社会保険労務士の在宅でできる仕事


この記事のポイント
- ✓社会保険労務士の資格を持つ人が在宅で引き受けられる仕事を
- ✓資格が要件になる案件とならない案件に分けて整理しました
- ✓社労士法の業務区分から見分ける方法
結論から書きます。社会保険労務士の資格を持つ人が在宅で受けられる仕事は、性質のまったく違う2つに分かれます。ひとつは、資格がなければそもそも引き受けられない仕事。もうひとつは、資格がなくてもできるけれど、持っている人のほうが圧倒的に有利な仕事です。
この2つを混ぜて考えると、案件選びを誤ります。前者は登録の状態が問われますし、後者は登録がなくても始められる。求人票に「社労士資格をお持ちの方歓迎」と書いてあっても、それが要件なのか歓迎なのかで、応募後の話がまったく変わってきます。
正直なところ、この線引きを曖昧にしたまま「社労士の在宅副業」を語っている情報が多すぎます。この記事では、まず社労士法上の業務区分から見分け方を整理し、そのうえで在宅で成立する仕事の種類、求人票の読み方、報酬の水準、在宅特有の情報管理までを順に見ていきます。
業務区分を押さえると、見分けがつく
社会保険労務士の業務は、社会保険労務士法第2条で3つに区分されています。この区分が、そのまま案件の性質を決めます。
1号業務は、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、その提出代行、そして事務代理です。労働保険の年度更新、社会保険の資格取得届や喪失届、算定基礎届、そして各種の届出を作って行政官庁に出す仕事がここに入ります。
2号業務は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成です。就業規則、労働者名簿、賃金台帳といった、法令に基づいて備え付けが求められる書類の作成が該当します。
3号業務は、労務管理その他の労働および社会保険に関する事項についての相談と指導です。人事制度の設計、労務トラブルの相談対応、社内研修といったコンサルティング寄りの業務がここに入ります。
そして重要なのが、社会保険労務士法第27条です。1号業務と2号業務については、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、他人の求めに応じ報酬を得て業として行うことが制限されています。いわゆる独占業務です。一方、3号業務にはこの制限がありません。
つまり、資格が要件になるのは1号業務と2号業務であって、3号業務は資格がなくても提供できるということになります。この一点を知っているだけで、案件の見え方が変わります。
登録の区分という、もうひとつの前提
もうひとつ押さえておくべきなのが、登録です。社会保険労務士法第14条の2は、社会保険労務士となる資格を有する者が業務を行うには、社会保険労務士名簿への登録を受けることを定めています。登録には都道府県社会保険労務士会への入会が伴います。
登録には、開業、勤務、その他といった区分があります。この区分によって、行える業務の範囲や、他人から報酬を得て独占業務を行えるかどうかの扱いが変わります。
ここは、記事の情報だけで判断しないでください。試験に合格しているだけで登録をしていない状態、勤務先の社労士法人に勤務登録している状態、開業登録をしている状態では、それぞれ扱いが異なります。自分の登録区分で受けようとしている仕事ができるのかは、所属する都道府県社会保険労務士会と全国社会保険労務士会連合会に確認してください。副業として独占業務を受けるつもりなら、この確認は最初にやるべき手続きです。
資格そのものの位置づけや、試験と登録の関係を整理して確認したい場合は社会保険労務士の資格ガイドが役に立ちます。
案件を見分ける3つの問い
目の前の案件が独占業務に当たるかどうかを判断するとき、次の3つを順に確認すると整理できます。
第1に、成果物の提出先が行政官庁かどうか。労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、都道府県労働局。これらに出す書類を作る、あるいは代わりに出す仕事であれば、1号業務に当たる可能性が高くなります。
第2に、法令に基づく備え付け書類かどうか。就業規則や賃金台帳のように、法令が作成と備え付けを求めている書類であれば、2号業務の領域に入ります。
第3に、報酬を得て反復継続する意思があるかどうか。1回きりの無償の手伝いと、事業として受けることは扱いが異なります。
この3つのどれにも当たらず、助言や設計にとどまる仕事であれば、3号業務の領域です。ここは資格の有無で制限されません。
ただし、実務では境界がはっきりしない案件もあります。給与計算がその典型で、計算そのものは独占業務に含まれないと整理される一方、それに付随して社会保険の手続きまで行えば1号業務の話になります。案件の説明を読んで判断がつかないときは、発注側に「行政への提出まで含むのか」を確認してください。この一問で大半は片付きます。
資格が要件になる在宅の仕事
まず、資格を持っていることが前提になる仕事から見ていきます。
手続き業務のリモート受託
社会保険や労働保険の手続きは、電子申請の普及によって在宅での対応が現実的になりました。従業員の入退社に伴う資格取得と喪失、算定基礎届、労働保険の年度更新、育児休業給付や傷病手当金の申請。これらは書類と情報が揃えば場所を選びません。
完全在宅を前提にした募集も出ています。
社会保険労務士資格と実務経験3年以上をお持ちの方へ、完全在宅で専門性を活かせる求人です。社会保険・労働保険手続き、給与計算、クライアント対応、補助金・助成金申請、データ管理業務を担当いただきます。希望稼働時間は相談可能で、9:00~18:00の間を中心に、ご事情を考慮しながら進めます。IT化が進んだ環境で、紙中心の非効率な作業は極力削減し、価値の高い業務に集中できます。全国どこからでも応募可能で、経験を活かし新しい働き方に挑戦しませんか。休日・休暇は土日祝日です。 出典: 求人ボックス
この募集で注目したいのは、資格に加えて実務経験3年以上を求めている点です。手続き業務は、条文を知っていることと、実際に処理できることの間に距離があります。合格しただけでは戦力になりにくい領域だと、募集側も分かっています。
逆に言えば、実務経験があれば在宅でも高い評価を得られる分野です。稼働時間が相談可能と明記されている点も、副業として組みやすい条件になります。
助成金の申請支援
雇用関係の助成金の申請は、社労士の得意分野です。キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金といった制度は要件が細かく、書類の整合性が厳しく見られます。
助成金の申請代行は1号業務の領域に入ります。したがって資格と登録が前提です。報酬の形は着手金と成功報酬の組み合わせが一般的で、成功報酬は受給額の一定割合とする例が見られます。
在宅との相性は良い分野です。企業とのやり取りはオンラインで済み、書類の準備も電子化が進んでいます。ただし制度の改正が頻繁なため、最新の要件を追い続ける負担があります。制度の詳細は厚生労働省が公表している資料で確認する習慣をつけてください。
就業規則の作成と改定
就業規則の作成は2号業務に当たります。法改正が続いている領域なので、既存の規程を現行法に合わせて見直す依頼が継続的に発生します。
この仕事は、条文を書く作業そのものより、その企業の実態を聞き取る過程に時間がかかります。オンライン会議で聞き取り、案を作り、修正を重ねる。全工程を在宅で完結させることは可能です。
労務相談と顧問
3号業務に当たるため制度上の独占はありませんが、実際には資格を持つ人に依頼が集まる領域です。ハラスメント対応、労働時間の管理、退職をめぐる相談。企業が相談相手を探すとき、資格は選定の基準になります。
顧問契約の形にすれば、月額の固定収入になります。ただし、相談は突発的に発生するため、本業を持ちながら受けるなら対応可能な時間帯を契約時に明示しておく必要があります。
資格が要件にならない在宅の仕事
次に、資格が必須ではないけれど、持っていることが強い武器になる仕事です。副業として始めるなら、こちらのほうが入口として現実的な場合もあります。
給与計算のアウトソーシング
給与計算の受託は、社労士事務所だけでなく、記帳代行会社やBPO事業者も手がけている領域です。計算そのものは独占業務に含まれないと整理されるため、資格がなくても受託されています。
ただし、社会保険料の控除、雇用保険料率の改定への対応、住民税の特別徴収、年末調整との連動。この一連を正確に処理するには労働社会保険の知識が要ります。資格保有者が受ければ、ミスの少なさで差がつきます。
在宅で受けやすい業務の代表格で、募集も多く出ています。
週2日からOK、在宅ワークも可能な社会保険労務士事務所の補助業務です。労働保険・社会保険の手続きや給与計算を担当していただきます。未経験者歓迎で、社会保険労務士の勉強中の方や有資格者も優遇されます。駅から徒歩5分以内、転勤なし、残業なし、完全土日祝休み、1日4h以内OK、10時以降始業、16時前終業、既卒・第二新卒歓迎、増員募集で年間休日120日以上です。夏季休暇、年末年始休暇、交通費支給あり(月15,000円まで)、テレワーク・在宅OK、服装自由、労災保険、食事手当... 出典: 求人ボックス
「未経験者歓迎」で「有資格者も優遇」という書き方に注目してください。これは、資格が要件ではなく評価加点であることを示しています。1日4時間以内、週2日から可能という条件は、本業を持つ人が副業として組み込みやすい形です。
労務・人事系の記事執筆と監修
労務やHRをテーマにしたメディアは、専門家の確認を必要としています。法改正の解説、就業規則の書き方、労働時間管理の実務。誤った情報を出せば媒体の信用に関わるため、有資格者の監修は需要が安定しています。
監修は在宅で完結し、締切さえ守れば時間帯が自由です。報酬は1本あたりの固定額で、内容の専門性によって幅が出ます。執筆まで引き受ける場合は文字単価での計算になります。文章を扱う仕事の収入水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっており、監修料と執筆料を分けて交渉するときの目安になります。
なお、文章の正確さを担保する仕事という点では、校正や校閲の領域と共通する部分があります。文書のチェックを仕事にする形については校正技能検定を活かす在宅副業|校正・校閲の案件相場と始め方に、案件の探し方と相場が整理されています。
受験講座の講師と教材制作
社労士試験の受験対策を扱うスクールは、講師と教材制作者を募集しています。自分が通ってきた道なので、受験生がどこでつまずくかを具体的に説明できるのが強みです。
オンライン開講が主流になったことで、居住地の制約が小さくなりました。1コマ単位の契約であれば、土日だけの稼働で組むこともできます。
HR系サービスの導入支援とカスタマーサクセス
労務管理や勤怠管理のクラウドサービスが普及したことで、その導入を支援する仕事が生まれています。顧客企業の運用に合わせて設定を組み、使い方を説明し、法改正時の対応を案内する。労務の知識とツールの理解の両方が必要な領域です。
この仕事は完全に在宅で成立し、契約形態も業務委託が多く見られます。労務の実務を知っている人が入ると、顧客企業からの信頼が早く得られます。IT寄りの職種の単価水準を確認したい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になりますし、業界そのものへの移り方についてはプログラマー 転職完全攻略!未経験から年収を上げるステップと在宅・副業の実現法に、在宅と副業を含めた進み方が整理されています。
人事制度設計と研修コンテンツの制作
評価制度の設計、賃金テーブルの見直し、管理職向け研修の教材制作。これらは3号業務の領域であり、企業の課題に踏み込む仕事です。
単価は高い一方で、成果が出るまで時間がかかり、企業側の意思決定に左右されます。副業として受けるなら、成果物の範囲を明確に区切った契約にしないと、際限なく巻き込まれます。
求人票をどう読むか
在宅の社労士案件を探すとき、求人票の読み方にコツがあります。
まず、必須資格の欄と歓迎条件の欄を分けて読みます。必須に「社会保険労務士」と書かれていれば独占業務を含む可能性が高く、歓迎に書かれているだけなら補助的な業務が中心です。
次に、業務内容に「提出代行」「事務代理」「申請」という語が含まれているかを見ます。これらの語があれば1号業務の領域です。「補助」「アシスタント」「入力」であれば、有資格者の指示のもとで動く形が想定されています。
3つ目に、稼働の条件です。週何日、1日何時間、時間帯の指定があるか。副業として組むなら、ここが本業と衝突しない設計になっているかを最初に確認します。
未経験から入れる募集もあります。
社会保険労務士補助として、未経験から人事・労務の専門知識を習得し、AIやHRTechを活用した最先端の業務効率化ノウハウを身につけることができます。将来的には人事コンサルタントや研修講師へのステップアップも可能です。週休2日制で年間休日110日、夏季・年末年始休暇、有給休暇など休暇制度も充実しており、テレワーク・在宅勤務も可能です。服装自由で、育児支援や託児所も完備されています。 出典: 求人ボックス
AI や HRTech を前提にした業務効率化が募集要項に書かれるようになったのは、この数年の変化です。手続きの定型部分が自動化されるほど、判断を伴う業務の比重が上がります。有資格者にとっては、むしろ追い風の変化と見ていい。こうしたAIの活用支援がどのような依頼の形で出ているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事から掴めます。
報酬の水準
在宅の社労士業務は、雇用型と業務委託型で報酬の形が変わります。
| 業務 | 報酬の形 | 目安 |
|---|---|---|
| 社労士事務所の在宅スタッフ | 時給 | 1,300円から2,000円程度 |
| 有資格者の在宅ポジション | 時給または月額 | 時給1,800円から3,000円程度 |
| 就業規則の作成 | 1件あたり | 10万円から30万円程度 |
| 助成金の申請支援 | 着手金と成功報酬 | 成功報酬は受給額の10%から20%程度 |
| 労務記事の監修 | 1本あたり | 1万円から5万円程度 |
| 顧問契約 | 月額 | 従業員規模により月2万円から10万円程度 |
金額の幅が広いのは、業務範囲の定義が案件ごとに違うからです。同じ「就業規則の作成」でも、ひな型の修正だけなのか、聞き取りから設計まで含むのかで工数が数倍変わります。金額を見る前に、範囲を確認してください。
副業として始めるなら、時給型の在宅スタッフから入って実務の感覚を取り戻し、そのうえで単価の高い業務委託に移る順番が現実的です。最初から顧問契約を狙うと、営業だけで時間が過ぎます。
在宅で扱う情報をどう守るか
社労士の仕事は、扱う情報の重さが他の在宅業務とまったく違います。ここは丁寧に書きます。
給与額、家族構成、傷病の内容、退職の理由、マイナンバー。これらは、漏れれば取り返しがつかない情報です。社会保険労務士法第21条は、正当な理由がなく業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らしてはならないと定めており、この義務は資格を持たなくなった後も続きます。
在宅で作業する以上、実務として最低限そろえるべきものがあります。
第1に、業務専用の端末です。家族と共用のパソコンで顧客の給与データを扱うのは避けてください。第2に、保存場所の分離です。個人のクラウドストレージに顧客データを置かない。第3に、通信の保護です。公衆無線LANでの作業をしない。第4に、画面と紙の管理です。同居家族が画面をのぞける配置にしない、印刷した書類を放置しない。
とくにマイナンバーを含む特定個人情報は、法令上の安全管理措置が求められます。取り扱う案件を受ける前に、発注側と取り扱いのルールを書面で確認してください。委託を受ける立場であれば、委託元から監督を受ける関係になります。
医療系のように機微な情報を在宅で扱う職種の運用は参考になります。医療事務の在宅副業ガイド|レセプト業務・医療コーディングの始め方には、患者情報を扱う前提での在宅業務の組み方がまとまっており、社労士の情報管理にも通じる考え方が出てきます。
始めるまでの手順
在宅の仕事を実際に取るまでの流れを、順に並べます。
第1に、自分の登録区分の確認です。開業、勤務、その他、未登録。どの状態にあるかで、受けられる仕事の範囲が変わります。独占業務を副業で受けたいなら、所属する都道府県会と連合会に確認してください。ここを飛ばして案件に応募すると、決まってから受けられないことが判明します。
第2に、勤務先の就業規則の確認です。副業が許可制なら申請します。社労士の資格を持つ人が労務の副業を受ける場合、勤務先との競業性が問題になり得ます。人事部門に所属しているなら、なおさら事前の整理が要ります。
第3に、提供内容を1つに絞ることです。手続き代行、給与計算、就業規則、記事監修。最初から全部やりますと書くと、何が得意なのか伝わりません。
第4に、応募と提案です。募集内容を自分の言葉で言い直し、対応できる範囲と稼働可能な時間帯を明示します。「実務経験3年、うち給与計算は月30社分を担当」といった数字があると、判断されやすくなります。
第5に、契約条件の確認です。業務範囲、報酬、支払期日、情報の取り扱い、そして再委託の可否。この5点を書面にしてから着手してください。
書類作成や許認可を扱う周辺の資格と組み合わせる道もあります。行政書士の資格ガイドには、その職種が扱える業務の範囲が整理されており、社労士業務との住み分けを考える材料になります。ただし、それぞれの資格の独占業務の範囲は法令で定められており、兼ねて受ける場合はどちらの資格に基づく業務かを整理する必要があります。
続けるための時間設計と知識の更新
在宅の社労士業務を副業として続けるとき、つまずきやすいのは技術面ではなく時間の設計です。
労務の業務には、繁閑がはっきりした山があります。4月から7月は労働保険の年度更新と算定基礎届が重なり、11月から1月は年末調整と法定調書の時期です。加えて、入退社は年度替わりに集中します。この山を知らずに通年で同じ量を受けると、繁忙期に破綻します。
対策は、受注量を年間で均すのではなく、山の時期を見込んで手前で調整することです。3月に新規案件を増やすと、そのまま繁忙期に突入します。逆に、閑散期にあたる時期に新しい取引先を試すと、余裕を持って対応できます。
もうひとつが、知識の更新です。労働社会保険の法令は改正が続いており、去年の運用が今年は通用しないことがあります。育児介護休業法、労働時間の上限規制、社会保険の適用拡大。どれも実務に直結します。
情報の取り方は、一次情報に当たることを基本にしてください。改正の内容は厚生労働省が資料を公表しており、条文そのものはe-Govで確認できます。要約された解説記事は理解の入口としては有用ですが、顧客に説明する内容の根拠にするなら、必ず原典に戻ってください。誤った説明をしたときに、記事を読んだからという理由は通用しません。
更新のための時間は、業務時間とは別に確保します。月に2時間でも、決めて取れば追いつけます。これを「余裕があるときにやる」にすると、まず取れません。
運営者から見た在宅案件の実態
在宅とリモートの仕事を長く扱ってきた運営者の立場から見ると、社労士の在宅案件には他の職種と違う特徴があります。継続率が高いのです。
記事の執筆やデザインの制作は、1本納めれば関係が終わることも珍しくありません。ところが労務の業務は、毎月の給与計算、毎年の年度更新、随時発生する入退社の手続きと、業務そのものが循環しています。一度任せた相手を替えることは、企業にとって手間とリスクの両方を伴う。だから継続します。
20年この市場を見てきた立場から言えば、続いている人に共通するのは、専門知識の量ではなく反応の速さです。労務の相談は、企業側にとって待てない案件が多い。退職の申し出があった、監督署から是正勧告が来た、従業員から未払残業の主張が出た。こうした場面で当日中に一次回答が返ってくるかどうかが、次の依頼を決めています。
もうひとつ、報酬の構造についても触れておきます。仲介を挟む形では、発注側が支払う金額と受け手が受け取る金額の間に差が生まれます。中間マージンが乗らない直接取引であれば、依頼する企業は同じ予算でより多くを頼めますし、受け手の手取りは厚くなる。手数料0%の形が選ばれているのは、この双方が得をする構造があるからです。継続案件が中心の社労士業務では、この差が年単位で積み上がります。
働き方そのものの相談を受ける立場に広げていく人も増えています。労務の知識を持ちながらキャリア相談を扱う形はキャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっており、企業向けの労務コンサルとは別の需要があります。まったく異なる分野の受注構造を知りたい場合は作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような専門職の案件の出方も参考になります。在宅の仕事は分野ごとに商習慣が違うので、他分野の形を知っておくと交渉の引き出しが増えます。
資格が要件になる仕事と、資格が武器になる仕事。この2つを分けて考えられるようになれば、応募する案件の精度は一気に上がります。まずは自分の登録区分を確認するところから始めてください。
よくある質問
Q. 社労士の資格がないとできない在宅の仕事はどれですか?
社会保険労務士法第2条の1号業務(申請書等の作成、提出代行、事務代理)と2号業務(法令に基づく帳簿書類の作成)は、同法第27条により制限されています。行政官庁への提出を含む手続き代行や助成金の申請代行、就業規則の作成がこれに当たります。一方、相談や指導にとどまる3号業務にはこの制限がありません。
Q. 勤務登録のまま副業で手続き業務を受けられますか?
登録には開業、勤務、その他の区分があり、区分によって行える業務の範囲や他人から報酬を得て独占業務を行えるかの扱いが変わります。記事の情報だけで判断せず、所属する都道府県社会保険労務士会と全国社会保険労務士会連合会に、自分の登録区分と受けようとしている業務を具体的に伝えて確認してください。
Q. 給与計算の受託は資格が必要ですか?
給与計算そのものは独占業務に含まれないと整理されており、資格がない事業者も受託しています。ただし付随して社会保険の手続きまで行えば1号業務の話になります。案件の説明で判断がつかないときは、発注側に行政への提出まで含むのかを確認してください。この一問で大半は整理できます。
Q. 在宅で顧客の個人情報を扱うとき、何を用意すべきですか?
業務専用の端末、顧客データを個人のクラウドストレージに置かない保存ルール、公衆無線LANを使わない通信環境、同居家族から画面や書類が見えない作業環境の4点が最低限です。マイナンバーを含む特定個人情報は法令上の安全管理措置が求められるため、受注前に取り扱いのルールを発注側と書面で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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