看護師が副業でバイトをするときの届け出と勤務の制約


この記事のポイント
- ✓看護師が副業でバイトをするときに必要な届け出
- ✓勤務先が制限できる4つの場合
- ✓社会保険と確定申告までを法令と厚生労働省の資料で整理しました
看護師が副業でバイトをするとき、最初に確認すべきことは求人の探し方ではありません。結論から言うと、届け出が必要かどうかと、勤務先がどこまで制限できるかの2点です。ここを飛ばして始めると、あとで就業規則違反を指摘されたり、労働時間の上限に触れたりします。この記事では、届け出の型、勤務先が制限できる4つの場合、公務員として働いている場合の扱い、そして守秘義務と税の話を、法令と厚生労働省の資料で確認しながら整理します。
届け出が必要かどうかは勤務先の規程と身分で決まる
まず全体像です。看護師の副業に関わる決まりは3つの層に分かれます。
第1層は勤務先の就業規則です。副業を認めるか、届け出を求めるか、許可制にするかは、各病院や施設の規程で決まっています。国が一律に禁じているわけではありません。
第2層は身分です。公立病院や自治体の保健センターなど、地方公務員として働いている看護師には地方公務員法の定めがかかります。民間の医療機関で働く看護師とは扱いが違います。
第3層は職業としての義務です。看護師には、勤務先を問わず守秘義務が法律で課されています。これは就業規則より上の層にあり、副業先でも辞めた後でも続きます。
この3層のうち、多くの人が見落とすのが第3層です。第1層と第2層は「届け出をすれば大丈夫」という話ですが、第3層は届け出では解決しません。順に見ていきます。
モデル就業規則が示している届け出の型
副業の規程がどう書かれているかの標準形は、厚生労働省が公開しているモデル就業規則で確認できます。令和7年12月版では第14章に副業・兼業の条文が置かれています。
第70条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は制限することができる。 出典: mhlw.go.jp
条文の組み立てに注目してください。第1項が「従事することができる」と定め、第2項が「届出に基づき」禁止または制限できるとしています。つまり、原則は認める、ただし届け出を前提に一定の場合は制限できる、という順序です。
厚生労働省は平成30年1月にモデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除して、副業・兼業についての規定を新設しました。この経緯を知っておくと、古い就業規則を使い続けている勤務先の規程が実情と合っていない理由が分かります。
なお、モデル就業規則はあくまで規程の例です。労働基準法第89条により、常時10人以上の従業員を使用する使用者は就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。自分の勤務先の就業規則を確認するのが出発点です。副業の条文がどこにあるか、届け出制なのか許可制なのかを見てください。
勤務先が副業を制限できる4つの場合
モデル就業規則の第70条第2項は、禁止または制限できる場合を4つ挙げています。
1つ目は労務提供上の支障がある場合。2つ目は企業秘密が漏洩する場合。3つ目は会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合。4つ目は競業により企業の利益を害する場合です。
看護師の副業で問題になりやすいのは、1つ目と4つ目です。
1つ目の労務提供上の支障は、夜勤のある勤務と組み合わせたときに現実の論点になります。夜勤明けに別の施設で日勤に入る形を続けると、本業の勤務に影響が出たと判断される余地が生まれます。勤務先が心配しているのは副業そのものではなく、疲労が患者の安全に及ぶことです。
4つ目の競業は、同じ地域の同じ診療科の医療機関で働く場合に論点になります。訪問看護や在宅の介護サービスでは、事業のエリアが重なることがあります。ここは勤務先の判断が分かれるところなので、届け出の段階で施設名と業務内容をはっきり伝えるのが確実です。
正直なところ、副業を隠して始める人が一定数います。その多くが、届け出を出したら断られると思い込んでいます。しかし実際には、勤務の日程を調整すれば認められるケースが多いのです。断られる理由はほとんどが労務提供上の支障なので、シフトの重なりを先に整理して持っていくと話が進みます。
公務員として働いているなら許可が必要になる
公立病院や自治体の保健部門で地方公務員として働いている看護師は、扱いが変わります。地方公務員法第38条第1項は次のように定めています。職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他の地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない、という内容です。
言い換えます。報酬を得て何かの仕事をするには、任命権者の許可が必要です。これは届け出ではなく許可です。順序が逆になると、許可なく従事した状態になります。
ただし同項にはただし書きがあります。非常勤職員については、この限りでないとされています。非常勤のうち短時間勤務の職を占める職員などは除かれるため、自分がどの区分に当たるかで扱いが変わります。区分の判断は勤務先の人事の担当部署でしか確定できないので、必ず先に確認してください。
許可を求める場合、申請書に副業先の名称、業務の内容、勤務の日数と時間、報酬の額を記載する形が一般的です。自治体ごとに基準が定められていて、公務の遂行に支障がないこと、職の信用を損なわないことなどが判断の軸になります。個別の判断は自治体で変わるため、一般的にこう扱われるという前提で、具体的な可否は人事の窓口で確認してください。
労働時間は勤務先をまたいで通算される
ここが実務でいちばん見落とされる点です。雇用されている形で副業をする場合、労働時間は勤務先をまたいで通算されます。
モデル就業規則の解説には、労働者が自社と副業先の両方で雇用されている場合には労働基準法第38条等を踏まえて副業の内容を把握する必要があると書かれています。厚生労働省は副業・兼業時の労働時間の通算について解説資料を公開しており、労使双方の手続きの負荷を軽くするための「管理モデル」も示しています。
通算されると何が起きるか。本業で1日8時間働いた日に、副業先で2時間働けば、その日の労働時間は10時間になります。法定の時間を超えた部分については割増賃金の対象になり、どちらの勤務先が負担するかが問題になります。だから勤務先は副業の労働時間を知る必要があるのです。
つまり、届け出を求められる理由の多くは、監視ではなく法令上の要請です。ここを理解すると、届け出への抵抗感が変わると思います。
なお、雇用ではなく業務委託で受ける仕事は、この通算の対象になりません。医療系の記事の監修、オンラインでの相談、セミナーの講師といった形は業務委託になることが多く、労働時間の通算の問題は生じません。ただし契約の名称ではなく実態で判断されるため、時間を指定されて指示どおりに作業する形であれば雇用と評価される余地があります。
副業先について勤務先に伝える情報の一覧
モデル就業規則の解説には、勤務先が確認することが考えられる事項が具体的に並んでいます。届け出の前に自分でそろえておくと、やり取りが1回で済みます。
まず、労働時間の通算の対象かどうかにかかわらず確認される事項です。他の使用者の事業場の事業内容、そこで自分が従事する業務内容の2つです。
次に、通算の対象となる場合に確認され、双方で合意しておくことが考えられる事項です。他の使用者との労働契約の締結日と期間、その事業場での所定労働日と所定労働時間と始業終業の時刻、所定外労働の有無と見込みの時間数と最大の時間数、実労働時間等の報告の手続、そしてこれらの事項を確認する頻度です。
一覧にすると多く見えますが、実際には副業先の雇用契約書を見れば大半が書かれています。契約書の写しを添えて届け出るのがもっとも早い方法です。
なお厚生労働省の解説には、副業・兼業に係る相談や自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできないと書かれています。届け出たことを理由に本業のシフトを不利に変えられたと感じた場合は、労働基準監督署に相談する道があります。
守秘義務は副業先でも、辞めた後でも続く
ここが看護師の副業で最も重い制約です。保健師助産師看護師法の第42条の2は次のように定めています。保健師、看護師又は准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなつた後においても、同様とする、という内容です。
そして同法には罰則があります。この規定に違反して業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処するとされています。刑法の改正により、罰則の表記は懲役ではなく拘禁刑になっています。
副業の場面で具体的に何が問題になるか、3つ挙げます。
1つ目は、副業先で本業の患者の情報に触れる形です。同じ地域の医療機関や訪問看護では、同一の患者が両方を利用していることがあります。本業で知った情報を副業先で使うのは、正当な理由がない限り許されません。
2つ目は、記事の執筆や監修、SNSでの発信です。実例をもとに書く場合、施設名や日付、疾患と年齢の組み合わせなど、本人を特定できる要素が残っていないかを確認する必要があります。特定できる形になっていれば、匿名でも問題になります。
3つ目は、相談やアドバイスの副業です。オンラインの健康相談などで、本業で得た知識を使うのは当然として、特定の患者の情報を持ち出すのは別の話になります。
守秘義務は届け出では解消できません。副業の形を選ぶ段階で、本業の情報から切り離せる仕事かどうかを判断してください。個別のケースが違反に当たるかどうかの判断は、勤務先の担当部署や専門家に確認するのが確実です。
実際の求人はどう出ているか
実際の求人票の書き方も見ておきます。
【経験・資格】正社員経験不問<対象となる方> 正看護師、または准看護師免許をお持ちの方(必須)・WワークOK...単発派遣で毎月1日から勤務可能! 副業を探している方にもおススメです。 出典: 求人ボックス
「WワークOK」「単発派遣」という言葉が使われています。同じサイトの別の求人には「副業・WワークOK、交通費支給、扶養控除内考慮、研修制度あり」という並びや、「週1日からOK,扶養控除内考慮,副業・WワークOK」という記載も見られます。
求人を探すときの検索語は「副業」ではなく「Wワーク」「単発」「週1日」「スポット」のほうが当たります。医療の現場では副業という言葉より、Wワークという言い方が定着しているためです。この違いを知らないと候補を取りこぼします。
「扶養控除内考慮」という記載にも注意が必要です。これは勤務の時間を扶養の範囲に収められるという意味ですが、基準となる金額は令和8年分から変わっています。求人票の表現をそのまま信じず、自分で金額を確認してください。
単発やスポットで受けられる働き方の種類
看護師の資格を使って短時間で受けられる仕事には、いくつかの型があります。
1つ目は単発の派遣です。健診や検診の現場、予防接種の会場、企業の健康診断など、日程が決まっている業務に1日単位で入る形です。日程が確定しているため、本業のシフトと調整しやすいのが特徴です。
2つ目はイベントや施設の救護です。スポーツの大会、コンサート、地域の行事などで待機する業務です。実際に処置が発生する頻度は低いものの、資格と判断が求められます。
3つ目はツアーナースです。学校の行事や団体の旅行に同行する業務で、数日にわたる形が多くなります。本業の休暇と組み合わせる必要があります。
4つ目は電話やオンラインでの相談です。健康に関する問い合わせへの対応、受診を勧めるかの案内などを扱います。在宅で受けられる形があるのが利点です。
5つ目は執筆と監修です。医療や健康の記事について、内容が正確かを確認する仕事です。業務委託の形になることが多く、労働時間の通算の対象になりません。
6つ目は教育と講師です。介護施設の職員向けの研修、学生の実習の補助、資格の講座など、教える側に回る仕事です。
どの型を選ぶかは、本業のシフトの組み方で決まります。夜勤が多い人は日程が固定された単発派遣より、時間を自分で決められる在宅の仕事のほうが続きます。
単発派遣の求人が健診やイベントに偏っている理由
看護師の単発の求人を眺めていると、健診や検診、予防接種の会場、イベントの救護に偏っていることに気づきます。これは偶然ではなく、法律の枠組みから来ています。
労働者派遣法は、政令で定める業務について労働者派遣を行ってはならないと定めています。その政令である労働者派遣法施行令の第2条には、保健師助産師看護師法に規定する業務のうち、病院等、助産所、介護老人保健施設、介護医療院、居宅などで行われるものが挙げられています。つまり、病院や診療所での看護の業務に派遣で入ることは、原則として認められていません。
例外もはっきり定められています。紹介予定派遣をする場合、産前産後休業や育児休業、介護休業を取得する労働者の代替として派遣する場合、就業の場所がへき地にある場合、そして地域における医療の確保のために必要と認められる場合などです。
この構造を知ると、求人の偏りの理由が分かります。企業の健康診断、自治体の検診、学校の健診、イベントの救護、社会福祉施設での業務は「病院等」に当たらないため、派遣の形で受けられます。だから単発の求人はこちらに集まります。病院の夜勤を単発で受けたい場合は、派遣ではなく直接の雇用、つまりパートやアルバイトの契約になります。
もうひとつ知っておくとよい点があります。施行令の記載では、介護保険法に規定する訪問入浴介護および介護予防訪問入浴介護に係るものは除かれています。訪問入浴の現場で看護の業務に当たる形は、派遣で受けられる余地があるという意味です。
このあたりの当てはめは案件ごとに変わります。派遣の登録をする際は、その案件が派遣として適法な区分に入っているかを派遣元の担当者に確認してください。契約の形が適切でない案件は、こちらが知らずに受けても不利益がこちらに及びます。
Wワークで雇用契約を結ぶときに確かめる書面
副業先と雇用の契約を結ぶ場合、受け取るべき書面が決まっています。
まず労働条件の明示です。契約の期間、就業の場所、従事する業務、始業と終業の時刻、休憩、休日、賃金の決定と計算と支払の方法、支払の時期、退職に関する事項などが書面などで示されます。ここに書かれた所定労働時間が、本業との労働時間の通算の基礎になります。
派遣で働く場合は、これに加えて就業条件を明示した書面が派遣元から出されます。派遣先の名称、就業の場所、指揮命令をする人、業務の内容、派遣の期間などが記載されます。この書面があると、本業への届け出がそのまま書けます。
確認すべき点を3つ挙げます。1つ目は所定外労働の有無です。残業が発生する可能性があるなら、その見込みの時間数まで確認してください。本業と合わせた時間が法定の上限に触れるかの判断に使います。2つ目は実労働時間の報告の手続です。本業に報告する必要があるため、実際に働いた時間をどう受け取れるかを決めておきます。3つ目は契約を終えるときの予告です。急にシフトがなくなる形だと、収入の見込みが崩れます。
書面を受け取らずに勤務を始める形は避けてください。口頭の説明だけで始めると、本業への届け出の内容が固まりません。そして条件が食い違ったときに、確かめる材料がなくなります。
届け出たあとに残しておく3つの記録
届け出が済んだあとも、記録を残しておくと後の手続きが軽くなります。
1つ目は勤務の実績です。副業先で働いた日付と時間を、自分でも控えておきます。本業に実労働時間を報告する必要がある場合、給与明細が届くのを待たずに答えられます。確定申告の際にも、源泉徴収票と照らし合わせる材料になります。
2つ目は収入の記録です。副業先ごとに、支払われた金額と源泉徴収された金額を並べて記録します。給与として受け取っているのか、報酬として受け取っているのかも分けて書いてください。確定申告の判定の式が変わるため、この区別が重要になります。
3つ目は条件の変更の記録です。シフトが変わった、時給が変わった、業務の内容が広がった。こうした変更があったら日付とともに残します。本業への届け出の内容と実態がずれたときは、届け出を出し直す必要が生じます。
記録の形は簡単でよいです。日付、勤務先、勤務時間、金額の4つが並んでいれば足ります。表計算のファイルを1つ作って、月に1回まとめて書き込む形で続けられます。
この記録があると、翌年に働き方を見直すときの判断も速くなります。1時間あたりに実際に残った金額、移動の時間を含めた拘束時間、そして本業の休息にどう影響したか。数字で並べると、続ける形と止める形がはっきりします。
社会保険と税の扱いを先に押さえる
副業を始める前に、社会保険と税の扱いを確認しておきましょう。
雇用の形で短時間働く場合、社会保険の加入要件は3つです。週の所定労働時間が20時間以上、2か月を超える雇用の見込みがある、学生でない。以前あった賃金の要件は外れています。企業規模による段階的な拡大も決まっていて、従業員36人から50人の企業は2027年10月、21人から35人は2029年10月、11人から20人は2032年10月、10人以下は2035年10月に対象になります。
複数の勤務先で厚生年金保険の被保険者になる場合は、それぞれの報酬を合算して標準報酬月額が決まるしくみになっています。届け出が必要になるため、副業先で社会保険に入る見込みが出たら、年金事務所に手続きを確認してください。
税の扱いも整理します。国税庁の令和8年4月1日現在の法令等にもとづく記載では、給与を1か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要です。
ここで注意が必要なのは、副業がアルバイトで給与として支払われる場合の扱いです。給与は「給与所得」なので、上の20万円の判定には入りません。給与を2か所以上から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となる場合は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超えるかで判定します。つまり、副業がバイトか業務委託かで判定の式が変わります。
さらに国税庁は例外も示しています。給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、かつ各種の所得金額の合計額が20万円以下の人は申告が不要とされています。
なお、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の扱いは別です。市区町村への申告が必要になることがあります。金額の当てはめは収入の構成で変わるので、自分の場合の判断は税務署か市区町村の窓口で確認してください。
体調の管理は勤務先が制限する理由そのもの
勤務先が副業を制限できる第1の理由が労務提供上の支障であることを、もう一度思い出してください。これは形式的な条文ではなく、実際の運用の中心にあります。
夜勤を含む交代制の勤務に副業を重ねると、休息の時間が削られます。医療の現場では、判断の誤りが患者に直接及びます。だから勤務先は副業の時間数を気にします。
具体的に組み立てるときに確認すべき点を挙げます。夜勤明けの日に副業を入れない形にできるか。連続して勤務する日数が増えすぎないか。副業先の勤務地までの移動の時間を含めて、休息が確保できるか。月単位で見たときに、休みの日が確保されているか。
この4点を先に整理して届け出に添えると、勤務先の判断が変わることがあります。逆に、シフトの重なりを整理せずに届け出ると、労務提供上の支障を理由に断られやすくなります。
体調に不安を感じる場合の対応については、勤務先の産業医や健康管理の担当に相談してください。この記事は制度と手続きの整理を目的としているため、健康に関する個別の判断には踏み込みません。
就業規則に副業の条文がないときの進め方
自分の勤務先の就業規則を見ても、副業についての記載が見つからないことがあります。この場合の考え方を整理します。
まず、記載がないことは禁止を意味しません。厚生労働省のモデル就業規則の解説には、裁判例では労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であるという考え方が示されていること、そのうえでモデル就業規則が労働者が副業・兼業できることを明示していることが書かれています。
ただし、記載がないまま始めるのは勧められません。労働時間の通算の問題が残るからです。雇用の形で副業をするなら、勤務先は副業先の労働時間を知る必要があります。伝えていなければ、割増賃金の計算が正しく行われない状態になります。
したがって、条文がない場合は人事の担当部署に確認するのが確実です。聞き方は「副業は可能ですか」ではなく「副業をする場合に提出する書類はありますか」のほうが話が早く進みます。前者は可否の判断を求める問いになりますが、後者は手続きの確認になります。
古い就業規則を使っている勤務先では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という一文が残っている場合もあります。厚生労働省は平成30年1月にモデル就業規則からこの規定を削除していますが、各事業場の就業規則が自動的に変わるわけではありません。この一文が残っている場合は、許可を求める形で進めることになります。
なお、副業に関する相談や自己申告を行ったことで不利益な取扱いをすることはできないと厚生労働省の解説に明記されています。相談したことを理由に評価やシフトで不利に扱われたと感じた場合は、労働基準監督署に相談する道があります。
在宅で受けられる副業という選択肢
シフトの重なりと移動の時間を考えると、在宅で受けられる仕事は看護師の副業と相性がよくなります。時間を自分で決められるため、労務提供上の支障になりにくいという利点もあります。
文章を扱う仕事は、医療の知識がそのまま強みになります。報酬の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。記事の監修や医療系の文章の校正は、資格を持つ人に依頼が集中する領域です。発注する側に伝わる書類の作り方を整えたい人はビジネス文書検定が指標になります。
医療の現場で扱う情報は取り扱いの要求が厳しいため、情報の管理を含む業務の実際を知っておくと選べる案件が増えます。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、どの工程で個人の情報が動くかを把握する材料になります。医療機関や介護施設の業務に生成AIを組み込む支援はAIコンサル・業務活用支援のお仕事が近く、現場を知っている人の説明力が値打ちになります。
業務委託で受ける場合の契約の確かめ方はフリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストにまとまっています。資格を持つ専門職が本業と両立させる進め方は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】が構造として近く、届け出と守秘の扱いの考え方が参考になります。
20年この市場を見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、資格を持つ人の副業が続くかどうかは、資格の強さではなく本業との配分の設計で決まります。
続く人は、副業に使う時間を先に決めて、その枠の中で受ける量を調整します。依頼が増えたときに本業の休息を削るのではなく、受ける件数を断る判断をします。運営者として見てきた限りでは、この判断ができる人は数年単位で同じ取引先と続いています。逆に、来た依頼を全部受ける人は、半年から1年で止まります。
もうひとつ、額面より手取りで考える人が長く続きます。同じ予算の仕事でも、間に入る事業者の取り分が乗る経路と、手数料0%で直接やり取りする経路では、受け手に残る金額が変わります。依頼する側も同じ予算でより多く頼めるので、双方が得をする構造です。限られた時間で副業をする人にとって、1時間あたりに残る金額の差は大きく効きます。
そして、医療の資格を持つ人への依頼は、単価より信頼で動いています。記事の監修でも相談の対応でも、依頼する側が求めているのは「この内容で世の中に出して大丈夫か」の判断です。この判断ができる人は代わりが少ないので、件数を追わなくても仕事が続きます。
始める前に確かめる順番
最後に、看護師が副業のバイトを始める順番をまとめます。
第1に、勤務先の就業規則で副業の条文を確認します。届け出制か許可制か、どこに提出するかを見ます。第2に、自分の身分を確認します。地方公務員として働いている場合は、地方公務員法第38条により任命権者の許可が必要になります。非常勤の区分に当たるかは人事の担当部署で確認してください。
第3に、副業先の条件を書面でそろえます。事業内容、業務内容、契約の期間、所定労働日と所定労働時間、所定外労働の見込み。雇用契約書の写しがあれば足ります。第4に、シフトの重なりを整理します。夜勤明けに入れない形にできるかを先に決めます。
第5に、守秘義務の観点で仕事の形を点検します。本業で知った情報から切り離せる仕事かを確かめてください。第6に、社会保険と税の扱いを確認します。週の労働時間、複数の勤務先での合算、確定申告の要否です。
この6つを順に踏めば、あとで指摘を受ける形はほぼ避けられます。副業は隠すほどリスクが上がり、先に伝えるほど選択肢が増えます。届け出の書類をそろえる手間は、1回で済む種類の手間です。
よくある質問
Q. 看護師の副業に届け出は必要ですか?
勤務先の就業規則で決まります。厚生労働省のモデル就業規則では、勤務時間外に他の会社等の業務に従事できると定めたうえで、届出に基づいて一定の場合は禁止または制限できる形になっています。まず自分の勤務先の規程を確認し、届け出制か許可制かを見てください。
Q. 公立病院で働いている場合は扱いが違いますか?
違います。地方公務員法第38条第1項により、職員は任命権者の許可を受けなければ報酬を得ていかなる事業や事務にも従事してはならないと定められています。届け出ではなく許可です。ただし非常勤職員についてのただし書きがあるため、自分の区分は人事の担当部署で確認してください。
Q. 副業をすると労働時間はどう扱われますか?
雇用されている形の副業では、労働時間が勤務先をまたいで通算されます。厚生労働省は労働基準法第38条を踏まえた通算の考え方と、手続きの負担を軽くする管理モデルの解説資料を公開しています。業務委託で受ける仕事は通算の対象になりませんが、実態が雇用と評価される場合は別です。
Q. 副業の収入があると確定申告が必要ですか?
国税庁の令和8年4月1日現在の法令等にもとづく記載では、給与を1か所から受けている場合、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計が20万円を超えると申告が必要です。副業がアルバイトの給与なら判定の式が変わり、年末調整されなかった給与の収入金額を含めて判断します。住民税の扱いは別なので窓口で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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