アルバイトで週40時間を超えるときの決まり|割増賃金と掛け持ちの計算

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
アルバイトで週40時間を超えるときの決まり|割増賃金と掛け持ちの計算

この記事のポイント

  • アルバイトで週40時間以上働くと違法なのか
  • シフトを詰め込まれたときの対処法
  • 学生が学業と両立するときの上限まで

結論から書きます。アルバイトが週40時間以上働くこと自体は、違法ではありません。ただし条件があります。勤務先が36協定を労働基準監督署に届け出ていること、そして週40時間を超えた分に25%以上の割増賃金が支払われていることです。この2つのどちらかが欠けていれば、その働き方は労働基準法違反になります。

「アルバイト 週40時間以上」で検索している人の多くは、シフト表を見て不安になっています。今週は6日入っていて合計45時間ある、これは大丈夫なのか。店長から「今月は忙しいから週6で入って」と言われたけれど断れるのか。学生だが授業に出られなくなりそうで、そもそも上限はどこなのか。給与明細を見たら割増がついていないように見えるが、これは請求できるのか。

この記事では、1か所の勤務先でシフトが積み上がって週40時間を超えるケースに絞って解説します。労働時間の数え方、36協定がある場合とない場合の違い、割増賃金の具体的な計算、シフトを詰め込まれたときの現実的な対処、そして学生が学業と両立するために引くべき線まで、順に整理していきます。

週40時間という数字は何を意味しているのか

労働基準法第32条は、使用者が労働者を働かせてよい時間の上限を定めています。1週間について40時間、1日について8時間です。これが「法定労働時間」と呼ばれるもので、正社員かアルバイトかパートか、契約社員かといった雇用形態の区別は一切ありません。週3日だけ入っているアルバイトにも、週6日入っているアルバイトにも、まったく同じ条文が適用されます。

ここを誤解している人が本当に多い。「正社員は守られているけどアルバイトは対象外」「短期のバイトだから関係ない」といった思い込みは、法律上まったく根拠がありません。時給制であっても、1日だけの単発であっても、雇用契約で働いている限り法定労働時間の枠内にいます。

正直なところ、この基本を勤務先の側もきちんと理解していないケースを、この業界では頻繁に見かけます。とくに個人経営の飲食店や小売店では、シフト管理が店長の頭の中だけで行われていて、週の合計が何時間になっているか誰も計算していないという状況が珍しくありません。

法定労働時間と所定労働時間は別物

もう1つ、混同されやすい用語があります。「所定労働時間」です。これは雇用契約書やシフトで決められた、あなたが働くことになっている時間のことです。法定労働時間は法律が定める上限、所定労働時間は契約が定めた予定、と考えると整理しやすくなります。

たとえば、契約上は1日6時間・週4日(週24時間)で働くことになっているアルバイトが、ある週にヘルプで週30時間働いたとします。所定労働時間は超えていますが、法定労働時間の週40時間は超えていません。この場合、超過した6時間分は「法定時間内残業」と呼ばれ、割増賃金の支払い義務は発生しません。通常の時給がそのまま支払われれば法律上は問題ないということです。

一方、週45時間働いた場合、40時間を超えた5時間は「法定時間外労働」となり、割増賃金の対象になります。同じ「残業」という言葉でも、法律上の扱いがまったく違います。ここを知らないと、割増がついていない給与明細を見て「これは違法だ」と早合点したり、逆に本来もらえるはずの割増を請求しそびれたりします。

区分 内容 割増賃金
法定時間内残業 所定労働時間は超えたが、1日8時間・週40時間の範囲内 不要(通常の時給)
法定時間外労働 1日8時間または週40時間を超えた部分 25%以上の割増が必要
深夜労働 22時から翌5時までの労働 25%以上の割増が必要
法定休日労働 週1日の法定休日に働いた場合 35%以上の割増が必要

週の起算日と1日の数え方には決まりがある

「今週」がいつからいつまでなのかは、実は自分で好きに決められません。就業規則や労使協定に特段の定めがない場合、1週間は日曜日から土曜日までと扱われます。つまり日曜起算です。勤務先が「当社の週は月曜起算」と就業規則で定めていれば、それに従います。

これは意外に重要です。土日に集中してシフトが入る職場では、起算日が日曜か月曜かで週の合計時間が変わってしまうことがあるからです。金曜・土曜・日曜に長時間入る人は、自分の職場の週の区切りがどこにあるのかを一度確認しておくべきです。

1日の数え方も決まっています。原則は暦日、つまり午前0時から午後12時までです。ただし、日をまたぐ勤務、たとえば22時から翌朝6時までの深夜シフトの場合は、始業日の労働として通しで計算します。この場合は8時間勤務が始業日1日分としてカウントされ、22時から翌5時までの7時間には深夜割増がつきます。

小規模な店舗では週44時間が上限になることがある

ここで、多くの記事が触れていない例外を1つ紹介します。「特例措置対象事業場」という制度です。

常時使用する労働者が10人未満の、商業(小売業・卸売業・理美容業など)、映画・演劇業、保健衛生業(病院・診療所・社会福祉施設など)、接客娯楽業(旅館・飲食店・娯楽場など)に該当する事業場では、週の法定労働時間が44時間になります。1日8時間の枠は変わりません。

つまり、従業員9人の個人経営カフェでアルバイトをしている場合、週43時間働いても法定時間外労働にはならず、割増賃金の対象外になる可能性があります。これは知らないと損得の判断を間違えます。逆に、勤務先がこの特例を使えないのに「うちは44時間まで大丈夫」と説明してくるようなら、それは誤りです。

該当するかどうかは業種と人数の両方で決まります。飲食店であっても、店舗単位で常時10人以上を使用していれば通常どおり週40時間です。判断に迷ったら、事業場ごとの人数を確認するのが早いです。

週40時間を超えるには36協定の届出が絶対条件

さて、本題です。1か所のアルバイト先でシフトが週40時間を超える場合、その勤務先には何が求められるのか。

答えは、労働基準法第36条にもとづく労使協定、通称「36協定(サブロク協定)」を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出ていることです。これがなければ、週40時間を超えて働かせること自体が違法になります。割増賃金を払っていても、違法は違法です。

36協定は、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者と、使用者が書面で締結します。ポイントは「事業場ごと」だということです。チェーン店の本部が締結していても、あなたが働く店舗で届出がされていなければ効力は及びません。

36協定にも時間の上限がある

2019年の働き方改革関連法により、36協定で延長できる時間にも法律上の上限が設けられました。それまでは大臣告示という行政指導レベルの基準だったものが、罰則付きの法規制になっています。

原則の上限は、時間外労働が月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、次の枠を超えることはできません。

・時間外労働は年720時間以内 ・時間外労働と休日労働の合計が単月100時間未満 ・時間外労働と休日労働の合計について、2か月から6か月のいずれの平均も月80時間以内 ・月45時間を超えられるのは年6か月まで

アルバイトの週あたりの労働時間に引き直すと、月45時間の時間外はおおむね週10時間程度に相当します。つまり36協定の原則の枠内であれば、週50時間前後までは制度上ありうる、ということになります。ただし、これはあくまで法律上の上限であって、「そこまで働くのが普通」という意味ではありません。

36協定があるかどうかを確認する方法

36協定は、労働者に周知することが義務づけられています。周知の方法は、事業場の見やすい場所への掲示、書面の交付、電子データでの閲覧環境の整備などです。

現実的な確認手順は次の順番です。まずバックヤードや休憩室の掲示板を見ます。労働条件の掲示物がまとめて貼られている場所があれば、そこに「時間外労働・休日労働に関する協定届」の写しがあるはずです。見当たらなければ、店長や本部の人事担当に「36協定の届出の写しを見せてほしい」と聞きます。これは労働者の正当な権利であり、聞くこと自体に何の問題もありません。

回答を渋られたり、「そんなものはない」と言われたりした場合は、その時点で週40時間超のシフトは違法状態にあると判断してよいでしょう。

労働基準法まわりのルールの分かりにくさについては、現場の側も同じように困っています。

労働基準法に則って、アルバイトに適切な労働環境を提供することは必須です。しかし、細かいルールや分かりにくい法律ばかりで、「結局どうすればいいのか分からない…」と感じている人も多いと思います。 出典: sharefull.com

雇う側も雇われる側も、正確に理解しないまま運用しているのが実態です。だからこそ、働く側が自分で数えられるようになっておく価値があります。

36協定があっても拒否できるのか

ここは誤解が生まれやすい部分です。36協定は、あくまで「時間外労働をさせても刑事罰の対象にならない」という免罰的な効力を持つだけです。個々の労働者に残業を命じる根拠は、就業規則や雇用契約の中にある残業命令の規定です。

雇用契約書に「業務の都合により時間外労働を命じることがある」といった条項があり、かつ36協定が届け出られている場合は、正当な理由なく拒否し続けることは難しくなります。一方、雇用契約書に時間外労働に関する定めが一切なく、シフト制で所定労働時間が明示されているだけであれば、その枠を超える勤務は原則としてあなたの同意が必要です。

つまり、まず自分の雇用契約書を見ることが出発点になります。週の所定労働日数と1日の所定労働時間がどう書かれているか、時間外労働の条項があるか。この2点を確認するだけで、断る根拠があるかどうかが判断できます。

週40時間超の割増賃金を自分で計算する

割増賃金は、支払われて当然のものです。ところが、シフト制のアルバイトでは「週の合計が40時間を超えた」という事実を勤務先が正しく拾えておらず、支払いが漏れているケースがかなりあります。自分で計算できるようになっておきましょう。

基本の計算式

法定時間外労働の割増率は25%以上です。時給1,200円のアルバイトであれば、時間外の1時間あたりの単価は1,200円 × 1.25 = 1,500円になります。

週45時間働いた週があった場合、超過分は5時間です。この5時間分は1,500円 × 5 = 7,500円となり、通常時給で計算した6,000円との差額1,500円が割増部分です。

1日8時間と週40時間の二重カウントを避ける

計算で混乱しやすいのが、1日8時間超と週40時間超の関係です。原則は「二重に数えない」です。

たとえば、月曜から金曜まで毎日9時間ずつ働いたとします。1日あたり1時間ずつ、合計5時間が1日8時間超の時間外労働です。週の合計は45時間ですが、すでに5時間を時間外としてカウント済みなので、週40時間超の分として再度5時間を加算することはしません。この週の時間外労働は5時間です。

一方、月曜から土曜まで毎日7時間ずつ働いた場合、1日8時間を超えた日は1日もありません。週の合計は42時間なので、週40時間を超えた2時間だけが時間外労働になります。

実務上の順序としては、まず日ごとに8時間超の部分を拾い、次に週の合計から「すでに時間外としてカウントした時間」を差し引いた上で40時間との差を見る、という流れになります。

深夜と法定休日が重なるときの計算

割増は重なることがあります。整理しておきます。

法定時間外労働(25%)と深夜労働(25%)が重なった場合は、合計50%の割増になります。時給1,200円なら1,800円です。飲食店の閉店作業やコンビニの深夜シフトでは、この組み合わせが日常的に発生します。

法定休日労働は別枠です。週1日の法定休日に働いた場合の割増率は35%で、この日の労働時間は週40時間の計算に含めません。法定休日労働と深夜が重なれば、35% + 25% = 60%の割増になります。

さらに、時間外労働が1か月60時間を超えた部分については、割増率が50%に引き上げられます。2023年4月からは中小企業にも適用されているため、規模を問わず対象です。アルバイトで月60時間の時間外に達するのは相当な働き方ですが、繁忙期に週6日フルで入っているようなケースでは起こりえます。

組み合わせ 割増率 時給1,200円の場合
法定時間外のみ 25%以上 1,500円
深夜のみ(法定時間内) 25%以上 1,500円
法定時間外 + 深夜 50%以上 1,800円
法定休日労働 35%以上 1,620円
法定休日 + 深夜 60%以上 1,920円
月60時間超の時間外 50%以上 1,800円

端数処理と記録の残し方

割増賃金の計算では、1日ごとの労働時間を15分単位や30分単位で切り捨てる運用がしばしば見られますが、これは違法です。1分単位で計算するのが原則です。例外として認められているのは、1か月の時間外労働の合計時間数に1時間未満の端数が生じた場合に、30分未満を切り捨て30分以上を1時間に切り上げる処理だけです。

自衛のためには記録が要ります。タイムカードの写真、シフト表の控え、勤怠アプリの画面キャプチャ、出退勤時刻を自分でメモしたノートなど、どれでも構いません。実際に労働基準監督署に相談する場面では、この自己記録が有力な証拠になります。日付と時刻が残る形で保存しておくことが重要です。

シフトを詰め込まれたときにどう対応するか

法律の話をひととおり押さえたところで、現実的な話に移ります。「今週も週6で入って」と言われ続けているとき、どう動けばよいのか。

変形労働時間制が使われている可能性を疑う

週40時間を超えるシフトが常態化している職場では、変形労働時間制が導入されている可能性があります。これは、一定期間を平均して週40時間以内に収まっていれば、特定の週や日に法定労働時間を超えて働かせてよいという制度です。

1か月単位の変形労働時間制では、1か月以内の期間を平均して週40時間以内であればよいので、繁忙週に週48時間働かせ、閑散週に週32時間にするといった運用が可能になります。1年単位の変形労働時間制では、1日10時間・週52時間という上限があり、対象期間が3か月を超える場合は年間の労働日数が280日以内に制限されます。

ただし、変形労働時間制を適法に運用するには要件があります。労使協定または就業規則での定め、対象期間と起算日の明示、各日・各週の労働時間の事前特定、そして労働基準監督署への届出(1か月単位で就業規則によらない場合と1年単位は届出必須)です。とくに「各日・各週の労働時間をあらかじめ特定する」という要件は重要で、後からシフトを自由に変更できる運用は変形労働時間制として認められません。

つまり、「うちは変形労働時間制だから週48時間でも大丈夫」と説明されたときは、シフトが事前に確定していたかどうかを確認する価値があります。直前に「明日も出て」と追加されたようなシフトは、変形労働時間制の枠外の時間外労働として扱われるべきものです。

休憩と休日は削られていないか

長いシフトが続くと、休憩と休日が犠牲になりがちです。ここも法律で最低ラインが決まっています。

休憩は、労働時間が6時間を超える場合に45分以上、8時間を超える場合に60分以上を、労働時間の途中に与えなければなりません。しかも、休憩は労働から完全に解放されている必要があります。「休憩中だけど電話が鳴ったら出て」「客が来たら対応して」という状態は、法律上の休憩ではなく手待ち時間、つまり労働時間です。

休日は、週1日または4週を通じて4日以上が法定休日です。週6日入っていても週1日休みがあれば法定休日の要件は満たしますが、13日連続勤務のような組み方は4週4日の要件に抵触する可能性があります。

断りたいときの現実的な進め方

シフトを断ること自体は、雇用契約の内容次第で正当な権利になります。ただし、いきなり「法律違反です」と切り出すと関係がこじれます。この業界を長く見てきた実感として、うまく調整できている人はもっと段階的に動いています。

第1段階は、事実の共有です。「今月のシフトを合計したら週45時間になっていて、40時間を超えた分の割増がどうなるか確認したい」と、時間の数字だけを提示します。感情ではなく数字で話すと、店長側も対応しやすくなります。

第2段階は、こちら側の条件提示です。「週40時間までなら問題なく入れます」「土日は入れますが平日は週3日までにしたい」と、断るのではなく上限を示す形にします。全否定ではなく境界線の提示にすると、シフト調整の議論に持ち込めます。

第3段階は、記録と外部相談です。改善されない場合は、シフト表と実労働時間の記録を揃えた上で、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談します。相談は無料で、匿名でも受け付けています。厚生労働省のサイト(https://www.mhlw.go.jp/)から最寄りの窓口を調べられます。

私自身、学生時代に飲食店でアルバイトをしていたとき、シフトを断れずに月の後半が丸ごと潰れた経験があります。今振り返ると、断れなかった原因は「断る根拠を知らなかった」ことに尽きます。契約書に週の所定労働日数が書いてあることすら知らずに、店長の言葉だけを判断材料にしていました。根拠を1つ持っているかどうかで、同じ会話の温度がまったく変わります。

学生アルバイトが週40時間を超えるときの落とし穴

学生の場合、週40時間超のシフトには労働法とは別の論点が重なります。ここは分けて整理する必要があります。

学業との両立という現実的な上限

週40時間というのは、1日8時間×5日です。フルタイムの正社員と同じ時間を働くということです。ここに通学時間、授業、課題、試験期間が乗ってきます。

大学の一般的な単位制度では、2単位の講義科目は授業時間に加えて予習復習の時間を含めて考える設計になっています。週に10コマ履修していれば、授業だけで週15時間前後、それに準備時間が加わります。ここに週40時間のアルバイトを重ねると、可処分時間はほぼ残りません。

現実的な判断基準として、私が見てきた範囲では次のようになります。試験期間と重ならない時期に、単発的に週40時間を超えるのは選択肢としてありえます。一方、学期を通じて週40時間が常態化すると、履修の維持が難しくなるケースが多い。長期休暇中に集中的に稼ぎ、学期中は週20時間前後に戻すという設計のほうが、結果的に総収入も安定します。

これは精神論ではなく、時間の配分の問題です。単位を落として留年した場合の学費負担は、アルバイトで積み増した収入を簡単に上回ります。

高校生と18歳未満は週40時間を超えられない

満18歳未満の年少者には、労働基準法上の特別な保護があります。ここは絶対に押さえてください。

年少者については、36協定を締結していても時間外労働をさせることができません。つまり、1日8時間・週40時間が絶対的な上限になります。「36協定があるから週45時間まで大丈夫」という説明は、18歳未満には一切通用しません。

さらに、深夜業(午後10時から午前5時まで)も原則禁止です。飲食店の閉店シフトや深夜のコンビニに18歳未満を入れることはできません。変形労働時間制も原則として適用されません(満15歳到達年度の末日を過ぎた者について、一定の範囲で例外はあります)。

高校生のアルバイトでシフトが週40時間を超えている、あるいは22時を回っているという状況があれば、それは明確な違反です。学校への申告以前に、労働基準法の問題として指摘できます。

雇用保険と社会保険の扱い

週の労働時間が増えると、保険関係の適用も変わってきます。

雇用保険は、週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入対象になります。ただし、昼間部の学生は原則として適用除外です。夜間部や通信制の学生、休学中の学生は対象になりえます。

健康保険と厚生年金については、一般の被保険者の要件(同じ事業所の正社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上)を満たす場合、学生であっても加入対象になります。正社員が週40時間勤務の職場で、あなたが週30時間以上働いているなら、この基準に該当する可能性があります。

一方、短時間労働者向けの適用拡大(週20時間以上などの要件)については、昼間学生は適用除外です。ここが混乱しやすい点で、「学生は社会保険に入らない」と単純化して覚えていると、週30時間を超えたときに扱いが変わることを見落とします。加入の判断は勤務先の手続きになるため、シフトを増やす前に確認しておくのが安全です。制度の詳細は日本年金機構のサイト(https://www.nenkin.go.jp/)で確認できます。

有給休暇は週40時間働くアルバイトにも発生する

見落とされがちですが、年次有給休暇はアルバイトにも付与されます。週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上勤務している場合は、正社員と同じ日数が付きます。雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば10日です。

週40時間相当で働いているのに有給が付与されていない、あるいは「バイトに有給はない」と言われているなら、それも違法です。取得の申請は原則として時季を指定するだけで足り、理由の説明は必要ありません。

掛け持ちの場合との違いを一応整理しておく

この記事は1か所の勤務先で週40時間を超えるケースを扱っていますが、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合との違いに触れておきます。

労働基準法第38条は、労働時間は事業場を異にする場合においても通算すると定めています。つまり、A店で週25時間、B店で週20時間働いていれば、合計45時間として法定労働時間の判定が行われます。

ただし、割増賃金を誰が負担するかという論点があり、通達では後から契約した使用者が原則として割増分を負担するという整理がされています。ここは1か所勤務のケースより格段に複雑で、実務上のトラブルも起きやすい領域です。掛け持ちを検討している、あるいはすでに掛け持ちしている人は、通算のルールを別途確認してください。

1か所で完結している場合は、この通算の論点を考える必要がありません。シフト表を合計して40時間との差を見るだけで判定できます。判断がシンプルなのは大きな利点です。

労働時間で稼ぐ設計の限界と、時間単価を上げるという選択肢

ここからは、市場を長く見てきた立場からの観察を書きます。

週40時間を超えるシフトに悩む相談を見ていると、根っこにあるのはほぼ例外なく「時間を増やす以外に収入を増やす手段がない」という状態です。時給が固定されている以上、収入を増やすには時間を積むしかない。だから週45時間、週50時間と伸びていき、体力と学業を削ることになる。

20年この市場を見てきた立場から言えば、労働時間の上限は法律以前に体力と生活の上限で決まります。週40時間を超えたあたりから、多くの人は睡眠時間か学習時間のどちらかを削り始めます。そして削った分は、数か月後にパフォーマンスの低下として戻ってきます。時間を積む戦略には、必ず天井があります。

長く続いている人ほど、どこかの時点で「時間を積む」から「時間単価を上げる」へ軸足を移しています。同じ週20時間でも、単価が2倍になれば収入は変わりません。そして単価は、スキルと実績と、それから中間コストの構造で決まります。

中間マージンの話は、抽象論ではなく実感として書けます。仲介手数料が10%から20%乗る取引では、依頼者が10万円を出しても受け手には8万円しか届きません。手数料が乗らない直接取引では、同じ10万円がそのまま届きます。依頼する側から見れば、同じ予算でより多く頼めるということです。手数料0%という条件は、金額の大小の話ではなく、手取りが厚くなるという質の違いを生みます。運営者として見てきた限りでは、この差が積み上がると、数年後の働き方の自由度がまったく変わってきます。

時給以外の選択肢を持っておく

アルバイトを続けながらでも、時間単価の高い仕事を並行して試すことはできます。重要なのは、週40時間のシフトを組む前に検討することです。時間が埋まってしまってからでは、新しいスキルを試す余地が残りません。

在宅でできる業務委託の仕事は、シフトに縛られないという点でアルバイトと性質が違います。作業時間を自分で決められるため、授業や試験期間に合わせて量を調整できます。どんな仕事があるのかを俯瞰するには、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説が参考になります。求人の探し方だけでなく、避けるべき募集の見分け方までまとめてあります。

限られた時間で成果を出すには、作業効率そのものを上げる必要があります。在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックでは、短時間で集中を維持する具体的な方法を整理しています。学生が授業の合間に作業する場面とも相性がよい内容です。

時間をどう配分するかの実例を見たい場合は、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が具体的です。限られた可処分時間の中で仕事を組み立てている人の1日が、時間単位で書かれています。学生の生活とは条件が違いますが、時間の切り分け方の考え方は流用できます。

どの分野なら単価が上がるのか

職種によって単価の水準は大きく違います。労働市場のデータを見ると、同じ在宅ワークでも分野ごとに相場に数倍の開きがあります。

文章を書く仕事の相場感については、著述家,記者,編集者の年収・単価相場に統計データがまとまっています。ライティングは参入しやすい反面、初期の単価は低めに設定されがちで、実績を積んでどこまで上げられるかが分かれ目になります。

技術寄りの分野に進む場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ておくとよいでしょう。習得に時間はかかりますが、時間単価の上限が高い分野です。学生のうちに手をつけておく価値があるのは、この習得期間の長さがあるからです。

具体的な仕事内容を知りたい場合は、アプリケーション開発のお仕事に業務の流れと求められるスキルがまとまっています。未経験からどう入っていくかの手順も含まれています。近年伸びている領域としては、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事があります。AIツールを業務に組み込む支援の需要は、企業規模を問わず増えています。

資格を足がかりにする方法もあります。ビジネス文書検定は事務や文書作成の基礎を証明できる資格で、学生でも取得しやすい部類です。ネットワーク分野に進むならCCNA(シスコ技術者認定)が定番で、こちらは難易度が高い代わりに評価されやすい資格です。

週40時間超のシフトを判定するチェック項目

最後に、自分の状況を判定するための確認項目を整理します。シフト表を手元に置いて、順に見ていってください。

1つ目。週の起算日を確認します。就業規則に定めがなければ日曜起算です。この区切りで週の合計時間を計算します。

2つ目。1日8時間を超えた日を洗い出します。休憩時間は労働時間に含めません。8時間を超えた部分の合計を出します。

3つ目。週の合計から法定休日に働いた時間を除き、40時間(特例措置対象事業場なら44時間)と比較します。すでに1日8時間超でカウントした時間は二重に数えません。

4つ目。時間外労働が発生していた場合、36協定の届出があるかを確認します。掲示物を探すか、勤務先に写しの提示を求めます。

5つ目。給与明細で、時間外の割増が計算されているかを確認します。時給の1.25倍の単価が適用されているか、深夜帯があればさらに0.25が加算されているかを見ます。

6つ目。休憩が労働時間に応じて与えられているか、週1日の休日が確保されているかを確認します。

7つ目。18歳未満の場合は、週40時間・1日8時間を超えていないか、22時以降の勤務がないかを確認します。1つでも該当すれば違反です。

この7項目のどこかで引っかかった場合、まず勤務先に確認するのが第一段階です。それで解決しなければ、記録を揃えた上で労働基準監督署の相談窓口に持ち込みます。相談したことを理由に不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されています。

週40時間という数字は、働く側を縛るための線ではありません。1週間の3分の1近くを労働に充てた時点で、それ以上は健康と生活を守るために特別な手続きと対価が必要になるという、社会が引いた保護のラインです。自分の労働時間を数えられるようになることは、その保護を使える状態になるということでもあります。

よくある質問

Q. アルバイトが週40時間以上働くのは違法ですか?

働くこと自体は違法ではありません。ただし勤務先が36協定を労働基準監督署に届け出ていること、そして週40時間を超えた分に25%以上の割増賃金が支払われていることが条件です。この2つのどちらかが欠けていれば労働基準法違反になります。18歳未満は36協定があっても週40時間を超えられません。

Q. 週40時間を超えた分の割増賃金はいくらになりますか?

法定時間外の割増率は25%以上です。時給1,200円なら1時間あたり1,500円になります。22時から翌5時の深夜帯が重なれば50%増で1,800円、法定休日に働けば35%増です。月の時間外が60時間を超えた部分は50%増に上がります。1分単位での計算が原則で、日ごとの切り捨ては違法です。

Q. 学生アルバイトが週40時間働くと学業に影響が出ますか?

週40時間は1日8時間×5日で、フルタイムの正社員と同じ時間です。ここに授業と課題が重なると可処分時間はほぼ残りません。長期休暇中に集中し、学期中は週20時間前後に戻す設計のほうが現実的です。また週30時間以上になると社会保険の加入対象になる可能性があるため、事前に勤務先へ確認してください。

Q. 36協定があるかどうかはどうやって確認しますか?

36協定は労働者への周知が義務づけられています。まずバックヤードや休憩室の掲示板で「時間外労働・休日労働に関する協定届」の写しを探してください。見当たらなければ店長や人事担当に写しの提示を求めます。これは労働者の正当な権利です。提示を拒まれたり存在しないと言われた場合、週40時間超のシフトは違法状態と判断できます。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月25日最終更新:2026年9月7日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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