フリーランス 労災 特別加入|2026年新設の対象業種と保険料の試算

丸山 桃子
丸山 桃子
フリーランス 労災 特別加入|2026年新設の対象業種と保険料の試算

この記事のポイント

  • フリーランスの労災保険特別加入を2026年最新情報で解説
  • 新設された特定フリーランス事業の対象業種
  • 給付基礎日額別の保険料試算

撮影現場で脚立から落ちて手首を骨折したカメラマン、納品直前に過労で倒れてしまったWebデザイナー、宅配中に交通事故に巻き込まれたフードデリバリー配達員。フリーランスとして働いていると、「自分が動けなくなった瞬間に収入がゼロになる」というリスクを誰もが抱えています。会社員時代は意識すらしなかった労災保険が、独立した途端に「使えない制度」になっていたことに気付く人は少なくありません。

しかし2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」と、それに合わせて新設された労災保険の「特定フリーランス事業」によって、状況は大きく変わりました。これまで建設業や一人親方など一部の業種に限られていた特別加入制度が、業種を問わず幅広いフリーランスに開かれたのです。本記事では、フリーランスが労災保険に特別加入する際の対象範囲、保険料の試算、加入手順、そして実務で気をつけたいポイントを、現役でフリーランスとして働く立場から整理します。

マクロ視点:フリーランス労災を取り巻く現状と2026年の最新動向

総務省「就業構造基本調査」によれば、本業・副業を含めたフリーランス人口は約500万人規模に達しており、コロナ禍以降は副業フリーランスの伸びが特に顕著です。一方で、内閣官房が実施した「フリーランス実態調査」では、業務上のケガや病気を経験したフリーランスの約45%が「収入が途絶えた」と回答しており、安全網の不足が長年問題視されてきました。

これを受けて、厚生労働省は2024年11月1日から労災保険の特別加入制度を大幅に拡充。従来は「建設業の一人親方」「個人タクシー」「フードデリバリー配達員」など限定列挙された業種だけが対象でしたが、新設された「特定フリーランス事業」によって、業務委託契約で報酬を得る個人事業主の大半が加入できるようになりました。2026年5月時点では、加入申込みが本格化し、各地の特別加入団体の受入体制も整いつつあります。

私自身、アパレル系のEC運営支援とSNSコンサルで独立してから5年目になりますが、撮影ディレクションで地方ロケに行ったり、深夜までライブコマースに張り付いたりと、思った以上に「身体を使う仕事」が多いことを実感しています。デスクワーク中心と思われがちなクリエイティブ職でも、長時間のPC作業による腱鞘炎や、撮影機材を運んでの腰痛は珍しくありません。労災は「肉体労働の人のもの」という古いイメージを早めに捨てたほうがいい、というのが正直な感想です。

このサイトから、日本労働組合総連合会(連合)が設立した「連合フリーランス労災保険センター」を通じて労災保険特別加入「フリホケ」のお手続きができます。

連合の労災保険センターのように、ナショナルセンター系の労働組合が運営する加入窓口が誕生したことも大きな変化です。営利目的の保険商品ではなく、公的な労災保険制度そのものに加入する窓口が増えたことで、フリーランスにとっての選択肢は格段に広がりました。

労災保険特別加入とは何か:そもそもの仕組みを理解する

労災保険は本来、労働基準法上の「労働者」を対象とした制度です。会社員やアルバイトは雇用主が保険料を全額負担し、業務中や通勤中のケガ・病気・死亡について給付を受けられます。一方、フリーランスや個人事業主は雇用関係がないため、原則として労災保険の対象外となります。

ここに「特別加入制度」が設けられている理由は明確で、業務の実態を見れば労働者と同じようなリスクを負っているケースが多いからです。建設業の一人親方、農業の自営業者、海外派遣者、そして今回新設された特定フリーランス事業の対象者などが、本人の希望によって労災保険に加入できる仕組みになっています。

通常の労災保険と特別加入の違い

通常の労災保険は雇用主が保険料を全額負担しますが、特別加入では加入者自身が全額を負担します。また、給付基礎日額(後述)を自分で選択できる点も大きな違いです。会社員の場合は実際の賃金から自動的に算定されますが、フリーランスは収入の変動が大きいため、3,500円から25,000円までの範囲で自分の実態に合った日額を選べます。

給付内容そのものは通常の労災保険とほぼ同じで、療養補償、休業補償(給付基礎日額の80%)、障害補償、遺族補償、葬祭料、傷病補償年金、介護補償などが用意されています。民間の所得補償保険と比較して、給付の手厚さ・治療費の自己負担ゼロ・保険料の安さという3点で明らかに優位です。

なぜ今、特別加入が拡大されたのか

背景にはフリーランス新法の施行があります。発注事業者に対して書面交付義務や報酬支払期日の規制が課されたことに加え、フリーランス側のセーフティーネットを整えることが立法目的の一つに位置付けられました。雇用契約ではないけれども、実質的には特定の発注者に依存して働いているフリーランスは多く、その業務上の事故を社会保険で受け止める仕組みが急務とされてきたわけです。

2026年新設「特定フリーランス事業」の対象になる人・ならない人

特別加入制度の中でも、2024年11月から始まった「特定フリーランス事業」は最も対象範囲が広く、業種を問わず加入できる点が画期的です。ただし「全てのフリーランスが無条件で入れる」わけではないため、自分が対象かどうかを正確に把握しておく必要があります。

対象になる人の条件

特定フリーランス事業の対象となるのは、フリーランス新法第2条第1項に規定される「特定受託事業者」に該当する人です。具体的には次の条件をすべて満たす個人が対象です。

事業者として業務委託を受けて報酬を得ていること、従業員を雇用していない(または労働者を使用する日数が年100日未満であること)、消費者ではなく事業者から仕事を受けていること、の3点が基本要件です。法人の代表者であっても、従業員を雇用していなければ対象に含まれます。

業種は問われないため、Webデザイナー、ライター、エンジニア、フォトグラファー、動画編集者、SNS運用代行、コンサルタント、翻訳者、イラストレーター、講師、整体師、ヨガインストラクターなど、これまで特別加入の枠から漏れていたクリエイティブ職や知的サービス業も加入できるようになりました。私が日々関わっているアパレル系のEC運営代行やSNSコンサル業務も、もちろん対象です。

対象にならない人

逆に、次に該当する人は特定フリーランス事業では加入できません。労働者を年100日以上使用する事業主(中小事業主の特別加入が別途あります)、消費者向けに直接サービスを提供する個人(例:個人を相手にしたエステサロン経営、個人レッスンのみのピアノ講師など)、副業として勤務先の労災保険でカバーされる範囲のみで働く人、です。

特に注意したいのが「事業者間取引」という条件です。フリーランス新法上は、発注者が事業者(法人または従業員のいる個人事業主)であることが前提となっています。クラウドソーシングサイト経由で企業からの案件を受注している場合は問題ありませんが、純粋に個人客だけを相手にしている場合は対象外となるため、契約形態を一度棚卸ししておくとよいでしょう。

特定フリーランス事業にかかわる災害防止研修の開催について 連合フリーランス労災保険センターは、加入者の皆さまの安全・衛生に関する意識の向上をはかり、労働災害をなくしていくために、専門家による災害防止研修を開催いたします。詳細は、加入時にご登録いただいたメールアドレスへのご案内または「マイページ」をご覧ください。

加入後は災害防止研修への参加が推奨される点も覚えておきたいところです。労災保険は「事故が起きたら使う制度」ですが、本来の目的は事故を起こさない安全な働き方を浸透させることにあります。

フリーランス労災に加入するメリット:民間保険との比較で見える優位性

加入を検討する際、最も気になるのが「民間の所得補償保険と比べてどちらが得か」という点でしょう。結論から言えば、フリーランスの労災特別加入には民間保険にはない強みが複数あります。

治療費の自己負担がゼロになる

業務上のケガや病気と認定されれば、医療機関での治療費は全額労災保険から給付されます。健康保険を使った場合の3割自己負担も発生せず、入院時の差額ベッド代等を除けば実質ゼロ円で治療が受けられます。

私の知人のフォトグラファーが、撮影中にスタジオの照明スタンドが倒れて指を骨折したケースがありました。手術と通院で総額約30万円の医療費がかかったのですが、健康保険の3割負担でも9万円。労災が認定されていれば、これがゼロになっていた計算です。

休業補償が手厚い

業務上の負傷・疾病で働けない期間は、給付基礎日額の80%(休業補償給付60% + 休業特別支給金20%)が支給されます。給付基礎日額10,000円を選んでいれば1日あたり8,000円、月換算で約24万円が休業中に補償される計算です。民間の所得補償保険は免責期間(7日〜30日)が設定されているのに対し、労災は4日目から給付が始まるため、短期の休業でも実用的です。

後遺障害・死亡時の補償が長期的

万が一の後遺障害や死亡時には、年金または一時金として長期的な給付が続きます。遺族補償年金は遺族の人数によって給付基礎日額の153日分〜245日分が毎年支給され、生活基盤の喪失を社会保険で受け止める仕組みになっています。民間保険では同水準の保障を得るには高額な掛け金が必要です。

保険料が経費に算入できる

特別加入の保険料は全額が事業所得の必要経費として計上できます(個人事業主の場合)。確定申告時に経費参入することで、所得税・住民税・国民健康保険料を圧縮する効果が見込めます。実質的な負担はさらに軽くなる計算です。

フリーランスの所得補償保険比較|月額保険料と補償内容では民間の所得補償保険を比較しています。労災特別加入と組み合わせることで、業務外のケガ・病気もカバーできる二段構えの設計が可能になるため、合わせて検討するとよいでしょう。

給付基礎日額別の保険料試算:いくら払えばいくら返ってくるか

特別加入の保険料は「給付基礎日額 × 365日 × 保険料率」で計算されます。特定フリーランス事業の保険料率は0.3%(1000分の3)です。給付基礎日額は3,500円から25,000円までの16段階から選択できます。

主要な給付基礎日額での年間保険料

給付基礎日額3,500円の場合、年間保険料は3,832円。給付基礎日額5,000円なら年間5,475円、給付基礎日額10,000円なら年間10,950円です。給付基礎日額20,000円を選択しても年間21,900円と、月額換算で2,000円弱に収まります。

民間の所得補償保険で月10万円の補償を確保しようとすると、年齢・職種・免責期間にもよりますが年間2万〜5万円程度の保険料が必要になることが多く、労災特別加入のコストパフォーマンスは明らかに優位です。

給付基礎日額の選び方

選択の目安は「自分の事業所得(年間)÷ 365日」です。年間所得が365万円なら日額10,000円が妥当な水準となります。ただし、休業補償は給付基礎日額の80%しか出ないため、生活コストを下回らない水準を選ぶことが重要です。

実務的には、フリーランスは収入の変動が大きいため、直近1〜2年の平均所得を基準にやや高めの日額を選ぶケースが多い印象です。私自身は給付基礎日額10,000円で加入していますが、撮影ロケが増える時期や繁忙期を考慮すると、12,000円〜14,000円程度に上げることも検討中です。

加入時の入会金・年会費に注意

労災保険料そのものは前述の金額ですが、特別加入は必ず「特別加入団体」を経由して申し込む必要があります。団体ごとに入会金・年会費・事務手数料が別途設定されており、ここがコストの主戦場です。

連合フリーランス労災保険センターの「フリホケ」は、入会金1,000円、年会費3,600円程度(2026年5月時点)と比較的良心的な水準に設定されています。ITフリーランス向けに特化したITフリーランス支援機構の窓口や、業種別の特別加入団体もあり、それぞれ年会費や事務手数料に差があるため、加入前に複数を比較するのが鉄則です。

特別加入団体の選び方:どこから申し込むのが得か

特別加入は加入者個人が直接労働基準監督署に申し込むことはできません。必ず厚生労働大臣の承認を受けた「特別加入団体」を窓口として加入手続きを行います。2026年5月時点で、特定フリーランス事業の特別加入団体は全国で複数設立されており、選択肢が広がっています。

業種特化型 vs 業種横断型

特別加入団体には大きく2つのタイプがあります。一つは業種特化型で、ITフリーランス支援機構のようにエンジニア・デザイナーに特化した団体、芸能関係者向けの団体、配達員向けの団体などです。業種に特化している分、災害防止研修や情報提供が自分の仕事に直結しやすいというメリットがあります。

もう一つが業種横断型で、連合フリーランス労災保険センターのように、業種を問わず広く受け入れている団体です。自分の業種が業種特化型団体にカバーされていない場合や、複数業務を兼業している場合は業種横断型のほうが手続きがシンプルです。

選定時にチェックすべき5項目

団体を選ぶ際は次の5点を必ず確認しましょう。入会金・年会費・事務手数料の総額、給付基礎日額の選択肢、加入手続きの方法(オンライン申込み可否)、災害防止研修や情報提供の内容、解約時のルール、です。

特に手数料の透明性は重要です。一部の団体では「事務手数料」名目で年間1万円以上を上乗せしているケースもあるため、保険料との合計総額を必ず計算してください。

加入手続きの具体的な流れ:申込から保険証受領まで

特別加入の手続きは、団体経由とはいえ難解ではありません。一般的な流れを把握しておくことで、スムーズに加入を完了できます。

Step 1:特別加入団体を選んで申込書を入手

まず加入したい特別加入団体のWebサイトから申込フォームにアクセスします。連合フリーランス労災保険センターやITフリーランス支援機構など主要な団体はオンライン申込みに対応しており、紙の書類を郵送する必要はありません。

Step 2:給付基礎日額を選択して必要事項を入力

申込フォームで給付基礎日額を選択し、氏名・住所・事業内容・連絡先などを入力します。事業内容欄には「Web制作・SNS運用代行」「フォトグラファー」「ライター」のように、実態に即した具体的な業務内容を記載しましょう。曖昧な記載は後の労災認定でトラブルになる可能性があるため、申込段階で正確に書くことが重要です。

Step 3:健康診断(必要な場合のみ)

特定フリーランス事業の場合、原則として加入前の健康診断は不要ですが、過去に粉じん作業やじん肺の発症リスクがある業務に従事した経歴がある場合は、業務歴等申告書の提出や健康診断の受診を求められることがあります。

Step 4:保険料・会費の振込

申込内容の審査が完了すると、団体から保険料および入会金・年会費の振込案内が送られてきます。指定の口座に振り込むことで、加入手続きが完了します。

Step 5:加入証明書・会員証の受領

振込確認後、加入証明書または会員証が郵送(またはマイページからダウンロード可能な形式)で交付されます。万が一の事故時にはこの証明書を医療機関等に提示するため、保管場所をしっかり決めておきましょう。

加入から実際に労災保険が適用開始されるまでには通常1〜2週間程度かかります。「加入したその日から」ではないため、繁忙期に入る前など、余裕を持って手続きを進めるのが安全です。

連合フリーランス労災保険センターは、9月30日付で東京労働局長の承認が得られました。 11月1日よりWEBサイトから加入申込ができるようになります。

承認・認可を受けた団体経由でないと加入できない点は、必ず公式情報で確認してください。厚生労働省のサイト(https://www.mhlw.go.jp/ )にも特別加入団体の一覧が掲載されています。

業務上災害の認定基準:どんなケガ・病気が労災として認められるか

加入したからといって、自動的にあらゆるケガ・病気が労災認定されるわけではありません。労災保険の給付を受けるには「業務遂行性」と「業務起因性」の2要件を満たす必要があります。

業務遂行性とは

業務遂行性は、災害が発生した時点で加入者が業務を遂行している状態だったかを問う要件です。クライアント先での打合せ中、撮影現場での作業中、納品のための移動中などは業務遂行性が認められやすい状況です。

一方、自宅で業務外の趣味活動中にケガをした場合や、業務終了後に飲食店で食事中の事故などは業務遂行性が否定される可能性が高くなります。在宅ワークが中心のフリーランスにとっては、業務時間と私生活の境界が曖昧になりがちな点が要注意です。

業務起因性とは

業務起因性は、災害と業務との間に因果関係があるかを問う要件です。撮影機材を運んでいて腰を痛めた、長時間PC作業による腱鞘炎、過労による精神疾患などは業務起因性が認められうるケースです。

精神疾患(うつ病・適応障害など)の労災認定は、業務上の心理的負荷の強度を厳密に評価する必要があり、医師の診断書や業務記録の提出が求められます。フリーランスは労働時間の管理が自己責任となるため、業務日誌や案件履歴を残しておくことが、いざという時の認定をスムーズにする鍵になります。

通勤災害も対象

会社員と同様、通勤途中の事故も労災の対象になります。フリーランスの場合は「自宅から取引先・現場・コワーキングスペースへの移動」が通勤に該当します。ただし、合理的な経路を著しく逸脱した場合は対象外となるため、ロケ撮影で複数現場をハシゴするような場合は、移動経路を明確に記録しておきましょう。

私が現場で痛感した「労災加入のタイミング」と注意点

ここで個人的な体験を一つ。独立して2年目の頃、地方のセレクトショップへの撮影出張で、機材を満載したワゴン車を運転中に追突事故に遭ったことがあります。幸い軽症で済みましたが、首と腰の治療に2か月ほど通院し、その間は予定していた撮影3本がキャンセルになりました。当時は労災に加入しておらず、健康保険の3割負担で治療費を払い、所得補償もなく、収入はゼロのままでした。

このとき、自動車事故だったため最終的には相手の自賠責保険から休業損害が支給されましたが、もし自分が加害者側だったり単独事故だったりしたら、保障は完全にゼロでした。「業務中の移動でこれだけのリスクがあるのに、なぜ加入しなかったのか」という後悔は強く、その翌月に労災特別加入の申込みを済ませました。

加入のタイミングは「独立した瞬間」が最も理想的ですが、現実には「ヒヤッとした出来事があった後」に駆け込むケースが多いと感じます。ただし、事故が起きてから加入しても、その事故は補償対象外です。「自分は大丈夫」という根拠のない自信が一番危険、というのが実感です。

特にアパレル系のEC運営代行では、商品撮影で重い什器を移動したり、ライブコマースで長時間立ちっぱなしになったり、想像以上に身体的負担があります。デスクワーク中心の業務でも、過労や腱鞘炎、メンタル不調のリスクは常にあるため、「自分の仕事は安全だから不要」という判断は危険です。

副業フリーランスの場合:本業の労災との関係

副業でフリーランス業をしている場合、本業の労災保険との関係が気になるところです。結論から言えば、本業の会社員としての労災と、副業フリーランスとしての労災特別加入は、別建てで成立します。

副業中の業務災害は特別加入が必要

会社員としての労災保険は、雇用主の業務に関連する事故しかカバーしません。副業フリーランスとして請け負った案件中の事故は、たとえ平日夜や週末であっても、本業の労災では補償されません。副業先で業務上のケガをした場合に備えるには、特別加入が必要になります。

給付基礎日額は副業所得ベースで設定

副業フリーランスとして加入する場合、給付基礎日額は副業の所得実態を反映した水準で設定します。本業の給与は加味しません。例えば本業年収500万円、副業フリーランス年収100万円のケースでは、副業ベースで日額3,500円〜5,000円程度を選択するのが妥当でしょう。

副業ベースでも年間保険料は数千円程度と低額のため、加入のハードルは低めです。副業フリーランスとして案件受注を始める方は、最初にクラウドソーシングの案件を探すタイミングで併せて加入を検討するとよいでしょう。

関連する保険制度との組み合わせ:労災だけでは足りない領域

労災特別加入は強力な保障ですが、業務上の災害しかカバーしません。フリーランスの生活を全方位的に守るには、他の社会保険・民間保険と組み合わせた設計が必要です。

国民健康保険と高額療養費制度

業務外のケガ・病気は国民健康保険でカバーされます。3割自己負担となりますが、高額療養費制度を併用することで月額の上限額が抑えられます。フリーランスの国民健康保険料を安くする5つの方法では国保料の節約方法を整理しています。

国民年金と付加年金・iDeCo

業務上・業務外を問わず障害が残った場合、国民年金から障害基礎年金が支給されます。労災の障害補償年金と併給可能ですが、調整があるため計算が複雑です。長期の生活設計としては、付加年金やiDeCoで上乗せの老後資金を準備することも重要です。

生命保険・所得補償保険

業務外の病気・ケガによる長期休業や死亡時の保障は、民間の生命保険・所得補償保険で補完します。フリーランスの生命保険・医療保険の選び方|必要な保障と保険料の目安では、必要保障額の計算方法と保険料の目安を解説しています。

労災特別加入+国民健康保険+国民年金+民間生命保険+所得補償保険、というのがフリーランスの基本セットです。各制度の守備範囲を理解し、重複や穴がないように組み立てることが、長くフリーランスを続けるうえでの土台になります。

仕事の選び方と労災の関係:高リスク案件の見極め

労災に加入していても、リスクの高い案件を無防備に受け続けるのは賢明ではありません。フリーランスは自分で案件を選べる立場である以上、案件選定の段階で安全性を考慮することも重要なリスク管理になります。

単価と労働強度のバランスを見る

時給換算で大幅に低い案件は、長時間労働を強いられて健康リスクを高める傾向があります。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、文筆系職種の単価相場を整理しているため、自分の案件が相場と比べて適正かをチェックしてみてください。同様にソフトウェア作成者の年収・単価相場では、エンジニア・プログラマーの単価水準が確認できます。

スキル習得で受注単価を上げる

低単価案件を量で稼ぐ働き方は、労災リスクの観点でも経営の観点でも持続性に欠けます。資格やスキルの裏付けで単価アップを図ることが、結果的に労働時間を短縮し、健康を守ることにつながります。ビジネス文書検定はライティング系の信頼性を高める資格として有効ですし、IT系ではCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク系資格が単価交渉の根拠になります。

成長分野の案件で安定的に稼ぐ

業務委託の安定性という観点では、市場の成長分野に身を置くことも重要です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事はAI関連の需要拡大を背景に案件数が増えており、安定受注が見込みやすい領域です。Webやアプリ系のアプリケーション開発のお仕事も、企業のDX投資が続く限り需要が衰える可能性は低いと見られます。

案件単価上昇とリスク認識の高まり

高単価フリーランスほど「自分が倒れたら年間収入が一気にゼロになる」というリスクが現実味を帯びるため、労災特別加入や所得補償保険への関心は明らかに高まっています。会員アンケートでも「健康・保険関連のコンテンツ需要」が前年比で大幅に増加しており、本記事のテーマである労災特別加入への関心がプラットフォーム全体で広がっていることがわかります。

労災特別加入の年間保険料が1万円〜2万円程度であることを考えると、月1案件分の手数料相当が浮く計算で保険料を捻出できる試算になります。プラットフォームの料率設計が、フリーランス個人のリスクヘッジ余力に直結している好例です。

クラウドソーシング利用者の業種分布と労災ニーズ

特に、副業から本業フリーランスへの移行を検討している会員層では、「会社の労災が使えなくなる前に、自分で労災を確保しなければ」という意識が強まっています。独立準備の段階で、案件受注スキル・税務知識・各種保険手続きの3点をセットで整えることが、長期的に安定したフリーランス活動の土台となります。

業務委託契約で報酬を得る個人事業主のほぼ全員が労災特別加入の対象となった2026年は、フリーランスのセーフティーネット元年と呼べる年です。これまで「フリーランスは自己責任」と片付けられてきた領域に、社会保険という公的なセーフティーネットが正面から差し込まれた意義は計り知れません。自分の働き方が今回の制度改正でどう変わるのかを正確に把握し、必要な手続きを早めに済ませることが、想定外のリスクから自分と家族を守る最も確実な方法です。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. フリーランスになったら、まずどの保険に入ればいいですか?

まずは「賠償責任保険」です。月額1,000円程度で、個人では負いきれない数千万円〜1億円の賠償リスクをカバーできます。次に検討すべきは、病気やケガで無収入になるリスクを防ぐ「所得補償保険」です。

Q. フリーランスになりたてでも所得補償保険に加入できますか?

はい、加入可能です。ただし、前年の所得をベースに補償額を決定する商品もあるため、独立直後で実績がない場合は、加入できる補償額に上限が設けられることがあります。初心者向けの少額プランからスタートするのがおすすめです。

Q. フリーランス向けの就業不能保険は初心者でも比較しやすいですか?

はい。現在は各社からWeb上で簡単にシミュレーションできるツールが提供されており、年齢や希望する給付金額を入力するだけで手軽に比較可能です。

Q. 会社員時代の傷病手当金は、フリーランスになった後も継続できますか?

会社員を辞めた後に任意継続被保険者になっている場合であっても、任意継続中には傷病手当金は支給されません。ただし、会社員時代にすでに受給を開始しており、受給要件を満たし続けている場合に限り、例外的に継続受給できるケースが あります。健康保険組合に確認しましょう。

Q. フリーランス協会の福利厚生は副業でも利用できますか?

はい。法人・個人事業主だけでなく、会社員として働きながら副業をしている方でも一般会員になれば各種ベネフィットを利用可能です。

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丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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