ハンドメイド作家の収入はどのくらいか|販売先ごとの手取りの目安 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
ハンドメイド作家の収入はどのくらいか|販売先ごとの手取りの目安 2026

この記事のポイント

  • ハンドメイド作家の収入を階層別に整理し
  • 販売先ごとの手数料と手取りの目安
  • 続ける人と辞める人の違い

先日、ハンドメイド作家として3年活動している方から相談を受けました。「売上は月12万円あるのに、手元に残るのが3万円もない。これは普通なんでしょうか」と。結論から言うと、その数字自体は珍しくありません。ただし、原因は「売れていないこと」ではなく、販売先の手数料構造と原価計算の組み立て方にありました。ハンドメイド作家の収入は、売上の大きさよりも「どこで売って、いくら引かれて、何時間かけたか」で決まります。これ、知らないまま数年走ってしまう人が本当に多いんです。

この記事では、特定のジャンル(アクセサリー、布小物、革、陶器など)に絞らず、ハンドメイド作家全体を横断した収入の実態を扱います。作家が置かれている階層の分布、販売先ごとに手元に残る金額の目安、そして活動を続けられる人と1年以内に辞めてしまう人を分けている条件。さらに、収入が階段状に伸びる「転換点」がどこにあるのかを整理します。ジャンル別の単価の話ではなく、収入構造そのものの地図だと思って読んでください。

ハンドメイド作家の収入は「平均値」で語ると必ず外れる

「ハンドメイド作家 収入」で検索したとき、平均年収という形の数字を目にすることがあります。ですが、この職種ほど平均値が実態を表さないものはありません。理由は分布が極端な右肩下がり、いわゆるロングテール型になっているからです。ごく少数の上位層が売上の大半を占め、大多数は月数千円から数万円の範囲に集中しています。この形の分布では、平均値は上位層に引っ張られて中央値の何倍にも膨らみます。

実際、販売プラットフォーム側の調査でも、副業レベルで始めた層のボリュームが圧倒的であることが示されています。

収入の幅は非常に広いのがハンドメイド作家の特徴です。副業レベルで少しずつ販売を始めた人の場合、月の収入が1万円に満たない人が約50%を占めていることから、まずは月1万円を超えることが一つの目安としてもいいかもしれません。(出典:「ハンドメイド作家における副業調査」GMOペパボ株式会社) 出典: baseu.jp

つまり、始めたばかりの層のおよそ半分は月1万円に届いていない。これは失敗ではなく、この市場の標準的なスタート地点です。ここを「自分だけが売れていない」と受け取ってしまうと、伸びる前に手を止めることになります。逆に言えば、月1万円を安定して超えた時点で、すでに上位半分に入っている計算になります。

階層で見るハンドメイド作家の実態

収入を4つの階層に分けると、それぞれの層が抱える課題がまったく違うことが見えてきます。自分がどの層にいるかで、次に打つ手が変わります。

第1層は月1万円未満。出品数が10点から30点程度で、SNSのフォロワーも数百人規模。ここでの課題は「作品の質」ではなく「見つけてもらえていないこと」がほとんどです。マーケットプレイス内の検索で上位に出ない、写真が暗い、タイトルに検索される言葉が入っていない。この層で技術を磨く方向に努力を振ってしまうと、いつまでも露出が増えません。

第2層は月1万円から5万円。リピーターが数人つき、月に10件から30件程度の注文がある状態です。この層の壁は制作時間です。注文が増えるほど手が回らなくなり、売上が時間の上限にぶつかります。ここで価格を据え置いたまま数をこなそうとすると、時給換算が下がり続けます。

第3層は月10万円から30万円。この層に入ると、開業届を出して個人事業主として活動しているケースが多くなります。課題は在庫管理、確定申告、外注化、そして売れ筋への集中です。作品ラインナップを絞る決断ができるかどうかが分岐点になります。

第4層は月50万円以上。ここは作家というより小規模メーカーに近い動き方をしています。卸やOEM、実店舗への納品、ワークショップ運営、企業とのコラボレーションなど、個人向け小売以外の収入源を持っているのが特徴です。制作の一部を内製せず、パートナーに委託していることも珍しくありません。

収入が月ごとに大きく振れるのがこの仕事の常態

ハンドメイド作家の収入を語るとき、月次のブレの大きさを外して考えると判断を誤ります。SNSで作品が拡散された月と、そうでない月では入金額が2倍から3倍変わることが普通に起きます。

本業のハンドメイド作家さんの収入

ハンドメイド作家をしています。 仕事が激務なのですが子が通っている保育園の絡みもあり辞めることも出来ず、心身の負担が大きいので今月から週4勤務に減らしました。 減った分をハンドメイドで補おうと頑張ったのですが、先月はSNSで作品がバズり15万、しかし今月は特にバズりなどもなく、頑張りましたが入金額としては7万ほどです。 2月は中々売れないというのは... 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この投稿は市場の実感をよく表しています。拡散された月に15万円、通常月に7万円という振れ幅は、努力量の差ではなく露出の偶然によるものです。だからこそ、収入を評価するときは月単位ではなく直近6か月から12か月の平均で見る必要があります。単月の落ち込みを実力の低下と誤読して撤退してしまう人が、かなりの数います。

季節性も無視できません。ハンドメイド市場は年間を通して需要が一定ではなく、11月から12月のギフト需要期、3月から4月の入園入学期、5月と9月のイベント期に山ができます。逆に1月後半から2月、8月は動きが鈍る時期として知られています。年収を組み立てるときは、この季節カーブを前提に、閑散期に何を作り溜めるかまで含めて設計するのが実務的です。

販売先ごとに手元に残る金額はここまで違う

ここが本題です。同じ3,000円の作品を売っても、販売先によって手元に残る金額は1,000円以上変わります。売上を追う前に、この構造を頭に入れておく必要があります。

ハンドメイドマーケットプレイス型

minneやCreemaに代表される、作家が集まる専用マーケットプレイスです。2026年時点の一般的な販売手数料は、税込価格に対しておおむね10%前後。プラットフォームによって9.6%から11%程度の範囲で設定されており、ここに決済手数料が含まれる場合と別建ての場合があります。

このタイプの最大の利点は集客です。買う気のあるユーザーが最初から集まっているので、開設初日から検索経由の閲覧が発生します。一方で欠点も明確で、同じジャンルの作家が数千人単位でひしめいているため価格競争に巻き込まれやすく、顧客リストが自分の資産になりません。購入者の連絡先はプラットフォーム側が保持しているため、退店すると関係がゼロに戻ります。

手取りの目安としては、税込3,000円の作品なら手数料で300円前後が引かれ、材料費が900円、梱包資材が150円かかったとすると、送料を購入者負担にしても手元に残るのは1,650円程度です。ここから制作時間を割ると時給が出ます。

自社ECカート型

BASEやSTORESのような、自分でネットショップを構築するサービスです。手数料の考え方が2種類あり、月額無料で販売ごとに6%から10%程度かかるプランと、月額固定費を払う代わりに販売手数料を3%台まで下げるプランがあります。

自社ECの本質的な価値は手数料の安さではなく、顧客との関係を自分で持てることです。メールアドレスやSNSのフォロワーが自分の資産になるため、新作を出したときに直接告知が届きます。ただし集客はすべて自力です。SNSやブログからの流入がゼロなら、開設しても誰も来ません。マーケットプレイスで一定のリピーターができてから並行運用に移すのが、失敗の少ない順番です。

損益分岐の考え方はシンプルで、月額固定費を販売手数料の差額で割ると出ます。月商10万円で手数料差が3%なら差額は3,000円。月額5,000円のプランなら、月商17万円あたりが切り替えラインになります。

委託販売と実店舗への納品

雑貨店やセレクトショップに作品を置いてもらう形態です。ここは手数料の水準がまったく違います。委託販売の場合、店舗側の取り分は売上の30%から50%が一般的。加えて棚代として月額3,000円から10,000円程度を求められるケースもあります。

買取(卸)の場合は、上代(店頭価格)の50%から60%で納品するのが業界の標準的な掛け率です。手取り率は下がりますが、売れ残りリスクを店舗側が負うため、資金繰りは安定します。

ここで法務の話を一つ。委託販売の契約書で必ず確認してほしいのが、売れ残った在庫の扱い、破損時の負担、そして支払サイトです。これ、口約束で始めてしまう人が本当に多いんです。実際にあった相談では、店舗が閉店した際に預けていた作品40点が返却されず、契約書もなかったため回収に数か月かかったケースがありました。委託は所有権が作家側に残る取引です。返還の条件と、店舗都合の終了時にどうするかを1枚の紙にしておくだけで、リスクは大きく下がります。※金額が大きい場合や、すでにトラブルが起きている場合は弁護士に相談してください。

イベント・マルシェでの対面販売

出展料を先に払う代わりに、売上からの手数料が発生しない(または低い)形態です。小規模なマルシェで3,000円から10,000円、大規模イベントで15,000円から50,000円程度が出展料の相場です。

収支で見ると、出展料に加えて交通費、什器代、当日の拘束時間(準備と撤収を含めて8時間から10時間)が乗ります。単純な利益率だけを見ると割に合わないことも多い。それでも出展する価値があるのは、対面でしか得られない情報が取れるからです。どの作品で足が止まるか、どの価格帯で財布が開くか、何を聞かれるか。この情報は、オンラインの数字からは絶対に読み取れません。収入源としてではなく、商品開発のリサーチ費用として位置づけるのが実務的な考え方です。

法人からの受注とオーダーメイド

企業からのノベルティ制作、店舗の内装用オブジェ、ブランドとのコラボレーション、撮影用小道具の制作など、法人を相手にした受注です。この領域に入ると単価の桁が変わり、1件10万円から100万円規模の取引も出てきます。

ただし、求められるものも変わります。納期の厳守、指定数量の確実な確保、請求書と見積書の発行、そして品質の均一性。1点物の魅力で売っていた作家が、同じものを300個作る仕事に対応できずに信用を落とすことがあります。法人取引は「作家性」ではなく「供給能力」を買われている、という認識の切り替えが必要です。

なお、法人からの継続的な受注は業務委託契約の形を取ることが多く、2024年11月施行のフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の対象になります。発注事業者には取引条件の書面またはメールでの明示義務があり、報酬は物品等を受け取った日から60日以内に支払わなければなりません。つまり、「検収が終わっていないから」という理由で支払いを何か月も引き延ばすのは、法律上認められていないということです。制作を伴う受注をする作家さんは、この法律が自分を守る側に立っていることを知っておいてください。

売上ではなく「手取り時給」で自分の収入を見る

ハンドメイド作家の収入で最も見落とされるのが時給です。月商15万円という数字だけを見ると立派に見えますが、材料費が4万5,000円、手数料が1万5,000円、梱包と発送が1万円、制作と発送作業に月160時間かかっていたとすると、手取り8万円160時間で割って時給500円です。2026年時点の全国加重平均の最低賃金を大きく下回ることになります。

原価に含めるべき5項目

原価計算で漏れやすい項目を挙げます。材料費は誰でも計上しますが、それ以外が抜けます。

1つ目は副資材と消耗品。接着剤、糸、針、ヤスリ、塗料、レジンの使い捨て容器など、作品に直接残らないものです。年間で数万円単位になります。

2つ目は梱包と発送。緩衝材、箱、封筒、宅配便のシール、サンキューカード。1件あたり100円から300円程度かかります。送料を購入者負担にしていても、梱包資材は作家の負担です。

3つ目は設備の減価。ミシン、オーブン、彫刻機、撮影機材などは購入時に一括で費用になるわけではなく、耐用年数で按分して考えます。10万円以上の機材は税務上も減価償却の対象になります。

4つ目は失敗ロス。制作数のうち一定割合は失敗して商品にならず、これも原価です。慣れないジャンルでは10%から20%の歩留まり損が出ることがあります。

5つ目が自分の労務費です。ここを0円で計算すると、価格はいくらでも下げられてしまいます。仮の時給を決めて原価に入れる、これだけで価格の下限が自動的に決まります。

価格設定の考え方

ハンドメイドの世界で長く使われてきた計算式は「(材料費+労務費)×2から3」です。この倍率は乱暴に見えますが、販売手数料、失敗ロス、閑散期の在庫負担、SNS運用の時間といった見えないコストを吸収するためのものです。倍率を下げて材料費の1.5倍で売ると、忙しくなればなるほど赤字に近づきます。

安く売れば売れる、という発想は多くの場合逆効果です。価格を下げると、価格で選ぶ層が集まります。この層はリピートせず、値引き交渉やクレームの発生率も相対的に高い。逆に価格を適正まで上げると、作品そのものを評価する層が残ります。相談を受けた作家さんで、思い切って価格を1.5倍にしたところ、販売点数は3割減ったのに手取りは増え、問い合わせ対応の負担が大きく軽くなったという例がありました。数を追う戦略は、制作に時間がかかるハンドメイドとは相性が悪いのです。

続ける人と辞める人を分けている条件

ハンドメイド作家として活動を始めた人のうち、1年後も継続的に出品しているのは決して多数派ではありません。ここには収入の高低とは別の要因が働いています。

辞めていく人に共通する4つのパターン

1つ目は、収益化の期限を短く設定しすぎたケース。「3か月で月5万円」のような目標を立て、届かなかったことで自分に才能がないと判断してしまう。実際には、検索経由の流入が安定するまでに半年から1年かかるのが普通です。

2つ目は、原価を計算しないまま値付けして、忙しさに比例して疲弊するケース。売れているのにお金が残らない状態が続くと、モチベーションは確実に削られます。

3つ目は、SNSの反応を作品の評価と同一視するケース。いいねの数と購入数は別の指標です。拡散されても売れない作品はあるし、拡散されなくても静かに売れ続ける定番もあります。ここを混同すると、SNS映えを追って本来の強みから離れていきます。

4つ目は、家族や生活とのバランスが崩れるケース。深夜まで制作して睡眠時間を削る運用は、数か月は成立しても年単位では続きません。収入の階層を上げる前に、無理のない制作量の上限を決めておく必要があります。

続いている人がやっていること

長く続けている作家に共通するのは、意外なほど地味な習慣です。

制作以外の時間を確保していること。撮影、商品説明の書き直し、梱包資材の発注、経理。この「作らない時間」を週に一定量スケジュールに入れている人は、繁忙期に破綻しません。

売れた理由を記録していること。どのタグから流入したか、どの写真に変えてから閲覧が増えたか。感覚ではなく記録で判断できると、閑散期に慌てて安売りする必要がなくなります。

作らない作品を決めていること。依頼があってもオーダーメイドは受けない、この技法は使わない、この価格帯には降りない。制約を先に決めておくと、判断のたびに消耗しなくて済みます。

そして、収入の柱を1本にしていないこと。作品販売だけでなく、レシピやキットの販売、ワークショップ、制作代行、講師、SNS運用の受託など、周辺のスキルを収入に変えています。この点は、在宅で働く他の職種とも共通しています。たとえば映像や文章の分野でも、単価の推移と収入の作り方が近い構造を持っており、動画編集者の年収・収入|副業とフリーランスの違いを解説では副業段階から専業へ移る際の収入の階段が整理されています。制作系フリーランス全般に共通する話として参考になります。

収入が階段状に伸びる4つの転換点

ハンドメイド作家の収入は、緩やかな右肩上がりではなく、いくつかの転換点で段階的に跳ねます。この転換点を知っておくと、停滞している時期に何をすべきかが判断しやすくなります。

転換点1: 単品からシリーズへ切り替える

作品を1点ずつ独立して作っている段階では、制作のたびに設計と試作が発生します。ここを「同じ設計で色や素材だけ変える」シリーズ構成に切り替えると、制作時間が大きく落ちます。同時に、購入者側から見ても「このシリーズの別の色」という買い足しの動線ができ、1人あたりの購入単価が上がります。

シリーズ化は在庫管理も楽にします。共通のパーツをまとめて仕入れられるため、材料の単価が下がり、欠品も減ります。月1万円台で止まっている作家が最初に試すべきなのが、この設計の共通化です。

転換点2: 価格を上げる決断

第2の転換点は値上げです。多くの作家がここで足踏みします。「値上げしたら誰も買わなくなるのでは」という不安は自然ですが、実際には既存の購入者の大半は残ります。価格に敏感な層が離れ、作品を評価している層が残る、という入れ替わりが起きます。

値上げのタイミングとして機能しやすいのは、素材のグレードを上げたとき、パッケージを刷新したとき、シリーズを新しく立ち上げたときです。既存商品の価格をいきなり変えるより、新シリーズを高い価格帯で出して反応を見るほうが、心理的にも実務的にも負担が軽くなります。

転換点3: 販路を複線化する

1つのマーケットプレイスだけに依存している状態は、収入が完全にそのプラットフォームの検索アルゴリズムに握られている状態です。仕様変更や競合の増加で流入が半減することは実際に起きます。

複線化の順番としては、まずマーケットプレイスで一定のリピーターを作り、次に自社ECを開設して既存顧客を誘導し、その後で委託販売やイベントに広げるのが安定します。逆に、集客の実績がないまま自社ECから始めると、開設しただけで終わることが多い。それぞれの販路は手数料も客層も違うため、同じ作品でも売れ方が変わります。この違いを実データで把握できるようになると、どこに在庫を寄せるかの判断が早くなります。

転換点4: 作る以外の仕事を収入に変える

第4の転換点は、制作以外のスキルを収入化することです。ハンドメイド作家は活動を続けるうちに、商品撮影、文章による商品説明、SNS運用、イベント企画、資材の目利きといった能力が自然に育ちます。これらは単体で業務として成立するスキルです。

実際、在宅で受託できる仕事のなかには、こうした周辺スキルを直接生かせる領域があります。商品説明文やブランドストーリーの執筆であれば著述家,記者,編集者の年収・単価相場で相場の水準を確認できますし、企業のSNS運用やマーケティング支援の分野はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に業務内容と求められるスキルがまとまっています。制作の閑散期に受託の仕事を入れておくと、収入の谷が浅くなります。

この「制作収入と受託収入を組み合わせる」形は、専業化を目指す段階で特に効きます。作品販売だけで生活費を賄おうとすると、閑散期の落ち込みがそのまま生活を圧迫します。受託を組み合わせておくと、価格を下げずに閑散期を越えられるようになります。

副業として始める場合の現実的な設計

会社員として働きながらハンドメイドを副業にする場合、収入の設計は専業とは別に考える必要があります。

就業規則と副業の可否

まず確認すべきは勤務先の就業規則です。副業を禁止している企業は減りましたが、許可制や届出制を取っているところは依然として多い。ハンドメイド販売は継続的な営利活動にあたるため、届出が必要なケースが一般的です。無届けで始めて、後から確定申告の住民税経由で発覚する例があります。

住民税については、確定申告の際に「自分で納付」を選択することで、給与から天引きされる分と分けて納付できます。ただし自治体の運用によっては対応が異なるため、事前に確認してください。※懲戒処分のリスクが具体的に生じている場合は、社会保険労務士や弁護士への相談をおすすめします。

確定申告と扶養のライン

副業としてハンドメイドをする場合、給与所得がある人は雑所得または事業所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。ここで言う20万円は売上ではなく、売上から必要経費を引いた「所得」です。売上60万円で経費が45万円なら所得は15万円なので、所得税の申告義務は生じません。ただし住民税は20万円以下でも申告が必要です。ここを取り違えている人、本当に多いんです。

配偶者の扶養に入っている場合は、税法上の扶養と社会保険上の扶養で基準が違います。実際、こんな質問が寄せられています。

ハンドメイド作家、個人事業主として収入を得ています。 来年から旦那の扶養に入ろうと思っているのですが収入が48万以上130万未満の場合は、 税法上の扶養には入れず、社会保険上の扶養には入れるという認識で合っていますでしょうか? よろしくお願いいたします。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

大枠の考え方としては、税法上の配偶者控除は合計所得金額が48万円以下であることが基準で、これを超えると配偶者特別控除の段階的な縮小に移ります。社会保険の被扶養者判定は「年間収入130万円未満」が原則ですが、こちらは所得ではなく収入ベースで見るのが基本で、事業所得者の場合に経費のどこまでを差し引けるかは加入している健康保険組合ごとに判断が分かれます。同じ売上でも、組合によって結論が変わることがあるということです。※扶養の可否は最終的に加入先の健康保険組合と税務署の判断になります。判断に迷う場合は、必ず加入先の保険者と最寄りの税務署に直接確認してください。制度の一次情報は国税庁日本年金機構のサイトで確認できます。

開業届と青色申告

ハンドメイドの収入が安定してきたら、開業届と青色申告承認申請書の提出を検討する段階に入ります。青色申告を選択すると、複式簿記による記帳と電子申告等の要件を満たすことで最大65万円の特別控除が受けられます。所得が100万円を超えてくるあたりから、節税効果が記帳の手間を上回るケースが多くなります。

記帳は会計ソフトを使えば大きな負担にはなりません。売上と経費を科目ごとに登録しておけば、確定申告書の作成まで自動で進みます。むしろ、日々の記録が残ることで原価率や時給が可視化され、価格設定の判断材料になるという副次的な効果のほうが大きい。数字を持っている作家は、値上げの決断が早いです。

権利まわりで気をつけること

もう一点、法務の観点から触れておきます。ハンドメイド作品には著作権や意匠権、商標権が絡むことがあります。キャラクターや企業ロゴを模したモチーフ、市販の生地に描かれたデザインを使った商品化は、権利者の許諾がなければ販売できません。生地には「商用利用不可」と明記されているものがあり、これを見落とすと販売停止や損害賠償の対象になり得ます。

また、自分の作品が無断でコピーされる側になることもあります。この場合、まずは証拠(該当ページのスクリーンショット、URL、掲載日時)を保全し、プラットフォームの権利侵害申告フォームから対応するのが現実的な第一手です。いきなり相手に直接連絡すると、感情的なやり取りになって証拠が消されることがあります。※権利侵害への対応は事案によって最適な手順が変わります。金額規模が大きい場合や相手が応じない場合は、弁護士や弁理士に相談してください。法律は、正しく使えばあなたの味方になります。

現場データから読み解くハンドメイド作家の収入構造

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた運営者の立場から言えば、長く収入を伸ばしている人には共通した振る舞いがあります。それは、単発の取引を積み上げるのではなく、「この人に頼むと安心だ」という関係を先に作っていることです。ハンドメイドの世界でも同じで、リピーターの多い作家は、作品の質だけでなく、発送の速さ、梱包の丁寧さ、問い合わせへの返信の早さといった、作品の外側の部分を徹底しています。作品そのものの差より、この積み重ねの差のほうが収入に効いているケースを何度も見てきました。

もう一つ、運営者として見てきた限りで確実に言えるのは、中間マージンの構造を理解している人ほど手取りが厚いということです。同じ10万円の予算があるとき、間に入る事業者が取り分を抜く構造では、依頼する側は頼める量が減り、受ける側の手取りも薄くなります。逆に、中間マージンが乗らない直接取引では、依頼側は同じ予算でより多く頼めて、受け手には金額がそのまま残ります。手数料0%で直接つながる形が支持されてきたのは、金額の多寡ではなく「手取りが厚い」という質の違いがあるからです。ハンドメイド作家が委託販売から自社ECへ、あるいは法人との直接取引へと販路を広げていく動きは、まさにこの構造の理解に基づいています。

在宅ワークの求人データを横断して見ると、ハンドメイド作家が持つスキルは、思っている以上に他の業務に接続できます。撮影と画像編集、商品説明のライティング、SNSでの発信、顧客対応、在庫と経理の管理。これらは受託業務として単体で成立するものばかりです。実際、アプリケーション開発のお仕事のような専門度の高い領域とは別に、制作物の企画や運用支援の領域では、ものづくりの現場感覚を持つ人材が評価される場面があります。また、事務書類の作成やクライアントとのやり取りの質を上げたい場合は、ビジネス文書検定のような資格で基礎を固めておくと、法人取引に移行するときの信頼感が変わります。

収入の階層を上げるという観点でもう一つ付け加えると、専門性の高い分野ほど単価が安定する傾向は、どの職種でも共通しています。たとえば翻訳者の年収・収入|在宅フリーランスの稼ぎ方と単価相場では、汎用的な案件と専門分野の案件で単価が大きく分かれる構造が示されています。ハンドメイドでも同じで、誰でも作れるジャンルは価格競争になり、技法や素材に固有性がある領域は価格が守られます。自分の作品がどちらの側にいるかを冷静に見ることが、収入設計の出発点になります。

最後に、収入を判断するときの実務的な指標を挙げておきます。追うべきは月商ではなく、手取り額を制作時間で割った時給、リピート購入者の比率、そして販路ごとの利益率です。この3つを毎月記録している作家は、閑散期に慌てて安売りをしませんし、値上げのタイミングも自分で判断できます。ハンドメイド作家の収入は、才能や運ではなく、この数字を持っているかどうかで長期的な差がつきます。

よくある質問

Q. ハンドメイド作家の収入は月にどのくらいが現実的ですか?

始めて間もない層は月1万円未満が半数を占めます。出品数とリピーターが増える段階で月1万円から5万円、開業して販路を複線化した段階で月10万円から30万円というのが一般的な階段です。単月ではなく直近6か月から12か月の平均で評価してください。SNSでの拡散有無によって月次の入金額は2倍から3倍振れるのが常態です。

Q. 販売先によって手取りはどのくらい変わりますか?

ハンドメイドマーケットプレイスの販売手数料は10%前後、自社ECカートは月額プランによって3%台から10%程度です。委託販売は店舗側の取り分が30%から50%、卸は上代の50%から60%での納品が標準的です。同じ3,000円の作品でも、販売先の違いで手元に残る額は1,000円以上変わります。

Q. ハンドメイドの副業で確定申告が必要になるのはいくらからですか?

給与所得がある人は、売上から必要経費を引いた所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円は売上ではなく所得で判定します。なお所得が20万円以下でも住民税の申告は必要です。扶養に入っている場合は、税法上は合計所得48万円、社会保険上は原則年収130万円が基準になります。

Q. 収入が伸び悩んだとき、最初に見直すべきことは何ですか?

まず原価と時給を計算してください。材料費だけでなく副資材、梱包費、失敗ロス、自分の労務費を含めます。次に作品の設計をシリーズ化して制作時間を圧縮し、その上で価格の見直しを検討します。技術を磨く方向より、露出と価格設定の見直しのほうが収入への効果が早く出ることが多いです。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月15日最終更新:2026年8月3日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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