完全在宅でイラストの仕事を受ける流れ|依頼の取り方から納品まで

@SOHO編集部
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完全在宅でイラストの仕事を受ける流れ|依頼の取り方から納品まで

この記事のポイント

  • ✓完全在宅でイラストの仕事を受けたい人に向けて
  • ✓挿絵・広告・ゲーム・SNSアイコンなどの仕事の種類
  • ✓ポートフォリオの作り方

イラストの仕事を完全在宅で受けたいと考えたとき、多くの人がつまずくのは、絵の腕より「どこで、どうやって仕事を受けるのか」という点です。求人サイトで「在宅 イラスト」と探しても、出てくるのは出社が前提の制作会社の募集や、一部だけ在宅を認める派遣の仕事が多く、完全在宅の仕事は見つけにくいのが実情です。完全在宅のイラストの仕事の多くは、雇われる形ではなく、1件ずつ依頼を受けて描く業務委託の形で動いています。この記事では、完全在宅で受けられるイラストの仕事の種類、依頼の取り方、ポートフォリオの作り方、見積もりと契約で確かめる条件、そしてラフから納品までの流れを順番に説明します。

完全在宅のイラストの仕事は業務委託が中心

イラストを描く仕事の働き方は、大きく2つに分かれます。

1つは、制作会社やゲーム会社に雇われて働く形です。社員や派遣社員、アルバイトとして雇用契約を結び、決まった勤務時間に会社の指示で描きます。最近は在宅勤務を認める会社も増えていますが、完全在宅の募集は多くありません。実際の求人には、在宅を認めながらも勤務の時間と出社の場所が書かれているものがよく見られます。

\ほぼ在宅/LINE漫画♪売上UPに貢献★制作進行サポート編集・制作業務/ECサイト関連 時給 1850円~1850円 10:00~18:30 週5日 都営大江戸線/六本木、東京メトロ日比谷線/六本木 出典: tempstaff.co.jp

この求人は「ほぼ在宅」と書かれ、勤務の時間と週の日数、最寄りの駅が示されています。雇用の形の在宅の仕事は、出社の日がある、勤務の時間が決まっている、という条件付きのことが多いと考えておくと、求人を読むときに迷いません。

もう1つは、仕事を1件ずつ請け負う業務委託の形です。出版社、広告の制作会社、ゲーム会社、Webメディア、個人などから依頼を受けて、イラストを描いて納めます。作業の場所も時間も自分で決められるので、完全在宅で働きたい人の多くはこちらの形をとります。

業務委託の形は、自由が大きい代わりに、仕事を探す、条件を決める、請求する、税金を申告する、といった会社がしてくれていたことを自分で行う必要があります。この記事では、主にこの業務委託の形で仕事を受ける流れを説明します。

厚生労働省は、このように注文を受けて自宅などで成果物を作る働き方を自営型テレワークと呼び、仕事を頼む側が守るべきことをまとめたガイドラインを出しています。自営型テレワークの基礎知識や相談の窓口は、厚生労働省の総合支援サイト「ホームワーカーズウェブ」で確かめられます。はじめて業務委託で仕事を受ける人は、契約の前に一度目を通しておくと、何を確かめればよいかの見通しが立ちます。

完全在宅で受けられるイラストの仕事の種類

業務委託で受けられるイラストの仕事には、次のような種類があります。仕事によって求められる絵の傾向や、納期、権利の扱いが違います。

書籍や雑誌の挿絵

小説の表紙や挿絵、実用書の説明の図、雑誌の記事に添えるカットなどです。出版社や編集の制作会社から依頼が来ます。印刷物に使われるため、印刷に合った色の形式や解像度で納めることが求められます。

Web記事やバナーのイラスト

Webメディアの記事に添える挿絵や、広告のバナーに使うイラストです。記事の内容を一目で伝える分かりやすさが求められます。Webで使うため、印刷物より納期が短く、量が多いことがよくあります。

広告や販促物のイラスト

商品のパッケージ、チラシ、ポスター、店頭の販促物などのイラストです。企業の商品の印象を左右するため、依頼する側の担当者との打ち合わせや修正のやり取りが多くなりがちです。報酬は比較的高い傾向がありますが、使われる範囲や期間の取り決めが細かくなります。

ゲームやアプリのイラスト

キャラクター、背景、アイテム、カードのイラストなどです。ゲーム会社から直接、または制作の取りまとめをする会社を通して依頼が来ます。決められた世界観や絵柄に合わせて描く力が求められ、継続して何枚も依頼されることがあります。

SNSのアイコンや配信者の立ち絵

個人がSNSで使うアイコン、配信者が使うキャラクターの立ち絵などです。個人から直接依頼を受けることが多く、依頼の窓口となるサービスを通す形もあります。キャラクターを動かすためにパーツを分けて描く依頼もあり、その場合は分け方の指定を確かめる必要があります。

企業のキャラクターや図解

会社や自治体のキャラクター、説明資料の図解、マニュアルの挿絵などです。分かりやすさや親しみやすさが求められ、1つのキャラクターについて表情やポーズの違うものを何枚も描くこともあります。

依頼の取り方は5つある

完全在宅でイラストの仕事を受けるには、まず依頼が来る道をつくる必要があります。よく使われる道は次の5つです。

1. 仕事の仲介サイトで受ける

依頼する人と受ける人をつなぐ仲介サイトでは、イラストの依頼が一覧で見られます。依頼の内容、報酬、納期が書かれているので、自分に合う仕事を選んで応募できます。実績がまだ少ない人でも応募しやすく、最初の仕事を得る場として使われます。サイトによって手数料のかかり方が違うので、受け取れる金額がいくらになるかを登録の前に確かめておくと安心です。

2. ポートフォリオとSNSで見つけてもらう

作品をまとめたポートフォリオのサイトや、SNSに作品を載せて、依頼する側に見つけてもらう方法です。編集者や制作会社の担当者は、SNSで絵柄の合う描き手を探していることがあります。プロフィールに「お仕事のご依頼はこちら」と連絡の方法を書いておくと、依頼につながりやすくなります。

3. 制作会社やゲーム会社の外部登録に応募する

出版社、制作会社、ゲーム会社の中には、外部の描き手を登録して、仕事があるときに依頼する仕組みを持っているところがあります。会社のサイトの採用や募集のページに、外部のクリエイターの募集が出ていることがあります。登録のときに作品の提出を求められ、絵柄が合えば仕事の依頼が来ます。

4. 個人向けの依頼サービスを使う

個人がイラストを依頼するためのサービスでは、受ける側が自分の料金や受けられる内容を示しておき、依頼を待つ形が一般的です。SNSのアイコンや、好きなキャラクターのイラストなど、個人からの依頼が中心です。

5. 自分から営業する

描きたい分野の会社や媒体に、自分から作品を送って仕事を依頼してもらう方法です。送る相手の媒体に合った作品を選び、短い文章で何ができるかを伝えます。返事が来る割合は高くありませんが、相性のよい相手に出会えると、長く続く仕事になることがあります。

始めたばかりの人は、1と2を組み合わせるのが現実的です。仲介サイトで実績を積みながら、SNSやポートフォリオで作品を見せる場所を育てていくと、少しずつ直接の依頼が増えていきます。

依頼の道ごとの特徴を比べる

5つの道は、それぞれ向いている段階が違います。特徴を表で比べます。

依頼の道 始めやすさ 報酬の傾向 向いている段階
仲介サイト 高い 依頼による幅が大きい 実績づくりの最初の段階
ポートフォリオとSNS 作品がそろえば高い 直接の相談になりやすい 作品がまとまってきた段階
会社の外部登録 審査がある 継続の依頼になりやすい 絵柄が固まってきた段階
個人向けの依頼サービス 高い 自分で料金を決める 個人の依頼を中心に受けたい段階
自分からの営業 返事が来にくい 相手によって大きく変わる 狙いたい分野が決まった段階

どれか1つに頼るより、2つか3つを並行して育てると、ある道の依頼が減ったときにも仕事が途切れにくくなります。

依頼につながるポートフォリオの作り方

ポートフォリオとは、自分の作品をまとめて、どんな絵が描けるかを示す作品集のことです。完全在宅の仕事では、依頼する側が描き手と会うことはほとんどないので、ポートフォリオが面接の代わりになります。

載せる作品を選ぶ

作品はたくさん載せればよいわけではありません。受けたい仕事に合う作品を選んで載せます。ゲームのキャラクターの仕事を受けたいなら、キャラクターの全身、表情の違い、背景を含めた1枚絵などを並べます。挿絵の仕事を受けたいなら、文章の場面を絵にしたものを並べます。

絵柄が複数ある人は、絵柄ごとに分けて見せると、依頼する側が自分の仕事に合うかを判断しやすくなります。

作品ごとに説明を付ける

作品には、何のために描いたか、使った道具、制作にかかった時間を短く添えます。仕事として描いた作品なら、依頼する側の許可を得たうえで、どんな依頼でどう応えたかを書くと、仕事の進め方まで伝わります。仕事の作品を載せてよいかは、契約で決まっていることがあるので、必ず確かめてから載せてください。

連絡の方法と、受けられる内容を書く

ポートフォリオには、連絡の方法と、受けられる仕事の内容、目安の納期を書いておきます。受けない仕事(たとえば、特定の分野の絵)がある人は、それも書いておくと、合わない依頼のやり取りに時間をとられずに済みます。

見積もりと依頼の内容で確かめること

依頼の相談が来たら、描き始める前に、依頼の内容と条件を確かめます。ここを曖昧にしたまま描き始めると、あとで修正の回数や権利の扱いで食い違いが起きます。確かめる項目を一覧にします。

確かめる項目 具体的に聞くこと
用途 何に使うか。書籍、Web、広告、ゲーム、SNSなど
使う範囲と期間 どこで、いつまで使うか。商品のパッケージなどに広げる予定があるか
サイズと解像度 仕上がりの大きさ。印刷物なら印刷に合った解像度
ファイルの形式 画像の形式、レイヤーを分けたデータが必要か
色の形式 Web向けか、印刷向けか
納期 ラフの提出日、完成の納期
修正の回数 何回まで報酬に含むか。それを超えたときの扱い
権利の扱い 著作権を譲るのか、使うことを許すだけか
名前の表記 作品に描き手の名前を表記するか
実績としての公開 自分のポートフォリオに載せてよいか、いつから載せてよいか
報酬と支払い 金額、税の扱い、支払いの日と方法

報酬の見積もりは、作業の時間だけでなく、使われる範囲も考えて出します。同じ1枚の絵でも、SNSのアイコンとして個人が使う場合と、企業の広告として広く使う場合では、絵が生み出す価値が違うためです。見積もりの考え方や、デザインの仕事の相場の幅は、デザイナーの年収・単価相場で確かめられます。

報酬の決め方と見積もりの出し方

はじめて依頼を受ける人が迷いやすいのが、報酬をいくらにするかです。相手から金額を示される依頼もありますが、見積もりを求められることも多く、自分で金額を決める力が必要になります。

作業の時間から考える

まず、1枚を描くのに何時間かかるかを、自分の過去の作品から見積もります。打ち合わせ、ラフ、修正、データの書き出しの時間も含めて考えるのがポイントです。仕上げの時間だけで計算すると、実際にかかる時間より少なく見積もってしまいます。かかる時間に、自分が目指す時間あたりの金額をかけたものが、最低限の目安になります。

使われる範囲で上乗せする

前の節で触れたとおり、同じ絵でも、使われる範囲が広いほど、絵が生み出す価値は大きくなります。個人のSNSで使う場合と、企業の広告や商品のパッケージで使う場合では、後者のほうを高く見積もるのが一般的です。著作権を譲る場合も、描き手が自分でその絵を使えなくなる分、利用許諾より高く見積もることが多くなります。

急ぎの依頼とキャンセルの扱い

納期がとても短い依頼は、ほかの仕事を後回しにしたり、夜に作業したりする必要があるため、通常より高い金額を示すことがあります。また、依頼する側の都合で途中で取りやめになった場合に、どこまでの作業分を支払ってもらうかも決めておくと安心です。ラフまで進んだら何割、線画まで進んだら何割、のように段階で決める方法がよく使われます。

見積もりの書き方の例

見積もりは、金額だけでなく、何が含まれているかを書いて渡します。

  • キャラクターイラスト1点(全身、背景なし)
  • ラフ2案の提出を含む
  • 仕上げ後の修正2回まで含む。3回目以降は1回ごとに別途相談
  • 納品形式は画像ファイルとレイヤーを分けたデータ
  • 利用の範囲はWeb上の告知とSNSでの使用

このように含まれる範囲を書いておくと、依頼する側も予算を判断しやすくなり、あとで「そこまで含まれていると思っていた」という食い違いを防げます。

請求書の送り方と入金の確かめ方

納品して検収が終わったら、請求書を送ります。事業者との取引では、請求書の形式を指定されることもあるので、相手の決まりに合わせてください。

請求書には、宛先、請求日、請求の番号、仕事の内容、金額、振込先、支払いの期日を書きます。消費税をどう扱うかは、自分が課税事業者かどうかや相手との取り決めで変わるので、契約のときに確かめておきます。

入金の予定日を過ぎても振り込みがないときは、まず丁寧に確認の連絡をします。相手の手続きの漏れであることが多く、すぐに対応してもらえることがほとんどです。それでも支払われない場合、事業者との取引なら、後の節で紹介する相談窓口を使えます。

著作権の扱いを契約で決める

イラストの仕事で最も食い違いが起きやすいのが、著作権の扱いです。著作権とは、作品を作った人が、その作品の使い方を決められる権利のことです。絵を描くと、描いた人に著作権が生まれます。依頼されて描いた絵でも、契約で決めない限り、著作権は描いた人に残ります。

譲るのか、使うことを許すのか

依頼する側が絵を使う方法には、大きく2つあります。著作権そのものを依頼する側に譲る方法と、著作権は描き手に残したまま、決められた範囲で使うことを許す方法です。後者を利用許諾と呼びます。

どちらにするかで、描き手ができることが変わります。著作権を譲った場合、描き手はその絵を自分で別の用途に使うことが基本的にできなくなります。利用許諾なら、決めた範囲の外では描き手が使い方を決められます。どちらを選ぶかは、報酬の額にも関わる大切な取り決めです。

改変や二次的な利用の権利

著作権法には、著作権を譲る契約で、翻案(絵をもとに別の作品を作ること)などの権利について特に書いていなければ、その権利は譲った人に残ると考える決まりがあります。

著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。 出典: e-Gov法令検索 著作権法

依頼する側の契約書に「著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と書かれていることが多いのは、この決まりがあるためです。契約書にこの一文があるかどうかで、絵をもとにした別の作品を作る権利がどちらにあるかが変わります。

著作者人格権

著作権とは別に、描いた人には著作者人格権という権利があります。これは、作品の名前の表示や、意に反して作品を変えられないことなど、作った人の気持ちを守る権利で、他人に譲ることができません。そのため、契約書に「著作者人格権を行使しない」と書かれることがあります。これに同意すると、依頼する側が絵の色や形を変えても、基本的に異議を言えなくなります。どこまで変えてよいかを、契約の前に話し合っておくと安心です。

契約の書き方は、相手や仕事の内容によって変わります。条件に不安があるときは、署名する前に、弁護士などの専門家に相談することも考えてください。

フリーランス法で守られること

会社などの事業者から業務委託でイラストの仕事を受ける場合、2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)が関わってきます。この法律は、個人で働くフリーランスを守るため、仕事を頼む事業者に決まりを課しています。厚生労働省は次のように説明しています。

個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等が義務付けられます。 出典: 厚生労働省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に仕事を発注する事業者の方へ

つまり、事業者から仕事を受けるときは、仕事の内容、報酬の額、支払いの日などを、書面やメールで示してもらえます。絵を納めて受け取ってもらった日から、原則60日以内に報酬が支払われることも決まっています。会社に勤めながら副業でイラストの仕事を受けている人も、事業者として仕事を受けていれば、この法律の対象になります。

ただし、この法律は、事業者が仕事を頼む取引を対象にしています。個人が趣味で依頼してくるアイコンやイラストの取引は、対象の外になることがあります。個人からの依頼でも、条件をメッセージで残しておくことが、自分を守る方法になります。

仕事の条件でトラブルになったときは、厚生労働省が案内している「フリーランス・トラブル110番」に相談できます。弁護士に無料で相談できる窓口です。

依頼を受けてから納品までの流れ

依頼を受けてから納品までの流れは、仕事によって細かい違いはありますが、おおむね次のとおりです。

  1. 打ち合わせ(ヒアリング)。用途、雰囲気、参考にしたい絵、描いてほしい要素を聞く
  2. 見積もりと契約。前の表の項目を確かめ、条件を書面やメールで残す
  3. ラフの提出。構図や配置が分かる下描きを、1案から数案出す
  4. ラフの確認と修正。依頼する側の意見を聞き、方向を決める
  5. 線画と着彩。決まったラフをもとに仕上げていく
  6. 仕上がりの確認と修正。決めた回数の範囲で直す
  7. 納品。決めた形式とサイズのデータを渡す
  8. 検収と請求。依頼する側が受け取りを確かめたら、請求書を送る

この流れで大切なのは、ラフの段階で方向をしっかり決めることです。仕上げの段階で構図を大きく変えると、描き直しの手間が大きくなります。ラフで依頼する側と方向をすり合わせておけば、仕上げのあとの修正は小さく済みます。

連絡の間隔も決めておくと安心です。完全在宅の仕事では、依頼する側は作業の進み具合が見えません。ラフの提出の日以外にも、進み具合を短く伝えると、相手は安心して待つことができます。

依頼のやり取りの文面の例

完全在宅の仕事では、ほとんどのやり取りが文章で行われます。依頼の相談に返事をするときの文面の例を示します。

「このたびはご依頼のご相談をいただき、ありがとうございます。いただいた内容を拝見し、お受けできると考えております。お見積もりのため、いくつか確認させてください。1つ目に、イラストを使う場所と期間を教えてください。2つ目に、仕上がりのサイズと、印刷にも使うご予定があるかを教えてください。3つ目に、ご希望の納期を教えてください。いただいた内容をもとに、ラフの提出日と完成の納期、お見積もりの金額をお送りします。」

ポイントは、相手の依頼にお礼を言うこと、受けられるかどうかをはっきり伝えること、見積もりに必要な情報を番号を付けて質問することです。質問を一度にまとめて聞くと、やり取りの回数が減り、相手の手間も省けます。

受けられない依頼には、早めに断りの返事をします。理由を長く書く必要はなく、「今回は日程の都合でお受けできません。またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします」と短く丁寧に伝えれば十分です。返事をしないまま時間が過ぎると、相手は次の描き手を探すことができず、困らせてしまいます。

完全在宅で描くための道具

完全在宅でイラストの仕事を受けるには、仕事として納めるための道具をそろえる必要があります。

パソコンとペンの入力機器

デジタルで描くなら、パソコンと、ペンで描くための入力機器が必要です。入力機器には、手元の板にペンで描いて画面に表示するペンタブレットと、画面に直接描く液晶ペンタブレットがあります。タブレット端末で描いて、仕上げのデータをパソコンで整える人もいます。

描くためのソフト

イラストを描くソフトは、依頼する側から特定の形式でのデータを求められることがあるので、仕事で広く使われているものを選んでおくと安心です。レイヤー(絵を重ねる層)を分けたデータを渡す仕事では、相手のソフトで開ける形式かどうかが問題になります。

画面と色の確認

色の見え方は画面によって違います。依頼する側の画面で見たときに色が大きく違わないよう、画面の色の設定を確かめておきます。印刷物の仕事では、印刷したときの色が画面より暗く見えることがあるので、印刷向けの形式で色を確かめる習慣をつけてください。

データの保管

描いたデータは、仕事の大切な財産です。パソコンが壊れて納品前のデータを失うと、取り返しがつきません。外付けのディスクやクラウドに、定期的に控えを保存しておきます。依頼する側の素材を預かる仕事では、保管の方法が契約で決まっていることもあります。

生成AIの扱いを確かめる

最近は、イラストの依頼の条件に、生成AIの扱いが書かれていることが増えています。生成AIを使ったイラストの納品を認めない依頼や、制作の途中でも使わないよう求める依頼があります。反対に、背景などの一部で使うことを認める依頼もあります。

依頼の条件に生成AIの扱いが書かれていないときは、使う予定があるかどうかにかかわらず、確かめておくと安心です。使ったことを伝えずに納品し、あとで分かって信頼を失う、という食い違いを避けられます。

完全在宅で描き続けるための時間の使い方

完全在宅のイラストの仕事は、時間を自分で決められる反面、生活と仕事の境目があいまいになりがちです。締め切りの前に徹夜を繰り返すと、体を壊して長く続けられなくなります。

続けている人がしている工夫には、次のようなものがあります。

  • 1日の中で描く時間を決める。気分の乗る時間に合わせて、毎日同じ時間帯に描くと、作業のリズムができる
  • 納期から逆算して、ラフ、線画、着彩の日を決める。予定の表に書き込むと、遅れに早く気づける
  • 受ける仕事の量に上限を決める。同時に抱える依頼の数を決めておくと、1件ごとの質を落とさずに済む
  • 練習の時間を残す。仕事の絵だけを描いていると、新しい表現を試す余裕がなくなる。週に少しでも自分の作品を描く時間をとると、ポートフォリオも新しくなる

長い時間ペンを握ると、手首や肩に負担がかかります。1時間に1回は手を休め、体を動かす習慣をつけてください。

開業届と確定申告

業務委託でイラストの仕事を受けて収入を得たら、税金の手続きが必要になります。

開業届

事業としてイラストの仕事を始めたら、税務署に開業届を出します。所得税法では、事業を始めた年分の所得税の確定申告の期限までに届け出ることになっています。開業届と一緒に青色申告の承認申請書を出すと、帳簿をつけることを条件に、税金の計算で有利な扱いを受けられることがあります。申請の期限は別に決まっているので、税務署の案内で確かめてください。

確定申告

イラストの報酬は、事業所得か雑所得として、自分で計算して確定申告をします。描くためのパソコンやソフト、入力機器、資料の本などは、仕事に使った分を必要経費にできることがあります。会社に勤めながら副業で受けている人も、所得の額によっては確定申告が必要です。

どの所得に当たるか、どこまで経費にできるかは、仕事の続け方や金額で変わります。判断に迷うときは、税務署や税理士に確かめてください。

会社員が副業で始めるときに確かめること

会社に勤めながら副業でイラストの仕事を受けたい人は、始める前に勤め先の就業規則を確かめてください。副業を認めている会社でも、事前の届け出が必要なことや、同じ業界の仕事を禁じていることがあります。

勤め先の仕事で描いた絵や、勤め先の素材を、副業の仕事やポートフォリオに使うこともできません。勤め先の仕事で描いた絵の権利は、勤め先に属することが多いためです。副業の作品は、勤め先の仕事と分けて、自分の時間と道具で描いたものに限るのが安全です。

本業の時間に副業の連絡に返事をしない、副業の納期は本業の繁忙期と重ならないように受ける、といった線引きも、長く両立するために大切です。

長く依頼が続く描き手の考察

20年にわたって在宅ワークとフリーランスの仲介を続けてきた運営者として見てきた限りでは、完全在宅のイラストの仕事で長く依頼が続く人は、絵のうまさだけで選ばれているわけではありません。依頼の意図をくみ取る力、決めた納期と連絡の約束を守る力、修正の依頼に気持ちよく応える力。こうした仕事の進め方で「この人に任せると安心」と思われた人に、次の依頼が届きます。

依頼する側にとって、描き手を探して、条件を決めて、絵柄を確かめるのは手間のかかる作業です。一度信頼できる描き手に出会えたら、次も同じ人に頼みたいと考えるのは自然なことです。最初の数件は、報酬よりも、相手との関係づくりと実績づくりの機会と考えると、その後の仕事の広がり方が変わります。

依頼する側と描き手が直接取引をする形では、仲介の手数料が間に入らない分、同じ予算でも描き手の手取りが厚くなります。依頼する側は、その分を修正の余裕や、描き手が描きやすい納期に回せます。双方が得をする形で関係が続くことが、完全在宅で描き続けるための土台です。Webデザインと組み合わせて仕事の幅を広げる道もあり、その働き方はWebデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスで取り上げています。イラストを含むデザインの仕事の相場は、デザイナーの年収・単価相場で職種ごとに確かめてから、自分の見積もりの目安にしてください。

よくある質問

Q. 完全在宅のイラストの仕事は未経験でも受けられますか?

仕事として描いた経験がなくても、作品を見せられれば依頼を受けられることがあります。まずは受けたい仕事に合う作品をポートフォリオにまとめ、仕事の仲介サイトで小さな依頼から応募するのが現実的です。実績を積みながらSNSで作品を見せていくと、少しずつ直接の依頼が増えていきます。

Q. イラストの著作権は依頼した人に移りますか?

依頼されて描いた絵でも、契約で決めない限り、著作権は描いた人に残ります。著作権を依頼する側に譲るのか、決めた範囲で使うことを許すだけかは、契約で決めます。譲る場合でも、絵をもとに別の作品を作る権利などは、契約に特に書かれていなければ描いた人に残ると推定される決まりがあります。

Q. イラストの依頼で修正は何回まで受ければよいですか?

決まった回数はなく、依頼ごとに話し合って決めます。報酬に含む修正の回数と、それを超えたときの扱いを、描き始める前に決めておくと食い違いが起きにくくなります。ラフの段階で構図や方向をしっかり確かめておけば、仕上げのあとの修正は小さく済みます。

Q. 副業でイラストの仕事を受けたら確定申告は必要ですか?

会社員の副業でも、イラストの報酬の所得の額によっては確定申告が必要です。描くための道具やソフトなど、仕事に使った分は必要経費にできることがあります。事業として続けるなら、事業を始めた年分の確定申告の期限までに開業届を出します。どの所得に当たるかは事情で変わるので、税務署で確かめてください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年9月16日最終更新:2026年10月17日
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