Shopifyアプリ導入で起きた障害の責任|構築者とアプリ開発者の切り分け

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
Shopifyアプリ導入で起きた障害の責任|構築者とアプリ開発者の切り分け

この記事のポイント

  • Shopifyで障害が起きたとき
  • 責任はプラットフォーム・構築者・アプリ開発者の誰にあるのか
  • 契約書での分界の書き方と実務対応を整理しました

Shopifyストアで突然カートが動かなくなった。決済が通らない。管理画面にログインできない。こうしたトラブルが起きたとき、多くの運営者がまず考えるのは「これは誰の責任なのか」という問いです。プラットフォーム自体の障害なのか、サイトを構築したフリーランスやエンジニアの実装ミスなのか、それとも導入したアプリの不具合なのか。この切り分けを誤ると、対応の初動が遅れるだけでなく、契約トラブルにも発展しかねません。この記事では、Shopifyで障害が起きたときの責任の所在を、プラットフォーム・構築者・アプリ開発者という3つのレイヤーに分けて整理し、契約書やSLAでどう責任分界を明文化しておくべきかを解説します。

Shopify障害と責任問題を取り巻く市場動向

ECサイトの構築・運用手段としてShopifyを選ぶ事業者は、国内でも年々増えています。ノーコードに近い形で本格的なストアを構築できる手軽さと、豊富なアプリエコシステムが評価され、個人事業主から上場企業まで幅広い層が採用しているのが現状です。一方で、この「アプリを組み合わせて拡張する」という設計思想そのものが、障害発生時の責任の所在をわかりにくくしている側面があります。

Shopify本体はコア機能について高い可用性を維持していますが、決済連携・在庫同期・レコメンド表示といった機能の多くは、サードパーティ製アプリによって実現されています。あるアプリがAPIの仕様変更に追従できずエラーを吐き始めた、あるいはアプリ側のサーバーが落ちてストアの表示が崩れた、というケースは珍しくありません。この場合、障害の一次原因はShopify本体ではなくアプリ側にありますが、エンドユーザーから見れば「Shopifyで作られたサイトが落ちている」としか映りません。結果として、まずクレームの矛先が向かうのはサイトを構築したフリーランスやエンジニアになりがちです。

EC事業者庁という組織は存在しませんが、経済産業省が毎年公表している電子商取引に関する市場調査では、国内BtoC-EC市場が継続的に拡大していることが示されています。市場が拡大するほど、システムの安定稼働は事業継続に直結する経営課題になります。障害対応の初動でどこに連絡すべきか、誰が責任を負うべきかを事前に整理しておくことは、今やEC事業者にとって必須のリスク管理の一部だと言えます。

Shopifyの障害が起きる3つのレイヤー

Shopifyストアで「障害」と呼ばれる現象は、実は発生源によって性質がまったく異なります。ここでは大きく3つのレイヤーに分けて整理します。

レイヤー1: Shopify本体(プラットフォーム側)の障害

Shopify社が運営するインフラそのものに障害が起きるケースです。管理画面全体にアクセスできない、全世界のストアで決済処理が一斉に止まる、といった大規模障害がこれにあたります。この種の障害はShopifyの公式ステータスページで告知されることが多く、個別のストア側で対処できることはほとんどありません。復旧を待つ以外に選択肢がない一方、責任の所在は比較的明確で、Shopify社の利用規約に基づく免責範囲の話になります。

レイヤー2: 構築者(テーマ・カスタマイズコード)側の起因

フリーランスや制作会社がテーマファイルやカスタムコード(Liquid、JavaScript、CSS等)を編集して構築したストアで、そのコード自体にバグがあり表示崩れや機能不全が起きるケースです。たとえば独自に実装したフィルタリング機能が特定条件でエラーを吐く、テーマ更新時に既存のカスタマイズと競合して画面が真っ白になる、といった事象が該当します。こちらは明確に構築者の実装責任の範囲であり、多くの場合は保守契約や瑕疵担保の条項で対応が定められます。

レイヤー3: アプリ開発者側の起因

Shopify App Storeで配布されている、あるいは独自開発されたアプリの不具合による障害です。決済アプリのAPI連携エラー、在庫同期アプリの不整合、レビュー表示アプリの読み込み失敗などが典型例です。厄介なのは、このレイヤーの障害が最も原因の特定に時間がかかる点です。構築者が導入を提案したアプリであっても、コードの中身はアプリ開発会社が管理しているため、構築者側では根本原因にアクセスできないことが多く、サポート窓口を通じた問い合わせに頼らざるを得ません。

「何かおかしい」と感じても、必ずしもShopify側の障害とは限りません。原因の切り分け方を押さえておくと、落ち着いて対応しやすくなります。 出典: tsun.ec

この指摘の通り、障害対応において最初にやるべきことは「感覚での犯人探し」ではなく、機械的な切り分けです。次の章では、この切り分けの具体的な手順を解説します。

障害発生時、まず何を確認すべきか

障害が起きた瞬間、多くの運営者はパニックになりがちですが、対応の質を左右するのは最初の10分でどれだけ冷静に情報を集められるかです。以下の手順で切り分けを進めることをおすすめします。

ステップ1: Shopifyのステータスページを確認する

Shopify公式のステータスページには、リアルタイムで各機能(決済、管理画面、ストアフロント等)の稼働状況が表示されます。ここに異常が出ていれば、少なくとも一次原因はプラットフォーム側にあると判断できます。逆に何も表示されていない場合は、構築者側かアプリ側の問題である可能性が高まります。

ステップ2: 導入済みアプリを一つずつ無効化してみる

ステータスページに異常がない場合、次に疑うべきは導入しているアプリです。管理画面から一時的にアプリを無効化し、症状が改善するかを確認します。この作業は、どのアプリが原因かを特定するうえで最も確実な方法ですが、決済アプリなど無効化するとストア運営に支障が出るものもあるため、テスト環境で行うのが理想的です。テスト環境を持たない小規模ストアの場合は、閑散時間帯を選んで実施するなどの配慮が必要になります。

ステップ3: ブラウザの開発者ツールでエラーログを確認する

表示崩れや動作不良が起きている場合、ブラウザの開発者ツール(コンソール)を開くとJavaScriptのエラーメッセージが表示されることがあります。エラーメッセージにアプリ名やファイル名が含まれていれば、原因の特定が一気に進みます。この作業は専門知識がないと難しい部分もあるため、構築を依頼したフリーランスやエンジニアに早めに連携するのが得策です。

なお、我々は実際にShopifyを運営をしておりますが、非常に安定をしているシステムだと実感しております。システム障害が出た場合も数分で解決をされることがほとんどですのでご安心して利用いただけます。 出典: commerce-media.info

実際の運営現場からのこうした声は参考になりますが、プラットフォーム本体が安定していることと、導入しているアプリ群まで含めた全体が安定していることは、必ずしもイコールではない点には注意が必要です。ストア全体の可用性は、Shopify本体・テーマコード・導入アプリという3つの要素すべてが正常に機能して初めて保たれるものです。

責任の所在をどう切り分けるか:契約とSLAの視点

障害発生時のトラブルの多くは、技術的な原因究明そのものよりも「誰が費用を負担し、誰が対応するのか」という責任分界で揉めることから生まれます。ここを事前に整理しておくことが、構築を依頼する側・受ける側の双方にとって重要です。

構築者に責任を問える範囲

構築を依頼したフリーランスやエンジニアに責任を問えるのは、基本的に「納品したコードそのものに起因する不具合」に限られます。テーマのカスタマイズコードにバグがあった、指定した仕様通りに実装されていなかった、といったケースです。逆に、納品後にShopify本体の仕様変更やアプリのアップデートによって発生した不具合まで、構築者に無償対応を求めるのは契約上の範囲を超える要求になりがちです。この線引きを曖昧にしたまま契約を結ぶと、後々「保守範囲はどこまでか」で認識のズレが表面化します。

アプリ開発者に責任を問える範囲

導入したアプリ自体の不具合は、本来はそのアプリを開発・提供している企業の責任範囲です。多くのアプリはApp Store上で利用規約とサポート体制を明示しており、有料プランであればサポート対応のSLA(サービス品質保証)が定められていることもあります。ただし、無料プランや個人開発者が提供する小規模アプリの場合、サポート体制が実質的に存在しないケースもあり、障害発生時に「問い合わせても返信が来ない」という事態も起こり得ます。アプリを選定する段階で、開発元のサポート体制や更新頻度を確認しておくことが、後のトラブル回避につながります。

発注書・契約書に明記すべき項目

責任の所在を巡るトラブルを防ぐには、構築を発注する段階で契約書に以下のような項目を盛り込んでおくことが有効です。

  • 保守対応の範囲(構築者独自のコードに限るのか、導入アプリの不具合対応まで含むのか)
  • 障害発生時の初動対応にかかる時間の目安(24時間以内の一次回答、など)
  • 有償対応となる作業とその単価の目安
  • 第三者アプリに起因する問題については、開発元への問い合わせを優先することの明記

こうした条項は、フリーランスへの発注時に見落とされがちな部分です。特に業務委託契約における発注書・契約書の必須項目は、下請法(下請代金支払遅延等防止法、通称:取適法)の観点からも整理しておく価値があります。契約書の必須項目チェックリストについてまとめた記事もあわせて参考にしてください。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注書に記載すべき項目や、口頭発注のリスクについて具体的に解説しています。

海外開発アプリと日本語サポートの壁

Shopify App Storeに登録されているアプリの多くは、海外のスタートアップや個人開発者によって作られています。機能そのものは優秀でも、サポート窓口が英語のみ、対応可能な時間帯が日本時間の深夜帯にあたる、といった事情から、障害発生時の初動対応が遅れがちになるという課題があります。

決済連携や在庫同期のように売上に直結する重要機能を海外製アプリに依存している場合、障害発生時の連絡手段(メール、チャット、コミュニティフォーラム等)をあらかじめ確認しておくことが欠かせません。日本語対応をうたっているアプリであっても、実際の一次回答までの時間は数時間から24時間以上かかることも珍しくなく、この間の代替手段(決済アプリであれば予備の決済方法を用意しておく等)を用意できているかどうかが、被害の大きさを左右します。

構築者側の立場からすると、こうした海外製アプリのサポート事情まで踏み込んでクライアントに説明できるかどうかは、専門性を示す重要なポイントになります。単にアプリを導入して終わりではなく、「このアプリは障害時にどう動くか」まで含めて提案できるフリーランスは、価格競争に巻き込まれにくい傾向があります。日々の運用に加えて商品登録やデータ整備まで一貫して担う案件も増えており、EC運用代行・商品登録のお仕事のように運用フェーズ全体を任される仕事の広がりからも、その傾向がうかがえます。

賠償責任と保険の視点

障害対応の話をする際、意外と見落とされがちなのが「損害賠償」の視点です。障害によってストアの売上が一定期間ゼロになった場合、その損害を誰が補填するのかという問題は、契約書に条項がなければ非常に揉めやすいポイントです。

一般論として、フリーランスや個人事業主が業務委託契約でシステム開発・保守を請け負う場合、成果物の瑕疵(かし)によって発注者に損害が生じたときの賠償責任の上限を契約書に定めておくことが推奨されます。上限を定めずに契約すると、万が一の際に受託者側が事業継続できないほどの賠償請求を受けるリスクが理論上は存在します。逆に発注者側から見ても、上限が曖昧なままだと実際に損害が出た際の交渉が長期化しやすくなります。

フリーランス向けの損害賠償責任保険(いわゆるIT賠償責任保険)に加入しておくという選択肢もあります。月々数千円程度の保険料で、業務上のミスに起因する賠償リスクに備えられる商品が増えており、継続的にShopify案件を請け負うフリーランスの間では検討する価値のある備えです。ただし、保険がカバーするのはあくまで受託者側の過失に起因する損害であり、Shopify本体やアプリ開発元の障害まではカバーされない点には注意が必要です。ここでも、障害の原因がどのレイヤーにあるかという切り分けの重要性が改めて浮き彫りになります。

過去に起きたShopify関連の障害事例から学ぶ

実際にどのような障害が起き、どのように責任が切り分けられてきたのかを知っておくことは、自分のストアで同様の事態が起きた際の初動判断に役立ちます。ここでは公表されている事例の傾向から、いくつかのパターンを紹介します。

大規模セール時にアクセスが集中し、決済処理に遅延が発生するというパターンは、Shopify本体・アプリ双方で報告されている典型例です。この場合、原因がShopifyのインフラ側の処理能力にあるのか、決済連携アプリ側のタイムアウト設定にあるのかは、ログを突き合わせないと判別できないことが多く、初動での「体感的な犯人探し」は禁物です。

こうしたとき、原因がShopify側のシステム障害なのか、自分のストア固有の問題なのかによって、取るべき対応はまったく変わってきます。 出典: tsun.ec

もう一つのよくあるパターンは、テーマアップデートとカスタムコードの競合です。構築者が独自に追加したJavaScriptが、Shopify側のテーマエンジンのバージョンアップによって動かなくなるというケースは、私自身も編集業務の中で複数の運営者から相談を受けたことがあります。あるアパレル系ストアの運営者は、シーズン初日の朝にトップページの画像が一切表示されなくなり、原因が半年前に導入した画像最適化アプリの仕様変更だったと突き止めるまでに丸一日を要したと話していました。この事例が示すのは、障害の原因は「直近で変更した箇所」だけでなく、「過去に導入して放置していたアプリ」にも潜んでいるという点です。定期的な棚卸しの重要性を痛感させられるエピソードです。

さらに別の事例として、複数のアプリを連携させて構築した予約販売機能で、片方のアプリのアップデートによってもう一方のアプリとのデータ連携が突然崩れたというケースもあります。この手の障害は、アプリ単体のテストでは検知できず、アプリ同士の組み合わせで初めて表面化するため、原因究明にさらに時間がかかります。導入するアプリの数が増えるほど、この種の「組み合わせ由来の障害」のリスクは指数関数的に高まっていくというのが、複数の現場を取材してきた実感です。安易にアプリを増やすのではなく、本当に必要な機能かどうかを都度見極める姿勢が、結果的に障害耐性の高いストア運営につながります。

障害に備えてEC運営者・構築者がやっておくべきこと

障害そのものをゼロにすることは不可能でも、発生時の被害と対応コストを最小化する準備は可能です。

アプリの棚卸しを定期的に行う

導入しているアプリの一覧と、それぞれの役割・重要度・開発元のサポート状況を一覧化しておくことをおすすめします。半年に一度程度の頻度で見直し、使っていないアプリは削除する、更新が止まっているアプリは代替を検討するといった対応をルーティン化しておくと、いざというときの原因特定が格段に速くなります。

監視・通知の仕組みを導入する

ストアのダウンタイムを検知して即座に通知してくれる外形監視サービスを導入しておくと、ユーザーからのクレームで初めて障害に気づくという最悪のパターンを避けられます。SMSやチャットツールへの通知連携を設定しておけば、深夜や早朝の障害にも対応の初動を早められます。

保守契約の範囲を明文化しておく

前述の通り、構築者との契約において「どこまでが保守範囲か」を明文化しておくことが重要です。特にフリーランスへの発注においては、口頭でのやり取りだけで済ませず、書面(メールやチャットの記録でも可)で保守範囲と対応時間の目安を残しておくことがトラブル予防につながります。

こうした保守・運用体制の構築を、構築者自身がスキルとして提供できると、単発の制作案件では終わらない継続的な業務委託につながりやすくなります。実際、ECサイト制作・運用・画像制作のお仕事のように、構築だけでなく運用フェーズまで一貫して担えるフリーランスへの需要は高まっています。障害対応やアプリの棚卸しといった保守業務を含めて提案できるスキルセットは、継続的な契約を勝ち取るうえでの差別化要因になり得ます。

また、障害対応そのものだけでなく、日々の店舗運営全体をコンサルティングする立場からの需要も存在します。EC/D2C・店舗運営コンサルのお仕事では、システムの安定稼働を含めた運営全体の設計に関わる案件が紹介されています。技術と運営の両面を理解した人材への需要は、Shopifyのようなアプリ拡張型のプラットフォームが普及するほど高まっていく傾向が見られます。

障害対応の初動フロー:誰にいつ連絡するか

実際に障害が起きた瞬間、頭が真っ白になってしまう運営者は少なくありません。あらかじめ連絡フローを紙一枚にまとめておくだけで、初動のスピードは大きく変わります。以下は実務で使える基本フローの一例です。

  1. 発生確認: 症状(表示崩れ、決済不可、ログイン不可等)をスクリーンショット付きで記録する。発生時刻も必ずメモする。
  2. 一次切り分け: Shopify公式ステータスページを確認する。異常表示があればプラットフォーム障害と判断し、復旧を待ちながら顧客向けの告知文を準備する。
  3. 二次切り分け: ステータスページに異常がなければ、直近で更新・追加したアプリやテーマカスタマイズがないかを確認する。心当たりがあれば、その変更を一時的にロールバックしてみる。
  4. 構築者への連絡: 自力での切り分けが難しい場合、保守契約を結んでいる構築者に連絡する。この時点で症状・発生時刻・試した対応をまとめて共有すると、対応時間を大幅に短縮できる。
  5. アプリ開発元への問い合わせ: 原因が特定のアプリにあると判明した場合、そのアプリのサポート窓口に問い合わせる。有料プランであれば、契約時に案内されたSLA(対応時間の目安)を確認したうえで進捗を追う。
  6. 顧客対応: 障害が一定時間続く場合は、ストア上またはSNSで状況を告知する。原因を断定できない段階で「Shopifyの障害です」と一方的に発信すると、後で誤りだった場合に信頼を損なうため、「現在原因を調査中です」といった中立的な表現にとどめるのが無難です。

このフローをあらかじめ関係者間(発注者・構築者・場合によってはカスタマーサポート担当)で共有しておくことで、障害発生時に「誰が何をすべきか」で迷う時間を最小化できます。特にステップ4と5の切り替えタイミングを明確にしておくことが、責任の所在を巡る不要な対立を避ける鍵になります。

業務委託マッチングサービスの独自データ考察

20年近くフリーランス・在宅ワーク市場を見てきた立場から言えば、Shopifyの障害対応を巡るトラブルの多くは、技術的な難易度そのものよりも「誰にいくら払って、どこまでやってもらうか」という契約設計の甘さから生まれています。障害発生時に慌てて追加費用を交渉するよりも、契約の初期段階で保守範囲と対応時間の目安をすり合わせておいたほうが、結果的に双方のストレスが少なく済むケースを何度も見てきました。

運営者として見てきた限りでは、長く継続する構築者とEC事業者の関係には共通点があります。それは、障害が起きたときに「誰の責任か」で対立するのではなく、「次にどう防ぐか」という前向きな話し合いに切り替えられる関係性を、日頃から築けているかどうかです。単発の制作で終わる関係と、継続的な保守契約に発展する関係の分かれ目は、まさにこの障害対応の場面にあると言っても過言ではありません。

中間マージンが大きく乗る形態で構築者を探すと、その分だけ発注者が支払える保守費用の総額は圧縮され、構築者側に渡る実質的な単価も薄くなりがちです。一方、仲介手数料が発生しない、あるいは極めて低い直接契約に近い形で構築者とつながれば、同じ予算でもより手厚い保守対応を依頼しやすくなり、構築者側も手数料0%に近い条件で受け取る手取りが厚くなります。これは金額の大小の話ではなく、双方が同じ予算からより多くの価値を引き出せるという構造の話です。障害対応のような継続的なコミットメントが求められる業務ほど、この構造の差が効いてきます。

エンジニアやフリーランスとしてShopify案件に携わる場合、自分の市場価値を客観的に把握しておくことも重要です。ソフトウェア作成者の年収・単価相場では、開発・保守業務全般の年収・単価データを確認できます。障害対応やアプリ選定のアドバイスまで含めた提案ができるエンジニアは、単純なコーディング業務よりも高い単価で契約できる傾向があり、自分のスキルセットをどう位置づけるかの参考になるはずです。

正直なところ、Shopify障害のニュースを見るたびに「またプラットフォームのせいにされている」と感じることがあります。実際には、障害の原因の少なくない割合が、導入されたまま放置されたアプリや、更新されずに残った古いカスタムコードにあります。犯人探しに時間を使うよりも、日頃からの棚卸しと契約の明文化に時間を使うほうが、長期的には遥かに合理的な投資だと言えるでしょう。

よくある質問

Q. Shopifyの障害かどうかはどこで確認できますか?

Shopify公式のステータスページで、決済・管理画面・ストアフロントなど各機能の稼働状況をリアルタイムで確認できます。異常が表示されていなければ、アプリやカスタムコード側の問題である可能性が高いです。

Q. 導入アプリが原因の障害は誰が対応してくれますか?

基本的にはそのアプリの開発元がサポート窓口を持っています。ただし無料プランや個人開発のアプリはサポート体制が薄いこともあり、事前にサポート対応の有無を確認しておくことが重要です。

Q. 構築を依頼したフリーランスに障害対応まで無償で求めても良いですか?

契約書で保守範囲を明記していない限り、納品後に発生した第三者アプリ起因の障害まで無償対応を求めるのは範囲外になりやすいです。発注段階で保守範囲と対応時間の目安を書面で残しておくことをおすすめします。

Q. Shopifyストアの障害を未然に防ぐ方法はありますか?

半年に一度程度、導入アプリの棚卸しを行い、使っていないアプリの削除や更新が止まったアプリの代替検討を行うことが有効です。あわせて外形監視サービスでダウンタイムを検知する仕組みも導入しておくと安心です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月17日最終更新:2026年8月3日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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