入退社手続きの事務を外注するには|雇用保険・社会保険の依頼範囲 2026


この記事のポイント
- ✓入退社手続き 事務代行を検討する中小企業担当者向けに
- ✓雇用保険・社会保険の依頼範囲
- ✓仲介会社と直接依頼の違い
先日、ある美容室のオーナーさんから相談を受けました。「アルバイトが1人辞めて、新しく2人入るタイミングが重なって、雇用保険と社会保険の手続きが完全に詰んでいます」と。結論から言うと、入退社手続きの事務は自分たちで抱え込まなくても、外部に依頼する選択肢があります。つまり、入退社手続き 事務代行というキーワードで検索している時点で、すでに正しい解決策に近づいているということです。この記事では、依頼できる業務範囲、費用相場、仲介会社を通す場合とフリーランスへ直接依頼する場合の違いを、行政書士としての実務経験も交えて整理します。
入退社手続きの事務代行が求められる背景
まず、なぜ今これほど多くの中小企業や店舗オーナーが入退社手続きの外注を検討しているのか、その背景から見ていきましょう。
人手不足と兼務の限界
中小企業では総務・人事担当者が経理や庶務と兼務しているケースが非常に多く、入退社が重なる時期(4月・10月・年末年始)に手続きが滞留しがちです。雇用保険の資格取得届は入社日の翌月10日まで、健康保険・厚生年金保険の資格取得届は5日以内という短い期限が設定されており、兼務担当者が他の業務に追われている間に期限を過ぎてしまうケースは珍しくありません。
30名規模の企業でも、専任の労務担当者を置いているのは一部に限られます。多くの現場では、店長やマネージャーが片手間で入退社書類を処理しており、書式の記入ミスや添付書類の不足による差し戻しが頻発しています。行政書士として相談を受ける中でも、「そもそもどの書類をいつまでに出せばいいのか分からない」という声が最も多く聞かれます。
フリーランス保護新法施行による契約整理の増加
2024年施行のフリーランス保護新法により、業務委託契約を結ぶ発注者側にも取引条件の明示義務や報酬支払期日の遵守義務が課されるようになりました。これに伴い、正社員だけでなく業務委託契約者との契約整理や、契約形態の切り替え(業務委託から雇用への変更など)に伴う手続きも増えています。つまり、単純な入退社だけでなく、契約形態が混在する状況での手続き整理ニーズも高まっているということです。
もちろん可能です。ただ、実際に多くのお客様が実感されているのは、やはり「窓口をまとめること」の利便性です。パソコンの回収と同時にデータの抹消を行い、その報告を労務の手続きと紐付けて管理できるため、バラバラに頼むよりも管理の手間はぐっと抑えられます。 出典: bod-grp.com
この指摘の通り、入退社手続きは「保険の手続き」だけでなく「備品の回収」「アカウントの停止」「マニュアルの引き継ぎ」など複数の業務が同時進行するため、窓口を一本化することで管理負担が大きく下がります。
入退社手続き代行で依頼できる業務範囲
ここからは、実際に何を外注できるのかを具体的に見ていきます。読者の皆さんが最も知りたいのは、この「業務範囲」の部分だと思います。
入社時に依頼できる業務
入社時の手続きは、書類の収集から各種届出まで多岐にわたります。
・雇用保険被保険者資格取得届の作成・提出 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の作成・提出 ・マイナンバーの収集・管理 ・雇用契約書・労働条件通知書の作成 ・入社時研修用マニュアルの整備 ・給与振込口座や扶養控除等申告書の収集整理
これらは書類の作成だけでなく、「どのタイミングで何を回収するか」というフロー設計も含めて依頼できます。特にマイナンバーの収集は個人情報保護の観点から厳格な管理が求められるため、専門知識を持つ代行業者やフリーランスに任せることで、情報漏えいリスクを下げられるというメリットがあります。
退職時に依頼できる業務
退職時は入社時以上に手続きが複雑になりがちです。
・雇用保険被保険者資格喪失届の作成・提出 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の作成・提出 ・離職証明書の作成(本人がハローワークで失業給付を受ける場合に必要) ・源泉徴収票の作成 ・貸与備品(PC・スマートフォン・鍵など)の回収チェックリスト管理 ・社内アカウント・クラウドサービスのアクセス権限停止
退職時は特に「備品の回収」と「保険の手続き」が別々の担当者・別々のタイミングで進むと、情報の整合性が取れなくなるという問題が起きます。先ほどの引用にもあった通り、パソコンの回収とデータ抹消の報告を、労務の手続きと紐付けて一元管理できる体制を作ることが、退職時トラブルを防ぐ最大のポイントです。
保険手続き以外に依頼できる周辺業務
入退社の周辺には、保険手続き以外にも依頼できる業務が数多くあります。
事務代行 スキャン代行 マニュアル作成・管理代行 年末調整代行 給与計算代行 勤怠管理代行 マイナンバー収集・管理代行 クラウドシステム導入支援 コールセンター オンサイト業務委託 人材派遣 文字起こし 出典: bod-grp.com
このように、入退社手続きの周辺業務として、給与計算・勤怠管理・年末調整といった年間を通じた労務業務もまとめて依頼できるケースが多くあります。特に中小企業では、入退社が発生するタイミングで初めて「そもそも給与計算や勤怠管理も外部に任せたほうが効率的では」と気づくケースが多く見られます。
費用相場と料金の内訳
読者の皆さんが最も気になるのは、やはり費用面でしょう。ここでは相場観と料金体系の内訳を具体的に示します。
社会保険労務士事務所に依頼する場合の相場
社会保険労務士(社労士)事務所に入退社手続きを継続的に依頼する場合、一般的には「顧問契約」という形で月額固定料金が設定されることが多く、従業員数に応じて月額2万円〜10万円程度が相場です。これに加えて、入退社1件あたり5,000円〜1万5,000円程度のスポット料金が上乗せされる料金体系が一般的です。
顧問契約を結ばず、入退社手続きのみをスポットで依頼する場合は、1件あたり1万円〜3万円程度になることが多く、離職証明書の作成など複雑な書類が絡む場合は上限に近づく傾向があります。
アウトソーシング会社(法人)に依頼する場合の相場
社会保険・労働保険手続きを専門に扱うアウトソーシング会社に依頼する場合、規模の大きな法人ほど体系化されたパッケージ料金を提示していることが多く、従業員数十名規模で月額5万円〜20万円程度のレンジになるケースが目立ちます。ただし、これらの料金には営業担当・管理担当・実務担当という複数階層の人件費が含まれているため、実際に手を動かす担当者の取り分は総額の一部にとどまります。
直接依頼(フリーランスの行政書士・社労士)の場合の相場
一方で、行政書士や社会保険労務士の資格を持つフリーランスへ直接依頼する場合、仲介手数料が発生しない分、同じ業務内容でも費用を抑えられる傾向があります。入退社手続きのスポット対応であれば1件あたり5,000円〜2万円程度、月次の継続契約であれば月額1万5,000円〜5万円程度が目安になります。
代理店・仲介会社を通す場合、営業コストや管理コストが料金に上乗せされる構造になっているため、同じ品質の業務であってもコストに差が出ます。フリーランスへ直接依頼すれば、その中間マージンが発生しない分、依頼者側は費用を抑えられ、受け手側も報酬の手取りが厚くなるという構造です。もちろん、資格の有無や実務経験は個人ごとに差があるため、相場だけで判断せず、後述する選び方のポイントを押さえたうえで依頼先を決めることが重要です。
依頼の流れ
実際に依頼する際の一般的な流れを整理します。
1. 業務範囲の洗い出し
まず、自社で何を依頼したいのかを明確にします。「保険手続きだけ」なのか、「備品回収やアカウント停止まで含めた一元管理」なのかによって、依頼先の選定基準も変わってきます。
2. 依頼先候補への問い合わせ
社労士事務所、アウトソーシング会社、フリーランスの行政書士・社労士など、複数の候補に見積もりを依頼します。この段階で、料金だけでなく「対応スピード」「連絡手段(電話・チャット・メール)」「繁忙期の対応可否」も確認しておくと、後々のトラブルを防げます。
3. 契約内容の確認
契約書または業務委託契約書を交わす際は、業務範囲・報酬・支払期日・秘密保持義務(NDA)を必ず確認します。特に個人情報を扱う業務である以上、NDAの締結は必須と考えてください。フリーランス保護新法の施行により、業務委託契約でも取引条件の明示が義務化されているため、口頭だけでなく書面(電子契約可)で条件を残すことが求められます。
4. 運用開始とフィードバック
実際に運用を開始したら、最初の数ヶ月は密にコミュニケーションを取り、書類の不備や連絡の行き違いがないかを確認します。特に初回の入退社案件では、双方の理解がすり合っていない部分が出やすいため、丁寧な確認が欠かせません。
私自身、初めて外部の事務代行を依頼したとき、複数社から見積もりを取ったものの、料金の内訳をきちんと比較せず「総額の安さ」だけで決めてしまい、後になって「これは別料金です」という追加費用が次々と発生した経験があります。つまり、見積もり比較では総額だけでなく、何が含まれていて何が含まれていないかを必ず確認する必要があるということです。
こういうケース、実は本当に多いんです。見積もりの安さに引かれて契約したものの、スポット料金や追加書類の作成費用が別建てになっていて、結果的に想定より高くついてしまう。だからこそ、契約前に「この料金に含まれる業務範囲はどこまでか」を書面で確認することが、自分を守る最大の武器になります。
失敗しない依頼先の選び方
ここでは、依頼先を選ぶ際に押さえておきたいポイントを整理します。
ポイント1:資格の有無と業務範囲の対応関係を理解する
雇用保険・社会保険の手続き代行は、社会保険労務士の独占業務(社会保険労務士法で定められた業務)に該当する部分があります。行政書士は契約書の作成支援や許認可申請には対応できますが、社会保険関連の手続き代行そのものは社労士でなければ行えません。※このケースでは、依頼したい業務が社労士の独占業務に該当するかどうか、事前に確認することをおすすめします。不明な場合は弁護士や社労士に直接相談してください。
ポイント2:繁忙期の対応可否を確認する
4月・10月・年末は入退社が集中しやすい時期です。この繁忙期に依頼が殺到する事務所やフリーランスの場合、対応が後回しになるリスクがあります。契約前に「繁忙期の対応体制はどうなっているか」を必ず確認しましょう。
ポイント3:コミュニケーション手段の確認
チャットツールやメールでのやり取りが中心なのか、電話対応が必要なのかは、依頼者側の業務スタイルによって向き不向きが分かれます。特に急ぎの手続きが発生しやすい入退社業務では、レスポンスの速さが重要な判断基準になります。
ポイント4:料金体系の透明性
先ほどの体験談でも触れた通り、料金の内訳が不透明な依頼先は避けるべきです。基本料金にどこまでの業務が含まれているか、追加料金が発生する条件は何かを、契約前に書面で明確にしておきましょう。
メリットとデメリットを正しく理解する
外注のメリット
入退社手続きを外注する最大のメリットは、法定期限の厳守と担当者の負担軽減です。雇用保険・社会保険の手続きには明確な期限があり、これを専門家に任せることで期限超過による是正指導のリスクを避けられます。また、担当者が本来の業務(接客・製造・営業など)に集中できるようになる点も大きなメリットです。
さらに、窓口を一本化することで、備品回収・アカウント停止・保険手続きの情報が分断されず、退職者の情報漏えいリスクを下げられるという副次的な効果もあります。
外注のデメリットと注意点
一方で、外注にはデメリットも存在します。まず、社内に労務知識が蓄積されにくくなる点です。すべてを外部に任せきりにすると、いざというときに自社で対応できる人材が育ちません。委託先とは定期的に情報共有の場を設け、社内担当者も基本的な知識を維持しておくことが望ましいでしょう。
また、個人情報を外部に預けることになるため、NDAの締結や委託先のセキュリティ体制の確認は欠かせません。※特にマイナンバーを扱う業務では、委託先が適切な安全管理措置を講じているか、契約前に必ず確認してください。不安な点があれば弁護士や社労士に相談することをおすすめします。
独自データ考察:窓口一本化の実務的な意味
内部リンクにある採用・労務・人事代行のお仕事のページでは、採用から労務、人事代行まで幅広い業務委託の依頼先が紹介されています。入退社手続きは、単体の書類作成業務として切り出すよりも、採用業務や勤怠管理と合わせて一括で依頼したほうが、情報の一貫性が保たれやすいという特徴があります。
また、入退社に伴うシステム面の整理(社内アカウントの停止、セキュリティ設定の変更など)が必要な場合は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のページで紹介されているセキュリティ専門の担当者と連携することで、退職者のアカウント悪用リスクをさらに下げられます。
20年この市場を見てきた立場から言えば、入退社手続きの外注で成功している発注者ほど、単発の書類作成だけを依頼するのではなく、「この人(この事務所)に任せておけば、次の入退社も安心」という継続的な信頼関係を作ることに時間を使っています。単発のスポット依頼を繰り返すよりも、多少コストをかけてでも継続契約を結び、担当者との認識をすり合わせておいたほうが、結果的にトラブルの発生率が下がるという実感があります。
そして、この継続的な信頼関係を築くうえで見逃せないのが、中間マージンの構造です。代理店やアウトソーシング会社を経由すると、営業担当と実務担当が分かれているため、依頼者と実務担当者が直接顔を合わせる機会が少なく、細かなニュアンスの共有に時間がかかります。一方、手数料0%で直接やり取りできる体制であれば、同じ予算でより多くの業務を依頼できるうえ、実務担当者側も手取りが厚くなるため、長期的な関係を維持するモチベーションが生まれやすくなります。運営者として見てきた限りでは、この「双方が得をする」構造こそが、入退社手続きのような継続業務において最も安定した外注関係を生み出しています。
なお、給与計算や勤怠管理の実務スキルを持つ人材を探す際には、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような単価データベースを参考に、業務委託の報酬水準を把握しておくと、見積もり比較の際の判断材料になります。文書作成のスキルを重視するなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場の相場感も参考になるでしょう。
契約書や労働条件通知書などの書類作成品質を見極めたい場合は、ビジネス文書検定を取得している担当者かどうかも、依頼先選びの一つの目安になります。また、社内のクラウドシステム連携やネットワーク設定の引き継ぎが必要な場合は、CCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格を持つ人材と連携することで、退職者のアクセス権限停止をより確実に行えます。
在宅ワーカー側の視点から見ると、事務代行の仕事はMOS Excel取得で在宅副業|データ入力・事務代行の案件相場で紹介されているように、比較的始めやすい業務委託として人気があります。発注者側としては、こうした事務代行スキルを持つ人材の相場観を把握しておくことで、適正な報酬水準での依頼が可能になります。同様に、クラウドソーシングで経理・事務代行の仕事を始める方法|在宅でオフィスワークの記事では、経理・事務代行の実務内容が具体的に紹介されており、依頼者側が「何をどこまで任せられるか」をイメージする助けになります。
法律はあなたの味方です。入退社手続きの外注は、単なるコスト削減の手段ではなく、法定期限の遵守と情報管理の適正化という、経営リスクを下げるための重要な選択肢です。料金の安さだけで依頼先を選ぶのではなく、業務範囲・対応スピード・料金の透明性を総合的に見極めたうえで、自社に合った依頼先を選んでください。
よくある質問
Q. 入退社手続きの事務代行は、どこまでの業務を依頼できますか?
雇用保険・社会保険の資格取得届や資格喪失届の作成提出、離職証明書の作成、マイナンバー収集、備品回収チェックリストの管理、アカウント停止手続きまで幅広く依頼できます。依頼先によって対応範囲が異なるため、契約前に業務範囲を明確にすることが重要です。
Q. 社会保険労務士でないと依頼を受けられない業務はありますか?
はい。雇用保険・社会保険の資格取得届や資格喪失届など、社会保険労務士法で定められた独占業務については、社会保険労務士の資格を持つ担当者でなければ手続き代行できません。行政書士は契約書作成など別の範囲で対応します。
Q. 仲介会社を通す場合とフリーランスに直接依頼する場合、費用にどれくらい差がありますか?
仲介会社やアウトソーシング法人は営業・管理コストが料金に上乗せされるため、月額5万円〜20万円程度になることが多いのに対し、資格を持つフリーランスへ直接依頼すれば中間マージンがなく、月額1万5,000円〜5万円程度に抑えられるケースが多いです。
Q. 繁忙期に依頼が集中して対応が遅れることはありますか?
4月・10月・年末は入退社が集中しやすい時期です。契約前に依頼先の繁忙期の対応体制を確認し、必要であれば早めに相談しておくことで、期限超過のリスクを避けられます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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