フリーランスの通信費・スマホ代を経費にする方法


この記事のポイント
- ✓フリーランスがスマホ代・インターネット代を経費にする方法を解説
- ✓プライベート兼用時の按分率の目安
- ✓税務調査で認められるための記録の残し方を紹介します
スマホ代やインターネット代、フリーランスなら経費にできるって知っていましたか?
フリーランスとして独立すると、会社員時代には意識しなかった「経費」という概念が非常に重要になります。特に、現代の在宅ワークにおいて欠かすことのできない「通信費」は、正しく計上することで大きな節税効果を生み出します。
仕事でスマホを使っているなら、その通信費は立派な事業経費です。ただし、プライベートでも同じスマホを使っている場合は全額ではなく「按分(あんぶん)」という作業が必要になります。ここのやり方を間違えたり、根拠が曖昧だったりすると、税務調査で指摘される可能性があるため注意が必要です。
今回は、フリーランスが通信費をどこまで経費にできるのか、その具体的な按分方法から仕訳のやり方、さらには税務署に突っ込まれないための対策まで、徹底的に詳しく解説します。
経費にできる通信費の種類
フリーランスが経費として認められる通信費の範囲は、意外と広いです。基本的には「事業を遂行するために直接必要となった通信にかかる費用」であれば、すべて対象となります。
具体的にどのような費用が該当するのか、以下の表にまとめました。
| 費用項目 | 主な内容 | 勘定科目 | 按分の必要性 |
|---|---|---|---|
| スマホの月額料金 | 基本料、通話料、データ通信料、オプション代 | 通信費 | プライベート兼用なら按分 |
| インターネット回線 | 光回線、ADSL、CATV等の月額利用料 | 通信費 | プライベート兼用なら按分 |
| Wi-Fiルーター | モバイルWi-Fi、ホームルーターの月額料金 | 通信費 or 消耗品費 | プライベート兼用なら按分 |
| レンタルサーバー代 | ブログやポートフォリオサイトの維持費 | 通信費 | 事業100%なら全額 |
| ドメイン代 | 独自ドメイン(.com、.jpなど)の更新料 | 通信費 | 事業100%なら全額 |
| クラウドサービス代 | Zoom、Slack、Chatwork、Dropboxなど | 通信費 | 事業100%なら全額 |
| 切手・郵送代 | 請求書や契約書の送付、資料の郵送費用 | 通信費 | 事業用なら全額 |
| 固定電話代 | 自宅の固定電話、FAXの基本料金・通話料 | 通信費 | 事業用なら全額(兼用は按分) |
| テザリングオプション | 外出先でのPC接続用オプション費用 | 通信費 | 事業利用分を按分 |
ここで重要なのは、「事業との関連性」を明確に説明できるかどうかです。例えば、仕事用のポートフォリオサイトを運営するためのサーバー代やドメイン代は、プライベートで使うことはまずないため、100%を経費として計上可能です。
一方、スマホや自宅の光回線は「仕事が終わった後にYouTubeを見る」「休日にLINEで友人と連絡を取る」といったプライベート利用が混ざることが多いため、按分が必要になります。
スマホ代や光回線のように、事業とプライベートが混ざった支出は税法上「家事関連費」と呼ばれます。国税庁も、こうした費用のうち必要経費にできるのは「業務遂行上必要な部分」に限られると明確に定めています。
業務の遂行上必要であったことが明らかにできる部分の金額に相当する経費に限り、必要経費に算入することができます。 国税庁 No.2210 必要経費の知識
つまり、按分のキモは「業務に必要な部分を、客観的に説明できる形で切り分けること」にあります。この原則を押さえておけば、後述する按分率の設定も迷わず進められます。
スマホ代の按分率の目安
スマホは現代のフリーランスにとって、電話、メール、チャット、スケジュール管理、さらにはテザリングによるネット環境構築まで、あらゆる業務の起点となるデバイスです。
仕事専用スマホの場合
もし、プライベート用とは別に「仕事専用」として契約しているスマホがあるなら、その基本料金、通話料、データ通信料などはすべて100%経費にできます。
税務署に対しても「この端末は仕事の連絡以外には一切使っていません」と断言できるため、最も確実で安全な方法です。最近は、物理的な端末を2台持たなくても、1台のスマホに2つの電話番号を持てる「デュアルSIM」対応の端末が増えています。仕事用の回線(eSIMなど)を別途契約し、その利用明細を分けることで、按分の手間を省くことができます。
プライベート兼用の場合
1台のスマホで、仕事のクライアントとの連絡も、家族や友人とのやり取りも行っている場合は、按分が必要です。按分率を決める際の指標は「使用時間」や「データ使用量の割合」となりますが、厳密に秒単位で記録するのは現実的ではありません。
そのため、一般的には職種や働き実態に合わせて、以下のような按分率を目安に設定することが多いです。
| 利用状況のパターン | 推奨される按分率 | 年間経費の試算(月8,000円の場合) |
|---|---|---|
| 仕事の連絡がメイン(営業職、ディレクター、ライターなど) | 70〜80% | 67,200〜76,800円 |
| 仕事とプライベートが半々(一般的な在宅ワーカー) | 50% | 48,000円 |
| たまに仕事の連絡に使う程度(副業、趣味に近い活動) | 30〜40% | 28,800〜38,400円 |
僕の場合、クライアントとの電話やSlackでのチャット、テザリングによる外出先での作業がメインなので、70%で計上しています。
例えば、月額料金が8,000円のスマホプランを契約している場合、毎月5,600円(8,000円 × 70%)を経費にします。これを1年間続けると、67,200円が経費となります。所得税率が10%、住民税率が10%の人の場合、これだけで年間約13,440円の節税効果が得られる計算です。
インターネット回線の按分率
在宅ワークを主とするフリーランスにとって、自宅の光回線やホームルーターは「生命線」と言っても過言ではありません。Web会議、ファイルのアップロード、リサーチ作業など、ネットがなければ仕事が成立しないからです。
按分の考え方:時間ベースか面積ベースか
自宅のネット回線を按分する場合、以下の2つの考え方が主流です。
-
時間による按分 1日のうち、仕事でネットを使っている時間の割合で計算します。 (例)1日24時間のうち、睡眠時間を除いた活動時間が16時間。そのうち仕事でネットを使うのが8時間なら、按分率は50%となります。
計算例:
- 1日のインターネット利用(活動)時間:14時間
- うち仕事での利用:8時間
- 按分率:8 ÷ 14 = 約57%
- 月額料金5,000円の場合:月2,850円、年34,200円を経費にできます。
-
曜日による按分 「平日は仕事、土日はプライベート」とはっきり分かれている場合に有効です。 (例)週7日のうち、仕事をするのが5日なら、5 ÷ 7 = 約71%を経費にできます。ただし、土日もプライベートでネットを使う場合は、さらにここから「1日のうちの作業時間」で調整するのがより正確です。
仕事専用回線の場合
動画編集者やトレーダー、オンライン講師など、大容量の通信や安定性が求められる職種では、プライベートとは別に「仕事専用の回線」を引くこともあります。この場合は、設置工事費も含めて100%経費にできます。
最近では、仕事用のサブ回線としてモバイルWi-Fiを契約している人も多いですが、これも「仕事用バッグに入れて持ち歩き、外出先での作業のみに使う」のであれば、100%経費として認められやすくなります。
正しい仕訳の方法
按分率が決まったら、次は帳簿への付け方です。フリーランス(個人事業主)特有の勘定科目である「事業主借(じぎょうぬしかり)」を使いこなすのがポイントです。
月額料金の仕訳例(按分あり)
例えば、スマホ代8,000円(按分率70%)が、個人のプライベート用銀行口座から引き落とされた場合の仕訳は以下のようになります。
| 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 5,600円 | 事業主借 | 5,600円 |
※プライベート利用分の2,400円については、事業の帳簿には記載しません。
もし、事業用の口座から8,000円全額が引き落とされた場合は、以下のように処理します。
| 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 5,600円 | 普通預金 | 8,000円 |
| 事業主貸 | 2,400円 |
このように、事業用口座からプライベート分を支払った場合は「事業主貸(じぎょうぬしかし)」を使って、事業のお金を個人に貸した(渡した)形にします。
端末購入時の仕訳と節税ルール
通信費そのものだけでなく、スマホ本体の購入代金も重要な経費です。最近のハイエンドスマホは15万円〜20万円を超えることも珍しくありませんが、金額によって経費にできるタイミングが異なります。
-
購入価格が10万円未満の場合 「消耗品費」などの科目で、購入した年に全額を一括経費として計上できます。
-
購入価格が10万円以上 30万円未満の場合(青色申告限定) 青色申告をしているフリーランスなら、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。これにより、30万円未満の資産であれば、その年に全額を一括経費にすることが可能です(年間合計300万円まで)。
iPhone 15 Proなどの高額な端末を買っても、青色申告者であれば買ったその年に全額を経費にして所得を抑えられるため、非常に強力な節税手段となります。
-
購入価格が30万円以上の場合 固定資産として計上し、耐用年数(スマホの場合は一般的に4年)に応じて分割して経費にします(減価償却)。
この「金額によって経費にするタイミングが変わる」という考え方は、国税庁の定める減価償却制度がベースになっています。
業務に使用する資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。(中略)減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし
端末代についても、通信費と同じ按分率を適用するのを忘れないようにしましょう。例えば、15万円のスマホを按分率70%で使うなら、経費にできるのは105,000円となります。
税務調査で認められるための記録管理
「按分すれば何でも経費になる」というわけではありません。税務調査が入った際、調査官から「なぜこの按分率なのですか?」と聞かれたときに、客観的で合理的な根拠を示せるかどうかが分かれ目になります。
通話履歴・利用明細を保存する
最近は紙の明細が発行されないことも多いですが、通信会社のマイページからPDFの利用明細を定期的にダウンロードして保存しておきましょう。
特に通話料が多い場合、通話明細の中で「どれが仕事相手で、どれが友人か」を数ヶ月分マークしておくだけでも、按分率の強力な根拠になります。「実際にカウントした結果、仕事の通話が8割だったので、按分率を80%に設定しました」と言えれば、調査官も納得せざるを得ません。
按分の根拠をメモで残しておく
確定申告書を提出する際、あるいは日々の記帳の際に、「按分率の算出根拠」をメモに残しておきましょう。
(メモの例)
- スマホ:1日平均10時間の活動時間中、クライアントとのSlack・メール、業務リサーチに7時間使用。よって70%とする。
- インターネット:平日は9時〜18時まで業務専用としてフル活用。土日はプライベート利用。週の利用時間から算出し60%とする。
こうした「考え方のプロセス」が記録されていることが、税務調査における誠実性の証明になります。なお、按分や必要経費の判断に迷ったときは、自己流で決めつけず国税庁の公式サイトで最新のタックスアンサーを確認するか、管轄の税務署・税理士に相談するのが確実です。
法人(マイクロ法人)の場合は按分不要?
余談ですが、将来的に法人化(一人社長のマイクロ法人など)を検討している場合、通信費の扱いはさらに有利になります。
法人名義でスマホを契約し、それを「役員への支給品(貸与品)」という形にすれば、基本的には100%を法人の経費として落とすことが可能です。個人事業主の按分計算が面倒、あるいは按分率をめぐって税務署と揉めたくないという方は、売上が増えてきた段階で法人化を選択肢に入れるのも一つの手です。
通信費の節約術と経費計上のバランス
経費を増やすことは節税になりますが、そもそも「出ていくお金(支出)」を減らすことも同じくらい重要です。通信費を賢く抑えつつ、最大限の経費メリットを受けるためのテクニックを紹介します。
格安SIMを活用して「2回線持ち」にする
大手キャリアのメインブランド(docomo, au, SoftBank)を1回線だけで使い続けるよりも、格安SIM(MVNO)を併用する方がトータルコストを抑えられます。
おすすめは、プライベート用をpovo2.0などの基本料無料プランにし、仕事用を楽天モバイルやahamoなどのデータ使い放題・大容量プランにすることです。 この場合、仕事用回線の費用は100%経費にできます。
- プライベート回線:月額0円〜1,000円(経費外)
- 仕事用回線:月額3,000円前後(100%経費)
このように分けることで、按分の手間がゼロになり、なおかつ実質的な負担を最小限に抑えられます。
クラウドサービスは「事業用アカウント」で契約
仕事で使うツールは、可能な限り個人のアカウントと分け、事業用のメールアドレスで契約しましょう。
- Google Workspace(独自ドメインのメール、大容量ドライブ)
- Zoom / Microsoft Teams(有料プラン)
- Chatwork / Slack(有料プラン)
- ChatGPT Plus / Claude Pro(AIアシスタント)
- Adobe Creative Cloud(クリエイター必須ツール)
これらは仕事で使うことが明確であるため、按分の必要がなく、全額を「通信費」または「諸会費」「支払い手数料」として経費にできます。特にAIツールは、最近のフリーランス業務においてリサーチや構成作成に欠かせないものとなっており、堂々と経費として計上すべき項目です。
よくある質問
Q. スマホ代を仕事用とプライベート用で分ける一番簡単な方法は?
最も確実で簡単な方法は、仕事専用のスマートフォンと回線をもう1台契約することです。物理的に端末と回線を分ければ、仕事用端末の通信費と本体代金を全額経費として計上でき、税務調査でも私的利用を疑われることなく明確に説明できます。
Q. 税務調査が来やすいフリーランスの特徴はありますか?
売上が急激に伸びている、経費の割合が同業他社と比べて極端に高い、毎年赤字申告を繰り返している、といった事業者は、AIによるスクリーニングで異常値として抽出されやすく、調査対象になりやすい傾向があります。
Q. 同業者(フリーランス仲間)との飲み会は経費になりますか?
「情報交換会」としての実態があれば交際費として認められます。ただし、ただの愚痴の言い合いや友人としての飲み会はNGです。「〇〇業界の最新動向について情報交換し、今後の協業について協議した」という明確なビジネス目的が必要です。
Q. プライベート用の車を経費にする際の注意点は何ですか?
税務上の経費計算だけでなく、保険会社への「業務使用」としての契約変更が必要です。「日常・レジャー使用」のまま事業利用中に事故を起こすと、補償の対象外となる恐れがあります。
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この記事を書いた人
藤本 拓也
フリーランスWebマーケター
大手広告代理店でWebマーケティングを10年間担当した後、フリーランスに転身。SEO・SNS・広告運用を得意とし、大阪から東京の案件もリモートで対応。マーケティング・営業系の記事を執筆しています。
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