レトロスペクティブとは|スクラムの振り返りの進め方と型


この記事のポイント
- ✓レトロスペクティブとは何かを
- ✓スクラムガイドでの位置づけ
- ✓5つの段階の進め方まで説明します
レトロスペクティブを調べている人の多くは、スクラムを取り入れたチームで振り返りの進行役を任された人か、毎回の振り返りが同じ話の繰り返しになっていて、やり方を変えたいと考えている人です。レトロスペクティブとは、一定の期間の仕事が終わるたびに、チームでその期間の進め方を見直し、次の期間に試す改善を決める話し合いのことです。この記事では、スクラムでのレトロスペクティブの位置づけ、時間の目安、進め方の5つの段階、KPTをはじめとする定番の型の使い分け、決めた改善を実行につなげる方法、形だけになってしまうときの直し方までを順に説明します。決めた改善の担当と期限をチームで共有したいときに使える、プロジェクト管理ツールのPinatecaの使いどころにも後半で触れます。
レトロスペクティブとは何か
レトロスペクティブは、英語で「振り返り」を意味する言葉です。ソフトウェアの開発の手法であるアジャイル開発の中で広まり、特にスクラムという進め方では、決まった行事の1つとして組み込まれています。
アジャイル開発とは、作るものを小さく区切り、短い期間ごとに作っては確かめることを繰り返す開発の進め方のことです。スクラムは、その代表的な進め方の1つで、スプリントと呼ばれる1か月以内の決まった期間を単位に仕事を進めます。
スクラムガイドでの位置づけ
スクラムの決まりは、スクラムガイドという文書にまとめられています。2020年版の日本語訳では、レトロスペクティブの目的が次のように書かれています。
スプリントレトロスペクティブの目的は、品質と効果を高める方法を計画することである。 スクラムチームは、個人、相互作用、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリントがどのように進んだかを検査する。 出典: scrumguides.org(スクラムガイド 2020年版 日本語訳)
ここで見直す対象は、作ったものの出来ではなく、チームの進め方です。人と人のやり取り、作業の手順、使っている道具、「完成」とみなす基準まで、仕事の進め方のすべてが対象になります。作ったものそのものを確かめる場は、スプリントレビューという別の行事です。
スクラムの行事の中での順番
スクラムでは、1つのスプリントの中に、次の行事が決まった順番で入っています。
| 行事 | 目的 | 1か月のスプリントでの最大の時間 |
|---|---|---|
| スプリントプランニング | そのスプリントで何をどう作るかを決める | 8時間 |
| デイリースクラム | 毎日、目標への進み具合を確かめる | 15分 |
| スプリントレビュー | 作ったものを関係者と確かめる | 4時間 |
| スプリントレトロスペクティブ | 進め方を見直し、改善を決める | 3時間 |
スクラムガイドでは、レトロスペクティブをもってスプリントが終わると定められています。時間については、スプリントが1か月の場合は最大3時間で、スプリントの期間が短ければ、レトロスペクティブの時間も短くすることが多い、とされています。2週間のスプリントなら、1時間半程度で行うチームが多くあります。
情報処理の試験でも問われる言葉
レトロスペクティブは、情報処理推進機構(IPA)が公開しているITパスポート試験のシラバスにも、アジャイル開発の用語として「ふりかえり(レトロスペクティブ)」の名前で載っています。ITを使う仕事に就く人が知っておくべき基礎の言葉として扱われているということです。
レトロスペクティブが大切にされる理由
レトロスペクティブは、スクラムの行事の中でも、省かれやすい行事です。作業が忙しくなると「今回は振り返りを飛ばそう」となりがちです。それでも大切にされるのには理由があります。
チームの成長の仕組みになる
スクラムでは、決まった期間ごとに進め方を見直すことで、チームが少しずつ良くなっていくことを前提にしています。
もちろん、プロダクトの品質の意味でも重要ですが、レトロスペクティブはスクラムチームが成長する上でもとても大きな意味を持ちます。 出典: abi-agile.com
1回の振り返りで決める改善は小さくても、2週間ごとに1つずつ積み重ねれば、半年で10個以上の改善が進みます。振り返りを飛ばすと、この積み重ねが止まります。また、振り返りの場は、普段の作業の中では言い出しにくいことを口にできる貴重な機会でもあります。「この手順は実は無駄だと思っていた」という一言が、チーム全体の作業を減らすきっかけになることもあります。
問題が小さいうちに手を打てる
仕事の進め方の問題は、放っておくと大きくなります。「レビューの依頼が遅れがち」「会議が長い」といった小さな不満も、数か月続くと、チームの雰囲気や作るものの品質に影響します。決まった間隔で振り返る場があれば、問題が小さいうちに話題にできます。
開発以外の仕事にも広がっている
レトロスペクティブは、ソフトウェアの開発だけでなく、マーケティング、営業、人事、デザインなど、さまざまな仕事のチームで使われるようになっています。決まった期間で区切って仕事を進め、そのたびに進め方を見直す、という考え方は、どんな仕事にも当てはまるからです。在宅や業務委託で複数の人が一緒に仕事をする場面でも、顔を合わせる機会が少ない分、決まった振り返りの場が役立ちます。
レトロスペクティブの進め方の5つの段階
レトロスペクティブの進め方としてよく知られているのが、5つの段階に分ける方法です。アジャイル開発の振り返りについての定番の本で紹介された流れで、多くのチームが土台にしています。
| 段階 | やること | 1時間で行うときの時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 場を整える | 目的を確かめ、話しやすい雰囲気をつくる | 5分 |
| 2. 出来事を集める | 期間中に起きたことを思い出して並べる | 15分 |
| 3. 気づきを出す | なぜそうなったのかを考え、課題を見つける | 15分 |
| 4. 何をするか決める | 次の期間に試す改善を決める | 15分 |
| 5. 締めくくる | 決めたことを確かめ、振り返りそのものを見直す | 10分 |
1. 場を整える
最初に、今回の振り返りの目的と、使う時間を全員で確かめます。続けて、全員が一言ずつ話す時間を設けます。「今回のスプリントを天気にたとえると」「一言で言うと」のような軽い問いかけで構いません。最初に一度声を出しておくと、そのあとの話し合いで発言しやすくなります。
この段階で大切なのが、誰かを責める場ではないことを確かめることです。振り返りの分野では、「何が分かったとしても、その時点で持っていた知識や能力、使えた資源の中で、全員が最善を尽くしたと信じる」という前提の言葉が広く使われています。この前提を最初に読み上げるチームもあります。
2. 出来事を集める
期間中に起きたことを、付箋やオンラインのホワイトボードに書き出します。完了した作業、遅れた作業、起きた問題、うれしかったこと、困ったことなどです。記憶だけに頼ると、最後の数日の出来事ばかりが出てくるため、作業の記録やカレンダーを見ながら思い出すと漏れが減ります。
3. 気づきを出す
集めた出来事を見ながら、「なぜそうなったのか」「何が効いたのか」を考えます。似た出来事をまとめると、繰り返し起きている課題が見えてきます。課題が多く出たら、全員で投票して、話し合う課題を2つか3つに絞ります。
4. 何をするか決める
絞った課題について、次の期間に試す改善を決めます。改善は、次の期間の中で実行できる大きさにします。「コミュニケーションを良くする」のような大きな目標ではなく、「レビューの依頼は、出したらチャットで担当者に一声かける」のように、具体的な行動にします。決める改善の数は1つか2つで十分です。
5. 締めくくる
決めた改善と、その担当者を全員で確かめます。最後に、今回の振り返りそのものについて、良かった点と変えたい点を短く聞きます。振り返りのやり方も、振り返りの対象です。
レトロスペクティブの定番の型
レトロスペクティブには、話し合いを進めるための型がいくつもあります。毎回同じ型を使うと話が単調になるため、チームの状況に合わせて使い分けます。
KPT(ケプト)
最もよく使われる型です。Keep(続けること)、Problem(問題)、Try(試すこと)の3つに分けて書き出します。
- Keep:うまくいったので続けたいこと
- Problem:うまくいかなかったこと、困ったこと
- Try:次に試すこと
KeepとProblemを先に書き出し、それを見ながらTryを考えます。Tryの中から次の期間に実際に取り組むものを選んだら、次の振り返りでは、そのTryが続けるべきKeepになったのか、まだProblemが残っているのかを確かめます。この循環を回すことで、KPTの振り返りが前回とつながっていきます。分かりやすく、初めてのチームでもすぐに使えるのが利点です。一方で、続けているとProblemばかりが並び、反省会のような雰囲気になりやすい面もあります。
YWT
日本で生まれた型で、Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)の3つで振り返ります。やったことから学びを引き出すことに重点を置くため、問題探しになりにくいのが特徴です。新しい仕事に挑戦した期間の振り返りに向いています。「分かったこと」を言葉にする段階で、うまくいかなかった経験も学びとして書けるため、失敗を責める空気になりにくいのも利点です。
Start Stop Continue
始めること、やめること、続けることの3つで考える型です。「やめること」を明示的に挙げる点が特徴で、作業や会議が増えすぎて忙しくなっているチームに向いています。新しいことを始めるだけでは、作業は増える一方になるからです。
4Ls
Liked(良かったこと)、Learned(学んだこと)、Lacked(足りなかったこと)、Longed for(欲しかったこと)の4つで振り返る型です。気持ちの面も含めて書き出せるため、チームの雰囲気を知りたいときに向いています。
帆船
1枚の絵を使う型です。帆船の絵を描き、船を前に進める風(助けになったこと)、船を引き止める錨(妨げになったこと)、行く手にある岩(これからの危険)、目指す島(目標)を書き込みます。目標とこれからの危険を一緒に考えられるため、大きな期日の前の振り返りに向いています。
タイムライン
期間の始まりから終わりまでを横に線で引き、その上に出来事を時間の順に並べる型です。それぞれの出来事のときの気持ちを、上がった、下がった、の線で描き添えることもあります。長い期間の振り返りや、大きな問題が起きたあとの振り返りに向いています。
型の選び方
| チームの状況 | 向いている型 |
|---|---|
| 初めて振り返りをする | KPT |
| 新しい挑戦をした期間 | YWT、4Ls |
| 作業や会議が増えすぎている | Start Stop Continue |
| 大きな期日を控えている | 帆船 |
| 大きな問題が起きたあと | タイムライン |
| 同じ話の繰り返しになっている | これまで使っていない型に変える |
60分のレトロスペクティブの進め方の例
ここからは、5人のチームが2週間のスプリントを終えたあとに、KPTの型で60分の振り返りを行う例を、時間の流れに沿って紹介します。
0分から5分:場を整える
進行役が、今回の目的は「次のスプリントで試す改善を1つか2つ決めること」だと伝えます。続けて、全員が今回のスプリントを一言で表します。「締切の前に慌ただしかった」「新しい機能の公開まで行けてほっとした」といった言葉が出ます。
5分から10分:前回の改善を確かめる
前回の振り返りで決めた改善が、実行されたかを確かめます。前回は「レビューの依頼は、出したらチャットで担当者に一声かける」と決めていました。実行した結果、レビューを待つ時間が短くなった、という声が出たため、この改善は続けることにします。
10分から25分:KeepとProblemを書き出す
全員が5分間、黙って付箋に書き出します。その後、1人ずつ読み上げながらボードに貼っていきます。Keepには「毎朝の確認が15分で終わるようになった」「レビューを待つ時間が減った」、Problemには「仕様の確認に時間がかかり、作業の開始が遅れた」「最終日に作業が集中した」といった内容が並びます。
25分から40分:課題を絞って原因を考える
Problemの中から、全員が1人2票ずつ投票して、話し合う課題を選びます。最も票を集めたのが「仕様の確認に時間がかかった」でした。なぜ時間がかかったのかを話し合うと、仕様を決める人との打ち合わせが週に1回しかなく、質問がたまってしまうことが分かります。
40分から55分:Tryを決める
原因を受けて、次のスプリントで試すことを考えます。「仕様の質問は、たまったら打ち合わせを待たずにチャットの専用の場所に書く。仕様を決める人は1日1回そこを見る」という改善に決まり、担当者を1人決めます。担当者は、次のスプリントの途中で、質問の書き込みが実際に使われているかを確かめる役目を持ちます。
55分から60分:締めくくる
決めた改善と担当者を全員で読み上げます。最後に、今回の振り返りの進め方について一言ずつ聞き、「投票で絞ったので話がまとまりやすかった」といった声を次回に生かします。
決めた改善を実行につなげる方法
レトロスペクティブで最もよく聞かれる悩みが、「決めた改善が実行されない」というものです。話し合いで決めても、次の期間の作業に追われて忘れてしまい、次の振り返りで同じ課題がまた出てくる、という繰り返しです。
改善を作業の一覧に入れる
スクラムガイドでは、最も影響の大きな改善はできるだけ早く対処し、次のスプリントのスプリントバックログに追加することもできる、とされています。スプリントバックログとは、そのスプリントで行う作業の一覧のことです。改善を、ほかの作業と同じ一覧に入れておけば、毎日の進み具合の確認の中で目に入り、忘れにくくなります。
担当と期限を決める
改善には、必ず担当者と期限を決めます。「みんなで気を付ける」では、誰も責任を持たないため、実行されません。担当者は、改善を1人でやり切る人ではなく、改善が進んでいるかを見届ける人と考えると、引き受けやすくなります。
次の振り返りの最初に確かめる
次のレトロスペクティブの最初に、前回決めた改善が実行されたか、効果があったかを確かめます。効果があった改善は続け、効果がなかった改善は理由を考えて見直します。実行されなかった改善は、なぜ実行できなかったのかを話し合います。改善が大きすぎたのか、優先度が低かったのかが分かれば、次の改善の決め方に生かせます。
改善の担当と期限を共有する道具
決めた改善が数個なら、ホワイトボードやチャットの書き込みでも管理できます。一方で、在宅で働く人が多いチームや、複数の改善を並行して進めるチームでは、作業と同じ場所で改善の担当と期限を共有できる道具があると便利です。
改善アクションを確実に実行したい場合は、Lychee Redmineのタスク管理やガントチャートが役立ちます。 出典: lychee-redmine.jp
このように、タスク管理の道具を使って改善を作業として扱う方法は、多くのチームで使われています。候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料プランから使え、カードごとにコメントを付けたり、カスタムフィールドで項目を追加したりできます。議論の論点ごとに話し合うためのディスカッションボードも用意されています。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。例えば、作業のカンバンのボードに「改善」のラベルを付けたカードとして振り返りで決めた改善を追加し、担当と期限を付けておけば、毎日の作業の確認の中で改善の進み具合も目に入ります。なお、Pinatecaは振り返りの話し合いそのものを進める道具ではなく、決めた改善を含む作業の分担と進み具合を共有するための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
進行役の役割とこつ
レトロスペクティブの進行役は、スクラムではスクラムマスターが務めることが多くあります。スクラムマスターとは、チームがスクラムをうまく使えるように手助けする役割の人のことです。進行役は、話し合いの中身に意見を言う人ではなく、全員が話せる場をつくる人です。
全員が話せるようにする
声の大きい人の意見だけで話が進むと、ほかの人は発言しなくなります。意見を出す段階では、まず各自が黙って付箋に書く時間を取り、そのあとで1人ずつ読み上げる形にすると、全員の意見が並びます。
話がそれたら戻す
話し合いが特定の作業の細かい技術の話に入り込んだら、「その話は別の時間を取りましょう」と区切ります。振り返りの時間は、進め方を見直すために使います。
人ではなく仕組みに目を向ける
「〇〇さんのレビューが遅い」という発言が出たら、「レビューが遅れる仕組みの原因は何か」という形に言い換えます。人を責める話になると、次から誰も本当のことを言わなくなります。
スクラムチームが成長する為に心掛けて欲しいのが、レトロスペクティブの中では常にポジティブは発言する事です! 出典: abi-agile.com
前向きな発言とは、問題を隠すことではありません。問題を挙げるときも、誰かを責めるのではなく、次にどうするかにつながる言い方をすることです。
進行役を交代する
いつも同じ人が進行役を務めると、振り返りのやり方が固まってしまいます。ときどき別のメンバーに進行役を任せると、新しい型や問いかけが持ち込まれ、振り返りに変化が生まれます。
沈黙を怖がらない
問いかけのあとに沈黙が続くと、進行役はつい自分の意見で場を埋めたくなります。しかし、進行役が先に意見を言うと、ほかの人はその意見に合わせてしまいがちです。問いかけたら、少なくとも10秒ほどは待ちます。それでも意見が出ないときは、問いかけを具体的にします。「困ったことはありましたか」ではなく「作業が止まった場面はありましたか」のように聞くと、思い出しやすくなります。
オンラインで行うときのこつ
在宅で働く人がいるチームでは、レトロスペクティブをオンラインで行うことも多くなっています。
書き込める場所を1つ用意する
オンラインのホワイトボードや、共同で編集できる表など、全員が同時に書き込める場所を1つ用意します。画面を共有して1人が書き写す形にすると、書き写す人の負担が大きく、発言も遠慮がちになります。ボードは毎回新しく作るのではなく、同じボードに日付ごとの枠を追加していくと、前回の振り返りの内容をすぐに見返せます。前回の改善を確かめる段階で、そのまま前回の枠を開いて話し始められるため、準備の手間も減ります。
カメラと声の使い方を決める
全員がカメラを付ける必要はありませんが、発言するときは声を出す、反応はチャットやスタンプで返す、のように、参加の仕方を最初に決めておくと、黙ったまま時間が過ぎることを防げます。
時間を短く区切る
オンラインでは集中が続きにくいため、対面より短い時間で区切ります。1時間を超える場合は、途中で5分の休みを入れます。
事前に書いておいてもらう
オンラインでは、話し合いの時間の中で全員が付箋を書くと、書いている間の沈黙が長く感じられます。振り返りの前日までに、各自がオンラインのボードに出来事を書き込んでおく形にすると、当日は読み上げと話し合いに時間を使えます。時差のある場所で働く人がいるチームでは、全員がそろう時間が短いため、この方法が特に役立ちます。
投票や匿名の書き込みを使う
オンラインのボードの多くには、付箋に投票する機能や、書いた人の名前を出さずに書き込める機能があります。対面よりも空気を読みにくいオンラインでは、こうした機能を使うと、意見の偏りを減らせます。特に、チームに入ったばかりの人や、経験の浅い人の意見を拾いたいときに効果があります。
形だけになるレトロスペクティブの直し方
続けているうちに、振り返りが形だけになってしまうことがあります。よくある症状と直し方を整理します。
| 症状 | 原因として考えられること | 直し方 |
|---|---|---|
| 毎回同じ課題が出る | 決めた改善が実行されていない | 改善に担当と期限を付け、次の振り返りの最初に確かめる |
| 意見が出ない | 責められる心配がある、型に飽きている | 最初に前提の言葉を確かめる。型を変える |
| 反省会のようになる | 問題ばかりを挙げている | 良かったことから始める型(YWT、4Ls)に変える |
| 時間が足りない | 話し合う課題が多すぎる | 投票で2つか3つに絞る |
| 改善が大きすぎて進まない | 目標の形で決めている | 次の期間で終えられる具体的な行動にする |
| 一部の人だけが話す | 進め方が発言の強い人に偏っている | 黙って書く時間を取り、1人ずつ読み上げる |
振り返りの記録を残す
毎回の振り返りで出た課題と決めた改善を、簡単な記録として残しておくと、数か月分を見返したときに、同じ種類の課題が何度出ているかが分かります。繰り返し出る課題は、チームだけでは解決できない、組織の仕組みにかかわる問題であることが多く、上の立場の人に相談する材料になります。記録は、日付、選んだ型、決めた改善、担当者、結果の5つの項目で十分です。
振り返りを飛ばさない
忙しい時期ほど、振り返りを飛ばしたくなります。しかし、忙しい時期こそ進め方に無理が出ていることが多く、振り返りの価値が高くなります。時間が取れないときは、30分に短くしてでも行い、改善を1つだけ決めます。
上の立場の人の同席に気を付ける
チームの外の管理職がレトロスペクティブに同席すると、メンバーが評価を気にして、本当の課題を口にしにくくなることがあります。スクラムガイドでは、レトロスペクティブはスクラムチームのための行事とされています。チームの外の人に結果を伝えたいときは、同席してもらうのではなく、決めた改善をあとで共有する形にすると、話し合いの率直さを保てます。
スクラム以外の仕事で振り返りを取り入れる
レトロスペクティブの考え方は、スクラムを使っていない仕事でもそのまま使えます。
案件が終わったときの振り返り
決まった期間で区切らない仕事でも、1つの案件や企画が終わったときに振り返りの場を設けます。広告の出稿、展示会への出展、採用の募集など、始まりと終わりがはっきりした仕事なら、終わってから1週間以内に振り返ると、記憶が新しいうちに課題を拾えます。振り返りの結果は、次に同じ種類の仕事をする人が読める場所に残しておきます。担当者が替わっても、前回の失敗を繰り返さずに済みます。
定例の会議の一部に組み込む
月に1回の定例の会議の最後の15分を、振り返りに使う方法もあります。KPTの3つの枠で、その月の進め方を簡単に見直すだけでも、改善の習慣が生まれます。
1人で仕事をする人の振り返り
在宅で1人で仕事を受けている人も、週に1回、自分の仕事の進め方を振り返ると、仕事の質と速さが上がります。YWTの型で、その週にやったこと、分かったこと、次の週にやることを3行ずつ書くだけで構いません。納期に追われた週があれば、なぜそうなったのかを書き出しておくと、見積もりの立て方や仕事の受け方を見直すきっかけになります。
発注者と一緒に振り返る
業務委託で継続して仕事を受けている場合は、月に1回など、発注者と一緒に進め方を振り返る場を提案する方法もあります。「依頼の連絡の仕方」「修正の頼み方」「納品の形」など、お互いの手間を減らせる点が見つかれば、双方の仕事が進めやすくなります。振り返りの場を提案すること自体が、仕事の進め方を良くしようとする姿勢として受け止められ、信頼につながることもあります。
振り返りの習慣が生きる仕事
最後に、レトロスペクティブのような振り返りの習慣が、仕事を受ける側にとってどんな意味を持つかを整理します。
フリーランスや在宅ワークの仲介を20年以上運営してきた立場から見ると、継続して仕事を任される人は、案件が終わるたびに「次はこうすればもっと早くできる」と自分なりに振り返り、それを発注者にも伝えています。発注者の側から見ると、振り返りを共有してくれる相手は、回を重ねるごとに仕事が良くなっていく相手であり、別の人に乗り換える理由がありません。仲介の手数料が乗らない直接の取引なら、こうした関係の積み重ねが次の依頼につながり、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなります。
スクラムのような進め方で仕事をする場面が多いのが、アプリやサービスの開発です。アプリケーション開発のお仕事では、アプリを作る仕事の種類と、求められる技術や働き方を紹介しています。開発のチームに入る業務委託の仕事では、振り返りに参加して進め方の改善に意見を出せる人が重宝されます。
チームの進め方そのものを整える支援の仕事もあります。業務にAIを取り入れながら、仕事の進め方を見直す支援をするなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で、支援の中身と必要な知識を紹介しています。組織の課題を整理して改善を助言する仕事に関心があるなら、中小企業診断士の資格ガイドで、試験の科目や受験の流れ、資格を仕事に生かす道を紹介しています。
在宅で働く人が多いチームでは、オンラインで振り返りを行う環境づくりも欠かせません。テレワーク 助成金 2026では、テレワークの導入に使える助成金の種類と申請の流れを紹介しています。
レトロスペクティブは、1時間と付箋があれば始められます。まずは次の区切りに、KPTの3つの枠で30分だけ振り返り、改善を1つだけ決めて担当を付けるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. レトロスペクティブはどのくらいの時間で行えばよいですか?
スクラムガイドでは、スプリントが1か月の場合、スプリントレトロスペクティブは最大3時間とされています。スプリントの期間が短ければ、時間も短くするのが一般的で、2週間のスプリントなら1時間半程度で行うチームが多くあります。忙しい時期でも、30分に短くしてでも行い、改善を1つ決めるほうが効果があります。
Q. KPTとYWTはどう使い分ければよいですか?
KPTは、続けること、問題、試すことの3つに分ける型で、初めて振り返りをするチームでもすぐに使えます。YWTは、やったこと、分かったこと、次にやることで振り返る型で、学びを引き出すことに重点を置くため、問題探しになりにくいのが特徴です。反省会のような雰囲気になってきたら、YWTに切り替えると変化が生まれます。
Q. レトロスペクティブとスプリントレビューの違いは何ですか?
スプリントレビューは、作ったものを関係者と一緒に確かめ、次に何を作るかを話し合う場です。レトロスペクティブは、作ったものではなく、チームの進め方を見直す場です。人と人のやり取り、作業の手順、使っている道具などを振り返り、次の期間に試す改善を決めます。スクラムでは、レビューのあとにレトロスペクティブを行います。
Q. 決めた改善が実行されないときはどうすればよいですか?
改善を、具体的な行動の形にし、担当者と期限を決めます。改善を作業の一覧に入れておくと、毎日の進み具合の確認の中で目に入り、忘れにくくなります。次の振り返りの最初に、前回の改善が実行されたかを確かめ、実行されなかった場合はその理由を話し合います。改善が大きすぎた場合は、さらに小さく分けます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事

Ameba OwndからLynxPressへ移行する手順|独自ドメインのまま12月24日までに引っ越す 2026

WixとAmeba Owndの比較|Owndの移行先にWixを選ぶ前に確かめること 2026

ホームページの移行方法|ドメインを変えずに引っ越す手順と転送の設定 2026

アメブロで独自ドメインは使える?|Ameba Owndから移る人が知っておくこと 2026

Ameba Owndのお問い合わせフォームを移行先で作り直す方法 2026

防災庁の緊急要請で何が起こる?|在宅で働く人が今週やる3つ(備蓄・171・仕事のデータ)

Ameba Owndのサービス終了はいつ?|12月24日までにやることを順番に整理 2026

ホームページ移行代行の費用相場|Ameba OwndやWixから移すときの見積もりの目安 2026
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク
副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方