60代で理学療法士を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
60代で理学療法士を続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方

この記事のポイント

  • 60代の理学療法士が働ける場所と契約の形を整理しました
  • 週1日や1日4時間から働く求人の実際
  • 社会保険や年金との関係

「理学療法士 60代」と検索した方が知りたいことは、突き詰めると2つだと思います。60代になっても働き続けられるのか。そして、どういう形なら無理なく続けられるのか。

結論を先に書きます。理学療法士の資格そのものに年齢の上限はありません。上限があるのは、勤め先との雇用契約のほうです。つまり、60代で働き方が変わるのは、資格を失うからではなく、契約の形が変わるからです。ここを分けて理解すると、選択肢が一気に見えてきます。

私は普段、契約や法務の相談を受けています。定年を迎えた方から「再雇用の条件が下がったが、これは妥当なのか」「業務委託で働かないかと言われたが、何が変わるのか」というご相談を受けることがあります。これ、知らない人が本当に多いんです。契約の形が変われば、責任の所在も、保険の扱いも、報酬の決まり方も変わります。この記事では、その違いを含めて、60代の働き方を整理していきます。

60代の理学療法士は、どれくらいいるのか

まず、現在地を確認します。この年代の理学療法士がどれくらいいるのかについて、次のような整理があります。

2022年時点で、50~60代のPTの人数は全体のわずか7%程度。それに対して、20~40代までのPTは75%です。 出典: zaitaku-st.com

この数字が示しているのは、理学療法士という職業が比較的新しく、若い層に偏っているという事実です。国家資格として制度が整ってから年数がそれほど経っていないため、上の年代の絶対数が少ない。つまり、7%という数字は「60代で続ける人が少ない」ことの証明ではなく、「そもそも母数が少ない」ことの反映という側面が大きいわけです。

就業率についても、次のような指摘があります。

60代ではガクンと就業率が下がるのが分かりますね。女性PTに至っては40%程度しか就業していないことになります。 出典: zaitaku-st.com

ここは正直に受け止めるべき部分です。60代に入ると就業率が下がる。この背景には、定年の到来、体力の変化、家族の状況、そして本人が選んだ引退といった複数の要因があります。ただし、就業率が下がることと、働けないことはイコールではありません。実際に、60代を対象にした理学療法士の求人は各地で出ています。

この2つのデータから読み取るべきことは、先行するモデルケースが少ないということです。上の世代のキャリアをそのまま真似できる状況ではない。だからこそ、自分で設計する必要があります。そして設計するために必要なのが、契約の知識です。

資格に定年はない。定年があるのは雇用契約のほう

ここが最も重要な整理です。

理学療法士の免許は、国家試験に合格して厚生労働大臣から与えられるもので、年齢を理由に失効することはありません。免許の有効期限という概念自体がありません。制度の詳細については厚生労働省の情報を確認してください。

一方、病院や施設で働くときの定年は、その法人の就業規則で定められています。定年の年齢や、その後の再雇用の仕組みは、法人ごとに違います。高年齢者の雇用に関する法律の枠組みの中で、企業には65歳までの雇用確保の措置が求められており、70歳までの就業機会の確保についても努力が求められる仕組みになっています。ただし、この制度の内容は改正されることがあるため、正確な内容は厚生労働省や、お勤め先の人事担当に確認してください。

つまり、こういうことです。定年を迎えても資格は残る。残った資格をどう使うかを、契約の形で選び直す。これが60代の働き方の本質です。

そして、選べる契約の形は次のとおりです。

  • 定年後の再雇用(同じ法人で、嘱託職員や契約社員として継続)
  • 別の法人への転職(正職員、契約職員、パート)
  • 派遣(雇用契約の相手は派遣会社)
  • 業務委託(雇用ではない。個人事業主として業務を請け負う)

それぞれ、報酬の決まり方も、保険の扱いも、責任の範囲も違います。順に見ていきます。

契約の形ごとに、何が変わるのか

定年後の再雇用

同じ法人で働き続ける形です。手続きが簡単で、職場の人間関係も業務内容も分かっているという利点があります。

一方、給与が下がることが一般的です。ここで相談が多いのが、「どこまで下がるのが妥当なのか」という質問です。

同一労働同一賃金の考え方の中では、定年後の再雇用者と正職員との待遇差について、その差が不合理でないかが問われる枠組みが整理されています。ただし、これは個別の事情によって判断が変わる領域で、条文を読んで自分のケースを断定することはできません。※提示された条件に納得できない場合は、労働局の相談窓口や、労働問題を扱う弁護士に相談してください。

再雇用の条件を提示されたら、確認すべき項目は次のとおりです。

  • 業務内容が定年前と変わるのか、変わらないのか
  • 変わらない場合、給与が下がる理由が説明されているか
  • 勤務日数と勤務時間がどうなるか
  • 賞与や各種手当の扱い
  • 契約期間と、更新の判断基準
  • 社会保険の加入がどうなるか

これらは口頭ではなく、書面で受け取ってください。「あとで説明します」と言われて曖昧なまま契約すると、後から確認する術がなくなります。

別の法人への転職

60代での転職は、若い世代とは評価の軸が違います。伸びしろではなく、いま持っているものが評価されます。これは不利ではなく、むしろ有利に働く場面があります。

求人の中には、シニア層を明示的に対象としたものがあり、「経験浅い方・ブランクある方OK」「土日祝休み」といった条件が示されている募集も見られます。

派遣

雇用契約の相手が派遣会社になる形です。給与の支払い、社会保険の手続き、有給休暇の付与は派遣会社が行い、勤務先の施設は業務の指示を出す立場になります。

契約期間が区切られているため、体調や家族の状況に応じて働き方を見直しやすいという特徴があります。条件の交渉を派遣会社が代わりに行うので、直接言いにくい方には向いています。

業務委託

これが最も注意が必要な形です。

業務委託は雇用契約ではありません。個人事業主として業務を請け負う形になります。この違いから生じることを、はっきり書いておきます。

労働基準法の保護は原則として及びません。つまり、労働時間の上限、休憩、有給休暇、解雇の制限といった仕組みは適用されません。労災保険も原則として対象外です。健康保険と年金は、国民健康保険と国民年金に自分で加入することになります。

報酬は、労働時間ではなく、業務の遂行や成果に対して支払われます。移動時間や準備の時間が報酬に含まれるかどうかは、契約の書き方次第です。

ここで一つ、契約の相談でよく見る構図をお話しします。当初は決まった件数の業務を請け負う契約だったのに、少しずつ関連する作業が増え、報酬は最初のままだったというケースです。業務委託では、契約書に書かれていない業務を断る根拠が契約書にしかありません。だからこそ、契約書の業務範囲の記載が重要になります。

なお、フリーランスとして業務を受ける人を保護する法律の枠組みが整備されており、発注する側に対して、取引条件の明示や報酬の支払期日に関する義務が定められています。制度の内容は公正取引委員会の情報で確認してください。※契約の内容に疑問がある場合は、契約する前に弁護士や行政書士に見てもらうことをおすすめします。

法律は、知っている人を守ります。契約書を読む時間は、後から取り返せない損失を防ぐための投資です。

60代の理学療法士が働ける場所

働き先の選択肢を、負担の性質ごとに整理します。

病院

急性期の病院は業務の密度が高く、記録の量も多くなります。回復期のリハビリテーション病棟は、一人あたりの関わりが長く、じっくり向き合える一方、日々の単位数の目標があります。慢性期や療養型の病棟は、比較的落ち着いた環境になる傾向があります。

同じ病院でも、病棟によって負担がまったく違います。転職を検討するときは、法人名ではなく、配属される病棟の機能で判断してください。

介護老人保健施設

在宅復帰を目指す利用者へのリハビリを担当します。医師、看護師、介護職、支援相談員とチームで動く場面が多く、調整の力が生きます。日勤中心の勤務が組みやすい職場です。

特別養護老人ホーム

生活の場としての性格が強く、機能訓練指導員として配置されることがあります。個別の訓練よりも、生活動作の維持や環境の調整に関わる比重が高くなります。

訪問リハビリテーション

利用者の自宅に出向く形です。求人の中には「直行直帰可」と示されているものがあり、事業所への出勤が不要な働き方もあります。移動が伴うため、運転の負担をどう見るかが判断の分かれ目になります。

一件ごとの訪問時間が決まっているため、時間の管理はしやすい。ただし、移動時間が報酬に含まれるかどうかは、契約や事業所の方式によって変わります。ここは必ず確認してください。

通所リハビリテーションと通所介護

いわゆるデイケアとデイサービスです。日中の決まった時間帯に集中して業務があり、夜間や休日の勤務が少ない傾向があります。集団での体操や個別の訓練を組み合わせる形が多く、体力の使い方が病院とは違います。

サービス付き高齢者向け住宅

住まいの中でのリハビリや機能の維持に関わります。生活に密着した支援になるため、日常の動作に着目する視点が生きます。

地域の介護予防に関わる事業

自治体が実施する介護予防の事業や、地域の通いの場で、体操の指導や助言を担当する仕事があります。回数が限られる代わりに、体力的な負担は比較的軽くなります。自治体の高齢福祉担当窓口が窓口になっていることが多いので、居住地の情報を確認してみてください。

教育機関

養成校の非常勤講師や、実習の指導に関わる道があります。臨床の経験がそのまま教材になる領域です。募集は多くありませんが、経験年数が長い人にしか務まらない仕事です。

働き先を選ぶときの見方

ここまで並べた職場は、どれも「理学療法士」という同じ職種名で募集されます。しかし、実際に体を使う量も、記録の量も、判断を求められる場面の多さも、まったく違います。

判断の軸を3つに絞ると選びやすくなります。1つ目は、1日に何人を担当するか。人数が多いほど、記録も移動も比例して増えます。2つ目は、緊急の対応がどれくらい発生するか。急性期に近いほど、予定が崩れる回数が増えます。3つ目は、業務の終わりが読めるか。決まった時刻に終わる職場と、状況次第で延びる職場では、1年後の疲労の差が大きくなります。

この3つを面接で確認しておけば、入職後の「思っていたのと違う」をかなり減らせます。求人票には書かれていない項目なので、聞かないと分かりません。

勤務をどう組み立てるか

60代で働き方を設計するとき、鍵になるのは「週に何日」「1日に何時間」「移動はどれくらい」の3つです。

求人を見ていると、シニア層を対象にした募集で「1日4時間から、週1日から勤務可能」「社保加入OK」といった条件が示されているものがあります。また、「週1日から勤務OK」「時給1900円」「時短勤務も可能」と提示している募集も見られます。時給の水準は地域や施設の種別、担当業務によって変わるので、これらは一例として捉えてください。

常勤の求人では「月給27.3万円から」「年収430万円以上」といった条件が示されているものもあります。60代でも常勤で働ける求人は存在します。

組み立て方の考え方を、3つの型で示します。

週4日から5日の常勤に近い形

収入を維持したい方、社会保険をこれまでどおりの形で続けたい方に向きます。ただし、体力の消耗が蓄積しやすいので、勤務先の業務密度をよく確認してください。急性期の病院で週5日は、60代には負担が大きい場合があります。

週2日から3日の短時間勤務

体力と収入のバランスを取る形です。1日4時間から、週3日といった設定なら、生活の中に余白を作れます。この形にする場合、社会保険の加入条件を満たすかどうかを事前に確認してください。

複数の職場を組み合わせる形

2日を施設で、週1日を訪問で、といった組み合わせ方です。仕事の性質が変わるため、単調さを避けられます。ただし、複数の事業所と契約する場合、それぞれの契約内容と、労働時間の合計を自分で管理する必要があります。掛け持ちが就業規則で制限されていないかも確認してください。

移動の負担は、思っている以上に体力を削ります。片道1時間の通勤を週5日続けるのと、片道20分の職場に週5日通うのでは、1年後の疲労がまるで違います。求人を比べるときは、業務内容だけでなく通勤の条件も並べてください。

収入、社会保険、年金の関係

ここは仕組みが複雑なので、確認の順序を示します。

社会保険

健康保険と厚生年金への加入は、労働時間、勤務日数、契約期間、勤務先の規模などの条件で決まります。60代以降は、年齢によって加入の扱いが変わる部分もあります。条件は法改正で変わることがあるため、最新の内容は日本年金機構や勤務先の説明で確認してください。

求人票に「社会保険完備」と書かれていても、それは制度として用意があるという意味です。自分の勤務条件で実際に加入できるかは別の話なので、契約前に確認してください。

年金と給与の関係

働きながら年金を受け取る場合、給与の額によって年金の支給に影響が出る仕組みがあります。この仕組みは、対象となる年齢や計算の方法が定められており、改正されることもあります。自分のケースでどうなるかは、日本年金機構の窓口や年金事務所で確認してください。ここを推測で判断して働き方を決めると、想定と違う結果になります。

業務委託を選んだ場合の手続き

業務委託で働く場合、開業の届出、確定申告、国民健康保険と国民年金の手続きが必要になります。経費の考え方や帳簿の付け方については、国税庁の情報が基本になります。申告の実務はe-Taxを使う方法があります。

雇用されている間は勤務先が処理してくれていたことを、自分でやることになる。この手間を軽く見ないでください。相談を受けていると、「思っていたより事務作業が多い」という声をよく聞きます。

60代で求められるもの、更新が必要なもの

年齢を重ねて評価される部分と、意識的に更新しないと落ちていく部分があります。

評価される部分

長年の臨床で培った、状態を見る目。これは経験でしか得られないものです。同じ動作を見ても、どこに問題が起きているかを素早く見抜ける。この力は年齢とともに深まります。

多職種との調整の力。医師、看護師、介護職、家族との間で話を通す場面で、経験の差が出ます。若い職員が言いにくいことを、代わりに伝えられる立場になれます。

後進への指導。教えられる人がいる職場は強い。新人が定着するかどうかは、教える人の存在に大きく左右されます。

トラブルへの対応。想定外のことが起きたときの落ち着き。これは、修羅場を経た人だけが持てるものです。

更新が必要な部分

制度の知識。介護保険や医療保険の報酬に関する仕組みは定期的に見直されます。以前の知識のままだと、記録や算定の判断がずれます。

記録の電子化への対応。多くの施設で記録が電子化されています。操作に不慣れなことを理由に敬遠されるのは、実力とは関係のない部分で損をしている状態です。ここは慣れの問題なので、短期間で埋められます。

新しい評価方法や機器。すべてを追う必要はありませんが、勤務先で使われているものは把握しておく必要があります。

資格の上乗せ

認定理学療法士や専門理学療法士といった制度、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格、福祉住環境コーディネーターなど、臨床の経験を別の形に変換できる資格があります。要件や試験の内容は変わることがあるので、実施する団体の公式情報で確認してください。

60代から新しい資格を取ることに意味があるのかという質問をよく受けますが、答えは「何に使うか次第」です。目的が明確なら価値があり、漠然と取るだけなら時間の使い方として効率が悪い。ここは冷静に判断してください。

求人票の読み方と、応募のときに伝えること

求人票で確認する項目

  • 勤務日数と1日の勤務時間、そして相談の余地があるか
  • 対象となる利用者の状態と、業務の密度
  • 移動の有無。訪問の場合は1日の件数と移動手段
  • 記録の作成が業務時間内に含まれているか
  • 契約の形(正職員、契約職員、パート、派遣、業務委託)
  • 社会保険の加入条件
  • 契約期間と更新の判断基準

面接で伝えること

60代での応募では、伝え方に工夫が要ります。ここで多くの方が損をしているのは、できないことを先に説明してしまう点です。

「体力に自信がなくて」「夜勤は難しくて」から入ると、制約の話だけが残ります。そうではなく、「これまでこういう領域を担当してきた」「新人の指導を任されていた」「多職種との調整をこう進めてきた」と、提供できるものを先に出してください。そのうえで、勤務の条件を具体的に示す。この順序にするだけで、伝わり方が変わります。

条件については、曖昧にせず数字で伝えるのが確実です。「週3日、1日5時間まで」「訪問は1日4件まで」といった形です。曖昧なまま入職すると、後から食い違いが生じます。

契約書を受け取ったら

労働条件の通知を受け取ったら、次の点を確認してください。契約期間、業務の内容、勤務地、始業と終業の時刻、休憩、休日、賃金の決まり方と支払日、更新の有無と判断基準、退職に関する事項。

この中で見落とされやすいのが、更新の判断基準です。「更新することがある」とだけ書かれている場合、何を基準に判断されるのかを聞いてください。

長く続けるための現実的な設計

体力は、意志では補えません。これは事実として受け入れたほうが、結果的に長く働けます。

業務の密度を選ぶ

同じ「理学療法士」という職種でも、1日あたりに担当する人数、記録の量、移動の距離で消耗の度合いがまったく違います。時給が高い職場が、必ずしも続けやすい職場とは限りません。時給と業務密度の両方を見て判断してください。

回復の時間を確保する

週に何日働くかを決めるとき、働く日数だけでなく、休む日の並び方も考えてください。連続で働いて、まとめて休む形が合う人もいれば、1日おきのほうが回復する人もいます。自分がどちらかを知っておくと、シフトの相談がしやすくなります。

収入の下限を決めておく

いくらあれば生活が成り立つのか。この金額を先に出しておくと、条件の判断が速くなります。年金の受給額、支出、貯蓄の状況を並べて、必要な月収を出す。この作業をやっていない方が、条件のよくない求人に飛びついてしまう場面を見てきました。

辞めるときの条件を先に決める

いつまで働くのか、どうなったら辞めるのか。この基準を先に決めておくと、判断が感情に流されません。「膝の状態がここまで悪化したら訪問はやめる」といった具体的な線を引いておくのが有効です。

臨床以外の道と、収入の柱を増やすという考え方

臨床を続けながら、あるいは臨床から離れて、別の形で経験を使う道もあります。

執筆や監修は、その1つです。医療や介護の情報を扱う場では、資格を持つ人による確認が求められます。記事の監修、教材の作成、研修資料の作成といった仕事があります。ただし、内容の正確性に責任を負う立場になるため、契約の中で責任の範囲がどう定められているかを必ず確認してください。※監修の契約は、責任の所在が曖昧なまま結ばれることがあります。不安があれば専門家に相談してください。

企業への助言も選択肢です。福祉用具や介護機器を扱う企業、健康関連のサービスを提供する企業では、現場を知る人の意見が必要とされます。

こうした仕事の多くは、在宅で完結します。どんな仕事があるのかを知るには、職種別のガイドを読むのが早道です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、生成AIを業務に取り入れたい企業を支援する仕事の内容と、求められる知識の範囲が整理されています。集客や情報管理の側から関わるならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が、技術的な仕事に踏み込むなら受託開発の進み方がわかるアプリケーション開発のお仕事が参考になります。

報酬の水準を知りたい場合は、職種別の相場データが役に立ちます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には開発職の収入分布が、著述家,記者,編集者の年収・単価相場には文章を扱う職種の水準が、統計をもとにまとめられています。長年カルテや報告書を書いてきた方は、事実を正確に記述する訓練ができています。これは文章の仕事で評価される力です。

資格から足場を固めたい方には、社外向け文書の型を体系的に学べるビジネス文書検定や、ネットワークの基礎を証明するCCNA(シスコ技術者認定)があります。臨床とは別の領域に軸足を作りたい方が、入り口として使える資格です。

在宅の仕事では、打ち合わせがオンラインになります。Zoom・Teams・Google Meetを比較|フリーランスの打ち合わせに最適なのは?【2026年版】で3つのツールの機能と使い分けを確認しておくと、最初の依頼で戸惑いません。

市場を長く見てきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を20年運営してきた立場から、経験のある方が働き方を変えるときについて、気づいたことを書きます。

運営者として見てきた限り、60代以降で仕事が途切れない人には共通点があります。専門の技術そのものよりも、「頼むと話が早い」という評価を積み上げている点です。連絡が早い、条件を明確にする、できないことを早めに伝える。当たり前のようですが、これができる人は多くありません。長い臨床経験の中で、多職種との調整をこなしてきた方は、この部分が自然に身についています。年齢は不利になりません。むしろ、調整の力が評価される場面のほうが増えます。

もう1つ、収入の構造について。仲介が入る働き方では、依頼する側が支払う金額と、働く人が受け取る金額の間に、必ず運営のコストが乗ります。それは仲介の対価であって、悪いことではありません。ただ、在宅の業務委託では依頼者と受け手が直接つながる形も広がっていて、そこでは手数料0%という条件が成立します。同じ予算で依頼者はより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなる。運営者として見てきた限り、この形で長く続いている関係には、単発の作業をこなす関係ではなく「この人に任せると楽だ」という信頼が積み上がっています。理学療法士として現場に立つ場合も同じです。契約の形が何であれ、信頼は蓄積し、次の依頼を呼びます。

求人の傾向から見える、60代の選び方

在宅ワークと業務委託の求人を長く扱っていると、職種によって求人票の書かれ方の違いが見えてきます。医療と介護の分野には、はっきりした特徴があります。

第一に、勤務条件の記載が細かいことです。IT系や事務系の求人が「9:00〜18:00」の一行で済むところ、この分野では複数のシフトが列挙され、「週1日から」「1日4時間から」「時短勤務も可能」といった但し書きが並びます。事業所側が働く人の事情に合わせる余地を持たせているということで、時間の融通という点では他の職種より有利な構造です。

第二に、年齢層を明示した募集が存在することです。「シニア」「60代活躍」といった言葉が求人の見出しに出てくる職種は、そう多くありません。人手を必要としている分野では、年齢よりも経験と資格が評価されます。これは60代の理学療法士にとって、確実な追い風です。

第三に、契約の形が多様であることです。正職員、嘱託、パート、派遣、業務委託。同じ職種で、これだけの契約の形が並んでいる分野は珍しい。選択肢が多いということは、自分の状況に合わせて設計できるということです。

もう1つ、この年代の情報について付け加えておきます。冒頭で確認したとおり、50代から60代の理学療法士は全体の一部にとどまっており、この年代のキャリアの前例そのものが少ない状況です。参考にできるモデルが乏しいということは、裏返せば、他人のキャリアをなぞる意味が薄いということでもあります。

だからこそ、自分の条件を数字で決めて、契約の中身を確認して進めるという、地道な設計が効いてきます。他人のキャリアを真似るのではなく、自分の体力と生活と収入から逆算する。60代の働き方は、そこから始まります。

60代で転職するときの進め方

最後に、実際に動くときの手順を整理します。順序を守るだけで、失敗の確率が下がります。

現在の条件を書き出す

まず、いまの勤務先の条件を紙に書き出してください。給与、勤務日数、勤務時間、通勤時間、業務内容、社会保険の加入状況、有給の残日数。これが比較の基準になります。基準がないまま求人を見ると、提示された条件が良いのか悪いのか判断できません。

譲れない条件を3つに絞る

条件をすべて満たす職場は存在しません。だから、優先順位を先に決めます。収入、勤務日数、通勤時間、業務の密度、契約の形。この中から譲れないものを3つ選び、残りは条件次第で妥協すると決めておく。この作業をやっておくと、迷う時間が大きく減ります。

在職中に探す

辞めてから探すのは避けてください。収入が途切れると、判断が焦ります。焦って決めた転職先は、条件を確認しないまま契約することになりがちです。在職中に情報を集め、条件を比べ、決まってから辞める。この順序が最も安全です。

複数の求人を同じ項目で並べる

面接で聞いた内容を、同じ項目で表にして並べてください。記憶だけで比べると、担当者の印象や施設の雰囲気に引きずられます。勤務日数、1日の時間、通勤時間、社会保険、契約期間、更新の基準。この6項目を横に並べれば、どこが自分の条件に近いかが見えます。

書面を受け取ってから返事をする

口頭で条件を聞いて、その場で承諾しないでください。労働条件の通知や契約書を受け取り、内容を確認してから返事をする。これは失礼な行為ではなく、当然の手順です。急かしてくる相手ほど、書面と口頭の内容が違う可能性があります。※内容に疑問があれば、契約する前に専門家に確認してもらってください。

退職の手続き

就業規則に定められた期限を確認し、直属の上長に伝えます。派遣で働いている場合は、先に派遣会社の担当者へ伝えてください。引き継ぎの資料は文書で残します。医療と介護の分野は思っているより狭く、辞め方は次の職場に伝わります。

法律は、知っている人を守ります。契約の内容を確認し、書面で残し、記録を取る。この3つを習慣にするだけで、避けられるトラブルは大きく減ります。60代からの働き方は、体力の設計と契約の設計、この2つが揃って初めて長続きします。

家族と話しておくこと

60代の働き方は、自分だけの問題では終わりません。配偶者の生活のリズム、親の介護、子どもや孫との関わり。働く日数と時間帯を決めることは、家庭の時間割を決めることでもあります。

相談を受けていて感じるのは、ここを話し合わないまま条件を決めてしまう方が多いという点です。あとから「そんなに働くとは思っていなかった」という食い違いが起きます。

話し合う項目は3つで足ります。週に何日働くのか、何時に家を出て何時に帰るのか、そしていつまで働くつもりなのか。この3つを共有しておくだけで、後の摩擦がかなり減ります。

もう1つ、健康の管理についても決めておいてください。定期的な健康診断を受けること、体調に変化があったときに勤務先へ早めに伝えること。無理を重ねて働けなくなるより、条件を下げて長く続けるほうが、結果的に総収入は多くなります。

よくある質問

Q. 理学療法士の資格に定年はありますか?

資格そのものに年齢の上限や有効期限はありません。定年が定められているのは、勤め先の法人の就業規則のほうです。定年を迎えても資格は残るため、再雇用、転職、派遣、業務委託といった契約の形を選び直すことで働き続けられます。制度の詳細は厚生労働省の情報や勤務先の人事担当に確認してください。

Q. 60代でも週1日や短時間から働ける求人はありますか?

あります。シニア層を対象にした募集では「1日4時間から、週1日から勤務可能」「時短勤務も可能」といった条件を示すものが見られます。ただし勤務時間が短いと社会保険の加入条件を満たさない場合があるため、加入を希望するかどうかを先に決め、それに合う勤務条件を勤務先と相談してください。

Q. 業務委託で働かないかと言われました。雇用と何が違いますか?

業務委託は雇用契約ではなく、個人事業主として業務を請け負う形です。労働基準法の保護は原則として及ばず、有給休暇や労災保険の対象外になります。健康保険と年金も自分で加入し、確定申告が必要です。報酬は労働時間ではなく業務の遂行に対して支払われるため、移動時間が含まれるかを契約書で確認してください。

Q. 60代で応募するとき、面接で何を先に伝えるべきですか?

できないことより、提供できるものを先に伝えてください。担当してきた領域、新人の指導経験、多職種との調整の進め方などです。そのうえで「週3日、1日5時間まで」「訪問は1日4件まで」と条件を数字で示します。制約から話し始めると制約だけが印象に残り、条件を曖昧にすると入職後に食い違いが生じます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月18日最終更新:2026年9月10日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方