内視鏡室に向いている人|長く続く人に共通していること


この記事のポイント
- ✓内視鏡室に向いている人は
- ✓どんな特徴を持っているのか
- ✓同じ手順を正確に繰り返せる
「内視鏡室に興味はあるけれど、私に向いているのか分からない」。 キャリアの相談で、こういう声をいただくことがあります。
病棟で夜勤を続けてきて、体力的にそろそろ限界を感じている。
そんな不安を抱えている方が多いんです。
大丈夫ですよ。 向き不向きは、生まれ持った性格だけで決まるものではありません。 内視鏡室という職場が「何を求めているのか」を知れば、自分がそこで長く続けられそうかは、かなりの精度で見えてきます。
この記事では、内視鏡室で長く働いている看護師さんに共通していることを、職場の中で実際に起きている場面と結びつけてお話しします。 反対に、しんどくなりやすい人の傾向と、その場合の対処法、そして見学や面接で向き不向きを確かめる方法もまとめました。
内視鏡室は、どんな人が「続く」職場なのか
向き不向きを考える前に、内視鏡室が病棟とどう違う職場なのかを整理しておきましょう。 ここを押さえておくと、この後にお話しする共通点が、なぜ大切なのかが分かりやすくなります。
患者さんとの関わりが「短く、濃い」 病棟では、同じ患者さんを数日から数週間にわたって受け持ちます。 内視鏡室では、1人の患者さんと関わる時間は、受付から帰宅まででも長くて数時間です。 その短い時間の中で、不安を聞き、検査を支え、回復を見届けます。
1日の流れが決まっている 内視鏡室の1日は、予約枠で組み立てられています。 看護師向けの情報サイトでも、この点が働き方の特徴として紹介されています。
内視鏡室は夜勤がなく、1日の検査・治療人数が決まっているため、残業がない場合がほとんどです。ただし、病院での内視鏡室ではオンコール対応が求められる場合もあります。 出典: co-medical.com
決まった流れがあることは、見通しを持って働きたい人には安心材料です。 一方で、毎日違う出来事が起きる刺激を求める人には、物足りなく感じることもあります。
看護の範囲が専門的に絞られている 内視鏡室の看護は、検査と治療の介助、鎮静中の観察、感染対策に集中しています。 点滴の管理や清拭、服薬の支援など、病棟で幅広く行っていた看護は、ほとんど出てきません。
器械とチームの仕事 スコープや処置具を扱い、医師の操作に合わせて動く場面が多い職場です。 臨床工学技士や洗浄担当のスタッフとの連携も欠かせません。
こうして並べてみると、内視鏡室は「広く浅く」ではなく「狭く深く」の職場だと言えます。 ですから、長く続く人の共通点も、この「狭く深く」に合っているかどうかに集まってくるんです。
もう1つ、給与の面も知っておきましょう。 夜勤手当がない分、病棟と比べると年収は下がる傾向にあり、求人情報をもとにした目安では年収350万〜400万円程度とされています。 「収入より生活の安定を優先したい時期かどうか」も、向き不向きと同じくらい大切な判断材料です。
共通点1:同じ手順を、毎回同じ精度で繰り返せる
内視鏡室で長く働いている人に、まず共通しているのがこれです。 同じ手順を、飽きずに、手を抜かずに、毎回同じ精度で繰り返せること。
内視鏡室の仕事は、手順の積み重ねでできています。
・朝のスコープと機器の点検 ・検査前の、抗血栓薬の休薬やアレルギーの確認 ・鎮静剤と拮抗薬、救急カートの準備 ・採った組織の検体のラベル確認 ・スコープの洗浄と、その記録
どれも「昨日やったことを、今日も同じようにやる」仕事です。
休薬の確認が漏れていれば、ポリープを切った後に出血が止まらないかもしれません。 洗浄が不十分なら、感染を広げる原因になります。
こういうご相談がありました。 「内視鏡室に移って3か月。仕事には慣れてきたけれど、毎日同じことの繰り返しで、自分が成長している気がしない」。
この気持ち、とても自然なものです。 病棟では毎日違う出来事が起きて、それに対応することで成長を実感できていたのですから。
でも、長く続いている人たちに話を聞くと、見ているところが少し違うんです。 「同じ手順だからこそ、いつもと違うことに気づける」。 毎回同じようにやっているから、器具のわずかな違和感や、患者さんの答え方のちょっとした変化が浮かび上がって見える、と言います。
心理学では、慣れた作業をほとんど意識せずにこなせるようになることを「自動化」と呼びます。 自動化されると、頭の中に余裕が生まれます。 長く続く人は、その余裕を「退屈」ではなく「観察」に使っているんです。
たとえば、毎朝の抗血栓薬の確認。 長く続いている人は、ただ「飲んでいるか、休んでいるか」を確かめるだけでなく、「前回の問診票と答えが違う」「ご家族が薬を管理しているようだ」といった小さな引っかかりを拾います。 その引っかかりを医師に伝えたことで、検査の直前に休薬の不足が分かり、治療を安全な日に延ばせた、という話も珍しくありません。 手順を繰り返す力は、こうして患者さんを守る力に変わっていくんです。
ですから、「繰り返しが得意かどうか」を考えるときは、単純作業が好きかどうかではなく、「繰り返しの中で小さな違いに気づくことに、面白さを感じられるか」と問いかけてみてください。 これに「うん、それなら分かる」と思える方は、内視鏡室の土台の部分にとても合っています。
共通点2:短い時間で、患者さんの不安をほどける
内視鏡検査を受ける患者さんの多くは、とても緊張しています。
「のどにカメラを入れるのが怖い」「前に受けたとき、苦しかった」。 それに加えて、「何か悪いものが見つかったらどうしよう」という不安も抱えています。 健診で要精密検査と言われて来た方なら、なおさらです。
内視鏡室の看護師には、この不安を、短い時間でほどく力が求められます。 病棟のように、何日もかけて信頼関係を築くことはできません。 受付から検査室に入るまでの、ほんの10分ほどが勝負です。
長く続いている人は、この「短い時間の関わり」を得意としています。 具体的には、こんなことを自然にしています。
・名前を呼んで、目を見てあいさつする ・これから何が起きるのかを、順番に短く伝える(「今からのどに麻酔をします。少し苦いですよ」) ・「前に受けたときはどうでしたか」と、過去の経験を聞く ・検査中に、終わりの見通しを伝える(「今、半分くらいです」) ・検査後に「よく頑張られましたね」と声をかける
どれも特別な技術ではありません。 でも、これを1日に何十人にも、毎回同じ温度で続けられることが大切なんです。
私がカウンセラーとして学んだことの1つに、「人は先の見通しが立つと、不安が小さくなる」というものがあります。 何が起きるか分からない状態が、一番怖いんですね。 内視鏡室の看護師さんの声かけは、まさにこの見通しを渡す仕事だと感じます。
実は私自身、初めて胃カメラを受けたとき、とても緊張していました。 検査台に横になったとき、看護師さんがそっと背中に手を当てて、「今、一番太いところを通りました。あとは楽になりますよ」と言ってくれたんです。 それだけで、呼吸がすっと楽になったのを覚えています。 検査の内容はほとんど覚えていないのに、その一言だけは今でも覚えている。 短い関わりでも、人の記憶に残る仕事なんですね。
逆に、「1人の患者さんとじっくり関わりたい」「退院まで見届けたい」という思いが強い方は、内視鏡室の関わりの短さに寂しさを感じることがあります。 これは向き不向きというより、看護の中で何にやりがいを感じるかの違いです。 どちらが良い悪いではありません。 ただ、「短い関わりの中で、相手の緊張が少しゆるむ瞬間が好き」と感じられる方は、内視鏡室でその持ち味を毎日発揮できます。
共通点3:鎮静中の「小さな変化」に気づき続けられる
内視鏡室は、穏やかに見えて、実は緊張感の高い職場です。 その理由が、鎮静剤を使った検査です。
苦痛の少ない検査を希望する患者さんには、鎮静剤を使って眠ったような状態で検査を受けてもらいます。 鎮静剤には、呼吸を浅くしたり、血圧を下げたりする作用があります。 ほとんどの場合は問題なく終わりますが、まれに呼吸が止まりかけることもあります。
このとき、内視鏡室の看護師は、次のようなものを同時に見ています。
・モニターの酸素飽和度と血圧、脈拍 ・胸やお腹の上がり下がり(呼吸の深さ) ・顔色や唇の色 ・いびきの音の変化 ・体の動き(苦しくて動いていないか)
医師はモニターではなく、内視鏡の画面を見ています。 ですから、患者さんの全身の変化に最初に気づくのは、看護師であることが多いんです。
長く続いている人は、この「気づき続ける」ことを、無理なくできています。 張りつめすぎず、でも気を抜かない。 ちょうどよい集中を、1日の検査枠のあいだ保てる人です。
検査が終わった後のリカバリー室(回復室)でも同じです。 覚醒していくなかで、ふらつきはないか、お腹の痛みや出血の兆候はないか。 「受け答えはしっかりしているけれど、なんだか顔色がさえない」という違和感を、そのままにしないことが大切です。
こういう相談もありました。 「ずっと気を張っていて、家に帰るとぐったりする」。
これは、内視鏡室に移ったばかりの方にとても多いことです。 慣れないうちは、全部を同じ強さで見ようとしてしまうからなんですね。 経験を積むと、「ここは特に注意」「ここは流れで見ていい」という強弱がつけられるようになり、疲れ方が変わってきます。
ですから、最初の数か月の疲れだけで「向いていない」と決めつけなくて大丈夫です。 半年ほど経っても疲れ方が変わらないなら、そのときにあらためて考えればいいんです。
病棟で急変の対応を経験してきた方は、この観察の力をすでに持っています。 それは内視鏡室でそのまま生きる、大きな強みです。 「気づいたことを、ためらわずに声に出せる」ことも大切です。 「少し呼吸が浅い気がします」と一言伝えるだけで、医師は検査の手を止めて確認できます。 間違っていてもいいから言う。 その姿勢を持てる人が、内視鏡室では信頼されます。
共通点4:医師と器械のリズムに合わせることが苦にならない
内視鏡室の看護師は、医師のすぐ隣で働きます。 特にポリープの切除などの治療では、医師の合図に合わせて、処置具を一瞬で操作する必要があります。
「開いて」「閉じて」「もう少し」「クリップください」。 指示は短く、待ってはくれません。 しかも医師によって、合図の出し方やタイミングの好みが違います。
長く続いている人は、このリズムに合わせることを「言いなりになる」とは感じていません。 むしろ、「呼吸が合ったときの気持ちよさ」を楽しんでいる人が多いんです。 チームで1つの治療をやり遂げる感覚、と表現する方もいます。
器械への抵抗が少ないことも、共通点の1つです。 スコープ、光源装置、送気や吸引の仕組み、処置具の種類。 内視鏡室には、病棟ではほとんど見ない器械や道具がたくさんあります。 機械いじりが得意である必要はありませんが、「なぜこう動くのか」に少し興味を持てると、覚えるのがぐんと楽になります。
一方で、しんどくなりやすい場面もお伝えしておきます。
・医師の口調が強く、萎縮してしまう ・自分のペースで仕事を進めたい気持ちが強い ・「なぜ今それをするのか」を説明されないと納得できない
これは、あなたの性格に問題があるのではありません。 コミュニケーションの型が、職場と合うかどうかの話です。
もし医師の指示の出し方がきつく感じたら、検査が終わった落ち着いた時間に、「次からこういう合図だと分かりやすいです」と伝えてみてください。 多くの医師は、介助がスムーズになることを歓迎します。 自分の気持ちを相手を責めずに伝える方法を、心理学では「アサーション」と呼びます。 難しく考えなくて大丈夫。 「私はこうだと助かります」と、主語を自分にして伝えるだけでいいんです。
もう1つ、内視鏡室のチームで大切なのが、臨床工学技士や洗浄担当のスタッフとの関係です。 スコープの不具合に気づいたとき、すぐに技士さんに伝えられるか。 洗浄が追いつかず次の検査のスコープが足りないとき、洗浄担当の方と一緒に順番を組み替えられるか。 長く続いている看護師さんは、医師だけでなく、こうした「裏方」の人たちとも自然に声をかけ合っています。
「ありがとう、助かりました」を、立場に関係なく言える人。 地味に聞こえるかもしれませんが、これが内視鏡室で長く続く人の、とても大きな共通点なんです。 検査の流れは、1人の頑張りではなく、全員のリズムがそろったときにだけ、なめらかに進むからです。
職場の種類によって、向いている人は少しずつ変わる
ここまでお話しした共通点は、どの内視鏡室にもあてはまる土台です。 でも実は、内視鏡室には大きく分けて3つの種類があって、どの種類かによって「向いている人」の姿は少しずつ変わります。 自分に合う内視鏡室を選ぶために、この違いも知っておきましょう。
総合病院の内視鏡室 外来の患者さんに加えて、入院中の患者さんの検査や、吐血や下血で運ばれてきた方の緊急内視鏡も受け入れます。 胃や大腸の早期がんを粘膜ごと取り除く治療や、胆管の詰まりを取る治療など、時間のかかる難しい処置も多くなります。 病院によっては、夜間や休日の呼び出しに備える当番もあります。
こちらに向いているのは、決まった流れの中にも「予定外の出来事」があったほうが張り合いを感じる人です。 急変に近い場面にも落ち着いて動ける人、治療の介助を深く学びたい人には、やりがいの大きい職場です。
内視鏡専門のクリニック 胃カメラと大腸カメラが中心で、見つかった小さなポリープをその場で切除する日帰り手術まで行うところが多いです。 予約枠がきっちり決まっていて、終わりの時刻が読みやすいのが特徴です。 鎮静剤を使った「眠っている間に終わる検査」を前面に出しているクリニックも多く、リカバリー室の見守りの比重が大きくなります。
こちらに向いているのは、生活のリズムを整えたい人、同じ流れを丁寧に回すことに安心感を覚える人です。 子育て中の方や、夜勤で崩れた体調を立て直したい方からも選ばれています。 また、患者さんの多くは元気な方で「検査を受けに来た人」なので、接遇(ていねいな応対)の力が特に生きる職場でもあります。
健診センター・人間ドック がん検診としての胃カメラが中心で、朝の短い時間に多くの受診者を受け入れます。 病気が見つかった場合は、治療は別の医療機関に紹介する流れです。
こちらに向いているのは、テンポよく多くの人に対応するのが得意な人、治療よりも「早く見つける」ことに意味を感じられる人です。 一方で、治療の介助の経験を積みたい方には、物足りなさが残るかもしれません。
こういうご相談がありました。 「前の内視鏡室では向いていないと思って辞めたけれど、クリニックに移ったら、驚くほど楽に続けられている」。
これは、その方が変わったのではなく、職場の種類と、その方の持ち味が噛み合ったということなんです。 「内視鏡室に向いていない」と感じたことがある方も、種類を変えることで答えが変わる可能性があります。 向き不向きは、あなたと職場の組み合わせで決まる。 このことを、ぜひ覚えておいてください。
長く続けている人が、最初の1年にしていたこと
向き不向きは、最初から決まっているものではありません。 長く続けている人の話を聞くと、最初の1年の過ごし方に、いくつかの共通点が見えてきます。 これから内視鏡室に入る方にとって、そのまま使えるヒントになるはずです。
器具と薬の「自分用ノート」を作っていた 処置具の名前、形、用途、医師ごとの好み。 覚えることが多い最初の数か月に、自分用のノートやメモを作っていた人がとても多いです。 写真を撮ってよい物品なら撮って貼り、「この医師はクリップを先に準備しておくと喜ぶ」といった気づきも書き足していく。 このノートが、自分の成長の記録にもなって、自信につながったと話す方もいます。
分からないことを、その日のうちに聞いていた 検査中は、医師にも先輩にも質問できる余裕がありません。 だから、1日の終わりの片付けの時間に「今日のあの場面、どうすればよかったですか」と聞く習慣をつけていた人が、早く慣れていきます。 その日のうちに聞くのがコツです。 翌日になると、自分でも何が分からなかったのか思い出せなくなってしまうからです。
「できたこと」を数えていた 内視鏡室の最初の数か月は、できないことばかりが目につきます。 「今日も医師の合図に遅れた」「処置具の名前が出てこなかった」。 でも、長く続いている人は、それと同じくらい「できたこと」も数えていました。 「今日は胃カメラの介助を1人で3件できた」「患者さんに、話しやすかったと言ってもらえた」。 小さな「できた」を意識して数えると、心は折れにくくなります。
3か月、半年、1年で振り返っていた 「向いていないかも」と感じるのは、多くの場合、慣れない最初の数か月です。 そこで決めてしまわず、3か月、半年、1年と区切って振り返っていた人が多いです。 3か月で基本の介助、半年でリカバリー室の判断、1年で治療の介助。 区切りごとに「前の自分と比べてどうか」を見ると、成長が見えやすくなります。
体と心の休ませ方を決めていた 立ち仕事と緊張が続く職場なので、休みの日の過ごし方を意識していた方も多いです。 しっかり眠る、軽く体を動かす、仕事の話をしない時間を作る。 当たり前のようですが、この「当たり前」を守れるかどうかが、1年後の続けやすさを大きく左右します。
反対に、しんどくなりやすい人の傾向と、その対処
ここまで、長く続く人の共通点をお話ししてきました。 今度は、内視鏡室でしんどくなりやすい人の傾向を、正直にお伝えします。 当てはまっても落ち込まないでくださいね。 傾向を知っておけば、対処ができます。
幅広い看護のスキルを伸ばしたい人 内視鏡室では、看護の範囲が絞られています。 点滴の管理や全身の清潔ケア、退院支援といった経験は積みにくくなります。 「将来、病棟に戻れなくなるのでは」という不安を感じる方もいます。
対処としては、内視鏡室にいる期間を「専門性を深める時期」と自分の中で位置づけることです。 消化器内視鏡技師の資格を目指すなど、目に見える目標を持つと、不安が「積み上げ」に変わります。 また、将来の働き方を考えるときには、看護師の年収・単価相場で全体の相場を知っておくと役立ちます。 年代や働き方による年収の傾向がまとまっていて、内視鏡室を経て次にどんな道を選んだときに、収入がどう変わりうるかを考える材料になります。
刺激や変化を求める人 毎日決まった流れで進む職場なので、「毎日違う出来事に対応したい」人には単調に感じられます。 緊急の内視鏡がある病院を選ぶ、治療内視鏡の件数が多い施設を選ぶなど、同じ内視鏡室でも変化の多い職場を選ぶことで、合う形に近づけることはできます。
患者さんとの長い関わりにやりがいを感じる人 短い関わりに寂しさを感じる方は、検査後の結果説明や、定期的に検査を受けに来る患者さんとの関わりに目を向けてみてください。 毎年同じ時期に検査に来る方の顔を覚えていく喜びも、内視鏡室にはあります。
体への負担が気になる人 立ち仕事が中心で、治療の介助では同じ姿勢を長く保つこともあります。 X線を使う処置では、重い防護衣を着けることもあります。 腰痛のある方は、施設にどんな治療があるかを事前に確認しておきましょう。
どの傾向も、「だから内視鏡室はやめたほうがいい」ということではありません。 自分の傾向を知って、それに合う内視鏡室を選ぶ。 それが、長く続けるための一番の近道です。 いくつもの傾向に当てはまってつらいと感じたら、それは弱さではなく、「今の自分に必要なものがはっきりしてきた」というサインだと受け止めてみてください。
向いているかを確かめる方法:見学・面接・自己チェック
最後に、実際に向いているかどうかを確かめる方法をお伝えします。 頭で考えるだけより、実際に見て、聞いて、確かめるほうが、ずっと確かな答えが出ます。
自己チェック 次の質問に、直感で答えてみてください。
・同じ手順を繰り返す中で、小さな違いに気づくのは得意なほうだ ・初対面の人の緊張をほぐすのは、苦にならない ・モニターの数字と患者さんの様子を、同時に見続けることができる ・人の合図に合わせて、テンポよく動くのが好きだ ・新しい器械や道具の仕組みに、少し興味がわく ・今は、幅広い経験より、1つの分野を深めたい
「はい」が4つ以上なら、内視鏡室の働き方にかなり合っている可能性があります。 2つ以下でも、あきらめなくて大丈夫。 どの項目が合わないかが分かれば、それを補える職場を選べばいいんです。
見学で見るところ 可能であれば、検査が行われている時間帯に見学させてもらいましょう。
・看護師さんが、患者さんにどんな声かけをしているか ・医師と看護師のやり取りの口調 ・リカバリー室に、何人くらいの患者さんがいるか ・スタッフ同士が、忙しい中でも声をかけ合っているか
雰囲気は、求人票からは絶対に分かりません。 15分でもいいので、自分の目で見ることをおすすめします。
面接で聞くこと ・未経験の看護師は、どんな順番で仕事を覚えていきますか ・治療内視鏡の介助を任されるまで、どれくらいの期間がかかりますか ・鎮静剤を使う検査は、1日にどれくらいありますか ・消化器内視鏡技師などの資格取得の支援はありますか
教育の順番を具体的に答えてくれる職場は、新しい人が続くように工夫している職場です。
向き不向きを確かめる、もう1つの方法 すでに看護師として働いている方なら、今の職場で内視鏡に関わる場面を思い出してみるのもおすすめです。 病棟で、検査に向かう患者さんの前処置をしたり、検査から戻ってきた方の観察をしたりした経験はありませんか。 そのとき「検査室の中ではどうなっているんだろう」と興味がわいたなら、それは1つのサインです。
反対に、「検査の準備は面倒だった」「戻ってきた患者さんの観察が一番しんどかった」と感じていたなら、内視鏡室でその仕事が1日の中心になることを、もう一度よく考えてみてください。
迷ったら、期限を決める それでも迷うときは、「まず1年やってみて、そのとき振り返る」と期限を決めて飛び込むのも1つの方法です。 心理学では、決められないまま悩み続けること自体が、心のエネルギーを大きく消耗させると考えられています。 期限を決めることは、自分に「試してみる許可」を出すことでもあります。 やってみて合わなければ、そのときに別の道を選べばいい。 看護師の資格は、その道をいくらでも用意してくれます。
運営者の視点:長く続く人は、内視鏡室の外にも居場所を持っている
最後に、フリーランスや在宅ワークの市場を長く運営してきた立場から、少しお話しさせてください。
運営者として見てきた限りでは、1つの職場で長く働き続けている人ほど、その職場の外にも、小さな居場所や学びの場を持っていることが多いです。 学会や勉強会、同じ分野の人との交流、あるいは本業の経験を生かした小さな在宅の仕事。 内視鏡室の外に「自分を知ってくれている場所」があると、職場でうまくいかない日があっても、自分の価値を見失わずに済むんです。 検査前の説明を分かりやすく伝える力や、感染対策の手順を守る力は、医療系の記事のチェックや患者さん向けの説明資料づくりでも求められています。
在宅でできる仕事の例は、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】で紹介しています。 臨床経験がどんな形の仕事に生かせるのかがつかめます。 始める前には、勤務先の就業規則で副業のルールを確認しておいてくださいね。
また、仲介の手数料がかからない直接のやり取りのほうが、本業を持つ人の小さな仕事には合っていると感じています。 同じ依頼額でも手取りが厚くなるので、少ない時間でも無理なく続けやすいからです。 手数料0%の良さは、金額そのものより、限られた時間を大切にできる働き方につながる点にあります。
向き不向きに迷ったときは、1人で抱え込まずに、専門家と一緒に整理するのも1つの方法です。 キャリアコンサルタントは、働く人の職業選択やキャリアの相談にのる国家資格で、どんな相談ができるのかがまとまっています。 キャリア相談の仕事そのものについては、職場・転職・キャリア相談のお仕事で、仕事の内容と始め方が整理されています。
内視鏡室に向いているかどうかは、「完璧に当てはまるか」ではなく、「合わない部分をどう補えるか」で決まります。 あなたは一人じゃありません。 自分の傾向を知って、自分に合う内視鏡室を、ゆっくり選んでいきましょう。
よくある質問
Q. 内視鏡室に向いている看護師にはどんな特徴がありますか?
同じ手順を毎回同じ精度で繰り返せること、短い時間で患者さんの不安をほどけること、鎮静中の呼吸や顔色の小さな変化に気づき続けられること、医師の合図に合わせてテンポよく動けることが共通しています。すべてに当てはまらなくても、合わない部分を補える職場を選べば長く続けられます。
Q. 内視鏡室は未経験の看護師でも務まりますか?
病棟などで培った観察力や急変対応の経験は、鎮静中の見守りでそのまま生きます。処置具の扱いや医師ごとの合図に慣れるまでは数か月かかりますが、教育の順番を決めている職場なら段階的に覚えられます。面接で、治療内視鏡の介助を任されるまでの期間を聞いておきましょう。
Q. 内視鏡室が向いていないと感じるのはどんなときですか?
幅広い看護スキルを伸ばしたい、毎日違う刺激がほしい、患者さんと長く関わりたいと感じる方は、物足りなさを覚えやすい傾向があります。ただし緊急内視鏡や治療件数の多い病院を選ぶ、資格取得を目標にするなど、職場選びや目標の持ち方で合う形に近づけることもできます。
Q. 内視鏡室の看護師の年収はどれくらいですか?
求人情報をもとにした目安では、年収350万〜400万円程度とされ、看護師全体の平均より低い傾向にあります。夜勤や残業がほとんどないことが主な理由です。胃腸科など検査件数の多い専門病院やクリニック、資格手当がある職場では、これより高くなることもあります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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