副業の確定申告を外注するには|記帳・申告を頼む費用と依頼先の選び方を解説

長谷川 奈津
長谷川 奈津
副業の確定申告を外注するには|記帳・申告を頼む費用と依頼先の選び方を解説

この記事のポイント

  • 確定申告の外注費用の相場と内訳を
  • 記帳代行だけを頼む場合と申告まで丸ごと頼む場合の料金差
  • 税理士と在宅ワーカーの使い分け

「確定申告の時期になると、毎年ゲンナリする」。そんな相談を、私は本当によく受けます。日中は本業や副業で手一杯なのに、夜な夜な領収書の山と格闘し、会計ソフトの入力に週末が消えていく。だからこそ「この作業、いっそ誰かに外注できないだろうか。でも、いくらかかるのか見当がつかない」と考えて、あなたはこのページにたどり着いたのだと思います。

結論から言います。確定申告の外注費用は、1万円台から15万円ほどまで、依頼する範囲と事業規模によって大きく開きがあります。「記帳だけ」を在宅ワーカーに頼むのか、「申告書の作成・提出まで」を税理士に丸ごと頼むのかで、支払う金額は何倍も変わるんです。これ、知らない人が本当に多いんです。相場も内訳も分からないまま、いきなり税理士事務所に問い合わせて「高い」と感じてしまう。そして結局また自分でやる。この悪循環を、この記事で断ち切りましょう。

この記事では、フリーランス向けの契約・法務相談を専門にしている立場から、確定申告を外注するときの費用相場・料金の内訳・依頼先ごとの使い分け・失敗しない選び方を、発注する側が意思決定できる粒度で整理しました。読み終えるころには「自分の場合はいくらで、どこに、どう頼めばいいか」がはっきり見えているはずです。

確定申告の外注が広がっている背景と費用の全体像

まず、なぜ今「確定申告を外注する」という選択肢がこれほど一般的になったのか。その背景を押さえておくと、費用相場の意味が腹落ちします。

副業を持つ会社員が急増し、フリーランスとして独立する人も右肩上がりで増えています。国税庁の統計を見ても、確定申告書を提出する人の数は年々増加傾向にあります。副業で年間20万円を超える所得があれば確定申告が必要になりますし、フリーランスなら事業所得としての申告は避けて通れません。つまり「確定申告をしなければならない人」の母数そのものが、この数年で大きく膨らんでいるわけです。

ところが、確定申告の実務は年々複雑になっています。インボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まり、消費税の課税事業者になった小規模事業者も増えました。電子帳簿保存法への対応も求められます。制度が複雑になればなるほど、「自分でやるより、詳しい人に任せたほうが結果的に安心で早い」と考える発注者が増えるのは自然な流れです。

費用の全体像を先にざっくり示すと、確定申告の外注には大きく3つの価格帯があります。1万円前後で頼める「記帳代行のみ」の在宅ワーカー活用、5万円前後の「会社員の副業のスポット申告」、そして10万円から15万円程度の「個人事業主の申告書作成・提出まで丸ごと」というレンジです。この3つの違いを理解することが、無駄なお金を払わないための第一歩になります。

「外注費」という言葉が2つの意味を持つことに注意

ここで一つ、混乱しやすいポイントを整理させてください。「確定申告 外注 費用」で検索すると、実は2種類の全く違う情報が出てきます。

一つは、あなたが今知りたい「確定申告の作業そのものを外部に依頼するための費用」。もう一つは、確定申告の書類上で使う勘定科目としての「外注費」、つまり事業で外部の人に仕事を頼んだときに支払った費用の会計処理の話です。後者は「外注費と給与の違い」「外注費の仕訳方法」といったテーマで語られます。

この記事で扱うのは前者、「確定申告という作業を誰かに任せるといくらかかるか」です。ただ、発注者として外注を始めると、いずれ後者の「支払った外注費をどう経理処理するか」という論点にも必ずぶつかります。つまり、あなたが誰かに記帳を頼むと、その支払い自体が「外注費」または「支払手数料」として帳簿に載る。この二重構造を頭の片隅に置いておくと、後々の判断がスムーズになります。

確定申告を外注するときの費用相場【依頼範囲・事業規模別】

ここからが本題です。確定申告の外注費用は「誰に」「どこまで」頼むかで決まります。依頼範囲と事業規模の2つの軸で、相場を具体的に見ていきましょう。

記帳代行だけを頼む場合の相場

「申告書は自分で作るけど、領収書の入力や仕訳だけがしんどい」。そんな人に向いているのが記帳代行です。これは税理士資格が必須の業務ではないため、在宅ワーカーや記帳代行の専門会社に依頼できます。

記帳代行の費用は、仕訳の件数(伝票数)で決まるのが一般的です。相場としては、1仕訳あたり50円〜100円程度、あるいは月間の仕訳件数に応じて月額5,000円〜2万円ほど。年間の取引がそれほど多くない副業レベルであれば、年間を通して1万円〜3万円で記帳作業を丸ごと任せられるケースも珍しくありません。

記帳代行の魅力は、なんといっても費用の安さです。税理士に頼めば数万円かかる作業の「入力部分」だけを切り出して外注するので、コストを大きく圧縮できます。ただし注意点があります。記帳代行を頼める在宅ワーカーは、あくまで「仕訳の入力」をしてくれるだけで、税務相談や申告書の提出代行はできません。税理士法により、税務書類の作成や税務代理は税理士の独占業務と定められているからです。つまり、記帳代行はあくまで「下ごしらえ」。最後の申告書作成と提出は、自分でやるか別途税理士に頼む必要があります。

会社員の副業を申告する場合の相場

会社員が副業の所得を申告するケースは、個人事業主のフルの確定申告に比べて作業量が少なくて済みます。給与は勤務先が年末調整してくれているため、確定申告で扱うのは副業分の所得と各種控除が中心になるからです。

このケースの費用相場について、参考になる指摘があります。

サラリーマンのような会社員の場合、通常は勤務先が年末調整を通じて税金の調整を行ってくれるため、確定申告は必須ではありません。しかし、副業で20万円を超える所得があるときや、医療費控除などを活用し確定申告で税金の還付を受けたいときなど、一定の条件を満たす場合は確定申告が必要です。会社員の確定申告では個人事業主の手続きよりも作業量が少ないため、費用の相場は5万円ほどです。

つまり、会社員の副業分の申告を税理士にスポットで依頼すると、5万円前後が一つの目安になります。ただし、副業の規模が小さく取引もシンプルであれば、記帳代行の在宅ワーカーに整理を頼んで、最後の申告だけ自分でやる、という組み合わせでもっと安く仕上げることも可能です。副業の年間所得が数十万円程度で、収入源も1〜2種類しかないなら、丸ごと税理士に頼むのはややオーバースペックかもしれません。

個人事業主が申告まで丸ごと頼む場合の相場

個人事業主が、記帳から申告書の作成・提出までを丸ごと外注する場合。これがもっとも費用のかかるパターンです。事業規模、特に年間の売上高によって費用は大きく変わります。

売上規模と費用の関係について、こう説明されています。

個人事業主であっても、売上額が数百万円と数千万円では確定申告にかかる労力が異なるため、税理士に依頼した場合の費用も同じではありません。実際の費用は事業の内容や規模によって変動します。

具体的な相場としては、売上500万円未満の個人事業主であれば、記帳込みで10万円程度が一つの目安です。売上が1,000万円を超えて消費税の申告も必要になると、15万円以上、場合によっては20万円を超えることもあります。逆に、自分で記帳を済ませておいて「申告書の作成と提出だけ」をスポットで頼めば、費用総額を抑えられます。

確定申告のみをスポットで依頼するという契約では、税理士費用の総額を安く抑えることができます。日常的な税務相談などはできませんが、所得税の確定申告書類の作成や申告代行のみの依頼で、費用総額は10万円以内に収まる場合もあります。

つまり、「記帳を自分でやって申告だけ外注する」か「記帳から丸ごと外注する」かで、同じ個人事業主でも費用は倍近く変わってくるわけです。ここが発注者としての腕の見せどころ。自分が楽をしたい部分と、コストを抑えたい部分のバランスを、事業規模を見ながら決めていくことになります。

確定申告の外注費用が決まる4つの要素

同じ「確定申告の外注」でも、なぜ人によって費用がここまで違うのか。見積もりを比較するときに必ず押さえておきたい、費用を左右する4つの要素を解説します。この4点を理解しておくと、相手の見積もりが妥当かどうか自分で判断できるようになります。

売上・所得の規模

もっとも大きく費用を左右するのが、事業の売上・所得規模です。売上が大きくなれば取引件数が増え、仕訳の量も増え、確認すべき論点も多くなります。作業量が増えれば当然、費用も上がる。これはどの依頼先でも共通する原則です。

多くの税理士事務所や記帳代行サービスは、料金表を「売上300万円未満」「500万円未満」「1,000万円未満」といった売上のレンジで区切っています。見積もりを取るときは、自分の年間売上を正確に伝えることが大切です。ここを曖昧にすると、後から「想定より取引が多かった」と追加料金を請求されるトラブルにつながります。私が相談を受けるケースでも、契約時の売上申告と実態がズレていて揉める、という話は少なくありません。

記帳の有無(自計化しているか)

次に大きいのが、記帳を自分でやっているかどうか、いわゆる「自計化」の度合いです。会計ソフトに自分で日々の取引を入力し、帳簿がある程度出来上がっている状態なら、外注先は最後のチェックと申告書作成だけで済みます。当然、費用は安くなります。

逆に、領収書や請求書が袋に入ったまま、という「丸投げ」状態だと、外注先はゼロから記帳しなければなりません。この記帳作業の分だけ費用が上乗せされます。前述のとおり記帳代行は仕訳件数で課金されるので、取引が多いほど差が開きます。費用を抑えたいなら、日々の記帳だけでも自分でやっておく、あるいは安価な記帳代行の在宅ワーカーに入力を任せて、申告は別に頼む、という切り分けが有効です。

申告の種類(白色・青色・消費税の有無)

申告の種類によっても手間が変わります。白色申告は帳簿の要件が比較的シンプルですが、青色申告、特に65万円の特別控除を受けるための複式簿記は手間がかかります。手間がかかる分、外注費用も上がる傾向があります。

さらに大きいのが消費税申告の有無です。売上1,000万円を超えて課税事業者になった場合や、インボイス発行事業者として登録した場合は、所得税の確定申告に加えて消費税の申告も必要になります。この消費税申告が加わると、費用は2万円〜5万円ほど上乗せされるのが一般的です。自分がどの申告に該当するかを整理してから見積もりを取ると、金額の妥当性を判断しやすくなります。

依頼先の種類(税理士か、在宅ワーカーか、仲介経由か)

そして4つ目、これが今回もっとも強調したいポイントです。同じ作業でも「誰に頼むか」「どの経路で頼むか」で費用は大きく変わります。

税務代理や申告書作成は税理士の独占業務なので、そこは税理士に頼むしかありません。しかし記帳代行や書類整理といった周辺業務は、在宅ワーカーやフリーランスに直接依頼できます。そして依頼の経路も重要です。代理店や仲介会社を通すと、その分の手数料が費用に上乗せされます。一方、業務委託マッチングサービスなどでフリーランスに直接依頼すれば、中間マージンがない分、同じ作業でも安く済むことが多い。この経路による費用差は、次の章で詳しく掘り下げます。

仲介を通す場合と直接依頼する場合の費用差

確定申告の外注で意外と見落とされがちなのが、「どの経路で依頼するか」による費用差です。ここを理解しているかどうかで、支払う総額が変わってきます。

中間マージンの仕組みを知る

記帳代行や事務作業を代行会社や仲介エージェント経由で頼むと、あなたが支払う金額の中には、実際に作業する人への報酬に加えて、仲介会社の取り分(マージン)が含まれています。業界にもよりますが、仲介手数料は依頼金額の20%〜30%ほどに上ることも珍しくありません。

つまり、あなたが3万円払っても、実際に作業する在宅ワーカーの手取りは2万円台前半、という構図です。これ自体が悪いわけではありません。仲介会社は人選や品質保証、トラブル対応といった価値を提供しています。ただ、発注者として「同じ品質の作業をもっと安く頼めないか」と考えるなら、仲介マージンの存在は知っておくべきです。

在宅ワーク求人サイトや業務委託マッチングサービスを使って、記帳代行のできる在宅ワーカーに直接依頼すれば、この中間マージンがかからない分、手数料0%で発注できるプラットフォームもあります。同じ「月間100仕訳の記帳」を頼むにしても、仲介経由で3万円だったものが、直接依頼なら2万円台で収まる、といった差が生まれるわけです。

こうした記帳・経理系の作業を任せられる人材を探すなら、事務・経理まわりの実務スキルを持つワーカーが集まる著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような単価データも、費用感をつかむ参考になります。文章まわりだけでなく、こうした職種別の相場を知っておくと「この作業ならいくらが妥当か」の目安が持てます。

税理士業務は直接依頼、記帳は分離して安く

賢い費用の抑え方は、「税理士でなければできない部分」と「誰でもできる部分」を分けて考えることです。

申告書の作成・提出という税理士の独占業務は、税理士に直接依頼します。税理士紹介サービスを経由すると紹介料が上乗せされることがあるので、可能なら税理士事務所に直接問い合わせるほうが費用は抑えられます。一方、記帳という周辺作業は、在宅ワーカーへの直接依頼で安く済ませる。この「分離発注」が、費用を最適化する基本戦略です。

ただし注意点もあります。記帳を安い在宅ワーカーに頼んで、その帳簿を税理士がチェックする、という流れにすると、記帳の品質が低い場合に税理士側の確認・修正工数が増え、結局トータルで高くつくことがあります。分離発注をするなら、記帳を頼む相手の実務経験や、会計ソフトの習熟度をしっかり確認することが前提になります。

私が発注側で失敗した話

ここで、私自身が発注する側で失敗した経験を一つお話しします。事務所を開業したての頃、経費の記帳を「とにかく安く」という理由だけで選んでしまったことがありました。見積もりを3件取ったのですが、一番安いところに深く考えずに決めたんです。

結果、どうなったか。仕訳の勘定科目の振り分けが実態と合っておらず、後から自分で全部見直すはめになりました。安く上げたつもりが、確認と手直しに膨大な時間を取られて、時給換算したら自分でやったほうが早かった。これ、発注者が本当にやりがちな失敗なんです。安さだけで選ぶと、品質のブレという見えないコストを払うことになる。この経験以降、私は見積もりを比較するとき、金額だけでなく「その人が過去にどんな業種の記帳を経験しているか」「何の会計ソフトを使えるか」を必ず確認するようになりました。法律の世界でも同じで、安易に安いほうへ流れると、あとで自分が困る。費用の比較は、金額の一列だけを見てはいけないということです。

確定申告を外注するメリットとデメリット

外注を決める前に、メリットとデメリットを冷静に天秤にかけておきましょう。「外注すべきか、自分でやるべきか」の判断材料になります。

外注する4つのメリット

一つ目は、時間が生まれることです。確定申告の準備には、慣れていない人だと数十時間かかることもあります。その時間を本業や副業の売上を伸ばす活動に回せるなら、外注費以上のリターンが得られる可能性があります。時間をお金で買う、という発想です。

二つ目は、正確性と安心感です。税理士に依頼すれば、申告内容の正確性が担保され、税務調査のリスクも下がります。専門家が関与した申告は、それだけで信頼性が高まります。「自分の申告が本当に合っているか不安」というストレスから解放されるのは、想像以上に大きな価値です。

三つ目は、節税の可能性です。適用できる控除や経費計上の判断は、専門家のほうが的確です。使える控除を見落とさず、適切に経費を計上することで、外注費を上回る節税効果が出るケースもあります。「税理士費用はコストではなく投資」と言われるのは、この節税効果を含めた話です。

四つ目は、制度変更への対応です。インボイス制度や電子帳簿保存法など、税制は頻繁に変わります。専門家に任せておけば、最新の制度に沿った申告ができ、自分で制度をキャッチアップする負担がなくなります。

外注する3つのデメリット

一方でデメリットもあります。一つ目は当然ながら費用がかかること。数万円から十数万円の出費は、事業規模が小さいうちは負担に感じられます。外注費が売上に占める割合が大きすぎると、本末転倒になりかねません。

二つ目は、丸投げすると自分の数字が見えなくなること。記帳や申告をすべて外注すると、自分の事業の収支やお金の流れを把握する感覚が鈍くなります。経営判断のためには、ある程度は自分で数字に触れておくことも大切です。

三つ目は、依頼先選びとコミュニケーションの手間です。良い外注先を見つけるまでには、見積もり比較や面談が必要ですし、契約後も資料の受け渡しや質問対応といったやりとりが発生します。「丸投げすれば何もしなくていい」わけではない、という点は理解しておきましょう。

失敗しない確定申告の外注先の選び方

費用相場が分かったら、次は「どこに頼むか」です。発注者として後悔しないための、外注先の選び方のポイントを整理します。

依頼したい業務範囲を先に決める

選び方の第一歩は、依頼先を探すことではなく「自分が何を頼みたいか」を決めることです。記帳だけなのか、申告書作成まで含むのか、日常的な税務相談も欲しいのか。この業務範囲が曖昧なまま問い合わせると、相手の言い値で不要なサービスまで含んだ見積もりを提示されがちです。

まず自分の状況を棚卸ししましょう。年間売上はいくらか。青色か白色か。消費税の課税事業者か。記帳は自分でできるか。この4点を整理するだけで、自分に必要な外注範囲が見えてきます。範囲が明確なら、複数の依頼先に同じ条件で見積もりを依頼でき、フェアな比較ができます。

見積もりは必ず複数社から取る

これは鉄則です。確定申告の外注費用は、依頼先によって驚くほど幅があります。同じ条件でも、A社は8万円、B社は12万円ということは普通に起こります。最低でも2〜3件から相見積もりを取りましょう。

見積もりを比較するときは、総額だけでなく「その金額に何が含まれているか」を必ず確認します。記帳は含まれるのか、消費税申告は別料金か、税務調査の立ち会いは対応してくれるのか。安く見えても、必要なサービスが含まれておらず後から追加料金がかさむ、というパターンは要注意です。私が発注で失敗したのも、まさにこの「含まれる範囲の確認不足」が原因でした。

資格と実務経験を確認する

税務代理や申告書作成を頼むなら、相手が税理士資格を持っているか、これは絶対に確認してください。税理士でない者が有償で税務書類を作成・提出するのは税理士法違反です。つまり、無資格者に申告代行を頼むこと自体が、あなたを法的リスクにさらすことになります。ここはケチってはいけないポイントです。

記帳代行を在宅ワーカーに頼む場合は、資格は必須ではありませんが、実務経験と使える会計ソフトを確認しましょう。自分と同じ業種の記帳経験があるか、自分が使っている会計ソフトに対応できるか。この2点が合っていると、コミュニケーションのコストがぐっと下がります。

契約書で業務範囲と報酬を明文化する

外注する際は、口約束ではなく必ず契約書または業務委託の合意書を交わしてください。これ、知らない人が本当に多いんですが、業務範囲・報酬・納期・支払い条件を書面で明確にしておくことが、後のトラブルを防ぐ最大の予防策になります。

2024年に施行されたフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)では、発注者がフリーランスに業務委託をする際、取引条件を書面などで明示する義務が定められています。つまり、あなたが記帳代行などを個人に発注する側になる場合、業務内容・報酬額・支払期日などを明示する法的義務が生じるということです。※対象となる取引の範囲や具体的な義務内容はケースによって異なるため、迷ったら公正取引委員会の情報を確認するか、専門家に相談してください。制度の詳細は公正取引委員会の公式サイトでも案内されています。

こうした契約・法務まわりを含めた業務全般のサポートを外注先に求めるなら、関連するスキルを持つ人材の相場感としてAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような職種ガイドも、依頼内容を整理する際の参考になります。事務代行と一緒に周辺業務を頼む場合の費用感がつかめます。

確定申告を外注するときの実務的な流れ

実際に外注を進めるときの手順を、時系列で整理しておきます。初めて外注する人が迷わないよう、5つのステップに分けました。

ステップ1:自分の状況を整理する

まず、前述の4点(年間売上・申告区分・消費税の課税状況・記帳の可否)を整理します。あわせて、確定申告の期限も確認しておきましょう。所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までが提出期間です。この期限から逆算して、余裕を持って外注先を探し始めることが大切です。繁忙期の1月〜3月は税理士も予約が埋まりやすいので、できれば年内、遅くとも年明けすぐには動き始めたいところです。

ステップ2:依頼先を探して見積もりを取る

業務委託マッチングサービスや税理士検索サイト、知人の紹介などで候補を探します。前述のとおり、記帳代行なら在宅ワーカーへの直接依頼、税務代理なら税理士へ、と業務ごとに使い分けます。複数の候補から相見積もりを取り、金額と含まれるサービス範囲を比較します。

ステップ3:面談・ヒアリングで相性を確認する

見積もりが出そろったら、候補と面談やオンラインでのやりとりをして、相性を確認します。レスポンスの速さ、説明の分かりやすさ、こちらの業種への理解度。長く付き合うなら、この「話しやすさ」は費用と同じくらい重要です。特に税理士は一度契約すると数年単位の付き合いになることが多いので、慎重に選びましょう。

ステップ4:契約を交わし、資料を渡す

依頼先が決まったら、業務範囲・報酬・納期を明記した契約書を交わします。そのうえで、必要な資料(領収書、請求書、通帳のコピー、会計ソフトのデータなど)を渡します。資料の受け渡し方法(クラウド共有か郵送か)や、追加で必要な書類が出たときの連絡ルールも、この段階で決めておくとスムーズです。

ステップ5:内容を確認して申告・納税

外注先が作成した申告書は、提出前に必ず自分でも内容を確認します。丸投げだからと中身を見ずに承認するのは危険です。売上や経費の数字に違和感がないか、自分の記憶と照らし合わせましょう。内容に納得できたら申告・提出し、税額に応じて納税します。この一連の流れを一度経験すれば、翌年以降はぐっと楽になります。

外注費用を経費として処理するときの注意点

ここまで「確定申告の作業を外注する費用」の話をしてきましたが、最後に、支払った外注費そのものの会計処理についても触れておきます。発注者になった以上、避けて通れない論点だからです。

記帳代行や税理士に支払った費用は、事業の必要経費として計上できます。税理士報酬は「支払手数料」、記帳代行の費用も「支払手数料」や「外注費」として処理するのが一般的です。つまり、確定申告を外注した費用は経費になるので、実質的な負担は税率分だけ軽くなる、ということです。ここも「税理士費用は投資」と言われる理由の一つです。

一つ注意したいのが、人に仕事を頼んだときの「外注費」と「給与」の区別です。継続的に同じ人へ業務を頼み、その働き方が実質的に雇用に近い(指揮命令を受けている、勤務時間が拘束されているなど)と、税務上は「外注費」ではなく「給与」と判断される可能性があります。給与と判定されると源泉徴収や社会保険の論点が出てくるため、扱いが変わります。※単発の記帳代行を業務委託として頼む分には通常は外注費で問題ありませんが、継続的・専属的に人を使う形になってきたら、税理士に相談して線引きを確認してください。判断が難しいグレーなケースでは、専門家に確認するのが結局いちばん安全です。

なお、一定の報酬(原稿料、デザイン料、税理士報酬など特定の業務)をフリーランスに支払う場合、発注者側に源泉徴収の義務が生じることがあります。記帳代行そのものは源泉徴収の対象外であることが多いですが、依頼する業務内容によっては対象になる場合もあります。源泉徴収の対象範囲については国税庁の公式サイトで確認できます。発注者としての義務も忘れないようにしましょう。

独自データから見る、確定申告の外注という選択

最後に、業務委託マッチングの現場から見えてくる視点で、確定申告の外注を考察します。

在宅ワーク・業務委託の求人データを見ていると、経理・記帳代行の需要は一定して存在し続けています。特に確定申告の時期を前にした年末から年明けにかけては、記帳代行や書類整理の依頼が増える傾向があります。これは、多くの事業者が「自分でやるのは限界だ」と感じ、外注に踏み切るタイミングが集中しているからです。

そして、発注者側の視点で重要なのは、こうした事務・経理系の外注が、必ずしも高額ではないということです。前述のとおり、税理士でなければできない申告代行と、誰でもできる記帳作業を分離すれば、費用は大きく抑えられます。業務委託マッチングサービスで在宅ワーカーに直接依頼すれば、中間マージンのない分だけ、同じ作業を安く頼めます。

事務・データ入力・経理補助といった業務は、専門性の高いIT系やクリエイティブ系の職種に比べると、比較的手頃な単価で依頼できる領域です。例えば、システム開発のような高度な専門職の単価感はソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると分かりますが、事務・経理系はそれよりも依頼しやすい価格帯にあります。自分の作業を切り出して外注するとき、どの業務がいくらで頼めるかの相場観を持っておくと、無駄なく発注できます。

また、事務・経理系の在宅ワーカーの中には、ビジネス文書のスキルを持つ人も多くいます。書類作成やデータ整理を含めて頼みたい場合、ビジネス文書検定のような資格を持つワーカーを目安に探すと、事務作業全般を安心して任せられます。確定申告の記帳だけでなく、周辺の事務作業もまとめて外注できると、あなたの手元に残る時間はさらに増えます。

外注をより大きな業務にも広げていくなら、開発系の外注ノウハウをまとめたAI開発をフリーランスに外注する方法|費用相場と発注のポイントや、海外リソースを活用するオフショア開発の外注ガイド|国別の特徴・費用・成功のポイント【2026年版】も参考になります。確定申告の外注で「人に任せる」感覚をつかんだら、他の業務も少しずつ外注していく。それが、あなたの事業を身軽にしていく第一歩です。税理士への依頼を本格的に検討する段階になったら、税理士に確定申告を依頼する費用|相場と選び方のポイント【2026年版】で、より詳しい相場と選び方も確認しておくとよいでしょう。

確定申告の外注は、決して贅沢な選択ではありません。自分の時間を取り戻し、本業に集中し、正確な申告で安心を得る。そのための合理的な投資です。相場を知り、業務を分離し、直接依頼で費用を抑える。この3つを押さえれば、あなたも無理なく外注を始められます。法律も制度も、正しく使えばあなたの味方です。まずは自分の状況を整理することから、始めてみてください。

よくある質問

Q. 確定申告の外注費用はいくらくらいが相場ですか?

依頼範囲と事業規模で変わります。記帳代行のみなら年間1万円〜3万円、会社員の副業スポット申告なら5万円前後、個人事業主が記帳から申告まで丸ごと頼むと10万円〜15万円が目安です。消費税申告が加わると2万円〜5万円上乗せされます。まず自分の売上規模と依頼範囲を決めてから見積もりを取りましょう。

Q. 記帳代行と税理士への依頼はどう違いますか?

記帳代行は領収書入力や仕訳作業の代行で、税理士資格は不要なため在宅ワーカーにも依頼でき費用も安めです。一方、申告書の作成・提出や税務相談は税理士の独占業務で、無資格者には頼めません。記帳を安く外注し、申告だけ税理士に頼む「分離発注」にすると、費用を抑えつつ安心も得られます。

Q. 仲介会社を通すより直接依頼したほうが安いのですか?

記帳代行などの周辺業務は、仲介会社を通すと20%〜30%ほどの手数料が上乗せされることがあります。業務委託マッチングサービスで在宅ワーカーに直接依頼すれば、中間マージンがない分、同じ作業を安く頼めます。ただし税務代理は税理士への依頼が必須です。業務ごとに経路を使い分けるのがコツです。

Q. 確定申告を外注した費用は経費になりますか?

なります。税理士報酬や記帳代行の費用は「支払手数料」や「外注費」として必要経費に計上でき、実質負担は税率分だけ軽くなります。ただし継続的・専属的に人を使う形になると、税務上「外注費」ではなく「給与」と判断される場合があるため、線引きに迷ったら税理士に相談してください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月3日最終更新:2026年7月8日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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