MOSを独学で取る勉強の順番|パソコン資格を在宅の事務仕事に生かす

三浦 健太
三浦 健太
MOSを独学で取る勉強の順番|パソコン資格を在宅の事務仕事に生かす

この記事のポイント

  • ✓パソコン資格のMOSを独学で取るための勉強の順番を
  • ✓公式の出題範囲と試験の仕組みから整理しました
  • ✓合格後に在宅の事務仕事で生かす方法まで解説します

パソコン資格のMOSを独学で取りたいと考えている方は、「独学で本当に合格できるのか」「何から手を付ければよいのか」「どのくらいの期間がかかるのか」を知りたいはずです。

結論から書きます。MOSは独学で合格を目指しやすい資格です。出題範囲が公式に公開されていて、本番に近い模擬試験が付いた教材も市販されているからです。大事なのは勉強の順番で、出題範囲の確認、教材での練習、模擬試験での仕上げという流れを守れば、遠回りせずに合格点に届きます。この記事では、MOSの試験の仕組みを公式の情報で確かめたうえで、独学の勉強の順番、詰まりやすい場面と対処、合格後に在宅の事務仕事へ生かす方法までを順に解説します。

MOSを独学で取れるかどうか、先に結論を整理する

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、Word、Excel、PowerPointなどの操作スキルを証明する資格です。日本では株式会社オデッセイ コミュニケーションズが実施していて、受験資格はありません。年齢や国籍を問わず、誰でも受けられます。

独学に向いている理由は3つあります。1つめは、出題範囲が科目ごとにPDFで公開されていることです。何を覚えればよいかが最初から分かるので、勉強の的を絞れます。2つめは、試験が実際にソフトを操作する実技形式であることです。知識を暗記するより、手を動かして操作を覚える勉強になるので、自宅のパソコンで練習を重ねれば力がつきます。3つめは、試験が終わるとすぐに画面に得点と合否が表示されることです。不合格でも、どの分野で点を落としたかが試験結果レポートで分かるので、次の勉強に生かせます。

一方で、独学では詰まりやすい場面もあります。パソコンの基本操作、たとえばファイルの保存場所の指定や、ウィンドウの切り替えに慣れていない人は、試験の内容に入る前でつまずきやすくなります。また、教材の説明を読んでも操作の意味が分からないとき、誰かに聞ける環境がないと時間がかかります。この記事の後半で、こうした場面の対処も紹介します。

独学とスクールのどちらにするかで迷っている人は、資格は独学とスクールどっちがいい?費用・合格率・時間で徹底比較も参考になります。費用、学習時間、合格までの道筋を比べて、自分に合った学び方を選ぶための記事です。

MOSの試験の仕組みを、公式の情報で確かめる

勉強を始める前に、試験の仕組みを公式の情報で押さえておきます。仕組みを知っておくと、勉強の進め方を決めやすくなります。

項目 内容(2026年10月時点の公式サイト)
科目 Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Access。WordとExcelには一般レベルと上級レベル(エキスパート)がある
試験時間 1科目50分(Excel 365、Word 365など)
受験料(税込) 一般価格12,980円、学割価格9,680円
合格点 非公開。1000点満点で550点から850点の範囲が目安
受験資格 なし
受験方法 全国の試験会場で行う随時試験。毎月1回の全国一斉試験は2026年12月13日で終了
対応するOffice Windows版のみ。Mac版Officeの試験は実施されていない

合格点について、公式のよくある質問では次のように説明されています。

科目ごとの合格点は公開しておりませんが、1000点満点で550点~850点の範囲が目安となります(科目によってはこの範囲に当てはまらないものもあります)。合格点は試験問題の更新などにより変動することがあります。 出典: mos.odyssey-com.co.jp

合格点が科目や時期で動くので、模擬試験では目安の上の側、つまり安定して800点台を取れるところまで仕上げておくと安心です。

受験方法についても、2026年は大きな変化があります。公式のお知らせによると、毎月1回日曜日に行われていた全国一斉試験は2026年12月で終了します。最後の回は2026年12月13日の第363回です。その後は、全国の試験会場が日程を決めて行う随時試験で受けることになります。随時試験は、会場によってはほぼ毎日実施されているので、勉強の進み具合を見ながら受験日を決められます。

同じ科目を受け直すときのルールもあります。2回目の受験は前回から1日(24時間)、3回目以降は2日間(48時間)空ける必要があります。不合格だった場合も、すぐに受け直せるわけではないので、日程には余裕を持たせておきます。

受験料は1科目12,980円です。何度も受け直すと費用がかさむので、模擬試験で合格点を超えられるようになってから受験日を決めるのが、結果的には安く済みます。

最初に受ける科目と、科目を取る順番

MOSは科目ごとに受ける資格なので、どの科目から始めるかを最初に決めます。

在宅の事務仕事や、事務職への就職を目指すなら、最初はExcelの一般レベルがおすすめです。求人や仕事の依頼で一番よく求められるのがExcelの操作で、集計表の作成やデータの並べ替えなど、仕事に直結する操作が出題範囲にそろっているからです。

2科目めは、Wordの一般レベルです。Excelで操作の基本に慣れたあとだと、Wordのリボンの使い方やダイアログボックスの開き方が共通しているので、覚えるのが早くなります。MOS Word(Microsoft Office Specialist)では、Word科目の試験の内容や、取得したあとに生かせる仕事がまとめられています。

3科目めは、仕事でどれを使うかで決めます。会議の資料や提案書を作る仕事が多いならPowerPointです。MOS PowerPoint(Microsoft Office Specialist)では、PowerPoint科目で問われる操作と、資料作成の仕事への生かし方を確かめられます。

一般レベルの4科目(Excel、Word、PowerPoint、Outlook)のうち3科目に合格すると、「MOS Associate」という称号に認定されます。さらにExcelとWordの上級レベル(エキスパート)の2科目に合格すると「MOS Expert」に認定されます。公式の試験データによると、2025年12月31日時点の累計認定者数はMOS Associateが41,388名、MOS Expertが7,547名です。最初から称号を目指す必要はありませんが、1科目めに合格したあとの次の目標として意識しておくと、勉強を続けやすくなります。

上級レベルについて1つ注意があります。公式のよくある質問によると、一般レベルと上級レベルは出題範囲がほとんど重なっていません。上級レベルに合格しても、一般レベルの操作を証明したことにはならないので、基礎から順に取るのが基本です。

独学の勉強の順番は6つのステップ

ここからが本題の、独学での勉強の順番です。料理のレシピのように、上から順に進めれば合格に届く流れにまとめます。

ステップ1:受ける科目とバージョンを決める

MOSにはOfficeのバージョンごとに試験があります。公式のよくある質問では、自宅や職場で使い慣れたOfficeのバージョンでの受験を勧めています。勉強に使うパソコンのOfficeと、受ける試験のバージョンを合わせておくと、画面の違いで迷いません。現在はMicrosoft 365を使っている人が多いので、特に理由がなければ365の科目を選びます。

ステップ2:公式の出題範囲PDFを印刷する

公式サイトの試験概要のページから、受ける科目の出題範囲をPDFで取り出せます。Excel 365の一般レベルなら、ワークシートやブックの管理、セルやセル範囲のデータの管理、テーブルとテーブルのデータの管理、数式や関数を使用した演算の実行、グラフの管理という5つの分野に、具体的な操作が並んでいます。印刷して、すでにできる操作に丸を付けておくと、勉強の進み具合を目で見て確かめられます。

ステップ3:模擬試験付きの教材を1冊選ぶ

教材は、本番と同じ形式の模擬試験ソフトが付いているものを選びます。MOSはパソコンで操作する試験なので、本番の画面に慣れておくことが合否に直結します。教材は何冊も買うより、1冊を繰り返すほうが効率的です。

ステップ4:教材を1周する

教材の章を順に進め、出てきた操作は必ず自分の手で試します。読むだけで分かったつもりになるのが、独学で一番多い失敗です。1周目は時間をかけてかまいません。分からない操作に付箋を貼り、2周目で重点的に見直します。

ステップ5:模擬試験を時間を計って解く

教材が1周したら、模擬試験を本番と同じ50分で解きます。最初は時間内に終わらないことも多いですが、それで問題ありません。採点結果で点を落とした分野を確かめ、教材のその章に戻って練習します。この「模擬試験、見直し、模擬試験」を3回から5回繰り返すと、操作が手に定着していきます。

ステップ6:安定して合格点を超えたら受験日を決める

模擬試験で、異なる回の問題でも続けて800点前後を取れるようになったら、受験日を決めます。随時試験は試験会場に直接申し込むので、近くの会場の空き状況を確かめます。申し込みの前に、無料のサーティポートIDの登録が必要です。

Excelの出題範囲で詰まりやすい操作と、その乗り越え方

独学で一番時間がかかるのは、Excelの関数と参照のあたりです。出題範囲にある操作のうち、つまずく人が多いものと、その乗り越え方を整理します。

相対参照と絶対参照

数式をコピーしたときに、参照するセルがずれるかどうかの違いです。相対参照とは、数式をコピーすると参照先も一緒にずれる指定のことで、絶対参照とは、ドル記号を付けて参照先を固定する指定のことです。言葉で読むと難しく感じますが、小さな表を作って、数式を下や右にコピーしたときに何が起きるかを自分の目で見ると、すぐに理解できます。

IF関数

条件によって表示する内容を変える関数です。「売上が10万円以上なら達成、そうでなければ未達」のように、身近な例で式を書いてみると覚えやすくなります。

新しい関数(SORT、UNIQUEなど)

Excel 365の出題範囲には、データを並べ替えるSORT関数や、重複を除いた一覧を返すUNIQUE関数のように、比較的新しい関数も含まれています。古いバージョンのExcelではこれらの関数が使えないので、勉強に使うパソコンのExcelが365であることを確かめておきます。

テーブルと構造化参照

表をテーブルに変換すると、数式の中で列の名前を使って参照できるようになります。これを構造化参照と呼びます。最初は見慣れない書き方に戸惑いますが、テーブルを使うと行を追加しても集計範囲が自動で広がるので、仕事でも重宝する機能です。

建築系のCADオペレーターの例で言えば、図面の部材リストや数量表をExcelで管理する場面がよくあります。そこで自己流の表を使っていると、行を追加するたびに合計の範囲を直す手間がかかり、直し忘れて数量を間違えるという失敗が起きがちです。テーブルと構造化参照を覚えると、こうした手戻りが目に見えて減ります。資格の勉強で覚えた機能が、そのまま現場の事故を防ぐ道具になるわけです。

Wordの出題範囲で押さえておきたい操作

Wordの一般レベルの出題範囲は、文書の管理、文字や段落やセクションの挿入と書式設定、表やリストの管理、参考資料の作成と管理、グラフィック要素の挿入と書式設定、文書の共同作業の管理の6つの分野に分かれています。

独学でつまずきやすいのは、セクションと参考資料のあたりです。セクションとは、1つの文書の中で、ページの向きや段組みを部分的に変えるための区切りのことです。普段のWordの使い方では意識しないことが多いので、実際に縦向きと横向きのページが混ざった文書を作ってみると理解が進みます。

参考資料の作成では、目次の自動作成と脚注が出題されます。目次は、見出しにスタイルを設定しておけば自動で作れます。この仕組みを理解すると、長いマニュアルや報告書を作るときの作業時間が大きく変わります。

文書の共同作業の管理では、コメントと変更履歴の操作が問われます。在宅で文書の仕事を受けると、発注者とファイルをやり取りしながら修正を重ねることが多いので、変更履歴の扱いに慣れておくと実務でも役立ちます。

PowerPointの出題範囲で意外とつまずく操作

PowerPointは、普段から資料を作っている人ほど「もう使えている」と思いがちな科目です。ところが、PowerPoint 365の一般レベルの出題範囲を見ると、日常の資料作成では触らない機能が多く含まれています。

代表的なのが、スライドマスターです。スライドマスターとは、すべてのスライドに共通するデザインやレイアウトをまとめて管理する仕組みのことです。出題範囲には、スライドマスターのテーマや背景の変更、スライドのレイアウトの作成と変更、配布資料マスターやノートマスターの変更が並んでいます。1枚ずつスライドの見た目を直している人は、ここを学ぶと資料作りの時間が大きく短くなります。

スライドショーの設定も見落としやすい分野です。目的別スライドショーの作成、リハーサル機能、スライドショーの記録の設定、発表者ツールの使い方などが出題範囲に入っています。発表の場に立つ機会が少ない人は触ったことがない機能なので、教材で1つずつ試しておきます。

共同作業の準備として、編集の制限、パスワードによる保護、プレゼンテーションの検査、別の形式へのエクスポートも問われます。在宅で資料作成の仕事を受けると、PDFで納品したり、個人情報が残っていないかを確かめたりする場面があるので、実務でも役に立つ操作です。

Wordのアウトラインを読み込んでスライドを作る操作や、サマリー ズームのスライドの挿入、セクションを使ったスライドのグループ化も出題範囲にあります。長い資料を扱う仕事ほど、こうした機能が作業の時間を左右します。

勉強期間と、1日の時間の組み立て方

MOSの勉強期間は、もともとの操作経験で大きく変わります。普段から仕事でExcelを使っている人なら、1科目あたり数週間で受験する人が多く、パソコンにあまり触れていない人は、1か月から2か月ほど見ておくと無理がありません。

働きながら独学する場合は、平日と休日で役割を分けると続けやすくなります。

曜日 やること 時間の目安
平日 教材を1つの節だけ進め、出てきた操作を試す 30分から1時間
休日 模擬試験を時間を計って1回解き、間違えたところを見直す 2時間から3時間

平日に長い時間を取ろうとすると、仕事が忙しい週に崩れてしまいます。平日は短く、休日にまとめて模擬試験を解く形にしておくと、勉強が途切れにくくなります。

もう1つのコツは、勉強の記録を残すことです。模擬試験の点数を日付とあわせてExcelの表に入力していくと、点数の推移がグラフで見えて、受験日を決める判断材料になります。これ自体がExcelの練習にもなります。

Excel一般レベルを4週間で仕上げる計画の例

勉強期間の目安が分かっても、毎日何をすればよいかが決まっていないと、独学はなかなか進みません。ここでは、普段Excelで簡単な表を作る程度の人が、Excel 365の一般レベルを4週間で仕上げる計画の例を紹介します。パソコンに慣れていない人は、それぞれの週を2週間ずつに延ばして使ってください。

1週目は、出題範囲の前半にあたる、ワークシートやブックの管理と、セルやセル範囲のデータの管理を進めます。ページ設定、行の高さや列の幅の調整、ヘッダーやフッター、形式を選択して貼り付け、オートフィル、セルの書式設定といった操作です。普段使っている機能も多いので、ここは速く進められます。週末には、この範囲だけで構わないので、教材の練習問題を通しで解いておきます。

2週目は、テーブルとテーブルのデータの管理に進みます。表をテーブルに変換し、スタイルを当て、集計行を入れ、フィルターと並べ替えを使うところまでです。テーブルは仕事でもすぐに使える機能なので、自分の家計簿や予定表など、身近なデータで試してみると定着が早くなります。

3週目は、数式や関数とグラフです。相対参照と絶対参照、SUMやAVERAGE、COUNT系の関数、IF関数、文字列を扱う関数、SORTやUNIQUE、そしてグラフの作成と変更を進めます。ここが一番時間のかかる週なので、平日の勉強時間を少し長めに取れるよう、前もって予定を調整しておきます。

4週目は、模擬試験の週です。平日は教材の苦手な節を見直し、休日に模擬試験を2回解きます。点数が合格点の目安に届かなければ、受験日を1週間ずらして、もう1回模擬試験の週を設けます。焦って受けるより、1週間延ばしてでも合格点を安定して超えてから受けるほうが、受験料も時間も無駄になりません。

この計画のよいところは、1週間ごとに出題範囲の分野が区切られていることです。印刷した出題範囲のPDFに、その週に終わった操作の丸を付けていけば、どこまで進んだかが一目で分かります。途中で仕事が忙しくなって1週間空いても、どこから再開すればよいかで迷いません。

教材を選ぶときに確かめる5つの点

独学の成否は、教材選びでかなり決まります。書店や通販で教材を選ぶときに確かめておきたい点を5つ挙げます。

1つめは、受ける科目とバージョンに対応しているかどうかです。Excel 365の試験を受けるのに、2019の教材を使うと、出題範囲や画面の表示が違うことがあります。表紙の科目名とバージョンを必ず確かめます。

2つめは、本番と同じ形式の模擬試験ソフトが付いているかどうかです。MOSの試験では、問題文を読みながら実際のExcelやWordを操作します。紙の練習問題だけでは、この画面での操作に慣れることができません。

3つめは、模擬試験の回数です。1回分しか付いていない教材だと、同じ問題を繰り返し解くうちに答えを覚えてしまい、本当に力がついたのかが分からなくなります。複数回分の模擬試験が付いている教材を選ぶと、初めて見る問題で実力を確かめられます。

4つめは、模擬試験ソフトの動作環境です。WindowsのバージョンやOfficeのバージョンによっては、ソフトが動かないことがあります。買う前に、教材の説明に書かれた動作環境と、自分のパソコンの環境を見比べておきます。

5つめは、解説の詳しさです。間違えた問題の操作手順が、画面の図とあわせて1つずつ説明されている教材は、独学で詰まりにくくなります。書店で手に取れるなら、苦手そうな関数のページを開いて、説明が自分に分かるかどうかを確かめてから買います。

公式サイトでは、Officeのバージョンに合ったMOSと対策教材の選び方も案内されています。迷ったときは、公式の案内で科目とバージョンを確かめ、その組み合わせに対応した教材を選ぶのが確実です。

独学で詰まったときの対処と、教室を検討する目安

独学で詰まる場面は、だいたい決まっています。

1つめは、教材の説明を読んでも操作の意味が分からないときです。この場合は、同じ操作をMicrosoftの公式ヘルプなど別の説明で読むと、言い方が変わるだけで理解できることがあります。それでも分からないときは、その操作を飛ばして先に進み、模擬試験で同じ操作が出てきたときに改めて取り組みます。いったん離れると、ほかの操作に慣れたあとで分かることがあります。

2つめは、勉強に使うパソコンの環境が試験と違うときです。MOSはWindows版のOfficeで行う試験なので、Macしか持っていない人は、Windowsのパソコンを用意する必要があります。図書館や地域の施設のパソコン、知人のパソコンを借りる方法もありますが、模擬試験ソフトをインストールできるかどうかは事前に確かめておきます。

3つめは、模擬試験で点数が伸び悩むときです。点数が同じところで止まっている場合は、時間の使い方に原因があることが多くあります。分からない問題に時間をかけすぎて、最後の問題に手が回らないというパターンです。分からない問題はいったん飛ばして、最後に戻る練習をしておきます。

こうした対処をしても、教材の同じところで1週間以上止まってしまうなら、パソコン教室や講座を検討する目安です。分からないところをその場で聞ける環境は、独学では得にくい利点です。独学で進められるところまで進め、詰まった部分だけ講座を使う、という組み合わせもあります。

試験当日の準備と、不合格だったときの動き方

試験当日に持っていくものは、サーティポートIDとパスワード、写真付きの身分証明書です。公式の案内によると、身分証明書は原本の提示が必要で、忘れると受験できません。学割価格で受ける人は学生証も必要です。試験会場にはスマートフォンや手帳を持ち込めないので、サーティポートIDとパスワードは紙にメモして持っていきます。

試験が終わると、すぐに画面に得点と合否が表示され、試験結果レポートが渡されます。不合格だった場合は、このレポートで分野ごとの得点を確かめ、点数の低い分野を教材で集中的に練習します。前に書いたとおり、2回目の受験は前回から1日以上、3回目以降は2日間以上空ける必要があります。

合格すると、デジタル認定証が発行されます。サーティポートIDとパスワードを忘れると、デジタル認定証のページにログインできず、合格認定証の印刷や保存ができなくなるので、管理には気をつけます。

合格したMOSを在宅の事務仕事に生かす

MOSに合格したら、在宅でできる事務の仕事にも挑戦しやすくなります。業務委託の仕事では、発注者は応募者の作業の様子を直接見られないため、プロフィールに書かれた資格が最初の判断材料になります。

在宅の事務仕事で多いのは、データ入力、Excelでの集計表の作成、Wordでの文書の清書、PowerPointでの資料作成です。どれもMOSの科目と直接つながります。プロフィールには「Microsoft Office Specialist Excel 365 合格」のように、科目とバージョンを正確に書きます。

最近は、生成AIを使って業務を効率化する仕事も出てきています。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、AIツールを業務に取り入れる手伝いをする仕事の内容がまとめられています。ExcelやWordの機能を体系的に知っている人は、AIで何を自動化できて何を人が確かめるべきかを判断しやすいので、この分野へ広げる足がかりになります。

文書を作る仕事を軸にする人は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、文章の仕事の収入の分布を確かめておくと、在宅の仕事をどこまで広げるかの目安になります。動画編集など別のソフトの仕事に広げたい人は、Premiere Proを独学で習得する方法|動画編集フリーランスへの最短ルートで、独学で動画編集の技能を身につける道筋を解説しています。

在宅の事務仕事で最初の依頼を受けるまでの流れ

MOSに合格しても、いきなり大きな仕事を任されるわけではありません。在宅の事務仕事で最初の依頼を受けるまでの流れを、順に整理します。

最初にやるのは、プロフィールの整理です。資格の欄には科目とバージョンを正確に書き、自己紹介の欄には、その資格の勉強で身につけた操作のうち、仕事で使えるものを具体的に書きます。「Excelのテーブルとフィルターを使った集計表の作成」「Wordの目次と変更履歴を使った長い文書の編集」のように、発注者が依頼の内容と結びつけやすい書き方にします。

次に、見本の作品を用意します。発注者は、応募者がどんな表や文書を作れるのかを見たいと考えています。架空のデータで作った売上の集計表や、見出しと目次を整えた手順書など、守秘義務にかからない見本を2つか3つ用意しておくと、応募のときに添えられます。

最初の依頼は、作業の範囲がはっきりしたものを選びます。データ入力や表の整形など、納品の形が明確な仕事から始めると、発注者との認識のずれが起きにくくなります。慣れてきたら、関数を使った集計や資料作成など、MOSで学んだ操作をより生かせる仕事に広げていきます。

納品のときは、ファイル名の付け方や、修正した箇所の伝え方にも気を配ります。Wordなら変更履歴を残したまま渡す、Excelなら入力する欄の色を変えておく、といった工夫は、試験には出てきませんが、発注者の手間を減らし、次の依頼につながりやすくなります。

運営者の視点で見た、MOSと在宅の仕事の関係

在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、MOSを持っている人が発注者から信頼されやすいのは、操作の水準について共通の物差しがあるからです。「Excelが使えます」だけでは、発注者と受け手の間で水準の認識がずれやすく、納品のあとで手戻りが起きます。資格の科目名を書いておくと、そのずれが小さくなります。

もう1つの観察は、長く仕事が続く人ほど、資格で覚えた機能を「相手が後から触っても壊れない形」で納品していることです。入力する欄と計算する欄を分ける、テーブルを使って行の追加に強い表にする、といった工夫です。こうした配慮が積み重なると、単発の作業で終わらず、継続の依頼につながっていきます。

仲介の手数料がかからない直接のやり取りであれば、同じ予算でも受け手の手取りが厚くなり、発注者も頼める作業の範囲が広がります。資格の取得はゴールではなく、発注者と話を始めるための入口です。合格したあとも、仕事で新しい機能に出会うたびに試してみる習慣を持っている人ほど、任される仕事の幅が広がっていきます。MOSで最初の信頼を得て、納品の質で次の依頼につなげる。独学で身につけた操作は、その両方の土台になります。

よくある質問

Q. MOSは独学でどのくらいの期間で合格できますか?

普段からExcelやWordを使っている人なら、1科目あたり数週間の準備で受験する人が多くいます。パソコンにあまり触れていない人は、1か月から2か月ほど見ておくと無理がありません。期間より大事なのは、模擬試験を時間を計って解き、異なる回の問題でも続けて合格点を超えられる状態になってから受験日を決めることです。

Q. Macしか持っていなくてもMOSの勉強はできますか?

公式サイトによると、MOSの試験はWindows版のOfficeで行われ、Mac版Officeの試験は実施されていません。画面の配置や操作が違う部分があるため、勉強にはWindowsのパソコンを用意するのが確実です。模擬試験ソフトもWindowsで動くものが多いので、教材を買う前に動作環境を確かめてください。

Q. 最初に受けるならどの科目がよいですか?

事務の仕事や在宅の事務作業を目指すなら、Excelの一般レベルから始めるのがおすすめです。仕事の依頼や求人で一番求められるのがExcelの操作だからです。そのあとWord、PowerPointと進めると、リボンやダイアログボックスの使い方が共通しているので覚えやすくなります。

Q. 不合格だったらすぐに受け直せますか?

同じ科目を2回目に受けるときは前回の受験から1日(24時間)、3回目以降は2日間(48時間)空ける必要があります。受験料も毎回かかるので、試験結果レポートで点数の低かった分野を確かめ、その分野を練習してから受け直すほうが結果的に早く合格に届きます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月24日最終更新:2026年10月5日
三浦 健太

この記事を書いた人

三浦 健太@SOHO編集部

フリーランスCADオペレーター・建築系コンサル

一級建築士事務所で設計を担当した後、フリーランスのCADオペレーターに。建築・不動産・施工管理系の実務経験を活かした記事を執筆しています。

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