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移動販売の許可|営業許可の取り方と始め方

@SOHO編集部
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移動販売の許可|営業許可の取り方と始め方

この記事のポイント

  • ✓売る物と売り方で変わります
  • ✓キッチンカーの飲食店営業許可
  • ✓厚生労働省と保健所の資料に沿って説明します

キッチンカーや軽トラックで食べ物や雑貨を売る移動販売は、店舗を借りるより少ない元手で始められる商売として関心を集めています。ただ、移動販売の許可は「何を売るか」「車の中で調理するか」「どこで売るか」で必要なものが変わり、調べるほど分かりにくく感じる人が多い分野です。この記事では、移動販売に必要な許可と届出の種類、キッチンカーの営業許可の取り方、仕込み場所の扱い、食品衛生責任者、出店場所と道路の決まり、申請から営業開始までの流れと注意点を、厚生労働省と保健所の資料に沿って順に説明します。

移動販売の許可は「売る物」と「売り方」で決まる

移動販売に必要な許可は、1つの決まった許可があるわけではありません。売る物と売り方によって、次のようにいくつかの許可や届出を組み合わせることになります。

売る物と売り方 主に必要になるもの 窓口
車内で調理して飲食物を売る(キッチンカー) 飲食店営業などの営業許可、食品衛生責任者 保健所
自宅以外の仕込み場所で作った物を車で売る 仕込み場所の営業許可、車の営業許可 保健所
包装された食品を仕入れて売る 品目によって営業許可、営業届出、または届出の対象外 保健所
野菜や果物を売る 営業届出が必要になる場合がある 保健所
中古品を売る 古物商の許可 警察署
道路の上で場所を移動しないで売る 道路使用許可 警察署
お酒を売る 酒類の販売業免許 税務署

食品を扱う移動販売の中心になるのは、保健所の営業許可と営業届出です。これは食品衛生法という法律で決められていて、2021年6月1日に制度が大きく変わりました。古い情報のままの解説も残っているので、今の制度で確かめることが大切です。

許可と届出の違い

営業許可は、保健所が施設の基準を検査し、基準に合っている場合に営業を認める仕組みです。許可を受けるまで営業できません。営業届出は、保健所に営業していることを知らせる仕組みで、検査を受けて許可をもらう必要はありませんが、届け出ずに営業することは認められていません。どちらにも当たらない「届出の対象外」の営業もあります。

2021年に変わった食品の営業許可と届出の制度

食品衛生法の改正で、営業許可が必要な業種の見直しと、営業届出の制度の新設が行われました。厚生労働省は次のように説明しています。

HACCPに沿った衛生管理の制度化に伴い、食品等事業者を把握できるよう、営業の届出制度を創設しました。 また、食中毒等のリスクや、食品産業の実態を踏まえ、営業許可が必要な業種の見直しを行いました。 出典: 厚生労働省「食品衛生法の改正について」

HACCP(ハサップ)とは、食品を扱う工程の中で食中毒などの危険が起きやすい場所を見つけ、そこを重点的に管理する衛生管理の方法のことです。今は、移動販売を含めて食品を扱うすべての事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。小さな事業者向けには、業界団体が作った手引書に沿って、衛生管理の計画を立てて記録を付ける形が示されています。

営業許可が必要な32の業種

改正後の制度では、営業許可が必要な業種が32に整理されました。移動販売に関係しやすいのは、飲食店営業、菓子製造業、そうざい製造業、食肉販売業、魚介類販売業、アイスクリーム類製造業、清涼飲料水製造業などです。

厚生労働省のリーフレットでは、許可が必要な32業種と、届出の対象外になる営業が並べて示されています。届出の対象外の例には、常温で長い期間保存しても腐ったり品質が悪くなったりして衛生上の危害が起きるおそれのない包装食品の販売業などがあります。それ以外の営業は、原則として保健所への営業届出が必要です。内容は厚生労働省の営業届出のリーフレットで確かめられます。

たとえば、缶詰や袋入りのスナック菓子のように常温で長く保存できる包装食品だけを仕入れて売るなら、届出の対象外になる可能性があります。一方、冷蔵が必要な包装食品や、野菜や果物を売る場合は、営業届出が必要になることがあります。品目ごとの扱いは自治体によって運用が違う部分もあるため、必ず営業する地域の保健所に確かめてください。

キッチンカーの営業許可の取り方

車の中で調理して食べ物や飲み物を売るキッチンカーは、多くの場合、飲食店営業の許可を受けます。車は「自動車での営業」として、固定の店舗とは別の基準で検査されます。

車に求められる主な設備

キッチンカーの設備の基準は、扱う食品や調理の内容によって変わり、細かい基準は自治体の手引で示されています。一般的に確かめられるのは、次のような点です。

  • 手を洗う設備と、器具を洗う設備があるか
  • 必要な量の水をためる給水タンクと、使った水をためる排水タンクがあるか
  • 調理する場所が、運転席と仕切られているか
  • 床や壁、天井が、掃除しやすい材質になっているか
  • 食品を冷やして保存する設備があるか
  • 換気の設備があるか

給水タンクの容量は、調理の内容が多いほど大きなものが求められるのが一般的で、扱える品目の範囲にも関わります。車を買う前、改造する前に、営業する予定の地域の保健所の手引を読み、設計図を持って相談するのが確実です。

申請に必要な書類

東京都の手引では、自動車での営業の新規申請に、次の書類を求めています。

  1. 営業許可申請書
  2. 施設の構造及び設備を示す図面
  3. 営業の大要(仕込み場所、出店予定地、自動車の登録番号、取り扱う品目などを書く書類)
  4. 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  5. 水質検査成績書(水道水以外の水を使う場合)
  6. 許可申請手数料

手数料の額は、申請する保健所に確認するよう案内されています。書類は、施設の工事が終わる予定日の10日ほど前に保健所へ出すよう求められています。営業許可の申請は、厚生労働省の食品衛生申請等システムを使ってオンラインで出すこともできます。手続きの流れは東京都保健医療局の営業許可と届出の様式のページで確かめられます。特別区や一部の市の保健所では様式が違うため、事前に問い合わせるよう書かれています。

どの保健所に申請するか

東京都の手引では、申請先の保健所を次の順で決めるよう示しています。

  • 仕込み場所が都内にあれば、仕込み場所の所在地の保健所
  • 仕込み場所が都内になく、事務所や車の保管場所が都内にあれば、その所在地の保健所
  • どちらもなく、申請者の住所が都内にあれば、住所地の保健所
  • いずれもなければ、主に営業する場所の保健所

決め方は自治体ごとに違います。また、移動販売の営業許可は、許可を出した自治体の範囲で有効になるのが基本で、別の都道府県や市で営業するときは、その地域でも許可が必要になることがあります。複数の地域で出店する予定なら、最初の相談のときに伝えておきます。

仕込み場所の許可と自宅のキッチン

キッチンカーで売る料理の下ごしらえをする場所を、仕込み場所と呼びます。東京都の手引では、仕込み場所を次のような作業をする施設としています。

  • 車で扱う食品の調理や包装
  • 器具の洗浄と消毒
  • 給水タンクへの給水
  • 食品や容器包装の保管

車の設備だけで調理が完結しない場合は、仕込み場所が必要になります。仕込み場所で食品を作ったり調理したりする場合は、仕込み場所そのものにも営業許可が必要になることがあります。

自宅の台所は使えるか

よくある疑問が、自宅の台所で仕込みをしてよいかという点です。営業許可を受ける施設は、家庭の台所とは区切られた専用の場所であることが求められるのが一般的で、家族の食事を作る台所をそのまま仕込み場所にすることはできません。自宅の一部を仕込み場所にする場合は、出入り口や手洗いの設備を分けるなどの工事が必要になることがあります。

自宅を改装する費用をかけずに始める方法として、営業許可を持つシェアキッチン(時間単位で借りられる業務用の台所)や、知人の飲食店を仕込み場所として借りる方法もあります。どの方法でも、保健所が認める形かどうかを先に相談します。シェアキッチンを使う場合は、そのキッチンが持っている営業許可の業種で、自分の作りたい品目が作れるかを確かめます。利用できる時間帯や、食材と器具を保管できる場所があるか、車を横付けして積み込めるかも、契約の前に見ておくと、営業を始めてからの手間が減ります。

食品衛生責任者の資格

食品の営業許可を受けるときや営業届出をするときは、施設ごとに食品衛生責任者を1人配置する決まりがあります。食品衛生責任者とは、施設の衛生管理の中心になる人のことです。

東京都の手引では、食品衛生責任者になれる人として、調理師、製菓衛生師、栄養士などの資格を持つ人と、食品衛生責任者の養成講習会を修了した人を挙げています。資格がない人は、養成講習会を受けて修了するのが一般的な取り方です。

都道府県の食品衛生協会が随時開いている「食品衛生責任者養成講習会」に出席すれば、その日のうちに修了証を受け取れます。学ぶ内容は食品衛生学・公衆衛生学・食品衛生法の3分野で、講義時間は合わせて6時間です。 出典: foodtruck.co.jp

受講料や開催の日程、オンラインでの受講ができるかは都道府県によって違います。講習会は予約で埋まることもあるため、営業を始めたい時期から逆算して、早めに申し込みます。

売る物ごとに必要になる許可の例

キッチンカー以外の移動販売も含めて、売る物ごとに考え方を整理します。どれも最終的な扱いは営業する地域の保健所や窓口で確かめる必要があります。

車内で調理する料理と飲み物

焼きそばやクレープ、コーヒーなど、車内で調理して出す料理や飲み物は、飲食店営業の許可が中心になります。扱う品目が多いほど、設備の基準や給水タンクの大きさが関わってきます。

自分で作ったパンやお菓子、弁当を売る

自分で焼いたパンやお菓子を車で売る場合は、作る場所に菓子製造業の許可が、弁当やおかずを作る場合はそうざい製造業などの許可が必要になるのが一般的です。作る場所の許可と、車で売るための手続きの両方が関わります。

仕入れた包装食品を売る

メーカーが包装した食品を仕入れて、そのまま売る場合は、品目によって扱いが分かれます。常温で長く保存できる包装食品だけなら届出の対象外になる場合がありますが、冷蔵や冷凍が必要な食品は、営業届出や、品目によっては営業許可が必要になります。

肉や魚を売る

生の肉や魚を車で売る場合は、食肉販売業や魚介類販売業の許可が関わります。車に冷蔵の設備が求められ、基準も細かくなります。

野菜や果物を売る

農家から仕入れた野菜や果物を軽トラックで売る移動販売もあります。野菜や果物の販売は営業届出の対象になる場合があります。自分の畑で育てた物を売る場合の扱いも含め、保健所に確かめます。

食品以外の物を売る

雑貨や衣類、ハンドメイドの作品を売る場合は、食品衛生法の許可は関係しません。ただし、中古品を仕入れて売る場合は、古物営業法により警察署を通じて公安委員会の古物商の許可が必要です。条文はe-Govの古物営業法で確かめられます。お酒を売る場合は、税務署で酒類の販売業免許を受ける必要があり、移動販売で扱える形は限られているため、早い段階で税務署に相談します。

出店場所と道路の決まり

移動販売の許可を受けても、どこでも売ってよいわけではありません。出店する場所には、別の決まりがあります。

道路での販売は警察署長の許可が要る

道路交通法では、場所を移動しないで道路に露店や屋台の店を出す行為は、その場所を管轄する警察署長の許可(道路使用許可)を受けなければならないと決められています。条文はe-Govの道路交通法の第77条で確かめられます。道路での販売は交通の妨げになりやすく、許可が出る場面は限られます。道路の脇に車を止めて、勝手に営業を始めることはできません。

出店場所の主な探し方

実際の移動販売は、私有地や施設の敷地で、土地の持ち主の許可を得て営業する形が中心です。主な探し方には次のようなものがあります。

  • 商業施設、オフィスビル、マンションの敷地や駐車場で、管理会社と契約して出店する
  • お祭り、マルシェ、スポーツの大会などのイベントに出店者として申し込む
  • 出店場所を紹介するサービスに登録して、空いている場所を紹介してもらう
  • 地域の商店街や自治会と相談して、空き地を借りる

公園などの公共の場所で営業する場合は、管理する自治体の許可が別に必要です。どの場所でも、出店料の払い方(売上の一定割合か、1日あたりの定額か)、営業できる時間、電気や水の使い方、ごみの処分の方法を、契約の前に確かめます。

出店の契約で確かめること

出店場所を決めるときは、出店料だけで比べず、営業のしやすさに関わる条件を契約の前にそろえて確かめます。口約束で始めると、後から条件が変わったときに困ります。

  • 営業できる曜日と時間、搬入と搬出の時間
  • 出店料の計算の方法と、支払いの時期
  • 電源や水道を借りられるか、発電機を使ってよいか
  • ごみと使った水の処分の方法
  • 雨の日や売上が少ない日の扱い(出店料の減額があるか)
  • 同じ場所に出る他の出店者と、品目が重ならないか
  • 出店の取りやめを申し出る期限

商業施設やオフィスビルの敷地では、施設の側から、営業許可書の写しや賠償責任保険の加入の証明を求められることがあります。書類をすぐに出せるよう、写しを車の中と自宅の両方に保管しておくと手続きが早く済みます。

申請から営業開始までの流れ

キッチンカーで営業を始めるまでの、一般的な流れを整理します。

  1. 売る品目と、営業する地域を決める
  2. 営業する地域の保健所の手引を読み、車の設備の基準を確かめる
  3. 車を買う、または改造する前に、設計図を持って保健所に相談する
  4. 食品衛生責任者の養成講習会を受ける
  5. 必要なら仕込み場所を決め、仕込み場所の許可も申請する
  6. 車の改造や設備の工事を進める
  7. 工事が終わる予定日の10日ほど前に、営業許可の申請書類を出す
  8. 保健所の施設検査を受ける(営業者本人が立ち会う)
  9. 許可書が交付されてから営業を始める
  10. 出店場所と契約し、必要なら道路使用許可などの手続きをする

東京都の手引では、施設の検査で基準に合わない場合は許可が出ず、直した後に改めて検査を受ける必要があると案内されています。許可書は、検査の後、交付までに数日かかるため、開店の日は余裕を持って決めます。

許可の期限と継続の手続き

営業許可には期限があります。東京都の案内では、期限の後も営業を続けるときは、期限が切れる日のおよそ1か月前に継続の申請をするよう求めています。車を買い替えたときや、取り扱う品目、仕込み場所を変えたときにも、届け出や新しい申請が必要になります。

移動販売を始めるときの注意点

車を先に買わない

よくある失敗が、中古のキッチンカーを先に買ってから保健所に相談し、設備が営業する地域の基準に合わずに改造が必要になる例です。基準は地域や扱う品目で違うため、車の購入や改造の契約の前に、必ず保健所に相談します。

衛生管理の記録を付ける

許可を受けた後も、衛生管理の計画を立て、温度や清掃の記録を付ける必要があります。東京都の手引では、申請のときや施設の検査のときに衛生管理計画を確認すると案内されています。暑い時期の屋外の営業は、食品の温度の管理が難しくなります。

食品の表示に気をつける

包装した食品を売る場合は、名称、原材料、アレルギーの原因になる物質、消費期限などの表示が必要になることがあります。食品表示のルールは消費者庁が定めています。対面で量り売りする場合などは表示の扱いが変わるため、売り方に合わせて確かめます。

税金と開業の手続き

移動販売を事業として始める場合は、税務署に開業届を出し、売上と経費を記録して確定申告をします。会社員が副業として始める場合も、本業の会社の就業規則を確かめ、所得の額によっては確定申告が必要になります。具体的な扱いは税務署で確認してください。

品目とメニューは許可から逆算して決める

移動販売の準備でつまずきやすいのが、売りたい物を先に決めてから許可を調べ、車の設備や仕込み場所が足りないと後から分かる流れです。許可の種類と設備の基準は品目で決まるため、メニューは許可の取りやすさから逆算して決めるほうが、準備の手戻りが少なくなります。

品目を絞るほど準備は軽くなる

扱う品目が多いほど、必要な設備が増え、給水タンクも大きなものが求められやすくなります。仕込みの工程も増え、仕込み場所の許可が必要になる場面も出てきます。最初は、車の中で簡単な調理だけで出せる品目を1つか2つに絞り、営業に慣れてから品目を増やすほうが、初期の費用と手間を抑えられます。

品目を決めるときは、次の点を一緒に確かめます。

  • 車の中で調理が完結するか、仕込み場所が必要か
  • 冷蔵や冷凍で保存する必要がある食材をどのくらい使うか
  • 加熱してすぐ出せるか、作り置きが必要か
  • 使う水の量はどのくらいか
  • 容器や包装を使うか、食品表示が必要になるか

品目を変えるときも保健所に相談する

営業を始めた後で新しい品目を加えるときも、営業の大要に書いた取り扱う品目の変更として届け出が必要になる場合があります。東京都の案内でも、仕込み場所や取り扱う品目などを変えたときは、変更の様式で届け出るよう示されています。季節ごとにメニューを入れ替える予定があるなら、最初の申請のときに、扱う予定の品目をまとめて相談しておくと手続きが少なく済みます。

開業に必要なお金の考え方

移動販売の開業に必要なお金は、車を新しく作るか中古を買うか、調理の設備をどこまで載せるかで大きく変わります。金額の相場は車の状態や地域で幅があるため、ここでは見積もるときに漏らしやすい項目を整理します。

開業の前にかかるお金

  • 車の購入、またはレンタルやリースの費用
  • 調理の設備や給水タンク、排水タンク、換気扇などの改造の費用
  • 営業許可の申請手数料(保健所ごとに額が違う)
  • 食品衛生責任者の養成講習会の受講料
  • 仕込み場所を借りる場合の費用や、自宅を改装する場合の工事費
  • 調理器具、容器、のぼりや看板、メニュー表の制作費
  • 発電機やガスなどの設備と、その点検の費用

営業を始めてからかかるお金

  • 食材と容器の費用
  • 出店料(売上の一定割合か、1日あたりの定額が多い)
  • ガソリン代、車の保険料、税金、駐車場代
  • 仕込み場所の利用料
  • 許可の継続の申請手数料と、車の点検や修理の費用
  • 決済の端末を使う場合の手数料

開業の前の費用だけで計算すると、営業を始めてから毎月の出費が思ったより多く、手元にお金が残らないことがあります。1日の売上の見込みから、食材費、出店料、ガソリン代を引いた残りで、車の費用と生活費をまかなえるかを、営業日数ごとに計算してから始めます。開業の資金を借りる場合は、日本政策金融公庫のような公的な金融機関の創業の融資を調べる方法もあります。

1日の営業の流れ

キッチンカーの1日は、販売している時間より、その前後の準備と片付けに時間がかかります。初めての人は、販売の時間だけで1日の予定を立てないように気をつけます。

  1. 仕込み場所で食材の下ごしらえをし、給水タンクに水を入れる
  2. 車に食材と容器、道具を積み込み、冷蔵の温度を確かめる
  3. 出店場所まで移動し、決められた場所に車を止める
  4. のぼりやメニュー表を出し、発電機や調理の設備を立ち上げる
  5. 販売する(混雑する時間帯に合わせて作り置きの量を調整する)
  6. 片付けをし、出店場所のごみの決まりに従って処分する
  7. 仕込み場所に戻り、排水タンクの水を決められた場所に捨て、器具を洗って消毒する
  8. 売上と食材の残り、温度や清掃の記録を付ける

ランチの時間帯に2時間ほど販売する場合でも、仕込みと移動、片付けを合わせると1日がかりになることは珍しくありません。副業として週末だけ営業する場合は、本業への影響も考えて、無理のない出店の回数から始めます。

天候と季節の対策

屋外で営業する移動販売は、天候の影響を強く受けます。雨の日は客足が減り、風が強い日はのぼりやテントが倒れる危険があります。夏は車内の温度が上がり、食材の温度の管理が難しくなります。冬は温かい飲み物や料理の需要が増える一方、日が短く販売できる時間が限られます。天候による売上の波を見込んで、1か月単位で売上の計画を立てると、1日の結果に振り回されにくくなります。

保険と万一のときの備え

移動販売では、食中毒や、車の設備によるけが、出店場所での事故など、営業ならではの危険があります。

入っておきたい保険

  • 車の任意保険(営業で使うことを保険会社に伝える)
  • 生産物賠償責任保険(売った食品で食中毒などが起きたときの賠償に備える保険)
  • 施設賠償責任保険(出店場所で客にけがをさせたときなどに備える保険)

イベントや商業施設に出店するときは、主催者から賠償責任保険に入っていることを出店の条件にされることがあります。どの保険が必要かは、出店する場所の規約と、保険会社の説明で確かめます。

食中毒が疑われるとき

客から体調不良の連絡があったときは、まず保健所に相談します。どの食材をいつ仕入れ、どの温度で保存し、いつ調理したかの記録があると、原因を調べる手がかりになります。日々の衛生管理の記録は、こうした場面で自分を守る記録にもなります。

相談先と情報の集め方

移動販売の許可や開業の手続きは、地域によって運用が違う部分が多く、インターネットの解説だけでは自分の地域の扱いが分かりません。迷ったときは、次の窓口に相談します。

  • 営業する地域の保健所(営業許可、営業届出、設備の基準、仕込み場所)
  • 出店する場所を管轄する警察署(道路使用許可)
  • 税務署(開業届、確定申告、お酒の販売業免許)
  • 地域の商工会議所や商工会(開業の相談、帳簿の付け方、補助金の情報)

保健所への事前の相談は、車の設計図や仕込み場所の間取り、扱う品目の一覧を持っていくと、具体的な助言をもらいやすくなります。相談の内容と担当者の名前、日付をメモしておくと、申請のときに話が食い違いにくくなります。

車の形で変わる移動販売の種類

移動販売には、キッチンカーのほかにもいくつかの形があります。どの形を選ぶかで、許可の取り方や扱える品目が変わります。

調理の設備を載せたキッチンカー

軽自動車やトラックを改造して、調理の設備を載せた形です。車内で調理まで完結できるため、温かい料理や飲み物を出せます。設備の基準を満たす改造が必要で、開業の費用はほかの形より大きくなりがちです。

荷台で販売する軽トラックやバン

調理はせず、包装した食品や野菜、雑貨を荷台や車内に並べて売る形です。冷蔵が必要な品目を扱う場合は、冷蔵の設備が必要になります。調理をしない分、設備の負担は軽くなりますが、品目ごとの許可や届出の扱いを確かめる必要があります。

人が引く屋台(引車)

リヤカーのように人が引いて移動する屋台は、自治体によっては「引車」として別の手引で扱われています。東京都の案内では、引車による営業は衛生上の取り扱いが不十分になりがちなため、できるだけ固定の店舗や自動車による営業に変えるよう求めています。これから始める人は、引車より自動車の形を選ぶほうが、許可の相談が進めやすくなります。

イベントの時だけ出す露店

お祭りや催しの期間だけテントを張って食べ物を売る形は、臨時の営業として、自治体ごとに別の取り扱いが決められていることがあります。主催者が保健所とまとめて手続きをする場合もあれば、出店者が個別に届け出る場合もあります。イベントに出店するときは、主催者から示される手続きの案内に従い、分からない点は主催者と保健所の両方に確かめます。

副業として移動販売を始めるときの注意

会社員が週末だけ移動販売をする形も増えています。副業として始める場合は、許可とは別に、次の点を確かめておきます。

  • 本業の会社の就業規則で、副業が認められているか、届け出が必要か
  • 本業と同じ業種や取引先と競合しないか
  • 出店の準備と片付けを含めて、週末の時間と体力に無理がないか
  • 売上と経費の記録を付け、所得の額によって確定申告が必要になること
  • 住民税の扱いで、副業の所得が会社に伝わる可能性があること

副業の所得の申告の要否や住民税の納め方は、所得の種類と額で変わります。個別の扱いは税務署や市区町村の窓口で確認してください。週末だけの営業でも、営業許可の基準や衛生管理の決まりは、毎日営業する人と同じです。本業が忙しい時期に許可の継続の申請や記録付けが滞らないよう、手続きの期限を手帳や予定表に書き込んでおきます。

移動販売を続けるための集客と準備

許可を取って営業を始めた後は、どう集客するかが続けられるかどうかを分けます。移動販売は場所が日によって変わるため、固定の店舗よりも、出店の予定を知らせる工夫が欠かせません。

SNSで出店の予定と場所、その日のメニューを前日までに知らせる、常連の人に次回の出店日を伝える紙を渡す、といった方法があります。SNSでの集客やマーケティングの仕事に興味がある人は、仕事の内容をAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確かめられます。看板やメニュー表、ロゴを外部のデザイナーに頼む場合は、依頼の相場をデザイナーの年収・単価相場で見ておくと、見積もりを比べやすくなります。

在宅ワークの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた範囲では、小さな商売を長く続けている人ほど、自分でやることと人に頼むことの線引きがはっきりしています。調理や接客のように本人でなければできないことに時間を使い、チラシやSNSの画像作り、帳簿付けのような作業は、在宅で働く人に直接頼んでいます。依頼する側と受ける側が直接やりとりする形なら、間に仲介の手数料が乗らない分、同じ予算でより多くを頼めます。移動販売は許可を取るまでが大変な商売ですが、許可を取った後の運営の手間を分け合える相手を見つけておくと、営業そのものに集中しやすくなります。

よくある質問

Q. 移動販売に許可がいらない場合はありますか?

食品以外の新品の雑貨や作品を売る場合は、食品衛生法の許可は関係しません。食品でも、常温で長く保存できる包装食品だけを仕入れて売る場合は、営業許可も営業届出も要らない届出の対象外になる場合があります。ただし、出店場所の許可や道路使用許可は別に必要になることがあり、品目ごとの扱いは営業する地域の保健所で確かめてください。

Q. キッチンカーの営業許可はどこに申請しますか?

営業許可は保健所に申請します。どの保健所に申請するかは自治体ごとに決まっていて、東京都では仕込み場所、事務所や車の保管場所、申請者の住所、主な営業地の順に決める形が示されています。許可は許可を出した自治体の範囲で有効になるのが基本なので、複数の地域で営業する場合は、最初の相談のときに伝えておきます。

Q. 自宅の台所で仕込みをしてもよいですか?

営業許可を受ける施設は、家庭の台所とは区切られた専用の場所であることが求められるのが一般的で、家族の食事を作る台所をそのまま仕込み場所にすることはできません。自宅の一部を改装する方法のほか、営業許可を持つシェアキッチンを借りる方法もあります。どの形が認められるかは、事前に保健所に相談してください。

Q. 食品衛生責任者の資格はどうやって取りますか?

調理師や栄養士などの資格がない人は、都道府県の食品衛生協会などが開く食品衛生責任者の養成講習会を受けて修了するのが一般的です。講義は食品衛生学、公衆衛生学、食品衛生法の分野で、合わせて6時間程度です。受講料や日程、オンライン受講の可否は都道府県によって違うため、早めに申し込みます。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年1月6日最終更新:2026年10月28日
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会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方