ペットの世話を仕事にするには|シッターや散歩の依頼を受ける方法


この記事のポイント
- ✓ペットの世話を仕事にしたい人向けに
- ✓ペットショップやペットホテルで雇われる道と
- ✓シッターや散歩の依頼を個人で受ける道を整理しました
ペットの世話を仕事にしたいと考えたとき、多くの人が最初につまずくのは「どこから入ればよいのか分からない」という点です。ペットショップの求人に応募すればよいのか、シッターとして個人で依頼を受ければよいのか、資格を取ってからでないと始められないのか。調べるほど情報が散らばっていて、順番が見えにくい仕事です。
結論から書きます。ペットの世話の仕事は、お店や施設に雇われて働く道と、飼い主から直接依頼を受けて個人で働く道の2つに大きく分かれます。雇われて働くなら資格がなくても始められる求人が多くあります。一方で、飼い主の家に通って世話をするペットシッターや、犬を預かって散歩に連れ出す仕事を個人で営むなら、動物愛護管理法にもとづく「第一種動物取扱業」の登録が必要で、登録には一定の実務経験や資格を持つ「動物取扱責任者」を置かなければなりません。つまり、未経験からいきなり個人で開業するのは制度上難しく、まず雇われて経験を積み、そのあと独立するのが現実的な順番です。
この記事では、ペットの世話の仕事の種類、求人の給与水準、個人で依頼を受けるときの登録と責任者の要件、仕事の流れと必要な力、始めるまでの手順を、環境省の資料と法令で確かめた事実をもとに整理します。
ペットの世話の仕事は、大きく4つの働き方に分かれる
「ペットの世話」と一口に言っても、実際の働き方はかなり違います。まずは全体の地図を頭に入れておくと、自分に合う入口が選びやすくなります。
1つ目は、ペットショップやペットホテル、動物病院、トリミングサロンなどに雇われて働く形です。犬や猫の食事の用意、ケージの掃除、散歩、体調の確認、来店した飼い主への対応などが主な仕事です。アルバイトやパートから正社員まで募集の形はさまざまで、未経験歓迎の求人も多く出ています。
2つ目は、ペットシッターとして飼い主の家に通い、留守のあいだに食事や水の交換、トイレの掃除、散歩、遊び相手などを引き受ける形です。シッター会社に所属して働く場合と、自分で事業として依頼を受ける場合があります。
3つ目は、犬の散歩だけを引き受ける散歩代行です。高齢の飼い主や、仕事で日中に散歩の時間が取れない飼い主からの依頼が中心です。散歩だけの依頼でも、他人の犬を預かって外に連れ出す以上、事業として行うなら登録の要否を確かめる必要があります。この点は後の節で詳しく扱います。
4つ目は、動物と直接触れ合う時間は少ないものの、ペットに関わる周辺の仕事です。ペット用品のネットショップの運営補助、ペット関連の記事の執筆、写真撮影などがこれにあたります。在宅でできる仕事を探している人にとっては、このあたりが入口になることもあります。
| 働き方 | 主な職場や相手 | 始めやすさ | 登録や資格 |
|---|---|---|---|
| 雇われて働く | ペットショップ、ペットホテル、動物病院、トリミングサロン | 未経験歓迎の求人が多い | 本人の登録は不要 |
| シッター会社に所属 | シッター会社から紹介された飼い主の家 | 研修を受けてから担当につく形が多い | 会社が登録を受けている |
| 個人で依頼を受ける | 飼い主と直接契約 | 経験と準備が必要 | 第一種動物取扱業の登録が必要 |
| 周辺の仕事 | 通販、記事の執筆、撮影など | 内容による | 仕事による |
どの働き方を選ぶにしても、動物の命を預かる仕事であることは変わりません。体調の小さな変化に気づけるか、事故を起こさない段取りが組めるかが、どの職場でも一番に問われます。
求人の数字で見る、ペットの世話の仕事の給与水準
仕事として続けられるかどうかを考えるうえで、収入の目安は避けて通れません。ここでは、求人検索サイトの集計から、雇われて働く場合の水準を見ていきます。
求人ボックスの「動物 世話の仕事」の検索結果ページでは、2026年10月5日時点で、動物の世話に関わる求人の平均月給が25.4万円と表示されていました。同じサイトの「ペットシッターの仕事」のページでは、平均月給が31.8万円と表示されています。ただし、これらは掲載されている求人の条件から計算した平均で、正社員と、管理職や店長候補の求人も含まれます。アルバイトで週に数日働く場合は、時給と働く時間で収入が決まります。
検索結果に並ぶ求人の中身を見ると、ペットショップでの世話と接客、ペットホテルでの宿直を含む世話、動物病院やトリミングサロンの補助、保護犬や保護猫の施設での世話など、職場の幅がかなり広いことが分かります。求人ボックスの検索結果には、次のような求人が並んでいます。
【仕事内容】<時給1150円>未経験者大活躍中 豚・鶏飼育全般お世話業務:佐賀市ご自宅で小動物を飼育されている方は... 出典: 求人ボックス
この例のように、「動物の世話」で検索すると、犬や猫だけでなく家畜の飼育の求人まで一緒に出てきます。ペットの世話を仕事にしたいなら、「ペットショップ」「ペットホテル」「ペットシッター」など、職場の種類まで含めた言葉で検索したほうが、目的に合う求人にたどり着きやすくなります。
給与の数字を見るときに押さえておきたいのは、ペットの世話の仕事は、土日や長期休暇の時期に需要が集中しやすいという点です。飼い主が旅行や帰省で家を空ける時期に、ペットホテルやシッターの依頼が増えます。雇われて働く場合は、その時期に休みが取りにくいことを前提に考えておく必要があります。個人で依頼を受ける場合は、繁忙期にどれだけ受けられるかで年収が大きく変わります。
個人で依頼を受けるなら、第一種動物取扱業の登録が必要
ペットシッターや散歩代行を、自分で事業として始めたいと考える人は多くいます。ここで必ず知っておかなければならないのが、動物愛護管理法の「第一種動物取扱業」の登録です。第一種動物取扱業とは、ペットなどの動物を、お金を受け取って販売したり、預かったり、訓練したりする事業のことです。
環境省の動物愛護管理のページでは、登録が必要な事業について、次のように説明しています。
業として、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合は、営業を始めるに当たって登録をしなくてはなりません。代理販売やペットシッター、出張訓練などのように、動物の所有や飼養施設がない場合も、規制の対象になります。 出典: 環境省
同じページの業種の一覧では、「保管」が「保管を目的に顧客の動物を預かる業」とされ、ペットホテル業者、動物を預かる美容業者と並んで、ペットのシッターが例に挙げられています。つまり、自分の家や店がなくても、飼い主の家に通って世話をするだけでも、事業として行う限り登録の対象です。対象になる動物は、実験動物や家畜を除く、哺乳類、鳥類、爬虫類です。
登録の申請先は、事業所がある都道府県、または政令指定都市の動物愛護を担当する部署です。登録は事業所ごと、業種ごとに受けます。法律の第13条により、登録は5年ごとに更新を受けなければ効力を失います。
登録をしないで第一種動物取扱業を営んだ場合は、動物愛護管理法の第46条により100万円以下の罰金の対象になります。知人の犬を善意で預かるのと、料金を受け取って継続的に引き受けるのとでは、法律の扱いがまったく違います。「少しだけ」「知り合いだけ」のつもりでも、料金を決めて募集する段階になったら、まず自治体の担当部署に相談するのが安全です。
散歩代行だけを引き受ける場合の扱いや、細かな施設の基準は、自治体によって独自の取り決めが追加されていることがあります。環境省のページも、申請手続きについては管轄の都道府県または政令市の担当部局に問い合わせるよう案内しています。自分の住む地域の担当部署に、どんな依頼を受けたいのかを具体的に伝えて確認してください。
動物取扱責任者の要件と、未経験からの道筋
第一種動物取扱業の登録を受けるには、事業所ごとに「動物取扱責任者」を選任しなければなりません。動物取扱責任者とは、その事業所で動物を適切に扱うための知識と経験を持ち、ほかの職員を指導する役割の人のことです。個人で開業する場合は、多くのケースで本人がこの責任者になります。
責任者になれる人の要件は、動物愛護管理法施行規則の第9条で決められています。整理すると、次のいずれかにあてはまる必要があります。
- 獣医師の免許を持っている
- 愛玩動物看護師の免許を持っている
- 営もうとする業種について、常勤の職員として半年以上の実務経験がある(または取り扱う動物について1年以上の飼養経験がある)うえで、その業種の知識と技術を1年以上教える学校などを卒業している
- 3と同じ実務経験または飼養経験があるうえで、公平で専門性のある団体が行う試験に合格して、その業種の知識と技術を身につけたことの証明を受けている
愛玩動物看護師とは、動物病院などで獣医師の指示のもと動物の看護や飼い主への指導を行う国家資格で、2022年に施行された愛玩動物看護師法による国家資格です。この資格を持っていれば、実務経験の条件なしで責任者になれます。
3と4の道は、どちらも「半年以上の常勤での実務経験」か「1年以上の飼養経験」が前提になっています。ここで注意したいのは、実務経験は常勤の職員として在職した期間に限られるという点です。週に数回のアルバイトでは、この条件を満たしたと扱われない可能性があります。自分の経験が要件にあてはまるかどうかは、登録先の自治体に確認してください。
また、法律の第22条により、事業者は動物取扱責任者に、都道府県が行う「動物取扱責任者研修」を受けさせなければなりません。登録を受けたあとも、継続して学び続ける仕組みになっています。
ここまでを整理すると、未経験から個人のペットシッターとして独立するまでの道筋は、おおむね次のようになります。
| 段階 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | ペットホテルやシッター会社などで常勤として働き、実務経験を積む | 半年以上 |
| 2 | 学校で学ぶか、団体の試験に合格して知識の証明を得る | 実務と並行も可能 |
| 3 | 自治体の担当部署に相談し、第一種動物取扱業(保管)の登録を申請する | 審査や立入確認の期間がある |
| 4 | 動物取扱責任者研修を受け、登録後の基準を守りながら営業する | 登録は5年ごとに更新 |
資格は「必須のもの」と「信頼のためのもの」に分けて考える
ペットの世話の仕事について調べると、たくさんの資格が出てきます。ここで混乱しやすいので、2つに分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は、法律で求められる資格や要件です。個人で第一種動物取扱業を営む場合の動物取扱責任者の要件がこれにあたります。獣医師や愛玩動物看護師の免許は国家資格で、取得すれば責任者の要件を満たせます。ただし、どちらも養成課程のある学校を卒業して国家試験に合格する必要があり、短期間で取れるものではありません。
2つ目は、民間の団体が行う検定や認定です。ペットシッターや動物の飼養管理、動物の看護、しつけなどについて、さまざまな団体が講座や試験を用意しています。こうした民間資格は、それ自体が仕事の許可になるわけではありません。ただ、先ほどの施行規則の要件のうち、「公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験」として自治体が認めているものであれば、実務経験と組み合わせることで責任者の要件を満たせます。どの試験が認められるかは自治体の判断になるため、受ける前に登録先の自治体へ確認するのが確実です。
雇われて働く場合は、資格がなくても採用される求人が多くあります。採用後に職場で経験を積み、そのうえで資格を取る人も少なくありません。トリマーのように技術を身につけるための学校が多い職種では、専門学校や通信講座で学んでから就職する道もあります。
資格の価値は、飼い主から見た安心の材料になることにもあります。他人に自宅の鍵を預け、大切な家族であるペットを任せるのですから、飼い主は依頼する相手の経歴や知識を気にします。プロフィールに資格や経験年数、扱える動物の種類を具体的に書けることは、依頼を受けるうえで大きな意味を持ちます。
ペットシッターの1日と、依頼を受けてから完了までの流れ
ペットシッターの仕事を具体的に思い描けるよう、依頼を受けてから完了するまでの流れを順番に見ていきます。
最初は事前の打ち合わせです。多くのシッターは、本番の前に飼い主の家を訪ね、ペットと顔を合わせ、世話の内容を細かく聞き取ります。食事の量と時間、薬の有無、苦手なこと、散歩のコース、かかりつけの動物病院、緊急時の連絡先などを確認します。この段階で、鍵の受け渡し方法と返却方法も決めておきます。
次に、契約書の取り交わしです。世話の内容、料金、キャンセルの扱い、鍵の管理方法、ペットが急に体調を崩したときの対応、損害が出たときの責任の範囲などを書面で確認します。口約束だけで始めると、トラブルが起きたときに双方の認識がずれてしまいます。
当日は、決められた時間に訪問し、食事と水の用意、トイレの掃除、散歩や遊び、ブラッシング、部屋の換気などを行います。猫の場合は、姿を見せないことも多いため、食事の減り方やトイレの状態で体調を確かめることが大切です。
世話が終わったら、飼い主に報告します。写真や短い動画を添えて、食事の量、トイレの様子、元気さを伝えるのが一般的です。旅行中の飼い主にとって、この報告は何よりの安心材料になります。
| 時間の流れ | 主な作業 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 訪問前 | 持ち物の確認、移動 | 遅刻しない、鍵を持っているか確かめる |
| 到着直後 | 室内とペットの様子の確認 | いつもと違う点がないかを見る |
| 世話 | 食事、水、トイレ、散歩、遊び | 指示された量と手順を守る |
| 退出前 | 戸締まり、火の元、エアコンの確認 | 窓や扉の閉め忘れは逃走につながる |
| 退出後 | 写真付きの報告 | その日のうちに送る |
1回の訪問は30分から1時間ほどのことが多く、1日に複数の家を回るシッターもいます。移動時間をどう組むかで、1日に受けられる件数が変わります。
この仕事に求められる力と、向いている人
ペットの世話の仕事は「動物が好き」だけでは続きません。求められる力を具体的に挙げておきます。
1つ目は、体調の変化に気づく観察の力です。食欲、便の状態、歩き方、呼吸の様子など、いつもとの違いに早く気づけるかどうかが、ペットの命に関わることがあります。ただし、シッターや世話をする人が診断をしたり、治療の判断をしたりすることはできません。気になる様子があれば、飼い主と決めておいた手順にしたがって、かかりつけの動物病院に連絡するのが基本です。
2つ目は、段取りと時間の管理です。複数の家を回る場合、移動の順番や時間の見積もりが甘いと、食事の時間がずれたり、散歩が短くなったりします。
3つ目は、飼い主とのやり取りの力です。打ち合わせでの聞き取り、契約書の説明、毎回の報告と、文章や会話で正確に伝える場面が多くあります。報告や契約の文章を整えるのが苦手な人は、ビジネス文書検定のような文書作成の検定で基本を学んでおくと、飼い主への連絡や契約書づくりに役立ちます。この検定は、ビジネスの場で使う文書の書き方や表現の基本を問うものです。
4つ目は、体力です。大型犬の散歩、重いフードや砂の運搬、暑い日や寒い日の外出など、体を使う場面が多くあります。
向いているのは、細かな変化に気づける人、約束の時間を守れる人、飼い主の不安に寄り添える人です。逆に、動物の排せつ物の処理に強い抵抗がある人や、予定の急な変更に対応するのが難しい人には、負担の大きい仕事になります。
ペットの世話を仕事にするメリットとデメリット
ここで、ペットの世話を仕事にする良い面と、厳しい面を整理しておきます。
メリットとして大きいのは、動物と関わる時間そのものが仕事になることです。散歩や遊びの時間に、ペットとの信頼関係が少しずつできていく過程には、ほかの仕事では得にくい手応えがあります。また、個人でシッターとして働く場合は、受ける件数や地域を自分で決められるため、子育てや別の仕事と組み合わせやすい面もあります。飼い主から「安心して旅行に行けた」と言われることが、続ける力になる人も多い仕事です。
一方で、デメリットもはっきりしています。まず、繁忙期と閑散期の差が大きいことです。連休や年末年始に依頼が集中し、自分の休みは取りにくくなります。次に、責任の重さです。逃走、けが、誤飲、急な体調悪化など、どれだけ注意していても起きる可能性のある事故があり、そのときに冷静に対応しなければなりません。さらに、個人で開業するには登録や責任者の要件を満たす必要があり、始めるまでに時間がかかります。
雇われて働く場合のデメリットとしては、職場によっては早朝や夜間の勤務、宿直があることや、立ち仕事と力仕事が続くことが挙げられます。求人を選ぶときは、勤務時間とシフトの決め方、休日の取り方をよく確かめてください。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| やりがい | 動物との信頼関係が仕事の成果になる | 事故や体調急変への責任が重い |
| 働き方 | 個人なら件数と地域を選べる | 連休や長期休暇に依頼が集中する |
| 始め方 | 雇われる道なら未経験から入れる | 個人で始めるには登録と要件が必要 |
| 収入 | 経験と信頼が積み重なると依頼が続く | 繁忙期と閑散期の差が大きい |
料金の決め方と、収入が安定するまでの考え方
個人でペットシッターとして依頼を受けるとき、料金をどう決めるかは悩みどころです。ここでは、具体的な相場の数字ではなく、料金を組み立てる考え方を紹介します。地域や扱う動物、世話の内容で相場は大きく変わるため、同じ地域で営業しているシッターの料金表を複数見比べたうえで決めてください。
料金を考えるときは、1回の訪問にかかる時間を、移動の往復、事前の打ち合わせ、報告の作成まで含めて数えることが大切です。たとえば、世話の時間は30分でも、往復の移動に40分、報告の写真と文章の作成に10分かかるなら、実際には1時間20分の仕事です。世話の時間だけで時給を考えると、思っていたより手元に残らない結果になります。
料金表には、次のような項目を分けて書いておくと、飼い主にも分かりやすくなります。
- 基本料金(1回あたりの訪問、動物の頭数ごと)
- 追加の頭数や追加の作業(投薬、長めの散歩など)
- 出張の範囲と、範囲外の交通費
- 年末年始や連休の特別料金
- 事前の打ち合わせの料金(無料にするか有料にするか)
- キャンセルの規定(いつまでなら無料か)
収入が安定するまでには、時間がかかると考えておいたほうがよいでしょう。ペットシッターは、一度信頼を得た飼い主から繰り返し依頼を受けることで、少しずつ仕事が積み上がっていく仕事です。最初のうちは、雇われて働く仕事と組み合わせたり、繁忙期だけ依頼を受けたりしながら、地域での評判をつくっていく形が現実的です。
個人で事業として依頼を受けるようになったら、税金の手続きも必要です。事業を始めたら税務署に開業届を出し、毎年の確定申告で所得を申告します。必要経費として何を計上できるか、青色申告にするかどうかは、金額や事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。
事故への備え:保険、鍵、緊急時の手順
ペットの世話の仕事では、どれだけ注意しても事故の可能性をゼロにはできません。だからこそ、起きたときに困らない備えを事前にしておくことが大切です。
まず保険です。個人でシッターや散歩代行を営むなら、預かったペットのけがや、散歩中に犬が他人や他人の犬にけがをさせた場合、飼い主の家の物を壊した場合などに備える賠償責任保険を検討します。シッター向けの保険を用意している保険会社や団体があり、補償の範囲は商品によって違います。契約前に、預かった動物そのもののけがや死亡が補償されるか、鍵をなくしたときの費用が対象になるかなど、何が対象で何が対象外かを確認してください。
次に鍵の管理です。飼い主の家の鍵を預かるのは、ペットシッターならではの大きな責任です。鍵には住所や名前が分かる札を付けない、持ち歩くときは決まった場所にしまう、受け渡しと返却の記録を残す、といった基本を徹底します。
緊急時の手順も、事前に飼い主と決めておきます。ペットの様子がおかしいときに、まず誰に連絡するか、飼い主に連絡がつかないときはかかりつけの動物病院に連れて行ってよいか、その費用はどうするか。こうした取り決めを契約書や確認書に書いておくと、いざというときに迷わずに動けます。
逃走の防止にも注意が必要です。玄関の扉を開けた瞬間に猫が飛び出す、散歩中に首輪が抜ける、といった事故は珍しくありません。扉を開ける前にペットの居場所を確認する、首輪やハーネスの締まり具合を毎回確かめる、といった習慣を身につけておくことが、何よりの予防になります。
未経験からペットの世話を仕事にするまでの手順
ここまでの内容を、未経験から始める人向けの手順として整理します。
手順1:雇われて働ける職場を探す
まずは、ペットショップ、ペットホテル、動物病院の補助、トリミングサロンの補助、シッター会社など、未経験から入れる職場を探します。求人を見るときは、どんな動物を扱うか、宿直や早朝勤務があるか、常勤かどうかを確認します。将来、個人で開業することを考えているなら、常勤として半年以上働けるかどうかが大事な条件になります。
手順2:職場で経験を積み、扱える動物と作業を広げる
働きながら、犬、猫、小動物など、扱える動物の種類を広げていきます。食事の管理、投薬の補助、体調の見方、しつけの基本など、実際の世話の技術を身につけます。この時期の経験は、のちに飼い主へ自分の経歴を説明するときの土台にもなります。
手順3:必要な知識の証明を得る
個人での開業を目指すなら、動物取扱責任者の要件にあてはまるよう、学校で学ぶか、団体の試験で知識の証明を得ます。受ける試験が要件として認められるかは、事前に自治体に確認しておきます。
手順4:自治体に相談し、登録を申請する
事業として依頼を受ける準備ができたら、事業所のある都道府県または政令指定都市の担当部署に相談し、第一種動物取扱業の登録を申請します。申請には、事業の内容や実施の方法、扱う動物の種類と数などを書いた書類が必要です。
手順5:契約書、料金表、保険を整えて営業を始める
登録を受けたら、契約書のひな型、料金表、賠償責任保険を準備して営業を始めます。最初は知人の紹介や地域の掲示板、SNSなど、身近なところから依頼を受けていく人が多くいます。
ほかの業界からペットの仕事へ転職するときに確かめること
会社員や販売職、介護職などからペットの世話の仕事へ転職する人も少なくありません。前の仕事の経験は、思っている以上に生きます。接客の経験は飼い主への説明や来店対応に、介護の経験は高齢の動物の介助や体調の見守りに、事務の経験は予約の管理や記録の整理に役立ちます。
一方で、転職の前に確かめておきたい点もあります。1つ目は勤務の形です。ペットホテルや動物病院では、早朝の世話、夜間の見回り、宿直がある職場があります。前の仕事より生活のリズムが大きく変わる場合は、家族の予定と両立できるかを考えておきます。2つ目は収入の変化です。求人の平均月給は先に紹介したとおりですが、未経験で入る場合は、最初は時給制や見習いの期間から始まることがあります。転職後しばらくの生活費を見込んでおくと安心です。3つ目は、将来どの方向に進みたいかです。いずれ個人でシッターを開業したいなら常勤で半年以上の経験が積める職場を、トリマーを目指すなら技術を教えてもらえる職場を選ぶ、というように、次の段階を見据えて職場を選ぶと遠回りになりにくくなります。
面接では、動物が好きだという気持ちだけでなく、排せつ物の処理や掃除、重い物の運搬など、地道な作業も続けられることを具体的に伝えると、職場の側も安心して採用を判断できます。
在宅でペットに関わる仕事という選択肢
体力面や家庭の事情で、外に出て世話をする仕事が難しい人もいます。そうした人にとって、ペットに関わる周辺の仕事は、在宅でも取り組める選択肢になります。
たとえば、ペット用品の通販サイトの商品説明文、ペットの飼い方や健康管理に関する記事の執筆、ペット関連サービスのSNS運用の補助などです。実際に動物の世話をした経験がある人は、飼い主が気にする点や、初めて飼う人がつまずく点を具体的に書けるため、文章の仕事でも経験が生きます。
ただし、ペットの健康や病気に関わる記事では、診断や治療の助言にあたる内容を書かないよう注意が必要です。病気の症状や治療について触れるときは、獣医師が監修した情報や公的な資料にもとづき、最終的な判断は動物病院に相談するよう読者に伝える書き方が求められます。
文章の仕事に興味がある人は、執筆や編集の仕事の収入の目安を、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。このページでは、記事の執筆や編集に関わる職業の年収や単価の目安が整理されています。また、文字単価の上げ方については、Webライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで、実績の見せ方や得意分野の絞り方が段階を追って解説されています。ペットの世話の経験は、まさに「得意分野」として打ち出せる強みです。
また、個人でシッターとして営業する場合も、予約の受付や問い合わせへの対応、SNSでの発信など、パソコンやスマートフォンでの作業は意外と多くあります。集客の基本を学びたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、マーケティングやSNS運用に関わる仕事の中身を知っておくと、自分の事業の発信にも役立ちます。
運営者の視点で見た、ペットの世話の仕事の続け方
20年にわたってフリーランスや在宅ワークの市場を見てきた運営者の立場から言えば、個人で長く続いている人ほど、作業の上手さだけでなく「この人に任せると安心」という関係づくりに時間を使っています。ペットの世話の仕事は、その傾向がとくに強い分野です。飼い主は、料金の安さよりも、報告の丁寧さや、急な相談にも誠実に応じてくれることを重く見ます。一度信頼を得ると、旅行のたびに同じ人に頼み、知人にも紹介してくれる。そうした積み重ねが、収入の安定につながっていきます。
もう1つ見てきたのは、間に入る仲介の手数料が少ない取引ほど、依頼する側と受ける側の双方にとって得になりやすいという点です。同じ予算でも、中間の取り分が小さければ、依頼する側はより多くの回数を頼めますし、受ける側の手取りは厚くなります。仲介を通さず飼い主と直接やり取りする形を選ぶ人が多いのも、このためです。一方で、直接の取引では契約書や保険、トラブル時の対応をすべて自分で整える必要があります。仕組みに頼れない分、自分で備えておくことが欠かせません。
ペットの世話の経験は、記事の執筆や通販の運営補助など、在宅の仕事でも生きる経験です。外での世話と在宅の仕事を組み合わせると、繁忙期と閑散期の差をならしやすくなります。どんな在宅の仕事があるのかを広く見ておきたい人は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事のように、異なる分野の仕事の内容と始め方をまとめたお仕事ガイドも参考になります。動物と関わる経験を軸にしながら、自分に合う働き方の組み合わせを探してみてください。
よくある質問
Q. ペットの世話の仕事は資格がなくても始められますか?
ペットショップやペットホテル、シッター会社などに雇われて働く場合は、資格がなくても応募できる求人が多くあります。一方、ペットシッターとして個人で事業を営む場合は、第一種動物取扱業の登録が必要で、獣医師や愛玩動物看護師の免許、または半年以上の常勤の実務経験と学校の卒業や試験の合格などを満たす動物取扱責任者を置く必要があります。
Q. 知り合いの犬を預かってお礼をもらうだけでも登録が必要ですか?
事業として料金を受け取り、継続して預かる場合は、ペットシッターも登録の対象になると環境省が説明しています。一方で、善意で一時的に預かる場合の扱いは事情によって変わります。料金を決めて募集する段階になったら、事業所のある都道府県または政令指定都市の動物愛護を担当する部署に、具体的な内容を伝えて確認してください。
Q. ペットの世話の仕事の収入はどのくらいですか?
求人ボックスの集計では、2026年10月5日時点で動物の世話に関わる求人の平均月給は25.4万円、ペットシッターの求人の平均月給は31.8万円と表示されていました。ただし正社員や店長候補の求人も含む平均です。個人で依頼を受ける場合は、地域や件数、繁忙期にどれだけ受けられるかで収入が大きく変わります。
Q. 個人でペットシッターをするときに入っておくべき保険はありますか?
預かったペットのけが、散歩中に他人や他人の犬にけがをさせた場合、飼い主の家の物を壊した場合などに備える賠償責任保険を検討します。シッター向けの保険を用意している保険会社や団体がありますが、補償の範囲は商品ごとに違います。預かった動物自身のけがや、鍵をなくしたときの費用が対象になるかを契約前に確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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