主婦がハンドメイドを副業にするとき|始める順番と扶養の確認 2026

前田 壮一
前田 壮一
主婦がハンドメイドを副業にするとき|始める順番と扶養の確認 2026

この記事のポイント

  • ✓主婦がハンドメイドを副業にするときの始める順番を
  • ✓令和8年分の扶養の基準と国税庁の記載にもとづいて整理しました
  • ✓税と社会保険で違う扶養の線

まず、安心してください。ハンドメイドを副業にするのに、資格も開業資金もほとんど要りません。ただし、売れ始めてから慌てる人が多いのも事実です。理由ははっきりしていて、「扶養から外れる線」が税と社会保険で別々に引かれていること、そしてその数字が令和8年分から変わっていることが知られていないからです。この記事では、作品を売る前に決めておくこと、手数料の実際、扶養の2本の線、届け出の期限を、公式の記載にもとづいて順番に整理します。

始める前に決めておく3つのこと

作品を作る作業と、それを売る作業は別物です。売る側の段取りを先に決めておくと、あとで戻ってやり直す手間が減ります。

1つ目:どこまで本気でやるかを決める

「余った材料で作ったものを、たまに売る」のと、「継続して作って、毎月一定の売上を目指す」のとでは、必要な手続きがまったく違います。前者であれば届け出も帳簿も要らない範囲で収まりますが、後者であれば開業の届け出や記帳が必要になります。

どちらが良いという話ではありません。ただ、途中で後者に変わったときに、前者のつもりで記録を残していなかったために、経費を証明できなくなる例がよくあります。最初から「増えたらこう切り替える」と決めておくと安全です。

2つ目:使える時間を数字で出す

1週間のうち、作業に充てられる時間を実際に数えてください。家事と育児の合間の時間は、まとまって取れるものではありません。30分の細切れが何回あるかで、作れる点数は決まります。

この数字が出ると、月にいくら売れる見込みかが計算できます。作品1点にかかる時間と材料費が分かれば、価格から逆算して手元に残る額が出ます。この計算をしないまま始めると、忙しいのに手元に残らない状態になりがちです。

作るものを1つに絞ってみる

始めるときに、いくつも種類を作りたくなります。ただ、種類が増えると材料の在庫も、撮影の手間も、説明文の作成も、すべて増えます。

最初の3か月は、1種類か2種類に絞る方が結果が出やすくなります。同じものを繰り返し作ると、1点あたりの時間が短くなり、原価も正確に把握できるようになります。売れ行きのデータも、種類がそろっている方が読み取りやすくなります。

広げるのは、1つの形で回るようになってからです。順番を逆にすると、どれも中途半端なまま時間だけが減っていきます。

3つ目:家族に話しておく

材料の保管場所、作業をする時間帯、発送のための外出。ハンドメイドは家の中の資源を使う副業なので、家族の理解がないと続きません。売上が扶養の範囲を超えると、配偶者の税や社会保険にも影響します。金額の話は、始める前にしておいてください。

売る場所の選び方と手数料の実際

販売先はいくつかあり、手数料の仕組みが違います。数字を確かめておきます。

ハンドメイド向けのマーケットを使う

minneは、初期費用と月額費用がかからず、販売手数料が税込で10.659%です。この手数料の対象には送料とオプション価格も含まれます。つまり、送料を高めに設定しても、その分にも手数料がかかる仕組みです。有料のサブスクリプションに加入すると手数料の率が下がる仕組みもあります。

Creemaは、出店料と出品料がかからず、成約時に決済総額の10.67%(税込)が成約手数料としてかかります。食品のカテゴリは一律15.4%(税込)と、別の率が設定されています。

どちらも、作品が売れたときだけ費用が発生する形です。売れなければ費用は生じないため、最初の販売先としては始めやすい形になっています。

自分の店舗を持つ形

ショップ作成サービスを使えば、自分のドメインで販売できます。手数料の構成は事業者によって違い、固定費がかからない代わりに決済手数料とサービス手数料が乗る形や、月額の費用を払う代わりに手数料率が下がる形があります。

集客を自分でする必要があるため、最初の1つ目としては向きません。マーケットで売れる作品が定まってから、2つ目の販路として検討するのが現実的です。

イベントや委託販売という選び方

オンラインだけでなく、手作り市やイベントで対面販売する形もあります。出店料が先に発生するため費用の性質が違いますが、購入者の反応を直接見られる利点があります。どの作品に人が足を止めるか、どの価格帯で手に取られるか。オンラインでは得にくい情報が集まります。

雑貨店などに委託して置いてもらう形もあります。委託の場合、売上の一定割合が店側の取り分になり、割合は店によって違います。契約の前に、取り分、支払いの時期、売れ残った場合の扱い、破損したときの責任を文字で確かめてください。

どの形を選ぶにしても、費用が売れたときだけ発生するのか、売れなくても発生するのかを区別して考えると判断しやすくなります。

フリマアプリを併用する

不用になった材料や、試作品を売る先として使えます。ただし、ハンドメイド作品の販売を目的として継続的に出品する場合、扱いは事業と同じになります。「フリマアプリだから気軽」という感覚は、税の面では通用しません。

手数料を織り込んで価格を決める

どの販路を使っても、1割前後が手数料として差し引かれます。さらに材料費と送料と梱包材の費用が乗ります。価格を決めるときは、これらを引いたあとに自分の作業時間に見合う額が残るかを確かめてください。

作業時間を計算に入れずに価格を決めると、売れるほど疲れて手元に残らない状態になります。時給に換算していくらになるかを一度出しておくと、値付けの基準ができます。

扶養の線は税と社会保険で別々に引かれている

ここがこの記事の核心です。「扶養の範囲」という言葉は1つですが、実際には2つの制度が別々の基準で線を引いています。しかも税の側の数字は令和8年分から変わっています。

税の側の線:所得62万円

配偶者控除は、納税者本人に控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。国税庁は、その要件として年間の合計所得金額が62万円以下であることを示しています。給与のみの場合は、給与収入が136万円以下です。

年間の合計所得金額が62万円以下(令和7年分は58万円以下、令和2年分から令和6年分までは48万円以下、令和元年分以前は38万円以下)であること。給与のみの場合は給与収入が136万円以下(令和7年分は123万円以下、令和6年分以前は103万円以下) 出典: nta.go.jp

ここで重要なのは、ハンドメイドの売上は給与ではないという点です。給与収入136万円という数字は、パートやアルバイトのように給与をもらう場合の話です。ハンドメイドの収入は事業所得または雑所得に区分されるため、判定に使うのは「所得」の方、つまり62万円という数字になります。

そして所得とは、売上そのものではありません。売上から必要経費を差し引いた額です。材料費、販売手数料、送料、梱包材の費用を引いたあとの金額が62万円を超えるかどうかで見ます。

62万円を超えても、すぐに全部なくなるわけではない

「1円でも超えたら配偶者控除がなくなって、世帯の手取りが大きく減る」という説明を見かけますが、正確ではありません。

国税庁は、配偶者控除の適用がない方でも、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下である場合には、配偶者特別控除の適用を受けられると示しています。控除額は本人と配偶者それぞれの合計所得金額に応じて段階的に変わります。

つまり、62万円を超えた瞬間に崖のように落ちるのではなく、段階的に下がる仕組みになっています。数字を知らずに手を止めるより、実際の減り方を確かめてから判断してください。

社会保険の側の線:年間収入130万円

こちらは税とは別の基準です。日本年金機構は、被扶養者になるための収入要件として、年間収入130万円未満であることを示しています。60歳以上または障害者の場合は180万円未満です。さらに、同居している場合は収入が被保険者の収入の半分未満であること、別居している場合は仕送り額未満であることという条件が付きます。

ここで注意すべき点が2つあります。

1つ目は、この年間収入が「これからの見込み」だということです。過去の収入ではなく、認定を受ける時点以降の1年間の見込み額で判断されます。

2つ目は、自営業の場合の数え方です。日本年金機構は、自営業者についての収入額は、その事業を行うための必要経費を控除した額になるとしています。つまりハンドメイドの場合も、売上そのものではなく、経費を引いたあとの額で見ることになります。ただし、経費として認められる範囲は保険者の判断によるため、税の計算とまったく同じとは限りません。迷う場合は、加入している健康保険の窓口に確認してください。

なお、19歳以上23歳未満の方については、令和7年10月1日以降の認定から年間収入150万円未満に変わっています。主婦の方が該当する年齢帯ではないことが多いのですが、お子さんがアルバイトをしている場合に関係します。

自分で社会保険に入る形になる場合

パートやアルバイトを併用している場合、勤め先で社会保険の加入対象になることがあります。厚生労働省は、対象となる要件として、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生でないこと、所定内賃金が月額8.8万円以上であること、そして2か月を超えて雇用される見込みであることを示しています。勤め先の従業員数による段階的な拡大も進んでいます。

賃金の要件については、同じページに2026年10月に撤廃する予定である旨の注記があります。現時点では要件として残っていますが、今後は賃金の額にかかわらず、労働時間などで判断される形に移ります。

この判定に、ハンドメイドの売上は含まれません。あくまで勤め先での賃金で判断されます。税の扶養と社会保険の扶養と、勤め先での加入。この3つは別々に動くということを押さえておいてください。

家内労働者等の必要経費の特例は使えるか

「ハンドメイドなら経費を69万円まで認めてもらえる」という説明を見かけることがあります。この特例について正確に整理しておきます。

国税庁は、家内労働者等の場合に必要経費として69万円まで認められる特例があるとしています。令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円だったので、数字が変わっている点に注意してください。

事業所得または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として69万円まで(令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円。以下同じです。)認められる特例があります。 出典: nta.go.jp

対象になるのは誰か

同じページは、家内労働者等について、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人だと説明しています。

鍵になるのは「特定の者に対して継続的に」という部分です。委託元から材料や部品を受け取り、加工して納めるような働き方が典型です。自分で材料を仕入れて作品を作り、不特定多数の購入者に販売する形は、この要件に当てはまらないと整理されるのが通常です。

ただし、特定の店舗や事業者から継続的に依頼を受けて制作し、納品する形であれば、判断が変わる可能性があります。自分の働き方がどちらに当たるかは、実態で判断されます。売上の規模が大きくなってきたら、税務署に確認してください。

給与がある場合は使えない

もう1つの条件があります。国税庁は、給与の収入金額が69万円以上あるときは、この特例は受けられないとしています。パートで給与を得ながら制作をしている場合、この点で対象外になることがあります。

開業届と青色申告の判断

売上が続くようになったら、届け出を検討する段階です。

開業届の期限は確定申告の期限まで

所得税法第二百二十九条は、事業を開始した場合の届出について、その事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに税務署長へ提出しなければならないと定めています。

「開業から1か月以内」という説明が出回っていますが、これは古い情報です。現在は、開業した年の確定申告期限までとなっています。

青色申告を選ぶかどうか

青色申告を選ぶと、帳簿を付ける手間が増える代わりに控除を受けられます。国税庁は、正規の簿記の原則により記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して期限までに提出した場合、原則として最高55万円を控除できるとしています。さらに、電子帳簿保存または電子申告を行っている場合は最高65万円になります。

簡易な記帳にとどめる場合の控除額は最高10万円です。ハンドメイドの規模であれば、まずはこちらから始めて、売上が伸びた段階で切り替えるという進め方も現実的です。

なお、青色申告を選ぶには、事前に承認申請の手続きが必要です。開業届と一緒に出せるので、届け出をするタイミングで検討してください。

確定申告が必要になる境目

給与を1か所から受けていて、それ以外の所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。給与を受けていない専業の場合は、基礎控除などを差し引いて税額が生じるかどうかで判断します。

所得税の申告が不要な範囲であっても、住民税の申告が別に必要になる場合があります。住んでいる自治体の案内を確認してください。税額が出ない場合でも、申告しておくことで所得の証明が取れるようになり、保育の利用申請などで役に立つことがあります。

記録の付け方と経費にできるもの

帳簿を付けるかどうかにかかわらず、記録は残してください。あとから作ることはできません。

経費として考えられるもの

材料費、販売手数料、梱包材、送料、作品の撮影に使った備品、出品のために使った通信費。事業のために使った分であることが説明できれば、経費として扱える範囲に入ります。

家の一部を作業場として使っている場合、電気代や通信費の一部を按分して計上できる場合があります。按分の割合は、使用面積や使用時間など合理的な基準で決めます。個別の判断は事情によって変わるため、金額が大きくなる場合は税務署に確認してください。

レシートは売上と対にして残す

いちばん多い失敗が、材料を買ったレシートを捨ててしまうことです。買い物のついでに材料を買うと、家庭用の買い物と混ざります。可能であれば会計を分け、難しければレシートに印を付けてください。

売上の記録は、販売先の管理画面から取得できます。月ごとに書き出して保存しておくと、申告のときに慌てません。手数料が差し引かれた後の入金額だけを記録していると、売上と経費が分からなくなるため、差し引き前の金額も残しておいてください。

保管の期間を守る

帳簿や書類には、保存しなければならない期間が定められています。青色申告か白色申告かによって対象と年数が変わるため、自分がどちらに当たるかを確認してください。

電子的にやり取りした請求書や領収書については、電子データのまま保存することが求められる仕組みがあります。販売先の管理画面から取得した支払い明細も、この対象に入る場合があります。印刷して紙で持っているだけでは足りないことがあるため、データの保存場所を決めておいてください。

在宅で作業する環境を整える

出品作業や顧客とのやり取りには、安定した通信環境が要ります。作品の写真をまとめて投稿する場面では、上りの速度が効いてきます。回線の選び方は在宅ワークに最適なネット回線|光回線vsホームルーターの選び方で整理しています。

細切れの時間で作業を進めるには、集中の仕方にも工夫が要ります。家事と並行して進める場合の考え方は在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックにまとめています。

売る前に確認しておく決まり

作品を販売する時点で、事業者としての決まりが適用されます。知らずに違反している例が多い部分です。

通信販売の表示

特定商取引法第十一条は、通信販売をする場合の広告に表示すべき事項を定めています。販売価格(送料が含まれない場合は価格と送料)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの期間に定めがあるときはその内容、申込みの撤回や解除に関する事項などです。

マーケットを使う場合、これらの項目を入力する欄が用意されています。空欄のまま出品すると、購入者から問い合わせが増えるだけでなく、法律上の表示義務を満たさない状態になります。返品の可否と条件は、とくに明確に書いてください。

表示の正確さ

素材や産地、手作業の範囲について、実際と違う表示をしないでください。「天然石」「本革」といった表示は、そのとおりであることが前提です。事実と異なる表示や、実際より著しく優良だと誤認させる表示は、景品表示法の規制対象になります。

また、事業者が自分で用意した表示であることを隠して、第三者の感想を装う手法についても規制があります。知人に依頼して感想を投稿してもらう場合、関係性が分かる形にしてください。

品質表示が必要な品目

衣料品や繊維製品には、家庭用品品質表示法にもとづく表示が求められるものがあります。対象品目と表示の方法は消費者庁が示しています。布小物を扱う場合は、自分の作るものが対象に入るかを確認してください。

許可が必要になる品目

食品を作って売る場合、営業許可や営業届出が必要になります。化粧品や石けんとして販売する場合も、製造販売業の許可が関わります。アクセサリーであっても、医療機器や化粧品としての効果をうたうと別の規制に入ります。

中古品を仕入れて手を加えて売る形は、古物営業の許可が必要になる場合があります。自分が作ったものを売るだけなら該当しませんが、仕入れが入る形を考えているなら、先に確認してください。

他人の権利を使わない

キャラクター、ロゴ、既存の型紙やデザイン。これらを使った作品を販売すると、著作権や商標権の問題が生じます。「ハンドメイドだから」「1点ものだから」という理由で許されることはありません。

市販の型紙を使う場合、商用利用の可否が販売者によって定められています。購入したから自由に使える、とは限りません。

値段を数字で組み立てる

値付けは、この副業でいちばん結果を左右する作業です。感覚で決めると必ず安くなります。順番に計算してください。

1つ目の数字:材料費

作品1点に使った材料の費用を出します。ここでつまずくのが、まとめ買いした材料の扱いです。1メートル単位で買った紐を10センチ使ったなら、費用も10分の1で数えます。面倒でも、いちど主要な材料の単価を一覧にしておくと、以後の計算が速くなります。

余った端材や、失敗して使えなくなった分も費用に含めてください。実際に減った材料の全部が、その作品を作るために消えたものです。

2つ目の数字:作業時間

制作にかかった時間を測ります。ここも、制作だけでなく、型を起こす時間、道具を出して片付ける時間を含めてください。5点まとめて作るなら、合計時間を5で割ります。

時間が出たら、自分の時給をいくらに置くかを決めます。住んでいる地域の最低賃金を下回らない水準を、いったんの基準にするのが分かりやすい方法です。地域別の最低賃金は毎年見直されるため、現在の額を確認してください。

3つ目の数字:販売にかかる費用

販売手数料、梱包材、発送のための資材。送料を購入者に負担してもらう場合でも、手数料の計算対象に送料が含まれる販売先があるため、実質的にいくらか負担することになります。

振込手数料も、回数が増えると効いてきます。まとめて引き出せる仕組みがあるなら、頻度を下げるだけで手元に残る額が変わります。

足し合わせて価格を出す

材料費に、作業時間から出した金額を加え、販売にかかる費用を加える。これが、赤字にならない下限です。ここに利益を乗せた額が販売価格になります。

計算してみると、同じ種類の作品が市場に出ている価格より高くなることがあります。そこで値下げする前に、作り方を見直せないかを考えてください。工程を減らす、まとめて作る、材料の仕入れ先を変える。価格を下げるのは最後の手段です。

値上げのタイミング

いったん付けた価格を上げるのは、心理的に難しい作業です。ただ、材料費は上がり続けていますし、作業に慣れれば作品の質も上がります。

新作を出すタイミングで、新しい価格帯を試すのが進めやすい方法です。既存の作品の価格を一斉に変えるより、購入者の反応を見ながら移せます。

売れ始めてから起きること

注文が入るようになると、作る以外の仕事が増えます。先に知っておくと慌てません。

注文の管理

複数の販売先を使っていると、どの注文をどこまで進めたかが分からなくなります。注文番号、購入者、作品、発送予定日、発送済みかどうか。この5項目だけの一覧を作って、注文が入るたびに書き足してください。表計算ソフトで十分です。

発送が遅れると、評価に直結します。遅れそうな場合は、期日が来る前に連絡してください。事前の連絡と事後の言い訳では、受け取られ方がまったく違います。

問い合わせと返品への対応

購入前の質問、サイズの相談、届いた作品についての指摘。これらは必ず来ます。返信の型をいくつか用意しておくと、時間をかけずに丁寧な対応ができます。

返品の可否は、出品の時点で明示しておく項目です。ハンドメイド作品はオーダーメイドの性質を持つものが多く、返品を受けられない場合があります。その条件を先に書いておけば、あとのやり取りが短くなります。不良があった場合の対応だけは、別に定めておいてください。

同じ作品を真似されたとき

作品の写真が無断で使われたり、デザインをそのまま模倣されたりすることがあります。販売先には通報の窓口が用意されているので、まずそちらに申し立ててください。

作品の写真には、自分で撮影した証拠が残ります。撮影日時のデータは削除せずに保管しておいてください。あとから自分が先に作ったことを示す材料になります。

在庫と材料の管理

売れ行きを見込んで材料をまとめ買いすると、売れなかった場合に資金が滞ります。材料費は先に出ていき、売上は後から入る構造だからです。

まとめ買いによる単価の低下と、資金が寝てしまうことの両方を比べて決めてください。最初のうちは、必要な分だけを都度買う形の方が安全です。

初めての確定申告

最初の年は、何をどう記録すればよいかが分からないまま過ぎがちです。売上と経費を月ごとに書き出しておくだけでも、申告のときの作業量が大きく変わります。

確定申告の時期は毎年決まっており、期限に遅れると加算される税があります。年が明けてから慌てないよう、年内のうちに資料をまとめておいてください。

続けるための組み立て方

最後に、続け方の話をします。

制作以外の時間を測る

ハンドメイドで手が止まる理由の多くは、制作ではなく、それ以外の作業です。撮影、説明文の作成、梱包、発送、問い合わせへの返信。これらの時間を1点あたりで測ってみてください。制作時間より長いことがあります。

撮影の場所と道具を固定する、説明文の型を作っておく、梱包材をまとめて用意しておく。この3つだけでも、1点あたりの時間は目に見えて短くなります。

収入の柱を1本に絞らない

季節や流行で売れ行きが動くのは、この分野の特徴です。作品の販売だけに頼ると、売れない月の収入がゼロになります。

作り方を教える、型紙を作って販売する、素材の情報をまとめて発信する。制作で得た知識を別の形にすると、収入の入り口が増えます。文章を書く仕事に広げる道もあり、水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとめています。

在宅でできる仕事の幅を知っておくと、体力や時間の状況が変わったときに動きやすくなります。どんな資格が役に立つかは在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで扱っています。文書作成の力を形にしておきたい場合はビジネス文書検定のように、公開された試験で結果が残るものが向いています。

発注を受ける形も検討する

不特定多数に売るだけでなく、事業者から依頼を受けて制作する形もあります。店舗の内装小物、企業のノベルティ、撮影用の小道具。単価が読みやすく、まとまった数の注文になるのが利点です。

この形で仕事を受ける場合は、業務委託の契約になります。どんな案件があるかを知るにはAIコンサル・業務活用支援のお仕事のように、在宅で受けられる業務委託の実例を見ておくと、条件の相場感が身につきます。

市場を長く見てきた立場からの観察

在宅とフリーランスの領域を20年にわたって見てきた立場から言えば、ハンドメイドを副業にする人の相談には、はっきりした傾向があります。作品の質で悩んでいる人より、値付けと手続きで止まっている人の方が圧倒的に多いのです。

運営者として見てきた限りでは、続いている人は最初に「1点あたりいくら残るか」を計算しています。材料費と手数料と送料を引いて、自分の作業時間で割る。この計算を一度でもした人は、安売りをしなくなり、結果として長く続きます。計算をしていない人は、売れているのに手元が増えないという状態に入り、そこで疲れて止まってしまいます。

もう1つの観察は、手取りの構造についてです。仲介の手数料が差し引かれない形で依頼者と直接つながれると、依頼する側は同じ予算でより多くを頼めるようになり、受ける側の手元に残る額は厚くなります。家事の合間に確保できる時間は限られています。同じ時間で手元に残る額が変わるなら、どこで受けるかの選び方は、作品の作り方と同じくらい結果を左右します。

最後に、扶養の話に戻ります。税の線と社会保険の線は別々で、税の数字は令和8年分から変わっています。古い数字で判断すると、働ける範囲を実際より狭く見積もることになります。数字を確かめたうえで、どこまでやるかを自分で決めてください。制度は、手を止めさせるためにあるのではありません。

よくある質問

Q. ハンドメイドの売上がいくらまでなら扶養に入ったままですか?

税と社会保険で線が別です。税の側は、配偶者控除の要件が令和8年分から合計所得62万円以下になりました。ハンドメイドの収入は給与ではないため、売上から必要経費を引いた額で判定します。社会保険の側は、被扶養者の要件が年間収入130万円未満で、自営の場合は必要経費を控除した額で見ます。基準も数え方も違うので、両方を確認してください。

Q. 62万円を超えたら配偶者控除は全部なくなりますか?

いきなりゼロにはなりません。配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下で、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であれば、配偶者特別控除の適用を受けられます。控除額は双方の所得に応じて段階的に変わる仕組みです。金額の減り方を確かめてから、作る量を決めてください。

Q. 開業届はいつまでに出せばよいですか?

所得税法は、開業した事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに提出するよう定めています。「開業から1か月以内」という説明は古い情報です。青色申告を選ぶ場合は別に承認申請の手続きが必要で、開業届と一緒に提出できます。まず売上の見込みを立ててから判断しても間に合います。

Q. ハンドメイドでも家内労働者等の必要経費の特例は使えますか?

国税庁はこの特例の対象を、家内労働法の家内労働者や外交員などのほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う人としています。自分で材料を仕入れて不特定多数に販売する形は、通常この要件に当てはまりません。特定の事業者から継続的に依頼を受けて納品する形であれば判断が変わる可能性があるため、税務署に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月18日最終更新:2026年9月25日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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