着付けの資格を通信で取る流れと、出張着付けの仕事を受けるまで


この記事のポイント
- ✓着付けの資格を通信講座で取る流れと
- ✓国家検定の着付け技能士との違い
- ✓通信で身につく範囲と足りない練習
着付けの資格を通信で取りたいと考える人の多くは、「教室に通う時間はないけれど、着付けを仕事にしたい」「成人式や卒業式の出張着付けを受けられるようになりたい」と考えています。
最初に整理しておくと、着付けの資格には2つの種類があります。1つは、民間の団体や講座の会社が出している認定資格で、多くは通信講座で取れます。もう1つは、国家検定の「着付け技能士」で、こちらは実務経験が受検の条件になっており、通信講座だけで取れるものではありません。
この記事では、2つの資格の違い、通信で学べる範囲と学べない範囲、出張着付けの仕事を受けるまでの準備、美容師の免許が関わる場面、料金の決め方を、国家検定の実施機関の公表内容と法律の条文をもとに順に整理します。
着付けの資格は2種類ある
着付けの資格は、大きく民間の資格と国家検定に分かれます。
| 種類 | 例 | 取り方 | 受ける条件 |
|---|---|---|---|
| 民間の資格 | 着付けインストラクター、着物の知識の認定など | 通信講座や教室の修了、課題の提出 | 講座ごとに決まる |
| 国家検定 | 着付け技能士(1級・2級) | 学科試験と実技試験に合格 | 着付けの実務経験など |
民間の資格
民間の資格は、講座を開いている会社や協会が独自に認定するものです。通信講座で教材を学び、課題を提出して合格すると資格が認定される形が多くなっています。ある通信講座の会社は、講座の特徴を次のように説明しています。
諒(りょう)設計アーキテクトラーニングのスペシャル講座なら、「着物マイスター®」と「着付け方インストラクター」の2資格を家にいながら、オンライン講座なら1ヶ月、紙教材なら2ヶ月で課題を提出するだけで100%資格取得できます。 出典: designlearn.co.jp
このように、民間の資格は短い期間で、自宅で取れるものが多いのが特徴です。一方で、資格の名前や認定の基準は講座ごとに違い、資格を持っていることが、そのまま着付けの技術の高さを示すとは限りません。資格は、学んだことの証明と、お客様に安心してもらうための材料として使うものだと考えておきましょう。
国家検定の着付け技能士
着付け技能士は、職業能力開発促進法にもとづく技能検定の1つです。技能検定とは、働く人の技能の水準を国が定めた基準で検定する制度のことで、合格すると「技能士」と名乗れます。厚生労働省が公表している指定試験機関の一覧では、着付けの職種の試験を行う機関は一般社団法人全日本着付け技能センターです。
着付け技能士は1級と2級があり、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。受検の条件は次の節で整理します。
国家検定の着付け技能士の受検条件と試験の中身
全日本着付け技能センターのページによると、学科試験を受けるには、着付けの実務経験が必要です。ここでいう実務経験は、他の人に着物を着せる「他装」か、着付けの指導の仕事に携わった経験のことで、必要な年数は、学校の卒業や職業訓練の修了、美容師の免許の有無によって変わります。
通信講座で民間の資格を取っただけでは、実務経験として数えられない点に注意してください。着付け技能士を目指す人は、民間の資格を取ったあと、実際に着付けの仕事を重ねてから受検することになります。
試験の中身
学科試験の範囲には、着物の歴史や各部の名称と寸法、文様、男女の着物の違い、たたみ方、繊維と織物・染物の知識、着用の時季、着物の格と家紋、帯の種類、小物の用途、着物と帯と小物の合わせ方、着付けの心得と作法と技法、そして美容師法のうち着付けに関する部分が含まれます。
実技試験は、決められた時間の中で着付けができるかを見るもので、1級では浴衣、街着、付下げ、訪問着、付下げ訪問着、色留袖、黒留袖、中振袖、紋服(羽織・袴)が対象に挙げられています。
令和8年度の日程と費用
センターが公示した令和8年度第1回の学科試験は、令和8年6月9日に札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡で行われました。試験時間は1級・2級とも60分で、合否の基準は1級が100点満点で70点以上、2級が60点以上です。申請の受付は3月2日から4月30日まででした。
受検料は、厚生労働省の指定試験機関の一覧とセンターのページで、1級・2級とも学科試験11,400円、実技試験23,000円です。両方を受けると合計34,400円になります。次の年度の日程は、センターのページで公示されるので確かめてください。
着付け技能士を目指すまでの道のり
民間の資格から始めて、将来は国家検定の着付け技能士を目指したいと考える人も多いでしょう。その道のりを整理しておきます。
実務経験を記録に残す
学科試験を受けるには、他装か着付け指導の実務経験が必要です。出張着付けや着付け教室の仕事を始めたら、いつ、どこで、誰に、どの着物を着付けしたか、指導した場合は何回の講座を担当したかを記録しておきましょう。勤め先がある場合は、在籍の期間と仕事の内容を証明してもらえるかも確かめておくと、受検の申請のときに慌てずに済みます。必要な実務経験の年数は、学校の卒業や職業訓練の修了の有無で変わるので、自分の場合の年数をセンターのページで確かめてください。
学科試験の免除を確かめる
センターのページには「試験免除について」の案内があり、一定の資格や実務の経歴がある人は、学科試験の免除を受けられる場合があります。自分が当てはまるかを、受検の前に確かめておきましょう。
学科と実技の順番
実技試験を受けられるのは、同じ級か上の級の学科試験に合格した人、または学科試験を免除された人です。学科試験の合格には期限があり、合格した日の翌日から数えて2年を過ぎる日が含まれる年度の末日までに行われる実技試験を受ける場合に限られます。学科に合格したら、期限内に実技に合格できるよう、練習の計画を立てておく必要があります。
実技試験に向けた練習
実技試験では、決められた時間の中で、複数の種類の着物を着付けできるかが問われます。1級では黒留袖や中振袖、紋服(羽織・袴)まで対象に入っています。普段の仕事で扱わない着物があれば、試験の前に練習の機会を作っておきましょう。協力してくれるモデル役の人を確保しておくことも、準備の大切な一部です。
着付けの仕事の種類
着付けの技術を活かせる仕事は、出張着付けだけではありません。代表的な働き方を整理します。
出張着付け
お客様の自宅や式場、ホテルなどに出向いて着付けをする仕事です。成人式、卒業式、結婚式、七五三、お宮参りなど、人生の節目の行事が中心になります。自分で日程を決めて受けられるため、副業としても始めやすい形です。
着付け教室の講師
自分で着物を着たい人に、着付けを教える仕事です。自宅や公民館、オンラインで教室を開く方法があります。教える立場になるには、自分で着る技術に加えて、相手に分かりやすく伝える力が求められます。
写真館や式場、美容室の着付けスタッフ
写真館での撮影の着付けや、結婚式場、美容室での着付けを担当する仕事です。繁忙期だけの臨時スタッフを募集するお店もあります。現場で多くのお客様を着付けする経験は、技術を上げるうえでも、着付け技能士の受検に必要な実務経験を積むうえでも役に立ちます。
着物のレンタル店や販売店
観光地の着物レンタル店や、着物の販売店で、お客様への着付けや着物選びの相談を担当する仕事です。着物の知識を活かして、お客様に合った着物や小物を提案する力が求められます。
どの働き方でも、最初は現場で経験を積み、技術と実績ができてから独立する人が多くいます。通信で資格を取ったあと、いきなり独立するより、まずはお店の臨時スタッフなどで経験を積むほうが、技術も人脈も育ちやすくなります。
通信講座で学べることと、学べないこと
通信講座は、時間や場所を選ばずに学べる便利な方法ですが、着付けという技術の性質上、通信だけでは身につきにくい部分もあります。
通信で学びやすいこと
・着物の種類と格、季節ごとの着分け
・帯や小物の名前と使い方
・着物のたたみ方や手入れ
・着付けの手順の流れ(動画や図で確認できる)
・礼装の決まりごとや、場面に合った装いの選び方
こうした知識は、テキストや動画で何度も繰り返し学べる通信講座に向いています。お客様から「この着物はこの式に着ていけるか」と聞かれたときに答えられる知識は、着付けの仕事の信頼に直結します。
通信だけでは身につきにくいこと
・他の人に着せる「他装」の手の感覚
・体型の違う人に合わせて補正する技術
・限られた時間の中で着付けを終える速さ
・着崩れしない締め加減の調整
特に他装は、自分で着る「自装」とはまったく違う技術です。相手の体の向き、立ち位置、手の動かし方が変わるため、自分で着られる人でも、人に着せるには別の練習が必要です。通信講座の動画で手順を理解しても、実際に人に着せる練習を重ねなければ、仕事として受けられる水準には届きません。
通信講座を選ぶ場合は、実技の添削や、オンラインでの個別指導、対面のスクーリングがあるかを確かめておくとよいでしょう。
お客様に聞かれやすい着物の格の知識
出張着付けの仕事では、着付けの技術と同じくらい、着物の知識が問われます。お客様から「この着物で式に出てよいか」と聞かれたときに答えられると、信頼が大きく高まります。着付け技能士の学科試験でも、着物の格や用途別の種類、家紋は出題の範囲に入っています。
一般的な目安として、よく聞かれる着物の位置づけを整理します。
・黒留袖:既婚の女性の第一礼装とされ、結婚式で新郎新婦の母親や近い親族が着ることが多い
・色留袖:紋の数によって格が変わり、五つ紋なら黒留袖と同じ格として扱われることがある
・振袖:未婚の女性の第一礼装とされ、成人式や結婚式の参列で着られる
・訪問着:準礼装として、結婚式の参列、式典、パーティーなどで幅広く着られる
・付下げ:訪問着より控えめな柄づけで、訪問着に近い場面で着られる
・色無地:一つ紋を入れると、式典やお茶会などで着られる
・小紋:全体に柄が入った普段着や外出着で、格式の高い式には向かない
ただし、着物の格の考え方は、地域や家の習わし、式の性格によって違うことがあります。お客様に答えるときは、一般的な目安として伝え、「式を主催する側やご家族の考えも確かめてください」と添えると、思い込みによる失敗を防げます。
帯や小物の組み合わせも、格に合わせる必要があります。礼装の着物に普段使いの帯を合わせると、ちぐはぐな印象になります。お客様が持参した帯や小物が着物の格に合っていない場合は、当日になって慌てないよう、事前の確認の段階で伝えておくのが親切です。
こうした知識は、通信講座のテキストで体系的に学べる分野です。資格を取ったあとも、お客様から受けた質問を書き留めておき、調べて答えられるようにしておくと、知識が仕事の中で深まっていきます。
通信講座の選び方
通信で着付けの資格を取る講座は数多くあります。選ぶときに確かめたい点を整理します。
1. 資格の目的に合っているか
自分で着物を着られるようになりたいのか、人に着せる仕事をしたいのか、着付けを教える講師になりたいのかで、選ぶべき講座が変わります。出張着付けを仕事にしたい人は、他装の内容が含まれているかを必ず確かめてください。
2. 実技の確認の方法
動画を見て学ぶだけの講座もあれば、自分の着付けの写真や動画を送って添削を受けられる講座もあります。他装の技術を身につけたい人は、添削や個別の指導がある講座を選ぶほうが上達が早くなります。
3. 費用の総額
受講料、教材費、着付けの道具、課題の提出料、資格の認定料、更新料など、資格を取るまでに必要な費用をすべて合計して比べます。着物や帯を持っていない人は、練習用の着物と帯、小物をそろえる費用も見込んでおきましょう。
4. 認定の基準
「課題を提出すれば必ず取れる」講座と、「試験に合格しないと取れない」講座があります。前者は取りやすい代わりに、資格そのものが技術の証明として受け取られにくい面があります。後者は時間がかかる代わりに、合格したことが一定の水準の証明になります。お客様にどう見られたいかを考えて選びましょう。
5. 資格を取ったあとの支援
講師としての活動の支援、仕事の紹介、上位の資格への道があるかなど、資格を取ったあとの道筋も講座によって違います。
通信講座を最後まで続けるための工夫
通信講座は自分のペースで進められる一方、締め切りや仲間がいないため、途中で手が止まりやすい学び方でもあります。最後まで続けるための工夫を紹介します。
学ぶ時間を決めておく
「時間があるときに進める」と考えると、忙しい時期に後回しになります。週に何日、何時から何分と、学ぶ時間をあらかじめ決めておきましょう。着付けの練習は、着物を広げて片付ける時間も含めて、1回あたり1時間ほどまとめて取れる日を選ぶと進めやすくなります。
練習の様子を記録する
自分の着付けを写真や動画で撮っておくと、上達が目に見えて分かります。最初の頃の写真と比べると、衿の合わせ方や帯の形がきれいになっていることに気づき、続ける力になります。添削を受けられる講座なら、記録した動画をそのまま提出に使えます。
着物を着る機会を作る
学んだ着付けで実際に出かける予定を作ると、練習の目標がはっきりします。近所への買い物や食事など、短い外出から始めると、着崩れの直し方や、着物での動き方も身につきます。
分からないことをためない
テキストや動画で分からない手順があったら、そのままにせず、講座の質問の窓口を使って早めに解決しましょう。分からないまま次に進むと、他装の練習の段階でつまずきます。
練習の積み方
通信講座で知識を学んだあと、仕事として受けられる技術を身につけるには、練習の積み方が大切です。
自装から他装へ
まずは自分で着物を着る練習を重ね、着物の各部の名前と手順を体で覚えます。そのうえで、家族や友人に協力してもらい、他装の練習に進みます。最初は浴衣から始め、慣れたら小紋、訪問着、振袖と、格の高い着物や手順の多い着物に広げていきます。
時間を測る
仕事の着付けでは、決められた時間の中で終える必要があります。練習のたびに時間を測り、記録しておくと、自分の上達が数字で分かります。成人式の朝のように、何人ものお客様を続けて着付けする日を想定して、1人あたりの時間を縮める練習もしておきましょう。
体型の違う人で練習する
体型によって、補正の仕方や帯の位置が変わります。家族や友人など、体型の違う複数の人に協力してもらうと、仕事で出会うさまざまなお客様に対応できる力がつきます。
着崩れを確かめる
着付けが終わったあと、協力してくれた人に少し歩いたり座ったりしてもらい、着崩れしないかを確かめます。式典や撮影では長い時間着物を着ることになるので、時間が経っても崩れない着付けができるかが、仕事の評価を左右します。
出張着付けの仕事を受けるまで
技術が身についたら、出張着付けの仕事を受ける準備に進みます。
美容師の免許が必要になる場面を知る
出張着付けで最初に知っておくべきなのが、美容師法との関係です。美容師法の第2条は、「美容」を次のように定義しています。
この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。 出典: e-Gov 法令検索(美容師法)
そして第6条には、「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と書かれています。結髪とは髪を結い上げること、化粧とはメイクのことです。つまり、着付けと一緒に髪のセットやメイクを頼まれた場合、それを仕事として行うには美容師の免許が必要になります。
成人式や結婚式の支度では、着付けとヘアセットとメイクをまとめて頼みたいお客様が多くいます。美容師の免許を持っていない人は、着付けだけを受け、ヘアセットとメイクは美容師に任せる形にする必要があります。美容師と組んで仕事を受ける方法もあります。
着付けだけを行う場合の扱いや、どこまでが美容に当たるかの判断に迷うときは、自分で決めつけず、地域の保健所に確認してください。着付け技能士の学科試験に「美容師法のうち着付けに関する部分」が含まれているのも、この関係を正しく理解しておく必要があるからです。
サービスの内容を決める
出張着付けで受ける内容を決めます。
・対応する着物の種類(浴衣、小紋、訪問着、振袖、袴、留袖など)
・出張する地域と交通費の扱い
・早朝の対応ができるか(成人式や卒業式は早朝の依頼が多い)
・着物や小物を持っていないお客様への対応(持ち込みだけにするか)
・着付けの前の準備(肌着や補正用のタオルをお客様に用意してもらうか)
道具をそろえる
腰紐、伊達締め、帯板、帯枕、クリップ、補正用のタオルなど、お客様が持っていない場合に備えた道具を一式そろえておきます。予備を多めに持っていくと、当日の不足に対応できます。道具は持ち運びやすいよう、1つのかばんにまとめ、何をいくつ入れたかの一覧を作っておくと、出発前の確認が早くなります。使った道具は、お客様ごとに清潔な状態に戻してから次の現場に持っていくようにしましょう。肌に直接触れる補正用のタオルなどは、使い回さずに洗濯した物を用意しておくと、お客様に安心してもらえます。
お客様の着物を扱うときの決まりを作る
出張着付けでは、お客様の大切な着物を扱います。高価な着物や、家族から受け継いだ着物もあります。着付けの前に着物の状態を一緒に確認し、汚れや傷があればその場で伝えておくと、後で行き違いが起きにくくなります。万一、着物を傷めたときに備えて、賠償責任保険への加入も考えておきましょう。
当日の段取りでトラブルを防ぐ
出張着付けでは、当日の段取りが仕事の評価を大きく左右します。よく起きるトラブルと、防ぐための段取りを整理します。
前日までの確認
前日までに、お客様に連絡して、時間、場所、着物の種類、用意してもらう物を確認します。特に、肌着、足袋、補正用のタオル、腰紐の本数など、お客様に用意してもらう物は、一覧にして事前に送っておくと、当日の不足が減ります。着物や帯を前日までに広げて、しわや汚れがないか確かめてもらうよう伝えておくのも大切です。
当日の到着と準備
約束の時間より早めに到着し、着付けをする部屋の広さ、鏡の位置、着物を広げる場所を確かめます。着物を床に直接置かないよう、敷物を持参するとよいでしょう。
着付け中の声かけ
着付けの間は、苦しくないか、締め具合は大丈夫かをこまめに確かめます。緊張しているお客様も多いので、手順を説明しながら進めると安心してもらえます。
着付け後の説明
着付けが終わったら、トイレの行き方、座るときの注意、着崩れたときの直し方を簡単に説明します。お客様が一日を安心して過ごせるよう、着崩れたときに連絡できる方法を伝えておく着付け師もいます。
時間が押したときの対応
成人式の朝のように、何人ものお客様を続けて着付けする日は、1人の遅れが後の全員に響きます。予約を受けるときに、1人あたりの時間に余裕を持たせ、遅れたときの連絡の方法を決めておきましょう。
繁忙期の準備は半年前から
成人式や卒業式の時期は、出張着付けの依頼が最も集中します。この時期に仕事を受けるには、早めの準備が欠かせません。
成人式の着付けの予約は、何か月も前から入り始めます。繁忙期に仕事を受けたい人は、半年ほど前から、受けられる人数と時間帯を決め、予約の受付を始める準備をしておきましょう。早朝の着付けが続くので、体調の管理と、移動の手段の確保も大切です。
1人で受けられる人数には限りがあります。同じ時間帯に複数のお客様を受けたい場合は、他の着付け師と組む、美容室や写真館と連携するなどの方法があります。組む相手とは、料金の分け方や、当日の役割分担、トラブルのときの責任を事前に話し合っておきましょう。
繁忙期は収入が増える時期ですが、無理に予約を詰め込むと、着付けの品質が落ち、次の依頼につながらなくなります。自分が確実にこなせる人数を見極めて予約を受けることが、長く仕事を続けるための基本です。
料金の決め方
出張着付けの料金は、地域や着物の種類、時期によって大きく違い、公的な統計もありません。自分の原価から組み立てるほうが、続けられる料金になります。
料金を組み立てるときに考える項目は次のとおりです。
- 着物の種類ごとにかかる時間(浴衣と振袖では大きく違う)
- 移動にかかる時間と交通費
- 早朝や休日の対応の割増
- 道具の購入費や消耗品
- 資格の講座の費用の回収分
振袖や留袖の着付けは、浴衣より時間がかかり、技術も求められます。着物の種類ごとに料金を分けて示すと、お客様にも分かりやすくなります。
成人式や卒業式の時期は依頼が集中し、それ以外の時期は少なくなります。繁忙期だけで1年の収入を作るのは難しいので、着付け教室、着物での外出の手伝い、お宮参りや七五三の着付けなど、時期の違う仕事を組み合わせることを考えておきましょう。
キャンセルの決まりを先に決める
成人式などの予約は、何か月も前に入ることがあります。予約を受けたあとにキャンセルされると、その時間帯に他の仕事を受けられなくなります。キャンセル料の有無と時期を事前に決め、予約のときに書面やメッセージで伝えておくことが大切です。
着付け教室を開く場合の準備
出張着付けと並行して、自分で着物を着たい人に教える着付け教室を開く方法もあります。繁忙期に収入がかたよりやすい出張着付けと組み合わせると、1年を通して仕事を作りやすくなります。
教える内容を決める
浴衣を自分で着られるようになる短い講座、小紋で外出できるようになる連続講座、袋帯の結び方を学ぶ講座など、目的と回数を決めます。初めての人向けには、浴衣や半幅帯から始める講座が受け入れられやすい内容です。
場所を決める
自宅、公民館、レンタルスペース、オンラインなどの方法があります。自宅で開く場合は、全身が映る鏡と、着物を広げられる広さが必要です。賃貸住宅などでは、規約で営業の目的での使用が制限されていることがあるので、始める前に確かめておきましょう。
教え方を工夫する
自分で着る自装を教えるときは、生徒が鏡を見ながら同じ動きができるよう、向きをそろえて見せる工夫が必要です。左右が逆に見えることで混乱する生徒は少なくありません。手順を写真付きの資料にまとめて渡すと、家に帰ってからの練習にも役立ちます。
料金と決まりを示す
1回あたりの料金、連続講座の料金、着物や帯の貸し出しの有無、欠席したときの振替の扱いを、申し込みの前に分かるように示します。資料や案内文を整える力は、ビジネス文書の基本で身につけられます。ビジネス文書検定では、文書の構成や言葉づかいを体系的に学べます。
集客の方法
出張着付けの集客では、写真が大きな力を持ちます。着付けの仕上がりを写真で見せられると、お客様は依頼するかどうかを判断しやすくなります。お客様の写真を使う場合は、必ず掲載の許可を取り、顔を出さない形も選べるようにしておきましょう。
写真や実績を見せる場を作るときは、ポートフォリオの考え方が参考になります。Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】では、実績が少ない段階で何を見せ、どう並べればよいかを解説しています。着付けの実績でも、「どんな場面の、どんな着物を、どう仕上げたか」を1件ずつ見せる構成は同じです。
また、写真館、美容室、着物のレンタル店など、着付けの需要があるお店と連携する方法もあります。美容室と組めば、ヘアセットとメイクは美容師が、着付けは自分が担当する形で、お客様にまとめて対応できます。
開業と税金の手続き
出張着付けを継続して受けるなら、税金の手続きも必要です。
事業を始めたことを税務署に知らせる「開業届」(個人事業の開業・廃業等届出書)は、国税庁の案内によると、事業を始めた日がある年分の確定申告期限までに提出します。
会社に勤めながら副業として受ける場合は、給与以外の所得が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。勤め先の就業規則で副業が認められているかも、始める前に確かめてください。個別の扱いは収入の額や働き方で変わるので、迷ったら税務署の窓口に相談するのが確実です。
在宅ワーク市場から見た、着付けの仕事の広げ方
フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、技術を持つ人が長く仕事を続けるうえで大切なのは、「この人に頼むと安心」という関係を、お客様やお店と時間をかけて作ることです。着付けの仕事は、成人式で着付けをしたお客様が、卒業式、結婚式、子どものお宮参りと、人生の節目ごとに戻ってくる仕事でもあります。1回の仕事をていねいに終えることが、次の依頼につながります。
また、個人で受ける仕事ほど、間に入る手数料の差が手取りに直結します。依頼者と直接やり取りできる形なら、中間マージンが乗らない分、依頼者は同じ予算で頼める範囲が広がり、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%で直接取引できる場を使う意味は、金額そのものより、双方に無理のない取引を続けやすくなるところにあります。
着物の知識は、出張着付けのほかにも、着物に関する記事の執筆や、着物の販売店の商品説明の作成など、在宅でできる仕事に活かせます。商品の写真や案内の見せ方に関わる仕事の相場の考え方は、デザイナーの年収・単価相場で確認できます。通信で学んだ知識を土台に、練習と実績を重ねながら、自分に合った形で着付けの仕事を育てていきましょう。
よくある質問
Q. 着付けの国家資格は通信講座で取れますか?
国家検定の着付け技能士は、他装や着付け指導の実務経験などが受検の条件で、通信講座だけでは取れません。通信講座で取れるのは、民間の団体や講座の会社が認定する資格です。民間の資格で学び、実務経験を積んでから着付け技能士を目指す流れになります。
Q. 通信講座だけで出張着付けの仕事を受けられますか?
知識は通信講座で学べますが、人に着せる他装の技術は、実際に人に着せる練習を重ねないと身につきにくいものです。家族や友人に協力してもらって練習し、決められた時間で着崩れしない着付けができるようになってから仕事を受けるのが安全です。
Q. 出張着付けでヘアセットやメイクも頼まれたらどうすればよいですか?
美容師法では、結髪や化粧などで容姿を美しくすることを美容と定め、美容師でなければ美容を仕事にしてはならないとしています。美容師の免許を持っていない人は、ヘアセットとメイクを美容師に任せる形にしてください。扱いに迷うときは保健所に確認するのが確実です。
Q. 着付け技能士の受検料はいくらですか?
全日本着付け技能センターの案内では、1級・2級とも学科試験が11,400円、実技試験が23,000円で、両方を受けると合計34,400円です。日程は年度ごとに公示されるので、センターのページで最新の案内を確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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