食品責任者講習(食品衛生責任者)の受け方と、食品を売る副業で必要になる場面


この記事のポイント
- ✓食品責任者講習(食品衛生責任者養成講習会)の受け方を
- ✓会場型とeラーニング型の違い
- ✓申し込みの手順で整理しました
食品責任者講習を調べている人の多くは、「お菓子やパンを作って売りたい」「キッチンカーやイベントで食べ物を出したい」と考えて、最初に何をすればよいかを探しています。結論から書くと、食品責任者講習とは、正式には食品衛生責任者養成講習会と呼ばれる1日の講習のことで、学歴や経験を問わず17歳以上なら受けられます。東京都の場合、受講料は12,000円で、講習は約6時間です。
ただし、講習を受けて食品衛生責任者になっただけでは、食品を売ることはできません。売る食品の種類に応じた営業許可や届出、決まった条件を満たす施設が別に必要です。この記事では、食品責任者講習の受け方を手順に沿って整理したうえで、食品を売る副業で食品衛生責任者が必要になる場面と、講習の先で必ずぶつかる許可と施設の話までを書きます。数字は、講習を実施している東京都食品衛生協会のページと、厚生労働省、法令の条文で確かめたものです。
食品衛生責任者とは何をする人か
食品衛生責任者とは、食品を扱う店や工場で、衛生管理の中心になる人のことです。食中毒を出さないように、従業員の手洗い、食材の温度の管理、調理器具の洗浄などが決まりどおりに行われているかを見て、必要なら営業者に意見を言う役割を持ちます。営業者とは、その店や工場で食品の営業をしている人や会社のことです。
法令で決まっている選任の義務
食品衛生法施行規則の別表第17は、営業者は食品衛生責任者を定めることと決めています。講習を実施している東京都食品衛生協会も、次のように説明しています。
食品営業許可施設及び食品営業届出施設の営業者は「食品衛生責任者」を選任することが食品衛生法で定められています。 出典: toshoku.or.jp
つまり、許可が必要な営業でも、届出だけでよい営業でも、原則として食品衛生責任者が要ります。個人で小さく始める場合は、営業者である本人が食品衛生責任者を兼ねるのが一般的です。
食品衛生責任者がやること
同じ別表第17には、食品衛生責任者が守ることも書かれています。かみくだくと、次の3つです。
・営業者の指示に従って、衛生管理に当たること
・衛生管理の決まりが守られるように注意し、営業者に必要な意見を言うよう努めること
・自治体が行う講習会などを定期的に受け、食品衛生の新しい知識を身につけるよう努めること
営業者の側には、食品衛生責任者の意見を尊重することが求められています。個人で営業する場合は、自分で決めて自分で守る形になるので、決まりの中身を正しく理解しておくことが何より大切です。
食品衛生責任者を定めなくてよい営業
施行規則は、一部の営業を食品衛生責任者を定める義務の対象から外しています。たとえば、食品の輸入だけをする営業、貯蔵や運搬だけをする営業(冷凍や冷蔵の倉庫業を除く)、容器や包装に入っていて常温で保存しても傷むおそれのない食品を販売するだけの営業などです。
自分で作らず、包装済みで常温保存できるお菓子を仕入れて売るだけなら、この対象外に当たる可能性があります。ただし、どの営業に当たるかの判断は、営業する場所を担当する保健所が行います。自分で決めつけず、始める前に保健所に相談してください。
講習を受けなくてよい人
食品衛生責任者になるのに、全員が講習を受ける必要があるわけではありません。施行規則の別表第17は、食品衛生責任者になれる人として、講習を修了した人のほかに次の資格を持つ人を挙げています。
・調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士
・船舶料理士、と畜場や食鳥処理場の衛生管理の責任者
・食品衛生監視員や食品衛生管理者になれる資格を持つ人(医師、獣医師、歯科医師、薬剤師など)
調理師や栄養士の免許を持っている人は、改めて講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。東京都食品衛生協会では、これらの資格を持つ人に「確認証」という手帳を交付していますが、確認証がなくても免許証で資格を証明できると説明しています。確認証は東京都独自のもので、ほかの道府県では通用しないことがある点も明記されています。
調理師の場合、試験に合格しただけでは足りず、都道府県に登録して免許を受けて初めて資格になる点にも注意してください。同協会は、調理師試験の合格書では確認証を交付できないと説明しています。
食品衛生責任者と、よく似た名前の資格の違い
食品責任者講習を調べていると、食品衛生管理者、防火管理者など、よく似た名前の資格が出てきて混乱しがちです。違いを整理しておきます。
食品衛生管理者
食品衛生管理者は、食品衛生責任者とは別の、より専門性の高い資格です。東京都食品衛生協会の説明によると、全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、放射線照射食品、食用油脂、マーガリン、ショートニング、規格が定められた添加物など、特に衛生上の配慮が必要な食品を製造したり加工したりする施設では、食品衛生責任者ではなく食品衛生管理者を選任しなければなりません。
食品衛生管理者になれるのは、医師、獣医師、歯科医師、薬剤師のほか、4年制の大学で医学や獣医学、畜産学、水産学、農芸化学などの課程を修めた人、都道府県知事の登録を受けた養成施設や講習会の課程を修了した人などです。1日の講習で取れる資格ではありません。副業でハムやソーセージを作って売ろうとする場合は、この資格の要否も確かめる必要があります。
防火管理者
飲食店を開く場合、建物の用途と収容できる人数によっては、防火管理者の選任も必要になります。防火管理者は、火災を防ぐための計画を作り、消火や避難の訓練を行う人のことです。食品衛生とは別の法律による資格で、窓口は保健所ではなく消防署です。食品衛生責任者の講習を受けたからといって、防火管理者を兼ねられるわけではありません。店舗を構える場合は、物件を決める前に消防署にも相談しておくと安心です。
調理師
調理師は、都道府県が行う試験に合格して免許を受ける国家資格です。調理の実務経験が受験の条件になっているため、食品衛生責任者よりも取得に時間がかかります。前の節で書いたとおり、調理師の免許を持っていれば講習を受けずに食品衛生責任者になれます。飲食の仕事を長く続けるつもりなら、調理師を目指す価値はありますが、副業で小さく始める段階では、まず食品衛生責任者の講習で足ります。
講習で必ず押さえておきたい3つの知識
講習の6時間は、ただ聞いているだけだと終わってしまいます。副業で食品を売るときに、講習の内容のうち特に役立つ知識を3つ挙げます。講習の前に頭に入れておくと、講師の話のどこが大切かがわかりやすくなります。
食中毒予防の3原則
厚生労働省は、細菌による食中毒を防ぐ原則として、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つを掲げています。つけないとは、手洗いや器具の洗浄で、食品に細菌を付けないことです。増やさないとは、冷蔵や冷凍で温度を管理し、細菌が増える時間を与えないことです。やっつけるとは、加熱や消毒で細菌を死滅させることです。
自宅で作ったものを売るときは、作ってから客が食べるまでの時間が長くなりがちです。とくに「増やさない」の視点で、作ってから発送するまでの保管、配送中の温度、客の手元での保存方法まで考えておく必要があります。
体調が悪いときは作らない
ノロウイルスのように、少ない量でも感染する病原体があります。下痢や吐き気があるときに調理をすると、食品を通して客にうつしてしまうおそれがあります。ひとりで営業していると「休むと注文に間に合わない」と無理をしがちですが、体調が悪い日は作業をしないと決めておくことが、営業を続けるための一番の備えです。衛生管理計画の記録にも、作業者の体調を確認する欄を設けておきます。
アレルゲンの管理
小麦、卵、乳など、アレルギーの原因になる食品は、表示に書くだけでなく、作業の中で混ざらないように管理することも大切です。同じ器具で複数の商品を作る場合は、洗浄の手順を決め、記録に残します。客から「この商品に○○は入っていますか」と聞かれたときに、正確に答えられる状態にしておくことが、信頼につながります。
講習の中身と時間
ここからは、食品責任者講習そのものの話です。講習の中身は都道府県によって細かく違いますが、全国でおおむね6時間で組まれています。東京都食品衛生協会の会場型の講習は、次の3科目です。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 食品衛生学 | 2時間30分 |
| 公衆衛生学 | 30分 |
| 食品衛生法 | 3時間 |
講習は午前9時45分から午後4時30分までで、昼休みが45分あります。最後に確認のテストがありますが、講習をきちんと聞いていれば答えられる内容です。
3科目で学ぶこと
食品衛生学では、食中毒の原因になる細菌やウイルス、寄生虫、化学物質と、それを防ぐための温度管理や洗浄、消毒の方法を学びます。公衆衛生学では、感染症や健康づくりの基本を学びます。食品衛生法では、営業の許可や届出の仕組み、食品の表示、HACCPに沿った衛生管理など、営業者として守る決まりを学びます。
HACCPとは、食品を作る工程の中で、食中毒などの危険が生じやすい点を見つけて重点的に管理する考え方のことです。現在は、原則としてすべての食品の営業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。小さな店の場合は、業界団体が作った手引書に沿って衛生管理計画を作り、記録を付ける形で対応します。
講習で身につくことと、身につかないこと
講習の6時間で身につくのは、食品衛生の基本的な知識と、営業者として守る決まりの全体像です。一方で、自分が作りたい食品に必要な許可の種類や、施設の具体的な条件までは、講習の時間内では扱いきれません。講習を受けたら、その足で自分の営業に当てはめて調べる作業が必要になります。
開発の仕事に置きかえると、講習は言語の入門書を1冊読み終えた段階で、実際の案件の要件定義はこれからです。ぶっちゃけ、講習を受けただけで「これで売れる」と思い込む人が一番危ないです。
受講料と受講の条件
東京都食品衛生協会の場合の受講料と条件を整理します。
| 項目 | 会場型 | eラーニング型 |
|---|---|---|
| 受講料 | 12,000円 | 12,000円(税込、教材費を含む) |
| 支払い | 受講日当日に現金のみ | 申し込み時にクレジットカードかコンビニで前払い |
| 時間 | 約6時間(テストを含む) | 標準の学習時間は合計約6時間 |
| 受講できる期間 | 講習日の1日 | ログインIDの登録日から30日間 |
| 修了証 | 講習の終了時に交付 | 修了後10営業日以内に郵送 |
会場型の受講料12,000円の内訳は、受講料10,000円(非課税)と教材費等2,000円です。
受講の条件
会場型は、学歴や経験を問わず、17歳以上なら受けられます。現役の高校生は受けられません。当日は、運転免許証やマイナンバーカードなど、本人を確認できる公的な書類が必要で、社員証や学生証は認められていません。
eラーニング型は、東京都内の食品関連施設に勤めている人か、食品関連施設に勤めていない都内在住の人が対象です。運転免許証かマイナンバーカードを持っていることが条件で、顔認証による本人確認があるため、申し込みはスマートフォンかタブレットに限られます。カメラの付いた端末が必要です。
ほかの道府県では、受講料や受講の方法、eラーニングの有無が異なります。営業する場所の都道府県の食品衛生協会のページで、必ず確かめてください。
申し込みから修了証を受け取るまでの流れ
食品責任者講習の受け方を、東京都の会場型を例に5つのステップで整理します。
ステップ1:営業する場所の都道府県を決める
講習は、営業する場所の都道府県で受けるのが基本です。修了証そのものは、平成9年4月1日以降に取得したものなら全国で通用すると東京都食品衛生協会が説明していますが、申し込み方法や日程は都道府県ごとに違います。
ステップ2:空席を確かめる
協会のサイトで、会場ごとの日程と空席の状況を確かめます。申し込みは先着順で、定員に達すると締め切られます。協会は、申込用紙を投函した時点で空席があっても、届いたときには満員になっていることがあると注意しています。キャンセル待ちは受け付けていません。
ステップ3:申込書を郵送する
協会のサイトから申込書を印刷し、必要事項を書いて、切手を貼った返信用封筒と一緒に郵送します。都内の保健所などにある専用の往復はがきでも申し込めます。電話での申し込みは受け付けていません。届いた「受付票」が、受講の案内になります。
ステップ4:講習を受ける
当日は本人確認の書類と受講料を持って会場へ行きます。受講料は現金のみです。6時間の講習を受け、最後のテストを終えます。
ステップ5:修了証を受け取る
講習の終了時に、修了証(赤い手帳)が交付されます。これが食品衛生責任者の資格を証明するものになります。協会によると、食品衛生責任者の資格には現時点で有効期限は定められていません。ただし、手帳には講習会の受講記録の欄があり、定期的な講習の受講が求められています。
急いでいるときはeラーニング型
協会は、直近の日程が満席で急いでいる人には、随時受講できるオンライン形式の講習を案内しています。eラーニング型なら、24時間いつでも受講でき、30日間の期間内に自分のペースで進められます。会社員が平日に休みを取らずに受けたい場合にも向いています。
食品を売る副業で食品衛生責任者が必要になる場面
ここからが、副業で食品を売りたい人にとっての本題です。食品衛生責任者が必要になるのは、食品の営業許可を取るか、営業の届出をする場面です。
営業許可と営業届出の2つの仕組み
食品の営業には、都道府県知事などの許可が必要な営業と、届出をすればよい営業があります。厚生労働省は、令和3年に施行された改正で、食中毒のリスクや食品産業の実態を踏まえて許可が必要な業種を見直し、あわせて営業の届出の制度を設けたと説明しています。
許可が必要な営業の代表は、飲食店営業、菓子製造業、そうざい製造業などです。お弁当や総菜、焼き菓子、パンを作って売る場合は、ほとんどがここに当たります。許可を申請するときには、食品衛生責任者の氏名と資格を届け出ることになります。
副業でよくある4つの形
副業で食品を売るときの代表的な形と、必要になるものを整理します。
| 売り方 | 主に必要になるもの |
|---|---|
| 自分で作った焼き菓子をネットで売る | 菓子製造業の許可、条件を満たす施設、食品衛生責任者、食品表示 |
| キッチンカーで軽食を出す | 飲食店営業などの許可(自動車ごと)、食品衛生責任者 |
| イベントに出店して調理品を出す | 自治体ごとの臨時営業などの手続き、食品衛生責任者 |
| 包装済みの常温食品を仕入れて売る | 営業の種類によっては届出も不要。保健所で確認 |
どの手続きが必要かは、扱う食品と売り方、営業する自治体で変わります。表はあくまで目安で、最終的には営業する場所を担当する保健所の判断に従います。
講習だけでは足りない、自宅のキッチンの壁
食品を売る副業で、多くの人が最初に考えるのが「自宅のキッチンで作って売る」形です。ここで、講習とは別の大きな壁にぶつかります。
住居との区画が必要
食品衛生法施行規則の別表第19は、営業許可を受ける施設の共通の基準として、住居など食品を扱うことを目的としない部屋や場所が同じ建物にある場合は、それらと区画されていることを求めています。区画とは、壁や扉などで仕切られていることです。
このため、家族の食事を作る家庭の台所で、そのまま菓子製造業の許可を取ることは、原則としてできません。自宅で営業したい場合は、家庭の台所とは別に、仕切られた専用の作業場所を設ける必要があります。
施設に求められる主な条件
同じ基準には、ほかにも次のような条件が並んでいます。
・床、内壁、天井は、清掃や洗浄、消毒がしやすい材料で作られていること
・水を使う施設では、床が水を通さない材質で、排水がよいこと
・飲用に適する水を、必要な場所に十分な量で供給できること
・ねずみや昆虫が入らない設備があること
・作業や清掃を十分にできる明るさの照明があること
このほかに、手洗いの設備や、業種ごとに必要な設備の条件があります。自治体によっては、条例でさらに細かい条件を決めています。工事をしてから「この設備では許可が出ない」と言われないように、図面の段階で保健所に相談するのが鉄則です。
レンタルキッチンという選択肢
自宅に専用の作業場所を作るのが難しい場合は、営業許可を取っているレンタルキッチンやシェアキッチンを使う方法があります。ただし、施設が許可を持っていても、自分の営業として販売するためにどんな手続きが必要かは、施設と保健所の両方に確かめてください。施設の許可の範囲が、自分の作りたい食品をカバーしているかも大切な確認点です。
営業許可を取るまでの一般的な流れ
講習を受けて食品衛生責任者になったら、次は営業許可です。手続きの細部は自治体で違いますが、一般的な流れは次のとおりです。
1:保健所に事前相談する
作りたい食品と売り方、施設の場所と図面を持って、保健所に相談します。この段階で、必要な許可の種類と、施設に求められる設備がはっきりします。工事や契約の前に相談することが何より大切です。
2:施設を整える
相談の内容に沿って、施設を整えます。手洗いの設備、洗浄用のシンク、冷蔵庫、器具の保管場所など、業種ごとの条件を満たすようにします。
3:許可を申請する
申請書に、施設の図面、食品衛生責任者の資格を証明するもの、手数料などを添えて提出します。申請の手数料は業種と自治体ごとに決まっていて、全国一律ではありません。自分の自治体の手数料は、保健所の案内や自治体のサイトで確かめてください。
4:施設の確認を受ける
保健所の職員が施設を訪れ、基準を満たしているかを確かめます。指摘があれば直して、再び確認を受けます。
5:許可を受けて営業を始める
確認が済むと、営業許可が出ます。許可証は施設の見やすい場所に掲示します。許可には有効期限があり、更新の手続きが必要です。期限が近づいたら忘れずに更新してください。
ネットで食品を売るときに加わる決まり
自分のサイトや通販のサービスを使って食品を売る場合は、食品衛生の決まりに加えて、通信販売の決まりも守る必要があります。
特定商取引法の表示
ネットで商品を売る通信販売では、特定商取引法により、販売ページに事業者の氏名や住所、電話番号、価格、送料、支払いの時期と方法、引き渡しの時期、返品の条件などを表示することが求められています。個人で営業していても対象になります。自宅の住所を出したくない場合の扱いについては、消費者庁の案内を読み、使う販売サービスの決まりも確かめてください。
配送中の温度
消費期限の短い生菓子や、冷蔵が必要な商品をネットで売る場合は、配送の方法も衛生管理の一部です。冷蔵便や冷凍便を使うか、常温で配送しても品質が落ちない商品に絞るかを、商品を作る段階で決めておきます。常温で配送できる焼き菓子から始める人が多いのは、この理由によるものです。
口コミと問い合わせへの対応
ネットで売ると、客の声が直接届きます。体調を崩したという連絡を受けたら、記録を確かめ、必要なら保健所に相談します。衛生管理の記録をきちんと付けていれば、そうした場面でも事実に基づいて対応できます。記録は、営業者自身を守る道具でもあります。
売り始めたあとに続く衛生管理
許可を取って売り始めたあとも、食品衛生責任者としての仕事は続きます。
衛生管理計画と記録
施行規則の第66条の2は、営業者に、施設の衛生管理や食品の取り扱いに関する計画(衛生管理計画)を作り、衛生管理の実施状況を記録して保存することを求めています。小さな店であれば、業界団体の手引書のひな形を使って、冷蔵庫の温度、手洗いや消毒の実施、体調の確認などを毎日記録する形が現実的です。
記録は紙でもかまいませんが、表計算やスマートフォンのアプリを使うと、記録漏れに気づきやすく、保健所の立ち入りの際にもすぐに見せられます。
定期的な講習の受講
食品衛生責任者には、自治体が行う講習会などを定期的に受けて、新しい知識を身につけるよう努めることが求められています。東京都食品衛生協会の修了証には受講記録の欄があり、欄が埋まった人向けの案内も用意されています。食中毒の傾向や表示の決まりは変わっていくので、定期的な講習は自分の営業を守るための情報源と考えておくとよいでしょう。
食品表示
ネットやイベントで包装した食品を売る場合は、食品表示法に基づく表示が必要です。名称、原材料名、アレルゲン、内容量、消費期限や賞味期限、保存方法、製造者などを、決められた形でラベルに書きます。表示の誤り、特にアレルゲンの書き漏れは、命に関わる事故につながります。表示の決まりは細かいので、消費者庁の案内を読み、迷ったら保健所に確認してください。
副業として続けるための現実的な判断
食品責任者講習は1日で終わりますが、その先の許可と施設には時間とお金がかかります。副業として続けられるかを判断するときの見方を整理します。
初期費用は施設で決まる
講習の受講料は12,000円ですが、副業の初期費用の大半は施設にかかります。自宅に専用の作業場所を作るなら工事費、レンタルキッチンなら利用料が毎回かかります。営業許可の申請手数料も、業種と自治体ごとに決まっています。売上の見込みに対して、これらの費用を何か月で回収できるかを先に計算しておくと、判断を誤りにくくなります。
勤め先の就業規則
会社員が副業で食品を売る場合は、勤め先の就業規則も確かめてください。厚生労働省のモデル就業規則では、副業や兼業は原則として認める形になっていますが、実際の規則は会社ごとに違います。届出が必要な会社もあります。
小さく試してから広げる
いきなり自宅を改装するより、まずはレンタルキッチンやイベント出店で、売れるかどうかを小さく試すほうが安全です。売れ行きと手間の感触をつかんでから、自宅の作業場所を作るかどうかを決めても遅くありません。
試すときは、1回ごとに作った数、売れた数、かかった時間、材料費と施設の利用料を記録しておきます。3回から5回ほど続けると、1時間あたりにどれだけの利益が残るかが数字で見えてきます。この数字が、本業の時給や家族と過ごす時間と比べて納得できるかどうかが、続けるかやめるかを決める一番の材料になります。
始める前に確かめておく項目の一覧
ここまでの内容を、食品の副業を始める前に確かめる項目として並べ直します。上から順に埋めていくと、抜け漏れを防げます。
| 確かめること | 確かめる先 |
|---|---|
| 作る食品と売り方に必要な許可や届出の種類 | 営業する場所を担当する保健所 |
| 施設が基準を満たすか、どこを直せばよいか | 保健所(図面の段階で相談) |
| 食品衛生責任者の講習の日程と申し込み方法 | 都道府県の食品衛生協会 |
| 食品表示の書き方とアレルゲンの扱い | 消費者庁の案内、保健所 |
| ネット販売の表示事項 | 消費者庁の案内、販売サービスの規約 |
| 店舗を構える場合の防火の手続き | 消防署 |
| 勤め先で副業が認められているか | 勤め先の就業規則、人事 |
| 売上が出たあとの申告 | 税務署、国税庁の案内 |
順番を間違えない
いちばん多い失敗は、順番を逆にすることです。先に設備を買ったり、物件を契約したりしてから保健所に相談すると、基準に合わずにやり直しになることがあります。講習の申し込みと保健所への相談は同時に進め、施設にお金をかけるのは、必要な条件がはっきりしてからにしてください。
売上が出たあとの申告
副業で売上が出たら、所得の申告も必要になります。給与を受けている会社員の場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。材料費や講習の受講料、許可の手数料などの経費の扱いは、国税庁の案内を読み、判断に迷うものは税務署に確認してください。
運営者の視点:食品の副業と、在宅で受けられる仕事の組み合わせ
在宅ワークの仲介を20年にわたって運営してきた立場から見ると、食品の副業を長く続けている人には共通点があります。作ることと売ることの両方を、自分ひとりで抱え込まない点です。商品づくりに集中する一方で、ラベルのデザインや販売ページの文章、写真は、得意な人に依頼しています。
依頼する側と受ける側が直接やり取りし、間に余分な仲介料が入らない取引では、同じ予算でより多くの作業を頼めます。受ける側も手取りが厚くなるので、丁寧な仕事をしやすくなります。小さな食品の事業ほど、この構造の恩恵は大きくなります。
食品の知識を在宅の仕事に生かす
逆に、食品衛生責任者の講習で得た知識を、在宅で受ける仕事に生かす道もあります。飲食店や食品メーカー向けのWebメディアでは、衛生管理や表示の決まりを正しく書ける書き手が求められています。書く仕事を始めるなら、Webライターのポートフォリオの作り方|案件獲得率が上がるテンプレート付き【2026年版】で、実績の見せ方を確かめておくと準備が早く進みます。専門分野を持つことで単価がどう変わるかは、Webライターが文字単価を上げる方法|1円→5円にステップアップする戦略【2026年版】が参考になります。
衛生管理計画や手順書のような文書を作る仕事では、正確で読みやすい文章が欠かせません。ビジネス文書検定は、社内外の文書の書き方を体系的に学べる検定です。商品のラベルやパッケージ、販売ページの見た目を整える仕事に関心があるなら、デザイナーの年収・単価相場で相場を確かめておくと、依頼する側にも受ける側にも役立ちます。
食品責任者講習は、食品の営業の入り口です。まずは営業する場所の都道府県の講習の日程を確かめ、同時に保健所に、作りたい食品と売り方を伝えて必要な許可を相談するところから始めてください。
よくある質問
Q. 食品責任者講習は、誰でも受けられますか?
東京都食品衛生協会の会場型の講習は、学歴や経験を問わず、17歳以上なら受けられます。現役の高校生は受けられません。当日は運転免許証やマイナンバーカードなど、本人を確認できる公的な書類が必要です。eラーニング型は都内の食品関連施設に勤める人か都内在住の人が対象など、条件が別にあります。ほかの道府県は条件が違うので、各地の食品衛生協会で確かめてください。
Q. 食品衛生責任者の資格に有効期限はありますか?
東京都食品衛生協会は、現時点で有効期限は定めていないと説明しています。平成9年4月1日以降に取得した資格は全国で通用するとされています。ただし、食品衛生責任者には自治体が行う講習会などを定期的に受け、新しい知識を身につけるよう努めることが求められているので、一度受けたら終わりではありません。
Q. 調理師の免許があれば、講習を受けなくてもよいですか?
調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士などの資格を持つ人は、講習を受けなくても食品衛生責任者になれます。ただし、調理師は試験に合格しただけでは足りず、都道府県に登録して免許を受けている必要があります。営業許可の申請の際には、免許証などで資格を示すことになります。
Q. 講習を受ければ、自宅のキッチンで作ったお菓子を売れますか?
講習を受けただけでは売れません。焼き菓子を作って売る場合は、原則として菓子製造業の営業許可が必要で、施設は住居と区画されているなど決められた条件を満たす必要があります。家族の食事を作る家庭の台所のままでは、原則として許可は取れません。始める前に、営業する場所を担当する保健所に相談してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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