ロケーション撮影のカメラマンになる道|屋外で撮る技術と仕事の受け方


この記事のポイント
- ✓ロケーション撮影のカメラマンを目指す人に向けて
- ✓屋外の撮影で求められる光と天気の扱い方
- ✓場所選びと撮影のルール
ロケーション撮影のカメラマンになりたいと思っても、スタジオの撮影とは何が違うのか、どんな技術を身につければよいのか、仕事はどこで受ければよいのかが見えず、迷っている人は多いはずです。ロケーション撮影とは、スタジオではなく、公園や海辺、街なみ、神社、観光地といった屋外の場所に出向いて撮る撮影のことです。家族写真や七五三、結婚式の前撮り、カップルの記念写真、個人や会社のプロフィール写真など、さまざまな依頼があります。
この記事では、ロケーション撮影のカメラマンになるまでの道を、屋外の撮影で求められる技術、機材、撮影場所のルール、技術の身につけ方、仕事の受け方、口コミの積み上げ方、保険と開業の手続きの順に整理します。仕事の受け方については、出張撮影サービスの公式の募集ページと案内の内容を確かめたうえで説明します。
ロケーション撮影とはどんな仕事か
スタジオの撮影との違い
スタジオの撮影では、照明や背景をカメラマンが思いどおりに整えられます。一方、ロケーション撮影では、太陽の光、天気、風、周りの人の動きといった、自分では変えられない条件の中で撮影します。同じ場所でも、季節や時間帯によって光の色や向きが変わり、写真の印象が大きく変わります。
その代わり、ロケーション撮影には、スタジオでは出せない自然な表情や、季節の空気感を写し込める魅力があります。桜や紅葉、海や緑の中で撮った写真は、その日の記憶と結びついた特別な一枚になります。条件の変化に合わせて、その場で最も良い撮り方を選ぶ判断力が、ロケーション撮影のカメラマンに求められる力です。
主な依頼の種類
ロケーション撮影の依頼には、主に次のような種類があります。
| 依頼の種類 | 撮影の場所の例 | 求められること |
|---|---|---|
| 家族写真、お宮参り、七五三 | 公園、神社、自宅の周り | 子どもへの気配り、短い時間で要点を押さえる段取り |
| 結婚式の前撮り | 庭園、海辺、街なみ | 衣装の扱い、ポーズの指示、移動の段取り |
| カップルの記念写真 | 公園、観光地、思い出の場所 | 自然な表情を引き出す会話 |
| プロフィール写真 | 街なみ、オフィスの周り | 人物の印象を整える光の使い方 |
| 会社や店舗の撮影 | 店舗の外観、イベントの会場 | 依頼者の目的に合った構図 |
どの依頼でも共通するのは、撮られる人を緊張させず、その場の雰囲気を楽しんでもらいながら撮る力です。特に家族写真やカップルの撮影では、カメラマンの人柄が写真の出来を左右します。
屋外の撮影で求められる技術
光を読む力
ロケーション撮影で最も大切なのは、光を読む力です。晴れた日の真昼は、太陽が真上から照らすため、顔に濃い影ができやすくなります。木陰や建物の陰に入って柔らかい光で撮る、太陽を背にした逆光で髪の輪郭を光らせる、白い反射板で顔に光を返すといった工夫で、光の条件を整えます。
朝や夕方は、太陽の光が低い角度から差し込み、柔らかく温かい色の光になります。この時間帯を狙って撮影を組むカメラマンも多くいます。曇りの日は、光が全体に柔らかく広がるため、人物の肌がきれいに写りやすい条件です。晴れていないから撮影に向かない、ということはありません。
天気と季節への備え
屋外の撮影は、天気に大きく左右されます。雨の日に延期するのか、屋根のある場所で撮るのか、雨の日ならではの写真を撮るのかを、依頼者と事前に決めておくことが大切です。出張撮影サービスの依頼者の声を見ると、雨や強い風の日でも、撮影場所やポーズを工夫して楽しい撮影にしてくれたことを評価する声が多く見られます。天気が悪いときほど、カメラマンの経験と提案の力が問われます。
季節によっても準備が変わります。夏は暑さで子どもや依頼者が疲れやすいため、撮影の時間帯や休憩の取り方に気を配ります。冬は日が短く、夕方の撮影の時間が限られます。桜や紅葉の時期は、人気の場所が混み合うため、早い時間に撮影を始めるなどの工夫が求められます。
ポーズと立ち位置を指示する力
屋外では、撮られる人がどこに立てばよいか分からず、戸惑うことがよくあります。背景の中のどこに立ってもらうか、光がどちらから当たるようにするか、どんな動きをしてもらうかを、カメラマンが分かりやすく指示します。ある出張撮影サービスの応募要件にも、機材の設定や背景、構図、ポーズを意識し、指示をしながら撮影できることが挙げられています。
ただし、ポーズを決めすぎると、表情が硬くなります。歩いてもらう、会話をしてもらう、子どもと遊んでもらうといった動きの中で、自然な表情を切り取るのが、ロケーション撮影らしい撮り方です。
移動しながら撮る段取り
ロケーション撮影では、撮影の時間内に複数の場所を回ることがあります。どの順番で回れば、光の条件が良い時間に良い場所で撮れるか、移動の時間はどのくらいかかるかを、事前に考えておきます。ベビーカーや着物での移動になる場合は、段差や距離にも気を配ります。限られた時間の中で、撮りたい場面を撮り切る段取りの力も、ロケーション撮影に欠かせない技術です。
撮影場所を提案する力
依頼者の中には、どこで撮ればよいか決められずに相談してくる人も多くいます。撮影の目的、季節、移動の手段、参加する人の年齢を聞いたうえで、合う場所を提案できると、依頼者の安心と満足につながります。そのためには、自分が活動する地域の公園や庭園、街なみを日ごろから歩き、季節ごとの花や木の様子、混み合う時間帯、撮影のルールを把握しておくことが役立ちます。撮影場所の候補を写真付きでまとめておくと、打ち合わせのときに依頼者に見せながら相談できます。地域の撮影場所に詳しいことは、そのカメラマンに頼む理由の一つになります。
ロケーション撮影の機材
基本の機材
出張撮影サービスの応募要件を見ると、レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラかミラーレスカメラ、写真を編集するためのパソコンが共通して求められています。そのうえで、ロケーション撮影では次のような機材がよく使われます。
・明るい単焦点レンズ(背景をぼかして人物を浮かび上がらせる) ・広い範囲から望遠まで撮れるズームレンズ(場所を移動せずに構図を変えられる) ・反射板(顔に光を返して影を和らげる) ・小型のストロボ(逆光や暗い場所で光を補う) ・予備のバッテリーと記録用のカード
屋外ならではの備え
屋外では、機材を雨やほこりから守る備えも必要です。雨のときにカメラを覆うカバー、レンズの水滴をふく布、機材を地面に直接置かずに済むバッグなどを用意しておきます。重い機材を持って長い距離を歩くこともあるため、持ち運びやすさも機材選びの大切な基準です。必要な機材を絞り込み、身軽に動けるようにしておくと、撮影の途中で良い場面を逃しにくくなります。
ドローンを使う場合
空から撮るドローンを使う撮影もあります。国土交通省の無人航空機登録ポータルサイトによると、2022年6月20日に無人航空機の登録制度が施行され、登録されていない無人航空機を飛ばすことはできなくなりました。ドローンを撮影に使う場合は、機体の登録と、飛ばしてよい場所や方法のルールを、国土交通省の案内で確かめてから使ってください。
撮影場所のルールとマナー
撮影に許可が要る場所がある
公園、神社やお寺、庭園、観光地などの中には、商用の撮影に許可や届出が必要な場所があります。撮影料がかかる場所、三脚やレフ板の使用を禁じている場所、撮影できる区域が決まっている場所もあります。ルールは管理者ごとに違うため、撮影の前に、その場所の管理者の案内を確かめるか、問い合わせて確認してください。
神社やお寺での撮影では、参拝する人の邪魔にならないよう配慮します。ご祈祷の最中は撮影できない、本殿の中は撮影できないといった決まりがあることも多く、依頼者にも事前に伝えておくと、当日に慌てずに済みます。
周りの人への配慮
人気の撮影場所では、ほかの利用者や観光客も多くいます。通路をふさがない、大きな声で指示を出しすぎない、ほかの人が写り込まないように構図を工夫するといった配慮が必要です。写り込んでしまった人がいる写真を納品するときは、その人が特定されないよう配慮します。ロケーション撮影のカメラマンが場所のルールやマナーを守ることは、その場所で撮影を続けられる環境を守ることにもつながります。
撮影当日までの流れ
予約から打ち合わせまで
ロケーション撮影の仕事は、予約が入ったところから始まります。最初に依頼者と連絡を取り、撮影の目的、参加する人数、撮影の希望の場所、撮りたい場面、服装、持って行く小物、雨の日の扱いを確かめます。依頼者が撮影場所を決めていない場合は、撮影の目的と季節に合う場所を、いくつか候補として提案します。
打ち合わせでは、撮影の時間帯も相談します。光の条件が良い朝や夕方を勧めたい場合でも、小さな子どもがいる家族なら、昼寝や食事の時間を避けることを優先します。撮影の目的と、撮られる人の都合の両方を考えて時間を決めるのが、ロケーション撮影のカメラマンの腕の見せどころです。
下見と当日の準備
初めての場所で撮影するときは、できれば事前に同じくらいの時間帯に下見をしておきます。光がどちらから差し込むか、どこが混み合うか、雨のときに屋根のある場所はどこか、トイレや休憩できる場所はどこかを確かめておくと、当日に撮影の流れを組み立てやすくなります。
当日は、集合の時間より早めに着いて、その日の光と人の流れを確かめます。機材の設定を整え、撮影の順番を頭の中で確認してから、依頼者を迎えます。最初は挨拶と会話で緊張をほぐし、歩きながら自然な様子を撮り始めると、撮られる人も少しずつカメラに慣れていきます。
撮影の時間配分
撮影の時間は限られています。必ず撮っておきたい場面(全員の集合写真、一人ずつの写真、場所の特徴が分かる写真など)を先に決めておき、時間の前半で撮っておくと安心です。後半は、移動しながらの自然な場面や、撮られる人の希望に合わせた場面を撮ります。撮影の途中で、撮った写真の何枚かを依頼者に見せると、撮影の方向性を確かめられ、依頼者の安心にもつながります。
依頼の種類ごとの撮影のコツ
家族写真や七五三
子どもがいる家族の撮影では、子どものペースに合わせることが何より大切です。最初から集合写真を撮ろうとせず、子どもが遊んでいる様子を撮りながら距離を縮めます。七五三では、着慣れない着物で子どもが疲れやすいため、大切な場面を撮影の前半に撮っておきます。神社での撮影は、ご祈祷の時間や撮影できる場所を事前に確かめておきます。
結婚式の前撮り
結婚式の前撮りでは、衣装の裾や小物の扱い、移動の段取りが撮影の出来を左右します。和装の場合は、歩ける距離や段差に気を配り、洋装の場合は、裾が汚れないよう撮影場所の足元を確かめます。二人の自然な表情を引き出すために、会話や動きの指示を工夫します。撮影場所によっては、衣装での撮影に許可や料金が必要な場合があるため、管理者のルールを確かめておきます。
プロフィール写真
個人のプロフィール写真や、会社の社員の写真をロケーションで撮る依頼もあります。屋外での撮影は、スタジオより親しみやすい雰囲気の写真になるのが魅力です。依頼者がその写真をどこで使うのか(名刺、ホームページ、SNSなど)を事前に確かめ、使う場所に合った構図と背景を選びます。顔に影が出ないよう、光の向きと反射板の使い方に特に気を配ります。
撮影後の編集と納品
撮影が終わったら、撮った写真の中から良いものを選び、明るさや色を整えて納品します。ロケーション撮影では、同じ場所でも光の条件で写真の色合いが変わるため、納品する写真全体の色合いをそろえる編集が求められます。肌の色が自然に見えるか、空や緑の色が不自然になっていないかを確かめながら仕上げます。
出張撮影サービスでは、納品の期限と枚数が決まっています。OurPhotoは撮影後2週間以内の納品を活動の条件としており、地域の案内では納品30枚以上(平均約100枚)と示されています。繁忙期には撮影が続き、編集の時間が足りなくなりがちです。編集にかかる時間を見込んで、予約の数を調整することが大切です。
撮影データは、撮影の当日のうちにパソコンへ取り込み、外付けのストレージやクラウドのサービスにも保存して、2か所以上に控えを持っておきます。二度と撮り直せない記録を預かっているという意識を持ち、記録用のカードは取り込みが確実に終わってから初期化します。
技術の身につけ方
撮影の基本を学ぶ
ロケーション撮影の技術は、基本の撮影の知識の上に成り立ちます。露出(写真の明るさ)、絞りとシャッターの速さの関係、構図、光の向きといった基本を、本や講座で学んだうえで、実際に屋外でたくさん撮って身につけます。同じ場所を、時間帯や天気を変えて撮り比べてみると、光による写真の違いがよく分かります。
アシスタントや研修から始める
経験のあるカメラマンのアシスタントとして撮影の現場に入ると、段取り、依頼者への接し方、光の読み方を間近で学べます。写真館や結婚式の撮影会社で、アシスタントとして働きながら技術を身につける人もいます。
出張撮影サービスの中には、未経験の人向けの研修を用意しているところもあります。ラブグラフは、所属するカメラマンについて次のように紹介しています。
オリジナルの研修にて撮影技術やホスピタリティを学び、審査に合格したプロのカメラマンが撮影を担当。創業10年のノウハウを活かし、思い出に残る素敵な撮影体験をお届けします。 出典: lovegraph.me
同社のカメラマン募集のページでは、面接の段階では技術の水準はほとんど考慮していないこと、平均で3か月ほどで正式なカメラマンになれることが、質問と回答の形で説明されています。研修のあるサービスは、経験の浅い人がロケーション撮影の仕事に入る入口の一つになります。
作例を撮りためる
仕事を受けるには、作例(自分が撮った写真の見本)が欠かせません。友人や家族、知人に協力してもらい、公園や街なみでの撮影を重ねて、作例を撮りためます。作例として使う写真は、写っている人から掲載の許可をもらっておくことが前提です。家族写真、カップル、個人のポートレートなど、受けたい依頼に合わせた作例をそろえておくと、依頼者や出張撮影サービスに自分の撮影の雰囲気を伝えやすくなります。
ロケーション撮影の仕事の受け方
出張撮影サービスに登録する
ロケーション撮影の仕事を受ける入口として、出張撮影サービスへの登録があります。サービスが集客と予約の仕組みを担うため、カメラマンは撮影と納品に集中できます。サービスごとに、料金の仕組みや納品の条件が違います。たとえばOurPhotoは、地域ごとの案内で次のように料金を示しています。
出張撮影が 50分 11,000円(税込)〜 納品30枚以上(平均約100枚)出張費込み! 出典: our-photo.co
OurPhotoのカメラマン募集のページによると、カメラマンは11,000円から55,000円の間で撮影の料金を自分で決められ、受け取る報酬は料金からサービスの手数料35%を引いた額です。交通費は報酬の中に含まれます。撮影後2週間以内の納品が活動の条件とされています。
ラブグラフの依頼者向けの案内では、出張撮影の料金が税込26,180円からとされ、撮影は1時間から1時間30分、撮影データは75枚以上で、撮影地の下調べや出張料金も含まれると説明されています。サービスによって、撮影時間、納品の枚数、料金に含まれるものが違うため、登録する前に、各サービスの公式の案内でカメラマン側の条件を確かめてください。
写真館や撮影会社の外部カメラマンになる
写真館や結婚式の撮影会社の中には、ロケーション撮影の仕事を外部のカメラマンに頼むところがあります。七五三や前撮りの繁忙期に、外部のカメラマンとして撮影を受ける形です。会社の名前で撮影するため、自分で集客をする必要はありませんが、会社の決めた撮り方や納品の形式に合わせる必要があります。
自分で依頼を集める
経験を積んだら、自分で依頼を集める方法もあります。自分のホームページに料金と作例、予約の方法を載せる、SNSで作例を発信する、地図アプリのビジネス用のプロフィールを登録して地域の検索から見つけてもらう、といった方法です。自分で依頼を受けると、サービスの手数料がかからない分、同じ料金でも手元に残る額が多くなります。その代わり、予約の管理、支払いの受け取り、天気による延期の調整などをすべて自分で行う必要があります。
受け方ごとの比較
| 受け方 | 良い点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 出張撮影サービス | 集客と予約の仕組みがある。口コミが集まりやすい | 手数料や納品の条件がある |
| 写真館や撮影会社の外部カメラマン | 繁忙期にまとまった依頼を受けやすい | 会社の撮り方や形式に合わせる必要がある |
| 自分で集客 | 手数料がかからず、料金や撮り方を自分で決められる | 集客と事務をすべて自分で行う |
最初は出張撮影サービスで経験と口コミを積み、少しずつ自分の集客の比重を上げていくカメラマンが多くいます。どの受け方が合うかは、撮影にどれだけ時間を使えるか、事務の仕事をどこまで自分で行えるかによって変わります。
料金の決め方
料金に含めるものを明確にする
自分で依頼を受ける場合は、料金に何を含めるかを最初に決めておきます。出張撮影サービスの多くは、撮影料、出張費、写真データ料などをまとめた料金を示しています。依頼者にとっては、追加の費用がかからない分かりやすさが安心につながります。自分で料金を決めるときも、撮影の時間、納品の枚数、出張できる範囲、範囲を超えた場合の追加の費用、撮影時間の延長の料金などを、はっきり示しておきましょう。
作業時間全体で考える
ロケーション撮影の1件の仕事には、撮影の時間のほかに、打ち合わせ、下見、移動、編集、納品の時間がかかります。撮影が1時間でも、作業全体では何倍もの時間を使うことになります。料金を決めるときは、交通費や駐車場代、機材の消耗、編集ソフトの利用料、保険料などの経費も含めて、作業時間全体で納得できる報酬になっているかを確かめます。出張撮影サービスの料金の水準を参考にしつつ、経験と評価が上がるにつれて、料金を見直していくのが一般的です。
口コミを積み上げるポイント
口コミは撮影体験全体の評価
出張撮影サービスでは、撮影の後に依頼者が口コミを書き込み、新しく依頼を考える人がそれを読んでカメラマンを選びます。口コミで評価されるのは、写真の出来だけではありません。依頼者の声を見ると、事前の連絡の丁寧さ、当日の雰囲気づくり、子どもへの接し方、悪天候の中での工夫といった、撮影体験全体が評価されていることが分かります。
良い評価につながる対応
良い口コミにつながりやすいのは、次のような対応です。
・予約が入ったら早めに連絡し、撮影の希望や服装、当日の流れを相談する ・撮影場所の下見や下調べをして、当日の移動をスムーズにする ・当日は早めに着き、挨拶と会話で緊張をほぐしてから撮影を始める ・天気が悪いときは、代わりの撮影場所や撮り方を提案する ・決められた期限より早めに納品し、短いお礼のメッセージを添える
独立したばかりで口コミが少ない時期は、最初の数件の撮影で丁寧な対応を積み重ねることが、その後の依頼の入り方を大きく左右します。
厳しい口コミが書かれることもあります。そのようなときは、感情的に反論せず、指摘された点を次の撮影の改善に活かす姿勢が大切です。返信ができる仕組みのサービスでは、丁寧にお詫びと改善の内容を伝えると、その返信を読んだほかの依頼者にも誠実な印象を与えます。口コミは、自分の撮影を見直す材料として受け止めましょう。
保険と開業の手続き
賠償責任保険を検討する
屋外の撮影では、機材を倒して人にけがをさせたり、他人の物を壊したりする可能性があります。そうしたときに備えるのが賠償責任保険です。OurPhotoの募集ページには、カメラマンが損害を与えた際に補償する賠償責任保険に、サービスとして加入していることが書かれています。サービスを通さずに自分で依頼を受ける場合は、その保険の対象外になるため、自分で保険を探して加入を検討しましょう。高価な機材の故障や盗難に備える保険もあります。
開業届と青色申告
ロケーション撮影の仕事で独立するときは、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を出します。国税庁のタックスアンサーによると、提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」です。青色申告をする場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を原則としてその年の3月15日まで、その年の1月16日以後に事業を始めた場合は始めた日から2か月以内に出します。
青色申告とは、帳簿をきちんとつけることを条件に、税金の計算で特典を受けられる申告の方法です。国税庁によると、正規の簿記で帳簿をつけて期限内に申告すると、最高55万円の青色申告特別控除を受けられ、電子帳簿保存かe-Taxによる電子申告を行うと最高65万円になります。
会社に勤めながら副業として撮影をしている場合は、撮影の所得が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。住民税の申告は別に必要になることがあります。具体的な扱いは、収入の種類や金額で変わるため、税務署や市区町村の窓口で確かめてください。
写真の著作権と使い方の取り決め
撮った写真には、撮った時点で著作権が生まれます。著作権法は著作物の例として写真を挙げており、登録などの手続きは要りません。依頼を受けて撮った写真でも、契約で取り決めない限り、著作権は原則として撮影したカメラマンにあります。依頼者が写真をどこまで使えるか、カメラマンが作例として使ってよいかを、撮影の前に取り決めておきましょう。
事業者から仕事を受けるときの取引のルール
2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法は、個人で働くフリーランスに仕事を頼む事業者に対して、取引の条件を明示すること、給付を受け取った日から原則60日以内に報酬を払うことなどを義務づけています。写真館や撮影会社、企業から撮影の仕事を受ける場合は、報酬の額、支払いの期日、納品の内容といった条件を、書面やメールで確かめておく手がかりになります。一方、家族やカップルから直接依頼を受ける撮影は、消費者との取引になるため、この法律の対象にはなりません。
副業から始めて独立するまでの進め方
段階を踏んで経験を積む
ロケーション撮影のカメラマンとして独立する人の多くは、いきなり独立するのではなく、副業から始めて経験を積んでいます。出張撮影サービスの募集のページでも、平日は別の仕事をしながら週末に撮影を受けるカメラマンの例が紹介されています。次のような段階を踏むと、無理なく独立に近づけます。
- 撮影の基本を学び、知人の協力で作例を撮りためる
- 出張撮影サービスの審査を受けて登録するか、研修のあるサービスに応募する
- 週末を中心に撮影を受け、経験と口コミを積む
- 撮影の件数と収入が安定してきたら、開業届を出す
- 自分のホームページやSNSで、直接の依頼も受けるようにする
- 閑散期の収入の見込みも含めて、独立の時期を決める
勤め先がある人は、副業が認められているかを就業規則で確かめてから始めましょう。
閑散期の収入を考えておく
ロケーション撮影は、春と秋に依頼が集中し、真夏や真冬は屋外の撮影が減る傾向があります。独立を考えるときは、忙しい時期の収入だけで1年を見積もらず、月ごとの撮影の件数と収入を1年間記録してから判断すると安心です。閑散期には、屋内での撮影、企業や店舗の撮影、写真の編集の仕事を受けるなど、収入の柱を複数持つ工夫も考えておきましょう。
ロケーション撮影のカメラマンに向いている人
ロケーション撮影のカメラマンに向いているのは、次のような人です。
・屋外を歩き回ることや、天気の変化に合わせて動くことが苦にならない人 ・初対面の人とも、自然に会話を始められる人 ・その場の状況を見て、すぐに撮り方を切り替えられる人 ・撮影の後の編集作業を、根気よく続けられる人 ・場所のルールやマナーを大切にできる人
ロケーション撮影は、週末や祝日、桜や紅葉の季節に依頼が集中します。自分の生活とのバランスや、暑さや寒さの中で撮影を続ける体力も含めて、無理のない活動の範囲を考えておくことが大切です。
編集部が見てきた、続けられるカメラマンの共通点
在宅ワークやフリーランスの仕事を長く見てきた立場から言えば、一件ごとに依頼を受ける撮影の仕事で長く続く人は、技術と同じくらい、依頼者との関係づくりに時間を使っています。前撮りを撮ったカップルから、子どもが生まれたときに家族写真の依頼が来る、その家族の紹介で別の依頼が来る、という形で、一度の撮影が次の依頼につながっていきます。依頼者の声に「また次もお願いしたい」と書かれることが、ロケーション撮影のカメラマンにとって何よりの財産です。
自分で依頼を受けるようになると、見積書や撮影の取り決めの文書、依頼者への案内のメールを自分で作る場面が増えます。中間の手数料がかからない直接のやり取りでは、カメラマンの手元に残る額が厚くなり、依頼者も同じ予算でより満足のいく撮影を頼めますが、そのぶん文書のやり取りを自分で担うことになります。文書の形式や敬語に自信がない人は、ビジネス文書検定の資格ガイドで、社内外の文書の書き方を学べる検定の内容を確かめておくと役立ちます。まずは作例を撮りため、出張撮影サービスの募集の条件を確かめるところから始めてみてください。
よくある質問
Q. ロケーション撮影のカメラマンになるのに資格は必要ですか?
資格は必要ありません。ただし、出張撮影サービスに登録するには審査があり、レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、編集用のパソコン、作例の提出などが求められます。未経験の人向けに研修を用意しているサービスもあり、研修を受けてから正式なカメラマンとして活動を始める道もあります。
Q. 屋外の撮影で雨が降ったらどうすればよいですか?
雨の日の扱いを、予約の時点で依頼者と決めておくことが大切です。延期するのか、屋根のある場所で撮るのか、雨の日ならではの写真を撮るのかを話し合っておきます。延期の場合の日程の決め方や、キャンセルの扱いも事前に取り決めておくと、当日に慌てずに済みます。カメラを雨から守るカバーも用意しておきましょう。
Q. 公園や神社で撮影するのに許可は要りますか?
場所によって違います。商用の撮影に許可や届出が必要な場所、撮影料がかかる場所、三脚やレフ板の使用を禁じている場所があります。神社やお寺では、ご祈祷の最中や本殿の中の撮影ができないこともあります。ルールは管理者ごとに違うため、撮影の前に管理者の案内を確かめるか、問い合わせて確認してください。
Q. 出張撮影サービスに登録すると報酬はどう決まりますか?
サービスによって仕組みが違います。OurPhotoのカメラマン募集のページによると、カメラマンは11,000円から55,000円の間で撮影の料金を自分で決め、料金から手数料35%を引いた額を受け取ります。交通費は報酬に含まれます。ほかのサービスでは料金がプランで決まっている場合もあるため、登録前に各サービスの条件を確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
松本 あゆみ@SOHO編集部
元看護師・医療系ライター
大学病院で看護師として8年間勤務。介護福祉士の資格も取得し、医療・介護両方の現場を知る立場から、ヘルスケア系の記事を執筆しています。
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