小規模多機能型居宅介護の1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓小規模多機能型居宅介護の1日の流れを
- ✓泊まりの朝から通いのフロア
- ✓夜勤まで時間順に追います
小規模多機能型居宅介護の求人を見て、「結局、1日に何をする職場なのか」がつかめずにいる方は多いと思います。デイサービスのようでもあり、訪問介護のようでもあり、施設のように夜勤もある。
これ、知らない人が本当に多いんです。小規模多機能は、「通い」「訪問」「泊まり」の3つを、同じ事業所の同じ職員で回している場所です。つまり、1人の職員が午前中はフロアで入浴介助をし、昼過ぎに利用者の自宅へ訪問に出て、夜は泊まりの方の就寝介助をする。そういう日が普通にあります。
結論を先に書くと、小規模多機能の1日は「決まった流れ」と「その日に入る予定変更」が重なって動きます。予定変更に柔軟に対応できる人にとっては、利用者の生活を丸ごと支えられるやりがいのある職場です。一方で、決まった業務を決まった順番でこなしたい人には、落ち着かない職場に感じられます。
この記事では、朝7時から翌朝までの動きを時間順に追い、人員体制とシフトの組み方、他のサービスとの違い、そして求人票で確認しておくべき点を整理します。
小規模多機能は「通い・訪問・泊まり」を1か所で組み合わせる場所
まず、この事業所の仕組みを押さえておきます。仕組みが分かると、1日の流れが「なぜそうなっているのか」まで理解できるようになります。
小規模多機能型居宅介護は、介護保険の地域密着型サービスの1つです。1つの事業所に登録した利用者に対して、通い(日中に事業所で過ごす)、訪問(職員が自宅へ行く)、泊まり(事業所に宿泊する)を、その方の状態や家族の事情に合わせて組み合わせて提供します。
登録できる利用者の定員は29人以下と決められています。そのうえで、1日の通いの定員は原則15人以下、泊まりの定員は原則9人以下という上限があります。つまり、登録している29人全員が毎日来るわけではなく、ある方は週3日の通い、ある方は毎日の訪問と週1回の泊まり、というように、一人ひとり利用の形が違います。
料金の仕組みにも特徴があります。
小規模多機能型居宅介護事業所は、365日24時間体制でサービス提供をしており、利用回数に制限はありません。月額定額制で、どのサービスを何回利用しても基本料金の増減はなく、料金を気にせず必要なときに必要なサービスを必要なだけ利用できます。ただし、食費や宿泊費、オムツ代などは別途料金がかかるようです。 出典: job.kiracare.jp
この「月額定額で回数に制限がない」という仕組みが、働く側の1日を大きく左右します。
たとえば、利用者の家族から朝に「今日は急に仕事が入ったので、夕方まで預かってほしい」と電話が入る。あるいは「昨夜から母の様子がおかしいので、午後に一度見に来てほしい」と連絡が来る。月額定額なので、利用者側は追加の料金を気にせずに頼めます。事業所は、その日の職員の配置の中で、これを受け止めることになります。
つまり、小規模多機能の職員の1日は、朝の時点で決まっている予定表どおりには終わらない前提で組まれているということです。ここが、デイサービスとも訪問介護とも決定的に違う点です。
もう1つ、働く前に知っておきたいのが、利用者のケアマネジャーの扱いです。小規模多機能を利用し始めると、それまで居宅介護支援事業所のケアマネジャーに作ってもらっていたケアプランは、小規模多機能の事業所に所属する介護支援専門員が作ることになります。そして、訪問介護やデイサービスなど、一部のサービスは他の事業所のものと併用できなくなります。訪問看護や福祉用具の貸与などは併用できます。
これ、利用を検討している家族が見落としやすいポイントで、職員が説明を求められる場面が多いんです。働く側としても、基本的な仕組みは頭に入れておいてください。
人員体制と、シフトの組み方
1日の流れを追う前に、誰が何人いるのかを整理しておきます。
人員配置の基準では、日中の時間帯について、通いの利用者3人に対して介護職員などの従業者を常勤換算で1人以上、それとは別に訪問サービスを担当する従業者を常勤換算で1人以上配置することになっています。夜間は、夜勤の職員を1人以上、さらに宿直の職員を1人以上置く決まりです。宿直の職員は、夜間に訪問の要請があったときに対応する役割を持ちます。
このほか、看護職員を1人以上、介護支援専門員を1人、そして管理者を置きます。
登録定員29人前後の事業所で、1日の通いの利用者が15人程度だとすると、日中の通いの担当に5人前後、訪問の担当に1人から2人程度、というのが目安になります。ただし、実際にはこの人数が固定で分かれているわけではなく、1人の職員が時間帯によって通いと訪問を行き来します。
シフトは、4つ程度の勤務帯を組み合わせるのが一般的です。
早番は7時頃から16時頃までで、泊まりの利用者の朝の支援と、朝の訪問、通いの迎えを担当します。日勤は8時30分頃から17時30分頃までで、通いのフロアの中心になります。遅番は10時から11時頃に始まり、19時から20時頃までで、午後の訪問と夕方の送り、泊まりの方の夕食を担当します。夜勤は16時から17時頃に始まり、翌朝の9時から10時頃までの長時間勤務になっている事業所が多く見られます。
ここで、働く側の権利として知っておいてほしいことがあります。
16時間前後の夜勤は、日付をまたぐため、労働基準法上は1回の勤務として扱われるのが一般的です。そして、法律上の休日は原則として暦日、つまり0時から24時までの丸1日を指します。夜勤明けの日は、朝まで働いているので、その日を休日として数えることは原則としてできません。
つまり、「夜勤明けの日は休みだから」とシフト表で休日扱いにされていても、法律上の休日としては別に確保されている必要があるということです。これ、知らない人が本当に多いんです。
また、宿直については、労働基準監督署の許可を受けた宿直であれば労働時間の規制の対象から外れますが、許可のない宿直や、実態として頻繁に起きて対応している宿直は、通常の労働時間として扱われる可能性があります。
※シフトや宿直の扱いが実際の働き方と合っていないと感じた場合は、まず事業所に確認し、それでも解決しない場合は労働基準監督署などの専門の窓口に相談してください。
朝7時から昼まで:泊まりの朝、朝の訪問、通いの迎え
ここから、1日を時間順に追っていきます。
7時頃、早番の職員が出勤します。最初に行うのは、夜勤の職員からの申し送りです。泊まりの利用者が夜間に何回起きたか、トイレの回数、服薬の状況、夜間に家族や利用者宅から電話があったかどうか。ここで、その日の最初の予定変更が見つかることがあります。
申し送りが終わると、泊まりの方の起床の介助、着替え、洗面、朝食の準備と介助を行います。泊まりの方がそのまま通いに移行する場合は、朝食後に通いのフロアで過ごしてもらいます。泊まりの方が自宅へ帰る場合は、送りの準備をします。
同じ時間帯に、朝の訪問が入ります。独り暮らしの方の自宅を訪ねて、起床の確認、朝食の準備、服薬の確認を行います。朝の訪問は、1件あたり15分から30分程度の短いものが多く、「朝の薬を飲んだかを見るだけ」「カーテンを開けて顔色を確認するだけ」という内容の場合もあります。この短い訪問を、早番の職員が車で数件回ることがあります。
8時30分頃、日勤の職員が出勤すると、通いの利用者の迎えが始まります。送迎車で自宅を回り、家族から前日の様子を聞き取ります。
9時30分頃までに通いの利用者がそろうと、看護職員がバイタルチェックを行います。体温、血圧、脈拍を測り、体調によっては入浴を見合わせる判断をします。
10時頃からは、入浴と午前の活動の時間です。入浴を担当する職員は浴室と脱衣所で介助をし、残りの職員はフロアで体操、脳トレーニング、趣味活動などを見守ります。通いの定員が15人以下と少ないため、デイサービスに比べると、利用者一人ひとりの過ごし方に合わせやすいのが特徴です。全員で同じレクリエーションをするより、新聞を読む人、洗濯物をたたむ人、職員と一緒に昼食の準備を手伝う人、と過ごし方が分かれていることもよくあります。
この午前中に、電話が入ることがあります。「母が朝から熱っぽいので、今日の通いは休ませたい。代わりに昼に様子を見に来てもらえないか」。こうした連絡を受けて、午後の訪問の予定を組み直すのは、管理者や介護支援専門員、その日のリーダーの役割になります。
昼から夕方まで:通いのフロアと、合間の訪問
12時頃は昼食の時間です。通いの利用者の食事介助と、泊まりの方がいればその方の食事介助も行います。事業所によっては、職員が利用者と同じテーブルで食事をとり、会話をしながら食べる工夫をしているところもあります。
同じ時間帯に、昼の訪問が入ります。自宅で過ごしている方の昼食の準備や、配食の確認、服薬の確認です。昼の訪問に出る職員がいる間、フロアの人数は一時的に減ります。この「フロアから職員が抜ける時間」をどう埋めるかが、小規模多機能のシフトの組み方の要になります。
食後は口腔ケアと排泄介助、そして職員の休憩の時間です。休憩は交代で取りますが、訪問が重なると後ろにずれることがあります。
13時から15時頃は、午後の活動の時間です。散歩、買い物への同行、季節の行事の準備、個別の機能訓練など。少人数だからこそ、「今日は天気がいいので、近くのスーパーまで一緒に歩いて買い物に行く」といった外出がしやすいのも、この職場の特徴です。地域の行事に利用者と一緒に参加する事業所もあります。
この時間帯にも、訪問が入ります。朝の電話で頼まれた安否確認、定期的な掃除や洗濯の支援、通院の付き添いなどです。午後の訪問は、遅番の職員が出勤した後に担当することが多いです。
15時頃におやつとお茶の時間を過ごし、16時頃から通いの利用者の送りが始まります。送迎の途中で、自宅にいる別の利用者の夕方の訪問を兼ねることもあります。送迎と訪問を1回の運転でまとめるルートを組むのは、事業所の工夫のしどころです。
私のもとに届いたご相談で、小規模多機能で働き始めた方が「午後の訪問に出たら、戻ってくるまでに通いの利用者の送りが始まってしまい、自分の担当の方にさよならが言えなかった」と話していたことがあります。1日のうちに役割が何度も変わるので、最初の数週間は、自分がいま何を担当しているのかを見失いやすいんです。多くの事業所では、ホワイトボードに当日の訪問と送迎の担当を時間ごとに書き出して、全員で共有しています。入職したら、まずこのボードの読み方を覚えるのが近道です。
夕方から翌朝まで:遅番と夜勤
17時30分頃に日勤の職員が退勤すると、事業所に残るのは遅番と夜勤の職員です。
夕方の時間帯は、泊まりの利用者の夕食の準備と介助が中心になります。泊まりの定員は9人以下ですが、実際には1晩に3人から6人程度という事業所が多い傾向です。夕食後は服薬の確認、口腔ケア、入浴を夜に希望する方への対応を行います。
同じ時間帯に、夕方から夜の訪問が入ります。自宅で過ごす方の夕食の確認、夜の服薬の確認、就寝の準備の手伝いなどです。独り暮らしで認知症のある方の場合、夜の服薬を確実にしてもらうために毎晩短い訪問を入れていることもあります。遅番の職員は、泊まりの対応と夜の訪問を行き来しながら、19時から20時頃に退勤します。
遅番が帰ると、夜勤の職員が泊まりの利用者の就寝介助を行います。21時から22時頃には消灯となり、その後は2時間ごとなど決められた間隔で巡回し、排泄の介助、体位の交換、眠れない方への声かけを行います。
夜間には、利用者の自宅から電話が入ることがあります。「転んで起き上がれない」「トイレに行きたいが1人では行けない」。こうした緊急の要請に対して訪問するのが、宿直の職員の役割です。夜勤の職員は泊まりの利用者から離れられないため、訪問は宿直の職員が出る形になります。宿直の職員が事業所外で待機している事業所もあります。
明け方、5時から6時頃になると、泊まりの利用者が起き始めます。起床の介助、トイレ、着替えを行い、7時頃に早番の職員が出勤したら、夜間の出来事を申し送ります。そこから、また新しい1日が始まります。
こうして1日を追ってみると、小規模多機能の職員は、24時間の中で「通い」「訪問」「泊まり」の担当を入れ替わりながら、同じ利用者を切れ目なく見ていることが分かります。朝に通いのフロアで会った方の自宅へ、夜に訪問で伺う。昨日泊まった方が、今日は通いで来ている。同じ顔ぶれの職員が関わり続けることで、利用者も家族も安心できる。これが、この仕組みの一番の狙いです。
看護小規模多機能(かんたき)だと、1日の中身がどう変わるか
求人を探していると、「看護小規模多機能型居宅介護」という名前を見かけることがあります。略して「かんたき」「看多機」と呼ばれます。名前が似ているので同じものだと思われがちですが、1日の中身はかなり違います。
看護小規模多機能は、小規模多機能の「通い」「訪問介護」「泊まり」に、「訪問看護」を加えた形です。登録定員は29人以下、通いは18人以下、泊まりは9人以下と、規模の枠組みは小規模多機能に近いものになっています。
違いが大きいのは、人員配置と利用者の状態です。看護小規模多機能では、看護職員を常勤換算で2.5人以上配置し、そのうち1人以上は常勤の保健師または看護師であることが求められます。小規模多機能の看護職員が1人以上であるのと比べると、看護の体制がかなり厚くなっています。
その分、利用者には医療的なケアが必要な方が多くなります。退院したばかりで状態が安定していない方、たんの吸引や経管栄養が必要な方、自宅での看取りを希望している方などです。
介護職員の1日で言えば、朝の申し送りに看護の情報が多く含まれるようになります。夜間の吸引の回数、点滴の状況、痛みの訴え。通いのフロアでも、看護職員が医療的なケアを行う横で、介護職員が入浴や食事の介助を担当する場面が増えます。訪問では、看護職員が訪問看護として自宅に伺い、介護職員がその前後の生活の支援に入る、という組み合わせもあります。
泊まりの夜間にも違いが出ます。医療的なケアが必要な方が泊まっている場合、夜勤の介護職員は、看護職員と電話でつながるオンコールの体制を頼りにしながら対応することになります。
また、看護小規模多機能では、利用者の最期に関わる場面が小規模多機能より多くなる傾向があります。自宅で最期を迎えたいという本人と家族の希望を、通い、訪問、泊まり、訪問看護を組み合わせて支えるためです。
これ、応募する側としては大事な違いです。医療的なケアに関わる経験を積みたい方、看取りに向き合う覚悟がある方にとっては、学べることの多い職場です。一方で、医療的なケアの場面に不安がある方は、まず小規模多機能で経験を積んでから検討するという順番も考えられます。求人票で事業所の名前を見るときは、「看護」の2文字が入っているかどうかを必ず確認してください。
デイサービス、訪問介護、グループホームとの比較
他のサービスと並べると、小規模多機能で働くことの特徴がはっきりします。
デイサービスとの比較から始めます。デイサービスは通いに特化していて、夜勤は原則ありません。利用者の人数が多く、決まった時間の流れで全員にサービスを提供します。小規模多機能は、通いの人数が少ない分、一人ひとりに合わせた過ごし方ができますが、訪問や泊まりの業務があり、夜勤もあります。
訪問介護との比較では、訪問介護は1件ごとに決められた時間と内容で支援を行い、訪問先で1人で判断する場面が多くなります。小規模多機能の訪問は、短時間で内容が柔軟なものが多く、事業所に戻れば他の職員や看護職員に相談できます。
グループホーム、つまり認知症対応型共同生活介護との比較では、グループホームは利用者がそこで暮らしています。小規模多機能の利用者は、基本的に自宅で暮らしていて、必要なときに通ったり泊まったりします。自宅での生活を続けるための支援、という点で性格が違います。
給与の面も比べておきます。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」によると、小規模多機能型居宅介護事業所で月給制で働く介護職員の2024年の平均給与額は、常勤が305,220円、非常勤が236,060円です。 出典: job.kiracare.jp
同じ調査では、デイサービスの月給制・常勤の介護職員の平均給与額は294,440円、訪問介護事業所は349,740円とされています。つまり、小規模多機能の常勤の介護職員は、デイサービスより高く、訪問介護より低い水準にあるということです。夜勤の手当があることが、デイサービスとの差の一因と考えられます。
働くメリットとしては、次のような点が挙げられます。通い・訪問・泊まりのすべてを経験でき、介護の幅広い技術が身につくこと。少人数の利用者と長く関わり、生活の全体を支える実感を持てること。地域の中で利用者の暮らしを見るため、在宅介護の実際を深く知れること。
デメリットとしては、予定変更が多く、1日の業務が読みにくいこと。訪問のために運転が必要な場合が多いこと。夜勤があり、宿直も含めて職員数に余裕がないと負担が偏りやすいこと。1人の職員に求められる役割が広いこと、が挙げられます。
入職して最初の1か月でつまずきやすいところ
1日の流れが分かっても、実際に働き始めると戸惑う場面があります。小規模多機能で働き始めた方がつまずきやすいところを、あらかじめ知っておいてください。
1つ目は、利用者29人分の「利用の形」を覚えることです。デイサービスなら、その日来ている方を見れば済みます。小規模多機能では、今日は通いで来ていない方にも、夕方に訪問が入っているかもしれません。明日の夜に泊まりの予定が入っている方もいます。登録者一人ひとりが、週のどこで、どのサービスを使っているのか。これを頭に入れるまでに、多くの方が1か月から2か月ほどかかります。
2つ目は、自宅という場所の違いです。通いのフロアで会う利用者と、自宅で会う利用者は、同じ人でも見せる顔が違います。事業所では穏やかに過ごしている方が、自宅では片付けられない部屋に困っていたり、冷蔵庫の中が空だったりします。訪問に出るようになると、「この方の生活はこうなっていたのか」と気づく場面が何度もあります。この気づきを記録に残して、職員全体で共有することが、小規模多機能の支援の質を決めます。
3つ目は、家族からの電話への対応です。月額定額で回数に制限がないため、家族からの依頼の電話は頻繁に入ります。受けた職員がその場で「大丈夫です」と答えてしまうと、その日の職員の配置では対応できないこともあります。新人のうちは、依頼の電話は内容を正確に聞き取って、管理者やリーダーに判断を仰ぐのが基本です。
4つ目は、運転です。朝の訪問、通いの送迎、午後の訪問、夕方の送りと、1日のうちに何度も車に乗ります。事業所の周辺の道、利用者宅の駐車場所、狭い路地の抜け方を覚えるまでは、運転そのものが大きな負担になります。多くの事業所では、最初のうちは先輩の運転に同乗してルートを覚えさせてくれるので、遠慮せずに頼んでください。
5つ目は、夜勤の最初の数回です。夜間は職員が少なく、泊まりの利用者の対応と、自宅からの電話を同時に受ける可能性があります。最初の夜勤は、先輩と2人で入らせてもらえるかを事前に確認しておくと安心です。
私のもとに届いたご相談で、「研修期間中なのに、人手が足りないという理由で2回目から1人で夜勤に入らされた」というものがありました。こういうケースでは、まず事業所に研修の計画を確認することが大切です。※体調を崩すほどの負担が続く場合は、1人で抱え込まず、労働基準監督署などの相談窓口も頼ってください。
資格と、求人票で確認しておくこと
小規模多機能で介護職員として働くために、法律上必須の資格はありません。ただし、多くの事業所では介護職員初任者研修の修了を採用の条件にしているか、入職後の取得を求めています。訪問サービスを担当する場合、訪問介護のような資格の要件は課されていませんが、1人で自宅に伺う以上、基本的な介護の知識は欠かせません。
介護福祉士の資格を持っていると、資格手当に加えて、処遇改善加算の配分で評価されやすくなります。また、介護支援専門員の資格を取り、所定の研修を修了すれば、小規模多機能の計画作成担当者として働く道もあります。1つの事業所の中でキャリアを積み上げやすい職場と言えます。
求人票を見るときに確認しておきたいのは、次の点です。
1つ目は、登録者数と、1日の通い・泊まりの平均人数です。定員の上限ではなく、実際の人数を聞いてください。登録が29人いっぱいの事業所と、20人程度の事業所では、訪問の件数も夜間の電話の頻度も違います。
2つ目は、訪問の件数と運転の有無です。1日に何件くらい訪問が入るのか、訪問は車なのか自転車なのか。普通自動車免許が必須と書かれていれば、運転を担当する前提です。
3つ目は、夜勤の回数と勤務時間、そして宿直の扱いです。夜勤が月に何回あるのか、16時間の長時間夜勤なのか、2交代なのか3交代なのか。宿直は誰がどこで待機し、夜間の訪問は月に何回くらい発生しているのか。前述の通り、夜勤明けの日と休日の扱いも確認しておくと安心です。
4つ目は、勤務帯の固定の有無です。早番・日勤・遅番・夜勤をすべて回すのか、日勤のみや夜勤専従の働き方があるのか。家庭の事情で夜勤ができない場合、それが認められるかは事業所によって違います。
5つ目は、看護職員の配置と、夜間の連絡体制です。夜間に利用者の体調が急変したとき、看護職員に電話で相談できる体制があるかどうかは、夜勤の職員の安心感に直結します。
※雇用契約書や労働条件通知書は、入職前に必ず書面で受け取り、勤務時間、休日、夜勤手当、宿直の扱いが明記されているかを確認してください。口頭の説明と書面の内容が違う場合は、入職前にどちらが正しいのかを確認し、書面を正しい内容に直してもらってください。
現場を長く見てきた立場から、働く場所の選び方について
最後に、在宅ワークとフリーランスの市場を20年運営してきた立場から、1つだけ観察を書かせてください。
小規模多機能の仕事は、決まった業務を正確にこなすことよりも、状況に合わせて自分の役割を組み替えることが求められる仕事です。これは、在宅で複数の仕事を並行して受けている人の働き方とよく似ています。長く続く人ほど、「いま自分が何を担当していて、次に何が入っているか」を常に見える形にしていて、急な依頼が入っても慌てずに順番を組み替えています。ホワイトボードに1日の担当を書き出す小規模多機能の職員の習慣は、そのまま他の仕事にも持ち出せる技術です。
報酬の構造という点でも、覚えておきたいことがあります。間に入る事業者が増えるほど、働く人の手元に残る額は薄くなります。介護の派遣でも、仕事の仲介サービスでも、この構造は同じです。仲介の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。手数料0%という形の値打ちは、金額の大小ではなく、この手取りの厚みという質にあります。
小規模多機能の仕事では、申し送りや記録、家族への連絡帳など、短い文章で正確に伝える場面が1日に何度もあります。事実と判断を分けて簡潔に書く型を意識するだけで、記録にかかる時間が短くなり、読む側の受け取り違いも減ります。記録の書き方を見直すことは、残業を減らすいちばん身近な方法の1つです。
また、介護の現場で積んだ経験が報酬としてどう評価されているかは、年齢や地域ごとの水準をまとめた介護職員の年収・単価相場で確認できます。現場で積んだ経験がどこで価値を持つのかを知っておくことは、自分の働き方を選ぶ材料になります。
小規模多機能の1日は、朝の予定表どおりには終わりません。でも、その変化を受け止める仕組みと、自分の働き方を守るルールを知っていれば、利用者の暮らしを丸ごと支える仕事に安心して向き合えます。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 小規模多機能型居宅介護の職員は1日にどんな仕事をしますか?
通い・訪問・泊まりの3つを、時間帯によって担当を入れ替えながら行います。朝は泊まりの方の起床介助と朝の訪問、日中は通いのフロアでの入浴や食事の介助と合間の訪問、夕方は送りと夜の訪問、夜は泊まりの方の就寝介助と巡回です。家族からの電話で当日に予定が変わることも多い職場です。
Q. 小規模多機能に夜勤はありますか?
あります。夜間は夜勤の職員を1人以上、さらに夜間の訪問に対応する宿直の職員を1人以上置く基準になっています。夜勤は16時頃から翌朝までの長時間勤務の事業所が多く見られます。夜勤明けの日は原則として法律上の休日にはならないため、休日が別に確保されているかをシフト表で確認しましょう。
Q. 小規模多機能とデイサービスの違いは何ですか?
デイサービスは通いに特化し、夜勤は原則ありません。小規模多機能は登録定員29人以下の利用者に通い・訪問・泊まりを組み合わせて提供し、通いの人数が少ない分、一人ひとりに合わせた過ごし方ができます。そのかわり訪問や泊まりの業務と夜勤があり、職員の役割は広くなります。
Q. 小規模多機能の給料はどのくらいですか?
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査によると、月給制で働く介護職員の平均給与額は常勤で305,220円、非常勤で236,060円です。同じ調査のデイサービスの常勤294,440円より高く、訪問介護の常勤349,740円より低い水準で、夜勤手当の有無が差の一因と考えられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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