人時生産性を上げるには|計算方法と改善の進め方


この記事のポイント
- ✓人時生産性の計算方法を
- ✓粗利と総労働時間の出し方から具体例つきで解説
- ✓人時売上高や労働生産性との違い
人時生産性とは、働いた人が1時間あたりにどれだけの粗利を生んだかを示す数字です。売上が伸びているのに利益が残らない、人を増やしたのに忙しさが変わらない、という悩みの多くは、この数字を毎月追うだけで原因の当たりがつきます。この記事では、計算方法を具体例で確かめたうえで、数字が下がる原因の見つけ方と、小さな店や事業でも続けられる改善の進め方を順番に説明します。時間の記録には紙やスプレッドシートで足りる場面が多く、複数人で作業の担当と時間を共有したい場合はPinatecaのようなプロジェクト管理の道具も選択肢になります。
人時生産性が注目される背景
人手が足りない、人件費が上がる、という2つの流れが同時に進んでいることが、人時生産性が改めて注目される理由です。少ない人数と時間で、どれだけの利益を生めるかが、店や会社が続くかどうかを左右するようになりました。
人件費が上がり、時間の使い方が利益を左右する
地域別最低賃金は毎年のように引き上げられており、令和8年度の改定も10月から都道府県ごとに順に発効しています。時給が上がれば、同じ売上でも人件費の割合は大きくなります。売上を伸ばすだけでは追いつかず、1時間あたりに生む粗利を伸ばさないと、利益が削られていく構造です。
国もこの流れを支援しています。厚生労働省の業務改善助成金は、生産性を上げる設備投資と賃上げを組み合わせた事業者を後押しする制度です。
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備導入やコンサルティングなど)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。 出典: 厚生労働省 業務改善助成金
賃金を上げながら利益を守るには、1時間で生む価値を伸ばす以外の道はほとんどありません。人時生産性は、その取り組みが効いているかを測る物差しになります。
「人時」という考え方
人時(にんじ)とは、1人が1時間働いた作業量の単位です。2人で3時間かかる作業は6人時、3人で2時間でも同じ6人時と数えます。人数と時間を掛け合わせて1つの数字にすることで、正社員とパートが混ざった職場でも、作業の重さを比べられるようになります。
人時生産性とは、1人が1時間働いた場合にどれだけの粗利が生み出されているかを測る指標です。そもそも人時とは、1人で行う場合に1時間かかる作業量のことを指します。たとえば、2人で1時間かけて終わる作業は2人時、2人で30分かけて終わる作業は1人時となります。 出典: oro.com
スーパーや飲食店のように、時間帯で人数を組み替える業態で古くから使われてきたのはこのためです。最近は事務所やサービス業でも、残業を減らしながら成果を保つための指標として使われるようになっています。
人時生産性の計算方法と具体例
計算式そのものは単純です。迷いやすいのは、式に入れる2つの数字をどこから取ってくるかです。
基本の計算式
人時生産性は次の式で求めます。
- 人時生産性 = 粗利 ÷ 総労働時間
粗利とは、売上から商品の仕入れや材料などの原価を引いた額のことで、会計では売上総利益と呼びます。総労働時間は、その期間に働いた全員の労働時間を合計したものです。
たとえば、ある雑貨店の1か月の数字が次のとおりだったとします。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 売上 | 600万円 |
| 仕入れ原価 | 360万円 |
| 粗利 | 240万円 |
| 正社員2人の労働時間 | 340時間 |
| パート5人の労働時間 | 460時間 |
| 総労働時間 | 800時間 |
この場合、240万円を800時間で割って、人時生産性は3,000円です。働いた1時間ごとに、3,000円の粗利を生んでいたことになります。
粗利の取り方
粗利は、月次の試算表や損益計算書の「売上総利益」の行をそのまま使うのが確実です。会計ソフトを使っていれば、月ごとの数字がすぐに出ます。
サービス業のように仕入れがほとんど無い事業では、売上と粗利がほぼ同じになります。その場合も、外注費や材料費など、売上に直接ひもづく費用は引いておきます。引かないと、外注を増やしたときに見かけの数字だけが良くなり、改善の判断を誤ります。
総労働時間の取り方
総労働時間には、正社員・パート・アルバイト・派遣など、その仕事に関わった人の時間をすべて入れます。経営者や家族の時間も、店に立っているなら入れるのが基本です。抜いてしまうと、経営者が長時間働いて回している店ほど数字が良く見えてしまいます。
時間はタイムカードや勤怠の記録から取ります。休憩時間は除き、実際に働いた時間で数えます。業務委託で手伝ってもらっている人がいる場合は、請求の根拠になっている稼働時間を入れておくと、外に出した仕事の重さも見えるようになります。
計算するときの注意
計算の前提をそろえないと、月ごとの比較ができません。次の3点は最初に決めておきます。
- 期間を決める。月単位で出すなら毎月同じ締め日で区切る
- 入れる人の範囲を決める。本部や事務の時間を含めるかどうかを固定する
- 粗利の定義を決める。外注費や材料費をどこまで原価に含めるかを変えない
一度決めた前提を途中で変えると、数字の上下が改善によるものか、数え方の変化によるものかが分からなくなります。前提はメモに残し、変えるときは過去の数字も同じ前提で出し直します。
人時売上高・労働生産性との違い
人時生産性と似た数字はいくつかあります。それぞれ見ているものが違うので、目的に合わせて使い分けます。
人時売上高との違い
人時売上高は、売上を総労働時間で割った数字です。
人時生産性との違いは、材料費や人件費などのコストを考慮しているかどうかです。人時生産性は1人1時間あたりに生み出す粗利をもとに算出しますが、人時売上高は純粋な売上高のみで計算します。 出典: oro.com
人時売上高は、レジの数字からすぐに出せるので、日々のシフトの組み方を見直すのに向いています。ただし値引きを増やして売上を作った場合、人時売上高は上がっても粗利は増えていないことがあります。利益の面から判断するなら、人時生産性を併せて見ます。
労働生産性との違い
労働生産性は、従業員1人あたりがどれだけの付加価値を生んだかを示す数字です。付加価値とは、売上から外部に支払った原材料費や外注費などを引いた、自社で生み出した価値のことです。人数で割るのが一般的で、国や業界の比較によく使われます。
人数で割る労働生産性は、短時間のパートが多い職場と、フルタイムが多い職場の比較が苦手です。時間で割る人時生産性なら、働き方の違いをならして比べられます。
| 指標 | 計算式 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 人時生産性 | 粗利 ÷ 総労働時間 | 利益の面から、時間の使い方を見直す |
| 人時売上高 | 売上 ÷ 総労働時間 | 日々のシフトや人員の配置を調整する |
| 労働生産性 | 付加価値 ÷ 従業員数 | 他社や業界と比べる、年単位で見る |
どの数字を追えばよいか
小さな店や事業なら、まず人時生産性を月に1回出すところから始めるのが現実的です。そのうえで、日々の人員配置には人時売上高を使うと、月の結果と日々の動きがつながります。労働生産性は、金融機関に事業計画を説明するときや、同業と比べたいときに出せば足ります。
人時生産性が下がる5つの原因
数字が下がったときに、どこを見ればよいかを整理しておくと、対策が早く決まります。原因は大きく5つに分けられます。
1つ目:忙しさと人の配置が合っていない
客が少ない時間帯に人が多く、混む時間帯に人が足りない状態です。総労働時間は同じでも、待ち時間が増えるぶん粗利につながらない時間が増えます。時間帯ごとの売上と出勤人数を並べると、ずれている時間帯がすぐに見つかります。
2つ目:粗利の低い商品やサービスに時間を取られている
手間がかかるのに粗利の低い仕事が増えると、働いた時間に対して残る利益が減ります。売上の上位だけを見ていると気づきにくい原因です。商品やサービスごとに、かかる時間と粗利を並べてみると、時間の割に利益が残らないものが分かります。
3つ目:やり直しと確認待ちが多い
注文の取り違え、書類の差し戻し、指示の聞き直しは、すべて粗利を生まない時間です。1回あたりは数分でも、毎日重なると月に数十時間になります。やり直しが起きた理由を記録すると、手順の穴や情報の伝わり方の問題が見えてきます。
4つ目:仕事が特定の人に集中している
ベテランにしか分からない仕事があると、その人が休んだ日や忙しい日に全体の流れが止まります。ほかの人は手が空いているのに、仕事が回らない状態です。誰がどの仕事を担当できるかを一覧にすると、偏りが分かります。
5つ目:記録と集計に時間がかかっている
売上や在庫、勤怠の記録を手で書き写していると、その作業自体が時間を食います。同じ数字を何度も入力している場面があれば、改善の余地があります。
人時生産性を上げる方法とポイント
人時生産性を上げる道は2つしかありません。粗利を増やすか、同じ粗利を少ない時間で生むかです。どちらから手を付けるかは、原因の見立てで決めます。
粗利を増やす方法
時間をかけずに粗利を増やすには、売り方を変えます。
- 粗利の高い商品やサービスを目立つ場所や先頭に並べる
- セット販売や追加の提案で、1回の購入額を伸ばす
- 手間の割に粗利の低い仕事の価格を見直す、または受けない
価格の見直しは勇気が要りますが、人件費が上がる中で手間のかかる仕事を据え置くと、働くほど利益が減ります。かかっている時間を数字で示せると、取引先にも説明しやすくなります。
時間を減らす方法
同じ粗利を少ない時間で生むには、粗利につながらない時間を削ります。
- 時間帯ごとの売上に合わせてシフトを組み直す
- やり直しの多い作業の手順を見直し、確認のしかたを決める
- 同じ数字を何度も書き写す作業をやめ、1回の入力で済ませる
- 誰でもできるように手順書を作り、仕事の偏りをならす
ここで注意したいのは、時間を減らすことが人を減らすことと同じではない点です。空いた時間を接客や新しい商品の準備に回せば、粗利の側も伸びます。
人の配置を見直す方法
人時生産性は、人の働き方を責める数字ではありません。同じ人でも、得意な仕事に就けば時間あたりの成果は大きく変わります。評価や配置の見直しと組み合わせると効果が出やすくなります。
人の配置を考えるうえでは、経営の全体を見渡す視点も役立ちます。中小企業の経営課題を整理し、改善の手を打つ専門家として中小企業診断士があり、生産性の改善を外部の目で進めたいときの相談先になります。
人時生産性を改善する進め方のステップ
改善は一度で終わりません。測る、原因を絞る、手を打つ、もう一度測る、の繰り返しです。次の5つのステップで進めます。
- 過去3か月から6か月の人時生産性を同じ前提で出す
- 時間帯別・作業別・商品別に分けて、下がっている場所を探す
- 原因を1つに絞り、試す対策を1つ決める
- 対策を1か月続けて、同じ前提で数字を出し直す
- 効いた対策は手順として残し、効かなかったものはやめる
ステップ3で対策を1つに絞るのがポイントです。シフトの見直しと価格の改定を同時に行うと、どちらが効いたのかが分かりません。
改善の目標の決め方
業界の平均や目安の金額を挙げる情報もありますが、粗利率は業種や商品の構成で大きく変わります。他社の数字と比べるよりも、自分の店や事業の過去の数字と比べるほうが確実です。まず前年の同じ月より伸ばすこと、次に賃上げの幅を上回って伸ばすことを目標にすると、人件費が上がっても利益を守れます。
たとえば時給を4%上げるなら、人時生産性も少なくとも4%伸ばさないと、粗利に占める人件費の割合が大きくなります。目標を賃上げの幅と結び付けると、現場にも理由が伝わりやすくなります。
現場の協力を得るには
人時生産性を掲げると、現場は「もっと速く働けということか」と受け取りがちです。数字を出す前に、目的が働く人を急かすことではなく、無駄な待ち時間ややり直しを減らすことだと伝えます。改善で空いた時間をどう使うかを一緒に決めると、協力を得やすくなります。
時間の記録と集計に使える道具
人時生産性を出すには、誰が、どの仕事に、何時間使ったかの記録が必要です。道具は事業の大きさに合わせて選びます。
紙とスプレッドシートで足りる場面
従業員が数人で、作業の種類も少ないなら、紙の日報とスプレッドシートで十分です。日付・名前・作業の区分・時間の4列を作り、月末に作業区分ごとの合計を出すだけで、どの仕事に時間がかかっているかが分かります。
スプレッドシートなら、作業区分ごとの合計はSUMIF関数で出せます。粗利を月の合計時間で割る式を1つ作っておけば、毎月の数字が自動で出ます。最初から大きな仕組みを入れるより、まず1か月記録を続けることのほうが大切です。
勤怠管理システムを使う場面
パートやアルバイトが多く、シフトが複雑な職場では、勤怠管理システムを使うと総労働時間を手で集計する手間が省けます。打刻の記録から時間帯ごとの出勤人数が出せる製品なら、人時売上高の分析にもそのまま使えます。
複数人で作業と時間を共有したい場面
案件ごとに担当者が分かれる事務所や、業務委託の人と一緒に仕事を進める場合は、誰が何を担当し、どの作業に何時間かかったかを共有できる道具が役立ちます。
その選択肢の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバンやガントチャートなど8種類のボードとチャットが無料プランから使え、5人までのチームなら期限なしで無料です。カードには「見積工数」などの項目をカスタムフィールドで追加できます。追加のオプションの稼働タイムシートは、業務委託の稼働を記録して請求の根拠にするための機能で、案件と作業区分ごとに0.5時間刻みで時間を入力し、担当者別・案件別・作業別に集計してCSVで書き出せます。料金は入力する人1人あたり月額980円(年払いの場合は月額780円、税抜)です。粗利の計算そのものは会計ソフトの数字を使うので、Pinatecaは作業ごとの時間を見える形にする道具と考えてください。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
業種別に見る人時生産性の使い方
人時生産性の考え方は同じでも、どこを見るかは業種で変わります。代表的な3つの業態で、見るべきポイントを整理します。
小売店・スーパー
小売では、売場の品出し、レジ、発注と、作業ごとに時間の使い方を分けて見ます。品出しの時間帯を客の少ない時間に寄せる、発注の作業を決まった時間にまとめる、といった見直しが効きやすい業態です。曜日と時間帯ごとの売上を並べ、人数が多すぎる時間帯を探すところから始めます。
飲食店
飲食店では、仕込みと営業中の時間を分けて記録します。仕込みに時間がかかるメニューの粗利が低い場合、メニューの構成を見直すだけで人時生産性が変わります。ピークの時間に厨房とホールの人数がかみ合っているかも、重要な確認点です。
事務所・サービス業
事務所や専門サービスでは、案件ごとにかかった時間と粗利を並べます。見積もりより時間がかかった案件が続いているなら、見積もりの前提か作業の進め方に問題があります。社内の会議や移動の時間も、どこまで総労働時間に入れるかを決めておきます。
介護や福祉の事業所では、記録の作業が大きな負担になりがちです。記録を電子化する取り組みについては、介護・福祉事業所のDX化2026|IT導入補助金で介護記録を完全デジタル化で、補助金の使い方と合わせて解説しています。
個人で働くフリーランス・在宅ワーク
人時生産性の考え方は、1人で仕事を受けているフリーランスや在宅ワークにもそのまま使えます。1か月の報酬から、外注費や素材の購入費など仕事に直接かかった費用を引き、その月に仕事に使った時間で割ります。営業のメールや見積もり、請求の作業の時間も入れるのがポイントです。
案件ごとにこの数字を出すと、報酬の額は大きいのに時間がかかりすぎて、1時間あたりでは低くなっている案件が見つかります。逆に、報酬は小さくても短時間で終わる案件は、時間あたりで見ると条件が良いことがあります。単価の交渉や、受ける案件を選ぶときの判断材料として、報酬の額面ではなく時間あたりの数字を見る習慣を付けると、同じ働く時間でも手元に残る額が変わってきます。
計算例で見る改善の効果
数字の動きを具体的に追うと、どの対策がどれだけ効くのかが見えてきます。計算方法の節で例に出した雑貨店(粗利240万円、総労働時間800時間、人時生産性3,000円)で、2つの対策を順に試した場合を考えます。
対策1:客の少ない時間帯のシフトを見直す
時間帯ごとの売上を並べたところ、平日の開店から2時間は売上が1日の1割に満たないのに、3人が出勤していました。この時間帯を2人に減らし、品出しと発注の作業をこの時間にまとめることにしました。平日20日間で1日2時間、1人分を減らすと、月に40時間が浮きます。
粗利が変わらなければ、240万円を760時間で割って、人時生産性は約3,158円になります。浮いた40時間を別の日の混雑時間に回せば、総労働時間は同じでも、レジ待ちで帰ってしまう客を減らせる可能性があります。
対策2:手間の割に粗利の低いサービスを見直す
この店では、包装の無料サービスに月60時間ほどかかっていました。包装を有料にしたところ、利用は半分に減り、時間は30時間になりました。包装の料金から月に6万円の粗利が新たに生まれたとします。
この場合、粗利は246万円、総労働時間は730時間です。人時生産性は約3,370円になり、最初の3,000円から1割以上伸びました。1つずつ対策を試して数字を出し直したことで、どちらがどれだけ効いたのかを説明できます。
例から分かること
人時生産性を伸ばすのに、必ずしも大きな投資は要りません。時間帯ごと、作業ごとに時間を分けて記録するだけで、手を付けるべき場所が見つかります。数字を出す前に対策を決めると、効果の小さいところに力を使ってしまいます。順番は、記録してから原因を絞り、そのうえで手を打つ、です。
スプレッドシートで集計表を作る手順
専用の道具を入れる前に、スプレッドシートで集計表を作っておくと、どの数字が必要かがはっきりします。Excel でも Google スプレッドシートでも同じ手順で作れます。
シートの作り方
シートは2枚に分けます。
- 記録用のシート。日付・名前・作業区分・時間の4列を作り、1行に1件ずつ入力する
- 集計用のシート。月ごとの粗利と、作業区分ごとの合計時間、人時生産性を並べる
記録用のシートは、入力する人が迷わないように作業区分の選び方を固定します。入力規則で選択肢から選ぶ形にすると、「品出し」と「品だし」のような表記の揺れを防げます。
集計の式
集計用のシートでは、作業区分ごとの時間をSUMIF関数で合計します。たとえば記録用のシートのC列に作業区分、D列に時間が入っているなら、品出しの合計は「=SUMIF(記録!C:C,"品出し",記録!D:D)」で出せます。月の総労働時間はD列全体の合計です。人時生産性は、粗利のセルを総労働時間のセルで割る式を1つ作るだけです。
月ごとに分けたい場合は、日付の列から月を取り出した列を1つ追加し、SUMIFS関数で月と作業区分の2つの条件で合計します。過去の月と横に並べておけば、改善の前と後を比べる表がそのまま完成します。
続けるための工夫
記録は、1日の終わりに5分で書ける形にします。細かく分けすぎると書く手間が増え、続きません。作業区分は5つから8つ程度に絞り、それ以外は「その他」にまとめます。その他の時間が大きくなってきたら、中身を見て区分を追加します。
記録を始めた最初の1か月は、数字の正しさよりも、全員が毎日書くことを優先します。書き漏れが多い日があっても、まずは習慣にすることが先です。2か月目からは、勤怠の記録と日報の時間の合計が大きくずれていないかを週に1回確かめ、ずれが大きい人には書き方をもう一度伝えます。こうして3か月ほど続けると、改善の前と後を比べられるだけの記録がそろいます。
数字をチームで共有する方法
人時生産性は、経営者だけが見ていても改善につながりません。現場で働く人が数字の意味を知り、自分の仕事とのつながりを理解して、はじめて対策が動き出します。
月に1回、同じ形で見せる
毎月の締めのあとに、人時生産性・粗利・総労働時間の3つを同じ表で示します。前月と前年の同じ月の数字を並べ、上がったか下がったかを一目で分かるようにします。数字が下がった月は、どの時間帯や作業で時間が増えたのかも添えると、話し合いがすぐに具体的になります。
見せ方を毎月変えると、比べる手間がかかり、数字への関心も続きません。表の形は最初に決めて固定し、変えるのは中身の数字だけにします。
改善の案は現場から集める
時間帯ごとの混み具合や、やり直しが起きやすい作業は、現場で働く人が一番よく知っています。数字を示したうえで、どこに無駄な待ち時間があるか、どの作業が二度手間になっているかを聞くと、経営者だけでは気づかない案が出てきます。
出てきた案は、試す順番を決めて1つずつ実行します。採用した案が数字にどう効いたかを翌月に報告すると、次の案も出やすくなります。
個人を責める場にしない
数字を共有する場で、特定の人の働き方を取り上げると、次から本当のことが出てこなくなります。話題にするのは、作業の手順・人の配置・商品の構成といった仕組みの側です。人時生産性は職場全体の時間の使い方を映す数字だと、共有の場で繰り返し伝えます。
改善の取り組みで注意したいこと
人時生産性は便利な数字ですが、追い方を誤ると逆効果になります。次の3点に注意します。
数字だけで人を評価しない
人時生産性は職場全体や作業の単位で見る数字です。1人ひとりの評価に直接使うと、手間のかかる仕事を避ける人が増え、全体の数字はかえって下がります。
時間を削りすぎない
時間を削ることだけを目標にすると、接客や品質の確認がおろそかになります。客の満足が下がれば、あとから粗利が落ちます。削るのは待ち時間ややり直しのような、価値を生まない時間に限ります。
法令で決まった時間は守る
労働時間の記録を正確に付けることは、人時生産性の計算の前提であると同時に、事業者の義務でもあります。記録上の時間を短く見せても、数字が良くなるだけで実態は変わりません。働いた時間はそのまま記録し、そのうえで改善を考えます。
助成金や補助金を改善に使う
設備や道具を入れて時間を減らす場合、国の助成金や補助金が使えることがあります。
業務改善助成金
背景の節で引用した厚生労働省の業務改善助成金は、生産性を上げる設備投資と、事業場内の最低賃金の引き上げを組み合わせた場合に、費用の一部を助成する制度です。厚生労働省のページによると、令和8年度の申請分は、納品・支払い・賃金の引き上げのすべてを交付決定の属する年度の1月31日までに終える必要があります。対象は従業員がいる事業者で、これから実施する投資と賃上げが対象です。助成の上限額や助成率は、引き上げる額と人数で変わるので、申請の前に厚生労働省のページと申請マニュアルで確かめます。
テレワークや業務の電子化
事務作業の時間を減らすには、書類の電子化やテレワークの導入も手段になります。テレワークに関わる助成金の考え方は、テレワーク 助成金 2026で整理しています。どの制度も年度ごとに条件が変わるので、使うときは必ず最新の公募要領を確かめます。
外の力を借りて人時生産性を上げる
社内の時間をすべて自分たちで回そうとすると、粗利につながらない作業まで抱え込むことになります。外の力を借りるのも、人時生産性を上げる方法の1つです。
外注する仕事の選び方
外注に向くのは、手順が決まっていて、社内の人がやると時間のかかる仕事です。データの入力、資料の作成、ホームページの更新などが代表例です。社内の人の時間を、接客や商品づくりのような粗利を直接生む仕事に回せます。
外注するときは、その費用も粗利の計算に入れます。外注費を原価に含めたうえで人時生産性が上がっているかを確かめると、外に出したことが本当に効いているかが分かります。
業務の電子化を任せる
業務の電子化やAIの活用は、自社だけで進めるより、経験のある人に任せたほうが早いことがあります。業務にAIを取り入れる支援の仕事についてはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で、どんな相談に乗ってもらえるかを紹介しています。社内の手作業を減らす仕組みを作る側の仕事として、アプリケーション開発のお仕事も参考になります。
運営者として見てきたこと
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、外注がうまくいく事業者ほど、頼む仕事の中身と時間の見込みを最初に書き出しています。何にどれだけ時間がかかっているかを把握している事業者は、外に出す仕事の範囲もはっきりしているので、受け手も見積もりを出しやすく、やり取りの回数も少なく済みます。人時生産性を測ることは、社内の改善だけでなく、外の人と組むときの準備にもなります。
仲介の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、同じ予算で頼める仕事の量が増え、受け手の手取りも厚くなります。依頼する側は時間あたりの粗利を伸ばせて、受ける側は時間あたりの収入を伸ばせる。双方の人時生産性が上がる形です。
人時生産性は、一度出して終わりにする数字ではありません。毎月同じ前提で出し続けることで、手を打った対策が効いたかどうかが分かるようになります。まずは先月1か月分の粗利と総労働時間を集め、1つ目の数字を出すところから始めてください。経営の改善を専門に支える中小企業診断士の資格の内容を知っておくと、外部の専門家に相談するときの手がかりにもなります。
よくある質問
Q. 人時生産性の計算に経営者の労働時間は含めますか?
経営者や家族が店に立って現場の仕事をしているなら、その時間も総労働時間に含めるのが基本です。含めないと、経営者が長時間働いて回している状態ほど数字が良く見え、実態とずれます。経営や事務の時間を分けて扱いたい場合は、含める範囲を最初に決め、毎月同じ前提で計算することが大切です。
Q. 人時生産性の目安はいくらですか?
業種や商品の構成で粗利率が大きく違うため、共通の目安で良し悪しを判断するのはおすすめしません。自分の店や事業の過去の数字と比べ、前年の同じ月より伸びているか、賃上げの幅を上回って伸びているかを確かめるほうが確実です。同業と比べたいときは、計算の前提がそろっているかを先に確かめます。
Q. 人時売上高と人時生産性はどちらを使えばよいですか?
利益の面から時間の使い方を判断するなら人時生産性、日々のシフトや人員の配置を調整するなら人時売上高が向いています。人時売上高はレジの数字からすぐ出せますが、値引きで売上を作ると粗利が増えていなくても上がります。月に1回は人時生産性を出し、両方を合わせて見るのが実用的です。
Q. パートの多い職場でも人時生産性は使えますか?
使えます。むしろ人数でなく時間で割るため、短時間で働く人が多い職場ほど向いている数字です。正社員とパートの時間をすべて合計して総労働時間とし、粗利を割ります。時間帯ごとの出勤人数と売上を並べると、人が多すぎる時間帯や足りない時間帯が見つかり、シフトの見直しにつなげられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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