タイ語の動画の字幕と翻訳


この記事のポイント
- ✓タイ語 字幕 翻訳 副業の実務を整理します
- ✓動画の尺と話速から作業時間を見積もる方法
- ✓タイ語ならではの難所まで
タイ語 字幕 翻訳 副業と検索してこのページに来た方は、おそらく一度は求人媒体を眺めて、そのまま閉じた経験があるはずです。出てくるのは製造業の駐在職や社内通訳ばかりで、在宅で受けられる字幕の仕事がどこにあるのか、まるで見えてこない。
字幕の仕事が見えにくいのには理由があります。この分野の案件は、公開の求人よりも制作会社や翻訳会社の登録リストの中で回っているからです。表に出る前に、登録済みの翻訳者へ声がかかります。つまり、探し方の問題ではなく、入口の位置が違う。
そしてもうひとつ、この仕事で最初につまずくのが見積もりです。動画の字幕は、文字数ではなく尺で発注されます。「10分の動画」と言われたときに何時間かかるのかが分からないまま安く受けてしまい、実質の時給が崩れる。この記事では、尺と話速から作業時間を出す計算のしかたを中心に、タイ語の字幕という仕事の実務を整理します。
タイ語の字幕案件は、どこから発生しているのか
需要の出どころを知っておくと、どこに登録すべきかが決まります。大きく5つに分かれます。
ひとつめが映像配信です。タイのドラマや映画が日本で配信される流れは定着し、逆に日本のアニメやドラマがタイ語圏に配信される流れも太くなりました。どちらの方向にも字幕が要ります。この領域は制作会社と翻訳会社が窓口になっていて、トライアルを経て登録する形が基本です。
ふたつめが企業の動画です。会社紹介、製品の使い方、安全教育、社内研修。タイに工場や現地法人を持つ日本企業は多く、日本語で作った動画にタイ語字幕を付ける需要が継続的にあります。ここは単価が比較的よく、内容が専門的なぶん一度覚えた用語が次も使えます。
3つめがオンライン学習の教材です。eラーニングのコンテンツを多言語化する案件で、尺が長く本数もまとまっているため、一度入ると仕事量が読めます。
4つめがSNSと広告動画です。短尺で本数が多く、納期が短いのが特徴です。1本あたりの金額は小さいものの、テンポよくこなせる人には効率のよい領域になります。
5つめが個人と小規模事業者の依頼です。タイ語圏に向けて商品を売りたい事業者、タイのコンテンツを日本語で紹介したい発信者。クラウドソーシングのプラットフォームで募集されるのは、多くがこの層です。
タイ語翻訳の仕事・案件一覧ページです。クラウドソーシング・アウトソーシングに強いランサーズでは、タイ語翻訳の仕事情報の検索から納品、報酬の受け取りまで、すべて完結します。時間や場所にとらわれず、在宅や副業などさまざまな働き方を実現可能です。 出典: lancers.jp
在宅で完結し、時間や場所に縛られないという点は、副業として組み立てるうえで大きな条件です。ただし、この形で流れてくる案件は単価の幅が広く、極端に安い依頼も混ざります。見積もりの計算ができないまま受けると、そこで消耗します。
字幕の仕事は、翻訳だけではない
発注する側は「翻訳」と一言で言いますが、実際の作業は複数の工程に分かれています。どこまでを自分が引き受けるのかで、必要な時間も報酬も変わります。
素材の受け取りから始まります。動画ファイルと、あれば台本や書き起こし。台本があるかないかで作業量は倍近く変わるので、受注前に必ず確認します。
台本がなければ、まず書き起こしです。音声を聞いてタイ語または日本語の文字に起こす工程で、聞き取りにくい箇所は何度も再生することになります。話者が複数いる場合、誰が話しているかの判別も必要になります。
次が翻訳です。ここで注意すべきなのは、字幕の翻訳は文書の翻訳と違うということです。文書なら情報を落とさず訳すのが正解ですが、字幕は読める量に収める必要があります。話された内容を全部載せると、視聴者は読み切れません。意味を保ったまま削る判断が、字幕翻訳の技術の中心にあります。
ハコ切りは、どこで字幕を区切るかを決める作業です。文の切れ目、息継ぎ、画面の切り替わり。ここが下手だと、内容が正しくても読みにくい字幕になります。
タイムコードの設定は、各字幕を何秒から何秒まで表示するかを決める工程です。専用ソフトを使い、波形を見ながら合わせていきます。
最後にチェックと修正です。誤字、表示時間の過不足、画面内の文字と重なっていないか。ここを飛ばすと差し戻しが増え、結果的に時間を取られます。
こうした映像まわりの仕事の全体像は、映像翻訳・字幕・通訳のお仕事に案件の種類ごとに整理されています。書き起こしだけ、翻訳だけ、タイムコードだけといった部分請けの形もあるので、自分がどこを担当するのかを意識して案件を見ると、条件の良し悪しを判断しやすくなります。
尺と話速から作業時間を見積もる
ここが本題です。動画の長さから、自分が何時間使うことになるのかを、受注前に出せるようにします。
まず前提として、話す速さには目安があります。日本語のナレーションは1分あたり300字前後で読まれることが多く、対談や講義のような自然な会話では350字前後まで増えます。テンポの速いバラエティやSNS向けの動画では400字を超えることもあります。
この数字が意味するのは、同じ10分の動画でも、内容によって文字量が1.5倍近く変わるということです。「10分でいくら」という単価だけで受けると、話速の速い動画に当たったときに損をします。
次に、作業係数を持ちます。動画1分あたり何分の作業がかかるかという数字です。実務で使われている目安は、おおよそ次のとおりです。
台本ありの翻訳のみなら、動画1分あたり10分から15分。台本なしで書き起こしから行う場合は20分から30分。タイムコードの設定まで含めると、さらに10分から15分が加算されます。専門用語が多い内容や、音声が聞き取りにくい素材では、この係数がさらに伸びます。
計算してみます。台本なしの10分の動画で、翻訳とタイムコードまで請け負う場合。動画1分あたり30分から45分として、10分の動画なら300分から450分、つまり5時間から7.5時間です。この作業に対して1万円という提示があったとすれば、時給換算で1,300円から2,000円にしかなりません。
この計算を受注前にやるかどうかが、この仕事で消耗するかどうかの分かれ目です。金額だけを見て「10分で1万円なら悪くない」と判断すると、実態は最低賃金に近い水準ということが起こります。
見積もりの精度を上げるコツは、自分の実測値を持つことです。最初の数本は、作業を始める時刻と終える時刻を記録してください。3本もやれば、自分の係数が分かります。他人の目安より、自分の数字のほうが役に立ちます。
素材の状態も係数を左右します。音声が明瞭か、話者が何人か、専門用語が多いか、映像に文字が入っているか。受注前にサンプルを見せてもらい、この4点を確認するだけで、見積もりの精度は大きく上がります。見せてもらえない案件は、それ自体が判断材料になります。
タイ語の字幕ならではの難所
英語や中国語の字幕とは違う、タイ語固有の問題がいくつかあります。ここを知らずに受けると、想定した時間で終わりません。
最大の特徴が、タイ語には単語の区切りに空白を入れないという点です。文の区切りにだけ空白を置き、単語同士は続けて書きます。これが字幕の折り返しに影響します。どこで改行しても読めるわけではなく、単語の途中で切れると読みにくい字幕になります。自動の折り返し機能に任せられないので、目視で確認する工程が増えます。
文字数のカウントも厄介です。タイ文字は上下に記号が付くため、同じ文字数でも表示される幅が変わります。字幕ソフトの文字数制限に収まっているのに、実際の画面では枠からはみ出すということが起きます。プレビューでの確認が欠かせません。
敬語と人称の扱いも判断が要ります。タイ語は話し手と聞き手の関係で語尾や一人称が変わります。日本語からタイ語に訳す場合、元の日本語がどんな関係性で話されているかを読み取って、対応する語尾を選ばなければなりません。会社の研修動画と、友人同士の会話では、まったく違う文体になります。
固有名詞の表記も統一が必要です。日本の地名、人名、商品名をタイ文字でどう書くかには揺れがあります。同じ動画の中で表記が変わると品質を疑われるので、案件ごとに用語集を作って統一します。
そして、王室や宗教に関わる表現には慎重さが求められます。タイでは王室に対する敬意の表現が言語に組み込まれており、扱いを誤ると単なる誤訳では済まない問題になります。宗教的な事柄も同様です。この領域が出てくる素材では、確信が持てない部分をそのまま出さず、クライアントに確認する姿勢が必要です。
翻訳の品質をどう担保するかという観点では、業界の認証制度を知っておくと基準が見えてきます。JTF翻訳品質認証の解説には、翻訳の品質がどういう項目で評価されるのかが整理されており、自分の作業手順を見直す材料になります。
単価はどう決まるのか
字幕の仕事の値段の付け方は、大きく3種類あります。
分単価は、動画の尺に対して単価をかける方式です。もっとも一般的で、「1分あたり」の金額が提示されます。翻訳のみか、タイムコードまで含むかで金額が変わります。この方式は、話速が速い動画に当たったときに不利になるので、極端に情報量の多い素材では追加を交渉する余地があります。
字幕1枚あたりの単価は、表示される字幕の枚数で計算する方式です。実際の作業量に比例しやすい点が公平ですが、事前に枚数が確定しないため、見積もりの段階では概算になります。
時間単価は、拘束時間に対して支払う方式です。修正作業や、仕様が固まっていない案件で使われます。受け手にとってはもっとも安全な方式ですが、発注側は総額が読めないため嫌われることもあります。
どの方式でも、追加作業の扱いを最初に決めておくことが大切です。修正は何回まで無償か、素材が差し替わった場合はどうするか、納品後の仕様変更は別料金か。字幕の仕事は、動画そのものが差し替わることが珍しくありません。ここを決めずに始めると、終わらない修正に付き合うことになります。
言葉を扱う仕事全体の収入水準を把握しておくと、提示された金額が妥当かを判断しやすくなります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には文章を扱う職種のデータがまとまっており、技術系と比べたい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場も参照できます。時間あたりに換算して、どの分野と競合しているのかを把握しておくと、値付けの根拠が持てます。
案件数が多い言語ほど価格競争が起きやすいという傾向は、どの言語でも共通します。英語翻訳の副業ガイド|TOEIC何点から仕事ができる?と中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安を読み比べると、言語ごとの需給の違いが単価にどう出るかが見えてきます。タイ語は案件数が少ない代わりに、対応できる人も少ない。この構造は、単価を守るうえで有利に働きます。
使うツールと、納品形式の理解
字幕制作には専用のソフトを使います。無償で使えるものが複数あり、初期投資はほとんど要りません。
字幕ファイルの形式は、拡張子がsrtのものがもっとも広く使われています。テキストエディタでも開ける単純な形式で、番号、表示時間、字幕本文の3行がひと組になっています。動画配信で使われるvtt形式や、放送や映像制作の現場で使われる形式もあり、案件ごとに指定されます。
作業ソフトでは、波形を見ながらタイムコードを合わせられるものを選びます。音声の波形が表示されると、発話の開始と終了が視覚的に分かるため、耳だけで合わせるより格段に速くなります。
覚えておくと効率が上がるのが、ショートカットキーです。再生と停止、少し戻る、字幕の分割。この3つを手元で操作できるようになるだけで、作業時間が目に見えて縮みます。ソフトの習熟は、そのまま時給に跳ね返ります。
文字コードの扱いにも注意が必要です。タイ文字を含むファイルは、保存時の文字コードを間違えると文字化けします。納品前に、別の環境で開いて確認する手順を入れておくと事故を防げます。
機械翻訳の使い方も整理しておきます。下訳として使うこと自体は現実的な選択ですが、タイ語と日本語の組み合わせは精度がまだ十分ではありません。特に、主語の省略が多い日本語からタイ語への変換では、誰が何をしたのかが入れ替わることがあります。出力をそのまま納品するのは論外として、下訳として使う場合も、全文を目で追う前提で時間を見積もってください。案件によっては機械翻訳の使用そのものを禁じているものもあるため、契約時の確認が必要です。
案件をどう取るか
入口は3つに整理できます。
翻訳会社と映像制作会社への登録は、継続性という点で最も安定します。応募して、トライアルを受けて、登録される流れです。トライアルは無償の場合が多く、そこで一定の水準に達していれば案件が回り始めます。タイ語の翻訳者は登録数が少ないため、水準を満たしていれば声がかかる頻度は高くなります。
クラウドソーシングのプラットフォームは、すぐに始められる入口です。実績がゼロの状態でも応募でき、小さな案件から積み上げられます。ただし手数料が引かれる点と、単価の下限が低い点は織り込んでおく必要があります。手数料0%で直接やり取りできる仕組みを併用すると、同じ作業でも手取りが変わります。
直接の受注は、最も条件がよくなる入口です。タイ語圏に向けて発信している企業や事業者に、自分から提案する形になります。営業の手間はかかりますが、間に会社が入らないぶん単価が高く、関係が続けば安定します。
どの入口でも、示せるものがあると通りやすくなります。実際の案件を出せない場合は、公開されている動画に自分で字幕を付けたサンプルを用意してください。守秘義務の関係で納品物を見せられない場面は多いので、見せられるサンプルを持っている人は強い立場に立てます。
書く力そのものを鍛えたい場合、教える側に回るという方法もあります。翻訳・ライティングレッスンのお仕事には、言葉のスキルを人に教える形の案件がまとまっており、翻訳と組み合わせて収入を分散させている人もいます。働き方の相談を受けるキャリア・副業・人生相談のお仕事のような領域に広げる人もいます。
現場を見てきた立場からの観察
在宅の仕事の市場を20年運営してきた立場から見ると、字幕の仕事で長く続いている人には共通の習慣があります。納品前に、自分で動画を通しで見ていることです。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際には省かれがちな工程です。字幕ソフトの画面で1枚ずつ確認していくと、作業は終わったように見えます。ところが実際に再生してみると、読み切れない速さで消える字幕や、画面の文字と重なる位置の字幕が見つかります。この最後の通し確認をする人としない人で、差し戻しの回数が明確に違います。
もうひとつ、発注側から見た評価軸の話をしておきます。発注する担当者の多くはタイ語が読めません。だから、訳の質そのものを評価できない。評価しているのは、納期を守ったか、指示どおりの形式で納品されたか、質問が的確だったか、という点です。訳の精度で勝負する前に、この3つで差がついています。
質問の出し方は特に効きます。素材を受け取った直後に「この専門用語の指定表記はありますか」「話者Aは社内の人物という理解でよいですか」と確認を入れる人は、それだけで仕事が丁寧だと判断されます。逆に、何も聞かずに納品してきて、あとから解釈違いが発覚する人は、次から声がかかりません。
そして手取りの話です。運営者として見てきた限り、間に何社も入る構造では、発注側が出した金額と受け手が受け取る金額のあいだに大きな差が生まれます。発注側は「これだけ払っているのに品質が上がらない」と感じ、受け手は「この単価では時間をかけられない」と感じる。同じ案件について、両方が不満を持つ状態です。中間のマージンが乗らない直接の取引では、この構造が反転します。同じ予算で発注側はより多くを頼め、受け手は同じ作業で厚い手取りを得られる。長く続いている翻訳者ほど、この構造が成り立つ相手との関係を大事にしています。
読みやすい字幕にするための具体的な基準
字幕の良し悪しは、訳の正確さよりも読みやすさで判断されます。判断の基準になる数値を挙げておきます。
表示時間には下限があります。どんなに短い字幕でも、画面に出ている時間が短すぎると読めません。実務では最低でも1秒以上、できれば1.5秒以上を確保します。逆に長すぎるのも問題で、同じ字幕が5秒以上出ていると視聴者は次を待たされている感覚になります。
1行あたりの文字数にも上限を設けます。日本語字幕では1行13字から16字、2行までというのが放送で使われてきた基準です。動画配信では画面が大きいぶん緩和されますが、スマートフォンで見られる前提なら、この基準に近い形にしたほうが安全です。タイ語の場合は文字幅が一定でないため、字数ではなく実際の表示幅で確認します。
読む速さの目安も持っておきます。1秒あたり4字前後が快適に読める上限とされ、これを超えると視聴者は文字を追うのに必死になり、映像が見えなくなります。話速が速い素材ほど、この制約に引っかかります。全部を訳そうとせず、削る判断が必要になるのはここです。
削るときの優先順位も決めておくと迷いません。まず相づちと言い直しを落とし、次に映像を見れば分かる説明を落とし、最後に修飾語を短くします。固有名詞、数字、否定の表現は最後まで残します。この順序を守れば、削っても意味が壊れません。
納品前に必ず確認する手順
差し戻しを減らすには、確認の手順を固定してしまうのが確実です。毎回同じ順で見るようにすると、見落としが減ります。
最初に、全体を通しで再生します。倍速ではなく等倍で、実際の視聴者と同じ条件で見ます。読み切れない字幕、消えるのが早い字幕、画面内の文字と重なる字幕は、ここでしか見つかりません。
次に、固有名詞と数字だけを拾って確認します。人名、社名、地名、金額、日付。誤りが致命的になるのはこの4種類です。動画の音声と字幕を1つずつ突き合わせます。
3つめが、表記の統一の確認です。同じ語が別の書き方になっていないか、検索機能で洗い出します。案件ごとの用語集を作っておけば、この工程は数分で終わります。
4つめが、ファイル形式の確認です。指定された拡張子になっているか、文字コードが正しいか、ファイル名の付け方が指示どおりか。別の環境で開き直して、文字化けしていないことを確かめます。
最後に、依頼された内容と納品物が一致しているかを見ます。翻訳のみの依頼にタイムコードまで付けて納めても喜ばれるとは限らず、逆に含めるべき工程が抜けていれば差し戻しになります。発注時のやり取りを読み返して確認してください。
この5工程は合わせて30分ほどで終わります。差し戻しが1回発生すれば、やり取りを含めてそれ以上の時間が消えるので、投じる価値のある30分です。
作業環境そのものも品質に影響します。音声を正確に聞き取るには、パソコン内蔵のスピーカーではなくヘッドホンを使ったほうが確実です。周囲の音が入る環境では、聞き取れたつもりの箇所を取り違えます。画面についても、動画と字幕ソフトを並べて表示できる広さがあると、確認の往復が減って作業が速くなります。設備に大きな投資は要りませんが、耳と画面まわりだけは早い段階で整えておくと、作業時間そのものが短くなります。
掲載データから見た、字幕案件の位置づけ
在宅の案件を分野別に見ると、映像翻訳は「単価の幅が極端に広い分野」に分類されます。同じ10分の動画の字幕でも、依頼元によって提示額が数倍違うことが珍しくありません。
幅が生まれる理由は、発注側が作業量を把握していないからです。動画を見て、内容が短いと感じれば安く見積もる。しかし実際の作業量は、尺と話速と素材の状態で決まります。つまり、この分野で消耗しないための鍵は、交渉力ではなく説明力です。「この動画は話速が速く、台本がないため、書き起こしから含めるとこれだけの時間がかかります」と根拠を示せる人は、適正な金額に近づけられます。
もうひとつの特徴が、継続率の高さです。一度依頼した相手に次も頼む比率が、他の分野より明らかに高い。用語の統一、文体の一貫性、シリーズものの前後関係。別の人に変えると発注側が説明し直す手間を負うため、問題がなければ同じ人に頼み続けます。
この2つを合わせると、この仕事の戦略ははっきりします。案件の数を追いかけるのではなく、最初の1件で見積もりの根拠を示し、通し確認をして納め、次につなげる。それを数社に対してやれば、月の作業量は読めるようになります。
タイ語の字幕を扱える人は、日本の市場では多くありません。その希少さを活かすには、安く早く受ける方向ではなく、時間を正しく見積もって説明できる方向に力を使うべきです。見積もりの計算式を持っているだけで、この仕事の景色は変わります。
よくある質問
Q. タイ語の字幕は、動画1分あたりどれくらい時間がかかりますか?
台本があって翻訳のみなら動画1分あたり10分から15分、台本なしで書き起こしから行う場合は20分から30分が目安です。タイムコードの設定まで含めるとさらに10分から15分が加わります。専門用語が多い素材や音声が不明瞭な素材では伸びるため、最初の数本で自分の実測値を記録してください。
Q. 字幕の仕事は文字数ではなく尺で発注されるのですか?
分単価が最も一般的で、動画の尺に単価をかけて算出します。ほかに字幕1枚あたりの単価、拘束時間に対する時間単価という方式もあります。分単価は話速の速い動画で不利になるため、情報量が極端に多い素材では追加の交渉余地があります。修正回数の上限も事前に決めておいてください。
Q. タイ語の字幕で特に注意すべき点は何ですか?
タイ語は単語の区切りに空白を入れないため、自動の折り返しに任せると読みにくい位置で改行されます。また上下に記号が付く文字があり、文字数が収まっていても画面ではみ出すことがあります。敬語や人称は話し手と聞き手の関係で変わるため、素材の関係性を読み取って文体を選ぶ必要があります。
Q. 実績がなくても字幕の案件は受けられますか?
受けられます。クラウドソーシングのプラットフォームは実績ゼロでも応募でき、小さな案件から積み上げられます。翻訳会社への登録はトライアル選考が入りますが、タイ語は登録者数が少ないため水準を満たせば案件が回ります。守秘義務で納品物を見せられない場面に備え、公開動画に自分で字幕を付けたサンプルを用意しておくと有利です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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