バーチャルオフィス+事務代行の費用|住所借り+事務外注の相場と選び方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
バーチャルオフィス+事務代行の費用|住所借り+事務外注の相場と選び方

この記事のポイント

  • バーチャルオフィス 事務代行 費用を発注者目線で徹底解説
  • 両者を組み合わせたときの総額目安
  • 仲介と直接依頼のコスト差

結論から言います。バーチャルオフィスの住所借りだけなら月額1,000円〜5,000円、そこに郵便物対応や電話代行、経理・事務の外注を足していくと、最終的な月額の総額は2万円〜10万円のレンジに落ち着くケースが多い、というのが市場を見てきた率直な感触です。「バーチャルオフィス 事務代行 費用」と検索してこの記事にたどり着いた方は、おそらく起業準備中か、すでに事業を回していて「自宅住所を公開したくない」「郵便や電話、請求書処理に時間を取られたくない」という、二つの悩みを同時に抱えているはずです。

正直なところ、この二つを混同したまま業者を探すと、費用の比較がぐちゃぐちゃになります。「住所を借りる」機能と「事務作業を代わりにやってもらう」機能は、本来まったく別のサービスだからです。この記事では、まず両者を明確に切り分けたうえで、それぞれの費用相場、料金の内訳、組み合わせたときの総額、そして仲介会社を通す場合とフリーランスへ直接依頼する場合のコスト差までを、発注者が意思決定できる粒度で整理します。読み終わる頃には、「自分の場合はいくら用意すればいいのか」がはっきり見えているはずです。

バーチャルオフィスと事務代行は「別物」だと理解するのが第一歩

多くの人がここでつまずきます。バーチャルオフィスと事務代行、名前が似ているうえに、両方を提供している業者も存在するため、料金体系が頭の中で混ざってしまうのです。まずはこの二つを別の軸として捉え直しましょう。ここを整理できていないと、見積もりを取っても「A社は安いけどB社は高い」という比較が成立しません。比べている中身が違うからです。

バーチャルオフィスは「実体のないオフィス」、つまり物理的な作業スペースを持たずに、事業用の住所だけを借りるサービスを指します。名刺やWebサイト、法人登記、特定商取引法に基づく表記に使える住所を月額料金で貸してくれる、というのが本質です。一方の事務代行は、経理・請求書発行・データ入力・電話応対・スケジュール管理といった「作業そのもの」を外部の人に肩代わりしてもらうサービスです。前者は「場所(の住所)」を買い、後者は「人手(の時間)」を買う。この違いを最初に頭に入れてください。

バーチャルオフィスが提供するもの

バーチャルオフィスの基本機能は、大きく分けて4つあります。第一に「住所の貸与」。これが根幹で、都心の一等地の住所を月額数千円で名刺やサイトに載せられます。第二に「郵便物の受け取りと転送」。届いた郵便物を保管し、週1回や随時で自宅へ転送、あるいは来店受け取りできる仕組みです。第三に「法人登記への利用」。会社を設立する際の本店所在地として登記に使えます。第四に、上位プランに含まれることが多い「電話番号の貸与・電話代行」や「会議室・コワーキングスペースの利用」です。

ここで注意したいのは、プランによって使える機能がまったく違うという点です。月額1,000円を切る格安プランは、住所貸与だけで法人登記は不可、郵便転送も別料金というケースが珍しくありません。逆に月額5,000円〜1万円のプランになると、登記可・郵便転送込み・電話番号付き・会議室利用可、といったフルセットになります。「バーチャルオフィスは安い」というイメージだけで契約すると、後から必要な機能がオプション料金で膨らんで結局割高、という失敗につながります。

事務代行が提供するもの

事務代行、いわゆるオンライン事務代行やオンラインアシスタントが引き受ける業務は非常に幅広いです。代表的なものを挙げると、請求書・見積書の作成、経費精算、記帳代行などの経理系。メール対応、電話一次受け、問い合わせ対応などのカスタマーサポート系。データ入力、リスト作成、資料作成などの一般事務系。加えて、SNS投稿の代行やスケジュール調整、出張・会食の予約手配まで頼めるサービスもあります。

事務代行の料金は「月に何時間分の作業を依頼するか」で決まる時間制が主流です。たとえば「月30時間プラン」であれば、その時間の範囲内でさまざまな事務作業を依頼できます。時間単価に換算すると2,500円〜4,000円程度が相場で、これは正社員を1人雇うより明らかに安く、必要なときだけ必要な分を買える柔軟さが魅力です。ただし、専門性の高い業務(税務申告の代行など)は事務代行の範囲外で、税理士や社労士といった士業への依頼が必要になる点は押さえておきましょう。

バーチャルオフィスは、料金が月額1,000円以下のものから月額10,000円を超えるものまでさまざまです。本記事では、バーチャルオフィスの費用相場と、価格帯ごとのサービス内容、機能の違いについて紹介します。料金が高めのバーチャルオフィスであれば、ネットショップや名刺に住所を使えたり、登記ができたりするだけでなく、コワーキングスペースや会議室を使えたりすることがあるので、作業場所を確保したい人にはおすすめです。

この引用が示す通り、バーチャルオフィス単体でも価格帯によって「別サービスか」というほど中身が違います。事務代行を組み合わせるなら、なおさら「何にいくら払うのか」を分解して考える必要があるわけです。

バーチャルオフィスの費用相場を価格帯別に分解する

では、具体的な費用を見ていきましょう。バーチャルオフィスの月額料金は、ざっくり3つの価格帯に分かれます。それぞれで「使える機能」と「向いている人」が明確に異なるので、自分がどの帯に該当するのかを見極めることが、無駄な出費を防ぐ第一歩になります。

月額1,000円以下の格安帯

もっとも安い価格帯で、月額300円〜1,000円程度。ネットショップの特定商取引法表記に住所を使いたい、副業で名刺に住所を載せたい、といった「住所さえあればいい」ニーズに向いています。魅力は圧倒的な安さですが、その分できることは限られます。

参考ソースでも、この価格帯の実態が的確に整理されています。

月額1,000円以下のバーチャルオフィスの魅力は圧倒的な安さです。一般的に法人登記はできないことが多いです。宅配便や書留などの郵送物は、自身で引き取るか、発送を指示して別途費用で転送してもらうことが必要です。本格的なビジネス利用をしたい方や郵送物のやり取りが多い方にとっては、作業負荷やストレスが増え、利用しづらい可能性もあります。

つまり、格安帯は「登記できない・郵便転送が別料金」というのが基本線です。会社を作るつもりがなく、郵便もほとんど届かないなら、これで十分機能します。ただ、後から法人化したい、郵便が頻繁に来る、という状況になると、結局上の価格帯に乗り換えることになり、二度手間になります。将来の事業の方向性がある程度見えているなら、最初から必要な機能を含むプランを選んだ方が総コストは安くつく、というのが実務的な感覚です。

月額1,500円〜3,500円の標準帯

もっとも利用者が多いのがこの標準帯で、月額1,500円〜3,500円。法人登記が可能で、郵便物の受け取り・転送が基本料金に含まれるプランが多く、個人事業主やフリーランス、起業したばかりの事業者にとっての「ちょうどいい」ラインです。

そのため、月額1,500円〜3,500円のバーチャルオフィスは、費用を抑えながら、取引先との商談や打ち合わせをしたい個人事業主やフリーランス、起業したての方におすすめです。

この帯であれば、登記・郵便転送・都心の住所という「事業に必要な最低限」が揃います。会議室を時間貸しで使えるオプションを持つ業者も多く、月に数回、客先との打ち合わせがある程度の使い方なら、この帯で不足を感じることは少ないはずです。コストパフォーマンスを重視するなら、まずはこの標準帯を軸に検討するのが合理的だと考えます。

月額5,000円〜1万円超のハイエンド帯

月額5,000円〜1万円超の価格帯になると、住所貸与・登記・郵便転送に加えて、専用電話番号の貸与、電話代行(オペレーターが会社名で電話を受けてくれる)、コワーキングスペースの利用、来客対応、秘書サービスといった付加価値が含まれてきます。ここまで来ると、バーチャルオフィスというより「オフィス機能のアウトソーシング」に近い性格になります。

このハイエンド帯は、取引先からの信頼感を重視する法人、電話対応の窓口が必要なBtoBビジネス、来客の可能性がある事業などに向いています。逆に、電話も来客もほとんどない一人事業なら、この帯の機能はオーバースペックです。「一等地の立派な住所と充実サービス」に惹かれる気持ちはわかりますが、使わない機能に月額数千円を払い続けるのは、正直なところもったいない。自分の事業に本当に必要な機能から逆算して価格帯を選ぶ、という姿勢が大切です。

事務代行の費用相場と料金の内訳

住所の次は、事務作業を外注する場合の費用です。事務代行の料金は、契約形態によって「時間制(月額パッケージ)」「従量制(作業量ごと)」「常駐・専属型」の3つに大別できます。それぞれの相場と向き不向きを見ていきましょう。

時間制(月額パッケージ)の相場

もっとも一般的なのが、月あたりの作業時間をパッケージで買う方式です。相場観としては、月10時間で3万円〜4万円、月30時間で7万円〜10万円、月50時間で10万円〜15万円といったレンジが目安です。時間単価に直すと2,500円〜4,000円ほどで、契約時間が長いプランほど単価が下がる傾向があります。

このパッケージ型のメリットは、月内であれば複数の業務を柔軟に振り分けられる点です。今月は請求書処理が忙しいから経理に多く、来月は問い合わせ対応に、というふうに、時間の枠内で作業内容を変えられます。デメリットは、使い切れなかった時間が翌月に繰り越せないケースが多いこと。契約前に「繰り越しの可否」「時間超過時の追加料金」を必ず確認しておきましょう。ここを見落とすと、実際の稼働より多い時間を契約して払い損、という失敗が起きます。

従量制(作業量ごと)の相場

「毎月一定の事務作業がある」というより「請求書を月末に20枚作りたい」「イベントのときだけ大量のデータ入力を頼みたい」といったスポット需要には、従量制が向いています。データ入力なら1件あたり10円〜数十円、請求書作成なら1通300円〜500円、記帳代行なら仕訳1件50円〜100円、といった単価設定が一般的です。

従量制の利点は「使った分だけ払う」明快さです。作業がない月はゼロ円で済みます。一方で、作業量が読めない場合はコストが膨らむリスクがあり、また依頼のたびに指示や納品のやり取りが発生するため、コミュニケーションコストは時間制より高くなりがちです。定常的にまとまった量の事務があるなら時間制、波がありスポット的なら従量制、と使い分けるのが賢明です。

常駐・専属型と士業依頼との違い

より深く業務を任せたい場合、特定のアシスタントが専属で対応する「専属型」や、週数日常駐する形態もあります。この場合は月額15万円〜30万円と、正社員1人分に近い費用になりますが、業務の引き継ぎコストが減り、事業を深く理解した人に継続的に任せられる安心感があります。

ここで一つ、費用の線引きとして重要なのが士業との違いです。税務申告書の作成・提出は税理士、社会保険や給与計算の一部は社労士、登記手続きは司法書士、という具合に、法律で専門家しかできない業務があります。事務代行はあくまで「記帳」「書類の下準備」「データ整理」までで、最終的な税務判断や申告は士業の領域です。事務代行に丸投げしようとして「それはうちではできません」と断られ、慌てて税理士を探す、という段取りミスは意外と多い。何を誰に頼むかの棲み分けを、最初に整理しておきましょう。

「住所借り+事務外注」を組み合わせたときの総額シミュレーション

ここまでを踏まえ、実際に両方を使うといくらになるのか、事業規模別に総額の目安を組み立ててみます。あくまで一般的なレンジですが、予算感をつかむ材料にしてください。

起業直後の個人事業主のケース

自宅住所を隠したいのが主目的で、事務はまだそれほど多くない、という段階です。バーチャルオフィスは標準帯の月額2,000円前後、事務代行は月10時間の軽めのパッケージで3万円前後。合計で月額3万2,000円ほど、年間で約38万円が一つの目安になります。この規模なら、事務代行を月10時間の枠に絞り、そこに収まらない繁忙期だけスポットで追加する、という運用が費用対効果に優れます。

従業員数名の中小企業のケース

経理・請求・電話対応まで含めて外部化したい規模になると、バーチャルオフィスはハイエンド帯(電話代行込み)で月額8,000円前後、事務代行は月30時間で8万円前後。合計で月額8万8,000円ほど、年間で約106万円という水準です。これを「高い」と見るか「安い」と見るかは比較対象次第で、事務職の正社員を1人雇えば年間で社会保険料込み350万円〜450万円はかかることを考えると、必要な分だけ買えるアウトソースの割安さが際立ちます。

ECショップ運営者のケース

ネットショップの特商法表記に住所を使い、受注処理や問い合わせ対応を外注したいケースです。バーチャルオフィスは登記不要なら格安〜標準帯で月額1,000円〜2,000円、事務代行は受注・カスタマー対応で月20時間として5万円〜6万円。合計で月額5万2,000円前後が目安です。ECの場合、繁忙期(セール時など)に事務量が跳ね上がるため、ベースを時間制で確保しつつ、ピークは従量制で上乗せするハイブリッド運用がコストを最適化しやすいと感じます。

仲介会社を通す場合と、フリーランスへ直接依頼する場合のコスト差

ここが、費用を語るうえで見落とされがちな最重要ポイントです。事務代行を頼むとき、大きく分けて「事務代行会社(仲介・代理店型)に頼む」ルートと「フリーランスの事務アシスタントに直接依頼する」ルートがあります。同じ作業量でも、この選び方で総額が変わってきます。

中間マージンが料金に乗る構造

事務代行会社は、実際に作業する担当者(多くは在宅の業務委託スタッフ)を抱え、そこにマネジメント・品質管理・営業のコストを乗せて発注者に請求します。この構造上、発注者が払う料金の一部は、作業者本人ではなく仲介する会社の取り分になります。一般に、この中間マージンは料金の20%〜40%程度を占めると言われます。つまり、月8万円のプランを契約しても、実際に手を動かす人に渡っているのは5万円前後で、残りは会社の運営費、というイメージです。

これ自体が悪いわけではありません。会社を通すことで、担当者が急に辞めてもすぐ代わりが立つ、品質が一定に保たれる、契約や請求が一本化される、といった安心が買えます。ただ、その安心にいくら払っているのかを認識しておくことは、発注者として絶対に必要です。

直接依頼なら中間マージンが消える

一方、フリーランスの事務アシスタントへ業務委託マッチングサービスなどを通じて直接依頼すれば、仲介会社の取り分がまるごと消えます。同じスキルの人に同じ作業を頼んでも、直接契約なら中間マージンがない分、単純計算で20%〜40%安くなる可能性がある、ということです。月8万円相当の作業なら、直接依頼で5万円〜6万円に収まることも十分あり得ます。

とりわけ、手数料0%で発注者と受注者が直接つながれる在宅ワーク仲介サイトを使えば、プラットフォーム側に手数料を抜かれることもなく、支払った金額のほぼ全額が作業者の報酬として渡ります。作業者側もモチベーションが上がりやすく、結果として品質面でもプラスに働きやすい。費用を抑えたい発注者にとって、直接依頼は真剣に検討する価値のある選択肢です。

事務系の外注先を探す起点としては、どんな業務がどんな単価で流通しているかを把握しておくと交渉がスムーズです。たとえば著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような単価データベースで、資料作成やライティング系の相場を確認しておくと、提示された見積もりが妥当かどうかを判断しやすくなります。

直接依頼のデメリットと対処法

もちろん、直接依頼にはデメリットもあります。作業者が一人なので、その人が体調を崩したり辞めたりすると業務が止まるリスクがある。品質のばらつきを自分で見極める必要がある。契約書や機密保持の取り決めを自分で用意しなければならない。こうした点は、会社に頼めば会社が引き受けてくれる部分です。

対処法としては、第一に、いきなり大量の業務を任せず、小さなタスクから試して相性と品質を確かめること。第二に、業務委託契約書とNDA(秘密保持契約)を必ず交わし、情報漏洩リスクに備えること。第三に、可能なら複数の候補者と並行して小さな仕事を頼み、継続する相手を絞ること。契約書のひな型づくりや基本的なビジネス文書のスキルは、ビジネス文書検定のような資格の学習範囲でも扱われる基礎知識なので、発注者側も最低限の型を押さえておくと、トラブルを未然に防げます。

失敗しないバーチャルオフィス・事務代行の選び方

費用相場がわかったところで、次は「どう選ぶか」です。安さだけで選ぶと痛い目を見る、というのは私自身の苦い経験でもあります。ここでは発注者が押さえるべき選び方のポイントを、バーチャルオフィスと事務代行それぞれで整理します。

バーチャルオフィス選びの6つのポイント

第一に「法人登記の可否」。将来法人化する可能性が少しでもあるなら、登記対応プランを選んでおくべきです。第二に「郵便物対応の内容」。転送の頻度(週1回か随時か)、転送料金が基本料込みか別途か、来店受け取りの可否を確認します。第三に「住所の質」。同じ住所を大量の事業者が使っていると、検索したときに他社と紐づいて見える、あるいは過去にその住所で問題を起こした事業者がいると信用調査で不利になることがあります。第四に「運営会社の信頼性と実績」。第五に「解約条件と最低契約期間」。第六に「オプション料金の全体像」で、基本料金の安さに釣られず、必要機能を足したときの総額で比較することが肝心です。

正直なところ、格安を謳う業者ほど、必要な機能がことごとくオプションで別料金、という設計になっていることがあります。月額表示だけで飛びつかず、自分が使う機能をすべて足した「実質月額」で並べて比較してください。

事務代行選びのポイント

事務代行を選ぶときは、まず「依頼したい業務に対応しているか」を最優先で確認します。経理特化、秘書業務特化、Web系特化など、業者ごとに得意分野が異なるためです。次に「料金体系の透明性」。時間の繰り越し、超過料金、初期費用、最低契約期間が明記されているかをチェックします。そして「担当者の固定/変動」。毎回別の人が対応するタイプだと、指示のたびに背景説明が必要でストレスが溜まります。

加えて意外と重要なのが「セキュリティ体制」です。経理や顧客情報を扱わせる以上、情報管理の取り決めは必須。NDAの締結はもちろん、作業環境(自宅か管理された環境か)、データの受け渡し方法まで確認しておくべきです。デジタル業務のセキュリティ意識は、CCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系資格の学習内容にも通じる領域で、こうした知識のある人材に任せられると安心感が違います。

私が発注者として犯した失敗

ここで、私自身の失敗談を一つ。以前、あるプロジェクトで大量の資料作成とデータ整理を外注する必要があり、複数の事務代行会社から見積もりを取りました。このとき私は、月額の基本料金の安さだけで一社に決めてしまったのです。ところが、いざ運用が始まると、細かい修正のたびに「それは追加作業なので別料金」と加算され、指定のツールでの作業には「対応ツール外なのでオプション」と上乗せされ、最終的な請求額は当初見積もりの1.6倍に膨らみました。

この経験から学んだのは、比較すべきは「表示価格」ではなく「自分の実際の使い方をぶつけたときの総額」だということ。見積もりを取るときは、想定する作業内容・頻度・使うツールをできる限り具体的に伝え、「この使い方だと月いくらになりますか」と実額ベースで出してもらうべきでした。もう一つの反省は、最初から本命の大量業務を一社に集中させたこと。小さなタスクで品質と料金の実態を試してから本格依頼していれば、この失敗は防げたはずです。安さは入り口の数字にすぎない、というのは骨身に染みています。

バーチャルオフィスと事務代行を使うメリット・デメリットの整理

導入を判断するうえで、メリットとデメリットをフラットに並べておきましょう。良い面だけを見て契約すると、後で「こんなはずでは」となります。両面を理解したうえで判断するのが、発注者として正しい姿勢です。

メリット

最大のメリットはコスト削減です。自宅とは別に事業用の物件を借りれば、都心なら月額10万円〜30万円の賃料に加えて敷金・礼金・内装費がかかります。事務職を雇えば年間350万円以上。これらを、バーチャルオフィスと事務代行の組み合わせなら月額数万円〜10万円程度に圧縮できます。第二のメリットはプライバシー保護で、自宅住所を公開せずに事業ができます。第三は本業への集中で、雑務を手放すことで、売上に直結するコア業務に時間を割けます。第四はスケーラビリティで、事業の伸縮に合わせて契約時間を増減でき、固定費を抱え込まずに済みます。

デメリットと注意点

一方、デメリットもあります。まず、バーチャルオフィスの住所では一部の許認可(人材派遣業、士業事務所の一部など)が取得できない場合があります。業種によっては物理的な事務所要件があるため、許認可が必要な事業は事前確認が必須です。次に、金融機関の法人口座開設で、バーチャルオフィスの住所だと審査が厳しくなるケースがあります。事業実態を示す資料を用意するなどの対策が要ります。

事務代行側のデメリットは、社内にノウハウが蓄積しにくい点です。業務を外に出す以上、その作業のやり方や知見が社外に留まります。将来内製化したいなら、マニュアルを自社に残す工夫が必要です。また、対面でないぶんコミュニケーションの齟齬が起きやすく、指示の言語化スキルが発注者に求められます。「言わなくてもわかるだろう」は通用しません。ここは覚悟しておくべき点です。

総額を最適化するための実務的な考え方

最後に、これまでの内容を発注者の意思決定に落とし込むための考え方を整理します。費用を最適化する鍵は、「機能の分解」「必要量の見極め」「調達ルートの選択」の3つに集約されます。

機能を分解して必要なものだけ買う

まず、自分に必要な機能を紙に書き出してください。住所は必要か、登記は必要か、郵便転送はどのくらいの頻度か、電話番号は要るか、事務作業は月何時間くらいか。この棚卸しをせずに「フルセットプラン」を選ぶと、使わない機能に払い続けることになります。逆に、必要な機能を洗い出せば、バーチャルオフィスは標準帯で足りる、事務代行は月10時間で十分、といった具合に、過不足のない構成が見えてきます。

デジタル系の業務を外注に含めるなら、依頼相手のスキル水準と単価の関係も把握しておくとよいでしょう。たとえばソフトウェア作成者の年収・単価相場を見れば、システム連携やツール構築を伴う事務自動化を頼む際の妥当な予算感がつかめます。事務作業を単純に人手で回すのか、ツールで半自動化するのかで、必要な人材も費用も変わってきます。

調達ルートを戦略的に選ぶ

そして、繰り返しになりますが、調達ルートの選択が総額を大きく左右します。品質の安定と手厚いサポートを最優先するなら事務代行会社、費用を最優先するならフリーランスへの直接依頼、というのが基本の切り分けです。中間マージンの20%〜40%を払ってでも安心を買いたいのか、そのコストを削って作業者に直接還元したいのか。ここは事業のフェーズと予算次第で、正解は一つではありません。

現実的には、両者を併用するのも有効です。定型的で品質のブレが許されない業務(経理など)は会社に、柔軟性が欲しくコストを抑えたい業務(データ入力や資料作成など)は直接依頼に、と振り分ける。実際、事業が成長するにつれ、最初は会社に一括で頼んでいたものを、信頼できるフリーランスが見つかった業務から順次直接依頼に切り替えてコストを下げていく、という進化をたどる事業者は少なくありません。

相場データを味方につける

外注の費用交渉で発注者が持つべき最強の武器は、相場データです。「この作業は世間ではいくらで流通しているのか」を知っていれば、提示された見積もりが割高か妥当かを即座に判断できます。事務系・クリエイティブ系の外注を検討しているなら、AIやマーケティング、セキュリティ領域の業務がどう発注されているかを知るAI・マーケティング・セキュリティのお仕事や、業務効率化そのものを支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事、システム面の内製化を見据えたアプリケーション開発のお仕事といった実際の募集内容を眺めておくと、どんなスキルがどんな条件で求められているかの肌感覚が養えます。

関連するテーマとして、住所借りと開業をセットで考えるならフリーランスにおすすめのバーチャルオフィス|選び方・費用・活用法や、登記まで踏み込む場合のバーチャルオフィスで法人登記する方法|費用と注意点が参考になります。士業への依頼を含めた開業の全体像を把握したいなら行政書士の開業ガイド【2026年版】|費用・集客・年収のリアルも、費用構造の考え方という点で通じるものがあります。

結局のところ、「バーチャルオフィス 事務代行 費用」という問いへの答えは、「機能を分解し、必要量を見極め、調達ルートを戦略的に選べば、月額2万円〜10万円のレンジで、自宅より安全でオフィスより安いビジネス基盤が組める」ということに尽きます。表示価格の安さに惑わされず、自分の使い方に照らした実質総額で比較する。仲介の安心を買うのか、直接依頼で費用を削るのかを意識的に選ぶ。この二つを押さえれば、外注の費用で失敗する確率はぐっと下がります。相場という客観的なものさしを手に、自分の事業に最適な組み合わせを見つけてください。

よくある質問

Q. バーチャルオフィスと事務代行を両方使うと、月額はいくらくらいになりますか?

事業規模によりますが、起業直後の個人事業主なら月額3万円前後、経理や電話対応まで外部化する中小企業なら月額9万円前後が目安です。バーチャルオフィスの住所借りが月1,000円〜1万円、事務代行が依頼時間に応じて月3万円〜10万円で、両者を足した総額は概ね2万円〜10万円のレンジに収まります。

Q. 事務代行を仲介会社に頼むのと、フリーランスに直接依頼するのでは費用はどれくらい違いますか?

一般に事務代行会社の料金には20%〜40%の中間マージンが含まれるため、同じスキルの人に同じ作業を頼む場合、フリーランスへ直接依頼すればその分だけ安くなる可能性があります。手数料0%で直接つながれるマッチングサービスを使えば、支払額のほぼ全額が作業者の報酬になり、コストを抑えやすくなります。

Q. バーチャルオフィスの格安プラン(月1,000円以下)で法人登記はできますか?

多くの格安プランでは法人登記ができません。月1,000円以下の価格帯は住所貸与に特化しており、郵便転送も別料金になることが一般的です。会社設立や本格的なビジネス利用を考えているなら、法人登記に対応した月額1,500円〜3,500円の標準帯以上のプランを選ぶ必要があります。

Q. 事務代行に税務申告や給与計算まで任せられますか?

税務申告書の作成・提出は税理士、社会保険や給与計算の一部は社労士など、法律で専門家しかできない業務があります。事務代行が対応できるのは記帳代行や書類の下準備、データ整理までで、最終的な税務判断や申告は士業への依頼が必要です。何を事務代行に、何を士業に頼むかの棲み分けを事前に整理しておきましょう。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月13日最終更新:2026年7月9日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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