校閲を在宅ワークにするには|校正との違いと手元にそろえる辞書や資料

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校閲を在宅ワークにするには|校正との違いと手元にそろえる辞書や資料

この記事のポイント

  • ✓校閲を在宅ワークにする方法を
  • ✓在宅で受けられる仕事の種類
  • ✓手元にそろえる辞書や表記の資料

校閲は、文章に書かれている事実や内容に誤りがないかを確かめる仕事です。原稿やゲラ(印刷前の試し刷り)をデータやPDFで受け取り、指摘を書き込んで返す形が増えたことで、在宅で受けられる仕事も広がっています。ただし、誤字や表記の揺れを直す「校正」とは求められる力が違い、調べるための辞書や資料を手元にそろえることが、仕事の質を大きく左右します。

この記事では、校閲を在宅ワークにしたい人に向けて、校正との違い、在宅で受けられる仕事の種類、手元にそろえておきたい辞書や表記の資料、実際の作業の進め方、仕事の探し方と未経験から実績を積む段取り、報酬を受け取るときの税金の扱いまでを順に説明します。

校正と校閲の違い

校正と校閲は、どちらも文章の誤りを見つける仕事ですが、見る対象が違います。

比べる点 校正 校閲
主に見るもの 文字や表記の誤り、体裁 内容や事実の誤り、矛盾
確かめる例 誤字脱字、送り仮名、表記の揺れ、文字の大きさや行の揃え 人名や地名、年号、数字、引用、固有名詞、前後の内容の食い違い
照らし合わせる相手 元の原稿、表記の決まり 辞書、事典、公的な資料、原典

校正は、元の原稿とゲラを照らし合わせて写し間違いがないかを確かめる作業や、決められた表記の決まりに沿っているかを確かめる作業が中心です。校閲は、その文章に書かれていることが正しいかを、辞書や資料にあたって確かめる作業です。たとえば「江戸幕府が開かれたのは1603年」と書かれていれば、その年が正しいかを確かめ、同じ文章の別の箇所で違う年が書かれていないかも見ます。

校閲は、書き手の考えや文章の味わいに口を出す仕事ではありません。書き手が伝えたいことを、誤りのない形で読み手に届けるための仕事です。そのため、事実の誤りを見つけても、どう直すかを最終的に決めるのは書き手と編集の担当者です。校閲者は、誤りの可能性と根拠を示し、判断の材料をそろえる役割を担います。この線引きを理解しておくと、依頼者との行き違いが起きにくくなります。

実際の仕事では、校正と校閲を合わせて頼まれることが多く、「校正・校閲」とまとめて募集されることも珍しくありません。在宅の仕事でも、まずは校正の正確さを身につけ、そのうえで調べる力を伸ばしていくのが一般的な道筋です。

校正の技能を認定する検定として、日本エディタースクールが1966年から実施している校正技能検定があります。同校の案内では、校正は書籍や雑誌の内容を正しく不備のないものに仕上げるための重要な仕事であり、出版界だけでなく、文章の作成や点検の業務への信頼が求められる一般の企業でも生かせる技能だと説明されています。

在宅で受けられる校閲の仕事の種類

校閲の仕事は、出版社の書籍や雑誌だけではありません。在宅で受けられる仕事を、扱う文章の種類で分けると次のようになります。

書籍や雑誌の校閲

出版社や編集プロダクションから、書籍や雑誌のゲラを受け取って校閲する仕事です。小説、実用書、学術書、雑誌の記事など、ジャンルによって確かめる内容が大きく違います。小説では作中の時代背景や登場人物の設定の矛盾、実用書では手順や数字の正しさ、学術書では引用や参考文献の正確さが重点になります。経験者が求められることが多い分野ですが、得意な分野の知識があれば、その分野の本で声がかかることもあります。

Webメディアの記事の校閲

企業のオウンドメディア(自社で運営する情報サイト)や、ニュースサイトの記事を、公開前に確かめる仕事です。在宅の仕事として最も募集が多い分野の1つで、記事の中の数字、制度の説明、固有名詞、引用元のリンクが正しいかを確かめます。公開の日程が決まっているため、短い納期で多くの記事を確かめることが求められます。

企業の文書や広告の校閲

会社案内、商品のパンフレット、取扱説明書、広告の文面などを確かめる仕事です。広告では、表現が法律の決まりに触れていないかを確かめることも求められます。たとえば、商品の効果を実際より大きく見せる表現は、景品表示法(商品やサービスの表示のルールを定めた法律)の問題になることがあります。法律の判断そのものは依頼者の担当者や専門家が行いますが、気になる表現に印を付けて知らせることは、校閲の大事な役割です。

専門分野の文書の校閲

医療、法律、金融、技術など、専門の知識が要る文書の校閲です。論文や研究の報告書の確認もここに入ります。本業や学業でその分野に関わってきた人が、在宅で受けやすい仕事です。研究の現場の働き方に関心がある人は、研究者の年収・単価相場も参考になります。

校閲で確かめること

校閲で確かめる項目は多岐にわたります。在宅の仕事でよく求められるものを整理します。

  1. 固有名詞:人名、地名、会社名、商品名、作品名の表記。人名は旧字体や異体字にも注意します。
  2. 数字と年号:年、日付、金額、割合、人数などが正しいか。計算が合っているか。
  3. 事実関係:出来事の順番、制度の内容、歴史の事実などが資料と合っているか。
  4. 引用:引用された文章が原典と一字一句同じか。出典が正しく示されているか。
  5. 前後の矛盾:同じ文章の中で、同じ事柄が違う数字や名前で書かれていないか。
  6. 表現の問題:差別的な表現や、誤解を招く表現、権利に触れる表現がないか。
  7. リンク:Webの記事では、リンク先が存在し、内容が本文と合っているか。

このうち、在宅の仕事で特に重く見られるのが2と3です。数字や制度の説明は、時期によって変わることが多く、古い情報のまま書かれていることがよくあります。たとえば税金や社会保険の制度は毎年のように改定されるため、資料を確かめるときは、その資料がいつの時点のものかを必ず見ます。

手元にそろえておきたい辞書と資料

校閲の質は、手元の辞書と資料に大きく左右されます。在宅で仕事をする場合、出版社の校閲部のように資料室を使えないため、自分で必要なものをそろえておく必要があります。

国語辞典

言葉の意味、使い方、表記を確かめるための基本の道具です。辞書によって収録されている言葉や説明の仕方が違うため、2冊以上を引き比べられるようにしておくと、判断に迷ったときの助けになります。電子辞書やアプリの辞書も便利ですが、版によって中身が違うため、どの版を使っているかを把握しておきます。

漢字辞典

漢字の読み、意味、字体を確かめるための辞典です。人名や地名で使われる漢字、旧字体や異体字を確かめるときに欠かせません。

表記の決まりの資料

文字や言葉の表記には、国の目安となる決まりがあります。漢字の使い方の目安は「常用漢字表」として内閣告示で示されており、文化庁のページで確かめられます。

一般の社会生活において現代の国語を書き表すための漢字使用の目安を、次の表のように定める。 出典: bunka.go.jp

常用漢字表は平成22年11月30日に告示されたもので、文化庁のページでは、同じく内閣告示として示されている「現代仮名遣い」「送り仮名の付け方」「外来語の表記」「ローマ字のつづり方」とあわせて、一般の社会生活における国語の表記の目安・よりどころとされていると説明されています。漢字を使うか、ひらがなで書くかで迷ったときは、まずここを見ます。

用字用語の手引き

新聞社や通信社が発行している用字用語の手引き(記者向けの表記の決まりをまとめた本)は、Webメディアや企業の文書の校閲で基準としてよく使われます。依頼者によってどの手引きに従うかが決まっていることが多いため、仕事を受けるときに確かめます。

事典と年表

歴史、地理、人物などを確かめるための百科事典や年表です。インターネットの百科事典は手軽ですが、誰でも書き換えられるものは、それだけを根拠にせず、他の資料と照らし合わせます。

公的な資料

制度、法律、統計を確かめるときは、各省庁や自治体の公式のページ、法令の検索のサイトを使います。古い情報のまま残っているページもあるため、更新日を必ず確かめます。

依頼者ごとの表記の決まりを確かめる

校閲の仕事では、依頼者ごとに「表記の決まり」があることがほとんどです。たとえば「下さい」と「ください」のどちらで書くか、数字を算用数字と漢数字のどちらで書くか、外来語の長音を付けるかどうか(「コンピューター」と「コンピュータ」)、といった決まりです。

在宅の仕事では、こうした決まりを「表記統一表」「レギュレーション」などと呼ばれる資料で渡されることが多く、作業の前に必ず読み込みます。決まりが示されていない場合は、依頼者に確かめます。自分の好みで直してしまうと、正しい直しであっても、依頼者の決まりに合わないことがあります。

決まりの資料は、仕事を受けるたびに手元で整理しておくと、同じ依頼者から次の仕事を受けたときに作業が速くなります。依頼者ごとにファイルを分け、迷った箇所と依頼者の答えを書き足していくと、自分だけの判断の記録になります。

在宅での作業の進め方

在宅の校閲の仕事は、紙のゲラを郵送でやり取りする形と、PDFやデータでやり取りする形があります。最近はPDFやデータでのやり取りが増えています。作業の進め方を順に説明します。

  1. 依頼の範囲を確かめる。校正だけか、校閲も含むか。事実の確認はどこまで求められているか。表記の決まりは何に従うか。納期はいつか。最初に確かめておかないと、作業の量が大きく変わります。
  2. 全体を通して読む。いきなり細かい点を見るのではなく、まず全体を読んで内容をつかみます。前後の矛盾は、全体を知らないと見つけられません。
  3. 項目ごとに確かめる。固有名詞、数字、引用など、項目ごとに分けて確かめると見落としが減ります。気になる箇所には印を付け、調べる資料を書き留めておきます。
  4. 資料にあたって調べる。印を付けた箇所を、辞書や資料で1つずつ確かめます。何を根拠にしたかを記録しておくと、依頼者に説明するときに役立ちます。
  5. 指摘を書き込む。誤りが明らかな箇所は直しの案を示し、判断が分かれる箇所は疑問として示します。校閲では、断定せずに「〇〇の資料では△△となっていますが、ご確認ください」のように、根拠を添えて疑問を出すのが基本です。
  6. 見直してから返す。自分の指摘に誤りがないか、指摘の漏れがないかを確かめてから返します。

PDFで作業する場合は、注釈の機能を使って指摘を書き込みます。依頼者によって、書き込みの方法(色、記号、コメントの書き方)が決まっていることがあるため、最初に確かめます。

指摘の書き方を例で見る

校閲の仕事の質は、何を見つけたかと同じくらい、どう伝えたかで評価されます。依頼者は、指摘を読んでその場で直すかどうかを判断します。判断に必要な情報がそろっている指摘は、依頼者の手間を減らします。架空の例で、伝わりにくい指摘と伝わりやすい指摘を比べます。

数字の指摘

本文に「この制度は2019年に始まった」と書かれていて、資料では2020年となっていた場合です。

伝わりにくい指摘:「2020年では?」

伝わりやすい指摘:「〇〇省の制度の案内ページ(2026年10月時点)では、開始は2020年4月と記載されています。ご確認ください。」

伝わりやすい指摘には、何を根拠にしたか、その資料がいつの時点のものか、どう直すかの案が入っています。依頼者は、自分でもう一度調べ直さずに判断できます。

前後の矛盾の指摘

ある記事の前半で「対象は20歳以上」、後半で「対象は18歳以上」と書かれていた場合です。

伝わりにくい指摘:「矛盾しています」

伝わりやすい指摘:「前半の『対象者』の節では20歳以上、後半の『申し込み方法』の節では18歳以上となっています。資料では18歳以上のため、前半を直す案をお示しします。」

どこと、どこが食い違っているのかを具体的に示すと、依頼者は両方の箇所を探す手間が省けます。

判断が分かれる箇所の指摘

言葉の使い方として誤りとまでは言えないが、気になる箇所もあります。たとえば、辞書によって扱いが分かれる言い回しです。こうした箇所は、直しを求めるのではなく、「辞書によっては〇〇の意味で載っていないものがあります。読者の層によっては△△とする案もあります」のように、選ぶ材料を示します。最終的な判断は書き手と依頼者に任せるのが、校閲の基本の姿勢です。

インターネットで調べるときの注意

在宅の校閲では、インターネットで調べる場面が多くなります。手軽な反面、使い方を誤ると、誤った情報を根拠にしてしまいます。次の点に気をつけます。

情報の出どころを確かめる

同じ内容が多くのサイトに書かれていても、それが正しいとは限りません。1つの誤った情報が、多くのサイトに写されて広がっていることもあります。できるだけ、その情報を最初に出した機関や人(制度なら所管の省庁、統計なら調査をした機関、企業の情報ならその企業の公式のページ)までさかのぼって確かめます。

いつの情報かを確かめる

制度の内容、料金、人の肩書き、会社の所在地などは、時間がたつと変わります。ページに書かれている更新日や、資料の作成日を見て、校閲する文章が書かれた時点、公開される時点で正しい情報かを確かめます。古い資料が検索の上位に出てくることもよくあります。

公的なページの移転に気をつける

省庁や自治体のページは、組織の再編やサイトの作り直しで住所が変わることがあります。本文に書かれたリンクが別のページにつながっていたり、つながらなくなっていたりすることも、校閲で見つけるべき誤りの1つです。リンクは必ず実際に開いて、中身が本文と合っているかを確かめます。

調べた記録を残す

どの資料の、どの箇所を見て判断したかを記録しておくと、依頼者から質問されたときにすぐ答えられます。同じ依頼者から似た内容の仕事を受けたときにも、記録が役立ちます。

在宅の作業環境を整える

在宅の校閲は、長い時間、細かい文字を見続ける仕事です。作業の環境を整えておくと、見落としが減り、疲れにくくなります。

  • 画面を大きくする。PDFのゲラを見ながら資料を調べるため、画面が2つあると作業が速くなります。ゲラを一方の画面、資料をもう一方の画面に表示すると、行き来の手間が減ります。
  • 紙に印刷して読む時間を作る。画面だけで読んでいると見落としやすい誤りが、紙に印刷すると見つかることがあります。依頼者の決まりで印刷が許されている場合は、最後の見直しを紙で行う方法もあります。印刷したゲラは、作業が終わったら決められた方法で処分します。
  • 静かな時間に集中して読む。校閲は集中力を要する仕事です。家族の生活の音が少ない時間帯に、まとまった時間を取って読みます。
  • データの扱いに気をつける。依頼者から受け取ったゲラやデータは、発売や公開の前の情報です。自分のパソコンの中でも決まった場所に保存し、家族と共用のパソコンでは作業しない、仕事が終わったら決められた方法で削除する、といった扱いを守ります。

校閲の仕事に向いている人

校閲は、誰でもすぐにできる仕事ではありませんが、向いている人の特徴ははっきりしています。

  • 細かい違いに気づける人。1文字の違い、数字の1桁の違いを見逃さない注意力が求められます。
  • 調べることが苦にならない人。1つの事実を確かめるのに、複数の資料をあたることもあります。調べる過程を楽しめる人は長く続けられます。
  • 断定しすぎない人。自分の知識だけで「これは誤りだ」と決めつけず、根拠を示して疑問を出す姿勢が大切です。
  • 得意な分野がある人。歴史、医療、法律、料理、スポーツなど、詳しい分野があると、その分野の文章で頼りにされます。
  • 決められた決まりを守れる人。依頼者の表記の決まりに合わせて作業できることが求められます。

反対に、文章を自分好みに書き換えたくなる人は、注意が要ります。校閲の役割は、誤りを指摘することであって、文章を書き直すことではありません。言い回しが気になっても、誤りでなければ直さないのが基本です。

仕事の探し方

在宅の校閲の仕事は、次のような場所で募集されています。

クラウドソーシングや仲介サイト

Webメディアの記事の校正・校閲を中心に、在宅の仕事が多く募集されています。未経験でも応募できる案件があり、実績を積む入り口になります。継続の案件につながることもあります。

編集プロダクションや校正の専門会社

書籍や雑誌の校閲を請け負う会社が、在宅の校正者・校閲者を登録制で募集していることがあります。多くの場合、登録の前に試験があります。校正技能検定の合格や、校正の講座の修了が、応募の条件や評価の材料になることもあります。

知人や前職のつながり

出版社、新聞社、広告の会社などで働いていた人は、前職のつながりから声がかかることがあります。専門分野の知識がある人は、その分野の会社から頼まれることもあります。

自分から営業する

Webメディアを運営する会社に、記事の校閲を受けられることを伝えて仕事を得る方法もあります。過去に確かめた記事の例(依頼者の許可が得られる範囲で)や、自分の得意な分野を示した資料があると、話が進みやすくなります。

文章に関わる在宅の仕事の報酬の上げ方は、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップでも紹介しています。書く仕事と確かめる仕事は、求められる力が重なる部分が多く、両方を受けている人も少なくありません。

応募するときに見せるもの

校閲の仕事に応募するとき、依頼者が知りたいのは「この人に任せたら、どこまで見てくれるのか」です。経歴を並べるだけでなく、次のようなものを用意しておくと伝わりやすくなります。

  • 得意な分野の一覧:詳しい分野と、その分野でどんな文章を確かめられるかを書きます。
  • 使っている辞書と資料:どの国語辞典、どの用字用語の手引きを使っているかを書くと、依頼者は自社の決まりと合うかを判断できます。
  • 指摘の書き方の見本:架空の文章に、自分が実際に入れる形で指摘を書き込んだ見本を作っておきます。前の節で紹介したように、根拠と直しの案を添えた見本は、依頼者に作業の質を伝えるいちばんの材料です。
  • 作業できる時間と、1日に見られる量の目安:在宅の仕事では、依頼者は納期を組むために、どれくらいの量をいつまでに見られるかを知りたがっています。

過去に確かめた文章を見本として使う場合は、依頼者の許可が得られた範囲に限ります。許可がない場合は、自分で作った文章に指摘を入れた見本を使います。

仕事量と納期の考え方

在宅の校閲で無理なく続けるには、自分が1時間にどれくらいの量を見られるかを把握しておくことが大切です。同じ文字数でも、事実の確認が多い文章、固有名詞が多い文章、専門用語が多い文章は、時間が何倍もかかります。

最初のうちは、仕事ごとに「文字数」「確かめた項目の数」「かかった時間」を記録しておきます。記録がたまると、新しい依頼を受けるときに、どれくらい時間がかかりそうかを見積もれるようになります。見積もりができると、報酬が時間に見合っているかを判断でき、無理な納期の依頼を断ることもできます。

納期の直前は、どうしても読む速さを上げたくなります。しかし、校閲で見落としが起きやすいのは、急いでいるときです。納期に余裕のある受け方を心がけ、もし間に合いそうにないとわかったら、早めに依頼者に伝えます。全部を急いで見るより、見る範囲を相談して絞るほうが、依頼者にとっても助かることがあります。

文章を確かめる道具との付き合い方

最近は、文章の誤字脱字や表記の揺れを自動で見つける道具や、AIを使って文章を確かめる道具が増えています。こうした道具は、校閲の仕事を奪うものではなく、うまく使えば作業を助けるものです。

表記の揺れや単純な誤字は、道具で見つけやすい誤りです。一方、事実の確認、前後の矛盾、引用の正確さ、表現が読み手に与える印象の判断は、道具だけでは確かめきれません。AIが示した答えそのものが誤っていることもあり、その答えを根拠にして指摘を書くことはできません。根拠は、必ず辞書や公的な資料、原典で確かめます。

依頼者の中には、受け取ったゲラや原稿を外部の道具に入れることを禁じているところもあります。発売前の原稿や社外秘の文書を、許可なく外部のサービスに入力すると、情報の漏えいにつながるおそれがあるためです。道具を使ってよいかは、仕事を受けるときに確かめておきます。

未経験から実績を積む段取り

未経験から校閲の在宅ワークを始める場合は、次の順で進めると無理がありません。

  1. 校正の基本を身につける。校正の記号や作業の手順を、講座や本で学びます。日本エディタースクールの校正技能検定は、中級が年2回、上級が年1回実施されており、2026年10月時点の案内では、第177回の中級試験が2026年12月13日に実施されます。上級は中級の合格者だけが受けられます。資格がなくても仕事はできますが、学ぶ目安として使えます。
  2. 文章の書き方の基本を固める。正しい文章とは何かを知らないと、誤りを見つけられません。文書の書き方を問う検定として、ビジネス文書検定のようなものもあります。
  3. 小さな案件で実績を積む。Webの記事の校正など、作業の範囲が区切られた案件から受けます。1件ずつ、依頼者の決まりに沿って丁寧に仕上げます。
  4. 得意な分野を作る。自分が詳しい分野の記事や文書を中心に受けていくと、その分野で頼られる存在になれます。
  5. 校閲の範囲を広げる。校正の正確さが認められたら、事実の確認を含む校閲の仕事へ広げていきます。

報酬の受け取りと源泉徴収

校閲の報酬は、受け取り方によって源泉徴収(支払う側があらかじめ所得税を差し引いて納める仕組み)の対象になることがあります。国税庁の質疑応答事例では、講演の内容の要約文の校閲を頼んで支払う報酬について、一種の監修料に当たり、原稿の報酬として源泉徴収が必要だと回答しています。原稿料などの報酬から差し引く税額は、国税庁のタックスアンサーによると、支払う額が100万円以下の場合は10.21%です。詳しくは国税庁の原稿料や講演料等を支払ったときのページで確かめられます。

ただし、源泉徴収が必要かどうかは、仕事の中身や契約の形によって変わります。誤字脱字を確かめるだけの校正の報酬などは扱いが異なる場合もあるため、個々の取引については、依頼者や税務署に確かめてください。源泉徴収された税金は、確定申告で精算されます。副業の所得が年間で一定の額を超えると確定申告が必要になり、辞書や資料の購入費の扱いも含め、所得の区分や経費の考え方は金額や働き方で変わります。

会社員の場合は、勤務先の就業規則で副業の扱いを確かめます。本業で扱った文書の内容を副業に持ち出さないことは、言うまでもありません。

校閲の経験から広げられる仕事

校閲の仕事で身につく力は、ほかの在宅の仕事にも生かせます。仕事の幅を広げておくと、校閲の依頼が少ない時期の支えになります。

編集の仕事

校閲で文章の構成や内容に深く関わるうちに、記事の企画や構成、書き手への指示といった編集の仕事を頼まれることがあります。Webメディアでは、校閲と編集の両方を任せられる人が求められる場面も少なくありません。

ライティングの仕事

正確に調べる力は、文章を書く仕事でも強みになります。とくに、制度や数字を扱う記事、専門分野の記事では、調べて確かめる力のある書き手が求められます。書く仕事を受けるときも、校閲の視点で自分の原稿を見直す習慣があると、修正の少ない原稿を納められます。

翻訳の確認や、字幕の確認

外国語ができる人は、翻訳された文章が原文と合っているかを確かめる仕事を受けられることがあります。動画の字幕の誤りを確かめる仕事もあります。いずれも、正確さと、決められた表記の決まりを守る力が求められる点で、校閲と共通しています。

社内の文書の点検

企業の中には、外部に出す文書や、ホームページの文章を、定期的に確かめてほしいというところもあります。決まった企業から継続して頼まれる形になると、収入が安定しやすくなります。

長く続く校閲者に共通すること

在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として、文章に関わる仕事の募集と応募を長く見てきました。校閲の仕事で長く続いている人に共通するのは、指摘の「根拠」を必ず添えていることです。「誤りです」とだけ書くのではなく、「〇〇の資料(いつの時点のもの)では△△となっています」と書く人は、依頼者がその場で判断でき、手間が減ります。この人に任せると確認の手間が減る、と思われることが、継続の依頼につながっています。

もう1つは、依頼者の決まりを記録し、次の仕事に生かしていることです。同じ依頼者から2回目、3回目の仕事を受けるとき、前回の判断を覚えていてくれる校閲者は重宝されます。依頼者と直接やり取りできる形なら、こうした細かなすり合わせがしやすく、仲介の手数料が差し引かれない分だけ手取りも厚くなります。手数料0%で直接やり取りできる仲介サイトは、継続して校閲を受けたい人にとって使いやすい仕組みです。

文章を書く仕事、確かめる仕事、デザインの仕事は、Webの制作の現場でつながっています。書く仕事の報酬の考え方は前の節で紹介した記事で、Webの制作に関わる働き方はWebデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスでも紹介しています。在宅で受けられる仕事の幅を広げるときの参考にしてください。

よくある質問

Q. 校正と校閲はどう違いますか?

校正は、元の原稿とゲラを照らし合わせて写し間違いを見つけたり、誤字脱字や表記の揺れ、体裁を確かめたりする作業です。校閲は、人名や地名、年号や数字、引用、制度の説明など、書かれている内容が正しいかを辞書や資料で確かめ、前後の矛盾も見つける作業です。実際の仕事では、両方を合わせて頼まれることが多くあります。

Q. 未経験でも校閲の在宅ワークはできますか?

書籍の校閲は経験者が求められることが多い一方、Webの記事の校正・校閲には未経験でも応募できる案件があります。まず校正の記号や手順を講座や本で学び、作業の範囲が区切られた案件で実績を積み、得意な分野を作ってから、事実の確認を含む校閲へ広げていくのが無理のない進め方です。

Q. 在宅で校閲をするには、どんな辞書や資料が要りますか?

引き比べられるよう2冊以上の国語辞典、漢字辞典、文化庁が示す常用漢字表などの表記の決まり、依頼者が指定する用字用語の手引き、事典や年表をそろえておくと安心です。制度や統計を確かめるときは、各省庁や自治体の公式のページを使い、その情報がいつの時点のものかを必ず確かめます。

Q. 校閲の報酬は源泉徴収されますか?

国税庁の質疑応答事例では、要約文の校閲の報酬が一種の監修料に当たり、原稿の報酬として源泉徴収が必要とされています。支払う額が100万円以下なら10.21%が差し引かれます。ただし、仕事の中身や契約の形で扱いが変わることがあるため、個々の取引は依頼者や税務署に確かめてください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年2月4日最終更新:2026年10月15日
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