療養病棟で求められる資格|無くても入れる範囲はどこまでか【2026年版】


この記事のポイント
- ✓療養病棟で働くのに必要な資格を
- ✓看護師・准看護師・看護補助者・病棟クラークなど職種ごとに整理しました
- ✓無資格で入れる範囲と任されない業務の線引き
療養病棟で働くのに、どんな資格が必要なのか。結論から言うと、看護職として働くなら看護師か准看護師の免許が必須で、看護補助者や病棟クラークとして働くなら資格は要りません。
ただし、「資格が無くても入れる」と「無資格でも同じ仕事ができる」はまったく別の話です。療養病棟は、経管栄養や喀痰吸引が日常的に行われる病棟で、どの業務を誰が担うかは法律と診療報酬の基準で細かく決まっています。資格の有無で任される範囲がはっきり分かれる職場だと言えます。
この記事では、療養病棟で働く職種ごとに必要な資格を整理したうえで、無資格で入れる範囲とその線引き、准看護師と看護師で違ってくること、入職後に活きる資格、そして求人票で資格の扱いを読み取る方法までを順に解説します。
療養病棟で働く職種と、それぞれに必要な資格
まず、療養病棟にどんな職種がいて、それぞれにどの資格が必要なのかを一覧で確認しておきます。
療養病棟は、急性期の治療を終えたあとも医療的な管理が必要な患者さんが長く入院する病棟です。医療の必要度が高い患者さんが多く、医師、看護職員、看護補助者に加え、リハビリ職や管理栄養士、医療ソーシャルワーカーが関わります。
| 職種 | 必要な資格 | 療養病棟での主な役割 |
|---|---|---|
| 看護師 | 看護師免許(国家資格) | 医療処置、観察、看護計画、夜勤のリーダー |
| 准看護師 | 准看護師免許(都道府県知事免許) | 医師や看護師の指示のもとでの処置と観察 |
| 看護補助者 | 不要 | おむつ交換、体位変換、食事や入浴の介助、環境整備 |
| 病棟クラーク | 不要(医療事務の資格があると有利) | 受付、書類整理、入退院の事務 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 各国家資格 | 拘縮予防、嚥下訓練、座位の保持など |
| 管理栄養士 | 管理栄養士免許 | 経管栄養の内容、食事形態の調整 |
| 医療ソーシャルワーカー | 社会福祉士が一般的 | 入退院の相談、施設や在宅への調整 |
この記事で中心に扱うのは、療養病棟の人員の大部分を占める看護職員と看護補助者です。
診療報酬の仕組みでは、療養病棟入院料を算定する病棟は、看護職員を患者20人に対して1人以上、看護補助者も患者20人に対して1人以上配置することが求められています。急性期の病棟と比べて、資格の要らない看護補助者の比重が大きいのが、療養病棟の人員体制の特徴です。
もう一つ押さえておきたいのが、看護職員の中の看護師の割合です。療養病棟入院料の基準では、必要な看護職員数のうち2割以上が看護師であることが求められます。つまり、残りは准看護師でも基準を満たせるということ。これが、療養病棟で准看護師の求人が多い理由の一つです。
一般病棟では看護師の割合を7割以上とする基準が多いので、准看護師にとって療養病棟は、資格を活かして正規雇用で働きやすい職場の一つになっています。
診療報酬は2年ごとに改定され、2026年度も改定の年にあたります。配置や加算の細かい要件は変わることがあるので、応募先の病院には、実際にどの入院料を算定しているかを確認しておくと確実です。
看護補助者は資格なしで入れる。ただし任される業務には線がある
「資格が無くても入れる範囲」の中心になるのが、看護補助者です。ここは求人を見る人がもっとも誤解しやすい部分なので、詳しく見ていきます。
看護補助者に資格は要らない
看護補助者として働くのに、法律上必要な資格はありません。求人票でも「未経験可」「無資格可」と書かれていることが多く、介護の仕事が初めての人でも応募できます。
一方で、介護福祉士や介護職員初任者研修、実務者研修を持っている人には、資格手当をつける病院も多いです。資格が無くても入れるけれど、資格があると条件が上がる。これが看護補助者の一般的な位置づけです。
看護補助者が担う業務
看護補助者は、看護師の指導のもとで、患者さんの療養生活上の世話を担います。療養病棟で具体的に任されるのは、次のような業務です。
・おむつ交換や排泄の介助 ・体位変換や車いすへの移乗 ・食事の配膳、下膳、食事の介助 ・入浴や清拭の介助 ・シーツ交換やベッド周りの環境整備 ・検体や物品の搬送
療養病棟は寝たきりの患者さんが多いので、体位変換とおむつ交換の回数は急性期の病棟よりずっと多くなります。看護補助者がいなければ回らない病棟、と言っても言い過ぎではありません。
看護補助者に任されない業務
逆に、看護補助者には任されない業務もはっきりしています。注射、点滴の管理、経管栄養の注入、喀痰吸引、褥瘡の処置、服薬の管理といった医療行為や診療の補助は、看護職員が行います。
ここで誤解が多いのが喀痰吸引です。介護福祉士や、研修を受けた介護職員は、介護施設や在宅で喀痰吸引や経管栄養を行えるようになりました。ただ、この仕組みは、登録を受けた事業所で行うことが前提になっていて、病院は登録の対象に含まれていません。病院には看護職員が配置されているからです。
つまり、介護施設で喀痰吸引の研修を受けて実施していた人でも、療養病棟に看護補助者として入ると、吸引は看護職員の仕事になります。正直なところ、この点を求人票で明記している病院はほとんどありません。介護施設から移ってくる人は、面接で必ず確認しておくべきです。
入職後の研修
看護補助者には資格は求められませんが、入職後の研修はあります。診療報酬には、看護補助者の体制を整えた病棟が算定できる加算があり、その要件として、看護補助者に対して院内で研修を行うことが求められています。医療チームの一員としての役割、守秘義務、感染防止、医療安全といった内容です。
資格ではなく、入職後の研修で必要な知識を補う。これが看護補助者の育て方の基本だと言えます。介護職の収入の水準を確認したい場合は、介護職員の平均年収や地域差をまとめた介護職員の年収・単価相場が参考になります。看護補助者の給与は、介護施設の介護職員と比べてどのあたりにあるかを考える目安になります。
准看護師と看護師で、療養病棟の中で変わること
看護職として療養病棟で働くなら、看護師か准看護師の免許が必要です。では、この二つの資格で、療養病棟の中での働き方は何が変わるのか。
日常の処置は、ほぼ同じように担う
准看護師は、医師や看護師の指示を受けて看護業務を行う資格です。療養病棟の日常業務である経管栄養の管理、喀痰吸引、褥瘡の処置、バイタルサインの測定、点滴の管理などは、准看護師も看護師と同じように担います。
先ほど見たとおり、療養病棟では看護職員の2割以上が看護師であればよいので、病棟によっては准看護師が看護職員の半数近くを占めることもあります。日勤の現場だけを見れば、資格の違いを意識する場面は多くありません。
違いが出るのは、判断と責任の場面
違いが出るのは、看護計画の立案、夜勤のリーダー、病棟の管理業務といった、判断と責任を伴う場面です。
准看護師は、法律上、指示を受けて業務を行う立場なので、看護計画の最終的な責任者や夜勤の責任者は看護師が担うのが一般的です。療養病棟の夜勤は、看護職員1人と看護補助者で回すこともあるため、その1人に看護師を充てる勤務表を組む病院が多くなります。結果として、看護師のほうが夜勤の回数が多くなり、夜勤手当の分だけ収入に差が出る傾向が見られます。
昇進と資格取得の道
主任や師長といった管理職への昇進は、看護師を条件にしている病院が多いです。また、後で紹介する認定看護師や特定行為研修は、看護師免許を持っていることが前提になります。
准看護師から看護師を目指す場合は、看護師学校の2年課程に進む道があります。一定年数の実務経験があれば、働きながら学べる通信制の2年課程も選べます。療養病棟には、進学を支援する制度を持つ病院もあるので、将来看護師を目指すなら、求人票の「資格取得支援」の欄を確認しておきましょう。
給与の目安
療養病棟の看護師の給与について、医療・介護の求人メディアは次のように整理しています。
転職を考える際に、気になるのは収入面ではないでしょうか。療養病棟は急変や残業が少ない反面、受け持ち患者数が多く、身体介助などの体力的な負担は決して軽くありません。しかし、「医療処置が少ない分、給与が大きく下がるのでは?」と不安を感じる方もいるでしょう。なお、療養病棟のみに限定した公的な給与データがないため、ここでは厚生労働省や日本看護協会のデータをもとに、収入の目安を紹介します。 出典: kaigojob.com
同じ記事では、看護師全体の平均月収は約36万円、2交代制の夜勤手当の平均は1回11,470円と紹介されています。看護師全体の年収の水準や地域差は、看護師の年収・単価相場で詳しく確認できます。准看護師の給与は、この水準より低めに設定されている病院が一般的です。
療養病棟の1日を、資格ごとの動きで見る
資格による役割の違いは、一覧で見るより、1日の流れに置いてみると分かりやすくなります。ここでは、2交代制の療養病棟でよく見られる日勤帯の流れを、看護職員と看護補助者の動きに分けて見てみます。病院によって時刻や分担は違うので、あくまで典型的な例として読んでください。
朝の申し送りから午前中
朝8時半ごろ、夜勤からの申し送りを受けて日勤が始まります。看護職員は、夜間に熱が出た患者さんや痰が増えた患者さんの情報を受け取り、その日の観察の優先順位を決めます。
同じ時間帯、看護補助者は朝食の下膳を終え、おむつ交換と体位変換の1回目に回ります。療養病棟では、体位変換を2時間ごとに行う患者さんが多く、これが1日の段取りの骨組みになります。
午前中、看護職員はバイタルサインの測定、経管栄養の注入の準備と開始、喀痰吸引、褥瘡の処置、点滴の管理を順に進めます。医師の回診があれば同行し、指示を受けます。看護補助者は、入浴日の患者さんの入浴介助やシーツ交換を担います。入浴の介助には看護職員も加わり、皮膚の状態を観察します。
昼の食事介助
昼食の時間帯は、療養病棟でもっとも人手が必要な時間です。経口で食べられる患者さんの食事介助には、看護補助者と看護職員の両方が入ります。飲み込みに不安がある患者さんの介助は、むせたときにすぐ吸引できるよう、看護職員が担当することが多くなります。
同じ時間に、経管栄養の患者さんの昼の注入も始まります。ここは看護職員の仕事です。食事介助と注入が重なるため、この時間帯の分担が病棟の働きやすさを大きく左右します。
午後から夕方
午後は、看護職員が記録、看護計画の見直し、ご家族への説明や面会の対応、カンファレンスを進めます。医療ソーシャルワーカーやリハビリ職との打ち合わせが入ることもあります。看護補助者は、おむつ交換と体位変換を続けながら、物品の補充や環境整備を行います。
夕方、夜勤への申し送りの前に、看護職員はその日の変化をまとめ、看護補助者は夕食の配膳の準備に入ります。
夜勤で資格の違いが一番はっきり出る
夜勤に入ると、看護職員は少人数になります。この時間帯に吸引や注入、急変の兆しへの対応ができるのは看護職員だけです。看護補助者は、2時間ごとの体位変換とおむつ交換、巡視の補助を担います。
日中は大勢で分担していた業務が、夜は資格の線引きどおりに切り分けられる。療養病棟で資格の違いがもっとも実感されるのは、この夜の時間帯です。
同じ資格でも、職場によって任される範囲は変わる
ここまで療養病棟の中の話をしてきましたが、同じ資格でも、隣り合う職場と比べると任される範囲はかなり違います。療養病棟を選ぶかどうかを考えるうえで、この違いは知っておく価値があります。
急性期の病棟との違い
急性期の病棟では、看護職員の配置が患者7人や10人に対して1人と手厚く、看護補助者の比重は療養病棟より小さくなります。看護師は、手術や検査の前後の管理、入退院の対応に多くの時間を使います。
療養病棟の看護師は、1人で見る患者さんの数が多い代わりに、処置の内容は慢性期のものに絞られます。そして、看護補助者と一緒に生活援助に入る時間が長くなります。同じ看護師免許でも、「処置と観察に集中する職場」と「処置と生活援助の両方を回す職場」くらいの違いがあります。
介護医療院との違い
介護医療院は、長く療養が必要な方が介護保険で入所する施設です。療養病棟と同じく医療的なケアを必要とする方が多いのですが、「生活の場」としての性格が強くなります。
介護医療院では、介護職員の配置が厚く、介護福祉士や研修を受けた介護職員が、登録を受けたうえで喀痰吸引や経管栄養を行える場合があります。つまり、同じ介護福祉士でも、療養病棟の看護補助者として働くか、介護医療院の介護職員として働くかで、任される範囲が変わるということです。
看護職員にとっても、介護医療院は医療処置より生活援助や多職種との調整の比重が大きくなる職場です。
介護施設との違い
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などでは、看護職員の人数はさらに少なく、夜間は看護職員がいないことも一般的です。看護職員はオンコールで対応し、日中は施設全体の健康管理を担います。
療養病棟は、看護職員が24時間いて、医療的な管理が必要な患者さんを病棟で見続ける職場です。介護施設から療養病棟に移る看護職員は、医療処置の頻度が一気に上がることを覚悟しておく必要があります。
自分の資格で、どの職場が合うか
資格が同じでも、職場によって任される範囲は変わります。医療処置の経験を積みたいなら療養病棟、生活の場としてのケアに比重を置きたいなら介護医療院や介護施設。看護補助者として働く人なら、療養病棟では生活援助に専念し、介護施設では喀痰吸引などの研修を活かせる、という違いがあります。どちらが優れているかではなく、自分がどの範囲を担いたいかで選ぶのが合理的です。
無資格で入れる、看護補助者以外の仕事
療養病棟で資格無しで入れるのは、看護補助者だけではありません。病棟の周りには、資格を問わない仕事がいくつかあります。
病棟クラーク
病棟クラークは、ナースステーションで受付や電話対応、カルテや書類の整理、入退院の事務手続きを担う仕事です。療養病棟は入院が長いので、急性期の病棟ほど入退院の事務は多くありませんが、面会の受付やご家族からの問い合わせ、介護保険や公費の書類の管理などが発生します。
病棟クラークに必要な資格はありません。ただ、医療用語や保険の仕組みを知っていると仕事を覚えるのが早いので、医療事務の資格を持っている人が歓迎される傾向があります。医療事務の代表的な資格の一つである医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)では、受付業務や診療報酬の請求事務に関する知識が問われます。どのような試験内容なのかを知っておくと、病棟クラークの仕事の中身もイメージしやすくなります。
看護補助者の中の、夜勤専従や短時間の仕事
看護補助者の求人の中には、夜勤専従や、朝夕の食事の時間帯だけの短時間勤務もあります。療養病棟は朝食と夕食の介助、就寝前のおむつ交換の時間帯に人手が必要になるので、こうした時間帯を限った求人が出やすい職場です。
家庭の事情でフルタイムが難しい人や、介護の仕事を試してみたい人にとって、入り口にしやすい働き方と言えます。
委託の配膳や清掃
配膳、病棟の清掃、リネンの交換などは、病院が外部の会社に委託していることもあります。この場合、働く人は病院の職員ではなく委託会社の社員として病棟に入ります。資格は要りませんが、患者さんへの直接の介助は行わない、という線引きになります。
同じ病棟で働いていても、雇用主が違えば任される範囲も違います。求人を見るときは、雇用主が病院なのか、委託会社なのかを確認しておくと、入職後に「思っていた仕事と違う」となるのを避けられます。
私が求人票を読み比べて気づいたこと
編集の仕事で、医療・介護の求人票を大量に読み比べたことがあります。そのとき気づいたのは、「看護助手」「ケアワーカー」「看護補助者」「介護職員」と、同じ病棟の同じ仕事に病院ごとに違う名前がついていることでした。
名前だけで判断すると、同じ仕事を別の職種だと思って見落とします。正直なところ、職種名は求人を探す側にとってかなり不親切です。検索するときは、この四つの名前をすべて試すことをおすすめします。
入職後に活きる、療養病棟向けの資格と研修
ここからは、療養病棟に入ったあとで取ると仕事に活きる資格や研修を見ていきます。入職に必須ではありませんが、任される範囲や評価に関わってくるものです。
認定看護師
認定看護師は、日本看護協会が認定する資格です。日本看護協会は、認定看護師を次のように定義しています。
認定看護師とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する者として、本会の認定を受けた看護師をいいます。 出典: nurse.or.jp
療養病棟の患者さんに関係が深い分野としては、皮膚・排泄ケア、摂食嚥下障害看護、認知症看護、緩和ケア、感染管理などがあります。寝たきりの患者さんの褥瘡予防、経口摂取の維持、認知症の方への対応、看取り。どれも療養病棟で毎日向き合う課題です。
認定看護師になるには、看護師として通算5年以上の実務経験(うち認定看護分野で3年以上)を積んだうえで、認定看護師の教育課程を修了し、認定審査に合格する必要があります。准看護師は対象になりません。
特定行為研修
特定行為研修は、看護師が医師の判断を待たずに、手順書に沿って一定の診療の補助を行えるようにするための研修です。対象は21区分38行為あります。
療養病棟に関係が深いのは、気管カニューレの交換、胃ろうカテーテルの交換、褥瘡の壊死組織の除去、脱水のときの輸液の調整などです。医師が病棟にいる時間が短い療養病棟では、こうした行為を看護師が手順書に沿って行えると、患者さんを待たせずに済みます。慢性期や在宅の場面でよく使う行為をまとめて学べる研修の組み合わせも用意されています。
学会などが認定する資格
病棟の中で役割を持ちたい人には、学会などが認定する資格もあります。人工呼吸器を使う患者さんがいる病棟なら3学会合同呼吸療法認定士、栄養管理のチームに関わるならNST専門療法士が知られています。取得には、それぞれ実務経験や講習の受講といった条件があります。
看護補助者が取ると活きる資格
看護補助者として働く人なら、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士が、資格手当や将来の選択肢につながります。先ほどお伝えしたとおり、療養病棟では喀痰吸引を担うことはありませんが、介護の基本的な技術や認知症への理解は、体位変換や食事介助の質に直結します。
また、介護福祉士を持っていれば、同じ法人の介護医療院や介護施設に移ったとき、任される範囲が広がります。療養病棟を入り口に、介護の現場へキャリアを広げていく人も少なくありません。
求人票で「資格」の扱いを読み取る
資格の要否は求人票に書いてありますが、書き方にはかなり幅があります。療養病棟の求人票を読むときに、資格の扱いから職場の実態を読み取るポイントを整理します。
看護職の求人で見るところ
| 求人票の記載 | 読み取れること |
|---|---|
| 「准看護師可」「准看護師歓迎」 | 看護職員に占める准看護師の割合が高い可能性 |
| 看護師と准看護師で給与欄が分かれている | 資格による基本給や手当の差が分かる |
| 「夜勤は看護師のみ」などの記載 | 看護師に夜勤が集中する体制の可能性 |
| 認定看護師や特定行為研修修了者の在籍 | 教育や専門的なケアに力を入れている手がかり |
| 資格取得支援、進学支援の制度 | 准看護師から看護師への進学を後押ししているか |
とくに「准看護師可」の求人では、夜勤の看護職員に看護師を充てる必要から、看護師の夜勤回数が多くなっていないかを確認しておくとよいでしょう。
看護補助者の求人で見るところ
看護補助者の求人では、次の点に注目します。
・「無資格可」と「資格手当あり」が両方書かれているか ・資格手当の対象になる資格と金額 ・夜勤の有無と回数 ・入職後の研修の内容 ・雇用主が病院か、委託会社か
「無資格可」だけで資格手当の記載が無い場合は、資格を持っていても給与に反映されない可能性があります。介護福祉士を持っているなら、面接で手当の有無を確かめましょう。
仕事内容の欄に書かれていないこと
求人票の仕事内容の欄には、「看護業務全般」「看護補助業務」とだけ書かれていることがよくあります。これでは、療養病棟の中で具体的にどこまで任されるのかが分かりません。
面接や見学で、「経管栄養や吸引が必要な患者さんはどのくらいいますか」「看護補助者の方の業務範囲は、手順書などで決まっていますか」と聞いてみてください。資格ごとの業務の線引きを仕組みとして持っている病院は、具体的に答えられます。
病棟という職場で、看護職がどのような仕事を任されるのかをもう少し広く知りたい場合は、病棟で任される仕事の記事で、病棟でしか経験できない仕事を整理しています。療養病棟を他の病棟と比べるときの前提として役に立ちます。
資格を持たずに入るなら、何を準備するか
資格を持たずに看護補助者として療養病棟に入る場合、入職前にできる準備は多くありません。ただ、体を使う仕事なので、腰を痛めない体の使い方を知っておくと入職後が楽になります。介護職員初任者研修は、介護の基本的な技術を体系的に学べるので、入職前後に受講を考える人もいます。
一方で、正直なところ、資格を取ってからでないと応募してはいけない、ということはありません。療養病棟の看護補助者は、入職してから研修で覚えることを前提にした仕事です。まず働いてみて、続けられそうなら資格を取る。この順番のほうが、費用も時間も無駄になりにくいと考えます。
資格の線引きを知っている人ほど、長く続く
最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、少しだけ観察を添えておきます。
20年この市場を見てきた立場から言えば、資格が要る仕事でも要らない仕事でも、長く続く人は「自分に任される範囲」を最初に正確に把握しています。できることとできないことの線を知っているから、無理を引き受けず、相手からも安心して仕事を任される。これは病棟でも、個人で仕事を受ける場面でも同じです。
療養病棟に置き換えると、看護補助者が「吸引は看護師さんにお願いします」と迷わず言えること、准看護師が「この判断は看護師に確認します」と伝えられることが、チームとしての信頼につながります。資格は、できることを広げるものであると同時に、線を引くためのものでもあります。
個人として仕事を受ける人たちを見ていても、仲介の手数料が乗らない直接のやり取りでは、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。ただ、その関係が長く続くのは、最初に「どこまでを引き受けるか」を双方で確かめている場合でした。療養病棟で働くときも、資格で決まる範囲を知ったうえで入ることが、結局は一番の近道になります。
よくある質問
Q. 療養病棟で働くのに必ず必要な資格はありますか?
看護職として働くなら、看護師か准看護師の免許が必要です。看護補助者や病棟クラークとして働く場合は、法律上必要な資格はありません。ただし看護補助者は、介護福祉士や介護職員初任者研修などを持っていると資格手当がつく病院が多く、無資格でも入れるものの資格があると条件が上がる位置づけです。
Q. 准看護師でも療養病棟で働けますか?
働けます。療養病棟入院料の基準では、看護職員のうち看護師は2割以上であればよいため、准看護師の求人は多い傾向があります。日常の処置は看護師と同じように担いますが、看護計画の責任者や夜勤のリーダー、管理職は看護師が担うのが一般的で、認定看護師や特定行為研修も看護師が対象です。
Q. 看護補助者は喀痰吸引や経管栄養を行えますか?
病院では行いません。介護福祉士や研修を受けた介護職員が喀痰吸引などを行える仕組みは、登録を受けた介護施設などが前提で、病院は対象に含まれていません。そのため療養病棟では、看護補助者はおむつ交換や体位変換、食事や入浴の介助などを担い、吸引や注入は看護職員が行います。
Q. 療養病棟で働く看護師におすすめの資格は何ですか?
患者さんの状態に関係が深いのは、皮膚・排泄ケア、摂食嚥下障害看護、認知症看護、緩和ケアなどの認定看護師です。医師が病棟にいる時間が短い療養病棟では、気管カニューレや胃ろうカテーテルの交換などを手順書で行える特定行為研修も活きます。いずれも看護師としての実務経験が前提になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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