LinkedInから海外の案件を受けるには|プロフィールの整え方と声のかかり方

丸山 桃子
丸山 桃子
LinkedInから海外の案件を受けるには|プロフィールの整え方と声のかかり方

この記事のポイント

  • linkedin 海外案件を狙う人向けに
  • メッセージ対応や契約・入金の実務
  • 避けるべき相手の見分け方までを2026年時点の相場感で具体的に解説します

「LinkedInで海外案件を取れるらしい」と聞いて登録してみたものの、プロフィールを英語にしただけで放置している。あるいは、求人に何件か応募したけれど返信が来ないまま止まっている。この記事を読んでいる人の多くは、たぶんその状態だと思います。私も最初はそうでした。結論から言うと、LinkedInは「応募して勝ち取る場所」ではなく「見つけてもらう場所」として使ったときにいちばん機能します。そして日本在住のまま海外の仕事を受けるのに、英語のネイティブ級スピーキング力はほぼ要りません。必要なのは、検索に引っかかるプロフィール設計と、最初のメッセージに10分以内で返す運用と、契約と入金の実務知識です。この記事では、その3つを順番に、具体的な文言レベルまで落として解説します。

海外案件の入口としてのLinkedInが2026年に持っている位置

まず市場の全体像から整理します。LinkedInは全世界で10億人を超える登録者を持つビジネス特化型SNSで、日本国内の登録者も400万人規模まで伸びています。ただ日本国内の使われ方は「転職の受け皿」「BtoBの名刺交換の延長」に寄っていて、フリーランスが案件を取る導線として使い倒している人はまだ少数派です。逆に海外、とくにアメリカ、ヨーロッパ、シンガポール、インドあたりの企業にとってのLinkedInは、採用と外注の両方をここで完結させる標準インフラになっています。この非対称性が、日本在住のフリーランスにとってのチャンスの正体です。

海外企業が人を探すとき、彼らはまずLinkedInの検索窓にスキル名と地域を入れます。「Japanese」「Tokyo」「EC」「Shopify」のような組み合わせです。そこに出てこない人は、どれだけ実力があっても存在しないのと同じ扱いになります。日本のクラウドソーシングのように、案件が並んでいて応募ボタンを押す形式ではありません。企業側の担当者、外部のリクルーター、代理店のプロジェクトマネージャーが、自分の検索条件でリストを作って、上から順にメッセージを送っていく。この動きが毎日、世界中で回っています。

もう1つ押さえておきたいのが為替です。円安基調が続いた結果、ドル建てやユーロ建てで受注できる案件は、同じ作業量でも手取りが厚くなります。時給30ドルという数字は英語圏の相場としては中位ですが、円換算すると日本国内の同種の業務委託より高いことが珍しくありません。この構造は円安時代に海外案件で稼ぐ|ドル建て報酬のフリーランス案件の探し方でも詳しく整理していて、通貨の選び方と受取手段の設計次第で手取りが変わるという話をしています。海外案件を検討するなら、案件探しと同じくらい入金経路の設計が効きます。

プラットフォーム型とLinkedIn型の決定的な違い

海外案件というと、まずUpworkやFiverrのようなグローバルのクラウドソーシングを思い浮かべる人が多いはずです。あちらは案件が可視化されていて、提案文を送る形式なので、始めやすさでは圧倒的に上です。実際、最初の実績づくりにはあの手のプラットフォームが向いています。使い方はUpworkの使い方ガイド|日本人フリーランスが海外案件を取る方法にまとめてあるので、まだ実績ゼロの段階ならそちらから読んだほうが早いです。

一方でプラットフォーム型には構造的な弱点が2つあります。1つは手数料で、多くのサービスが受注額の10%前後を差し引きます。もう1つは価格競争で、同じ案件に世界中から提案が集まるため、単価が下方向に引っ張られやすい。とくに「英語ができる人なら誰でもできる作業」に分類されると、時給5ドル圏の国と同じ土俵に立たされます。

LinkedInはここが違います。仲介者がいないので手数料が発生せず、条件交渉は当事者同士。そして何より、企業側が「この人に聞きたい」と思って個別に接触してくるので、最初から比較検討モードではなく相談モードで会話が始まります。相見積もりの1社ではなく、指名で入る。この差は最終的な単価に直結します。手間はかかるけれど、時間あたりの見返りは大きい。だから私は、プラットフォームで実績を作りつつ、LinkedInを本命の導線として並行で育てるやり方を勧めています。

声がかかる人と、かからない人を分けているもの

LinkedInを始めた人が最初に感じる壁は「登録したのに誰からも連絡が来ない」という無風状態です。ここで多くの人が「日本人だから」「英語力が足りないから」と結論づけて撤退します。でも実際の原因はもっと単純で、検索に引っかかっていないだけです。

海外のリクルーターがどう探しているかを想像してみてください。彼らはキーワード検索とフィルタでリストを作ります。使う語は英語です。役職名、ツール名、業界名。「Shopify」「Klaviyo」「Figma」「Localization」「Japanese market」といった単語がプロフィールのどこにも書かれていなければ、検索結果に入る余地がありません。日本語だけで「ECサイト運営代行をしています」と書いてあるプロフィールは、日本語で検索する人にしか届かない。ここが最初のボトルネックです。

2つめのボトルネックは「何屋なのか一言で言えない」状態です。LinkedInの検索結果に出るのは、顔写真、名前、ヘッドライン(名前の下の1行)、地域だけです。この1行で「頼めそう」と思わせられなければ、クリックすらされません。「フリーランス」「Web関連」のような曖昧な自称は、検索結果の一覧の中でいちばん弱い。逆に「Japanese-market EC operations / Shopify / Instagram growth」のように、扱える領域とツールが並んでいると、探している側は判断できます。

3つめが実績の書き方です。日本の職務経歴書の癖で「〜を担当」「〜に従事」と書いてしまう人が多いのですが、海外の読み手はここに数字がないと評価軸を持てません。「担当」ではなく「何を、どれだけ、どう動かしたか」を書く。この3つを直すだけで、反応の量は目に見えて変わります。

プロフィールの整え方を項目ごとに分解する

ここからは実際の作業手順です。上から順に埋めていけば、検索に載る土台ができます。所要時間はまとめて3時間程度、丁寧にやるなら2日に分けて取り組むくらいが現実的です。

言語設定は日本語プロフィールと英語プロフィールの二枚看板にする

LinkedInには複数言語のプロフィールを持つ機能があります。日本語版と英語版の両方を用意して、閲覧者の言語設定に応じて出し分けるのが正解です。ここで日本語版を消して英語一本にする必要はありません。国内のBtoB案件やインバウンド系の相談も入ってくるので、両方持っておいたほうが取りこぼしが減ります。

英語版を書くときの注意点は、日本語版の直訳にしないことです。日本語で書いた「丁寧な仕事を心がけています」のような情緒的な一文は、英語にすると情報量ゼロになります。英語版は情報の羅列に振り切って、扱える業務、使えるツール、対応できるタイムゾーン、稼働可能時間を並べる。読み物ではなく仕様書だと思って書くと、ちょうどよくなります。

ヘッドラインは「対象 × 提供価値 × ツール」の3要素で組む

ヘッドラインは最大220文字使えますが、検索結果の一覧では途中で切られるので、頭の60文字に勝負どころを置きます。組み立て方はシンプルで、誰向けか、何ができるか、何を使うか、の3点を詰め込みます。

たとえばアパレルEC支援なら「E-commerce operations for DTC apparel brands entering Japan|Shopify・Klaviyo・Instagram」のような形です。ここに「entering Japan」が入っているのが重要で、これがあるだけで「日本市場に出たいブランド」という検索意図に引っかかるようになります。逆に「Freelance marketer」だけだと、世界中の何十万人と横並びになります。狭くする勇気がそのまま反応率になります。

「About」欄は最初の3行で読み終われる構成にする

Aboutは全文表示されず、最初の数行だけ見えて「もっと見る」で展開される仕様です。つまり冒頭3行が本体です。ここには、誰の、どんな課題を、どう解決するかを書きます。経歴の年表から始めるのは損です。

構成としては、冒頭に一言サマリー、次に対応できる業務のリスト、そのあとに簡単な実績、最後に連絡方法と稼働可否を置くと読みやすくなります。連絡先のメールアドレスを本文に書いておくのは地味に効きます。LinkedInのメッセージ機能は相手のアカウント種別によって送信制限があるため、メールという逃げ道を用意しておくと接触の機会を落としません。

職務経歴は「動詞+対象+数字」で1行ずつ書く

経歴欄はまとまった文章ではなく、箇条書きの積み上げにします。1行の型は、動詞から始めて、何を対象に、どれだけの結果になったか、の順です。「Managed」「Built」「Reduced」「Launched」あたりの動詞から始めると英語として自然に読めます。

数字は必ずしも売上でなくて構いません。運用したアカウント数、扱った商品点数、削減した作業時間、対応した言語数、いずれも評価材料になります。「月200点の商品ページ制作フローを構築し、公開までのリードタイムを40%短縮」のような書き方ができれば、英語が拙くても伝わります。守秘義務でブランド名を出せない場合は「a Tokyo-based apparel brand」のように匿名化すれば問題ありません。

スキル欄とオープン設定は検索の当たり判定そのもの

スキル欄は最大50個登録できます。ここは遠慮せず埋めます。リクルーター向けの検索機能はスキル欄を強く参照するので、登録していないスキル名では検索結果に入りません。ツール名、手法名、業界名を英語で並べておきます。

そして見落とされがちなのが「Open to work」の設定です。この機能は公開範囲を選べて、プロフィール写真に緑の枠を付ける全体公開モードと、リクルーターにだけ知らせる非公開モードがあります。会社員として在職中の副業狙いなら後者を選びます。さらに「Providing services」の設定を有効にすると、サービス提供者としてのカテゴリ検索に載るようになります。フリーランスとして案件を受けたいなら、この設定は必ずオンにしてください。ここを触っていない人がかなり多く、実質的にいちばん費用対効果の高い作業です。

案件にたどり着く3つのルートと、それぞれの当たり方

プロフィールが整ったら、次は実際に案件へ近づく動きです。ルートは大きく3つあり、期待値と手間がまったく違います。

ルート1:求人検索から直接応募する

いちばん分かりやすい方法です。検索窓にキーワードを入れて、フィルタで「Remote」と「Contract」を選びます。ここで大事なのは職種名の英語表記を複数試すことです。同じ仕事でも「Content Writer」「Copywriter」「Content Strategist」で出てくる求人は違います。日本語人材を求める案件を狙うなら「Japanese」「JP market」「Localization」「Native Japanese」といった語を組み合わせます。

このルートの弱点は競争率です。人気企業のリモート求人には数百件の応募が集まり、書類の段階で機械的に絞られます。ただし「日本語ネイティブ必須」の条件が付いた瞬間、母集団は劇的に減ります。翻訳、ローカライズ、日本市場向けのカスタマーサポート、日本語コンテンツの制作、日本のインフルエンサー選定。この手の案件は、英語圏の応募者が束になっても代替できないので、勝率が跳ね上がります。応募の際は英文レジュメを添付し、カバーレターは150語程度で「相手の課題への回答」を書きます。自己紹介を長々と書くのは逆効果です。

ルート2:投稿を検索して募集を拾う

求人枠として掲載されていない案件が、担当者個人の投稿として流れていることがあります。検索窓にキーワードを入れて「Posts」タブに切り替えると、投稿だけを絞り込めます。「looking for a Japanese translator」「hiring freelance」のようなフレーズで探すと、正式な求人票になる前の相談段階の投稿が拾えます。

このルートは当たれば強いのですが、投稿の鮮度が命です。24時間以内の投稿に反応できないと、コメント欄がすでに埋まっていて埋もれます。毎日チェックできる人向けの手法で、正直、優先度は高くありません。ただし副産物として「この業界の人はどんな課題を抱えているか」が生の言葉で読めるので、市場観察としての価値は高いです。

ルート3:見つけてもらう導線を作る

本命はこれです。プロフィールを整えたうえで、定期的に投稿し、関連する人とつながる。この3点を続けると、検索でも表示されやすくなり、直接メッセージが届くようになります。

投稿の頻度は週2本で十分です。内容は宣伝ではなく、自分の担当領域で最近気づいたことを書きます。ツールの仕様変更、業界のトレンド、失敗から学んだこと。日本語と英語を併記する形式にすると、日本市場に関心のある海外の人にも届きます。フォロワーを集めることが目的ではなく、プロフィールを見に来た人が「ちゃんと現場にいる人だ」と確認できる状態を作るのが目的です。

つながり申請は、同業者よりも「発注する側」に寄せます。海外のブランドのマーケティング担当、ローカライズ会社のプロジェクトマネージャー、エージェンシーのアカウントマネージャー。申請時には一言メッセージを添えて、なぜつながりたいのかを書きます。これがないとスパム扱いで無視されます。この見つけてもらう設計についてはフリーランス LinkedIn活用術!2026年最新の案件獲得とブランディングでも運用面を中心に整理していて、投稿とプロフィールをどう連動させるかの具体例が載っています。

非英語圏という穴場をどう掘るか

海外案件と聞くと、多くの人がアメリカかイギリスを想像します。でもそこは世界中の英語話者が殺到する最激戦区です。同じ努力量で戻りを大きくしたいなら、狙う地域をずらすほうが効率的です。

「海外の副業を探しているけれど、アメリカやカナダの案件は倍率が高すぎて通らない……」もしそう感じているなら、あなたは「レッドオーシャン」で戦っているかもしれません。 出典: note.com

この指摘はそのとおりだと思います。北欧、ドイツ、オランダ、シンガポール、韓国、台湾あたりの企業は、社内公用語が英語で、かつ日本市場への進出意欲が高い。しかも英語圏の応募者から見ると「言語が不安」という理由で敬遠されがちなので、競合が薄くなります。日本人にとっては、相手が英語ネイティブでないぶん、むしろやり取りが楽です。お互いに第二言語で話すので、平易な単語と短い文で会話が進みます。

検索の実務としては、フィルタの「Locations」で国名を指定してから、キーワードに「Japan」「Japanese」を足します。企業ページを開いて、そこの社員リストから日本担当らしき人を探して、直接つながり申請を送るのも有効です。求人が出ていなくても、日本市場に入ろうとしている企業は必ず日本語ができる外部人材を探しています。求人が出る前に接触できれば、比較検討すら発生しません。

実際、LinkedIn経由の接触は求人票を経由しない形で来ることが多いです。

最近流行りのアノテーション作業のお仕事も、LinkedInを通じてやってみたことがあります。やり取りをした企業は2件あり、1件目はヨーロッパ企業の言語ツールを提供している会社で、もう1件は誰もが知っているフードテック系の会社のアノテーション作業を請け負っている韓国の会社からLinkedInのメッセージを通じて連絡が来ました。 出典: foreignexchangegaika.com

ヨーロッパの言語ツール企業、韓国の受託会社。どちらも英語圏ではありません。この手の接触は、プロフィールに「Japanese native」「annotation」「data labeling」といった語が入っているかどうかで発生確率が決まります。地味な設定作業が、結果として一次接触の量を作ります。

声がかかったあとの実務で失敗しないために

メッセージが届いてからが本番です。ここでの対応が雑だと、せっかくの接触が消えます。

最初の返信は速度と情報量の両立を狙う

海外のリクルーターは同時に何人にも声をかけています。返信が遅い人から順に候補から外れていきます。理想は営業時間内なら2時間以内、遅くとも翌営業日には返す。時差があるので、通知はスマートフォンでオンにしておくのが実務的です。

返信の内容は、興味がある旨、自分の関連実績を2行、確認したい点を3つ、この構成で足ります。確認すべき3点は、業務範囲、想定稼働時間、報酬と支払い条件です。ここを最初に聞かない人は、後から必ず揉めます。とくに「稼働時間」は要注意で、海外企業はフリーランスにも定時のミーティング参加を求めることがあり、時差の関係で深夜になるケースがあります。この点を最初に握らないと、受注後に生活が壊れます。

英語での面談は準備でほぼ決まる

ビデオ通話が入ると身構える人が多いのですが、実際に聞かれることはほぼ決まっています。何ができるか、過去に何をやったか、どのツールを使えるか、いつから何時間動けるか、希望レートはいくらか。この5つの答えを英語のメモにして手元に置いておけば、通話中はそれを読みながら話せます。カメラ越しにメモを見ることは失礼にあたりません。

聞き取れなかったときは「Could you rephrase that?」と聞き返せば済みます。分かったふりをして進めるほうが、あとで致命傷になります。私も最初の海外案件の顔合わせで、相手の言った納期を聞き違えたまま「Sure」と答えてしまい、あとでメッセージのログを読み返して1週間の認識ズレに気づいたことがあります。それ以降、通話の最後に必ず「Let me confirm the key points」と言って、業務範囲、納期、報酬を口頭で復唱し、通話後にテキストでも送り直すようにしました。これをやるようになってから、認識違いによる手戻りはほぼゼロになっています。

契約と支払いの条件は書面で固める

口頭合意だけで作業を始めるのは危険です。最低限、業務範囲、成果物、納期、報酬額、通貨、支払期日、支払方法、修正回数の上限、これらをテキストで残します。相手が正式な契約書を出してくる場合はそれで構いませんが、出してこない場合はこちらから箇条書きのメールを送って「この理解で合っていますか」と確認を取ります。NDAの締結を求められることもあり、これは応じて問題ありません。

支払い方法は事前に必ず確認します。海外送金は着金までに数営業日かかり、中継銀行の手数料が差し引かれることがあります。少額案件では手数料負けする可能性があるので、決済サービス経由を選べるか聞いておくと安全です。初回取引の相手には、着手金として30%を先に受け取る条件を提案するのも一般的です。断られたら、その相手の信用度を測る材料になります。

なお、海外から受け取った報酬も日本の居住者であれば当然課税対象です。事業所得として確定申告が必要で、為替レートの換算方法にもルールがあります。国境をまたぐ取引は消費税の扱いも国内取引と異なるため、判断に迷ったら国税庁の情報を確認するか、税理士に相談するのが確実です。年間の受注額が増えてきたら、この部分を曖昧にしたままにしないほうがいいです。

稼ぐための単価設計と、レートの伝え方

海外案件で最初につまずくのが「いくらと言えばいいか分からない」問題です。日本の相場をそのままドルに換算すると、相手からすると不自然に安く見えて、逆に信用を落とします。

考え方としては、まず自分の職種の国内相場を把握し、そこに海外案件特有のコストを乗せます。時差対応、英語でのコミュニケーション負荷、送金手数料、為替変動リスク。これらを合わせて20%から30%上乗せするのが妥当なラインです。国内相場の把握には職種別の単価データを見るのが早く、たとえば開発系ならソフトウェア作成者の年収・単価相場、ライティングや編集系なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、経験年数ごとのレンジを確認できます。自分の位置を数字で把握しておくと、交渉のときに揺らがなくなります。

レートを伝えるときは、時給と固定報酬の両方を用意します。「時給45ドル、もしくはこの範囲の作業なら固定で1,800ドル」のように選択肢を出すと、相手は予算に合わせて選べます。最初から1つの数字しか出さないと、合わなかった時点で会話が終わります。

もう1つ、値下げ要求への対応方針を決めておきます。単純に値下げに応じるのではなく、範囲を削る。「その予算なら、この作業は含めず、こちらだけ対応します」という返し方をすれば、単価そのものは守れます。これを最初の1件でやっておくと、以降の取引がずっと楽になります。

避けるべき相手の見分け方

LinkedInは実名前提のプラットフォームなので、匿名掲示板よりは安全です。ただし詐欺やトラブルがゼロではありません。判断材料をいくつか挙げます。

会社ページが存在しない、あるいは存在してもフォロワーが極端に少なく投稿履歴がない場合は警戒します。担当者個人のアカウントについても、登録から日が浅い、つながり数が少ない、職歴が1行しかない、写真がストックフォトのような画質、このあたりが揃うと危険度が上がります。

やり取りの中で警戒すべきサインもあります。最初のメッセージでいきなりLinkedIn外のチャットアプリへ移動を求めてくる。業務内容の説明が曖昧なまま個人情報や身分証の提出を求める。仮想通貨での支払いを提案してくる。テスト作業と称して無償で本番相当の成果物を要求してくる。研修費や登録料など、こちら側の支払いが発生する。これらのうち2つ以上当てはまったら、その時点で辞退して構いません。

正当な相手であれば、業務範囲を明確に説明できますし、支払い条件についての質問に誠実に答えます。逆に、こちらが条件を確認しただけで機嫌を損ねるような相手は、契約後にもっと厄介になります。海外案件では相手が国外にいるぶん、トラブル時の回収手段が実質的にありません。だからこそ、入口での選別を厳しめにするのが結果的に効率的です。

どの職種が海外案件と相性がいいか

日本在住のまま受けやすい職種には、明確な傾向があります。共通しているのは「日本語ができないと成立しない」か「成果物がデジタルで完結する」かのどちらかです。

翻訳とローカライズは最も分かりやすい入口です。アプリのUI翻訳、ゲームのシナリオローカライズ、マニュアルの日本語化。単価は分野によって幅がありますが、専門領域を持つと大きく上がります。医療、法務、金融、ゲーム。この4分野は単価が高い一方で、用語の正確さが厳しく問われます。文章力の土台を客観的に示したいならビジネス文書検定のような資格を経歴に加えておくのも、日本語の運用能力を説明する材料になります。

データアノテーションや音声収録も、日本語話者の需要が安定している領域です。AIの学習データを作る仕事で、日本語のデータは供給が不足しています。単価は高くありませんが、参入障壁が低く、実績を作る足がかりとしては有効です。

技術系はさらに広い選択肢があります。開発、インフラ、セキュリティ。これらは成果物が言語に依存しないため、日本市場と無関係な案件でも受注できます。案件の中身と必要スキルの全体像はアプリケーション開発のお仕事にまとまっていて、どんな工程が外注されやすいかが職種単位で整理されています。ネットワーク系の実務を証明したい場合はCCNA(シスコ技術者認定)のような国際的に通用する資格が、英語圏の担当者にも一発で伝わるので便利です。

そして2026年時点で最も伸びているのがAI関連の支援業務です。生成AIを業務に組み込みたい企業が世界中にあり、しかし社内に分かる人がいない。この空白を埋める仕事が大量に発生しています。導入設計や業務適用の相談に乗る側の仕事はAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、マーケティングやセキュリティと絡めた領域はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、それぞれ求められるスキルセットが確認できます。この領域は英語のドキュメントを読める人が有利なので、LinkedIn経由の海外案件と非常に相性がいいです。

現場で見た、うまくいく人の共通点

私自身、アパレルブランドのEC運営支援を主な仕事にしていますが、海外案件の入口はほぼLinkedInです。最初にプロフィールを英語化したときは、正直あまり期待していませんでした。ヘッドラインを「Freelance marketer」から「E-commerce operations for apparel brands entering the Japanese market」に書き換え、スキル欄をツール名で40個ほど埋め、Providing servicesの設定をオンにした。作業としてはそれだけです。それから数週間して、日本に出店を検討しているヨーロッパの小規模ブランドから、商品説明文の日本語化と現地向けInstagram運用について相談のメッセージが来ました。

そのとき痛感したのが、相手は私の英語力を見ていないということです。見ていたのは「日本市場のECを回した経験があるか」の一点でした。英語はやり取りの手段でしかなく、価値の源泉は日本市場の実務経験のほうにありました。逆に言えば、英語が上手でも日本市場の知見がない人は、その案件では代替可能です。ここを取り違えて英語学習にばかり時間を投じると、遠回りになります。

失敗もしました。初期に受けた案件で、相手が求めていた作業範囲を確認しないまま着手し、「商品ページの翻訳」だと思っていたものが、実際には「翻訳+画像の差し替え+サイズ表の日本規格への換算」まで含んでいたことがあります。追加分の交渉をせずに全部やってしまい、実質時給が半分以下になりました。それ以来、着手前に成果物のリストを箇条書きで送って合意を取ることを徹底しています。範囲の確認は、疑っているのではなく、お互いの時間を守る作業だと考えたほうがいいです。

独自データから見える、海外案件と国内案件の距離感

フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から見ると、海外案件を「特別な人がやる特殊なもの」と捉えている人が、いまだにかなり多いと感じます。実態はそうではありません。職種別の単価データを長期で追っていると、海外案件で求められるスキルの中身は、国内案件で求められるものとほとんど重なっています。違うのは、契約書の言語と、入金経路と、時差の3つだけです。この3つは慣れれば解決する運用の問題であって、能力の問題ではありません。

もう1つ、運営者として見てきた限りではっきりしているのは、長く続く人ほど単発の作業をこなすことより「この人に任せると楽だ」と思われる関係づくりに時間を使っているという点です。これは国内でも海外でも変わりません。むしろ海外案件のほうが、相手が日本語の分かる外部パートナーを探すコストが高いぶん、一度信頼された人に仕事が集中しやすい。最初の1件を丁寧にやり切ることの価値が、国内よりさらに大きいわけです。

そして手取りの話をします。仲介を挟まない直接取引は、同じ予算でも依頼者はより多くを頼め、受け手は差し引かれる分がないぶん手取りが厚くなります。手数料0%という条件は、単に金額が増えるという話ではなく、依頼者と受け手の双方が同じ原資からより多くを得られる構造だという意味です。プラットフォーム経由の受注で10%が引かれる状態と、直接取引で全額が入る状態を1年単位で比べると、差はかなりの額になります。20年この市場を見てきて、収入が安定している人ほど、この直接取引の比率を意識的に上げているという傾向がはっきり出ています。LinkedInが海外案件の入口として強いのも、まさにこの直接取引の構造をそのまま持っているからです。

最後に、始め方の順序だけ整理しておきます。まず英語プロフィールを整えて検索に載る状態を作る。次にProviding servicesとOpen to workの設定をオンにする。それから日本市場に関心のある海外企業の担当者に、一言添えてつながり申請を送る。週2本の投稿を続けながら、届いたメッセージには速く返す。この4つを3ヶ月続けて反応がゼロということは、まずありません。反応がない場合は、ヘッドラインが抽象的すぎるか、スキル欄が英語で埋まっていないか、そのどちらかを疑ってください。プロフィールは一度作って終わりではなく、反応を見ながら書き換えていく看板です。

よくある質問

Q. 英語が話せなくてもLinkedInで海外案件を受けられますか?

読み書きができれば十分に受けられます。実際の業務連絡はテキスト中心で、翻訳ツールも併用できます。ビデオ通話がある場合も、想定質問への回答を英語のメモにして手元に置けば対応可能です。むしろ評価されるのは英語力より、日本市場の実務経験や専門スキルのほうです。

Q. LinkedInの海外案件はどのくらいの単価が期待できますか?

職種と地域で幅がありますが、英語圏のリモート契約では時給30ドル前後が中位の目安です。時差対応や送金手数料を考慮して、国内相場に20%から30%上乗せしたレートを提示するのが妥当です。仲介手数料が引かれないぶん、同じ額面でも手取りは厚くなります。

Q. プロフィールを整えてからどのくらいで声がかかりますか?

英語プロフィールの整備、Providing servicesの設定、週2本の投稿、この3つを継続した場合、3ヶ月以内に何らかの接触がある人が多いです。反応がまったくない場合は、ヘッドラインが抽象的すぎるか、スキル欄が英語のツール名で埋まっていない可能性が高いです。

Q. 怪しい相手を見分けるポイントはありますか?

会社ページが存在しない、いきなり外部チャットへの移動を求める、業務説明が曖昧なまま身分証を要求する、仮想通貨での支払いを提案する、登録料や研修費を請求する。これらが2つ以上当てはまる相手は辞退して構いません。海外相手はトラブル時の回収手段が乏しいため、入口での選別を厳しめにするのが安全です。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月5日最終更新:2026年8月3日
丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子@SOHO編集部

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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