります。手数料0%が意味するのは、金額の大きさというより、自分の働いた時間と専門性が、そのまま評価として返ってくるという納得感です。
透析クリニックの1日を知ることは、自分がどんな1日を過ごしたいかを考えることでもあります。法律はあなたの味方です。条件を確かめ、納得のいく職場を選んでください。
よくある質問
Q. 透析クリニックの看護師は朝何時から働きますか?
午前のクールが8時30分ごろに始まるクリニックでは、7時30分から8時ごろに出勤するのが一般的です。患者さんが来る前に、装置の立ち上げ、回路の組み立てとプライミング、患者さんの記録の確認、朝のミーティングを行います。早番と遅番のシフトがあるクリニックでは、担当によって出勤時間が変わります。
Q. 透析クリニックは日勤のみでも夜遅くなることがありますか?
夜間のクールがあるクリニックでは、遅番のスタッフが22時から23時ごろまで担当することがあります。求人票に日勤のみと書かれていても、遅番のシフトが含まれている場合があるため、勤務時間の欄のシフトの数や、クリニックの診療時間の案内をあわせて確認しましょう。22時以降の労働には深夜の割増賃金が必要です。
Q. 透析クリニックで一番忙しい時間帯はいつですか?
患者さんが来院して穿刺を行い、透析を開始するまでの時間帯と、透析が終わって返血と止血を行う時間帯です。午前のクールなら8時30分から9時30分ごろ、終了の12時30分から13時ごろがとくに慌ただしくなります。透析中の4時間は、観察や記録、フットケアなどを中心とした比較的落ち着いた時間になります。
Q. 透析クリニックと病院の透析室の1日はどう違いますか?
クリニックは状態が落ち着いた維持透析の患者さんが中心で、決まった時間割で1日が動き、夜勤はありません。病院の透析室は、透析の導入や入院中で状態が不安定な患者さんを受け入れることが多く、病棟からの搬送や急な依頼が入ることがあります。クリニックでも祝日の出勤があることが多い点は確認しておきましょう。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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