【選考対策】レシピ記事のトライアルは分量と手順の書き分けで差が出る


この記事のポイント
- ✓レシピ記事の作成のトライアルを在宅で受ける前にそろえておきたい準備を
- ✓選考で見られている評価軸から順に整理しました
- ✓落ちたあとの立て直し方まで
「レシピ記事の作成のトライアルに応募したのに、返事が来ないまま終わってしまいました」
こういうご相談、本当によく届きます。料理が好きで、家族のために毎日つくっていて、それを在宅の仕事にできたらいいなと思って一歩を踏み出した。その最初の一歩でつまずくと、「やっぱり私には向いていないのかも」と、必要以上に自分を責めてしまう方が多いんです。
大丈夫ですよ。トライアルに落ちる理由のほとんどは、料理の腕でも文章のセンスでもありません。選考で見られている点が、応募する側にほとんど伝わっていないだけです。
この記事では、レシピ記事の作成という仕事の中身、在宅トライアルで実際に見られている評価軸、応募前にそろえておくべき準備、そして落ちてしまったあとにどう立て直すかを、順を追ってお話しします。読み終わるころには、次の応募でどこに力を入れればいいかがはっきりしているはずです。
レシピ記事の作成は「料理する仕事」ではなく「再現させる仕事」
最初に、いちばん大事なところをお伝えします。レシピ記事の作成は、料理をつくる仕事ではありません。読んだ人が、書かれたとおりにつくって、同じ結果にたどり着けるようにする仕事です。
ここを取り違えたまま応募すると、どれだけ料理が得意でも通りません。逆に、料理の腕前が人並みでも、手順を分解して説明できる人は通ります。この違いは、選考の場ではとてもはっきり出ます。
レシピ記事にはいくつかの種類がある
「レシピ記事の作成」という募集の中には、性質の違う仕事がいくつも混ざっています。応募する前に、どれを募集しているのかを見分けてください。
1つめは、オリジナルレシピの開発と執筆です。自分で考えた料理をつくり、分量と手順を確定させ、写真を撮って記事にする。もっとも手間がかかりますが、単価も高くなります。撮影機材と、失敗も含めた試作の材料費が自己負担になることが多い点に注意してください。
2つめは、既存レシピのリライトや記事化です。企業が持っているレシピデータや、シェフから受け取ったメモを、読みやすい記事の形に整える仕事です。調理はしないことも多く、文章力と構成力が主に見られます。
3つめは、レビュー記事や体験記事の執筆です。実際に商品を使ったり、既存のレシピをつくったりして、その感想を書く形式です。募集の文面を見ると、こんな形で条件が示されていることがあります。
【仕事内容】<案件名>Kotlinを用いたレシピ動画サービスのAndroidアプリ開発案件 【求人の特徴】経験者歓迎/学歴不問/土日祝休みあり/急募/在宅勤務可 出典: 求人ボックス
これはレシピを扱うサービスの開発側の募集ですが、同じ検索結果の中にこうした技術職も並んでいます。つまり「レシピ 在宅」で出てくる求人には、書く仕事、つくる仕事、システムをつくる仕事が入り混じっているということです。募集要項の業務内容を最後まで読んでから応募してください。
4つめは、レシピ関連の事務やデータ入力です。レシピサイトの運営会社が、レシピ情報の登録や整理を任せる形です。文章の創作よりも正確さが問われます。
なぜトライアルがあるのか
レシピ記事は、外から見ると「誰でも書けそう」に見えます。だからこそ応募が集まります。募集1件に何十人と応募が来ると、企業側は全員と面談することができません。
そこでトライアルが使われます。短い課題を1本書いてもらって、実際の仕事の進め方を見る。これが目的です。つまりトライアルは、ふるい落とすための壁というより、経歴が弱くても実力で前に出られる場所でもあるんです。ここは、少し前向きに受け取ってほしいところです。
在宅のレシピ関連の仕事は、いまどうなっているか
市場の全体像も見ておきましょう。数字が見えると、自分の応募先の選び方が変わります。
働き方の幅は広がっている
レシピ関連の在宅求人は、完全在宅の業務委託だけでなく、週の何日かを在宅にする派遣や、時短勤務の形も増えています。求人情報の中には、勤務時間の選択肢を複数用意している募集もあります。
就業時間1 6時30分〜15時00分 就業時間2 8時45分〜17時15分 就業時間3 10時30分〜19時00分 出典: hatarako.net
早朝から働ける枠が用意されているのは、家庭の事情に合わせやすいという点で大きな意味があります。お子さんが学校に行っている間だけ働きたい方、夜に時間が取れる方、それぞれに合う枠が実際に存在します。
在宅の仕事全体を見渡してから決めたい方は在宅でできる仕事おすすめ【2026年版】|スキル別ランキングにスキル別の比較が整理されています。レシピ記事だけに絞らず、書く仕事全体の中で自分の位置を見てから選ぶほうが、遠回りに見えて早いことが多いです。
単価の相場感
レシピ記事の単価は、内容によって大きく変わります。おおまかな目安をお伝えします。
| 仕事の種類 | 単価の目安 | 主な負担 |
|---|---|---|
| 既存レシピのリライト | 1本1,500円〜4,000円 | 調理なし。文章力のみ |
| 写真なしのレシピ執筆 | 1本3,000円〜6,000円 | 試作の材料費 |
| 撮影込みのオリジナルレシピ | 1本8,000円〜2万円 | 材料費・撮影・器材 |
| 商品を使ったレビュー記事 | 1本3,000円〜1万円 | 商品は支給が一般的 |
撮影込みの案件は単価が高く見えますが、材料費と試作の時間を差し引くと、時間あたりの手取りは思ったより伸びません。1万円の案件でも、材料費に2,000円かかり、試作と撮影と執筆で6時間使えば、時間あたりは1,333円です。この計算を最初にしておくと、「思っていたのと違った」という失望を避けられます。
書く仕事全体の単価水準を知りたい方は著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ておくと、レシピ分野の報酬が書く仕事の中でどのあたりに位置するかが分かります。
トライアルの選考で、実際に見られている7つの点
ここからが本題です。私がご相談を受けてきた中で、通った方と落ちた方の差が出るのは、次の7つの点でした。
見られる点1:分量が指定どおりか
いちばん多い落選理由が、これです。「1,500文字程度で」と書かれているのに、900文字で提出してしまう。あるいは3,000文字書いて提出してしまう。
どちらも減点になります。少なすぎるのは説明不足を疑われますし、多すぎるのは編集の手間が増えるからです。「程度」と書かれている場合の許容範囲は、おおむね指定の前後10%です。1,500文字なら1,350文字から1,650文字。この幅に収めてください。
分量が足りないときは、無理に言葉を足すのではなく、書けていない工程を探します。「下ごしらえで何をどのくらい切るか」「火加減はどう変えるか」「できあがりの見た目の目安」。この3つを書いていない原稿は、たいてい分量が足りません。
見られる点2:分量と工程が具体的に書けているか
「適量」「お好みで」「少々」。この3つの言葉が多い原稿は、まず通りません。
読者がレシピ記事を読む理由は、自分では分量が分からないからです。そこに「適量」と書かれていたら、読む意味がなくなってしまいます。塩を「少々」と書くなら、その横に「小さじ4分の1程度」と添える。それだけで、書き手の姿勢が伝わります。
火加減も同じです。「中火で炒める」ではなく「中火で3分、玉ねぎが透き通るまで」と書く。時間と、見た目の変化の両方を書くのがコツです。時間だけだとコンロの火力差で失敗しますし、見た目だけだと初心者は判断できません。
見られる点3:手順が読者の作業順になっているか
書き手は完成形を知っているので、つい自分の頭の順番で書いてしまいます。でも読者は、手を動かしながら読みます。
たとえば、材料欄に「玉ねぎ 1個(みじん切り)」と書いておきながら、手順1で「玉ねぎをみじん切りにする」と書く。これは重複です。逆に、材料欄には「玉ねぎ 1個」とだけ書いて、手順のどこにも切り方が書かれていない。これは抜けです。
どちらの型で統一するかを決めて、最後まで揃える。この一貫性が、そのまま「編集しやすい原稿」という評価につながります。
見られる点4:レギュレーションを守れているか
多くの発注元には、表記のルール(レギュレーション)があります。数字は半角か全角か、「大さじ1」か「大さじ1」か、「にんじん」か「人参」か。細かいと感じるかもしれませんが、サイト全体の統一のために必要なものです。
トライアルでレギュレーションが渡されたら、それは「守れるかどうかを見ています」という合図です。内容がどれだけ良くても、ここを外すと落ちます。逆に言えば、丁寧に照合するだけで上位に入れます。
私の失敗談をひとつお話しします。カウンセラーとして独立したばかりのころ、ある企業に提出する研修の報告書で、指定された書式のうち日付の書き方だけを見落としたことがありました。中身は時間をかけて仕上げたのに、返ってきたのは「書式の統一をお願いします」という一言でした。恥ずかしかったし、悔しかった。それ以来、提出前に指示文をもう一度だけ読み返す時間を、必ず取るようにしています。この5分があるかないかで、結果はずいぶん変わります。
見られる点5:著作権への理解があるか
レシピそのもの(材料と手順というアイデア)は著作権で保護されにくいとされていますが、レシピ記事の文章表現や写真は保護の対象になります。つまり、他のサイトの文章をそのまま写す、写真を転載するのは明確にアウトです。
トライアルの段階でこれをやってしまうと、その場で不採用になるだけでなく、その発注元との関係が完全に終わります。参考にするのは構いません。でも、文章は自分の言葉で書き直してください。
見られる点6:納期と連絡の丁寧さ
トライアル期間中のやり取りは、そのまま「この人と仕事をしたらどうなるか」の予行演習として見られています。
課題の案内メールに24時間以内に返信する。質問があるならまとめて一度に聞く。期限より少し早く出す。この3つは、能力とは関係なく、今日からできることです。
反対に、期限当日の夜になって「体調を崩したので明日まで待ってください」と連絡するのは、大きな減点になります。遅れそうだと分かった時点で、遅れる前に伝える。それだけで印象はまったく違います。
見られる点7:指摘を受け止められるか
トライアルの中には、一度提出したあとに修正指示が返ってくる形式があります。これは意地悪ではなく、修正への対応力を見る工程です。
ここで大事なのは、言い訳をしないことです。「そういう指示だと思っていました」と書きたくなる気持ちは分かります。でも、返すべきは「ご指摘ありがとうございます。次はこう直します」という一文です。
こういう相談がよくあります。「指摘されると自分が否定された気がして苦しい」と。その感覚は自然なものです。心理学では、行動への評価を自分の人格への評価と受け取ってしまう反応が知られています。つまり、原稿を直されただけなのに、自分そのものを否定されたように感じてしまう。
対処法はシンプルです。指摘を読んだら、すぐ返信しない。一晩置いて、翌朝もう一度読む。多くの場合、朝に読むと「なんだ、原稿の話をしているだけだ」と分かります。あなたは一人じゃありません。この反応で悩んでいる方は本当に多いんです。
応募する前にそろえておきたい準備
見られている点が分かったところで、応募ボタンを押す前の準備を具体的にお話しします。
サンプル原稿を1本つくっておく
これがいちばん効きます。募集を見つけてから慌てて書くのではなく、あらかじめ1本、完成された原稿を持っておく。
つくり方は簡単です。自分がよくつくる料理を1つ選び、次の構成で書いてみてください。導入(このレシピが向いている場面)、材料(分量つき)、下ごしらえ、手順(番号つき)、仕上げのコツ、保存方法とアレンジ。この6つがあれば、レシピ記事として形になります。
分量は1,500文字前後を目指してください。この1本があると、応募時に添付できますし、トライアル課題が来たときも構成を流用できます。
表記ルールを自分の中に持っておく
発注元のルールに合わせるのが前提ですが、指定がない場合に迷わないよう、自分の基準を決めておきます。数字は半角、「大さじ」「小さじ」は漢字とひらがなを混ぜない、野菜名はひらがな。この程度で十分です。
文書作成の基本を体系的に押さえたい方にはビジネス文書検定の出題範囲が参考になります。レシピ記事も、読み手に情報を正確に渡すという意味では業務文書と同じ性質を持っています。
撮影が必要な案件に備える
写真つきの案件を狙うなら、スマートフォンで構いません。必要なのは高価なカメラではなく、光です。
窓際の自然光で、逆光にならない位置に皿を置く。真上からと斜め45度から、それぞれ数枚撮る。背景は白い紙か木目のテーブル。これだけで、家庭の食卓写真から記事用の写真に変わります。夜しか時間が取れない場合は、白色の卓上ライトを1つ用意すると安定します。
作業時間をどこに置くか決める
レシピ記事は、調理と撮影と執筆で工程が分かれます。一気にやろうとすると、体力的にきついです。
私がおすすめしているのは、工程を分けて別の日に置く方法です。試作は買い物のついでの日に、撮影は光のある午前に、執筆は静かな時間に。この分け方だと、無理なく続けられます。時間の区切り方に悩む方は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックに、集中を保つ具体的な工夫がまとめられています。家事と組み合わせた1日の流れをイメージしたい方は在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が実例として参考になります。
トライアル課題が届いたら、この順番で進める
実際に課題が届いたときの進め方を、時系列でお話しします。
手順1:課題文を2回読み、条件を書き出す
1回目はざっと読む。2回目は、条件だけを紙かメモに書き出します。文字数、納期、提出形式、ファイル名、表記ルール、必須で入れる要素。この6つは必ず抜き出してください。
書き出す作業を省略して、頭の中だけで覚えようとすると、必ずどれかを落とします。私が見てきた不採用の理由の多くは、能力ではなく、この抜き出し作業をしなかったことでした。
手順2:構成を先に決める
いきなり書き始めないでください。見出しだけを先に並べます。導入、材料、下ごしらえ、手順、コツ、保存。この骨組みができてから、肉づけをします。
構成を先に決めると、分量の配分も見えます。1,500文字なら、導入200文字、材料100文字、手順700文字、コツ300文字、保存200文字。このくらいの配分が読みやすい形です。
手順3:実際につくって書く
可能なら、必ず一度つくってください。頭の中だけで書いた手順には、必ず穴があります。「フライパンに油をひく」を書き忘れる、「粗熱を取る」の工程が抜ける。実際に手を動かすと、こうした抜けに気づきます。
つくりながらスマートフォンのメモに時間と様子を記録しておくと、そのまま原稿になります。「玉ねぎ、中火で3分で透き通った」「煮込み8分でとろみが出た」。この記録が、具体的な原稿の材料になります。
手順4:一晩置いて読み返す
書き上げた直後は、誤りが見えません。可能なら一晩、少なくとも数時間は置いてから読み返してください。
読み返すときは、書き出した条件のメモを横に置きます。文字数は範囲内か、ファイル名は指定どおりか、表記ルールに反していないか。この照合を最後にやるだけで、通過率は目に見えて変わります。
手順5:提出時に一言添える
本文だけを送るのではなく、短いメッセージを添えます。「ご指定の1,500文字程度に合わせ、1,540文字で作成しました。保存方法の項目は独自に追加していますので、不要でしたらお知らせください」。
この一言があると、読む側は原稿の意図をすぐ理解できます。長い挨拶はいりません。2行で十分です。
落ちてしまったあとの、3つの動き
トライアルに落ちること自体は、めずらしいことではありません。応募が集まる分野なので、実力があっても人数の関係で選ばれないことがあります。大事なのは、そのあとの動きです。
動き1:理由を、聞き方を工夫して聞く
「なぜ落ちたのですか」と聞いても、たいていは定型文しか返ってきません。企業には理由を説明する義務がないからです。
でも、聞き方を変えると答えが返ってくることがあります。「今後の参考にしたいので、原稿の中で改善すべき点を1つだけ挙げていただけますか」。1つだけ、と絞ることで相手の負担が下がり、返信が来る確率が上がります。
動き2:提出した原稿を、2週間後に読み返す
返信が来なくても、自己点検はできます。ただし、落ちた直後は読み返さないでください。心が揺れているときに読むと、必要以上に自分を責めてしまいます。
2週間ほど置いてから読み返すと、不思議なほど冷静に見えます。「ここ、分量を書いていない」「この手順、順番が逆だ」。自分で気づけたものは、次から確実に直せます。
動き3:応募先を横に広げる
レシピ記事だけに絞らず、隣接する分野にも目を向けてください。書く力と整理する力は、他の分野でもそのまま使えます。
たとえば、企業がAIツールを業務に導入する際の手順書づくりは、レシピ記事と構造がほとんど同じです。手順を分解し、迷いやすい箇所に注釈をつけ、誰が読んでも同じ結果になるようにする。この技術は共通しています。関連する仕事の内容はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で確認できます。
Webサービスの企画や運用まわりに広げるならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事、開発の現場でどんな役割があるかを知りたいならアプリケーション開発のお仕事が参考になります。レシピを扱うサービス自体がアプリで動いていることを考えると、周辺の職種を知っておく価値はあります。技術の基礎を体系的に学びたい方にはCCNA(シスコ技術者認定)のような資格の出題範囲が土台づくりに使えますし、技術職の報酬水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認できます。
トライアル原稿でよくある失敗と、その直し方
ご相談の中で繰り返し出てくる失敗のパターンを、直し方とセットで並べます。自分の原稿に当てはまるものがないか、照らし合わせてみてください。
失敗1:導入が長すぎる
「秋になると恋しくなる、あたたかい煮込み料理。我が家では毎年この時期になると…」。こうした情緒的な導入を長く書いてしまう方が多いです。気持ちは分かります。でも読者は、つくり方を知りたくて来ています。
導入は200文字以内に収めて、「このレシピは何が便利なのか」を先に伝えてください。「フライパン1つで、15分でできます」「冷蔵で3日もつので作り置きに向きます」。この具体性のほうが、情緒より強く読者をつかみます。
失敗2:材料の並び順がバラバラ
材料欄は、使う順番に並べるのが基本です。主材料、副材料、調味料の順にまとめ、調味料の中でも合わせ調味料は一括りにする。この整理があると、読者は買い物のときも調理のときも迷いません。
よくないのは、思いついた順に書いてしまうことです。しょうゆ、玉ねぎ、みりん、鶏肉、砂糖。この並びだと、読者は上から下まで何度も目を往復させることになります。
失敗3:数字の単位が揃っていない
「大さじ1」「小さじ2分の1」「50cc」「100g」「2カップ」。これらが1つの記事に混在していると、読みにくくなります。液体は「ml」か「大さじ」か、どちらかに寄せる。この統一があるだけで、原稿の完成度は上がって見えます。
トライアルではレギュレーションが渡されることが多いので、そこに指定があればそれに従います。指定がない場合は、自分で決めて最後まで揃えてください。
失敗4:写真と手順が対応していない
写真つきの案件で起きやすい失敗です。手順3の写真として、実は手順5の状態の写真を使ってしまう。試作しながら撮っていると、順番が入れ替わることがあります。
対策は、撮影のたびにファイル名へ手順番号を入れることです。「step03.jpg」のように保存しておけば、あとから混乱しません。10枚を超えると記憶では追えなくなるので、最初から名前で管理してください。
失敗5:食品衛生や表示への配慮がない
保存期間を「1週間もちます」と根拠なく書く、加熱不足になりやすい食材の注意を書かない、アレルギーを含む食材への言及がない。こうした点は、掲載する企業にとってリスクになります。
保存期間は「冷蔵で2日から3日を目安に」と幅を持たせ、「早めにお召し上がりください」と添える。生の肉や魚を扱うなら中心部までの加熱に触れる。この配慮があるだけで、「分かっている書き手」という評価になります。食品衛生の一般的な考え方は厚生労働省が公開している情報が参考になります。
報酬と税金まわりで、最初に知っておくこと
在宅で仕事を受け始めると、お金まわりの疑問が必ず出てきます。不安なまま進むより、最初に押さえておくほうが気持ちが楽です。
支払われる時期を確認する
業務委託で受ける場合、報酬の支払期日は契約で決まります。フリーランスとして受注する取引では、発注者は成果物を受け取った日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払う必要があります。「掲載されたら支払います」という条件で、掲載時期が未定のまま何か月も待たされる形になっていないか、応募の段階で確認してください。
源泉徴収と確定申告
原稿料は、支払う側が所得税を源泉徴収する対象になることがあります。振り込まれた金額が契約額より少ないとき、その差額が源泉徴収分であることが多いです。この場合、確定申告で精算すると戻ってくることがあります。
副業として受ける場合でも、給与以外の所得が一定額を超えると申告が必要になります。制度の詳細は国税庁の情報を確認してください。記録さえ残しておけば、申告そのものは難しくありません。材料費や書籍代の領収書は、月ごとに封筒へ入れておくだけでも十分です。
記録の取り方
私がおすすめしているのは、表計算ソフトで1行1件の記録をつける方法です。日付、発注元、案件名、契約額、入金予定日、入金日、経費。この7列だけあれば、あとから振り返れます。
この記録があると、「今月はいくら受けたか」だけでなく「どの発注元が支払いを守っているか」も見えてきます。取引先を選ぶときの、確かな判断材料になります。
心が折れないための、もうひとつの準備
技術的な準備の話をしてきましたが、最後に、気持ちの準備についてお話しさせてください。
在宅で仕事を探していると、応募しても返信が来ないことが続きます。これは、会社勤めではあまり経験しない種類のつらさです。誰にも会わない環境で、返信の来ないメールボックスを開き続けるのは、想像以上に消耗します。
こういう相談がよくあります。「自分が社会から必要とされていない気がする」と。でも、返信が来ないのは、あなたに価値がないからではありません。応募が数十件集まっていて、担当者が返信しきれていないだけ、ということが本当に多いんです。
対処法を2つお伝えします。
1つは、応募の記録を残すことです。日付、応募先、結果、気づいたこと。表にして残すと、「何もしていない」という感覚から抜け出せます。実際には動いているのに、記録がないと動いていないように感じてしまう。これは誰にでも起きる錯覚です。
もう1つは、応募を1件に集中させないことです。1件に全部をかけると、落ちたときのダメージがそのまま全部になります。同時期に3件から5件に応募しておけば、1件落ちても他が残ります。心を守るための、現実的な工夫です。
大丈夫ですよ。トライアルは、受かるか落ちるかの試験ではなく、相性を見る場です。落ちたということは、そこがあなたに合う場所ではなかったというだけのこと。次に進んでいいんです。
案件の傾向から見えてくること
在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、レシピ記事に限らず、書く仕事で長く続いている人には共通点があります。それは、文章がうまいことではありません。「渡したあとの相手の作業を想像できる」ことです。
ファイル名を指定どおりに揃える、修正した箇所を分かるようにして返す、次回に使える形でメモを添える。どれも報酬には直結しない小さな配慮です。けれど、受け取る側の手間を確実に減らします。運営者として見てきた限りでは、こうした配慮ができる人のところに、次の依頼が集まっています。単価を上手に交渉した人ではなく、頼むと楽な人が残る。この順番は、20年ほとんど変わりません。
もうひとつ、手取りの話をしておきます。同じ5,000円の案件でも、間に手数料が乗る経路と乗らない経路では、実際に受け取る金額が違います。手数料0%で直接やり取りできる形は、依頼する側から見れば同じ予算でより多く頼めますし、受ける側から見れば同じ作業でも手取りが厚くなります。運営者として見てきた限り、長く続けている人ほど、報酬の額面だけでなく、この経路の違いを早い段階で計算に入れています。
案件情報を横断して眺めていると、もうひとつ気づくことがあります。「未経験可」と書かれている募集ほど、提出物の要件が細かいという傾向です。経験を問わない代わりに、指示を正確に実行できるかで選んでいる。この構造が分かっていれば、準備すべきものは自然と決まります。特別な知識ではなく、条件の書き出し、構成の設計、実際につくって確かめること、そして提出前の照合。この4つを揃えた時点で、多くの応募者より前に出ています。
レシピ記事の仕事は、家庭で積み重ねてきた時間がそのまま材料になる、めずらしい分野です。毎日つくってきた経験は、確かに資産です。それを、読む人が再現できる形に翻訳する。その技術だけを、これから足していけばいい。焦らず、1本ずつ進めてください。
よくある質問
Q. レシピ記事の作成に料理の資格は必要ですか?
必須ではありません。募集の多くは資格ではなく、分量と手順を具体的に書けるか、指定された文字数と表記ルールを守れるかを見ています。資格があれば専門性の高い案件で有利になる場面はありますが、まずはサンプル原稿を1本仕上げるほうが選考への効果は大きいです。
Q. トライアルの課題は無報酬でも受けるべきですか?
選考目的の短い課題であれば無報酬のことも一般的です。ただし、実際にサイトへ掲載される原稿を複数本書かせるような内容であれば、それは業務にあたります。掲載の有無と、成果物の使われ方を応募時に確認し、明示されていなければ質問してください。
Q. 単価の相場はどのくらいですか?
既存レシピのリライトは1本1,500円から4,000円、写真なしの執筆で3,000円から6,000円、撮影込みのオリジナルレシピで8,000円から2万円程度が目安です。撮影込みは材料費と試作時間が自己負担になることが多いため、時間あたりの手取りで比較して判断してください。
Q. 落ちた場合、同じ会社に再応募してもよいですか?
問題ありません。ただし前回と同じ原稿を出すのは避けてください。落ちた原因を自己点検し、分量の精度や手順の具体性を明確に改善したうえで、数か月あけて応募するのが現実的です。並行して他社にも応募し、1社に依存しない進め方をおすすめします。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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