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フリーランスの報酬が未払いのときの相談先と、順に取るべき対応

@SOHO編集部
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フリーランスの報酬が未払いのときの相談先と、順に取るべき対応

この記事のポイント

  • ✓フリーランスの報酬が未払いになったときの相談先を
  • ✓無料で使える公的な窓口から順に整理しました
  • ✓フリーランス法の60日ルール

納品したのに報酬が振り込まれない。催促しても返事がない。フリーランスとして働いていると、こうした未払いの相談先が分からず、一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。金額が小さいと「弁護士に頼むほどではない」とあきらめてしまい、結果として泣き寝入りになることもあります。

この記事では、報酬が未払いになったときに使える相談先を、無料で使える公的な窓口から順に整理します。あわせて、相談の前にそろえておく証拠、相手への催促の仕方、裁判所の手続きの使い分けまでを、取るべき順番に並べます。読み終えたときに、今日やることが決まっている状態を目指します。

未払いは珍しいことではない

まず知っておいてほしいのは、報酬の未払いはフリーランスにとって珍しいトラブルではないということです。厚生労働省から委託を受けて第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」は、窓口を設けた理由を次のように書いています。

このようなトラブルが起こっても、どうすればいいかわからなかったり、裁判をしても勝てそうにないと感じて泣き寝入りしてしまうというフリーランスの皆さんが多くいます。 出典: フリーランス・トラブル110番

同じサイトには、フリーランスの約半数が仕事上のトラブルを抱えているといわれていること、そして「どうすればいいかわからない」「評判が悪くなる」といった理由で泣き寝入りしている現実があることも書かれています。

フリーランスが弱い立場に置かれやすい理由ははっきりしています。会社員であれば、給料の未払いは労働基準法で守られ、労働基準監督署に相談できます。しかし、業務委託で働くフリーランスには原則として労働基準法が適用されません。報酬は「給料」ではなく「取引の代金」として扱われるため、守ってくれる仕組みが会社員とは違います。

2024年11月から状況が変わった

この状況を変えるために、2024年11月1日に「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(以下、フリーランス法)が施行されました。フリーランス法とは、個人で働くフリーランスに仕事を発注する事業者に、取引条件の明示や支払期日の設定などを義務づける法律のことです。

未払いの相談では、まずこの法律が使えるかどうかを確かめることが出発点になります。使える場合は、国の機関に申し出るという選択肢が加わります。詳しくはあとの節で説明します。

最初の24時間でやること

報酬が支払期日を過ぎても入っていないと気づいたら、感情的に連絡する前に、次の3つを先に済ませてください。順番が大事です。

1. 入金を確かめ直す

まず、本当に未払いなのかを確かめます。振込先の口座を間違えて伝えていないか、別の口座に入っていないか、相手の締め日と支払日を勘違いしていないかを見直します。請求書を送り忘れていて、相手の経理に回っていないこともあります。ここで自分の側の行き違いが見つかれば、トラブルにせずに済みます。

2. 証拠を1か所に集める

次に、やりとりの記録を1か所に集めます。あとで相談するときも、相手に請求するときも、裁判所の手続きを使うときも、すべての土台になります。

・発注の内容が分かるもの:契約書、発注書、発注メール、チャットのメッセージ
・報酬の額と支払期日が分かるもの:見積書、発注書、条件を合意したメッセージ
・納品したことが分かるもの:納品メール、ファイルの送信記録、相手の受領の返信
・請求したことが分かるもの:請求書と、それを送った記録
・その後のやりとり:催促のメッセージ、相手の返信、通話の日時のメモ

チャットツールのやりとりは、相手がアカウントを消すと見られなくなることがあります。画面を保存するか、書き出し機能で保存しておいてください。

3. 時系列のメモを作る

最後に、起きたことを日付順に書き出します。いつ依頼を受けたか、いつ何を合意したか、いつ納品したか、いつ請求したか、いつ催促したか。1行ずつで構いません。フリーランス・トラブル110番も、相談の前に「起こったことの時系列のまとめ」を準備するよう案内しています。このメモがあるだけで、相談の時間が大きく短くなります。

フリーランス法が使えるかを確かめる

証拠がそろったら、フリーランス法が使えるケースかどうかを確かめます。使えるかどうかで、取れる手段が変わるからです。

対象になる人と相手

厚生労働省の説明によると、この法律の「フリーランス」は、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを指します。会社員が副業で業務委託を受けている場合も含まれます。一方、形式上は業務委託契約でも、実際には指揮命令を受けて働いている場合は労働者として扱われ、この法律ではなく労働関係の法律が適用されます。

注意したいのは、相手が誰かによって義務の内容が違う点です。支払期日の60日ルールが課されるのは、従業員を使用している発注事業者です。ここでいう従業員とは、週20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる人のことです。相手が従業員を雇っていない個人の場合、支払期日のルールは適用されません。

60日ルールとは何か

従業員を使用している発注事業者は、フリーランスから成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で、報酬の支払期日を決めて支払わなければなりません。法律の概要には次のように書かれています。

特定業務委託事業者は、特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないものとする。(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内) 出典: 厚生労働省 フリーランス・事業者間取引適正化等法の概要

ここでいう「特定業務委託事業者」は従業員を使用する発注事業者、「特定受託事業者」はフリーランスのことです。支払期日を決めていなかった場合は、成果物を受け取った日が支払期日とみなされます。60日を超える期日を決めていた場合は、受け取った日から数えて60日を過ぎる日が支払期日とみなされます。

つまり、「うちは納品から90日後払いが決まりだから」という説明は、相手が従業員を使用する事業者であれば、この法律の上では通りません。

減額や受け取り拒否も禁じられている

1か月以上の業務委託では、フリーランスの側に落ち度がないのに報酬を減らすこと、成果物の受け取りを拒むこと、返品すること、内容の変更ややり直しをさせることなども禁じられています。「出来が気に入らないので半額にしてほしい」と一方的に言われた場合、事前に合意した内容を満たしているなら、この規定にあたる可能性があります。

当てはまるかどうかの判断は、契約の中身や経緯で変わります。迷ったら、次の節で紹介する窓口で確認してください。

無料で使える相談先

未払いの相談先は複数あります。それぞれ得意なことが違うので、目的に合わせて選びます。

フリーランス・トラブル110番

最初に連絡する先として、もっとも使いやすいのがフリーランス・トラブル110番です。厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営しており、フリーランスの法律問題に詳しい弁護士が無料で相談に応じます。

項目 内容
電話 0120-532-110(9時30分から16時30分、土日祝日を除く)
メール お問い合わせフォームから随時受付。通常3営業日から4営業日以内に弁護士が返信
費用 相談も和解あっせんも無料
匿名 匿名での相談も可能
対象外 契約書や請求書の作成、弁護士が代理人として相手と交渉すること

電話の場合は、受付の職員が内容を聞き取ったうえで、弁護士との相談日を予約する流れです。時間の指定はできないため、出られない時間帯を先に伝えておきます。

和解あっせんの手続きを使えるのも大きな特徴です。和解あっせんとは、10年以上の経験を持つ弁護士の中から選ばれたあっせん人が、双方の話を聞いて解決案を示し、話し合いでの解決を目指す手続きのことです。裁判より申し立てが簡単で、期間が短く、非公開で進みます。この窓口では費用もかかりません。

国の機関への申し出

フリーランス法に違反していると考えられる場合は、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省に申し出ることができます。申し出とは、違反の事実を伝えて、必要な対応をとるよう求めることです。支払期日や減額など取引に関わる違反は主に公正取引委員会と中小企業庁、ハラスメントなど働く環境に関わる違反は主に厚生労働省が担当します。

申し出を受けた機関は、必要な調査を行い、事実と認めた場合は助言、指導、勧告などの対応をとります。勧告に従わない場合は命令や公表、命令違反には罰金もあります。また、申し出をしたことを理由に、発注事業者がフリーランスに不利益な扱いをすることも禁じられています。

ただし、申し出は相手を処分してもらうための手続きで、未払いの報酬を国が代わりに取り立ててくれるわけではありません。お金を受け取るための手段と、違反を正してもらうための手段は分けて考えてください。どの機関に申し出ればよいか迷う場合も、フリーランス・トラブル110番で助言を受けられます。

法テラス

弁護士に正式に依頼したいけれど費用が心配な場合は、日本司法支援センター(法テラス)があります。法テラスとは、国が設けた法律トラブルの総合案内所のことです。サポートダイヤル(0570-078374)で、問題に合った相談窓口を案内してもらえます。

収入や資産が一定の基準以下であれば、弁護士や司法書士の無料法律相談を受けられ、依頼したときの費用を立て替えてもらう制度もあります。立て替えた費用は分割で返し、利息はかかりません。基準は住んでいる地域や家賃の負担の有無で変わるため、法テラスに確かめてください。

未払いの金額が小さいと、弁護士に頼むと費用のほうが高くつくのではと心配になります。その場合でも、相談だけなら無料の窓口で足ります。相談の結果、自分で支払督促や少額訴訟を申し立てる道を選ぶ人も多くいます。弁護士に頼むかどうかは、相談で見通しを聞いてから決めれば十分です。

地域の弁護士会

金額が大きい場合や、相手との交渉を代わりに進めてほしい場合は、地域の弁護士会の法律相談センターを使います。フリーランス・トラブル110番の弁護士は代理人にはなれず、紹介もしていないため、代理を頼むときはこちらに相談します。

相談するときに伝えること

窓口に相談するときは、限られた時間で状況を正しく伝えることが大事です。弁護士との電話相談は時間が決まっていることが多く、話があちこちに飛ぶと、肝心の助言を聞く前に時間が終わってしまいます。次の順番で話すと伝わりやすくなります。

  1. 相手が会社か個人か、従業員がいるかどうか(分かる範囲で)
  2. 仕事の内容と、合意した報酬の額、支払期日
  3. 納品した日と、それを示す記録があるかどうか
  4. 請求した日と、それに対する相手の反応
  5. いま一番困っていること(全額を取り戻したい、早く解決したい、取引を続けたいなど)

5番目の「何を望んでいるか」は意外に大事です。全額を取り戻すことを優先するのか、多少減っても早く終わらせたいのか、今後も取引を続けたいのかで、勧められる手段が変わります。自分の中で優先順位を決めてから相談すると、助言をそのまま行動に移しやすくなります。

メールで相談する場合は、この5つを箇条書きにし、時系列のメモを添えて送ると、返信の精度が上がります。

相手への催促は段階を踏む

相談先に話を聞いてもらったら、相手への請求を進めます。いきなり強い言葉で迫るより、段階を踏むほうが回収できる可能性は高くなります。

段階1:事実を確認する連絡

最初の連絡は、責めずに事実を確かめる形にします。経理の処理漏れや担当者の交代など、悪意のない遅れも多いからです。

文面の例を挙げます。

件名:○月分のご請求についてのご確認

○○株式会社 △△様。いつもお世話になっております。○月○日に納品いたしました□□の件で、○月○日付でご請求書をお送りしております。お支払期日の○月○日を過ぎてもご入金が確認できておりませんので、ご確認いただけますでしょうか。行き違いでしたら失礼いたしました。

この段階では、相手の事情を聞く姿勢を見せることが大事です。返信が来たら、いつ支払われるのかを具体的な日付で確認します。

段階2:期限を区切った請求

返事がない、または「もう少し待ってほしい」と言われたまま払われない場合は、期限を区切って請求します。「○月○日までにお支払いください」と日付を明記し、支払いがない場合は相談窓口や裁判所の手続きを検討すると伝えます。脅すような言い方は避け、事実と期限だけを淡々と書きます。

このとき、分割払いや支払いの延期を相手から求められたら、合意した内容を必ず文章で残してください。口頭の約束だけでは、あとで証拠になりません。

段階3:内容証明郵便

それでも払われない場合は、内容証明郵便で請求書を送る方法があります。内容証明郵便とは、いつ、誰が、誰に、どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる仕組みのことです。それ自体に支払いを強制する力はありませんが、相手に本気度が伝わり、支払いにつながることがあります。また、あとで説明する時効を一時的に止める効果もあります。

催促の文章を書くときは、日付、金額、根拠を正確に書くことが何より大事です。文書の書き方に不安があれば、ビジネス文書の基本を問うビジネス文書検定の出題範囲が、催促状のような事務的な文書の組み立て方の参考になります。

相手がよく使う言い分と、受け止め方

催促をすると、相手からさまざまな理由が返ってきます。フリーランス・トラブル110番の相談事例集にも、似た事例が並んでいます。よくある言い分ごとに、受け止め方を整理します。

「元請からまだ入金がない」

自分は下請けで、さらに上の会社から代金が入っていないので払えない、という言い分です。相談事例集にも「元請から支払がないことを理由に報酬を支払えないと言われた事案」が載っています。

フリーランスとの契約は、相手とフリーランスの間の約束です。元請からの入金の有無は、原則としてフリーランスへの支払いを止める理由になりません。フリーランス法でも、再委託の場合の支払期日は、発注元から支払いを受ける期日から30日以内と決められています。ただし、これは再委託であることや元の発注者の情報などを、あらかじめ示されていた場合の扱いです。契約のときにどんな説明を受けていたかを、手元の記録で確かめてください。

「出来が悪いので満額は払えない」

納品後に、仕上がりに納得がいかないとして減額を求められるケースです。事前に合意した内容を満たしているかどうかが判断の分かれ目になります。発注のときの指示、途中の確認でもらった返事、修正の回数の取り決めを見直してください。合意した内容を満たしているのに一方的に減額された場合は、相談窓口でフリーランス法の減額の禁止にあたるかを確かめます。

「担当者が辞めて分からない」

担当者の退職を理由に、話が止まるケースもあります。契約の相手は担当者個人ではなく会社です。担当者が辞めても、会社の支払義務はなくなりません。会社の代表の連絡先や経理の窓口に、これまでの経緯と証拠を添えて改めて請求してください。

「予算がなくなった」

会社の資金繰りが苦しく、すぐには払えないという言い分です。本当に資金が足りない場合、強く迫っても払えるお金がないことがあります。分割払いの提案を受け入れるのも1つの方法ですが、その場合は回数、各回の金額、支払日を文章で取り決めてください。1回でも遅れたら残りを一括で払う、という条件を入れておくと、あとの手続きが楽になります。

裁判所の手続きを使い分ける

話し合いで払われない場合は、裁判所の手続きを使います。弁護士に頼まずに自分で申し立てられる手続きもあります。代表的な3つを比べます。

手続き 向いているケース 特徴
支払督促 相手が支払義務そのものは争っていない 書類審査だけで、裁判所に出向かなくてよい
少額訴訟 60万円以下で、証拠がそろっている 原則1回の審理で結論が出る
民事調停 話し合いで分割払いなどを決めたい 調停委員が間に入る。非公開

支払督促

支払督促とは、裁判所書記官が相手に支払いを命じる書面を送る手続きのことです。相手の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に申し立てます。書類の審査だけで進むため、裁判所に出向く必要はありません。

債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付さなければならず、債権者はこれに基づいて強制執行の申立てをすることができます。 出典: 裁判所 支払督促

仮執行宣言とは、判決が確定する前でも強制執行ができるようにするお墨付きのことです。一方、相手が異議を申し立てると通常の裁判に移ります。相手が「仕事の出来が悪かった」などと支払義務そのものを争っている場合は、最初から少額訴訟や通常の裁判を選んだほうが早いこともあります。

令和8年5月21日からは、従来必要だった郵便費用が申立手数料に一本化され、切手を用意する必要がなくなりました。手数料は請求額によって変わるため、裁判所の手数料早見表で確かめてください。

少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、原則として1回の審理で結論を出す簡易裁判所の手続きです。1回で終わらせるため、最初の期日までに言い分と証拠をすべて出す必要があります。前の節で集めた証拠と時系列のメモが、ここでそのまま生きます。

判決では、分割払いや支払いの猶予が認められることもあります。利用は1人につき同じ裁判所で年間10回までと決まっています。判決に不服がある場合の手段は異議の申し立てに限られ、控訴はできません。

民事調停

民事調停とは、裁判官と一般の市民から選ばれた調停委員が間に入り、話し合いで合意を目指す手続きのことです。手数料は訴訟より安く、非公開で行われます。裁判所の説明では、通常2回から3回の期日でおおむね3か月以内に解決することが多いとされています。相手と関係を完全には切りたくない場合や、分割払いの条件を決めたい場合に向いています。

時効に気をつける

未払いの報酬を請求する権利には期限があります。2020年4月に施行された民法の改正で、お金を請求する権利の時効は、原則として「権利を行使できることを知った時から5年」に統一されました。

法務省の改正の説明資料でも、業種ごとに分かれていた短い時効を廃止し、原則として「知った時から5年」にそろえたと説明されています。改正の前は、仕事の種類によって2年や3年で時効になるものがあり、フリーランスの報酬もその影響を受けていました。いまは、業種による違いを気にする必要はほとんどありません。

5年あるからと安心するのは危険です。時間がたつほど相手の連絡先が変わったり、会社がなくなったり、証拠が散らばったりして、回収は難しくなります。内容証明郵便などで請求すると、その時から6か月の間は時効が完成しません。ただし、その6か月の間にもう一度請求しても、期間はさらには延びません。延びている間に裁判所の手続きをとる必要があります。いつ時効になるかは契約の内容や経緯で変わるため、期限が近いと感じたら早めに弁護士に相談してください。

相手と連絡が取れなくなったとき

未払いの相談でとくに多いのが、納品したあとに相手と連絡がつかなくなるケースです。メールに返信がない、チャットのアカウントが消えている、電話がつながらない。こうなると、誰に何を請求すればよいかから考え直す必要があります。

相手が会社の場合

相手が会社であれば、会社の登記を確かめることができます。登記とは、会社の名前、本店の所在地、代表者などを法務局に登録している記録のことです。登記事項証明書は法務局の窓口やオンラインで請求でき、誰でも取得できます。担当者と連絡が取れなくても、会社そのものに対して請求することができます。

登記を見て、会社がすでに解散していたり、本店の住所に実体がなかったりする場合は、回収の難しさが一段上がります。その時点で弁護士に相談し、取れる手段を確かめてください。

相手が個人の場合

相手が個人の場合は、氏名と住所が分からないと裁判所の手続きを使えません。最初の取引のときに、名前と連絡先しか聞いていなかったというケースは少なくありません。分かっている情報(氏名、メールアドレス、電話番号、振込を受けたことがあれば口座の名義)をすべて書き出し、弁護士に相談してください。弁護士には、法律に基づいて照会をかける方法があります。

仲介サイトを通した仕事の場合

仲介サイトを通した仕事であれば、まずサイトの運営会社に連絡します。多くのサイトには、取引上のトラブルを受け付ける窓口があり、相手のアカウントに連絡を促したり、利用規約に基づいて対応したりしてくれることがあります。仮払いの仕組みがあるサイトなら、預けられた報酬の扱いがどうなるかを確認してください。サイトの外で直接やりとりを始めていた場合は、運営会社が対応できないこともあるので、取引はできるだけサイトの中で完結させておくのが安全です。

判決を取っても払われないとき

支払督促や少額訴訟で支払いを命じる判断が出ても、相手が自分から払うとは限りません。払われない場合は、強制執行という手続きに進みます。強制執行とは、裁判所の力で相手の預金や給料などを差し押さえて、そこから回収する手続きのことです。

相手の財産が分からないとき

差し押さえるには、相手の財産がどこにあるかを特定する必要があります。分からない場合に使える手続きが2つあります。

・財産開示手続:相手に裁判所へ出てきてもらい、自分の財産について説明させる手続き
・第三者からの情報取得手続:相手の預金や給料、不動産の情報を、銀行や市町村、登記所などから提供してもらう手続き

どちらも財産を調べるための手続きで、それだけでお金が戻ってくるわけではありません。調べた結果をもとに、改めて差し押さえの申し立てをします。

費用と回収できる額を比べる

強制執行まで進むと、手数料や手間がかさみます。相手に財産がほとんどない場合、手続きを尽くしても回収できる額が少ないこともあります。どこまで進めるかは、未払いの金額、相手の状況、かかる費用と時間を比べて決めることになります。この判断は一人でするより、弁護士に見通しを聞いてから決めたほうが、無駄な出費を避けられます。

未払いを防ぐために、受ける前にできること

未払いの相談の多くは、最初の取り決めがあいまいだったことに原因があります。次の仕事から、受ける前に次の点を固めておくと、トラブルの多くは防げます。

条件を文章で受け取る

フリーランス法では、発注事業者は業務委託をしたときに、仕事の内容、報酬の額、支払期日などを書面かメールなどで示すことが義務づけられています。この義務は、従業員を使用していない発注者にも課されています。口頭やあいまいなメッセージだけで仕事が始まりそうなときは、「念のため、条件をメールでいただけますか」とお願いしてください。法律で決まっていることなので、遠慮する必要はありません。

初めての相手には前払いや分割を提案する

初めて取引する相手や、金額の大きい仕事では、着手金として一部を前払いしてもらう、工程ごとに分けて請求する、といった方法でリスクを小さくできます。仲介サイトを通す場合は、仕事を始める前に依頼者が報酬を預ける「仮払い」の仕組みがあるかを確かめておくと安心です。

相手の実在を確かめる

会社名で仕事を受ける場合は、会社の所在地や代表者名を確認しておきます。個人が相手の場合は、氏名と連絡先を必ず控えておきます。裁判所の手続きを使うときには、相手の住所が分からないと申し立てができません。

支払いを装った詐欺にも気をつける

未払いに悩んでいるときほど、「報酬の振り込みに必要な手続き」を装ったメッセージにだまされやすくなります。口座の暗証番号や、本人確認のための手数料を求める連絡は詐欺を疑ってください。メールの見分け方は社員のセキュリティ意識を向上させるフィッシングメール模擬訓練の効果|2026年最新の従業員教育ガイドで、企業が社員に教えている確認の手順が具体的に紹介されています。

相談の現場から見えること

20年近くフリーランスと発注者の取引を見てきた立場から言えば、未払いのトラブルを早く解決できる人には共通点があります。それは、証拠を最初から残していることと、感情的にならずに手順を踏んでいることです。

逆に、こじれやすいのは、口頭の約束で仕事を始めてしまったケースと、催促で強い言葉を使って関係が壊れたケースです。前者は請求の根拠が弱くなり、後者は相手が意地になって払わなくなります。どちらも、最初の一手で防げます。

もう1つ見えてきたのは、中間マージンの有無が取引の安心感に影響するという点です。発注者とフリーランスが直接つながる取引では、条件の確認や支払いの相談がしやすく、行き違いが早く解消されます。手数料0%で直接やりとりできる仕組みは、受け取る報酬が厚くなるだけでなく、困ったときに相手と直接話せるという意味でも、双方にとって得になる形です。

報酬の未払いは、一人で抱え込むほど長引きます。証拠をまとめ、無料の窓口に相談し、手順を踏んで請求する。この順番を守るだけで、取れる選択肢は大きく広がります。自分の仕事の値打ちを確かめておくことも、次の交渉の支えになります。たとえば文章の仕事であれば、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で業務委託の単価の目安を確かめておくと、条件を決めるときの根拠になります。

よくある質問

Q. フリーランスの報酬未払いは、どこに相談すればいいですか?

最初の相談先としては、厚生労働省の委託事業として第二東京弁護士会が運営するフリーランス・トラブル110番(0120-532-110)が使いやすいです。弁護士が無料で相談に応じ、匿名でも相談できます。話し合いでの解決を目指す和解あっせんも無料です。弁護士に代理を頼みたい場合は、法テラスや地域の弁護士会の法律相談を使います。

Q. 報酬の支払いを90日後と言われました。問題はありませんか?

相手が従業員を使用している発注事業者であれば、フリーランス法により、成果物を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決める必要があります。60日を超える期日を決めていた場合は、受け取った日から60日を過ぎる日が支払期日とみなされます。相手が従業員を雇っていない個人の場合、このルールは適用されません。

Q. 少額訴訟と支払督促はどう使い分けますか?

相手が支払義務そのものを争っていないなら、書類審査だけで進む支払督促が手軽です。ただし相手が異議を出すと通常の裁判に移ります。60万円以下の請求で、契約や納品の証拠がそろっているなら、原則1回の審理で結論が出る少額訴訟が向いています。どちらも相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

Q. 未払いの報酬はいつまで請求できますか?

2020年4月施行の民法改正で、お金を請求する権利の時効は、原則として権利を行使できることを知った時から5年に統一されました。ただし、時間がたつほど相手の連絡先が変わったり証拠が散らばったりして回収は難しくなります。具体的にいつ時効になるかは契約や経緯で変わるため、期限が近いと感じたら早めに弁護士に相談してください。

この記事について

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

公開:2026年5月7日最終更新:2026年10月2日
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