中卒から保育士資格を取る|受験資格と実務経験


この記事のポイント
- ✓中卒でも取れる資格として保育士を目指す方法を
- ✓試験を実施する全国保育士養成協議会と文部科学省の公式の案内で確かめて解説
- ✓児童福祉施設で5年・7,200時間働いて受験する道
中卒でも取れる資格を探していて、保育士にたどり着いた人は多いはずです。子どもに関わる仕事がしたい、国家資格を持って長く働きたい、と考えたとき、最終学歴が中学校卒業だと受験できないのではないかと不安になります。結論から言うと、中卒でも保育士資格は取れます。ただし、高校を卒業した人より長い実務経験が必要で、働く施設の種類によっては都道府県の認定の手続きも求められます。この記事では、保育士試験を実施する全国保育士養成協議会と文部科学省の公式の案内をもとに、中卒から保育士になる道筋を順番に説明します。
中卒から保育士資格を取る道は2つある
保育士資格を取る方法は、大きく分けて2つしかありません。都道府県知事が指定した保育士の養成学校(短大や専門学校など)を卒業するか、保育士試験に合格するかです。中卒の人がこの2つのどちらかにたどり着くまでの道筋を整理すると、次のようになります。
| 道筋 | 流れ | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 実務経験の道 | 児童福祉施設などで5年以上かつ7,200時間以上働く → 保育士試験に合格 | 最短でも5年の勤務が必要 |
| 高卒認定の道 | 高等学校卒業程度認定試験に合格 → 養成学校を卒業、または2年以上かつ2,880時間以上働いて保育士試験に合格 | 高卒認定の勉強に加えて2年以上 |
どちらの道を選ぶかは、今すぐ働き始めたいのか、学校で学ぶ時間とお金を確保できるのか、によって変わります。働きながら資格を目指すなら実務経験の道、早く資格を取りたいなら高卒認定の道が候補になります。以下、それぞれの条件を公式の案内に沿って詳しく見ていきます。
保育士とはどんな資格か
保育士は、児童福祉法に定められた国家資格です。全国保育士養成協議会は、保育士の定義を法律の条文のとおり次のように紹介しています。
保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。 出典: 全国保育士養成協議会
条文の中の「登録を受け」という部分が大切です。保育士試験に合格しただけでは、保育士として働けません。合格したあとに都道府県に登録を申請し、保育士証が交付されて初めて、保育士の名称を使って働けるようになります。
保育士は、名称独占の資格と呼ばれます。名称独占とは、資格を持たない人が「保育士」と名乗ってはいけない、という意味です。保育所では、配置しなければならない保育士の人数が決まっているため、資格を持つ人は採用の場面で強く求められます。一方で、資格がなくても保育の補助として働ける職場はあります。中卒から保育士を目指す人の多くは、この補助の仕事から始めることになります。
保育士が働く場所は、保育所だけではありません。児童福祉施設に当たる13種類の施設の一覧を見ると分かるとおり、乳児院や児童養護施設、障害のある子どもが通う児童発達支援センター、地域の子どもが集まる児童館など、子どもに関わる多くの施設があります。資格を取ったあとに選べる職場の幅が広いことも、保育士資格の強みです。実務経験を積む職場を選ぶときも、保育所だけにこだわらず、こうした施設を候補に入れると選択肢が広がります。
実務経験の道は、児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上
保育士試験を実施する全国保育士養成協議会の受験資格の案内では、学歴を問わない受験資格として、次の条件が示されています。
児童福祉施設において、5年以上の勤務で、総勤務時間数が7,200時間以上、児童の保護に従事した者 出典: 全国保育士養成協議会
ここでは学歴の条件が書かれていません。つまり、中卒の人でも、この勤務の条件を満たせば保育士試験を受けられます。注意したいのは、「5年以上」と「7,200時間以上」の両方を満たす必要があることです。5年働いても時間数が足りなければ受けられず、時間数を満たしても5年に届かなければ受けられません。
児童福祉施設に当たる13種類の施設
条件の中の「児童福祉施設」とは、児童福祉法第7条に定められた施設のことです。協会のよくある質問のページでは、次の13種類が挙げられています。
- 助産施設
- 乳児院
- 母子生活支援施設
- 保育所(保育所型認定こども園を含む)
- 幼保連携型認定こども園
- 児童厚生施設(児童館)
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
- 里親支援センター(令和6年4月1日以降の勤務に限る)
これらの施設での勤務は、施設に「児童福祉施設勤務証明書」を書いてもらい、受験の申請のときに提出(オンライン申請ならアップロード)することで証明します。
都道府県の認定が必要な施設
一方、認可外保育施設、放課後児童クラブ(学童保育)、小規模保育事業、企業主導型保育事業、放課後等デイサービス、幼稚園、幼稚園型や地方裁量型の認定こども園などは、上の13種類に含まれません。こうした施設で働いた経験で受験するには、事前に都道府県知事の受験資格の認定を受ける必要があります。
協会の案内では、知事の認定の対象となる施設で「5年以上かつ7,200時間以上児童等の保護または援護に従事した者」も受験できるとされています。ただし、認可外保育施設の場合は、届出をしている施設であることなどの条件があります。働く前、または働き始めてすぐの段階で、勤め先が認定の対象になるかを都道府県の保育の担当課に確かめておくと、5年後に「経験として数えられなかった」という事態を防げます。
協会のよくある質問のページでは、勤務期間と総勤務時間数は、複数の施設を合算できると案内されています。途中で職場を変えても、それぞれの施設で証明書を書いてもらえば足し合わせられます。
7,200時間を満たすまでの年数の目安
7,200時間を5年で割ると、1年あたり1,440時間です。1年を48週と考えると、週30時間の勤務で5年ちょうどになる計算です。働き方ごとの目安は次のとおりです。
| 働き方 | 1週間の勤務時間 | 7,200時間に届くまでの目安 |
|---|---|---|
| フルタイム(1日8時間・週5日) | 40時間 | 約3年9か月(ただし5年の条件があるので5年) |
| 1日6時間・週5日 | 30時間 | 約5年 |
| 1日5時間・週4日 | 20時間 | 約7年6か月 |
| 1日4時間・週3日 | 12時間 | 約12年6か月 |
この表は、1年に48週働いたと仮定した単純な計算です。実際の勤務時間は、施設が発行する証明書に記載された時間で数えられます。有給休暇や欠勤の扱いは施設の記録によって変わるので、気になる人は勤め先に確かめてください。
表から分かるとおり、短時間のパートでは条件を満たすまでに長い年数がかかります。中卒から実務経験の道を選ぶなら、週30時間程度以上働ける職場を探すのが現実的です。正社員や長時間のパートとして採用されれば、5年後に受験資格を得られます。
もう1つ大切なのは、勤務の記録を自分でも残しておくことです。何年何月から何年何月まで、どの施設で、週に何時間働いたかを、給与明細と一緒に保存しておきましょう。施設が閉園したり、運営する法人が変わったりすると、証明書を書いてもらうのに手間がかかります。協会の案内でも、施設の設置者が存続していれば証明が可能だが、難しい場合は保育士試験事務センターに電話で連絡するよう案内されています。
高卒認定の道は、期間を短くできる
中卒の人が保育士への期間を短くしたいなら、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)を受ける道があります。高卒認定とは、高校を卒業した人と同等以上の学力があるかを国が認定する試験で、以前は大学入学資格検定(大検)と呼ばれていました。
文部科学省の案内によると、受験できるのは、受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人です。高校を卒業した人など、すでに大学に入学する資格を持っている人は受けられません。令和8年度は、第1回が8月6日(木)と7日(金)、第2回が11月7日(土)と8日(日)に実施されています。令和8年度から試験科目が変わっているので、最新の科目と合格の条件は文部科学省の高等学校卒業程度認定試験のページで確かめてください。
高卒認定に合格すると、保育士試験の受験資格の面では、高校を卒業した人と同じ扱いになります。協会の受験資格の案内には、文部科学大臣が高校卒業と同等以上の資格を持つと認定した人で、児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上働いた人が受験できると示されています。必要な勤務が、5年から2年に短くなるわけです。
高卒認定に合格すると、短大や専門学校にも進学できます。指定保育士養成施設を卒業すれば、保育士試験を受けずに保育士資格を得られます。学費と通学の時間を確保できるなら、確実に資格を取れる道です。
ひとり親家庭の親や子が高卒認定を目指す場合は、こども家庭庁の高等学校卒業程度認定試験合格支援事業を使える可能性があります。文部科学省のページでは、高卒認定のための講座を修了したときと合格したときに、受講費用の一部が支給される事業として紹介されています。実施しているかどうかは自治体によって違うので、住んでいる市区町村の窓口に確かめてください。
どの道を選ぶかを比べる
3つの道筋を、期間と費用と働きながら進められるかで比べると、次のようになります。
| 道筋 | 必要な期間 | 費用の傾向 | 働きながら進められるか |
|---|---|---|---|
| 中卒のまま実務5年で受験 | 5年以上の勤務と試験の勉強 | 試験の手数料と教材費が中心 | 進められる |
| 高卒認定のあと実務2年で受験 | 高卒認定の勉強と2年以上の勤務 | 高卒認定と保育士試験の費用 | 進められる |
| 高卒認定のあと養成学校を卒業 | 高卒認定の勉強と在学期間 | 学費が大きい | 学校によっては夜間や通信もある |
働きながら資格を目指す人には、2つ目の道が現実的です。保育補助として働き始め、同時に高卒認定の勉強を進めれば、高卒認定に合格した時点から2年の勤務で保育士試験を受けられます。勤務の時間は、高卒認定に合格する前の分も数えられるかどうかを、受験の申請の前に協会に確かめておくと安心です。
どの道を選んでも、保育の現場で働いた経験は無駄になりません。子どもとの関わり方、保護者とのやりとり、職員どうしの連携は、試験の勉強だけでは身につかない力です。実務経験の道は時間がかかりますが、その分、資格を取ったときには現場で即戦力として働ける力が身についています。
保育士試験の科目と合格基準
保育士試験は、筆記試験と実技試験の2段階です。実技試験は、筆記試験のすべての科目に合格した人だけが受けられます。
筆記試験の科目は次の9つです。協会の案内では、法律上は8科目と数えられ、「教育原理及び社会的養護」が1つの科目として扱われます。
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
筆記試験はマークシート方式で、各科目とも満点の6割以上で合格です。ただし、教育原理と社会的養護は、同じ回の試験で両方とも6割以上を取らないと合格になりません。片方だけ6割を超えても合格にならない点に注意が必要です。
合格した科目は、合格した年を含めて3年間有効です。協会のよくある質問のページでは、令和7年に合格した科目は令和8年と令和9年の試験で免除されると説明されています。一度に全部の科目に合格する必要はなく、何回かに分けて合格を積み上げられます。働きながら勉強する人にとっては、大きな助けになる仕組みです。
実技試験は、音楽、造形、言語の3つの分野から2つを選んで受けます。いずれも50点満点で、選んだ2つの分野の両方で満点の6割以上を取ると合格です。令和8年後期の音楽の分野では、課題曲2曲をピアノかギターで弾き歌いする内容が示されていました。
実技試験の3分野と準備のしかた
筆記試験に全部合格したら、実技試験が待っています。音楽、造形、言語の3つの分野から2つを選ぶので、自分が準備しやすい組み合わせを早めに決めておくと安心です。令和8年後期の案内をもとに、各分野の内容を紹介します。
音楽の分野は、幼児に歌って聴かせることを想定して、指定された課題曲2曲を弾き歌いする試験です。楽器はピアノかギターで、ピアノは会場に設置されたものを使い、ギターは持参します。伴奏をせずに歌だけを歌った場合や、歌を歌わずに伴奏だけを弾いた場合は採点の対象外になると明記されています。楽器の経験がない人は、筆記試験の勉強と並行して、早めに練習を始める必要があります。
造形の分野は、保育の一場面を絵で表現する試験です。問題文と条件は試験の当日に示され、45分で、縦横19センチの枠の中に描きます。使えるのは鉛筆と12色から24色程度の色鉛筆で、クレヨンやマーカーペンは使えません。子どもや保育士の姿、室内や屋外の様子を、限られた時間で描き分ける練習が欠かせません。
言語の分野は、3歳児クラスの子どもに3分間のお話をすることを想定した試験です。指定された課題の中からお話を選び、子どもが集中して聴けるように話します。声の出し方、話す速さ、表情、間の取り方が見られます。
保育補助として働いている人は、実技試験の準備でも職場の経験を活かせます。手遊び歌や絵本の読み聞かせを日常的に見ている人は、言語の分野の感覚をつかみやすいはずです。保育士の先生が子どもに話しかける様子を観察し、どんな言葉選びをしているかを意識してみましょう。
試験の手数料と日程
令和8年後期の案内では、受験手数料は12,700円で、支払いの方法に応じて事務手数料がかかります。たとえば事務手数料354円の方法なら合計で13,054円です。幼稚園教諭の免許を持っている人などの全部の科目が免除になる場合は、受験手数料が2,400円になります。
試験は年に2回、前期と後期に分かれて行われます。協会が公表している令和9年の日程は次のとおりです。
| 回 | 筆記試験 | 実技試験 | 申請方法の掲載 |
|---|---|---|---|
| 令和9年前期 | 4月17日(土)・18日(日) | 6月27日(日) | 令和8年12月下旬頃に掲載予定 |
| 令和9年後期 | 10月23日(土)・24日(日) | 12月12日(日) | 令和9年6月下旬頃に掲載予定 |
受験の申請は、オンラインで行うのが便利です。協会のよくある質問のページによると、オンライン申請なら申請の手引きを取り寄せる必要がなく、顔写真もスマートフォンで撮影してアップロードできます。勤務の証明書もアップロードで提出できます。申請の期間は回ごとに決まっているので、掲載予定の時期になったら協会のページを確かめましょう。
申請したあとの流れも知っておくと安心です。協会のよくある質問のページによると、受験票は試験日の約1週間から2週間前に届き、試験会場は受験票で確かめます。会場は各都道府県に1か所以上設けられます。試験の当日に欠席する場合、事前の連絡は不要ですが、受験手数料は返金されません。初めて受験するときは、全部の科目を受ける必要はなく、受けたい科目だけを受けられると案内されています。準備の進み具合に合わせて、受ける科目を選びましょう。
働きながら合格するための勉強の進め方
中卒から保育士を目指す人の多くは、保育の現場で働きながら勉強することになります。限られた時間で9科目に合格するには、計画の立て方が大切です。
まず、1回の試験で全科目の合格を狙わないことです。合格した科目が3年間有効な仕組みを使い、1回目は4から5科目、2回目に残りの科目、と分けて受けると、1回あたりの勉強量を抑えられます。年に2回試験があるので、計画どおりに進めば1年ほどで筆記試験を終えられます。
次に、科目の組み合わせを考えることです。保育原理と保育実習理論は、保育所保育指針(国が定めた保育所の保育の基本となる考え方)を土台にしている部分が多く、一緒に勉強すると効率が上がります。子ども家庭福祉と社会福祉も、制度や法律の知識が重なります。教育原理と社会的養護は同じ回で両方合格する必要があるので、同じ時期に準備しましょう。
勉強の材料は、協会のページで公開されている過去の試験問題が基本です。協会は受験対策の講習会や参考書の案内を行っていないと明記しているので、市販のテキストや通信講座は自分で選ぶことになります。選ぶときは、最新の法改正に対応しているかを確かめてください。令和8年後期の試験では、令和8年4月1日以前に施行された法令や保育所保育指針に基づいて出題すると案内されていました。
現場で働いていることは、勉強の上でも強みです。子どもの発達の段階、食事やアレルギーへの対応、保護者との連携など、試験に出る内容の多くを、毎日の仕事で目にしています。テキストで読んだことを職場で思い出す、職場で見たことをテキストで確かめる、という往復を続けると、記憶に残りやすくなります。
1週間の勉強の時間割の例
働きながら勉強の時間を確保するには、1週間の中で勉強する時間を先に決めてしまうのが効果的です。たとえば、次のような組み立て方があります。
- 平日の朝や通勤の時間に、20分から30分で1つの単元を読む
- 平日の夜に、15分ほど過去の試験問題を解く
- 休みの日に、1時間ほどかけて1週間の復習をする
1日の勉強は短くても、毎日続ければ1か月で大きな量になります。仕事で疲れている日は、テキストを1ページ読むだけでもかまいません。勉強が途切れないことを優先しましょう。
保育補助として働く職場の1日の流れ
実務経験の道を選ぶと、資格を取るまでの数年間を保育補助として過ごすことになります。どのような仕事をするのかを知っておくと、働き始めてからの戸惑いが減ります。保育所での一般的な1日の流れを、補助の立場から紹介します。
朝は、登園してくる子どもを迎え入れます。保護者から体調や家での様子を聞き取るのは保育士の役割ですが、補助の職員は、子どもの荷物の片付けを手伝ったり、遊びの見守りをしたりします。午前中は、クラスごとの活動や散歩があり、保育士の指示のもとで子どもの安全を見守ります。
昼は、給食の配膳や食事の介助、食後の片付けを手伝います。食物アレルギーのある子どもがいる場合は、誤って食べてしまうことがないよう、職場の決まりに従って確認します。その後の午睡(昼寝)の時間には、子どもの様子を見守りながら、布団の準備や室内の掃除、おもちゃの消毒などを行います。
午後は、おやつや自由遊びの時間を経て、保護者のお迎えの時間になります。夕方以降は、延長保育の子どもの見守りや、翌日の準備を手伝うことが多いです。
こうした毎日の仕事の中に、保育士試験に出る内容がたくさん含まれています。子どもの発達の段階に応じた関わり方、食事と栄養、衛生と安全の管理などは、筆記試験の科目と直接つながります。仕事で見たことをテキストで確かめる習慣をつけると、勉強の効率が上がります。
中卒から目指すときにつまずきやすい点
中卒から保育士を目指す道は、時間がかかる分、途中でつまずく場面もあります。あらかじめ知っておくと避けられる点を整理します。
1つ目は、勤務の時間数が思ったより貯まらないことです。体調を崩して休んだり、家庭の事情で勤務の時間を減らしたりすると、7,200時間に届く時期が後ろにずれます。半年に1回程度、これまでの勤務時間を給与明細から合計し、計画どおりに進んでいるかを確かめましょう。
2つ目は、働いた施設が受験資格の経験として数えられないことです。実務経験の道の節で説明したとおり、認可外保育施設や放課後児童クラブなどは、知事の認定の手続きが必要で、認定の基準に当てはまらなければ経験として数えられません。転職するときも、次の職場が対象になるかを確かめてから決めましょう。
3つ目は、勉強の習慣が途切れることです。中学校を卒業してから時間が空いている人は、長い文章を読むことや、暗記を続けることに慣れるまで時間がかかります。最初から9科目を全部やろうとせず、1日20分でもよいので毎日テキストを開く習慣を作ることから始めましょう。漢字や言葉の意味で分からないものが出てきたら、その都度調べてノートに書き出すと、ほかの科目でも役立ちます。
4つ目は、実技試験の準備が後回しになることです。筆記試験の勉強に集中していると、実技の練習を始めるのが遅れがちです。特に音楽の分野を選ぶなら、楽器の練習には時間がかかります。楽器に自信がない人は、造形と言語の2分野を選ぶ方法もあります。
5つ目は、ひとりで抱え込むことです。職場の保育士の先輩は、同じ試験を経験している人たちです。勉強の進め方や実技の練習のしかたを聞くと、具体的な助言をもらえることがあります。資格を目指していることを職場に伝えておくと、応援してもらいやすくなります。
資格を持たずに働き始めるときの注意点
実務経験の道を選ぶ人は、まず資格がなくても働ける保育の仕事を探すことになります。求人では「保育補助」「保育アシスタント」「子育て支援員」などの名前で募集されていることが多いです。
働く場所を選ぶときは、次の点を確かめておきましょう。
- その施設が、児童福祉法第7条の児童福祉施設に当たるか、知事の認定が必要な施設か
- 勤務の時間数を証明書に書いてもらえるか
- 週に何時間働けるか、5年以上続けられる働き方か
- 資格の取得を応援する制度(勉強の時間の配慮や、受験の費用の補助など)があるか
特に1つ目の確認が大切です。放課後児童クラブや認可外保育施設、小規模保育事業などで働いた経験は、知事の認定の手続きを経れば数えられますが、施設が認定の基準に当てはまらなければ数えられません。採用の面接のときに、保育士試験の受験資格として使える経験になるかを質問してもかまいません。資格の取得を目指していることを伝えると、勤務の時間や業務の内容を配慮してくれる職場もあります。
また、子どもの安全を預かる仕事であることを忘れないようにしましょう。資格がない間は、保育士の指示のもとで補助の業務を行います。分からないことはその場で保育士に確かめ、自己判断で対応しないことが、子どもと自分を守ることにつながります。
費用の全体像をつかむ
中卒から保育士資格を取るまでにかかる費用は、選ぶ道によって大きく変わります。必ずかかるもの、選び方で変わるものに分けて整理します。
必ずかかるのは、保育士試験の受験手数料です。令和8年後期の案内では、受験手数料12,700円に支払いの方法に応じた事務手数料が加わります。一度で全科目に合格できなければ、受験するたびに手数料がかかります。合格したあとの保育士登録の手続きにも費用がかかるので、金額は登録事務処理センターが案内している保育士登録の手引きで確かめておきましょう。
選び方で変わるのは、勉強の教材の費用です。市販のテキストと問題集で独学するなら費用を抑えられますが、通信講座を使うとその分の受講料がかかります。実技試験で音楽を選ぶなら、練習のための楽器や練習場所の費用も考えておきましょう。
高卒認定の道を選ぶなら、高卒認定の受験料と、必要に応じて対策の講座の費用がかかります。受験料は受ける科目の数などで変わるので、文部科学省の受験案内で確かめてください。ひとり親家庭の人は、高卒認定の道の節で紹介した合格支援事業で講座の費用の一部が支給される場合があります。
養成学校に進学する道を選ぶなら、入学金と授業料が中心の費用になります。学校によって大きく違うので、複数の学校の募集要項を比べて検討しましょう。
合格したあとの保育士登録
保育士試験に合格したら、都道府県に保育士の登録を申請します。登録が済み、保育士証が交付されると、保育士として働けます。協会のよくある質問のページでも、試験に合格した人は保育士の登録を受け、保育士証の交付をもって保育士として働けると説明されています。
協会の「保育士登録」のページによると、登録は都道府県知事から委託を受けた登録事務処理センターで、合格通知書を使って手続きします。手続きの方法は、センターから取り寄せる保育士登録の手引きで案内されています。合格の通知が届いたら、早めに手続きを始めましょう。登録が済むまでは、就職先に保育士として配置してもらえないことがあります。
中卒から保育士になった人は、資格を取るまでの5年以上の現場経験を持っています。その経験は、採用の面接でも、保育の質の面でも強みです。履歴書には、資格欄に「保育士資格 取得」と書き、職歴の欄に勤務した施設と期間を具体的に書くと、経験の長さが伝わります。
保育の経験と資格を在宅の仕事にも活かす
20年にわたって在宅ワークとフリーランスの仕事の仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、保育の現場経験を持つ人は、保育所の外でも頼りにされる場面が少なくありません。子育ての情報を扱う記事の執筆、保育や子育ての教材の作成、保護者向けのおたよりの作成など、現場を知る人にしか書けない仕事があるからです。
長く仕事が続く人ほど、資格を取ったことよりも、現場で積み重ねた具体的な経験を言葉にできる人です。中卒から保育士を目指す道は時間がかかりますが、その時間の分だけ、ほかの人が持っていない経験が積み上がります。仲介の手数料が乗らない直接の取引であれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。経験を持つ人ほど、その構造の恩恵を受けやすいと感じています。
保育の現場では、連絡帳やおたより、保護者への案内など、文章を書く仕事が日常的にあります。ビジネス文書検定では、相手に正確に伝わる文書を書く力を測る検定の内容と取り方を紹介しています。保育や子育ての知識を活かして記事を書く仕事に広げたい人は、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、作品の選び方と見せ方を確かめておくと準備が進みます。おたよりや掲示物を見やすく作る力を仕事にしたい人は、デザイナーの年収・単価相場で、デザインの仕事の単価の水準を知っておくと、働き方を組み立てやすくなります。
よくある質問
Q. 中卒でも保育士試験を受けられますか?
受けられます。全国保育士養成協議会の受験資格の案内では、児童福祉施設で5年以上かつ総勤務時間数7,200時間以上、児童の保護に従事した人は、学歴を問わず受験できるとされています。認可外保育施設や放課後児童クラブなどで働いた経験の場合は、事前に都道府県知事の受験資格の認定を受ける必要があります。
Q. 高卒認定に合格すると何が変わりますか?
保育士試験の受験資格の面で、高校を卒業した人と同じ扱いになります。児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上働けば受験でき、必要な勤務が5年から2年に短くなります。短大や専門学校にも進学できるので、指定保育士養成施設を卒業して試験を受けずに資格を得る道も開けます。
Q. パートの勤務でも実務経験に数えられますか?
勤務の形にかかわらず、施設が発行する証明書に記載された勤務期間と時間数で判断されます。ただし、5年以上と7,200時間以上の両方を満たす必要があるため、週20時間の勤務なら7年以上かかる計算になります。複数の施設の勤務は合算できるので、それぞれの施設で証明書を書いてもらいましょう。
Q. 保育士試験の受験手数料はいくらですか?
令和8年後期の案内では、受験手数料は12,700円で、支払い方法に応じた事務手数料が加わります。全部の科目が免除になる人は2,400円です。手数料は回ごとの案内で示されるので、申請する前に全国保育士養成協議会のページで最新の金額を確かめてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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