タイ語の未経験から最初の1件

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
タイ語の未経験から最初の1件

この記事のポイント

  • ✓タイ語 翻訳 未経験 始め方を
  • ✓最初の1件を取るまでの工程に絞って解説します
  • ✓実務経験ゼロで入れる入口の種類

結論から書きます。タイ語ができるのに実務経験がない人が最初の1件を取る最短の道は、翻訳会社のトライアルに応募することではありません。もっと手前に、実績がなくても通る入口が複数あります。

翻訳会社のトライアルは、実務経験者と同じ土俵で戦う選考です。経験ゼロの状態で挑むと、落ちる確率が高い。落ちること自体は問題ないのですが、そこで「自分のタイ語では通用しない」と結論づけてしまう人が多い。これは判断として正しくありません。落ちた理由の多くは語学力ではなく、実務の作法を知らないことだからです。

この記事では、実績ゼロの状態から最初の1件を取るまでを、工程順に並べます。タイ語の勉強法や検定の取り方は扱いません。すでに読み書きができる人が、それを仕事に換える手順の話です。

未経験可の求人は実在する。ただし数は多くない

まず事実確認から始めます。タイ語の求人で「未経験可」と書かれているものは存在します。

【経験・資格】<経験>業界未経験OK職種未経験OKこういう方におススメ:タイ語を使用した通訳・翻訳経験をお持ちの方。... 出典: 求人ボックス

この求人票の書き方には注意が必要です。「業界未経験OK」「職種未経験OK」と書かれている一方で、「こういう方におススメ」の欄には「タイ語を使用した通訳・翻訳経験をお持ちの方」とあります。

つまり、未経験可なのは業界と職種であって、タイ語の実務経験は歓迎されている。この構造を読み取れないと、応募して落ちたときに理由が分からなくなります。

求人票を読むときは、「未経験可」の文字だけを見ないでください。どの部分が未経験でよくて、どの部分に経験が求められているかを分解する。この読み方ができると、応募先の選び方が変わります。

正直なところ、タイ語の在宅案件は英語ほど数がありません。だからこそ、応募先を絞り込む精度が結果を左右します。数を撃つ戦略が効きにくい市場です。

「未経験」には3つの意味がある

自分がどの意味で未経験なのかを整理すると、埋めるべき穴が見えてきます。

1つ目は、タイ語の実務経験がないという意味です。語学力はあるが、報酬をもらってタイ語を使ったことがない。この状態は、サンプルを作ることで部分的に埋められます。

2つ目は、翻訳という作業そのものの経験がないという意味です。読めることと訳せることは違います。訳文を納品可能な形に整える作業には、独自の作法があります。用語の統一、レイアウトの再現、納品形式の指定への対応。これは練習で身につきます。

3つ目は、在宅の業務委託という働き方の経験がないという意味です。見積書、請求書、契約条件の確認、納期の管理。タイ語とは無関係の部分ですが、ここでつまずく人がかなりいます。

在宅の業務委託そのものの流れを知らない場合は、在宅ワークの始め方完全ガイド|未経験から自宅で稼ぐ方法【2026年版】に、契約から入金までの基本的な工程がまとまっています。言語の話を抜きにした土台の部分なので、3つ目に該当する方は先に読んでおくと迷いが減ります。

自分が3つのどれに当てはまるかを確認してください。全部に当てはまる場合、埋める順番は3番、2番、1番です。働き方の作法を知らないまま実務に入ると、案件を取っても続きません。

最初の1件になりやすい入口を5つ

ここが本題です。実績ゼロの状態から通りやすい入口を、通りやすい順に並べます。

教える仕事

最も入りやすい入口です。タイ語のオンラインレッスン、教材の作成、学習コンテンツの監修。

理由は単純で、教える仕事では「実務経験」ではなく「その言語ができること」が直接の商品になるからです。翻訳の実績がなくても、タイ語ができれば教えられます。

求人票を見ても、この傾向は明確です。

タイ語非常勤講師の募集です。発音と会話を中心にタイ語を教える仕事で、教えることに興味がある方や未経験者も歓迎します。研修制度も完備しています。教えることや人と接することが好きな方を求めており、日本語能力N2以上であれば応募可能です。勤務時間は平日10時~22時、土・日9時30分~17時30分で、週1日から勤務可能です。駅から徒歩5分以内、交通費支給あり、服装自由といった特徴があります。 出典: 求人ボックス

「未経験者も歓迎」「研修制度も完備」「週1日から勤務可能」。教える側の求人には、この3つが揃っていることが多い。オンラインで完結する形なら在宅で受けられます。

教えることと書くことを組み合わせた仕事の全体像は、翻訳・ライティングレッスンのお仕事にまとまっています。レッスンの進め方や、教材をどう用意するかといった実務が整理されているので、応募前に目を通しておくと準備が具体的になります。

問い合わせ対応

タイ語での顧客対応です。メールやチャットが中心で、企業が用意したテンプレートに沿って返信する形が多い。

この仕事の良いところは、作業の型が決まっていることです。ゼロから文章を作る翻訳と違い、既存の型に沿って対応します。実務の作法を学ぶ場としても優れています。

チェックと下訳の確認

機械翻訳や他の訳者が作った訳文を確認する作業です。ゼロから訳すより単価は下がりますが、実績としては翻訳の経験に数えられます。

未経験者にとって重要なのは、この工程で「納品可能な訳文とはどういうものか」を学べる点です。他人の訳文を見ることで、自分の訳の癖が分かります。

SNSとコンテンツの運用

タイ語での投稿作成、コメント対応、レビューへの返信。1件あたりの分量が小さく、リスクが低いため、企業が未経験者に任せやすい領域です。

数字を見る作業とセットになることが多いのも特徴です。この領域で経験を積むと、単なる翻訳者ではなく「タイ市場向けの運用ができる人」として説明できるようになります。

少量の翻訳案件

商品説明、メニュー、簡単な案内文。分量が小さいため、依頼する側のリスクも小さく、実績のない人に発注されやすい入口です。

ここで注意すべきは単価です。少量案件は文字数が少ないぶん報酬も小さくなりますが、依頼確認や納品の工程は同じだけ発生します。実績を作る目的で受けるにしても、時間あたりの効率は最初から意識してください。文章を扱う職種の報酬水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっており、自分が受けている条件が市場のどのあたりかを判断する材料になります。

応募前に用意する3点セット

実績がない状態でも、次の3つがあれば応募文が成立します。

サンプル訳文

公開されている文章を自分で訳したものです。守秘義務のある実務物は使えませんから、公的機関の告知文、企業のプレスリリース、商品ページなどを使います。

用意するのは2本です。日本語からタイ語へ1本、タイ語から日本語へ1本。それぞれ500文字程度で十分です。長さより、原文と訳文を並べて見せられる形になっていることが重要です。

発注する側の担当者はタイ語を読めないことがほとんどですが、日本語側の訳文の質は判断できます。タイ語から日本語への訳文が読みやすいだけで、信頼度は大きく上がります。ここは手を抜かないでください。

分野の申告

タイ語の語彙は分野で大きく変わります。発注側が探しているのは「タイ語ができる人」ではなく「うちの分野の文章を扱える人」です。

分野は経験から掘り出します。タイ料理店で働いていたなら飲食と食材。タイのドラマを長年見ているなら日常会話。留学していたなら教育と生活。工場勤務や駐在の経験があるなら製造と品質管理。どれも申告する価値があります。

分野を書かない応募文が非常に多いのですが、これは相当な機会損失です。

稼働条件

対応できる曜日と時間帯、1週間に処理できる分量、連絡がつかない時間帯。この3つを具体的な数字で書きます。

「柔軟に対応します」という書き方は情報量がゼロなので、かえって印象が悪くなります。制約は先に出す。あとから伝えると約束を破った形になります。

案件をどこで探すか

入口の種類が分かったら、次は探す場所です。経路ごとに、未経験者の通りやすさが違います。

求人検索サイトは、案件の全体像を掴むのに向いています。「タイ語 在宅」で検索して出てくる求人を20件ほど読むと、市場が何を求めているかが見えてきます。応募するかどうかは別として、求人票を読む作業は最初にやっておく価値があります。

クラウドソーシングは、実績を作る段階では有効です。少量の案件が多く、未経験者でも受注の機会があります。ただし価格の競争が起きやすく、システム利用料も差し引かれるため、ここに長く留まると単価が上がりません。実績を3件ほど作ったら、次の経路を考えるのが現実的です。

翻訳会社への登録は、案件が安定して回ってくる利点があります。営業をしなくても仕事が来る形です。ただしトライアルという関門があるため、実務の作法を身につけてから挑む方が効率的です。

自治体や公的機関の案件は、多言語相談窓口や生活情報の翻訳といった形で発生します。継続性があり、単発の仕事より安定します。公募情報を定期的に確認する習慣をつけておくと、機会を逃しません。

そして、企業への直接応募です。タイに拠点を持つ企業や、タイ市場に商品を出している企業に、自分から連絡する形です。難度は高いのですが、中間の取り分がないぶん条件は良くなります。有効なのは、その企業の公開資料を1つ選んで自分でタイ語に訳し、応募文に添えることです。業界の語彙を扱えることを直接示せます。

実務の作法を、案件を取る前に練習しておく

未経験者が落ちる理由の多くは、語学力ではなく作法です。ここは案件がなくても練習できます。

用語集を作る癖をつける

翻訳では、同じ語を同じ訳語で通すことが求められます。1つの文書のなかで「お客様」が「顧客」になったり「ユーザー」になったりすると、それだけで品質が低いと判断されます。

練習方法は簡単です。サンプル訳文を作るとき、使った訳語を表にして残す。原語、訳語、判断した理由の3列で十分です。この表を応募時に添えると、実務の作法を知っている人だと伝わります。

レイアウトを再現する

翻訳の納品では、原文のレイアウトを保ったまま訳文を入れることが多い。見出しの階層、箇条書きの記号、表の構造。これらが崩れていると、発注側に余計な手間が発生します。

タイ語の場合、文字の高さが日本語と違うため、行間や表のセル幅の調整が必要になることがあります。声調記号や母音記号が上下に付くため、行間を詰めすぎると記号が切れます。納品前に、実際の表示を確認する習慣をつけてください。

納品形式の指定に従う

ファイル形式、ファイル名の付け方、原文と訳文を並べるか分けるか。この指定を守れない人が意外と多い。指定があるということは、発注側の作業工程に組み込まれているということです。守るだけで評価されます。

訳注の書き方を覚える

原文が曖昧なとき、勝手に解釈しないで訳注をつけます。「この箇所は2通りの解釈が可能です。文脈からこちらと判断しましたが、ご確認ください」。この一文を書けるかどうかで、実務が分かっているかが判定されます。

この4つは、案件を取る前に自分の練習で身につけられます。トライアルの前にやっておくと、通過率が明確に変わります。

トライアルをどう受けるか

翻訳会社に登録する場合、トライアルが選考になります。未経験者が落ちる理由は、実は語学力以外にあることが多い。

まず、指示の読み落としです。トライアルには必ず指示がついています。用語集の指定、文体の指定、納品形式の指定。これらを守れていないと、訳文の質に関係なく落ちます。実務では指示に従えることが最優先だからです。

次に、納期の管理です。トライアルの提出期限を過ぎる、あるいはぎりぎりに出す。これだけで評価が下がります。実務では納期が信用のすべてだからです。

3つ目に、不明点の扱いです。原文に曖昧な箇所があったとき、勝手に解釈して訳すと減点されます。正しい対応は、訳注をつけて「この箇所は2通りの解釈が可能なため、こう判断しました」と示すことです。これができる人は、経験がなくても実務が分かっていると評価されます。

翻訳の品質がどういう基準で管理されているかは、JTF翻訳品質認証が体系的に扱っています。認証の中身を知っておくと、トライアルで何を見られているのかが分かります。上位の語学資格が実務でどう扱われるかという点では、中国語検定(中検)1級のような他言語の最上位資格の位置づけも参考になります。資格そのものよりトライアルの結果が優先される構造は、言語を問わず共通です。

応募文は4つのブロックで書く

応募文の型を示します。長く書く必要はありません。

最初に、何ができる人かを1行で書きます。「タイ語と日本語の双方向翻訳を、飲食と観光の分野で承ります」。ここに語学力の説明を入れないのがコツです。

次に、扱える分野を3つまで。文書の種類で書くと伝わります。

3番目に、稼働条件を数字で。曜日、時間帯、1週間の処理量。

4番目に、サンプルへの案内と、資格があればその記載。順番はこれで固定してください。資格を先頭に置く人が多いのですが、発注側が最初に知りたいのは職能です。

全体で600文字もあれば十分です。長い応募文は読まれません。

未経験からの応募文の考え方は、言語を問わず共通する部分が多くあります。フリーランス 英語 案件 未経験 始め方!2026年最新の海外副業術には、語学案件に未経験から応募する際の組み立てが整理されています。英語の話ですが、構造はタイ語にそのまま置き換えられます。

最初の1件を、納品まで運ぶ

受注できたあとが本番です。ここで信用を作れるかどうかで、2件目があるかが決まります。

着手前に、確認事項をまとめて1回で聞いてください。納品形式、用語の指定、参考にすべき既存の文書、担当者の連絡可能な時間帯、修正が発生した場合の流れ。小分けに何度も質問すると、相手の手間が増えます。

作業に入ったら、途中経過を1回だけ報告します。「全体の半分まで進みました。現時点で予定どおりです」。この一報があるだけで、発注側の不安が消えます。未経験者に発注する側が最も心配しているのは、納期直前まで音沙汰がなく、結局納品されないことです。

納品するときは、訳文だけを送らないでください。判断に迷った箇所とその理由、原文で曖昧だった部分、次回に向けて統一しておきたい用語。これらを添えると、発注側は「この人は考えて訳している」と受け取ります。

そして納品後、修正の依頼が来たら素早く対応します。ここでの反応速度が、次の発注を大きく左右します。

1件目の見積もりをどう出すか

初めて金額を提示する場面は、誰でも迷います。判断の手順を決めておけば、迷わずに済みます。

まず、分量を確定させます。日本語の原文なら文字数、タイ語の原文なら文字数の数え方まで含めて、依頼側と数字を合わせてください。タイ語は単語の間にスペースを入れないため、ソフトによってカウント結果が変わります。数え方を先に合意しておかないと、あとで金額の話が揉めます。

次に、作業時間を見積もります。自分がまだ処理速度を知らない段階では、サンプル訳文を作ったときの時間を基準にしてください。500文字に何分かかったかが分かれば、そこから逆算できます。

そして、翻訳作業以外の時間を必ず足します。依頼内容の確認、用語の調査、見直し、納品、請求書の作成、修正対応。これらを含めると、実際の所要時間は翻訳作業だけの1.5倍程度になるのが普通です。この上乗せを忘れると、時給換算で赤字になります。

最後に、最低受注金額を決めておきます。分量が少ない案件でも、依頼確認から請求までの工程は同じだけ発生するからです。翻訳会社が最低料金を設定しているのも同じ理由です。個人でも同じ考え方が使えます。

見積もりを出すときは、単価と算出方法、納期を日付で、修正対応の範囲、消費税の扱いを分けて書いてください。項目を分けるだけで、認識のずれがほぼ消えます。

未経験者がやりがちな失敗

観察していると、同じ失敗が繰り返されています。

ひとつは、単価を自分から下げることです。「未経験なので安くて構いません」と書く人がいますが、これは逆効果です。安い金額を提示すると、発注側は品質に不安を持ちます。相場の範囲内で提示して、経験がないことは正直に書く。それで十分です。

ふたつめは、できないことを引き受けることです。専門分野の文書を「勉強しながらやります」と受けてしまう。結果として納期に間に合わず、信用を失います。できない仕事は断る。この判断ができる人の方が、長期的には信用されます。

3つ目は、複数案件を同時に抱えることです。最初は1件に集中してください。処理速度の実測値がないうちに並行させると、必ず破綻します。1件を完璧に納めて、そこで自分の処理速度を測る。それから2件目です。

働き方そのものを変える段階での考え方は、転職 始め方完全ガイド!未経験から理想のキャリアを掴むステップにまとまっています。未経験の領域に入るときの準備の順序という点では、翻訳に限らず共通する部分があります。

引き受ける前に確認すべき、法令が関わる依頼

未経験のうちは特に注意してほしい領域があります。

タイ人の従業員や取引先を抱える企業からは、在留資格の申請書類、技能実習や特定技能に関する届出、行政機関への提出物の作成を依頼されることがあります。

言葉を訳すことと、報酬を得て他人の提出書類を作成することは、法律上まったく別の行為です。行政書士法が業務の範囲を定めており、弁護士法にも関連する定めがあります。どこまでが言語的な補助にあたり、どこからが制限のかかる業務にあたるのかは、依頼の中身によって判断が変わります。

ですから、この種の依頼が来たときは、その場で引き受けないでください。依頼内容を具体的に書き出したうえで、行政書士や弁護士に確認する。企業に顧問がいるなら、そちらに確認してもらう。この手順を踏むだけで、あとから問題になる可能性を大きく下げられます。

同じ理由で、医療現場での通訳や、契約内容についての助言も慎重に扱うべき領域です。「訳しただけです」という説明が通らない場面があります。未経験の段階では、こうした依頼は受けないという方針を先に決めておくのが安全です。

タイ語だけでは足りない部分がある

正直なところ、これはどうかと思う言い方が世の中に出回っています。「タイ語ができれば仕事がある」というものです。

実際には、タイ語ができるだけでは足りません。必要なのは、タイ語で受け取った情報を日本語で正確に社内へ渡す力です。

現場ではこういうことが起きます。タイ語の文書を訳して納品する。すると発注側の担当者から「この部分はどういう意味ですか」と聞かれる。訳文だけでは判断できないので、背景を日本語で説明する必要がある。ここが弱いと、訳せるけれど仕事が進まない人という評価になります。

タイ語がネイティブで日本語を学んだ人と同じ求人に応募する場面では、まさにここが分かれ目になります。日本語がネイティブの人が持っている強みは、日本語で相手を動かせることです。この点を応募文にも書いてください。

運営者として見てきた、最初の1件からの分かれ道

在宅の仕事を長く見てきた立場から、観察を書いておきます。

最初の1件を取れた人のなかで、その後も続いている人には共通点があります。1件目の作業内容を記録していることです。

かかった時間、迷った箇所、調べた用語、発注側とのやり取りの回数。これを残している人は、2件目の見積もりを根拠を持って出せます。残していない人は、いつまでも感覚で見積もることになり、赤字の案件を繰り返します。

もうひとつ、続いている人は1件目の相手を大事にしています。新しい案件を探すより、同じ相手から2件目をもらう方がはるかに簡単だからです。20年この市場を見てきた立場から言えば、長く続く人ほど、単発の作業ではなく「この人に任せると楽だ」という関係づくりに時間を使っています。

そして経路の話をひとつ。間に何社も挟まる形で仕事を受けていると、発注側が出している予算と、実際に手元に残る金額の差が広がります。手数料0%で直接つながる形なら、発注側は同じ予算でより多く頼めて、受ける側の手取りは厚くなる。最初の1件は仲介経由でも構いませんが、実績ができた段階で経路を見直す価値はあります。

最初の1件までの順番

最後に、やるべきことを順番に並べます。

まず、自分がどの意味で未経験かを確認する。次に、サンプル訳文を2本作る。分野を経験から掘り出す。稼働条件を数字で決める。応募文を4ブロックで書く。そして、教える仕事か問い合わせ対応から応募する。

翻訳会社のトライアルは、この工程を一巡してからで構いません。実務の作法を知ってから受ける方が、通る確率は上がります。

映像を扱う案件に興味がある場合は、映像翻訳・字幕・通訳のお仕事に字幕制作の工程が、多言語案件全般の発注のされ方は英語・多言語翻訳のお仕事にまとまっています。入口を1つに絞らず、複数の可能性を並べて比べてから決めてください。技術文書を扱う方向を考えるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で技術系職種の水準を見ておくと、専門性がどう評価されるかの感覚がつかめます。

タイ語ができるという事実は、すでにあなたの中にあります。足りないのは経験ではなく、それを発注できる形に整える工程です。順番どおりに進めれば、最初の1件は取れます。

よくある質問

Q. 未経験でも翻訳会社のトライアルは受けられますか?

受けられますが、最初の一手としては通りにくい選択です。実務経験者と同じ基準で評価されるためです。教える仕事や問い合わせ対応で実務の作法を身につけてから受ける方が、通過率は上がります。トライアルでは語学力より、指示を守れているか、納期を守れているかが見られます。

Q. 実績がない状態で何を見せればよいですか?

公開されている文章を訳したサンプルを2本用意してください。日本語からタイ語へ1本、タイ語から日本語へ1本、それぞれ500文字程度で十分です。公的機関の告知文や企業のプレスリリースなど、守秘義務のかからない文章を使います。原文と訳文を並べて見せられる形にしておきましょう。

Q. 未経験だから単価は安く提示すべきですか?

その必要はありません。安い金額を自分から提示すると、発注側は品質に不安を持ちます。相場の範囲内で提示し、経験がないことは正直に書く方が信用されます。一度低い単価で受けると、次回以降もその金額が前提になるため、最初の提示は慎重に決めてください。

Q. 在留資格の書類作成を依頼されたら受けてよいですか?

その場で引き受けないでください。報酬を得て他人の提出書類を作成する行為は行政書士法などで範囲が定められており、単に言葉を訳すこととは別の扱いになります。依頼内容を書き出したうえで、行政書士や弁護士に確認するか、依頼企業の顧問に確認してもらう手順を踏んでください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月4日最終更新:2026年9月2日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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