ICUのパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲

長谷川 奈津
長谷川 奈津
ICUのパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲

この記事のポイント

  • ICUのパートは求人が少なく
  • 勤務時間の組み方と任される範囲が一般病棟と大きく違います
  • 日勤短時間や夜勤専従などの型

ICUでパートとして働けるのか。働けるとして、何時から何時まで入れて、どこまで任されるのか。ICUのパートを検索する人の多くは、急性期の経験を手放したくない一方で、フルタイムの交代勤務はもう続けられない、という板挟みの中にいます。

先に結論を書きます。ICUのパートは求人の数こそ少ないものの、存在はします。ただし「短い時間だけ入って、軽めの業務を担当する」という一般病棟のパートのイメージのままだと、入職してから話が違うと感じやすい職場です。ICUは患者の数に対して看護師の数が厳密に決まっている部署なので、パートであっても1人の看護師として勘定され、受け持ちを持つのが基本だからです。

私は契約や働き方の相談を受ける仕事をしていますが、医療職の方からの相談で「パートなのに正職員と同じことをしている」「契約書に書いていない部署へ回された」という話は、実は珍しくありません。これ、知らない人が本当に多いんです。この記事では、ICUの中で1日がどう動いているかを出発点に、パートが入りやすい時間帯、任される範囲、そして求人票と契約書のどこを見れば実態が分かるのかを順番に書いていきます。

ICUのパート求人が少ない理由と、それでも出ている場所

まず、なぜICUのパート求人は少ないのかを押さえておきます。理由を知っておくと、どこを探せば見つかるのかも見えてきます。

ICUは、重い状態の患者を昼夜を問わず管理する部署です。定義を確認しておきます。

集中治療室(しゅうちゅうちりょうしつ)は、病院内の施設の一種。呼吸、循環、代謝その他の重篤な急性機能不全の患者を24時間体制で管理し、より効果的な治療を施すことを目的とする[1]。英語では Intensive Care Unit と呼び、日本でもICUという略号が用いられることがある[2]。 出典: ja.wikipedia.org

「24時間体制で管理」という部分が、パート求人の少なさに直結しています。診療報酬の特定集中治療室管理料を算定するICUでは、看護師の配置が常時、患者2人に対して看護師1人以上と決められています。一般病棟の日勤帯でよく使われる7対1と比べると、1人の看護師が担当する患者の数がまったく違います。つまり、ICUでは「この時間帯に看護師が何人いるか」が施設基準そのものであり、1人欠けるだけで基準を満たせなくなるおそれがあるわけです。

病院側から見ると、短時間しか入れない人を増やすと、勤務表の穴埋めが複雑になります。朝から夕方まで通しで入れる人、夜勤に入れる人のほうが、配置の計算がしやすい。これがICUでパートの枠が広く開かれにくい一番の理由です。

それでもパート求人が出る場所には、いくつか共通点があります。

・病床数の多い急性期病院で、ICUの看護師が数十人規模になっている病院。人数が多いと、短時間勤務の人を何人か組み込んでも勤務表が回ります。 ・育児短時間勤務の正職員が多く、日勤の人数が足りなくなりやすい病院。その穴を埋める形で、日勤帯のパートを募集することがあります。 ・夜勤の人数を確保したい病院。夜勤専従のパートや非常勤という形で募集が出ます。 ・ICUとHCU(ハイケアユニット)を一体で運営している病院。HCUは配置基準が4対1なので、短時間勤務の人を配置しやすく、「ICU・HCU」とまとめた求人になっていることがあります。

もう1つ知っておきたいのは、求人票の書き方です。「急性期病棟」「集中治療部門」「重症系ユニット」という表現でまとめて出ていて、ICUと明記されていないことがよくあります。ICUのパートを探すときは、ICUという単語だけで検索を終えずに、病院名で求人を見て、配属先の候補を面接で確認するほうが見つかりやすいです。

時給の相場については、地域や病院の規模によって幅があるので一概には言えませんが、看護師のパートは求人票で時給1,700円から2,300円程度の範囲がよく見られ、急性期や重症系の部署はその上のほうに設定されやすい傾向があります。看護師全体の年収の水準や、雇用形態による違いを押さえておきたい場合は、統計データをまとめた看護師の年収・単価相場が参考になります。パートの時給を正職員の月給と比べるときの物差しとして使えます。

ICUの1日の流れと、パートが入る時間帯

ICUのパートで勤務時間を考えるには、ICUの1日がどう動いているかを知っておく必要があります。どの時間帯に仕事が集中していて、どの時間帯なら抜けても回るのか。これが分かると、自分がどの時間なら入りやすいか、病院がどの時間に人を欲しがっているかが見えてきます。

病院ごとに時刻は違いますが、2交代制のICUの日勤はおおむね次のように動きます。

・朝の申し送り。夜勤から、患者ごとに夜間の変化、人工呼吸器の設定、薬剤の流量、検査結果を引き継ぎます。ICUの申し送りは情報量が多く、ベッドサイドで機器の設定を一緒に確認する病院も多いです。 ・全身の観察と、機器・ルートの確認。点滴の本数が多い患者では、ルートの確認だけでも時間がかかります。 ・清拭や口腔ケア、体位変換。人工呼吸器を付けた患者の体位変換は、複数人で行うのが基本です。 ・医師や薬剤師、臨床工学技士、理学療法士が集まる回診やカンファレンス。治療方針の変更がここで決まり、午後の業務量が変わります。 ・午後の手術後の入室、他病棟からの転入、検査への移送。予定手術の後に患者が入ってくる時間帯は、ICUが最も慌ただしくなります。 ・家族の面会対応、記録、夕方の申し送り。

この流れを見ると、ICUの日勤は午前と午後で性質が違うことが分かります。午前は受け持ち患者の状態を整える時間、午後は新しい患者を受け入れる時間です。そして、患者の入室は予定どおりにいかないことが多く、手術が延びれば入室も遅れます。

パートの勤務時間が「9時から15時」のような短時間だと、午前の観察とケアには入れても、午後の入室対応や夕方の申し送りには立ち会えません。ICUで短時間パートが敬遠されやすいのは、この途中で抜ける時間帯が、ちょうど仕事の山にあたるからです。

逆に、病院側が短時間の人を歓迎しやすい時間帯もあります。

・朝の清拭やケアが集中する時間帯だけ人手を厚くしたい、というニーズ。 ・正職員の育児短時間勤務が多い部署で、夕方以降の人数を補いたい、というニーズ。 ・夜勤の人数を1人増やしたい、あるいは夜勤に入れる正職員が減っている、というニーズ。

夜勤はどうでしょうか。2交代の夜勤は夕方から翌朝までの長時間になり、定時の観察、早朝の採血、朝の検査の準備などが続きます。患者の急変も起こりえますが、日中のように入室や移送が次々に来ることは比較的少なく、同じ患者を通して看る時間になります。ICUの夜勤は人数が日勤より少なくなりやすいので、夜勤に入れるパートは病院にとって貴重です。

私が以前相談を受けたケースで、こんな話がありました。ICU経験のある方が、子どもの送り迎えに合わせて「9時半から14時半」で入れるパートとして採用されたものの、実際には午後の入室があるたびに退勤が1時間、2時間と延びていった。契約書には「業務の都合により時間外労働あり」とだけ書かれていて、延長の上限は決まっていませんでした。つまり、時間の約束が紙の上で守られる形になっていなかったんです。ICUのパートを選ぶときは、自分の入る時間帯が1日の流れのどこにあたるのかを、面接の前に一度紙に書き出してみることをおすすめします。

勤務時間の組み方は4つの型に分けて考える

ICUのパートの勤務時間は、求人票の表記はばらばらでも、実際にはいくつかの型に分かれます。私が相談を受けてきた範囲で整理すると、次の4つにまとめると考えやすいです。

型1:フル日勤を週2日から3日

朝から夕方まで、正職員の日勤と同じ時間で入り、出勤日数だけを減らす型です。ICUのパートで最も採用されやすく、病院側も勤務表に組み込みやすい形です。

この型の良いところは、申し送りから申し送りまで通しでいられるので、受け持ちを最後まで責任を持って看られることです。ICUの仕事の手応えを残したまま、週の負担を減らせます。気をつけたいのは、出勤日が少ないぶん、次の出勤までに患者の状態や治療方針が大きく変わっていることです。週2日だと、前回の出勤から数日空くことも普通にあり、その間の経過を毎回追いかけ直す必要があります。

型2:日勤の短時間

朝から昼過ぎまで、あるいは昼前から夕方までといった短時間の型です。家庭の事情で時間が限られている人には魅力的ですが、ICUでは採用の枠が狭くなりがちです。前の節で書いたとおり、途中で抜ける時間帯が業務の山と重なるからです。

この型で採用される場合は、受け持ちを持たずにフリー業務、つまり清拭や体位変換の応援、物品の補充、検査への移送の付き添いなどを中心に担当する形になることがあります。受け持ちを持たないぶん、急性期の判断力を使う場面は減ります。自分がICUで何を続けたいのかによって、合う合わないが分かれる型です。

型3:夜勤専従

夜勤だけに入る型です。2交代の夜勤は夕方から翌朝までの勤務になり、月に数回の出勤で一定の収入になるため、昼間に別の仕事や家庭の用事がある人が選ぶことがあります。夜勤1回あたりの報酬は、求人票では1回2万円から3万5,000円程度の幅でよく見かけますが、手当の含め方が病院によって違うので、時給換算でいくらになるのかを必ず計算してください。

深夜の時間帯(22時から翌5時)に働いた分には、労働基準法で25%以上の割増賃金が必要です。これ、パートでも同じです。「夜勤1回いくら」という定額で示されていると、割増分がどこに含まれているのか分かりにくくなります。定額に割増分が含まれているのなら、その内訳が説明できるはずなので、遠慮せず確認して大丈夫です。

夜勤専従は体への負担が大きく、生活のリズムも崩れやすい働き方です。月の夜勤回数に上限を設けている病院もあるので、回数の決め方も合わせて確認しましょう。

型4:土日祝や長期休暇の時期だけ

平日は別の仕事をしている人や、配偶者の休みに合わせたい人が選ぶ型です。ICUは土日も患者がいて、正職員の休み希望が集中しやすいため、この時期に入れる人は重宝されます。ただ、土日は医師や他職種の人数が少なく、何かあったときに相談できる相手が限られます。ICU経験が浅いうちは、平日の日勤である程度慣れてから入るほうが安全です。

どの型を選ぶにしても、ICUのパートで大事なのは「何時から何時まで」だけでなく、「その時間の中で延長が起きたとき、どう扱われるか」まで決めておくことです。次の節では、実際に任される範囲について見ていきます。

パートに任される範囲と、任されにくい範囲

ICUのパートの相談で一番多いのが、「パートだから責任は軽いと思っていたのに、正職員と変わらない」という声です。ここはICUという職場の性質から、ある程度そうならざるをえない部分と、契約や病院の運用で線を引ける部分を分けて考えるのが大切です。

受け持ちは原則として持つ

ICUの看護配置は患者2人に看護師1人以上です。このため、パートであっても勤務している時間帯の看護師として数えられ、1人から2人の受け持ちを持つのが一般的です。一般病棟のように、パートは処置や検温の応援だけ、という分担はICUでは成り立ちにくいのです。

受け持ちを持つということは、その時間帯の観察、アセスメント、医師への報告、記録について責任を持つということです。ここを「パートだから」で軽く考えると、自分が苦しくなります。

任されにくい、あるいは線を引きやすい範囲

一方で、パートには任せないという運用をとっている病院が多い業務もあります。

・リーダー業務。その勤務帯全体の患者の把握、入室の受け入れ調整、医師との連絡の窓口などです。正職員の中堅以上が担当するのが一般的です。 ・新人や異動者の教育担当(プリセプターなど)。継続して関わる必要があるため、出勤日の少ないパートには割り当てにくい業務です。 ・委員会や係の仕事。感染対策、褥瘡対策、物品管理などの院内の役割です。 ・ECMO(体外式膜型人工肺)など、特に高度な管理が必要な患者の受け持ち。病院によっては、一定の経験や院内の研修を終えた人だけが担当する決まりにしています。

ただし、これはあくまで「多くの病院で見られる運用」であって、法律で決まっているわけではありません。人手が足りない病院では、パートにリーダーを頼むこともあります。だからこそ、面接の段階で「パートの方にはリーダーをお願いしていますか」「委員会の担当はありますか」と具体的に聞いておく意味があります。

仕事の中身が同じなら、待遇も説明を求められる

ここで知っておいてほしいのが、パートタイム・有期雇用労働法です。正職員と非正規の職員の間で、基本給や賞与、手当などに不合理な差をつけることを禁じています(同法第8条)。さらに、職務の内容や配置変更の範囲が正職員と同じ場合には、差別的な取扱いそのものが禁じられています(同法第9条)。

つまり、パートでもリーダーを担当し、委員会の仕事をし、正職員と同じように部署の移動もあるのであれば、待遇の差について病院側は理由を説明できなければならない、ということです。同法第14条では、パートの側から求めがあったとき、正職員との待遇の違いの内容と理由を説明する義務が事業主にあると定められています。説明を求めたことを理由に、不利な扱いをすることも禁じられています。

これ、知らない人が本当に多いんです。「パートだから仕方ない」と飲み込む前に、自分の仕事の中身が正職員とどれくらい同じなのかを、一度書き出してみてください。

※待遇の差について病院と話し合っても解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。個別の事情によって判断が分かれるので、具体的な請求を考えるときは弁護士に相談してください。

急変時は雇用形態に関係なく動く

最後に1つ。ICUでは急変が起きたとき、その場にいる看護師は雇用形態に関係なく対応に入ります。これは契約で線を引く話ではなく、医療職としての責務の話です。パートとして入るなら、急変対応の手順や、蘇生のための物品の置き場所、院内の緊急コールの流れは、初日のうちに確認しておきましょう。

求人票と労働条件通知書で確かめておくこと

ICUのパートで入職後に「話が違う」とならないために、求人票と、採用時に受け取る労働条件通知書(雇用契約書)で確認しておきたい項目を整理します。ここは私の専門分野なので、少し細かく書きます。

就業場所と業務の「変更の範囲」

2024年4月から、労働条件を明示するときに、就業場所と業務の内容について「変更の範囲」も書くことが義務になりました。つまり、「最初はICUに配属するが、将来は院内のどの部署にも移る可能性がある」のか、「ICUだけ」なのかを、紙の上で示さなければならなくなったんです。

ICUのパートとして応募したのに、変更の範囲が「当院の全部署」となっていれば、一般病棟や外来への応援を頼まれることがありえます。それが困るなら、採用前に「ICUとHCUに限る」などの形にできないか相談する価値があります。応援自体は受け入れてよいという人でも、どの程度の頻度なのかは聞いておきましょう。

所定の勤務時間と休憩

労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与えなければなりません。ICUは受け持ち患者から目を離しにくい部署なので、休憩が取れているかどうかは運用の問題になりやすいところです。休憩時間中に受け持ち患者を誰が看るのか、交代の仕組みがあるのかを確認しましょう。

時間外労働の扱い

先ほどのケースのように、ICUでは入室や急変で退勤が延びることがあります。労働条件通知書で「所定時間外労働の有無」がどうなっているか、ありとなっている場合に上限の目安があるかを確認してください。保育園のお迎えなど延長できない事情があるなら、採用前に伝え、延長が必要なときにどう引き継ぐかまで話しておくのが現実的です。

社会保険と雇用保険

2024年10月から、従業員数51人以上の事業所では、週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8万8,000円以上などの条件を満たすパートは、健康保険と厚生年金に加入することになっています。ICUのある病院の多くはこの規模を満たすので、フル日勤で週3日入れば加入の対象になることが多いです。扶養の範囲で働きたいのか、自分で加入したいのかによって、出勤日数の決め方が変わります。詳しい条件は日本年金機構の案内で確認できます。

契約期間と更新

パートは有期契約のことが多いです。更新の有無と、更新するかどうかを何で判断するのかは、明示が必要な事項です。同じ病院で有期契約が通算5年を超えると、本人の申し込みによって期間の定めのない契約に転換できる、いわゆる無期転換のルールもあります(労働契約法第18条)。長く働くつもりなら、契約期間の書き方も見ておいてください。

研修と院内の資格

ICUでは、人工呼吸器や持続透析などの院内研修を受けてから担当できる業務があります。研修が勤務時間内に行われるのか、時給は出るのかを確認しましょう。勤務時間外の参加が事実上義務になっている研修は、労働時間にあたる可能性があります。

私自身、この仕事を始めたばかりの頃、医療職の方の相談で「変更の範囲」の欄を見落としたまま助言してしまったことがあります。相談者の方は後になって別の病棟への応援を頼まれ、契約書を読み直したら全部署と書いてあった。確認の順番を間違えた経験から、今は必ず就業場所の欄から読むようにしています。

他の職場のパートと、ICUのパートは何が違うか

同じ看護師のパートでも、どこで働くかによって任される範囲はかなり変わります。ICUのパートを選ぶかどうか迷っている人のために、他の職場と並べて違いを整理しておきます。

一般病棟のパート

一般病棟では、日勤帯は7対1や10対1の配置で、1人の看護師が多くの患者を担当します。パートは検温や処置、入浴介助などの時間帯の応援として入り、受け持ちを持たない、あるいは軽症の患者を担当する運用もよく見られます。短時間勤務の枠が作りやすく、ICUよりパート求人の数は多いです。

ICUと比べると、1人の患者に深く関わる時間は少なく、そのぶん多くの患者を順番に回る仕事になります。急性期の判断力を使い続けたい人には物足りなく、ブランクから少しずつ戻りたい人には入りやすい職場です。

HCU(ハイケアユニット)のパート

HCUはICUと一般病棟の中間にあたる部署で、配置基準は4対1が一般的です。重症度はICUより低めですが、状態が変わりやすい患者が多く、観察の密度は高い職場です。ICUとHCUを一体で運営している病院では、パートはHCU側の担当を中心にするという分け方もあります。ICUの経験を活かしつつ、少し負担を抑えたい人にとって現実的な選択肢です。

外来や健診のパート

外来や健診センターは日勤中心で、土日休みや短時間の求人が多いです。時間の予定が立てやすく、家庭との両立はしやすい一方、急性期の患者を継続して看る仕事ではありません。ICUのスキルのうち、採血やルート確保、急変時の初期対応などは活かせますが、人工呼吸器や循環管理を使う機会はほとんどなくなります。

訪問看護のパート

訪問看護では、自宅で人工呼吸器を使っている患者や、医療処置の多い患者を担当することがあり、ICUで身につけた呼吸と循環の観察力が活きる場面があります。1件ごとの訪問時間が決まっているので、パートでも勤務時間を組みやすいです。ただし、訪問先では1人で判断する場面が増え、ICUのように医師や同僚がすぐそばにいる環境とは違います。

ICUのパートならではの点

こうして並べると、ICUのパートの特徴ははっきりしています。

・パートでも受け持ちを持ち、正職員に近い責任を担う。 ・勤務時間の自由度は低めで、フル日勤か夜勤の形が中心になる。 ・そのかわり、重症患者の管理という専門性を途切れさせずに保てる。

「ICUの経験を切らしたくない」という気持ちが強いなら、時間の自由度を多少手放してでもICUのパートを選ぶ意味があります。一方で「今は時間の確保が最優先」なら、HCUや外来を経由して、状況が変わったときにICUへ戻るという道筋も考えられます。どちらが正しいということはありません。自分がこの数年で何を守りたいのかで決めてください。

看護職としての働き方そのものに迷っているときは、第三者に話を聞いてもらうのも一つの方法です。職場選びや転職の悩みを扱う相談の仕事がどんなものかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。相談する側として、どういう人に話を聞いてもらえるのかを知る手がかりにもなります。

働き方の相談を長く見てきて感じること

最後に、フリーランスや在宅ワーク、パートといった雇用の外側や周縁で働く人たちの相談を長く見てきた立場から、ICUのパートについて感じていることを書きます。

運営者として見てきた限りでは、短い時間や少ない日数で長く働き続けられる人ほど、最初に「自分が引き受ける範囲」と「引き受けない範囲」を言葉にしています。ICUのように、雇用形態に関係なく責任が重くのしかかる職場では、この線引きを曖昧にしたまま入ると、気がつけば正職員と同じ量の仕事を、少ない時給で担うことになりがちです。反対に、リーダーは担当しない、延長は何時まで、応援に出る部署はここまで、と最初に合意できた人は、職場との関係も安定しやすい印象があります。

もう1つ、看護師の働き方は病院の中だけに限られなくなってきています。ICUのパートで臨床を続けながら、空いた時間に医療系の記事の監修や、看護学生の学習支援、オンラインでの健康相談といった仕事を組み合わせる人も増えています。こうした仕事は、病院のように間に入る組織がないぶん、条件の交渉を自分でする必要がありますが、直接やり取りできる相手と組めば、同じ報酬でも自分の手元に残る金額が厚くなります。依頼する側から見ても、中間の手数料がかからなければ同じ予算でより多くを頼めるので、双方にとって得のある形です。仲介の手数料をとらない手数料0%の仕組みを選ぶ人がいるのは、そのためです。

臨床経験を活かせる在宅の仕事にどんな種類があるかは、看護師におすすめの在宅ワーク5選|臨床経験を活かす副業【2026年版】でまとめられています。ICUのパートと組み合わせる前提で、どれが自分の生活に合うかを考える材料になります。また、看護師としての将来の働き方を専門家に相談したい、あるいは自分が相談を受ける側になりたいと考えるなら、国家資格であるキャリアコンサルタントの資格ガイドで、試験の内容と取得までの流れを確認できます。

ICUのパートは、条件を曖昧にしたまま飛び込むとしんどい働き方ですが、勤務の型を選び、任される範囲を確かめ、紙の上の条件を読んでから始めれば、急性期の専門性を保ちながら生活の時間も守れる働き方になりえます。分からない条項があれば、そのままにせず確認してください。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. ICUの経験がなくてもパートで採用されますか?

ICUのパート求人は、多くの場合ICUや救急、手術室など急性期の経験を条件にしています。受け持ちを持つのが前提なので、未経験者をパートで一から育てる余裕のある病院は多くありません。未経験から目指すなら、まず正職員としてICUに入るか、HCUや急性期病棟のパートで重症患者の観察に慣れてから応募するほうが現実的です。

Q. ICUのパートでも夜勤に入れますか?

入れる病院はあります。夜勤専従のパートや非常勤という形で募集されることが多く、2交代の夜勤で月に数回入る働き方が一般的です。夜勤1回の報酬が定額で示されている場合は、22時から翌5時の深夜割増がどこに含まれているのかを確認し、時給に換算して他の求人と比べると判断しやすくなります。

Q. パートなのにリーダー業務を頼まれたら断れますか?

法律でパートのリーダー業務が禁じられているわけではないため、契約の内容と病院の運用によります。採用前に担当しない業務として合意しておくのが最も確実です。すでに頼まれている場合は、正職員と同じ職務を担っているなら待遇の違いの理由について説明を求めることができます。話し合いで解決しないときは労働局に相談してください。

Q. 労働条件通知書で特に見ておくべき項目はどこですか?

ICUのパートでは、就業場所と業務の変更の範囲、所定労働時間と休憩、時間外労働の有無、契約期間と更新の判断基準の4つを優先して確認してください。変更の範囲が全部署になっていると一般病棟への応援もありえます。社会保険の加入条件に関わる週の所定労働時間も、扶養との兼ね合いで重要です。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年1月6日最終更新:2026年9月16日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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