行政書士の勤務先に知られずにできるか

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
行政書士の勤務先に知られずにできるか

この記事のポイント

  • 行政書士 副業 バレるという不安の正体を
  • 就業規則・住民税・社会保険・会員名簿という4つの経路に分けて整理しました
  • 制度の仕組みから確認できる形でまとめています

行政書士試験に合格した会社員が最初にぶつかる壁は、試験の難しさでも実務の未経験でもありません。「勤務先に知られたらどうなるか」です。結論から書きます。勤務先に伝わる経路は無限にあるわけではなく、住民税、社会保険、公開されている会員情報、そして人づての4つに整理できます。このうち制度上ほぼ確実に管理できるのは住民税だけで、会員情報は公開が前提であり、社会保険は状況によって扱いが変わります。つまり「絶対に知られない方法」は存在しません。存在するのは「どの経路からどう伝わるかを把握したうえで、事前に手を打っておく」という現実的な対処だけです。この記事では、その4つの経路を制度の仕組みから順に見ていきます。

そもそも副業が禁止されているのか、確認する順序を間違えない

不安の相談を受けていて多いのが、就業規則を読まないまま「たぶん禁止されている」と思い込んでいるケースです。順序として、まずここを確定させてください。

法律上、民間企業の従業員が勤務時間外に別の仕事をすること自体を一律に禁じる規定はありません。禁止の根拠になるのは、あくまで個々の会社の就業規則です。厚生労働省が示しているモデル就業規則も、副業・兼業について原則容認の方向に改定されており、届出制を前提とした条文例が示されています。制度の考え方は厚生労働省の資料で確認できます。

一方、公務員は事情が違います。国家公務員法と地方公務員法には営利企業への従事等の制限に関する規定があり、任命権者の許可が必要とされています。公務員として勤務しながら行政書士の登録をして業務を行うことは、この制限に直接ぶつかります。この記事の以下の内容は民間企業の従業員を前提にしています。公務員の方は、まず所属の人事担当に確認してください。

就業規則で見るべき条文は3か所ある

自社の就業規則を開いたら、次の3か所を探します。

1か所目は「服務規律」または「遵守事項」の章です。「会社の許可なく他に雇い入れられ、又は自ら事業を営んではならない」といった条文がここに置かれています。「自ら事業を営む」という文言があるかどうかは重要です。行政書士として登録して業務を行う形は、雇用ではなく個人事業になるため、雇用だけを禁じる条文なら該当しない可能性があります。

2か所目は「副業・兼業」という独立した条文です。近年改定された就業規則にはこの条項が新設されていることが多く、届出制なのか許可制なのか、禁止される類型(競業、信用毀損、労務提供に支障が出る場合など)が具体的に列挙されています。

3か所目は「懲戒」の章です。副業に関する規定に違反した場合、どの懲戒処分に該当するのかが書かれています。ここを読むと、会社がこの問題をどの程度重く見ているかが分かります。譴責どまりなのか、解雇事由に含まれているのかで、リスクの大きさはまったく違います。

この3か所を読んで、それでも判断がつかない場合は、匿名で人事に「一般論として副業の届出制度はあるか」と問い合わせる方法があります。個別の申告をせずに制度の有無だけを確認できるので、最初の一歩として使えます。

経路その1: 住民税から伝わる仕組みと、その回避方法

もっとも有名で、実際に相談が多いのが住民税の経路です。仕組みを正確に押さえておきます。

会社員の住民税は、原則として給与から天引きされる特別徴収という方式で納めます。市区町村は、その人の前年の所得全体をもとに住民税額を計算し、勤務先に「この人の今年の住民税はいくらです」という通知(特別徴収税額の決定通知書)を送ります。ここで問題になるのが、副業で得た所得も合算された金額が通知されるという点です。給与の額に対して住民税だけが不自然に多いと、経理担当者が気づく可能性がある。これが住民税から伝わる仕組みの正体です。

対処法は制度として用意されています。確定申告書の第二表にある住民税に関する事項で、給与所得以外の所得にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付」に選択すると、副業分の住民税は勤務先経由ではなく自分宛の納付書で納めることになります。

又、住民税からバレるかどうかと言うと、独立した事業主として開業するわけですから、事業所得又は雑所得となり、確定申告書の第二表の住民税に関する事項で「自分で納付」を選択するのであれば、行政書士として稼いだ所得に課税される住民税の通知は会社には行かないので、副業はバレないことになります。 出典: fukugyou-kara-kigyou.jp

ただし、この方法には確認しておくべき前提が3つあります。

1つ目は、この選択が使えるのは給与所得以外の所得についてだけだという点です。副業がアルバイトのような給与所得だった場合、原則として給与所得はまとめて特別徴収されます。行政書士として業務を受ける形は事業所得または雑所得になるのが通常なので、この点では有利です。

2つ目は、自治体の運用が一律ではないという点です。「自分で納付」を選択しても、自治体の処理の都合で特別徴収に合算されてしまう事例は現実に報告されています。申告後、住民税の通知が届く時期(例年5月から6月)の前に、市区町村の住民税担当課に電話で確認しておくのが確実です。

3つ目は、申告そのものを怠ると別のリスクが生じるという点です。給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税についてはこの20万円の基準は適用されません。所得税の申告をしない場合でも、市区町村への住民税の申告が必要になります。これを知らずに何もしないでいると、後から所得が把握されたときに勤務先に通知が行く形で発覚する、という逆の結果になり得ます。制度の詳細は国税庁の案内で確認してください。

事業所得か雑所得かで扱いが変わる部分

行政書士として得た報酬を事業所得として申告するのか、雑所得として申告するのかは、規模と継続性によって判断されます。開業届を出し、継続的・反復的に業務を行っているなら事業所得になるのが自然です。

この区分は住民税の徴収方法の選択とは直接関係しませんが、青色申告特別控除が使えるか、赤字を給与所得と損益通算できるかといった点で影響します。ただし、損益通算を目的に赤字を計上する形は税務上の問題を招きやすいので、実態のない経費計上は避けてください。

経路その2: 社会保険は「増えない」のが基本だが、例外がある

社会保険から発覚するのではないかという不安もよく聞きます。ここは仕組みを理解すれば、過度に心配する必要はありません。

会社員として健康保険と厚生年金に加入している人が、個人事業として行政書士の業務を行った場合、その事業所得に対して新たに社会保険料が発生することはありません。厚生年金と健康保険は事業所単位で適用される制度であり、個人事業主として自分ひとりで業務を行っている限り、新たな被保険者資格の取得手続きは発生しないからです。したがって、勤務先の健康保険組合や年金事務所を経由して情報が伝わることも通常はありません。制度の枠組みは日本年金機構の説明で確認できます。

例外は、副業が「別の会社に雇用される形」だった場合です。2つ以上の事業所で社会保険の加入要件を満たすと、二以上事業所勤務届という手続きが必要になり、双方の勤務先に報酬額が共有される形になります。行政書士として個人で受託する形ならこれには当たりませんが、士業法人に非常勤で雇用される形を取るなら該当し得ます。ここは契約形態を業務委託にするか雇用にするかで結果が変わる部分です。

もう1つの例外は、労働保険(雇用保険)です。雇用保険は原則として主たる賃金を受ける1つの事業所でのみ加入します。副業が雇用の形だと、加入先の判定が必要になる場合があります。

経路その3: 会員名簿は公開されている。ここは隠せない

ここが、他の副業と行政書士が決定的に違う点です。

行政書士として業務を行うには、行政書士名簿への登録が必要です。行政書士法(昭和26年法律第4号)は、この登録と、登録を受けた者が業務を行うことについて定めています。条文はe-Gov法令検索の行政書士法で確認できます。そして、登録された行政書士の氏名と事務所所在地は、日本行政書士会連合会の会員検索で誰でも調べられる状態に置かれています。

なお、日本行政書士会連合会でのHPでは、全国の行政書士会員検索のページがあり、ここで氏名や事務所の所在地で、行政書士検索をすることができます。これを見られると行政書士業務を副業として行っていることはバレるでしょうが、これを会社の人が偶然にも見るという可能性は大変低いのではないでしょうか。 出典: fukugyou-kara-kigyou.jp

「偶然見る可能性は低い」というのはそのとおりですが、リスクの性質を正しく理解しておくべきです。この情報は検索エンジンからも到達できる公開情報であり、氏名で検索されれば出てきます。転職活動、取引先の与信調査、社内での何らかのきっかけで名前を検索されたときに、隠しようがない。しかも事務所所在地として自宅住所を登録していれば、住所まで公開されます。

さらに厄介なのは、登録が「開業」を意味するという構造です。行政書士は登録した時点で業務を行える立場になり、依頼への対応が前提となる職業です。「登録だけして活動しない」という状態を長く続けることは、制度の趣旨と整合しません。実際、この点を指摘する専門家の議論も存在します。つまり、行政書士として副業をやるという選択は、性質上「静かに始める」ことが難しい選択なのです。

登録しない選択肢と、その場合にできることの線引き

では登録せずに何ができるのか。ここは慎重に書きます。行政書士法は、官公署に提出する書類の作成等を業として行うことについて定めており、登録していない人がその業務を行うことには制限があります。どこまでが制限される業務にあたるかは、書類の種類や関与の仕方によって判断が変わるため、この記事で「これはやってよい」と断定することはできません。

一般に、法律や制度についての解説記事の執筆、資格試験の講師や教材制作、事務作業の補助といった仕事は、書類作成の受託とは性質が異なるものとして扱われています。ただし、実際に受けようとしている仕事がどちらに当たるかは、契約書の文言と実態の両方で判断されます。判断に迷う案件は、登録前であっても地域の行政書士会に照会するか、専門家に確認してください。名称の使用についても制限があるため、プロフィールに「行政書士」と書くか「行政書士試験合格」と書くかは、確認したうえで決めるべき部分です。

資格の位置づけ、登録の流れ、試験制度の全体像は行政書士の資格ガイドに整理しています。登録するかどうかを決める前に、一度通して読んでおくと判断材料が揃います。

経路その4: 人づて。実は一番多い

制度の話ばかりしてきましたが、実務の相談を見ている限り、発覚のきっかけとして多いのは制度ではなく人です。

具体的には、次のようなパターンがあります。副業の依頼者が勤務先の取引先だった。同僚に打ち明けた相手から広まった。名刺やホームページに実名を出したところ、取引先の担当者が気づいた。SNSで合格報告や開業報告をしたら、つながっていた同僚の目に触れた。地域の商工会や勉強会で、勤務先の関係者と鉢合わせた。

このうちSNSは特に注意が必要です。合格の喜びを投稿するのは自然なことですが、実名アカウントで開業を報告すれば、それは公開情報になります。副業を伏せる方針なら、発信のアカウントは分ける。分けたうえで、投稿内容から個人が特定される情報(勤務地、通勤経路、社内イベントの写真)を出さない。この2点を徹底するだけで、人づての経路はかなり塞げます。

もう1つ、依頼を受ける相手の選び方も設計に含めるべきです。勤務先と同じ業界、同じ地域の事業者から受けると、どこかで接点が生まれます。副業を伏せる前提なら、業界と地域をずらすのが実際的な対処になります。オンラインで完結する働き方の選択肢はキャリア・副業・人生相談のお仕事のような分野別のガイドで整理されており、対面の接点を持たずに受託する形も現実的になっています。

隠す前提で始めることの、見落とされがちなコスト

ここまで4つの経路を見てきましたが、運営者として指摘しておきたいのは「隠し続けるコスト」の存在です。

隠す前提で始めると、行動に制約がかかります。実名で発信できない、名刺を作れない、セミナーに登壇できない、実績を公開できない。行政書士の仕事は信用が受注に直結するため、この制約は集客能力を直接下げます。結果として、案件が取れないまま登録料と年会費だけが出ていく状態になりやすい。登録関連の初期費用は27万5,000円前後、年会費は都道府県会によりますが年6万円から10万円程度が一般的です。この固定費を払いながら、集客手段を自ら封じている状態は合理的とは言えません。

もう1つのコストは精神的な負荷です。通知が届く時期に落ち着かない、同僚との会話に気を遣う、依頼の電話を職場で取れない。この状態が数年続くと、仕事そのものの継続意欲が削られます。

だからこそ、就業規則を読んだうえで届出や許可の制度があるなら、それを使うことを検討する価値があります。副業を容認する企業は増えており、届出制であれば「競業しない」「本業に支障を出さない」という条件を満たす限り、認められるケースは珍しくありません。許可を得ていれば、実名で発信でき、名刺を作れ、登壇できる。同じ稼働でも受注できる件数が変わります。

副業を届け出るときに、通りやすくするための書き方

届出や申請をする場合、書き方で結果が変わることがあります。会社が心配しているのは基本的に3点だけです。本業の労務提供に支障が出ないか。競業して会社の利益を害さないか。会社の情報が漏れないか。この3点に先回りして答える構成にします。

稼働時間については、平日は1日2時間以内、週末を中心に月20時間程度といった具体的な上限を自分から提示します。上限を示すと、会社は管理しやすくなります。

競業については、受託する業務の範囲を書きます。勤務先の事業領域と重ならないこと、勤務先の取引先からは受託しないことを明記すると、懸念の大半は解消します。

情報管理については、業務に使う端末を分けること、勤務先の設備や時間を使わないことを書きます。行政書士は守秘義務を負う職業であり、その点はむしろ会社への説明材料になります。

そして、なぜやるのかを1行添えます。「資格を維持し実務の知識を保つため」「将来的なキャリアの選択肢として」といった目的が示されていると、単なる小遣い稼ぎとは受け取られません。

副業を巡る制度は職種によって扱いが違い、士業以外の分野では在宅の業務委託が定着してきています。会計分野の副業事情との比較は会計士の副業ガイド|監査法人勤務でもできる高収入の稼ぎ方【2026年版】にまとまっており、同じ士業でも所属団体の規律や勤務先の性質で前提が変わることが分かります。

なお、届出をせずに始めた場合でも、後から届け出る道が閉ざされるわけではありません。実績が数件たまった段階で「資格を維持するために業務を行っている」と説明するほうが、着手前に許可を求めるより通りやすいという見方もあります。ただし就業規則で事前の許可を求めている場合、事後の申告は違反の自認になり得ます。どちらの順序を取るかは、規則の文言を読んだうえで判断してください。

発覚した場合に、実際に何が起こるか

最悪のケースも見ておきます。就業規則に違反した副業が発覚した場合、直ちに解雇されるかというと、そう単純ではありません。

裁判例の傾向としては、就業規則違反があっても、本業への具体的な支障、競業による損害、会社の信用毀損といった実害がない場合、重い処分は認められにくいとされています。逆に、勤務時間中に副業の作業をしていた、会社の顧客情報を使った、競合する事業を行っていた、といった事情があれば処分は重くなります。

実務上多いのは、解雇ではなく「やめるか届け出るかを選ばせる」という対応です。そのため、発覚した時点で誠実に説明し、稼働実態と業務範囲を示せる状態にしておくことが、結果を左右します。日々の稼働記録と受託内容の記録を残しておくことは、この意味でも役に立ちます。

事務所の所在地をどこにするかで、公開される情報が変わる

会員名簿の公開は避けられないと書きましたが、公開される内容の一部は自分で決められます。それが事務所の所在地です。

行政書士は事務所を設けることが前提の制度になっており、登録の際に事務所の所在地を届け出ます。自宅を事務所として登録すれば、自宅の住所が公開情報になります。副業として始める人の多くは自宅を選びますが、賃貸物件の場合は契約上の用途が住居に限定されていないか、管理規約が事務所利用を禁じていないかを先に確認してください。ここを見落として登録手続きを進め、事務所要件の調査で問題になる事例があります。

自宅以外の選択肢としては、レンタルオフィスや実家の一室を使う形が考えられます。ただし、どのような形態が事務所として認められるかは都道府県の行政書士会ごとに運用が異なり、独立性や秘密保持が確保されているかという観点で審査されます。郵便物の受け取りだけを行う形態は認められないのが一般的です。実際にどこまで許容されるかは、登録申請の前に所属予定の会へ照会するのが確実です。

住所の公開を最小限にしたいなら、実家や親族の所有物件を事務所として登録し、勤務先や取引先の生活圏から離す方法があります。完全に非公開にはできませんが、氏名で検索されたときに勤務先の同僚が「近所だ」と気づく確率は下げられます。

事務所の所在地は、後から変更する手続きも用意されています。副業として始めた段階では最小限の形で登録し、本格的に業務を広げる段階で移す。この二段構えは実務上よく取られる進め方です。

別名義や家族名義で受けるという発想は、なぜ成立しないのか

相談の中で時折出てくるのが、家族の名義で受注する、屋号だけを使って本名を伏せる、といった発想です。結論として、この方向は勧められません。

理由は3つあります。1つ目は、行政書士の業務は登録した本人が行うことが前提だという点です。他人名義で受託して自分が実務を行う形は、制度の想定から外れます。報酬の受け取りや責任の所在が名義人にある形になり、問題が起きたときに整理がつきません。

2つ目は、税務上の整合が取れなくなる点です。実際に業務を行った人と、収入を申告する人が異なる状態は、所得の帰属をめぐって問題になります。家族名義の口座で報酬を受け取る形も同様です。副業を伏せるつもりが、より重い問題を抱え込むことになります。

3つ目は、実績が自分に積み上がらない点です。他人名義で受けた仕事は、自分の職歴にも実績にも書けません。副業の目的が将来の独立やキャリアの選択肢を広げることなら、名義を借りた瞬間にその目的が失われます。

伏せたいという動機自体は理解できますが、対処すべきなのは「名義」ではなく「勤務先との関係の整理」です。就業規則を確認し、届出の制度があれば使う。届出が難しい状況なら、登録を急がずに書類作成以外の関わり方から始める。この順序のほうが、結果として長く続きます。

運営者として20年見てきた、伏せる人と開示する人の差

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、副業を伏せて始めた人と、届け出て始めた人では、2年後の状態が明確に分かれます。

伏せて始めた人の多くは、案件が1件目で止まります。理由は能力ではなく、告知ができないからです。行政書士の仕事は「困っている人が自分を見つける」ことで発生するので、見つからない設計にしていれば依頼は来ません。結果として、登録は維持しているが実務はほぼゼロ、という状態で数年が過ぎます。

届け出て始めた人は、初年度こそ件数が少なくても、2年目に紹介が回り始めます。名前を出せることで、地域の勉強会や同業のネットワークに入れるからです。運営者として見てきた限りでは、士業の受注は最終的に紹介が中心になり、その紹介は「顔と名前が見えている人」にしか回りません。

もう1つ、報酬の受け取り方についても触れておきます。仲介事業者を経由して仕事を受けると、依頼者が支払った金額から手数料が差し引かれた額が手元に届きます。依頼者が5万円払っているのに、受け手には4万円しか残らないという構図です。直接取引の形をとれる場であれば、同じ予算で依頼者はより多くを頼め、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%という条件が効いてくるのは、単発の金額差ではなく、年間で何十件と積み上がったときの総額です。副業として月に数件を受ける規模でも、この差は年間で数万円から十数万円の違いになります。

在宅で完結する専門職の単価水準は職種によって幅があり、たとえば著述家,記者,編集者の年収・単価相場のようにデータとして公開されているものもあります。行政書士の副業は制度上の制約が多い分、受け方の設計で差が出ます。何を伏せ、何を開示するのか。その線引きを最初に決めておくことが、続けられるかどうかを分ける最大の要素だと考えます。

よくある質問

Q. 住民税を「自分で納付」にすれば確実に勤務先には伝わりませんか?

確定申告書の第二表で給与所得以外の所得の徴収方法を「自分で納付」に選ぶ制度は存在しますが、自治体の処理によって特別徴収に合算される事例も報告されています。通知が届く5月から6月より前に、お住まいの市区町村の住民税担当課へ選択が反映されているか確認してください。

Q. 副業の所得が20万円以下なら何もしなくてよいですか?

所得税の確定申告が不要になる基準であって、住民税には20万円の基準は適用されません。所得税の申告をしない場合でも市区町村への住民税の申告が必要です。これを怠ると、後から所得が把握された際に勤務先へ通知が行く形で発覚する可能性があります。

Q. 行政書士として登録すると、名前は公開されますか?

登録された行政書士の氏名と事務所所在地は、日本行政書士会連合会の会員検索で誰でも調べられる状態になります。事務所所在地に自宅を登録すれば住所も公開されます。氏名で検索されれば到達できる情報であり、この経路だけは技術的に隠すことができません。

Q. 登録せずに資格を活かす方法はありますか?

法律や制度の解説記事の執筆、資格試験の講師や教材制作、事務作業の補助といった仕事は、書類作成の受託とは性質が異なるものとして扱われています。ただし個別の案件がどちらに当たるかは契約内容と実態で判断されるため、迷う案件は地域の行政書士会や専門家に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月11日最終更新:2026年8月31日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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