フリーランスの複数収入源の作り方|案件依存から脱却する方法


この記事のポイント
- ✓フリーランスが案件依存から脱却して複数の収入源を作る方法を解説
- ✓収入の柱を増やす具体的なステップと成功事例を紹介します
フリーランスの最大のリスクは「収入が不安定なこと」。先月は忙しくて月収50万円だったのに、今月は案件がなくて10万円。この波の激しさがストレスの大きな原因になっている。
私が経理サポートをしているフリーランスの方を見ていると、安定している人に共通点がある。収入源が3つ以上あるということ。
逆に、最も危なかったのがWebデザイナーのリク(31歳)のケース。月収60万円のうち50万円が1社のクライアントからの売上だった。そのクライアントが社内にデザインチームを作ることになり、業務委託を打ち切り。翌月の収入はいきなり10万円。家賃、国保料、年金、全部払うと赤字。回復するまでに4ヶ月かかった。リクは「あの4ヶ月は人生で一番不安だった」と振り返る。もし保守契約やコンテンツ販売で月15万円でもストック収入があれば、あそこまで追い詰められることはなかったはずだ。
この方が気づいた「単価を上げるより大事なこと」、まさにその通りです。技術ブログ240記事の蓄積で広告収益、デジタル商品の販売。受託一本からストック型に移行した好例ですね。
フロー収入とストック収入の違い
まず、収入の種類を理解しておきましょう。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| フロー収入 | 働いた分だけ得られる | 案件受注、コンサル、制作 |
| ストック収入 | 一度作れば継続的に入る | 月額サービス、コンテンツ販売、広告収入 |
フリーランスの多くはフロー収入のみに依存しています。体を壊したり、案件が途切れたりすると即座に収入がゼロになる。これが「案件依存」の怖さです。
理想的な収入構成:
| 収入源 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|
| メインの案件受注 | 50〜60% | 主力の収入 |
| 継続案件・月額契約 | 20〜30% | 安定のベース |
| ストック収入 | 10〜20% | 労働時間に依存しない収入 |
ストック収入の6つの作り方
1. 月額保守・運用契約
Web制作やシステム開発をしている方なら、納品後の保守・運用を月額契約にする方法があります。
月額保守の料金相場:
| サービス内容 | 月額料金 |
|---|---|
| 更新・修正のみ | 5,000〜10,000円 |
| 更新 + セキュリティ対策 | 10,000〜30,000円 |
| 更新 + SEO + レポート | 30,000〜50,000円 |
保守契約が10社あれば、月額10万〜30万円の安定収入になります。新規案件がなくても生活できるベースを作れるわけです。
2. オンライン教材・コンテンツ販売
自分のスキルを教材にして販売する方法です。
- Udemy: 動画講座を販売。一度作れば継続的に売れる
- note: 有料記事やマガジン
- Brain: ノウハウ記事の販売
- Kindle出版: 電子書籍として出版
一つの教材が月に3〜10万円の売上を生み続けるケースも珍しくありません。
3. アフィリエイト・ブログ収入
専門分野のブログを運営し、広告収入やアフィリエイト収入を得る方法です。
SEOの知識が必要ですが、一度上位表示された記事は長期間にわたってアクセスを集めてくれます。月間5万PVを超えると、広告収入だけで月3〜5万円程度が見込めます。
4. テンプレート・素材販売
デザイナーなら、テンプレートやアイコンセットをストック素材サイトで販売する方法があります。
販売先の例:
5. サブスクリプション型サービス
自分のスキルをパッケージ化して、月額制で提供する方法です。
例:
- 月額1万円で、SNS投稿の添削(月10本まで)
- 月額3万円で、経理・記帳代行(毎月の仕訳処理)
- 月額5万円で、Webサイトの運用改善アドバイス(月1回のMTG付き)
6. 紹介料・代理店収入
自分がメインで対応できない案件を、信頼できるフリーランスに紹介して紹介料を得る方法です。紹介料は案件金額の10〜20%が相場。
NG例/OK例:収入源の分散
NG例: 1社のクライアントに売上の80%を依存。「安定しているから大丈夫」と安心していたら、予算削減で契約が半減。月収が60万円から25万円に急落して、生活費の支払いに困る事態に。
OK例: メイン案件3社(各15万円)+ 保守契約5社(計8万円)+ note有料記事(月2万円)。1社が抜けても月収は45万円を維持。精神的にも余裕が生まれる。
複数収入源を作る3ステップ
Step 1: まずはメイン収入を安定させる(〜6ヶ月)
ストック収入を作る前に、フロー収入で生活の基盤を固めることが先です。月の生活費 + αを安定して稼げる状態を作りましょう。
@SOHOのお仕事ガイドによると、フリーランスの収入が安定するまでの期間は職種によって異なりますが、平均で独立後6ヶ月〜1年程度。まずはこの期間を乗り越えることに集中してください。
→ フリーランスの職種別ガイドを見る
Step 2: 継続案件・月額契約を増やす(6ヶ月〜1年)
新規案件ばかり追いかけるのではなく、既存クライアントとの関係を深めて月額契約に移行していきます。「納品して終わり」ではなく、「納品後のサポートも任せてほしい」と提案してみましょう。 実績ゼロ、経験なし、コネなしからスタートしても複数社との年間契約を実現できるという好例です。最初の一歩は小さくても、継続することで信頼と実績は積み上がります。
Step 3: ストック収入の仕組みを作る(1年〜)
メイン収入と継続収入が安定したら、空いた時間でストック収入の仕組みを作り始めます。最初は月1〜2万円でも構いません。
初めてのストック収入におすすめ:
- note有料記事(作成時間: 1日、初期費用: 0円)
- Udemy講座(作成時間: 2〜4週間、初期費用: マイク代のみ)
- ブログ(軌道に乗るまで6ヶ月以上)
収入の分散で税金面でもメリットがある
複数の収入源を持つと、経費の按分がしやすくなるメリットもあります。例えば、ブログを運営していれば、PCやインターネット回線、書籍代などをブログ事業の経費として計上できます。
また、事業所得と雑所得のバランスを考えることで、確定申告時の節税につながるケースもあります。
フリーランスとして、収入や案件に関する辛さを解消するには、複数の案件を掛け持ちすることが効果的です。案件が複数あることで収入が安定し、心に余裕が生まれます。
※経費の計上や申告方法については、必ず税理士にご確認ください。
「卵を一つのカゴに盛るな」
投資の世界には「卵を一つのカゴに盛るな」という格言がありますが、これはフリーランスの収入にもそのまま当てはまります。1社のクライアントに売上の50%以上を依存している状態は、そのクライアントとの契約が終わった瞬間に生活が破綻するリスクを抱えています。
理想は、どの収入源が1つなくなっても生活に困らない状態です。すぐには難しくても、少しずつ収入の柱を増やしていきましょう。
フリーランス白書から見る「複数収入源」の実態
複数収入源を持つフリーランスは、実は少数派ではありません。中小企業庁が公表しているフリーランス実態調査によると、フリーランスとして働く人の約4割が複数の収入源を持っており、特に独立から3年以上経過した層ではその割合が顕著に高くなっています。
フリーランスとして働く者のうち、複数の取引先を持つ者の割合は約7割となっており、特定の取引先への依存度を下げることが、安定した働き方につながると考えられる。 出典: chusho.meti.go.jp
ここで注目すべきは「取引先の数」と「収入源の種類」は別だということです。クライアントが5社あっても、全てが「Web制作の受注」という単一カテゴリなら、業界全体の不景気が来た瞬間に全滅します。本当の分散とは、収入の「カテゴリ」を分けることです。
カテゴリ分散の例:
| カテゴリ | 内容 | 景気との相関 |
|---|---|---|
| 制作受注(BtoB) | Web制作、デザイン | 景気に強く連動 |
| 教育・コンテンツ(BtoC) | 講座販売、書籍 | 不景気でむしろ伸びる |
| ストック型(広告・印税) | ブログ、Kindle | 景気の影響を受けにくい |
| 顧問・アドバイザー | 月額コンサル | 安定だが営業必要 |
カテゴリが異なる収入源を3つ以上持つと、どれか1つが落ち込んでも他がカバーする「相互補完」が働きます。例えば、リーマンショック級の不況が来てBtoB案件が半減しても、BtoCの教育コンテンツは「リスキリング需要」で逆に伸びる、というのは2020年のコロナ禍で実際に起きた現象です。
ストック収入を「資産化」する記録術
ストック収入を作り始めたら、必ず月次の収益記録を残しておきましょう。これを怠ると、「どの仕組みが本当に稼いでいるのか」「次にどこに時間を投資すべきか」が見えなくなります。
記録すべき項目:
| 項目 | 記録内容 | 活用方法 |
|---|---|---|
| 収入源名 | note、Udemy、保守A社など | 内訳の把握 |
| 月次売上 | その月の入金額 | トレンド分析 |
| 制作工数 | 作成にかけた時間 | 時給換算 |
| メンテ工数 | 月次の維持工数 | 採算判断 |
| 累計売上 | 公開から現在まで | 投資回収率 |
特に重要なのが「メンテ工数」です。月3万円の売上があっても、毎月20時間のメンテが必要なら時給1,500円。これなら受託案件をやった方が稼げるという判断もできます。逆に、月1万円でもメンテ工数がゼロなら、それは純粋な「資産」として育てる価値があります。
私が見てきた中で、Webライターのナナエ(34歳)は3年前に書いたnoteの有料記事1本が今も月1.2万円を稼ぎ続けています。累計収益は43万円を超え、メンテはほぼゼロ。これが「資産化」できた状態の典型例です。
複数収入源の「税務リスク」と対処法
収入源を増やすと税務処理が複雑になります。ここを軽視すると、せっかく増やした収入が税務調査で吹き飛ぶリスクがあるので注意が必要です。
国税庁は副業・複業の所得区分について、明確な基準を示しています。
副業に係る所得については、その実態に応じて、事業所得、雑所得、給与所得などに区分されます。事業所得と認められるためには、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行われている必要があります。 出典: nta.go.jp
ここで実務上の注意点は、年間300万円以下の副業収入は原則「雑所得」扱いになる可能性があるという点。事業所得なら青色申告特別控除65万円が使えますが、雑所得だと使えません。
複数収入源の税務上の判断ポイント:
| 収入源 | 望ましい区分 | 注意点 |
|---|---|---|
| メインの受託業務 | 事業所得 | 帳簿・請求書を整備 |
| 月額保守 | 事業所得 | 契約書を保管 |
| ブログ広告収入 | 雑所得 or 事業所得 | 継続性・規模で判断 |
| Kindle印税 | 雑所得(一般) | 年20万超で申告必要 |
| 紹介料 | 事業所得 or 雑所得 | 契約形態による |
複数の収入源をすべて事業所得として扱いたい場合は、それぞれについて帳簿・請求書・契約書を整え、「事業として行っている」実態を示す必要があります。曖昧にしたまま申告すると、後で税務署から「これは雑所得では?」と指摘されて追徴課税になるケースが実際にあります。
迷ったら、収入源を増やすタイミングで一度税理士に相談しておくことをおすすめします。初回1万円程度の相談料で、後の何十万円の追徴リスクを回避できます。
よくある質問
Q. フリーランスの副業で確定申告が必要になる基準は?
副業による所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えた場合に、所得税の確定申告が必要となります。ただし、20万円以下であっても市区町村への住民税の申告は必要です。
Q. 副業のフリーランスでも、住民税のタイミングは同じですか?
はい、基本的に同じです。副業所得を確定申告すると、そのデータが自治体に送られ、6月に住民税額が決定します。副業分のみを自分で納付する(普通徴収)か、本業の給与から天引きする(特別徴収)かを選択できますが、支払いの通知が来る時期自体は変わりません。
Q. フリーランスと副業はどちらが稼げますか?
本業の収入を維持しつつ副業で稼ぐほうがリスクは少ないですが、年収の上限は限られます。副業で月10〜20万円(年間120〜240万円)を超えるのは時間的に難しいため、本格的に稼ぎたい場合はフリーランスとして独立するほうが年収の天井は高くなります。副業の確定申告については副業の確定申告完全ガイドで解説しています。
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この記事を書いた人
織田 莉子
FP2級・フリーランス経理サポーター
会計事務所で10年間の実務経験を経て独立。フリーランスの確定申告・節税・資金管理を専門に、お金にまつわる記事を執筆しています。
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