医療事務の試験を在宅で受ける方法と、合格後にレセプトの在宅ワークへつなげる道


この記事のポイント
- ✓医療事務の試験を在宅で受ける方法を
- ✓紙の在宅試験とインターネット試験(IBT)に分けて
- ✓合格基準を実施団体の公式の記載で解説します
医療事務の資格を取りたいけれど、子どもが小さくて試験会場まで出かけにくい、仕事があって決まった日に受けられない、という人にとって、自宅で受けられる試験は心強い選択肢です。医療事務の試験の中には、問題が郵便で届いて自宅で答える在宅試験や、パソコンでいつでも受けられるインターネット試験があります。一方で、「在宅試験は資料を見てよいなら意味がないのでは」「合格しても在宅で働けるのか」という疑問を持つ人も少なくありません。
この記事では、医療事務の試験を在宅で受ける方法を、紙の在宅試験とインターネット試験(IBT)に分けて、実施団体の公式の記載をもとに説明します。受験料、試験日、出題範囲、合格基準を確かめたうえで、資料を見てよい試験ならではの勉強の仕方を整理します。後半では、合格したあとにレセプトの在宅ワークへつなげる道と、患者の情報を自宅で扱うときの決まりも扱います。
医療事務の資格はすべて民間資格
最初に押さえておきたいのは、医療事務の資格に国家資格はないという点です。在宅試験を実施している技能認定振興協会(JSMA)は、よくある質問の中で次のように答えています。
現在、医療事務の資格はすべて民間資格です。 出典: ginou.co.jp
同じ協会は、資格が仕事をするうえでの絶対の条件ではないものの、レベルの保証とスキルの証明になると説明しています。医療事務の資格は、いくつもの団体がそれぞれの基準で試験を行い、認定しているものです。そのため、どの団体のどの試験を受けるかによって、試験の方法、受験料、出題範囲が大きく違います。在宅で受けられるかどうかも、試験ごとに違います。
資格の名前が多くて迷う理由
医療事務の資格の名前が多いのは、団体ごとに独自の試験を設けているためです。病院やクリニックの求人では、特定の資格を条件にしているところもあれば、「医療事務の資格」とだけ書いているところもあります。自分が目指す職場の求人で、どの資格がよく書かれているかを確かめてから、受ける試験を選ぶのが確実です。
試験を実施していた団体の解散
医療事務の資格の中でも難しいことで知られていた診療報酬請求事務能力認定試験について、実施していた公益財団法人日本医療保険事務協会は、公式サイトで令和8年3月31日をもって解散したと案内しています。第63回の試験は2025年12月14日に実施され、合格証明書の発行の受付もすでに終了したとされています。古い情報をもとにこの試験を目指そうとしている人は、注意が必要です。
在宅で受けられる医療事務の試験の形
医療事務の試験の受け方は、大きく3つに分けられます。
| 受け方 | 内容 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 紙の在宅試験 | 問題が郵便で届き、自宅で答案を作って郵送で返す | 決まった日に自宅で落ち着いて取り組みたい人 |
| インターネット試験(IBT) | パソコンなどで、決められた期間のうち好きな時に受ける | 日程を自分で決めたい人、すぐに結果を知りたい人 |
| 会場の試験 | 決められた日時に試験会場で受ける | 会場の試験の資格を目指す人 |
技能認定振興協会は、紙の在宅試験を次のように説明しています。紙の試験問題が受験日の3日前ごろに郵便で届き、自宅でテキストやノートなどの資料や計算機を使い、答案用紙に受験日までに答えて返信する形です。
インターネット試験(IBT)は、インターネット上で完結する試験の方式です。スマートフォン、タブレット、パソコンがあれば受けられるとされていますが、一部のスマートフォンには対応しておらず、画面の大きなタブレットやパソコンが推奨されています。
医療事務技能認定試験を在宅で受ける
ここでは、在宅試験とインターネット試験の両方に対応している例として、技能認定振興協会の医療事務技能認定試験の内容を、公式の記載から整理します。
試験の内容と合格基準
| 項目 | 在宅試験(紙試験) | インターネット試験(IBT) |
|---|---|---|
| 受験資格 | 問わない | 問わない |
| 試験日 | 毎月1回、決められた日曜日 | 好きな時に受験できる |
| 試験の内容 | 実技試験(択一式)10問、学科試験(択一式)40問 | 実技試験(択一式)10問、学科試験(択一式)40問 |
| 試験時間 | 受験日までに答案を作って返送 | 実技と学科を合わせて120分 |
| 合格基準 | 学科と実技の合計が80%以上の得点 | 学科と実技の合計が70%以上の得点 |
| 結果 | 試験の後1か月以内に文書で通知 | 試験の終了後すぐに画面に表示 |
| 受験料 | 5,000円(税込) | 5,000円(税込) |
出題範囲は、実技試験が診療報酬明細書を作るために必要な知識(外来のみ)、学科試験が法規、保険請求事務、医学一般です。実技も学科も、200床未満の医療機関に限定した範囲とされています。診療報酬明細書とは、医療機関が患者の診療にかかった費用を健康保険の側に請求するための書類のことで、レセプトとも呼ばれます。
在宅試験とインターネット試験で、合格基準が違う点に注意が必要です。在宅試験は80%以上、インターネット試験は70%以上と、在宅試験のほうが高く設定されています。時間をかけて資料を確かめながら答えられる分、正確さが求められていると考えられます。
在宅試験の日程
公式サイトに掲載されている2026年度の在宅試験(紙試験)の日程は、次のとおりです。
| 年 | 試験日 |
|---|---|
| 2026年 | 4月26日、5月24日、6月28日、7月26日、8月23日、9月27日、10月25日、11月29日、12月20日 |
| 2027年 | 1月24日、2月28日、3月28日 |
いずれも日曜日です。公式ページでは、11月29日の在宅試験の申込期間は8月2日から11月1日までと案内されています。申し込みはWEBで行い、試験日の2週間前ごろに協会から受験の案内のメールが届く流れです。WEBでの申し込みには230円の事務手数料がかかるとされています。
インターネット試験の流れ
インターネット試験は、次の流れで進みます。
- 試験の専用のアカウントを作る
- 受けたい試験を選んで購入する
- クレジットカードかコンビニ払いで支払う
- 支払いが済んでから2週間以内に受験する
- 試験が終わると、その場で合否を確認できる
公式の案内では、入金の確認から3営業日ほどで受験できるようになるとされています。期限の2週間を過ぎると受験できなくなり、受験料は返金されません。また、受験者本人がパソコンを操作する必要があり、代理での入力は認められていません。合格した場合は、試験の翌月15日が認定日となり、デジタルの認定証がメールで案内されます。
試験の時間は自動で計られ、途中で止めることはできません。パソコンが止まった場合は、もう一度ログインして試験を続けられますが、その間も時間は進むとされています。受験の前に、パソコンとインターネットの環境が安定しているかを確かめておきます。
試験の範囲と実際の仕事の関係
医療事務技能認定試験の出題範囲は、法規、保険請求事務、医学一般の学科と、外来の診療報酬明細書を作るための実技です。これは、医療機関の医療事務の仕事のうち、次のような部分に対応しています。
| 試験の範囲 | 実際の仕事での使われ方 |
|---|---|
| 法規 | 健康保険の仕組み、患者の負担の割合、公費の医療の扱いを理解して窓口で説明する |
| 保険請求事務 | 診療の内容を点数に置き換え、レセプトを作って請求する |
| 医学一般 | カルテに書かれた病名や検査、薬の名前を読み取る |
| 実技(外来の明細書) | 外来の患者のレセプトを作り、誤りがないかを点検する |
試験の範囲が200床未満の医療機関に限定されているのは、クリニックや中小の病院の外来の仕事を想定しているためと考えられます。入院の請求は、外来と比べて確かめる項目が多く、別の知識が必要になります。入院の請求に関わる仕事を目指す場合は、外来の基本を固めたあとで、入院の業務に特化した検定や、実務の中で学ぶことになります。技能認定振興協会は、入院の業務に特化した「入院医事業務技能検定」もインターネット試験で受けられると案内しています。
在宅で受けられる関連の資格
技能認定振興協会の在宅試験やインターネット試験では、医療事務技能認定試験のほかにも、次のような資格を受けられると案内されています。
・医科医療事務管理士技能認定試験
・調剤事務管理士
・医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト)
・介護事務管理士
・ホスピタルコンシェルジュ(受けられる級と試験の方法に制限あり)
医療事務技能認定試験に合格すると、合格から6か月間、医科医療事務管理士技能認定試験の学科が免除されると案内されています。医療事務技能認定試験で基本を固めてから、医科医療事務管理士に進む、という順番も考えられます。
在宅試験とインターネット試験のどちらを選ぶか
同じ医療事務技能認定試験でも、在宅試験とインターネット試験では、受け方の向き不向きが違います。
| 比べる点 | 在宅試験(紙試験) | インターネット試験(IBT) |
|---|---|---|
| 日程 | 月1回の決められた日 | 支払いから2週間以内の好きな時 |
| 時間の使い方 | 受験日までに答案を作る | 120分で自動的に終了 |
| 合格基準 | 80%以上 | 70%以上 |
| 結果が分かる時期 | 試験の後1か月以内に文書で通知 | 試験の終了後すぐ |
| 必要なもの | 筆記用具、資料、計算機 | パソコンなどの機器、安定したインターネット、メールアドレス |
在宅試験が向いている人
紙の問題をじっくり読み、資料を確かめながら答えたい人には、在宅試験が向いています。パソコンの操作に不安がある人や、画面で長い文章を読むのが苦手な人にとっても、紙のほうが落ち着いて取り組めます。決められた日があるので、その日に向けて勉強の計画を立てやすいのも利点です。
インターネット試験が向いている人
日程を自分で決めたい人、早く結果を知りたい人には、インターネット試験が向いています。就職の応募の時期が決まっていて、すぐに資格を取りたい場合にも便利です。ただし、120分という時間の中で答える必要があり、資料を調べる時間も含めて時間配分の練習が欠かせません。公式の案内では、機械の操作に慣れていないことを理由に時間の配慮はしないとされています。
選ぶときの目安
勉強を始めたばかりで、点数表を引くのにまだ時間がかかる人は、在宅試験で時間をかけて確実に解くほうが合格に近づきます。問題集を時間を計って解き、120分の中で7割以上を安定して取れるようになっていれば、インターネット試験でも十分に合格を狙えます。
資料を見てよい試験の意味と勉強の仕方
在宅試験やインターネット試験について、「資料を見てよいなら、勉強しなくても受かるのでは」という声がよく聞かれます。実際、技能認定振興協会のよくある質問では、電卓を除く電子機器(パソコンや電子手帳など)は持ち込めないものの、点数表やテキスト、ノートなどの資料はすべて持ち込めるとされています。インターネット試験でも、点数表やテキストを見ながら答えられると案内されています。
資料を見てよい試験で問われること
それでも合格基準に届かない人がいるのは、資料を見てよい試験で問われるのが、暗記ではなく「必要な情報を早く正確に引く力」だからです。医療事務の実際の仕事でも、点数表やルールをすべて暗記している人はほとんどいません。仕事で求められるのは、どこに何が書いてあるかを知っていて、必要なときにすぐ確かめられる力です。資料を見てよい試験は、その力を確かめる形になっていると考えると、勉強の仕方が見えてきます。
勉強の進め方
資料を見てよい試験の勉強は、次の順で進めます。
- 診療報酬の基本の考え方(初診料、再診料、投薬、注射、検査などの区分)を理解する
- 点数表のどこに何が書いてあるかを、目次と見出しで覚える
- 問題集を解きながら、点数表を引く手順を体に覚えさせる
- 時間を計って解き、どの問題に時間がかかるかを確かめる
- 間違えた問題は、点数表のどこを見落としたかを記録する
技能認定振興協会は、合格の近道として、医療事務では診察料や投薬など基本となるところをマスターすることと、試験問題集で出題の傾向をつかむことを挙げています。問題集はソラスト(旧日本医療事務センター)の教育サービスで販売していると案内されています。
インターネット試験は時間配分が大切
インターネット試験は、実技と学科を合わせて120分で、時間を過ぎると自動で終了し、そこまでの解答で採点されます。資料を見てよいからといって1問ずつ丁寧に調べていると、最後まで解き終わらないことがあります。最初に全体の問題をざっと見て、すぐに答えられる問題から解き、調べる必要のある問題は「あとで見直す」に印を付けて後に回す、という時間の使い方が有効です。
在宅試験は答案の見直しの時間を取る
紙の在宅試験は、受験日までに答案を作って返送する形です。時間の余裕がある分、合格基準は80%以上と高めに設定されています。最初に一通り答えたあと、日を改めて見直す時間を取ると、計算の誤りや転記の誤りに気づけます。答案はマークシートの形なので、塗りつぶしの位置のずれにも注意します。
受験の前日と当日の準備
在宅試験の場合
在宅試験は、問題が受験日の3日前ごろに郵便で届きます。届いたら、すぐに封筒の中身を確かめ、問題用紙、答案用紙、提出用の封筒がそろっているかを見ます。不足があれば、早めに協会に問い合わせます。
答案を作るときは、次の点を準備しておきます。
・点数表、テキスト、ノートなど、使う資料を手元にそろえる
・計算機を用意する(電卓以外の電子機器は使えない)
・家族に声をかけ、集中できる時間と場所を確保する
・提出の期限と、ポストの集荷の時間を確かめる
答案は、試験問題に同封されている提出用の封筒で、試験後の提出期限までにポストに投函すると案内されています。投函が遅れると受験そのものが無効になるおそれがあるので、余裕を持って投函します。
インターネット試験の場合
インターネット試験では、受験の前にパソコンとインターネットの環境を確かめておきます。公式の案内では、動作環境の確認の方法が示されています。受験を始める前に、次の点を確かめます。
・パソコンの充電や電源が確保されているか
・インターネットの回線が安定しているか
・使う資料を手元にそろえたか
・120分の間、席を離れずに済むよう準備したか
試験の途中でパソコンが止まった場合は、もう一度ログインすれば続けられますが、その間も時間は進みます。回線が不安定になりやすい時間帯を避けて受験するのも1つの工夫です。
在宅試験についてのよくある誤解
在宅で受けられる試験については、いくつかの誤解が広まっています。
「資料を見てよいならカンニングと同じ」という誤解
資料を見てよいのは、試験の決まりとして認められた受け方です。医療事務の実際の仕事でも、点数表を見ながら算定するのが普通なので、試験もその形に合わせていると考えられます。一方で、本人以外の人に答えてもらうことは別の問題です。インターネット試験では、受験者本人がパソコンを操作する必要があり、代理での入力は認められていないと明記されています。資格は、本人がその知識を持っていることを示すものなので、決まりを守って受けることが前提です。
「在宅で取った資格は評価されない」という誤解
在宅で取った資格だからといって、合格証の内容が変わるわけではありません。技能認定振興協会は、よくある質問の中で、合格した資格は履歴書に書けると答えています。ただし、医療機関が採用で重視するのは、資格の有無だけでなく、実際にどのくらい仕事ができるかです。面接では、資格の勉強で身につけた点数表の引き方や、レセプトの仕組みの理解を、自分の言葉で説明できるようにしておきます。
「合格すればすぐに在宅で働ける」という誤解
この記事の後半で説明するとおり、在宅のレセプトの仕事の多くは、実務の経験を条件にしています。資格は在宅で働くための入り口の1つで、実務の経験と組み合わせて初めて、在宅の仕事に手が届きます。
試験日までの計画の立て方
在宅で受けられる試験は、自分の生活に合わせて計画を立てやすいのが利点です。たとえば、2か月後の在宅試験を目標にする場合の計画の例を紹介します。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1週目から3週目 | テキストで医療保険の仕組みと、診療報酬の区分ごとの考え方を学ぶ |
| 4週目から5週目 | 点数表の構成を覚え、区分ごとの例題を解く |
| 6週目から7週目 | 問題集を時間を計って解き、苦手な区分を復習する |
| 8週目 | 申し込みの状況と試験日を確かめ、答案の見直しの手順を決める |
1日の勉強の時間を長く取れない人は、平日は30分から1時間のテキストの読み込みと例題、週末に問題集をまとめて解く、という形でも進められます。大切なのは、点数表を引く練習を毎週続けることです。
点数の改定に注意する
技能認定振興協会は、医療事務と調剤事務の点数は2年ごと、介護事務の点数は3年ごとに改定されると案内しています。古いテキストや問題集で勉強すると、改定前の点数で覚えてしまうことがあります。教材を選ぶときは、現在の点数表に対応した版かどうかを確かめます。同じ協会は、法改正で制度が変わる可能性もあるので、学んだ内容を生かせるうちに実務の経験を積むことをすすめています。
合格したあとにレセプトの在宅ワークへつなげる道
試験に合格したら、次に気になるのが、在宅で医療事務の仕事ができるかどうかです。結論からいうと、資格だけで在宅のレセプトの仕事を受けるのは簡単ではありません。在宅の医療事務の求人の多くは、医療機関でのレセプトの実務の経験を条件にしているからです。
在宅の仕事に経験が求められる理由
レセプトの仕事は、医療機関の収入に直結します。算定の漏れがあれば医療機関の収入が減り、誤りがあれば請求が戻されます。医療機関が在宅の人に仕事を任せる場合、その人が実際の請求の流れを経験しているかどうかを重視するのは自然なことです。また、在宅では周りにすぐ聞ける先輩がいないため、自分で判断して作業を進められる経験が求められます。
在宅に近づくための順番
未経験から在宅のレセプトの仕事を目指す場合は、次のような順番が現実的です。
- 資格の勉強で、診療報酬の基本と点数表の引き方を身につける
- 病院やクリニックで、受付や会計、レセプトの作成の補助として働き始める
- 月ごとのレセプトの作成と点検を担当し、実務の経験を積む
- 一部在宅の勤務がある職場や、在宅の点検の仕事に応募する
- 経験の分野(外来、入院、在宅医療など)を明確にして、在宅の仕事の幅を広げる
在宅の求人は、外来、入院、訪問診療など、分野を指定していることが多いです。自分がどの分野の経験を積んでいるかを職務経歴書に書き分けられるようにしておくと、応募のときに強みを伝えやすくなります。
資格が役に立つ場面
資格だけでは在宅の仕事に直結しにくいとはいえ、資格が役に立つ場面は多くあります。医療機関への最初の就職の応募で、基本の知識があることを示せます。医療機関で働き始めてからも、点数表の引き方を知っていることで、仕事を覚える速さが変わります。在宅の求人に応募するときも、実務の経験と資格の両方を書けることは、知識の裏付けとして評価されます。
経験を積みながら在宅に近づける仕事
医療機関に勤めながら経験を積む段階でも、少しずつ在宅に近い働き方を選べる場合があります。
・レセプトの作成や点検を中心に担当する職場を選ぶ
・電子カルテやレセプトのコンピューターを使う職場で、システム上で点検や修正をする経験を積む
・一部在宅の勤務を取り入れている職場に移る
・医師の事務作業を補助する仕事など、書類の作成が中心の仕事を経験する
在宅の求人で重視されるのは、紙のカルテと手計算での請求の経験より、システム上で点検や修正をした経験です。在宅では画面越しにすべてを進めるため、システムの操作に慣れていることが前提になるからです。資格の勉強とあわせて、パソコンでの事務の作業に慣れておくことも、在宅への近道になります。
患者の情報を自宅で扱うときの決まり
在宅で医療事務の仕事をするようになると、患者の病名や診療の内容といった、とても慎重な扱いが必要な情報を自宅で扱うことになります。
病歴は特に配慮が必要な情報
個人情報の保護に関する法律の第2条第3項は、本人の病歴などを含む個人情報を「要配慮個人情報」と定めています。要配慮個人情報とは、本人に対する不当な差別や偏見などの不利益が生じないよう、取り扱いに特に配慮が必要な個人情報のことです。レセプトには病名と診療の内容が書かれているので、在宅で扱う情報の多くがこれにあたります。
医療機関の安全管理のガイドライン
厚生労働省は、医療機関が医療情報のシステムを安全に扱うための「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表しており、令和8年6月に第7.0版へ見直しています。詳しくは厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインのページで確かめられます。在宅で働く人が守るべき具体的な決まりは、勤め先の医療機関や委託元の会社が、このようなガイドラインを踏まえて定めます。在宅の仕事を始めるときは、次のような点を勤め先の決まりで確かめます。
・仕事に使うパソコンや回線を、勤め先が貸し出すか、自分のものを使うか
・画面を家族に見られない場所で作業できるか
・データを手元の機器に保存してよいか
・紙の資料を自宅で扱ってよいか、扱う場合の保管と処分の方法
・ウイルス対策などのセキュリティの設定
勤め先の決まりがはっきりしない場合は、作業を始める前に確かめます。患者の情報の漏えいは、医療機関の信頼を大きく損ない、自分の働き方そのものを失うことにもつながります。
副業として医療事務の在宅ワークをするときの注意
本業を持ちながら、副業として医療事務の在宅ワークを考えている人もいます。その場合は、本業の会社の就業規則で副業が認められているかを確かめます。厚生労働省の副業・兼業のページでは、副業・兼業の促進に関するガイドラインやモデル就業規則が案内されています。
雇用ではなく業務委託で受ける場合は、報酬は事業や雑の所得として扱われ、所得によっては確定申告が必要になります。給与を1か所から受けている会社員の場合、国税庁の案内では、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要とされています。所得とは、報酬から必要な経費を差し引いた金額のことです。
レセプトの仕事は月の初めに作業が集中しやすく、本業の締めの時期と重なると負担が大きくなります。副業で受ける前に、作業が集中する時期と、本業の忙しい時期が重ならないかを確かめておきます。
在宅で学び、在宅で働く人を見てきて
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、在宅で資格を取り、在宅で働くようになる人に共通しているのは、資格を取ったところで止まらず、実務の経験を積む場を自分から探していることです。資格の勉強で身につけた「資料から正しい情報を早く引く力」は、医療事務に限らず、在宅のあらゆる事務の仕事で役に立ちます。
在宅の仕事では、文章で報告や確認をする場面が多くなります。仕事の文書を正しく書く力は、医療事務の在宅ワークでも評価されます。ビジネス文書検定では、仕事の文書の書き方の基本を学べます。在宅で実績を示す方法に関心がある人は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、実績の整理の仕方を紹介しています。
運営者として見てきた限りでは、仲介の手数料がかからない直接の取引は、同じ予算でも依頼する側はより多くを頼め、受け手の手取りは厚くなるという、双方にとって得のある形になりやすいものです。医療事務の在宅ワークは、患者の情報を扱うことから信頼関係がとりわけ重視される仕事です。直接やり取りできる関係の中で、情報の扱いの決まりを最初にすり合わせておくことが、長く続けるための土台になります。
医療や福祉の事業所では、職員の学び直しを支える助成金の活用も進んでいます。福祉用具貸与事業所のスキルアップ助成金2026|人材開発支援助成金の活用法では、職員の研修に使える助成金の仕組みを整理しています。医療事務の仕事にもAIを使った点検の補助が広がりつつあり、AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、業務の自動化を支援する仕事の流れを紹介しています。
よくある質問
Q. 医療事務の試験は本当に自宅で受けられますか?
受けられる試験があります。技能認定振興協会の医療事務技能認定試験は、問題が郵便で届いて自宅で答える在宅試験(紙試験)と、パソコンなどで受けるインターネット試験(IBT)に対応しています。受験料はどちらも5,000円(税込)です。ただし、在宅で受けられるかどうかは試験ごとに違うので、目指す資格の実施団体の案内を確かめます。
Q. 医療事務の在宅試験は資料を見てもよいのですか?
技能認定振興協会の案内では、電卓を除く電子機器は持ち込めないものの、点数表やテキスト、ノートなどの資料は見てよいとされています。資料を見てよい試験で問われるのは、暗記ではなく、必要な情報を早く正確に引く力です。在宅試験の合格基準は80%以上と高めなので、点数表を引く練習を重ねておく必要があります。
Q. 医療事務の資格を取れば在宅で働けますか?
資格だけで在宅のレセプトの仕事を受けるのは簡単ではありません。在宅の求人の多くは、医療機関でのレセプトの実務の経験を条件にしています。資格で基本を身につけたあと、病院やクリニックで経験を積み、一部在宅の勤務や在宅の点検の仕事に進む、という順番が現実的です。
Q. 医療事務の試験の勉強で気をつけることは?
点数は医療事務と調剤事務が2年ごと、介護事務が3年ごとに改定されると案内されています。古いテキストや問題集で勉強すると、改定前の点数で覚えてしまうことがあるので、現在の点数表に対応した教材を選びます。インターネット試験は120分で自動終了するので、時間配分の練習もしておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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