社会保険労務士のオンライン相談の仕事


この記事のポイント
- ✓社会保険労務士がオンラインで相談を受ける仕事の形を
- ✓答えてよい範囲の線引き
- ✓1件を回す型に分けて整理しました
社会保険労務士の資格を持つ人が在宅で働く形として、相談を受ける仕事は増え続けています。ビデオ会議で企業の労務担当者と話す、チャットで個人の質問に答える、サービスの相談窓口を交代で担当する。どれも自宅から成立し、移動時間がかかりません。それだけに、始めやすい仕事に見えます。
ただし、相談は他の在宅の仕事とは決定的に違う点があります。それは、答えた内容がそのまま相手の行動になることです。記事の原稿なら、公開前に依頼元が確認します。就業規則のレビューなら、社内で議論されてから反映されます。相談は違います。こちらが口にしたことが、その場で相手の判断材料になります。だからこそ、答えてよい範囲を先に確定させておくことが、この仕事では最初の工程になります。
この記事では、社会保険労務士のオンライン相談の仕事を、相談の形、答えてよい範囲、場の選び方、1件を回す型という順で整理します。相談の中身をどう答えるかではなく、相談という仕事をどう設計するかの話です。
オンライン相談の仕事は、4つの形に分かれる
同じ「オンライン相談」でも、依頼元と相手が違えば、必要な準備も報酬の形も変わります。まず自分がどの形を受けようとしているのかを確定させます。
企業の労務担当者から継続的に相談を受ける形
中小企業の人事担当者や総務担当者が、社内で判断に迷ったときに聞ける相手として関与する形です。月額で契約し、質問が来たときに回答する。ビデオ会議は月に1回程度で、あとはチャットやメールで進むことが多い。
この形は、相談の中身が個別の従業員の事案に踏み込むことがあります。休職中の従業員の扱い、退職に伴う手続き、労働時間の管理方法。どこまでが情報提供で、どこからが社会保険労務士法の定める業務にあたるのかを、案件ごとに確認する必要があります。範囲の当てはめは条文と実際の業務内容で決まるので、自分で結論を出さず、社会保険労務士会や依頼元と線を引いてから始めてください。
個人からの相談をスポットで受ける形
働く側の個人が、自分の労働条件や社会保険について相談する形です。1件あたり30分から60分という単位で、その場限りの対応になります。
この形で最も注意が要るのが、紛争性の有無です。「会社と揉めている」「未払いの残業代を請求したい」という相談は、内容によっては弁護士法との関係が出てきますし、社会保険労務士のなかでも特定社会保険労務士でなければ関われない範囲があります。相談を受け付ける段階で、紛争性のある事案は扱わない旨を明示しておくのが安全です。持ち込まれたら、範囲外であることを伝えて専門家につなぐのが正しい対応になります。
サービスの相談窓口を担当する形
労務系のソフトウェアやサービスを提供する会社が、利用者からの問い合わせに専門家の視点で答える窓口を設けていることがあります。この窓口を、交代制で担当する形です。
回答の型がある程度決まっているため、経験が浅くても入りやすい入口になります。一方で、回答が会社の名前で出るため、逸脱が許されません。マニュアルの範囲を超える質問が来たときにどうするかを、事前に決めておく必要があります。
記事や教材の読者からの質問に答える形
自分が執筆した記事や教材について、読者からの質問に答える形です。監修とセットで依頼されることがあります。
ここで気をつけたいのが、監修という言葉の幅です。内容が正しいかを確認するだけの監修と、読者からの個別の質問に答える監修では、後者のほうが相談業務に近づいていきます。依頼を受けるときに「公開後の質問対応は含まれますか」と確認しておくと、業務の性質と報酬を分けて考えられます。
在宅で労務の知識を求める募集がどういう条件で出ているかは、求人情報から読み取れます。
【求人の特徴】業界未経験歓迎, リモート勤務の相談可, 副業可, 転勤なし, 学歴不問, 服装自由, 多国籍な職場社会保険労務士の資格・知識を活かしてご活躍いただけます!... 出典: 求人ボックス
リモートと副業を同時に認める募集は確かに存在します。ただし、この種の募集は雇用契約であることが多く、業務委託として相談を受ける形とは条件が違います。労働時間が本業と通算されるかどうかも変わるので、契約書の名前ではなく中身で確認してください。
答えてよい範囲を、始める前に確定させる
相談の仕事で最も重要な工程がここです。案件が始まってから線を引こうとしても間に合いません。
社会保険労務士法は、社会保険労務士でない者が業として行うことを制限する業務を定めています。労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、その提出代行、事務代理、帳簿書類の作成といった領域です。他の法律に別段の定めがある場合の例外も置かれています。相談という形をとっていても、実質的に手続きの代理に踏み込む内容であれば、この枠組みのなかで考える必要があります。条文はe-Govで確認できます。
同時に、隣接する法律との境界もあります。紛争性のある事案は弁護士法との関係が出ますし、税に関する具体的な計算や申告の助言は税理士法の領域に入ります。労務の相談を受けていると、話の流れで「その場合の税金はどうなりますか」「訴えたらどうなりますか」という質問が自然に出てきます。ここで答えてしまうのが、いちばん起きやすい逸脱です。
対処は難しくありません。答えない理由を用意しておけばよいのです。「その論点は税理士の領域なので、税務署か税理士に確認してください」と一言添える。相手は突き放されたとは感じません。むしろ、範囲をわきまえている専門家として信頼されます。国税に関する一般的な情報は国税庁で、労働関係の制度は厚生労働省で、年金に関する情報は日本年金機構で確認できるので、確認先を具体的に示せる状態にしておくとなおよいです。
そして、この線引きは自分の判断で確定させないことです。「この資格があるからここまでできる」と自己判断で広げると、後で取り返しがつきません。所属する社会保険労務士会に照会すれば、多くの場合その日のうちに方向性が分かります。資格の位置づけと登録の考え方は社会保険労務士のページに整理してあります。隣接する行政書士の業務範囲と重なる書類もあるので、境界にある依頼は両方の会に確認するくらいで丁度いいです。
相談の場をどこに置くか
相談を受ける場所には、いくつかの選択肢があります。それぞれに向き不向きがあります。
企業と直接契約する形は、条件を自分で決められるのが利点です。相談の範囲、対応する時間帯、回数の上限、報酬の形。すべて交渉で決まります。反面、相手を自分で見つける必要があります。
業務委託の募集を扱うサイトを経由する形は、案件を見つけやすいのが利点です。労務や人事の知識を求める募集は、記事執筆、教材監修、相談対応、バックオフィス代行など複数の入口に分散しています。キャリアや働き方の相談に関する依頼がどういう形で動いているかはキャリア・副業・人生相談のお仕事にまとまっていて、相談という形の仕事の輪郭を掴むのに使えます。
相談を売買する仕組みを持つサービスを使う形は、集客を任せられるのが利点です。反面、手数料が差し引かれるため手取りが薄くなりますし、相談の内容をこちらで選べません。紛争性のある相談や、範囲外の質問が持ち込まれる頻度も高くなります。使うなら、受け付ける相談の種類を明示できる仕組みかどうかを確認してください。
サービス提供会社の窓口を担当する形は、安定して案件が来るのが利点です。反面、時間帯が指定されることが多く、平日の日中を求められると会社員との両立が難しくなります。
どの場を選ぶにしても、募集の条件を読むときに見るべき点は共通しています。対応する時間帯、1件あたりの想定時間、回答の形式、そして範囲外の質問が来たときの扱い。この4点が書かれていない募集は、応募の段階で質問してください。
相談1件を回す型を作る
型を作っておくと、毎回考えずに済みますし、品質が安定します。
まず、事前のヒアリングです。相談の前に、相手の状況を書面で聞いておきます。従業員数、業種、就業規則の有無、いま起きていること、聞きたいこと。これがあるだけで、相談時間の使い方がまったく変わります。事前情報なしで30分の相談に入ると、最初の15分が状況確認で消えます。
次に、時間の配分です。60分の相談なら、状況の確認に10分、論点の整理に15分、回答に25分、次にやることの確認に10分という配分が一つの目安です。最後の10分を必ず残すことが重要です。相談が終わった後に相手が何をすればよいかを決めずに終わると、相談の価値が半減します。
三つめが、記録です。誰に、いつ、何を聞かれ、何と答えたか。これを残しておかないと、後で認識の違いが出たときに確かめる手段がありません。相談の仕事は成果物が残らないので、記録が唯一の証跡になります。記録は個人情報を含むため、保存する場所と期間を決めておく必要があります。
四つめが、相談後の書面です。話した内容を要約して、確認すべき点と参照先を添えて送る。これがあるだけで、相手の満足度が大きく変わります。口頭で聞いた内容は、その日のうちに半分が抜け落ちます。書面が残っていれば、相手は社内で共有できますし、こちらの回答の範囲も明確になります。
相談で使う言葉の作法
相談の仕事では、言葉の選び方が結果を左右します。特に、断定の度合いです。
労務の論点には、条文だけで答えが出るものと、事実関係の評価が必要なものがあります。前者は明確に答えて構いません。後者を明確に答えると、事実が違っていた場合に相手が誤った行動をとります。「お話しいただいた前提であれば」という条件をつけて答えるだけで、この危険は大きく減ります。
また、確認先を必ず添えることです。「詳しくは所轄の労働基準監督署に確認してください」「この点は年金事務所での確認が確実です」と添える。相手は「たらい回しにされた」とは感じません。自分で確認する手段を得たと感じます。逆に、確認先を示さずに断定だけを返すと、相手はその回答だけを根拠に動きます。
三つめが、範囲外の質問への答え方です。「それは私の範囲外です」で終えると、相手は困ります。「その論点は弁護士の領域です。労働問題を扱っている弁護士会の相談窓口が使えます」と、次の一歩まで示す。これができる人は、範囲を守りながら価値を出せます。
四つめが、相手の言葉を確認し直すことです。相談者は、専門用語を自分なりの意味で使います。「解雇」と言いながら実際は退職勧奨だった、「休職」と言いながら実際は欠勤だった、ということが頻繁に起きます。事実関係を自分の言葉で言い直して確認する工程を挟むだけで、誤った前提での回答を防げます。
報酬の決まり方と、時間の守り方
相談の報酬は時間単価が基本です。ただし、実際に拘束される時間は相談時間だけではありません。
事前のヒアリング資料を読む時間、相談中に出た論点を確認する時間、相談後の書面を作る時間。60分の相談に対して、前後で合計60分以上かかることが珍しくありません。つまり実質の稼働は2時間です。相談時間だけで単価を計算すると、実質の時給は半分になります。
報酬を決めるときは、この前後の時間を含めた総時間で考えてください。含めた結果として金額が高くなるなら、その根拠を説明すればよいです。「相談後に要約と参照先をまとめた書面をお送りします」と説明すれば、依頼元はその価値を理解します。書面を出さない形にして単価を下げる選択肢もありますが、その場合は満足度が下がり、継続につながりにくくなります。
時間を守ることも、この仕事では特に重要です。相談は延びます。相手が話し始めると止まりませんし、こちらも答えきれていない感覚が残ります。ここで延長を無償で受けると、その関係のなかで時間の基準が崩れます。「残り10分です」と途中で伝える、延長は別料金であることを事前に示す。この2つを型に組み込んでおくと、延びません。
継続案件で月額の契約を結ぶ場合は、想定する月間の回数と時間の上限を必ず明示してください。上限のない月額契約は、月を追うごとに実質単価が下がっていきます。
相談の仕事を始める前にそろえておくもの
相談は道具の少ない仕事に見えますが、そろえておかないと初回でつまずくものがあります。
第一に、通信と音声の環境です。ビデオ会議で相談を受ける以上、音声が途切れる、映像が固まる、生活音が入るといった状態は、内容以前の問題として評価を下げます。有線の回線か安定した無線、指向性のあるマイク、背景が映り込まない位置。この3つがそろっていれば十分です。高価な機材は要りません。
第二に、記録と資料の保管場所です。相談の記録は個人情報を含みます。案件ごとにフォルダを分け、保存する期間を決め、期間が過ぎたら消す。共有のパソコンや家族が使う端末で扱わない。相談を受ける端末を専用にできるなら、それが最も確実です。
第三に、法令と通達を引ける状態です。相談中に「その点は確認します」と言えるのは信頼につながりますが、相談後にすぐ確認できないと回答が遅れます。条文はe-Govで、制度の説明は厚生労働省で引けるようにしておき、よく使うページはすぐ開ける場所にまとめておきます。
第四に、確認先の一覧です。範囲外の質問が来たときに、どこにつなぐかを事前に決めておきます。税は税務署か税理士、紛争は弁護士会の相談窓口、年金の個別の記録は年金事務所、労働条件の申告は労働基準監督署。一覧があると、その場で迷いません。
第五に、対応範囲を書いた一枚の文書です。受ける相談の種類、受けない相談の種類、対応する時間帯、1件あたりの時間、延長の扱い。これを相談の前に相手へ渡します。渡しているかどうかで、範囲外の質問が来たときの戻しやすさが変わります。
相談件数を安定させるには
相談の仕事は、始めた直後がいちばん不安定です。件数が読めないと、生活の計画が立ちません。安定させる方法はいくつかあります。
まず、月額の継続契約を1件でも持つことです。スポットの相談だけで組み立てると、件数がゼロの月が出ます。企業の労務担当者から継続的に相談を受ける形を1件確保できれば、収入の底ができます。この形は営業の手間が最初だけで済むので、時間の使い方としても効率がよい。
次に、相談以外の仕事と組み合わせることです。相談は稼働の上限が明確で、時間を増やさない限り収入が伸びません。一方、記事執筆や教材の監修は、自分の時間で進められるため相談の合間に入れられます。執筆や編集の仕事の相場感は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で全体の分布を確認できます。相談で得た「よく聞かれること」を記事にすると、執筆の準備時間も短くなります。
三つめが、相談後のつながりを切らないことです。スポットの相談を受けた相手が、半年後に別の相談を持ってくることがあります。相談後の書面に、次に相談したいときの連絡先を添えておく。それだけで再依頼の確率が変わります。
四つめが、依頼元を分散させることです。1社に依存すると、その1社の都合で収入がゼロになります。相談の仕事は関係が濃くなりやすいぶん、依存も起きやすい。2社から3社を並行して持っておくほうが安全です。
在宅で労務の知識を求める募集には、次のような条件のものもあります。
【求人の特徴】職種未経験歓迎, 業界未経験歓迎, フルリモート, 週に1回以上のリモート, リモート勤務の相談可, 副業可...ここがポイント!/「上場企業、大手SIerをはじめとした約1,000社」と取引! 出典: 求人ボックス
フルリモートで副業も可という条件は増えていますが、こうした募集の多くは雇用契約です。雇用で受ける場合は労働時間が本業と通算される点、業務委託で受ける場合は通算されない代わりに労働法の保護が及ばない点。どちらの形なのかを、契約書の名前ではなく中身で確認してください。相談という同じ仕事でも、契約の形によって守られ方がまったく違います。
起きやすいトラブルと、その前に打つ手
相談の仕事で実際に問題になる場面を挙げておきます。
ひとつめが、範囲を超えた質問が続くことです。労務の相談で契約したのに、税の話、法的紛争の話、経営の話が混ざってくる。これは相手に悪気があるわけではなく、専門家が目の前にいるから聞いてしまうだけです。最初に対応範囲を書面で示しておけば、そのつど戻せます。
ふたつめが、相談内容が個別の従業員に踏み込むことです。特定の従業員の処遇について助言を求められる場面は必ず来ます。個人が特定される情報を扱う以上、記録の管理と守秘の扱いが問われます。自宅の共有パソコンで作業しない、期限のない共有リンクを発行しない、画面が家族から見える位置で相談を受けない。これは始める前に済ませておく工程です。
三つめが、回答の記憶違いです。「あのとき大丈夫だと言われた」という主張が後から出ることがあります。相談後の書面が、これを防ぎます。書面には、前提として聞いた事実と、その前提での回答であることを明記します。
四つめが、支払いの遅れです。2024年に施行されたフリーランス保護新法は、発注者に取引条件の明示を義務づけ、報酬の支払期日を成果物の受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めることを求めています。相談は成果物が形として残らないため、いつが受領日なのかが曖昧になりやすい。相談の実施日を基準にするのか、書面の送付日を基準にするのかを、最初に決めておいてください。制度の内容は公正取引委員会の案内で確認できます。
五つめが、相談の予約が重なることです。副業として受けている場合、本業の予定が急に入って調整が必要になる場面が来ます。予約を受け付ける時間帯をあらかじめ限定し、変更が必要になったときの連絡の仕方を決めておくと、相手に不信感を与えずに済みます。直前の変更が続くと、内容がどれだけよくても次の依頼は来なくなります。予約の管理は、相談という仕事の品質の一部だと考えてください。
在宅市場を長く見てきた立場からの観察
20年にわたって在宅ワークの仲介を運営してきた立場から見ると、相談という形の仕事は、他の在宅の仕事と評価のされ方が違います。
成果物が残らないぶん、評価は「話したあとに動けるようになったかどうか」で決まります。知識の量ではありません。相談を受けた側が、その日のうちに次の一手を打てる状態になっているかどうか。長く続いている人ほど、回答そのものより「次に何をするか」を一緒に決める時間を確保しています。相談の最後の10分に価値が集中しているというのは、現場を見てきた実感です。
もうひとつ観察されるのが、範囲を狭く保っている人ほど依頼が増えるという逆説です。何でも答える人より、「これは答えます、これは答えません」を明確にしている人のほうが、結果として相談件数が伸びる。依頼元から見れば、範囲が明確な相手のほうが安心して振れるからです。範囲を広く見せることは、営業として逆効果になることがあります。
額面と手取りについても触れておきます。仲介の手数料が差し引かれる形の取引では、依頼元が支払った金額と受け手に届く金額が乖離します。手数料0%で直接つながる形では、同じ予算で依頼元はより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなります。相談は稼働の上限が明確な仕事なので、1時間あたりの手取りがそのまま収入の天井を決めます。目減りしない形で受けられるかどうかは、実感として大きな差になります。
相談という形の仕事は、他の分野でも同じ構造で成立しています。専門知識を時間単位で提供する仕事の組み立て方という点では、SEO対策・MEO対策の副業で稼ぐ方法|必要なスキルと案件相場やスマホアプリ開発の副業ガイド|個人で稼ぐ方法と案件相場にも共通する考え方があります。制作の仕事と相談の仕事を組み合わせて収入を安定させる形はポッドキャスト編集で副業|未経験から月5万円を稼ぐ方法【2026年版】にも見られます。近年は相談の前段でAIが一次的な整理を行う形も出てきており、その周辺でどういう依頼が動いているかはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっています。AIが下書きした回答を確認する形の仕事は、作業量こそ少ないものの誤りを見抜く責任は変わらないため、単純な作業時間で報酬を決めると割に合いません。
最後に、この仕事を始める人へ一つだけ。相談は、答えることより聞くことのほうが難しい仕事です。相談者は、自分の困りごとを正確に説明できません。専門用語を自分なりの意味で使い、重要な事実を省き、結論だけを求めます。ここで質問を重ねて事実を確定させる工程が、回答の質を決めます。知識は勉強すれば増えますが、聞く型は意識して作らないと身につきません。最初の数件は、答える時間より聞く時間を長く取るくらいで丁度いいです。
よくある質問
Q. オンライン相談ではどこまで答えてよいのですか?
社会保険労務士法は申請書等の作成、提出代行、事務代理、帳簿書類の作成といった業務を定めており、相談の形をとっていても実質的に手続きの代理に踏み込む内容であればこの枠組みで考える必要があります。加えて紛争性のある事案は弁護士法、税の具体的な助言は税理士法の領域に入ります。範囲の当てはめは案件ごとに個別性が高いので、始める前に社会保険労務士会に照会して線を引いてください。
Q. 相談1件にかかる実際の時間はどのくらいですか?
相談時間が60分でも、事前資料を読む時間、相談中に出た論点を確認する時間、相談後の書面を作る時間を合わせると、前後で60分以上かかることが珍しくありません。実質の稼働は2時間前後と見るのが現実的です。報酬を決めるときは相談時間ではなく総時間で計算し、書面を出す価値も含めて説明すると納得を得やすくなります。
Q. 会社と揉めている個人からの相談は受けてよいですか?
紛争性のある事案は特定社会保険労務士でなければ関われない範囲があり、内容によっては弁護士法との関係も出ます。相談を受け付ける段階で紛争性のある事案は扱わない旨を明示しておくのが安全です。実際に持ち込まれたら、範囲外であることを伝えたうえで、労働問題を扱う弁護士会の相談窓口など次の一歩まで示して引き継いでください。
Q. 相談が予定時間を超えてしまう場合はどうすればよいですか?
延長を無償で受けると、その関係のなかで時間の基準が崩れます。相談の途中で「残り10分です」と伝える運用と、延長は別料金であることを事前に示す運用を型に組み込んでください。あわせて、最後の10分は次にやることを決める時間として必ず残します。ここを残すかどうかで、相談の満足度と継続率が大きく変わります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







