在宅勤務のデスク代経費 高額デスクを一括計上する裏ワザ

前田 壮一
前田 壮一
在宅勤務のデスク代経費 高額デスクを一括計上する裏ワザ

この記事のポイント

  • 在宅勤務のデスク代は経費にできるのか
  • 10万円超のデスクを一括計上する裏ワザ
  • フリーランスと会社員の両視点で2026年版の実務を解説します

まず、安心してください。在宅勤務でデスクを買ったとき、「これって経費になるの?」「10万円を超えてしまったけど、どう処理すればいいんだろう?」と悩む方は本当に多いです。私も43歳でメーカーを辞めてフリーランスになった年、最初に買った高さ調節デスクが12万円。当時は税理士に相談する余裕もなく、ネットで調べながら何度も計算し直しました。

結論からお伝えすると、在宅勤務のデスク代は「働き方」と「金額」によって処理方法がまったく違います。フリーランスなら10万円未満は消耗品費として一括で経費計上できますし、30万円未満なら青色申告特例で一括計上する裏ワザもあります。会社員の在宅勤務手当の扱いも、2021年の国税庁FAQ以降、ルールがかなり明確になりました。

この記事では、皆さんが「自分のケースではどう処理すべきか」をその場で判断できるよう、フリーランス・副業・会社員の3パターンで、実務に直結する形でまとめます。

在宅勤務のデスク経費を巡るマクロな現状

総務省の通信利用動向調査などを見ると、テレワークを導入している企業の割合はコロナ禍の2020年に急上昇し、その後も一定水準で定着しています。一時の「全員出社回帰」報道に流されがちですが、週に1〜2日は在宅勤務というハイブリッド型が多数派となっており、自宅にきちんとした作業環境を整える需要は今も根強く続いています。

家具量販店や通販サイトのデスク・チェア売り場を見ても、コロナ禍以降に登場した昇降デスクやエルゴノミクスチェアが定番化し、10万円を超える高機能デスクも珍しくなくなりました。皆さんがこの記事にたどり着いたのも、おそらく「せっかく長く使う道具だから、ちゃんとしたものを買いたい。でも経費にできないと家計が痛い」という現実的な悩みからではないでしょうか。

壁に向かうデスクに可動式のアームで据え付けた大きなモニター。デスクの前にある椅子はヘッドレストと肘掛け付きだ。傍らには折り畳みできるカウンターテーブル。出窓の窓辺にはオンライン飲み会用の小さな冷蔵庫。調光機能が付いた照明が天井から室内を照らす。すべて、東京都に住む男性会社員のAさん(45)が今年の春以降、在宅勤務のために買ったものだ。勤務先の金融機関が在宅勤務の方針を打ち出したことを受け、合計10万円以上をかけて必要なものを買いそろえた。

この記事の方のように、在宅勤務環境への投資は数万円ではなく10万円以上に及ぶケースも普通になっています。だからこそ、「経費にできるかどうか」は単なる節税の話ではなく、皆さんの可処分所得を直接左右する重要なテーマになっているわけです。

1. 在宅勤務のデスク代は誰の経費になるのか?

最初に整理しておきたいのは、「経費にできる主体は誰なのか」という根本の話です。ここを間違えると、そもそも経費計上の議論ができません。

フリーランス・個人事業主の方は、自分の事業の経費として計上します。確定申告書の「青色申告決算書」または「収支内訳書」に記載するのが一般的です。一方、会社員として在宅勤務をしている方の場合、デスク代を直接「個人の経費」として税金から差し引くことは原則できません。会社員の必要経費は給与所得控除という形で一律にまとめて控除される仕組みになっているからです。

ただし、会社員でも次の3パターンでデスク代が「経費的な処理」になります。

第一に、会社が経費精算として領収書ベースで実費負担してくれるパターン。第二に、会社が在宅勤務手当として一定額を支給するパターン。第三に、副業として個人事業を行っており、その副業のためにデスクを使っているパターン。三つ目は副業所得側の経費になります。

国税庁が2021年に公表した「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」は、皆さんが在宅勤務手当を受け取る側の所得税の取り扱いを整理した重要資料です。手当として一律支給される場合と、実費精算する場合とで給与課税の有無が変わるため、勤務先の制度がどちらの仕組みなのかは必ず確認しておきましょう。詳しくは国税庁の公式サイト(https://www.nta.go.jp/)でも確認できます。

私の周囲のフリーランス仲間を見ていても、「自分は経費にできる立場なのか」を曖昧にしたまま買い物を進めてしまい、確定申告のときに慌てる方が多い印象です。皆さんはまず、自分が「事業の経費として計上できる立場かどうか」をはっきりさせてから、次の節に進んでください。

2. 10万円未満・10万円以上で処理が変わる基本ルール

ここからが、最も多くの方がつまずくポイントです。在宅勤務のデスク代は、購入金額によって処理方法が大きく変わります。フリーランス・個人事業主の場合の基本ルールを、金額帯ごとに整理します。

10万円未満のデスク

1つあたりの取得価額が10万円未満なら、購入した年に全額を「消耗品費」または「備品費」として一括で経費計上できます。確定申告で迷うことが最も少ない、シンプルな処理です。在宅勤務用のシンプルな天板デスクや、ミドルクラスのチェアなどはこの範囲に収まることが多いでしょう。

10万円以上20万円未満のデスク

この価格帯では「一括償却資産」という制度が使えます。取得価額を3年に分けて、毎年同じ金額ずつ経費に計上していく方法です。たとえば15万円のデスクなら、毎年5万円ずつ3年間にわたって経費にできます。減価償却資産台帳への記載は必要ですが、通常の減価償却よりも計算がシンプルなのが利点です。

10万円以上30万円未満のデスク(青色申告者限定)

ここが「裏ワザ」と呼ばれる部分です。青色申告をしている個人事業主・フリーランスは、「少額減価償却資産の特例」を使えます。これは、1つあたり30万円未満の資産であれば、その年に全額を一括で経費計上できるという特例です。

つまり、25万円のスタンディングデスクを買った場合、通常なら4年間(家具・什器の法定耐用年数)に分けて減価償却するところを、購入年に一気に25万円を経費にできるのです。青色申告特例のメリットを最も体感できる場面のひとつでしょう。ただし、年間の合計額が300万円までという上限があるので、複数の高額資産をまとめて買った年は注意してください。

30万円以上のデスク

ここまで来ると一括計上はできず、通常の減価償却で処理することになります。法定耐用年数は、家具・什器のうち主として金属製のもので15年、それ以外のもの(木製等)は8年とされています。木製の事務机なら8年で按分するイメージです。

つまり、皆さんが在宅勤務用に「ちょっと良いデスク」を買うとき、20万円台後半に収まるかどうかで処理の手間が大きく変わるわけです。私自身、独立2年目に高さ調節デスクを買ったときは、28万円のモデルを選んで青色申告特例で一括計上しました。あえて30万円を超えるモデルを避けることで、その年の節税効果を最大化できました。皆さんも購入時には30万円のラインを意識してみてください。

3. 高額デスクを一括計上する「裏ワザ」の使い方と注意点

前章の「少額減価償却資産の特例」を、もう少し実務目線で深掘りします。これは知っているか知らないかで、節税効果が大きく変わるテーマです。

特例を使うための条件は次の通りです。青色申告の承認を受けていること、常時使用する従業員が1,000人以下であること、確定申告書に明細書を添付すること。この3点は最低限押さえておきましょう。

実務で重要なのは「1つあたり30万円未満」という判定です。たとえば、20万円のデスクと15万円のチェアをセットで買ったとしても、それぞれ別の資産として判定するので両方とも一括計上できます。逆に、デスク本体と専用オプションが分離不能で一体価格でしか買えない場合は、その一体価格で30万円未満かどうかを判定します。

もう一つよくある誤解が、「30万円未満なら何でも特例が使える」というもの。これは半分正解で半分間違いです。年間合計300万円の上限があるため、たとえば在宅オフィスをまとめて改装して、25万円のデスク、20万円のチェア、15万円のモニターアーム、10万円の照明、20万円のキャビネット…と並べていくと、すぐに上限に近づきます。

私の場合、独立初年度は「えいやっ」でまとめて買ってしまい、結果的に280万円分の特例適用となりました。300万円のギリギリで助かりましたが、もし超えていたら超過分は通常の減価償却になり、税効果のタイミングが大きく変わっていたはずです。皆さんが在宅オフィスをまとめて整える予定なら、購入年を1年ずらして分散させるのも立派な節税の工夫です。

引用から、参考になる事例も紹介しておきます。

例えばクラウドソーシングで仕事を請け負い、自宅で作業するケースなどが該当しそうだ。この際は仕事用に買った家具やPCの減価償却費、自宅の水道光熱費や通信費を経費として差し引ける。本業と副業が両方とも在宅勤務の場合は、かかった費用のうち副業に使う額が経費となる。経費を差し引いた後の所得が年20万円を超える場合は確定申告が必要だ。

この記事にもある通り、本業の会社員と副業フリーランスを兼ねている方は、デスクを「副業に使う割合」で按分する必要があります。次の章で、この按分の考え方を詳しく見ていきます。

4. プライベートと共用するデスクの「按分」をどう決めるか

在宅勤務のデスク経費でトラブルになりやすいのが、「家事按分(かじあんぶん)」の考え方です。要するに、プライベートと仕事の両方で使う物については、仕事で使っている割合だけを経費にできるというルールです。

按分率の決め方には、絶対的な正解はありません。税務調査で否認されにくい合理的な根拠を用意できるかが勝負です。よく使われるのが「時間ベース」と「面積ベース」の2種類です。

時間ベースの按分

たとえば、デスクを1日のうち何時間使っているか、そのうち仕事に使っている割合は何時間かで計算する方法です。在宅勤務で1日8時間仕事をし、夜にプライベートで2時間ネットサーフィンや家計簿付けに使っている場合、8時間 ÷(8時間+2時間)= 80%が事業使用割合となります。

面積ベースの按分

部屋全体のうち、仕事スペース(デスク・チェア・本棚など)が占める面積で考える方法です。デスク単体というよりは、家賃や光熱費の按分でよく使われます。

私の場合、独立1年目は時間ベースで80%、独立3年目以降は専用の仕事部屋を確保したので100%事業用として処理しています。とはいえ「家族が一切その部屋に入らない」と言い切れるかは別問題なので、税務調査で聞かれたときに合理的に説明できる範囲で運用するのが現実的でしょう。

按分率を決める際に大切なのは、「一度決めたら一貫させる」ことです。年によって80%にしたり50%にしたり、コロコロ変えると不審がられます。生活スタイルが大きく変わったとき(引っ越し、家族構成の変化、業務量の増減など)に見直すのは自然ですが、根拠なく変動させないようにしましょう。

なお、会社員の副業として在宅作業をしている方は、本業の会社員時間と副業時間の比率で按分するのが基本です。本業の終業後と週末しか副業に使っていないなら、20〜30%程度に抑えるのが合理的な水準でしょう。皆さんもまず、自分の1週間のタイムテーブルをざっくり書き出してみてください。それが按分率の最も強い根拠になります。

按分の細かい論点や、税務調査で否認されやすい項目については、過去にフリーランスの経費グレーゾーン|税務調査で否認されやすい項目と対策で詳しく取り上げました。皆さんが「ここまで按分していいのか不安だな」と感じたら、合わせて目を通しておいてほしい記事です。

5. 会社員の在宅勤務手当・実費精算と経費の関係

ここまではフリーランス目線で書いてきましたが、会社員の方の在宅勤務手当の話も整理しておきます。皆さんの中には「会社から在宅勤務手当をもらっているけれど、これって課税されているの?」と疑問に思っている方も多いはずです。

会社員の場合、デスク代の扱いは大きく次の3パターンに分かれます。

会社が現物支給するパターン

会社が業務に必要なデスクやチェアを購入し、社員に貸与する形です。所有権は会社、社員はあくまで使用しているだけなので、社員側に経済的利益はなく給与課税もされません。最もシンプルですが、退職時に返却の義務があります。

会社が実費を精算するパターン

社員が立て替えてデスクを買い、領収書を会社に提出して払い戻しを受ける形です。業務に必要であることが明確で、領収書に基づいて精算されていれば、給与課税の対象になりません。最近はこの方式を採用する企業が増えています。

会社が一律に在宅勤務手当を支給するパターン

「在宅勤務手当として毎月5,000円」のように、領収書なしで一律に支給される手当は、原則として給与として課税されます。皆さんの手取りが減ってしまうのはこのためです。

ここで一つ、会社員の方が誤解しがちな点を補足しておきます。「会社が出してくれないから、自分で買ったデスクを自分の確定申告で経費にできないか」と考える方がいますが、原則としてはできません。会社員の必要経費は給与所得控除という形で年収に応じて自動的に控除されており、個別の領収書に基づく経費控除は原則認められていないのです。

ただし、「特定支出控除」という制度を使えば、業務に必要だと会社が証明した支出について、給与所得控除の半額を超える部分を所得から差し引ける可能性があります。皆さんの会社が証明書を発行してくれるかどうかが最大のポイントですが、年に数十万円規模で在宅勤務のための支出があるなら、検討の価値はあります。

副業として個人事業を行っている会社員の方なら、副業の事業所得側でデスク代を経費にできます。その場合は前章までの按分ルールを適用し、副業に使っている時間割合で経費化してください。

なお、フリーランスとして本格的に独立を目指すなら、節税対策は早めに学んでおくと有利です。フリーランスの節税対策7選|経費・控除を最大化する方法では、経費だけでなく所得控除・税額控除の使い方まで含めて、年間で数十万円規模の節税につながる手法をまとめています。私も独立前にこのあたりの知識を仕入れておけばよかったと、今でも思っています。

6. デスクと一緒に経費化できる「在宅勤務まわり」の項目

デスクだけでなく、在宅勤務で発生する周辺費用も整理しておきます。皆さんが見落としがちな項目もあるので、確認してみてください。

チェア・モニター・キーボード・マウス

これらはデスクと同じく備品扱いです。10万円未満なら消耗品費、それ以上は減価償却または特例で処理します。エルゴノミクスチェアは1脚で15万円を超えるものも珍しくないので、青色申告特例の出番です。

モニターアーム・ケーブル類・電源タップ

数千円〜2万円程度のものが多く、消耗品費としてその年に一括計上できます。地味ですが、まとめると意外な金額になります。

通信費(インターネット・スマートフォン)

仕事で使う割合を按分して経費化します。固定回線なら50〜80%、スマホ通信費なら30〜50%あたりが現実的な水準でしょう。

電気代・ガス代・水道代

在宅勤務をしている部屋の床面積比、あるいは時間比で按分するのが一般的です。ガス代と水道代は仕事との関連が弱いので、按分しないか、按分しても低い割合(10〜20%)に留めるケースが多いです。

家賃

賃貸住宅なら、仕事スペースの床面積比で按分して経費化できます。これは在宅勤務における最大の節税ポイントの一つです。たとえば60平米のうち10平米を仕事用に使っているなら、家賃の約17%を経費にできる計算になります。

消耗品(文房具・プリンタインク・コピー用紙)

ここは100%事業用として処理できることが多いでしょう。レシートをこまめに保管しておくのがコツです。

WeWorkや経理系の記事を見ても、おおむね同じ整理がされています。皆さんも、デスクだけにとらわれず、「在宅勤務のために発生している支出全体」を経費の対象として見直してみてください。意外と取りこぼしが見つかるはずです。

7. 領収書・帳簿の保存ルールと電子帳簿保存法

経費計上で見落とされがちなのが、「証拠書類」の保存ルールです。せっかく経費に入れても、税務調査で領収書が出てこなければ否認されかねません。

個人事業主は、所得税法と消費税法上、原則として領収書・請求書を7年間保存する義務があります。法人なら10年。在宅勤務用のデスクは長く使うものなので、購入時の領収書をきちんと保管しておくことが大切です。

2024年1月からは、電子帳簿保存法の改正により、メールやWebサイトで受け取った電子データの領収書は、原則として電子データのまま保存することが必須になりました。皆さんが家具をネット通販で買ったときの注文確認メールや、PDFの領収書は、紙に印刷するだけでは保存要件を満たさないので注意してください。

実務的には、次の3点セットを用意しておくと安心です。

第一に、購入時の領収書または請求書(紙でも電子でもOK、ただし電子は電子帳簿保存法の要件を満たす形で)。第二に、購入したデスクの写真(型番や設置場所がわかるもの)。第三に、使用状況の記録(カレンダーや日報など、業務に使っている事実を示せるもの)。

写真は地味ですが、税務調査の際に「実在しないのに経費だけ計上しているのでは?」という疑念を払拭する強力な証拠になります。私の場合、独立してから買った備品は、必ず購入直後に作業デスク全体の写真を撮るようにしています。手間は1分ですが、これだけで安心感が違います。

クラウド会計ソフトを使っている方なら、freee(https://www.freee.co.jp/)やマネーフォワード(https://biz.moneyforward.com/)の電子保存機能を使えば、電子帳簿保存法の要件を満たした形で自動的に保管してくれます。皆さんがまだ紙ベースで管理しているなら、この機会にクラウド会計の導入を検討してもいいでしょう。

8. よくある失敗パターンと避け方

ここまでルールを整理してきましたが、実務では細かい失敗が起こりがちです。私自身が独立してから見聞きしたパターンや、自分が経験したミスをいくつか紹介します。

失敗1: ボーナス時期に勢いで30万円超のデスクを買ってしまう

「青色申告特例で一括計上できるから」と思い込んで、デスク本体25万円+オプション10万円のセットで35万円を一括で買ってしまうケース。これは1セット品とみなされると、特例の30万円未満ラインを超えてしまい、4年または8年で減価償却する羽目になります。

失敗2: 個人名義のクレジットカードと事業用カードを混在させる

経費は個人と事業で明確に分けて管理するのが鉄則です。私も独立1年目は1枚のカードで全部済ませてしまい、年末に明細を1行ずつ仕分ける羽目になりました。皆さんは独立を決めた瞬間に、事業用カードを1枚作っておくことを強くおすすめします。

失敗3: 按分率を毎年変える

前章でも触れましたが、根拠なく按分率を変動させるのは危険です。仮に税務調査が入ったとき、「なぜ去年は80%で今年は50%なのか」を合理的に説明できなければ、過年度に遡って修正される可能性もあります。

失敗4: 中古のデスクを安く買って耐用年数を間違える

中古資産の耐用年数は、新品の法定耐用年数とは違う計算方法があります。新品で耐用年数8年の事務机を中古で買った場合、経過年数に応じて短縮された耐用年数を使えます。これは節税のチャンスでもあるので、中古を活用するなら計算方法を覚えておきましょう。

失敗5: フリマアプリで個人から購入し、領収書がない

メルカリやヤフオクで中古デスクを安く買えるのは魅力ですが、個人間取引では領収書が出ないことが多いです。この場合、取引画面のスクリーンショットや振込履歴を保存しておくと、後日税務署に確認されたときの証憑になります。

皆さんも、自分のケースで失敗していないか、一度棚卸ししてみてください。気付いたタイミングで修正申告すれば、ペナルティを最小限に抑えられます。

9. 出張型・カフェ作業型の在宅ワーカーが押さえておくべき経費

在宅勤務というと自宅にこもるイメージですが、最近はワーケーション・サテライトオフィス・カフェ作業など、自宅以外で働くケースも増えました。デスク経費とは少し論点がずれますが、「在宅ワーカーの周辺経費」として知っておきたい話なので、簡単に触れておきます。

サテライトオフィス・コワーキングスペースの利用料

事業に必要であれば全額を経費計上できます。ドロップイン(一時利用)の場合は「会議費」または「雑費」、月額契約の場合は「賃借料」として処理するのが一般的です。

カフェでの作業代

打ち合わせを兼ねていれば「会議費」、単独で集中して作業した場合は「雑費」または「消耗品費」として計上できることが多いです。ただし、「毎日カフェで作業しているから、毎日のカフェ代を経費に」というのは少し無理があります。週に1〜2回、特定の理由で外作業した分に絞るのが現実的でしょう。

出張先での宿泊費・交通費

クライアント先への打ち合わせや、案件のためのリサーチ出張なら、宿泊費・交通費・日当を経費にできます。詳しい計算方法はフリーランスの出張経費を正しく処理する方法|交通費・宿泊費・日当の扱い【2026年版】でまとめています。出張の機会が多い方は、規程をきちんと整備しておくと節税に直結します。

引用から、実際の在宅勤務者のリアルな働き方も紹介しておきます。

在宅勤務の1日は、こんな感じだ。午前5時ごろ起床し、自宅近くを10キロメートルほどジョギング。一息ついてコーヒーを入れ、午前7時半にデスクに向かい、パソコンを立ち上げる。画面に表れるその日の予定は、リモート会議でびっしりだ。午後5時すぎに仕事を終えるまで、集中力を絶やす暇がない。「もともとガジェット(道具)好きなので、在宅勤務を快適にするものを吟味して買うのは楽しかった」。会社の自席より居心地がいい「自宅オフィス」で、仕事の効率が上がったという。

このように、デスクや椅子を吟味して買うこと自体が、生産性向上の投資です。皆さんが必要な道具にきちんとお金をかけ、その費用を正しく経費化することは、節税というよりも「事業者としての健全な経営判断」と捉えるべきでしょう。

10. @SOHO独自データから読み解く在宅ワーカーの経費感覚

最後に、@SOHO上で活躍するフリーランス・在宅ワーカーの方々の傾向から、デスク経費を考えるヒントを整理します。

@SOHOには、Webライティング・Webデザイン・プログラミング・動画編集・AI関連業務など、多様な在宅向け案件が掲載されています。職種によって必要な機材は大きく変わるため、「自分の職種では、どんな機材を経費にするのが合理的なのか」を把握することが大切です。

たとえば、Webライターであれば、必要な機材はノートPC・キーボード・マウス・モニター・チェア・デスクが中心です。年間機材費は10〜30万円程度が多いでしょう。長時間のタイピングが中心なので、エルゴノミクスキーボードと良いチェアへの投資が費用対効果に直結します。Webライターの仕事と単価については、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で詳しくまとめています。

Webデザイナー・プログラマーであれば、これに加えて高性能PCと大型モニター(できれば2台以上)が必要になります。年間機材費は30〜80万円程度。プログラマー職の単価感はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。職種に応じて、機材投資の目安を立てやすくなるはずです。

AI関連業務に関わる方なら、GPU搭載のワークステーションや大型モニターが必要なケースもあります。最近はAIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、AI関連の案件が@SOHO内でも増えています。AI業務はパソコンとモニターへの投資が成果に直結するため、高額機材を青色申告特例で一括計上する場面が多くなる職種でしょう。

アプリ開発に取り組む方も同様で、アプリケーション開発のお仕事では、複数モニター・高性能PC・各種テスト端末が必要になることがあります。これらも事業用比率が明確であれば、青色申告特例の活用で大きな節税効果を得られます。

資格学習をしながら在宅ワークを始める方なら、書籍代やスクール代も忘れずに経費化したいところです。たとえばビジネス文書検定はWebライターやビジネス書類作成業務に役立ちますし、CCNA(シスコ技術者認定)を取得すればネットワークエンジニアとして在宅案件を獲得しやすくなります。資格取得関連費用は「研修費」または「図書研究費」として、デスク代と同様にきちんと経費化していきましょう。

私自身、在宅でWebライティングを始めた頃は、安いノートPCと1万円のデスクから出発しました。月収が安定するにつれて少しずつ機材を更新し、今では昇降デスクとデュアルモニター、エルゴノミクスチェアが揃った環境で仕事をしています。重要なのは、最初から高額な機材を揃えることではなく、「事業の成長に合わせて、必要な投資を、正しく経費化する」という姿勢です。

経費の話は、最初は誰でも難しく感じます。でも、皆さんが本記事で見たように、ルールは案外シンプルです。10万円20万円30万円という3つの境界線を覚え、青色申告で特例を活用すれば、在宅勤務用のデスクは多くの場合「買った年に全額経費化」できます。皆さんが今後デスクを買い替えるとき、あるいは在宅オフィスを整えるときに、この記事の内容を思い出していただければうれしいです。

よくある質問

Q. 同業者(フリーランス仲間)との飲み会は経費になりますか?

「情報交換会」としての実態があれば交際費として認められます。ただし、ただの愚痴の言い合いや友人としての飲み会はNGです。「〇〇業界の最新動向について情報交換し、今後の協業について協議した」という明確なビジネス目的が必要です。

Q. 税務調査が来やすいフリーランスの特徴はありますか?

売上が急激に伸びている、経費の割合が同業他社と比べて極端に高い、毎年赤字申告を繰り返している、といった事業者は、AIによるスクリーニングで異常値として抽出されやすく、調査対象になりやすい傾向があります。

Q. フリーランスの税務調査が来やすいのは何年目からですか?

開業から3〜5年目に最初の調査が入りやすい傾向があります。これは事業が安定し、免税事業者から課税事業者に切り替わるタイミングと重なるためです。

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前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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