オンライン家庭教師を個人契約で受けるには|生徒の集め方と月謝の取り決め


この記事のポイント
- ✓オンライン家庭教師を個人契約で受けるときの生徒の集め方
- ✓月謝の決め方と取り決めておく項目
- ✓保護者との連絡の進め方
オンライン家庭教師を個人契約で受けたいと考える人は、家庭教師センターや仲介サイトに登録して教えてきた大学生や、教員や塾の講師の経験を生かして副業を始めたい社会人に多く見られます。センターを通さずに直接ご家庭と契約すれば、仲介の手数料がかからない分、ご家庭の負担を抑えながら先生の手取りを厚くできます。その一方で、生徒を見つけることも、月謝の金額や支払いの方法を決めることも、すべて自分で行う必要があります。
この記事では、オンライン家庭教師を個人契約で受けるときの生徒の集め方、月謝の決め方と取り決めておく項目、保護者との連絡の進め方、長期の前払い契約にかかる法律の決まり、税金の手続きまでを、先生の側の目線で順に解説します。結論を先に書くと、個人契約を長く続けている先生は、授業の上手さと同じくらい、最初の取り決めを書面に残すことと、保護者への報告を欠かさないことを大切にしています。
個人契約の家庭教師とはどんな働き方か
家庭教師の働き方は、大きく分けて3つあります。家庭教師センターに登録して紹介を受ける形、仲介サイトで先生とご家庭が出会う形、そして先生がご家庭と直接契約する個人契約の形です。
センター経由との違い
家庭教師センターを通す場合、ご家庭はセンターに入会金や管理費を払い、先生はセンターから給与や報酬を受け取ります。個人契約では、こうした中間の費用がなくなります。ご家庭の側から見た違いを、次のように説明している例があります。
家庭教師の個人契約とは、家庭教師センターを介さず、ご家庭と先生が直接結ぶ契約のことです。センター経由でかかる入会金1〜2万円と、毎月3,000〜10,000円の管理費が不要になり、支払うのは授業料と先生の交通費だけになります。 出典: smartrador.com
先生の側から見ると、ご家庭がセンターに払っていた費用の分だけ、授業料を抑えても手取りを確保しやすくなります。一方で、センターが担っていた生徒の紹介、授業料の集金、トラブルのときの間に入る役割を、すべて自分で引き受けることになります。
雇用ではなく、業務の委託
個人契約の家庭教師は、ご家庭に雇われるのではなく、授業という業務をご家庭から引き受ける形になるのが一般的です。法律の言葉では、業務委託(このうち授業のような作業を引き受ける形を準委任と呼びます)にあたります。雇用ではないため、最低賃金や残業代の決まりは適用されず、労災保険や雇用保険の対象にもなりません。その代わり、授業の進め方や時間の決め方を、ご家庭と話し合って自由に決められます。
オンラインならではの利点
オンラインの家庭教師は、移動の時間と交通費がかからないことが最大の利点です。対面では1日に回れる家庭の数に限りがありますが、オンラインなら授業と授業の間に移動がないため、同じ日に複数のご家庭を担当しやすくなります。住んでいる地域に関係なく生徒を受けられるので、得意な科目や受験の分野を絞っても、生徒が見つかる範囲が広がります。
センターから独立する前に確かめたいこと
いま家庭教師センターや仲介サイトで教えている人が個人契約に移るときは、まず登録先の規約を確かめる必要があります。
紹介された生徒との直接契約
多くのセンターや仲介サイトは、紹介した生徒と先生が、センターを通さずに直接契約することを規約で禁じています。期間中だけでなく、登録を辞めた後の一定の期間も禁じている規約や、違反したときの違約金を定めている規約もあります。センターで担当していた生徒のご家庭から「直接お願いしたい」と言われても、規約に反していないかを確かめてから返事をしてください。
個人契約の生徒は自分で一から集める
規約に反しない形で個人契約を始めるには、センターとは関係のないところで、新しく生徒を集めることになります。次の節で、生徒の集め方を具体的に見ていきます。
オンライン家庭教師の生徒の集め方
個人契約の先生にとって、最初の壁は生徒を見つけることです。生徒の集め方は、大きく分けて次の5つがあります。
1. 知人の紹介
最も始めやすいのは、知人や以前の教え子のご家庭からの紹介です。紹介で来るご家庭は、先生の人柄をある程度知ったうえで申し込むため、信頼関係を築きやすく、長く続きやすい傾向があります。友人や家族に「オンラインで家庭教師を始めた」と伝えておくだけでも、思わぬところから声がかかることがあります。紹介を頼むときは、教えられる科目と学年、オンラインで授業をすること、おおよその月謝を短い文章にまとめて渡しておくと、紹介する側も説明しやすくなり、条件の合わないご家庭からの問い合わせも減らせます。
2. 先生とご家庭をつなぐ掲示板やマッチングのサイト
個人契約の先生を探すご家庭と、先生をつなぐサイトがあります。サイトによって、ご家庭が先生の連絡先を得るときに料金を払う形、入会金を払う形、授業料の一部を手数料として差し引く形など、料金の仕組みが違います。先生の側に費用がかかるかどうか、直接契約に移ってよいかどうかは、サイトの規約で必ず確かめます。
3. SNSやブログでの発信
得意な科目の勉強法や、受験の情報を発信して、興味を持ったご家庭から問い合わせを受ける方法です。すぐに生徒が集まる方法ではありませんが、発信を続けるうちに、先生の考え方に共感したご家庭が集まりやすくなります。発信するときは、教え子の成績や学校名など、生徒が特定される情報を出さないように注意します。
4. 自分の紹介ページを用意する
指導できる科目と学年、授業の時間と月謝、授業の進め方、連絡の方法をまとめた紹介ページを1つ用意しておくと、問い合わせを受けたときに説明の手間が省けます。紹介ページの文章は、保護者が読んで安心できるよう、誤字がなく、丁寧で分かりやすい文章を心がけます。ビジネスの文章の書き方を体系的に学びたい人は、ビジネス文書検定の出題の範囲が参考になります。
5. 体験授業を用意する
個人契約では、ご家庭が先生を選ぶときの判断の材料が限られています。30分程度の体験授業を用意しておくと、ご家庭は授業の雰囲気と、オンラインの環境に問題がないかを確かめられます。体験授業を無料にするか有料にするかは先生の判断ですが、無料にする場合は回数を1回に限るなど、決まりを先に決めておきます。
月謝の決め方
個人契約の月謝は、先生が自分で決めます。高すぎれば生徒が集まらず、安すぎれば続けるほど負担になります。決めるときは、次の点を考えに入れます。
授業の時間だけで考えない
家庭教師の仕事は、授業の時間だけではありません。授業の前の教材の準備、宿題の作成と添削、保護者への報告、日程の調整の連絡にも時間がかかります。月謝を決めるときは、授業1回あたりにかかる準備や連絡の時間も含めて、1時間あたりの額がいくらになるかを計算しておきます。
たとえば、1回90分の授業に、準備と報告で30分かかるなら、実際の作業は1回あたり2時間です。この2時間で割った額が、自分の考える1時間あたりの額を下回っていないかを確かめます。
学年と目的で差をつける
小学生の基礎の学習と、高校生の大学受験の指導では、求められる準備の量も、必要な知識の深さも違います。多くの先生は、学年や目的(定期テストの対策、受験の対策、英会話など)によって、1時間あたりの額に差をつけています。受験の直前の時期だけ授業の回数を増やす場合の料金も、あらかじめ決めておくと、相談を受けたときに迷いません。
月謝制と回数制
料金の決め方には、1か月あたりの額を決める月謝制と、授業1回ごとに料金を決める回数制があります。月謝制は、毎月の収入の見通しが立てやすく、ご家庭にとっても支払いの額が分かりやすい形です。回数制は、授業の回数が月によって変わるご家庭や、試験の前だけ授業を受けたいご家庭に向いています。どちらにするかは、ご家庭の希望を聞いて決めてかまいませんが、回数制にする場合は、何回分をまとめて払ってもらうか、使わなかった分をどう扱うかを決めておきます。
遠くのご家庭や海外のご家庭を受けるとき
オンラインなら、遠くの地域のご家庭や、海外に住む日本人のご家庭の生徒を受けることもできます。海外のご家庭の場合は、時差を考えて授業の時刻を決め、日本時間と現地時間の両方を取り決めに書いておきます。海外からの振込は手数料が高くなることがあるため、支払いの方法と手数料の負担も先に話し合っておきます。
ご家庭から見た総額で考える
ご家庭は、センターに払っていた入会金や管理費がなくなる分、個人契約を選ぶことで総額を抑えられることを期待しています。先生の側の1時間あたりの額を、センターを通したときの総額と比べて、ご家庭にとっても無理のない範囲に収まっているかを見ておくと、契約につながりやすくなります。
月謝の取り決めで書面に残す項目
個人契約のトラブルの多くは、月謝の支払いや授業の休みの扱いを、口約束で済ませたことから起きます。授業を始める前に、次の項目を書面やメールで取り決めておきます。
| 項目 | 取り決めておく内容の例 |
|---|---|
| 授業の回数と時間 | 1か月あたりの回数、1回の時間、曜日と時刻 |
| 月謝の額 | 1か月あたりの額、または1回あたりの額 |
| 支払いの時期と方法 | 前払いか後払いか、振込の期日、振込手数料の負担 |
| 休みと振替 | 何日前までの連絡なら振替するか、当日の休みの扱い |
| 先生の都合の休み | 先生が休むときの振替や返金の扱い |
| 教材費 | 教材を誰が用意するか、費用の負担 |
| 契約の終わり方 | 何日前までに伝えれば終われるか、前払い分の扱い |
| 料金の見直し | 学年が上がったときなどの料金の見直しの時期 |
前払いと後払い
月謝は、その月の授業の前に払ってもらう前払いにしておくと、未払いの心配が減ります。前払いにする場合は、ご家庭の都合で授業ができなかったときや、途中で契約を終えたときに、残りの分をどう扱うかも決めておきます。
休みと振替の決まり
体調不良や学校の行事で、授業が休みになることはよくあります。「前日の何時までに連絡があれば振替する」「当日の連絡は1回分として扱う」のように、決まりを具体的に書いておくと、お互いに気持ちよく続けられます。先生の側の都合で休む場合の扱いも、同じように決めておきます。
料金の見直しのタイミング
生徒が学年を上がって受験の学年になると、授業の準備の量が増えます。その時期に料金を見直す可能性があることを、最初の取り決めの時点で伝えておくと、急な値上げの印象を与えずに済みます。
長期の前払い契約にかかる法律の決まり
個人契約でも、契約の期間と金額によっては、特定商取引法という消費者を守るための法律の決まりがかかることがあります。
特定継続的役務提供とは
特定商取引法では、エステや語学教室、家庭教師、学習塾のように、長い期間にわたってサービスを提供し、まとまった金額を受け取る取引を「特定継続的役務提供」と呼び、契約の書面を渡すことや、契約の解除のルールを定めています。家庭教師については、法律の施行令で、期間と金額の線が決められています。
法第四十一条第一項第一号の政令で定める金額は、五万円とする。 出典: e-Gov法令検索(特定商取引に関する法律施行令)
施行令の別表では、学校の補習や入試の対策のための家庭教師は、期間が2か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象とされています。この条件に当たる契約では、事業者は契約の内容を書いた書面をご家庭に渡す必要があり、ご家庭は一定の期間内であれば契約を取り消せる仕組み(クーリング・オフ)や、途中で解約したときに請求できる額の上限の決まりが適用されます。
個人の先生が気をつけたいこと
個人で家庭教師をしている人が、この法律の「事業者」にあたるかどうかは、続けて事業として行っているかなどの事情によって判断されます。数か月分の月謝をまとめて前払いでもらう契約は、この線に近づきやすいので、長い期間の前払いの契約を結ぶときは、消費者庁の特定商取引法のページで決まりを確かめてください。月ごとの前払いで、いつでも翌月から終えられる形にしておけば、ご家庭の負担も小さく、トラブルにもなりにくくなります。
保護者との連絡と、生徒を守るための配慮
オンライン家庭教師の生徒は、多くが未成年です。授業を受けるのは生徒でも、契約の相手は保護者であることを忘れないようにします。
連絡は保護者を通す
日程の変更や月謝の連絡は、保護者と直接やり取りします。生徒とSNSで個別に連絡を取り合うことは、誤解やトラブルのもとになるため、避けるのが基本です。生徒からの質問を授業の外で受ける場合は、保護者の了解を得たうえで、保護者も見られる方法を使います。
授業の報告を欠かさない
保護者は、オンラインの授業の様子を直接見ていないことが多く、授業の内容が分からないと不安を感じます。授業のたびに、扱った内容、生徒の理解の様子、次回までの宿題を短く報告すると、保護者の安心につながり、契約の継続にもつながります。
定期的に保護者と話す時間を取る
毎回の短い報告に加えて、学期に1回ほど、保護者と15分程度話す時間を取ると、家庭での学習の様子や、学校の面談で言われたことなど、授業だけでは分からない情報が得られます。授業の方針を見直すきっかけにもなり、ご家庭からの信頼も深まります。話した内容は、次の授業の計画に反映し、どう反映したかを次の報告で伝えると、保護者は話した意味を実感できます。
録画と個人情報
授業を録画して復習に使う場合は、事前に保護者の同意を得ます。録画した映像や、生徒の成績、学校名などの情報は、ほかの人に見せたり、SNSに出したりしないことを約束し、使い終わったら削除します。
授業の環境を整える
オンラインの授業では、通信の不安定さが授業の質を左右します。先生の側は、安定した回線、カメラ、マイク付きのイヤホンを用意し、手元の書き込みを見せるための書画カメラやペンタブレットがあると、数学や理科の説明がしやすくなります。ビデオ会議のサービスによっては、無料のプランで会議の時間に上限があるので、授業の長さに合うかを公式の案内で確かめておきます。
最初の面談で確かめること
問い合わせを受けたら、契約の前に保護者と面談の時間を取ります。オンラインの面談なら30分ほどで十分です。この面談で確かめておくと、契約の後のすれ違いが大きく減ります。
家庭教師を頼む理由
「学校の授業に付いていけなくなった」「定期テストの点数を上げたい」「志望校の受験の対策をしたい」「家で勉強する習慣をつけたい」など、ご家庭が家庭教師を頼む理由はさまざまです。理由によって、授業で扱う内容も、成果の見え方も違います。面談の最初に理由を聞き、先生が手伝えることと手伝えないことを、その場ではっきり伝えます。
生徒の今の状況
学校で使っている教科書と問題集、最近のテストの結果、得意な単元と苦手な単元、1日の家庭での学習の時間を聞いておきます。可能であれば、最近のテストの答案を画面で見せてもらうと、どこでつまずいているかが具体的に分かります。
授業の時間帯と回数
部活動や習い事の予定を聞いたうえで、無理なく続けられる曜日と時刻を決めます。オンラインの授業は移動がないため、夕食の後の時間帯を希望するご家庭も多くあります。週1回から始めて、様子を見て回数を調整する形にすると、ご家庭も始めやすくなります。
家庭の通信の環境
生徒が使う機器(パソコン、タブレット、スマホ)と、家の通信の環境も確かめます。スマホの小さな画面では、数式や図を見ながら書き込むのが難しいため、できればパソコンかタブレットを使ってもらうよう提案します。面談の時間を使って、実際にビデオ会議のサービスにつないでみると、当日の接続のつまずきを防げます。
授業の組み立てと教材の選び方
個人契約の家庭教師は、授業の内容を先生が自分で組み立てます。センターの決まった教材がない分、生徒に合わせた授業を設計できるのが強みです。
1回の授業の流れを決めておく
毎回の授業の流れを決めておくと、生徒も先生も準備がしやすくなります。たとえば、最初の10分で宿題の確認、次の時間で新しい単元の説明と演習、最後の10分で今日の振り返りと次回までの宿題の説明、という流れです。流れが決まっていると、保護者への報告も書きやすくなります。
教材は学校の教材を中心にする
定期テストの対策が目的なら、学校の教科書と問題集を中心に使うのが効果的です。新しい問題集を買ってもらう場合は、費用を誰が負担するかを先に決めておきます。受験の対策では、志望校の過去の問題を使うことが多いので、どこで入手するかも保護者と相談しておきます。
画面で見せる工夫
オンラインの授業では、先生の手元の書き込みが見えにくいと、説明が伝わりにくくなります。画面共有で問題を映し、その上に書き込める機能を使うと、対面の授業に近い形で説明できます。生徒の解き方を見るためには、生徒のノートをカメラで映してもらうか、写真を撮って送ってもらうよう、最初の授業で練習しておきます。
宿題の量の決め方
宿題は、生徒が1週間で無理なく取り組める量にします。多すぎる宿題は、手を付けないまま次の授業を迎える原因になります。最初の数回は少なめに出して、生徒の取り組み方を見ながら量を調整します。
受けられる生徒の数と、時間の管理
オンラインの家庭教師は移動がない分、多くの生徒を受けられるように思えますが、準備と連絡の時間を考えると、受けられる数には限りがあります。
1週間の時間の使い方を書き出す
授業の時間、準備の時間、宿題の添削の時間、保護者への報告の時間を、生徒ごとに書き出して1週間の合計を出します。副業として教える人は、本業の時間と睡眠の時間を引いた残りの中で、無理のない範囲に収まっているかを確かめます。
試験の前は時間が足りなくなる
定期テストや受験の直前は、どのご家庭からも授業を増やしてほしいという相談が集中します。この時期に対応できる余裕を残しておかないと、どのご家庭にも十分な対応ができなくなります。生徒の数を決めるときは、普段の週ではなく、最も忙しい週を基準に考えておくと安心です。
新しい生徒を断る判断
時間に余裕がないときは、新しい生徒の申し込みを断ることも大切です。断るときは、空きが出る時期の目安を伝え、そのときに改めて連絡してよいかを聞いておくと、次の契約につながることがあります。
よくあるつまずきと防ぎ方
個人契約の家庭教師で起きやすいつまずきを、先生の側から見た例で整理します。
月謝の振込が遅れる
後払いにしていると、振込が遅れたり、催促しにくくなったりすることがあります。前払いにする、期日を過ぎたら授業を始めない決まりにする、といった形で、最初に取り決めておくと防げます。
成績の保証を求められる
「次のテストで何点上げてほしい」と求められることがあります。成績は生徒の取り組みにも左右されるため、点数の保証は約束しないことを最初に伝えておきます。その代わり、授業で扱う範囲と、家庭での学習の進め方を一緒に決めて、取り組みの過程を報告するようにします。
授業の時間外の連絡が増える
夜遅くの連絡や、休日の質問への対応が増えると、先生の負担が大きくなります。連絡を受ける時間帯と、返信までの目安を決めて伝えておくと、無理なく続けられます。
体験授業の後に返事がない
体験授業の後、ご家庭から返事がないことも珍しくありません。体験の終わりに、授業の進め方と月謝、次の一歩(申し込みの方法と期限)を伝えておき、数日後に一度だけ連絡するにとどめます。
取り決めの文面の例
取り決めを書面にするといっても、堅い契約書を作る必要はありません。次のような内容をメールで送り、保護者から「承知しました」と返事をもらっておくだけでも、後で確認できる記録になります。
〇〇様
このたびはオンラインでの家庭教師のご依頼をいただき、ありがとうございます。授業の取り決めを、次のとおりお送りします。内容をご確認いただき、問題がなければご返信をお願いいたします。
- 授業は毎週〇曜日の〇時から〇時まで、1回90分、1か月あたり4回を基本とします。
- 月謝は1か月あたり〇〇円とし、前月の末日までにお振込みください。振込手数料はご家庭のご負担でお願いいたします。
- 授業の前日の〇時までにご連絡をいただいた場合は、同じ月の中で振替の授業を行います。当日のご連絡の場合は、1回分の授業として扱います。
- 講師の都合で授業を休む場合は、振替の授業を行います。振替ができない場合は、翌月の月謝から1回分を差し引きます。
- 教材は学校の教科書と問題集を使います。追加の教材が必要な場合は、事前にご相談します。
- 授業を終える場合は、前月の〇日までにお知らせください。お支払いいただいた月謝のうち、授業を行っていない分はお返しします。
このように、月謝の額、支払いの期日、休みと振替、終わり方の4点が書かれていれば、多くのトラブルは防げます。文面は、ご家庭の事情に合わせて調整してください。
契約を終えるときの進め方
個人契約は、受験の終わり、生徒の進学、ご家庭の事情などで、いずれ終わりを迎えます。終わり方が丁寧だと、紹介や再度の依頼につながります。
終わりの時期を早めに確かめる
受験の指導の場合は、受験が終わった後に契約を続けるかどうかを、受験の前の時期に一度確かめておくと、ご家庭も先生も予定を立てやすくなります。
最後の授業でしておくこと
最後の授業では、これまでに扱った範囲と、これから自分で学習を続けるときのポイントを、生徒と保護者に伝えます。使っていた教材や、授業の記録のうち、生徒が今後も使えるものは渡します。録画や生徒の個人情報は、約束どおり削除したことを伝えます。
前払いの分の精算
月謝を前払いでもらっている場合は、取り決めに従って、授業を行っていない分を精算します。精算の金額と振込の日を、メールで伝えておくと記録が残ります。
税金と手続き
個人契約の家庭教師の収入は、給与ではなく、業務を引き受けて得た報酬として扱われます。
確定申告が必要になる場合
会社員や公務員として給与を受けている人が、副業として家庭教師をする場合、給与以外の所得の合計が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人 出典: 国税庁 No.1900
ここでの所得とは、月謝の合計から、教材費や通信費などの経費を引いた額です。20万円以下で所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別に必要になるため、住んでいる市区町村に確かめてください。
経費として扱えるもの
授業のために買った教材や参考書、オンラインの授業に使う機器や通信費の一部などは、経費として扱える可能性があります。私用と共用の物は、仕事に使った割合で分ける考え方が一般的です。どこまでが経費になるかは事情によって変わるので、迷ったら税務署に確認してください。
開業届と記録
家庭教師を事業として続ける場合は、税務署に開業届を出すことができます。提出の期限は、開業した年の分の確定申告の期限までです。申告に備えて、月謝の入金と経費の支払いを、月ごとに記録しておくと、年末にあわてずに済みます。
公務員や会社員の副業の決まり
会社員は勤め先の就業規則で、公務員は法律と勤め先の規則で、副業の扱いが決められています。特に公務員は許可が必要になる場合があるので、始める前に必ず勤め先に確かめます。
個人契約を長く続けている先生に共通すること
個人契約は、一度生徒が付いても、受験が終わると契約が終わることが多い働き方です。長く続けている先生には、次のような共通点があります。
紹介が生まれる関係をつくる
受験が終わって契約が終わるとき、保護者から兄弟や友人のご家庭を紹介してもらえることがあります。授業の報告を欠かさず、約束の時間を守り、最後まで丁寧に対応することが、次の生徒につながります。
教える分野を絞る
「何でも教えます」より、「中学生の数学の定期テストの対策」「高校生の英語の長文読解」のように分野を絞ったほうが、探しているご家庭に見つけてもらいやすくなります。分野を絞ると、教材の準備も効率よく進められます。
教える力を別の仕事に広げる
オンラインで分かりやすく教える力は、家庭教師以外の仕事にも生かせます。たとえば、企業で生成AIの使い方を教える研修や、業務の進め方を整える支援の仕事は、教える力がそのまま求められる分野です。どんな仕事があるかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事で確かめられます。文章で教えることが得意な人は、学習の記事を書く仕事も選択肢になり、文字単価の上げ方はWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップで解説しています。
運営者の立場から見えること
フリーランスや在宅の仕事の市場を長く見てきた立場から言えば、個人契約がうまく続いているのは、先生とご家庭の双方が「中間の費用がない分、得をしている」と実感できている関係です。ご家庭はセンターに払っていた費用を授業の回数に回せ、先生は同じ授業料でも手取りが厚くなります。この双方が得をする構造は、業務委託の仕事全般に共通しています。
一方で、間に入る人がいない分、取り決めのあいまいさがそのままトラブルになりやすいのも個人契約の特徴です。手数料0%で依頼主と直接やり取りできる仕組みを使う場合も同じで、条件を書面に残し、報告を欠かさない人ほど、継続の依頼や紹介を得ています。家庭教師で身に付けた、相手の理解に合わせて説明する力は、オンラインで受ける仕事全般の強みになります。教える仕事から業務の支援へと幅を広げたい人は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も参考にしてください。
よくある質問
Q. オンライン家庭教師の個人契約は大学生でもできますか?
大学生でも個人契約で教えることはできます。ただし、いま家庭教師センターや仲介サイトに登録している場合は、紹介を受けた生徒と直接契約することが規約で禁じられていることが多いため、先に規約を確かめてください。個人契約の生徒は、知人の紹介や、先生とご家庭をつなぐサイトなどで新しく集めます。
Q. 個人契約の月謝はどう決めればよいですか?
授業の時間だけでなく、教材の準備や宿題の添削、保護者への報告にかかる時間も含めて、1時間あたりの額を計算して決めます。学年や目的によって準備の量が違うため、受験の指導などは差をつける先生が多いです。ご家庭にとって、センターを通したときの総額と比べて無理のない範囲かも確かめます。
Q. 月謝の未払いを防ぐにはどうすればよいですか?
月謝をその月の授業の前に払ってもらう前払いにし、期日までに入金がなければ授業を始めない決まりを、最初の取り決めに書いておくのが効果的です。振込手数料の負担、休みや振替の扱い、途中で終えるときの前払い分の扱いも、あわせて書面やメールで残しておきます。
Q. 家庭教師の個人契約の収入は確定申告が必要ですか?
会社員などで給与を1か所から受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。所得は月謝の合計から経費を引いた額です。20万円以下でも住民税の申告は別に必要になるため、住んでいる市区町村に確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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