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土地家屋調査士を独学で受ける|勉強時間と進め方

@SOHO編集部
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土地家屋調査士を独学で受ける|勉強時間と進め方

この記事のポイント

  • ✓土地家屋調査士を独学で目指す人に向けて
  • ✓法務省の公表資料で試験の仕組みと合格点を確認し
  • ✓測量士補で午前の部を免除する道

土地家屋調査士を独学で目指したいと考えたとき、まず気になるのは、独学で本当に合格できるのか、どれくらいの勉強時間がかかるのか、何から手を付ければよいのかという点でしょう。この記事では、土地家屋調査士の独学の勉強法を、法務省が公表している試験の結果と合格点の資料で確かめながら、試験の仕組み、測量士補を先に取って午前の部を免除する道、択一式と記述式それぞれの勉強の進め方、1年間の計画の立て方、独学でつまずきやすい点まで順に説明します。働きながら受ける人が、今日から何をすればよいかが分かるように整理しました。

土地家屋調査士試験の仕組みを先に押さえる

独学の計画を立てる前に、試験の仕組みを正しく知っておくことが欠かせません。土地家屋調査士は、土地や建物の形や広さ、使い方などを調べて測量し、登記所(法務局)に「表示に関する登記」を申請する手続きを代わりに行う専門家です。表示に関する登記とは、土地や建物がどこにあり、どのような形と広さで、何に使われているかを登記簿に記録する手続きのことです。

試験は法務省が行う国家試験で、土地家屋調査士法の第6条で、筆記試験と口述試験の2段階で行うと定められています。筆記試験は、土地と家屋の調査・測量と、申請の手続きについての知識と技能を問うもので、口述試験は筆記試験の合格者に対して行われます。

筆記試験は、午前の部と午後の部に分かれています。法務省の令和7年度の問題の正解の資料を見ると、午前の部は多肢択一式が10問、午後の部は多肢択一式が20問で、それぞれに記述式の問題が加わります。

区分 主な内容 試験時間(令和8年度) 満点
午前の部 平面の測量の計算などの多肢択一式10問と、作図などの記述式 2時間 100点(択一60点・記述40点)
午後の部 民法や不動産登記法などの多肢択一式20問と、土地と建物の申請書・図面を作る記述式 2時間30分 100点(択一50点・記述50点)

午前の部は、測量士や測量士補、一級・二級建築士となる資格を持つ人は、申請によって免除されます。これは土地家屋調査士法の第6条第5項に定められていて、受験する人の多くがこの免除を使っています。独学の勉強法を考えるときも、この免除を使うかどうかが最初の分かれ道になります。

令和8年度の筆記試験は10月18日(日)に、全国9か所(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松)の会場で行われました。受験手数料は8,300円で、収入印紙で納めます。筆記試験の結果は令和9年1月6日に発表され、口述試験は1月21日に行われる予定です。

合格者数と合格点から見る試験の難しさ

独学で受けるかどうかを判断するには、試験の難しさを数字で見ておくことが役に立ちます。法務省が公表した令和7年度の最終結果は次のとおりです。

受験者数 4,824人(午前の部の試験を免除された者であって午後の部を受験した者並びに午前の部及び午後の部の双方を受験した者の数をいう。) 合格者数 489人 出典: 法務省 令和7年度土地家屋調査士試験の最終結果について

受験者数に対する合格者数の割合は、およそ10.1%です。10人に1人ほどしか合格しない試験と考えると、難しい試験であることは確かです。合格者の平均年齢は39.20歳で、最も若い合格者は20歳、最も年上の合格者は65歳でした。働きながら受けている人が多いことがうかがえます。

合格点にも特徴があります。令和7年度の筆記試験の合格点は、午前の部を受けた人は午前の部が100点中70.0点以上、かつ午後の部が100点中76.0点以上、午前の部を免除された人は午後の部が100点中76.0点以上でした。さらに、択一式と記述式のそれぞれに基準点があり、どれか1つでも届かないと、それだけで不合格になります。

区分 基準点(令和7年度)
午前の部 択一式 60点中30.0点
午前の部 記述式 40点中32.0点
午後の部 択一式 50点中37.5点
午後の部 記述式 50点中32.5点

午後の部の択一式の基準点は50点中37.5点で、20問のうち15問以上の正解が必要になる計算です。合格点そのものは76点なので、択一式で基準点ぎりぎりだと、記述式で38.5点以上を取らなければ届きません。択一式で8割から9割を確実に取り、記述式でも大きく崩れないことが求められる試験です。独学の勉強法は、この点数の取り方から逆算して組み立てる必要があります。

独学で合格を目指せる人と、向いていない人

土地家屋調査士の試験は、出題の範囲が民法、不動産登記法、土地家屋調査士法、測量の計算、作図とはっきりしていて、過去の問題の傾向も読みやすい試験です。市販のテキストと過去問題集もそろっているため、独学で合格する人もいます。

一方で、独学でつまずきやすいのが記述式です。記述式では、問題文と資料を読み取り、座標の計算をして、申請書を書き、図面を正確に作図するところまでを限られた時間で仕上げる必要があります。答えの書き方や作図の作法に決まった形があり、テキストを読むだけでは身につきにくい部分です。

独学に向いている人の目安は、次のとおりです。

  • 毎日決まった時間を勉強にあてられ、計画どおりに進めるのが苦にならない
  • 分からないところを、テキストや法令を調べて自分で解決するのが好き
  • 計算や作図の練習を、何十回も繰り返すことをいとわない
  • 不動産や建築、測量の仕事に関わっていて、登記の書類や図面を見たことがある

反対に、勉強の時間が不規則で計画を立てにくい人、記述式の答案を誰かに見てもらわないと間違いに気づけない人は、独学だけで進めると時間がかかりがちです。最初から全部を独学にするか、予備校の講座を一部だけ使うかは、後の節で触れるように、勉強を始めてからの手応えで判断するのが現実的です。

測量士補を先に取って午前の部を免除する

独学で土地家屋調査士を目指す人の多くが、最初に取り組むのが測量士補の試験です。測量士補は、国土地理院が行う国家試験で、合格すると測量士補となる資格が得られ、土地家屋調査士試験の午前の部が免除されます。

国土地理院の発表によると、令和8年の測量士補試験は5月17日に行われ、受験者12,269名のうち5,447名が合格し、合格率は44.4%でした。詳しくは国土地理院の令和8年測量士補試験の合格者の発表で確かめられます。土地家屋調査士試験全体の合格率がおよそ1割であるのと比べると、取り組みやすい試験と言えます。

測量士補を先に取る利点は、次の3つです。

  1. 午前の部の勉強をしなくてよくなり、午後の部に勉強の時間を集中できる
  2. 測量の計算の基礎(三角関数を使った距離や角度の計算など)を身につけられ、午後の部の記述式の計算にも役立つ
  3. 5月に試験があるため、同じ年の10月の土地家屋調査士試験に向けた流れが作りやすい

測量士補の試験は、5月の試験に向けて年明けごろから勉強を始め、試験が終わったらすぐに土地家屋調査士の午後の部の勉強に切り替えるという流れが一般的です。ただし、測量士補の合格発表は6月下旬なので、合否が分かる前から土地家屋調査士の勉強を始めておくと時間を無駄にしません。

なお、土地家屋調査士試験の午前の部で、筆記試験の合格者と同等以上の知識と技能があると法務大臣に認定された人も、次の年度以降の午前の部が免除されます。令和7年度は、午前の部で100点中70.0点以上を取り、択一式と記述式の基準点も満たした人が認定の対象でした。

表示に関する登記の全体像をつかむ

午後の部の勉強に入る前に、土地家屋調査士が扱う「表示に関する登記」の全体像をつかんでおくと、択一式も記述式も理解が早くなります。表示に関する登記は、土地についての登記と、建物についての登記に大きく分かれます。

土地についての主な登記は次のとおりです。

  • 土地の表題登記(まだ登記簿がない土地について、初めて登記簿を作る)
  • 地目の変更の登記(田や畑を宅地にしたときなど、土地の使い方が変わったとき)
  • 地積の更正の登記(登記簿の面積と実際の面積が違っていたときに直す)
  • 分筆の登記(1つの土地を2つ以上に分ける)
  • 合筆の登記(2つ以上の土地を1つにまとめる)

建物についての主な登記は次のとおりです。

  • 建物の表題登記(新しく建てた建物について、初めて登記簿を作る)
  • 建物の表題部の変更の登記(増築して床面積が変わったときなど)
  • 建物の滅失の登記(建物を取り壊したとき)
  • 建物の分割・合併・区分の登記

記述式では、問題文に示された事実から、どの登記を申請すべきかを判断するところから始まります。土地を分けたうえで一部の地目を変える、建物を増築したうえで附属の建物を取り壊す、といったように、いくつかの登記を組み合わせて申請する問題も出ます。それぞれの登記で、申請できる人は誰か、申請しなければならない期限はあるか、どのような情報を添付するかを、表にして比べておくと、択一式の細かな知識問題にも対応しやすくなります。

最初からすべての登記を細かく覚えようとすると挫折しやすいので、まずは土地の分筆と地目の変更、建物の表題登記と滅失の登記といった、記述式でよく見かける登記から理解を固め、そこから範囲を広げていくのが効率のよい進め方です。

午後の部の択一式の勉強の進め方

午後の部の択一式は20問で、民法、不動産登記法、土地家屋調査士法から出題されます。中心になるのは不動産登記法で、表示に関する登記の決まりが細かく問われます。択一式の基準点は20問中15問の正解にあたるので、8割を確実に取る力が必要です。

独学での進め方は、次の順番が取り組みやすいでしょう。

  1. テキストを1周読み、全体の流れをつかむ(細部は覚えなくてよい)
  2. 過去問題集を分野ごとに解き、間違えた問題の解説とテキストの該当箇所を読む
  3. 2周目からは、間違えた問題と、なんとなく正解した問題に印を付けて解き直す
  4. 不動産登記法と規則の条文を、過去問題に出た部分を中心に読む
  5. 試験の2か月前からは、1年分ずつ時間を計って解く

択一式で点数が伸びない原因の多くは、似た決まりの区別があいまいなことです。たとえば、登記を申請しなければならない期限がある登記と、ない登記、申請できる人が誰かといった区別は、表にまとめて比べると覚えやすくなります。間違えた問題ごとに、なぜその選択肢が誤りなのかを1行で書き出しておくと、試験の直前に見直す自分用の資料になります。

民法は出題数が多くありませんが、所有権や相続、共有など、登記に関わる部分が問われます。範囲が広いので深追いせず、過去問題に出た論点を確実に押さえることを優先しましょう。

記述式の勉強の進め方

記述式は、土地の問題と建物の問題が1問ずつ出題され、申請書の記載と、座標の計算、図面の作図までを求められます。独学で最も時間がかかるのがこの部分です。

記述式の勉強は、次の段階で進めます。

  1. 申請書の書き方の形を覚える(登記の目的、原因とその日付、添付する情報など)
  2. 座標の計算の練習をする(関数電卓を使って、点の位置や面積を求める)
  3. 作図の練習をする(三角定規や三角スケール、コンパスなどを使い、決められた縮尺で図面を描く)
  4. 過去問題を1問ずつ、時間を気にせずに最後まで解く
  5. 慣れてきたら、時間を計って解き、どこで時間を使っているかを記録する

計算には電卓を使えますが、使える電卓には条件があります。法務省の案内では、三角関数などの関数計算の機能がある電卓は使えますが、プログラムの機能があるもの、印刷の機能があるもの、アルファベットやかな文字を入力できるもの、電池式以外のものは使えません。予備を含めて2台まで持ち込めます。練習のときから、試験で使える電卓を使っておくことが大切です。

記述式では、計算の誤りだけでなく、問題文の読み落としや、申請書の書き忘れでも点を落とします。解き終わったら、模範解答と自分の答案を1行ずつ照らし合わせ、間違えた箇所を「読み落とし」「知識の不足」「計算の誤り」「作図の誤り」のどれにあたるかで分けて記録すると、自分の弱点がはっきりします。

独学で記述式の答案を自分で採点するのは簡単ではありません。採点の基準が公表されていない部分もあるため、模範解答と違う書き方をしたときに、それが点になるのか判断に迷うことがあります。この部分だけ、予備校の答練(答案練習)や模試を使って、第三者に見てもらう人もいます。

1年で合格を目指す勉強の計画

働きながら独学で目指す場合、勉強時間は1日2時間から3時間を確保できるかどうかが目安になります。必要な総時間は、測量や登記の知識がどれくらいあるかで大きく変わるため一概には言えませんが、毎日少しずつでも続けられる計画を立てることが何より大切です。

測量士補を先に受けて、同じ年の10月に土地家屋調査士を受ける場合の1年の流れの例を示します。

時期 取り組むこと
前年の11月〜12月 土地家屋調査士のテキストを1周読み、試験の全体像をつかむ
1月〜5月 測量士補の勉強(過去問題を中心に)。並行して不動産登記法の基礎を少しずつ
5月中旬 測量士補試験
5月下旬〜7月 午後の部の択一式を過去問題で2周。記述式は申請書の形と作図の練習
7月〜8月 土地家屋調査士試験の受験申請(令和8年度は7月27日から8月7日まで受付)
8月〜9月 記述式の過去問題を時間を計って解く。択一式は間違えた問題の解き直し
10月 試験の直前は、新しい教材に手を出さず、間違えた問題と自分の記録を見直す

勉強の時間を確保するには、平日は朝か夜のどちらかに固定の時間を作り、休日に記述式のようにまとまった時間が要る勉強をあてると続けやすくなります。通勤の時間は、択一式の過去問題や、自分でまとめた表の見直しにあてるとよいでしょう。

計画どおりに進まない週があっても、1週間単位で調整すれば十分に取り戻せます。毎週末に、その週に解いた問題数と正答率を記録しておくと、進み具合が目に見えて分かり、遅れにも早めに気づけます。記録は手帳でも表計算のソフトでもかまいません。大切なのは、正答率が伸びている分野と伸びていない分野を見分け、次の週にどの分野へ時間を多く割くかを決める材料にすることです。1か月ごとに計画全体を見直し、試験日から逆算して遅れている分野があれば、早めに手当てをしましょう。

過去問題は何年分を、どう使うか

独学では、過去問題が最も信頼できる教材です。法務省のホームページでは、年度ごとの試験問題と、択一式の正解や基準点の資料が公表されています。過去問題をどれくらい、どう使うかを決めておくと、教材選びで迷う時間を減らせます。

択一式は、少なくとも過去10年分程度を分野ごとに解くことを目標にすると、繰り返し問われる論点がひととおり見えてきます。同じ論点が言い回しを変えて何度も出題されているので、問題を丸ごと覚えるのではなく、なぜその選択肢が正しいのか、誤りなのかを説明できるようにしておくことが大切です。

記述式は、1問を解くのに時間がかかるため、択一式ほど多くの年数をこなすのは難しいかもしれません。それでも、最新の数年分は必ず時間を計って解き、出題の形式や資料の量に慣れておきましょう。古い年度の問題は、今の試験と形式が違うことがあるので、解説で今の決まりに合っているかを確かめながら使います。

過去問題を解くときは、次の3つを記録しておくと、試験の直前に役立ちます。

  • 解いた日付と、かかった時間
  • 正答した問題、間違えた問題、迷った問題の番号
  • 間違えた理由(知識の不足、読み落とし、計算の誤り、時間切れなど)

記録がたまると、自分がどの分野で、どのような間違いをしやすいのかが見えてきます。試験の1か月前からは、新しい問題よりも、この記録で印の付いた問題を解き直すことに時間を使うと、点数が安定します。

受験申請の手続きで気をつけること

独学では、受験の手続きも自分で漏れなく進めなければなりません。令和8年度の土地家屋調査士試験の手続きは、法務局の案内によると次のとおりでした。

  1. 受験申請書を受け取る(令和8年度は7月1日から8月7日まで、法務局で交付。郵便での請求もできる)
  2. 受験申請書に必要事項を書き、受験手数料8,300円分の収入印紙を貼る(そのほかに必要なものは受験案内書で確かめる)
  3. 午前の部の免除を受ける人は、受験案内書の指示に従って、免除の理由を示す書類を添える
  4. 受験地を管轄する法務局・地方法務局の総務課に、持参するか書留郵便で送る(令和8年度は7月27日から8月7日まで。郵送は8月7日までの消印が有効)

受験地は、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松の9か所から選びます。住んでいる県で試験が行われるとは限らないので、会場までの移動の時間と、前泊が必要かどうかも早めに考えておきましょう。千葉地方法務局の案内でも、千葉県内では試験を行わないと注意が書かれています。

申請の受付期間は2週間ほどと短く、測量士補の合格発表から間もない時期にあたります。測量士補の合格を前提に午前の部の免除を申請する場合は、必要な書類がいつ手元にそろうかを確かめておくことが大切です。細かな手続きは年度ごとに変わることがあるので、受験する年の受験案内書と、受験地の法務局のページで必ず確かめてください。

独学に必要な教材と道具

独学で必要になる教材と道具を整理します。教材は、あれこれ手を広げるより、1冊を繰り返し使うほうが力がつきます。

  • 午後の部の択一式のテキストと過去問題集(民法、不動産登記法、土地家屋調査士法)
  • 記述式の問題集と過去問題集(土地と建物の両方)
  • 不動産登記法と不動産登記規則などの条文を確かめられるもの
  • 関数電卓(試験で使える条件を満たすもの、予備を含めて2台)
  • 作図の道具(三角定規、三角スケール、コンパス、製図用のシャープペンシルなど)
  • 測量士補を受ける場合は、測量士補の過去問題集

条文は、e-Gov法令検索で無料で読めます。土地家屋調査士法そのものもe-Gov法令検索の土地家屋調査士法で確かめられます。テキストの説明が分かりにくいときは、元の条文を読むと、何が決まりで何が説明なのかがはっきりすることがあります。

過去問題は、法務省のホームページで年度ごとの試験問題と、択一式の正解が公表されています。市販の過去問題集には詳しい解説が付いているので、基本は問題集で解き、最新の年度の問題を法務省のページで確かめるという使い分けがよいでしょう。

教材を選ぶときは、発行された年に注意してください。不動産登記法や関連する決まりは改正されることがあり、古いテキストには今は使われていない書き方が残っていることがあります。少なくとも、受験する年度に対応した版を使うようにしましょう。

仕事や家庭と勉強を両立させる工夫

働きながら独学で受ける人にとって、最大の課題は勉強の時間をどう確保するかです。土地家屋調査士の試験は10月にあり、夏から秋にかけて記述式の練習が最も忙しくなります。仕事の繁忙期や家庭の行事と重なることも多いので、先に1年の予定を見渡しておくことが大切です。

まず、勉強に使える時間を1週間単位で書き出してみましょう。平日の朝、通勤の時間、昼休み、夜、休日の午前と午後のように、時間帯ごとに分けて、実際に使えそうな時間を数えます。そのうえで、短い時間にできること(択一式の過去問題、自分のまとめの見直し)と、まとまった時間が要ること(記述式の過去問題、作図の練習)を割り振ります。

記述式の練習は、1問を最後まで解くのに1時間以上かかることがあります。平日に時間が取れない人は、休日の午前中を記述式の時間と決めて、家族にも伝えておくと、予定を守りやすくなります。作図の道具を広げられる机を確保しておくことも、意外に大切な準備です。

体調を崩すと、それまでの計画が大きく狂います。睡眠の時間を削って勉強の時間を作るのは、短期間ならともかく、1年続けるのは難しいものです。試験の直前の1か月を除いては、毎日の睡眠を確保できる範囲で計画を立て、無理のない量を長く続けることを優先しましょう。

独学でつまずきやすい点と、予備校を使う判断の目安

独学で土地家屋調査士を目指す人がつまずきやすい点は、主に次の3つです。

1つ目は、記述式の答案の書き方を自己流で固めてしまうことです。申請書の書き方や作図の作法には決まった形があり、自己流のまま練習を重ねると、本番で思わぬ減点を受けることがあります。模範解答の書き方をそのまままねることから始め、慣れてから自分なりの解く順番を工夫するのが安全です。

2つ目は、時間配分の失敗です。午後の部は2時間30分で、択一式20問と記述式2問を解かなければなりません。記述式に時間を取られて択一式を見直せない、逆に択一式に時間をかけすぎて記述式が最後まで終わらない、という失敗はよく起こります。過去問題を本番と同じ時間で解き、択一式に何分、記述式の土地と建物に何分ずつかけるかを、自分の型として決めておきましょう。

3つ目は、勉強を続けられなくなることです。独学では、進み具合を誰にも確かめてもらえないため、仕事が忙しくなると勉強が止まりがちです。毎週の記録をつける、同じ試験を目指す人の勉強の記録を参考にするなど、続けるための工夫が要ります。

予備校の講座を使うかどうかは、勉強を始めて3か月ほどたったところで、次の点を目安に判断するとよいでしょう。

  • 択一式の過去問題で、6割以上の正答率に届いているか
  • 記述式の過去問題を、時間をかければ最後まで解けるか
  • 毎週の勉強時間を、計画の8割以上は確保できているか

どれも届いていない場合は、独学のやり方を見直すか、記述式だけ答練を使うなど、部分的に外部の力を借りることを考える時期です。全部を予備校に任せるか、全部を独学でやるかの二択ではなく、自分の弱いところだけを補う使い方もあります。

口述試験の準備

筆記試験に合格すると、口述試験を受けます。土地家屋調査士法の第6条では、口述試験は、筆記試験の合格者に対して、申請の手続きと審査請求の手続きについての知識を問う形で行うと定められています。審査請求とは、法務局の処分に不服があるときに、その見直しを求める手続きのことです。

口述試験は、面接官からの質問に口頭で答える形で行われます。問われるのは筆記試験で学んだ範囲の知識なので、新しく覚えることは多くありません。ただし、紙の上で選択肢を選ぶのと、質問を聞いてその場で言葉にするのとでは、求められる力が違います。何も準備せずに臨むと、知っているはずのことでも言葉が出てこないことがあります。

準備としては、筆記試験の勉強で使ったテキストのうち、不動産登記法と土地家屋調査士法の基本的な決まりを、声に出して説明する練習が効果的です。「表題登記とは何か」「申請しなければならない期限がある登記は何か」「土地家屋調査士の義務にはどのようなものがあるか」といった質問を想定し、30秒ほどで答えられるようにしておきます。家族や知人に質問役を頼んで、実際に口に出して答える練習をすると、本番の緊張を和らげられます。

筆記試験の結果発表から口述試験までは2週間ほどしかありません。筆記試験が終わった後、結果が出るまでの間に、口述試験の準備を少しずつ始めておくと安心です。

合格した後の登録と仕事

土地家屋調査士試験に合格しても、それだけで仕事ができるわけではありません。土地家屋調査士として仕事をするには、事務所を置く地域の土地家屋調査士会を通じて、日本土地家屋調査士会連合会に備えた名簿に登録を受ける必要があります。登録には費用がかかり、会費も毎年必要になるので、合格前から目安を調べておくと安心です。

合格後の働き方は、土地家屋調査士の事務所に勤めて実務を学ぶ形と、独立して自分の事務所を開く形が中心です。実務では、現地での測量、隣の土地の持ち主との境界の確認の立ち会い、法務局への申請、依頼した人への説明など、試験では問われない仕事が多くあります。独学で合格した人でも、最初は事務所に勤めて実務の流れを学ぶのが一般的です。

仕事では、依頼した人や隣の土地の持ち主に、境界や手続きについて文書で説明する場面も多くあります。誤解を生まない文書の書き方の基本を確かめたい人は、社外向けの文書の書き方を学べるビジネス文書検定の内容も参考になります。

運営の現場から見た、働きながら資格を取る人の共通点

在宅ワークとフリーランスの仲介を20年以上続けてきた運営者として見てきた限りでは、働きながら難しい資格に合格する人には、いくつかの共通点があります。1つは、勉強の時間を「空いたらやる」ではなく、生活の中に固定の枠として組み込んでいることです。朝の1時間、昼休みの30分のように、毎日同じ時間に机に向かう習慣ができると、仕事が忙しい時期でも勉強が途切れにくくなります。

もう1つは、自分の弱点を記録して、そこに時間を集中させていることです。土地家屋調査士の試験は、択一式と記述式の両方に基準点があり、どこか1つでも崩れると合格できません。間違えた問題を分類して記録し、毎週見直す習慣は、試験の勉強だけでなく、合格後の実務で同じ誤りを繰り返さないためにも役立ちます。独立した専門家として依頼を受けるようになれば、仲介の手数料が乗らない直接のやり取りで、依頼した人は同じ予算で多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。その関係を長く続けられるかどうかは、試験勉強のころから身につけた丁寧さにかかっています。

まずは、土地家屋調査士の午後の部の過去問題を1年分だけ解いてみて、今の自分にどれくらいの距離があるのかを確かめるところから始めてみてください。申請書や説明の文書の基本を整えたい人は、ビジネス文書検定のページもあわせて確かめておくと、合格後の仕事に向けた準備にもなります。

よくある質問

Q. 土地家屋調査士は独学でも合格できますか?

独学で合格する人もいます。出題の範囲がはっきりしていて、市販のテキストと過去問題集もそろっているためです。ただし令和7年度の合格者は受験者4,824人中489人で、記述式の答案の書き方を自己流で固めるとつまずきやすいので、必要に応じて答練などを部分的に使う人もいます。

Q. 測量士補は先に取ったほうがよいですか?

測量士補となる資格を持つ人は、土地家屋調査士試験の午前の部が申請により免除されます。令和8年の測量士補試験は合格率44.4%で、5月に試験があるため、同じ年の10月の土地家屋調査士試験に向けた流れが作りやすく、多くの受験者がこの道を選んでいます。

Q. 試験ではどんな電卓が使えますか?

法務省の案内では、三角関数などの関数計算の機能がある電卓は使えます。プログラムの機能があるもの、印刷の機能があるもの、アルファベットやかな文字を入力できるもの、電池式以外のものは使えません。予備を含めて2台まで持ち込めるので、練習のときから同じ電卓を使っておくと安心です。

Q. 合格点はどのくらいですか?

令和7年度は、午前の部を免除された人の場合、午後の部で100点中76.0点以上が合格点でした。さらに択一式は50点中37.5点、記述式は50点中32.5点の基準点があり、どちらかが届かないと不合格になります。合格点は年度ごとに発表されるので、受ける年の法務省の資料で確かめてください。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月26日最終更新:2026年11月2日
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