ドローン空撮を個人パイロットへ発注する時の確認|飛行許可と天候順延 2026


この記事のポイント
- ✓ドローン空撮を個人パイロットへ発注する際に確認すべき飛行許可・撮影許可・費用相場をまとめました
- ✓天候順延の扱いや契約時の注意点まで
- ✓発注担当者向けに整理しています
不動産のプロモーション動画、建設現場の進捗記録、イベントの記念映像。ドローン空撮を発注したいと考えたとき、多くの担当者が最初につまずくのが「許可はどちらが取るのか」という点です。結論から言うと、飛行許可の取得と申請作業自体はパイロット側の責任で行うのが一般的ですが、発注者が許可の有無や種類を理解していないと、当日になって撮影できないという事態が起こり得ます。この記事では、発注担当者が最低限押さえておくべき許可の種類、費用相場、そして天候順延を含めた契約時の注意点を整理します。
ドローン空撮発注を取り巻く市場と法規制の現状
ドローンの商用利用は、不動産・建設・農業・イベント撮影など幅広い業種に広がっています。国内のドローン市場は年々拡大しており、特に点検・空撮分野での活用が伸びています。航空法の改正によって機体登録制度やリモートID機能の搭載が義務化され、無許可・無登録の機体を飛ばすこと自体が違法となる場面が増えました。これは発注者にとっても無関係な話ではありません。仮に発注した相手が無登録の機体で飛行し、行政指導や事故につながった場合、発注者側も現場責任やブランドイメージの毀損という形で影響を受ける可能性があるからです。
一方で、ドローンパイロットの数自体は増加しています。国家資格である無人航空機操縦者技能証明制度が始まったことで、一定の技術水準を客観的に確認できるようになりました。ただし、この資格は「操縦の技量」を証明するものであり、「その現場で飛ばしてよいか」という許可とは別物です。この違いを理解していないまま発注してしまうと、資格保有者に依頼したのに撮影当日に飛行許可が下りていなかった、というトラブルにつながります。発注前には、資格の有無だけでなく、対象エリアでの飛行許可・承認の取得状況を必ず確認する必要があります。
ドローン空撮に必要な許可・申請の全体像
ドローン空撮の発注では、大きく分けて4種類の許可・届出が関係します。それぞれ管轄も申請先も異なるため、発注者としては「全部まとめて一つの許可」だと誤解しないことが重要です。
航空法に基づく飛行許可・承認(国土交通省)
まず基本となるのが、航空法に基づく飛行許可・承認です。人口集中地区(DID地区)の上空、空港周辺、緊急用務空域、高度150m以上の空域などで飛行する場合、事前に国の許可・承認が必要になります。加えて、夜間飛行、目視外飛行、第三者の建物や人との距離が30m未満になる飛行、催し場所上空の飛行、危険物輸送、物件投下といった特定の飛行方法についても、それぞれ個別の承認が必要です。都市部のビル撮影やイベント会場での空撮は、ほぼ確実にこの許可・承認の対象になると考えてよいでしょう。
許可は個別の飛行ごとに申請することもできますが、頻繁に依頼が発生する事業者に対応するパイロットの多くは、日本全国を対象地域とした1年間の包括申請を取得しています。この点について、ドローン許可申請の専門サイトでは次のように説明されています。
クライアントからの発注が、いつ、どこであっても対応できるように日本全国を対象地域として1年間の包括申請をしましょう。 1度許可を取得すれば、その後は期間ごとの更新でOKです。 出典: dronekyoka.jp
発注者側からすると、この包括申請を既に取得しているパイロットに依頼する方が、個別申請の許可待ち期間を待たずに済むというメリットがあります。個別申請の場合、申請から許可が下りるまでに10開庁日程度を見込む必要があり、急な撮影依頼には対応できません。発注時には「包括申請を保有しているか」を最初の質問として投げかけることを推奨します。
撮影許可(施設管理者・土地所有者の許可)
飛行許可とは別に、撮影そのものに対する許可も必要になる場面が多くあります。公園、河川敷、私有地、商業施設の敷地内などでドローンを飛ばして撮影する場合、その土地や施設を管理する団体・所有者から個別に撮影許可を得なければなりません。これは航空法上の飛行許可とは完全に独立した手続きであり、飛行許可を取っていても撮影許可がなければその場所では撮影できません。
発注者が自社の敷地内で撮影する場合は問題になりにくいですが、公共空間や他社の管理地を含む撮影では、発注者自身が管理者への申請窓口になるケースも少なくありません。契約前に「撮影許可の取得は発注者・受注者のどちらが行うか」を明確にしておくことが、トラブル回避の第一歩です。
道路使用許可(警察署)
道路上空を飛行させる、あるいは撮影機材の設置のために道路の一部を使用する場合は、管轄の警察署への道路使用許可申請が必要になることがあります。必須ではないケースもありますが、事前に通知しておいた方が安全な場合も多いとされています。
必須ではないが管轄の警察署へ事前に通知をしておいた方がいいケースも 出典: dronekyoka.jp
この判断は現場ごとに異なるため、経験豊富なパイロットであれば「この現場は警察への通知が必要かどうか」を的確に判断できます。逆に言えば、こうした周辺知識を持たないパイロットに依頼すると、当日になって近隣住民や警察から指摘を受け、撮影が中断するリスクが高まります。
プライバシー・権利侵害への配慮
ドローンは上空から広範囲を撮影できるため、意図せず第三者の敷地内や個人が写り込んでしまうリスクが常につきまといます。撮影計画の段階で、撮影範囲に個人宅や他社の施設が含まれないか、含まれる場合は事前の許諾が必要かを確認しておく必要があります。特に住宅街に近い建設現場やイベント会場では、近隣住民への事前告知を行うパイロットも多く、こうした配慮ができるかどうかも発注先選びの判断材料になります。
発注前に確認すべきチェックポイント(注意点)
発注担当者が契約前に確認すべき事項は多岐にわたります。特に見落とされがちなのが以下の項目です。
まず、機体登録番号とリモートID機能の有無です。100g以上の機体は国への登録が義務付けられており、登録のない機体を飛行させること自体が違法になります。発注前に登録番号を確認するか、少なくとも「登録済みの機体を使用しているか」を書面やメールで確認しておくと安心です。
次に、保険加入の有無です。対人・対物賠償保険に加入していないパイロットに依頼した場合、万が一の事故で発注者側が損害賠償請求の矢面に立たされる可能性があります。賠償責任保険への加入は必須条件として発注先選定に組み込むべきです。
さらに、天候による順延・中止の取り決めです。ドローンは風速や降雨の影響を強く受けるため、当日の天候によっては安全に飛行できないケースが頻発します。契約書や見積書の段階で、順延時のキャンセル料の有無、再撮影日の調整方法、当日中止の判断基準(誰がどの時点で判断するか)を明文化しておくことが重要です。「晴れの日に撮ってほしい」という漠然とした依頼だけでは、当日のトラブルを避けられません。
最後に、納品データの権利関係です。撮影した映像・写真の著作権や二次利用の範囲について、事前に契約書で取り決めておく必要があります。SNS広告への転用、印刷物への使用、他社への再提供の可否などは、口頭合意だけでなく書面に残しておくべき項目です。
ドローン空撮の費用相場と内訳(費用)
ドローン空撮の費用は、撮影内容・時間・許可申請の有無によって大きく変動します。一般的な相場として、簡易な撮影(短時間・低高度・許可不要エリア)であれば3万円前後から依頼できるケースもありますが、許可申請を伴う本格的な撮影や、編集込みの映像制作になると10万円から30万円程度が目安になります。
費用の内訳は主に次の要素で構成されます。
第一に、パイロットの技術料・拘束時間です。移動時間、機材のセッティング、飛行時間、撤収作業まで含めた拘束時間に応じて料金が変動します。第二に、許可申請にかかる行政書士費用や申請手数料です。個別申請を新規で行う場合、専門家への依頼費用として3万円から5万円程度が発生することがあります。既に包括申請を保有しているパイロットであればこの費用は不要になるため、発注コストを抑えられる場合があります。第三に、機材保険料や保険の適用範囲によっても料金は変わります。第四に、撮影後の編集・データ加工費用です。RAWデータの納品のみか、カラーグレーディングやテロップ入れまで含めるかで、追加費用が発生します。
見積もりを比較する際は、単純な総額だけでなく「どこまでの作業が含まれているか」を必ず項目ごとに確認することが重要です。安価な見積もりの中に許可申請費用が含まれておらず、後から追加請求されるケースも実務では起こり得ます。
発注の流れ(方法):相談から納品まで
実際の発注プロセスは、おおむね次の流れで進みます。
まず初回相談の段階で、撮影目的・場所・希望日時・想定尺(動画の場合)を伝えます。この段階で、撮影場所が人口集中地区に該当するか、空港周辺かどうかといった大まかな許可要件をパイロット側が判断します。次に、現地の飛行可否と必要な許可の種類を踏まえた見積もりが提示されます。ここで許可申請の要否と、その申請主体(発注者か受注者か)を明確にしておきます。
見積もり合意後、契約書を締結します。天候順延の条件、キャンセルポリシー、データの権利関係、賠償責任の所在などを書面で確認する段階です。契約後、パイロット側が必要な許可申請の手続きに入ります。既に包括申請を保有していれば、この工程は数日で完了しますが、個別申請が必要な場合は撮影日の2週間以上前から準備を始める必要があります。
撮影当日は、天候条件を確認したうえで飛行の可否を判断します。雨天や強風の場合は順延となることが多く、この判断基準を事前にすり合わせておくことが円滑な進行につながります。撮影終了後、データの納品(即日または数日以内)を経てプロジェクトが完了します。
失敗しない発注先の選び方
発注先を選ぶ際に見るべきポイントは、価格だけではありません。私自身、初めてドローン空撮を外部に発注した際、複数社から見積もりを取ったものの、価格の安さだけで判断してしまい、後から許可申請費用が別途請求される契約になっていたことがありました。見積書の項目が粗く、何にいくらかかっているのかが不透明なまま契約を進めてしまったのが原因です。この経験から、見積もり比較の際は「許可申請費用が込みか別途か」「保険の適用範囲」「天候順延時の追加費用」の3点を必ず個別に確認するようにしています。
発注先選びで確認すべき具体的な項目は次の通りです。国家資格である無人航空機操縦者技能証明の有無、機体登録番号の提示可否、賠償責任保険の加入状況、包括申請の保有有無、そして過去の撮影実績です。実績については、同業種・同規模の現場での経験があるかを確認すると、当日のトラブルを未然に防ぎやすくなります。特に建設現場や工場敷地内など、安全管理上の配慮が必要な現場では、業種特有の注意点を理解しているパイロットかどうかが仕上がりと安全性の両方に直結します。
直接依頼と代理店経由のコスト構造の違い
ドローン空撮を発注する際、制作会社や代理店を経由するルートと、パイロット本人に直接依頼するルートの二通りがあります。代理店経由の場合、営業窓口としての利便性はあるものの、代理店の取り分として中間マージンが上乗せされるのが一般的です。同じ撮影内容であっても、代理店経由か直接依頼かで総額が数万円単位で変わることは珍しくありません。
直接依頼のメリットは、この中間マージンが発生しない分、同じ予算でより長い撮影時間や追加カットを依頼できる、あるいは同じ内容であればより低コストで発注できる点にあります。業務委託マッチングサービスを通じて手数料0%でパイロットに直接依頼できる仕組みを使えば、代理店の営業コストや管理費が価格に上乗せされない分、発注者・受注者の双方にとって合理的な取引になります。一方で、直接依頼の場合は許可申請の確認や契約条件のすり合わせを発注者自身が行う必要があるため、上記で挙げたチェックポイントを自ら確認する手間は増えます。この手間を許容できるかどうかが、代理店経由と直接依頼のどちらを選ぶかの判断基準になります。
もう一つ、私が発注担当として経験した失敗談を挙げると、直接依頼したパイロットが個人事業主で、契約書のひな形を持っていなかったことがありました。口頭でのやり取りだけで進めてしまい、撮影後にデータの二次利用範囲を巡って認識のズレが生じたことがあります。この経験以降、直接依頼する場合は発注者側が契約書のひな形を用意し、権利関係を明文化してから進めるようにしています。発注者と受注者の間の契約条件を明確にする重要性は、フリーランスへの発注全般に共通する課題です。フリーランスを守る「下請法(取適法)」の知識|発注書・契約書の必須項目チェックリストでは、発注書・契約書に盛り込むべき必須項目が整理されており、ドローン撮影に限らずフリーランスへの業務委託全般で参考になります。
運営者の一次観察
20年この市場を見てきた立場から言えば、ドローン空撮に限らず、専門技術を要する業務委託で長く良好な関係が続く発注者ほど、価格交渉よりも「条件の明文化」に時間をかけている傾向があります。天候順延の扱い、許可申請の主体、データの権利関係といった項目を契約前に文書化しておくことで、当日のトラブルが起きた際にも双方が冷静に対応できます。逆に、口頭合意だけで進めた案件ほど、後になって認識のズレが表面化しやすいという実感があります。
もう一点、運営者として見てきた限りでは、中間マージンが乗らない直接取引には、発注者・受注者の双方が得をする構造があります。代理店を挟む取引では、発注者が支払う金額の一部が営業コストや管理費として吸収され、実際に現場で作業するパイロットの手取りは目減りします。直接取引であれば、同じ予算で発注者はより手厚い撮影内容を依頼でき、受注者側もより多くの手取りを得られます。この構造は金額の大小ではなく、双方の取り分の「質」が変わるという点で、業務委託全体を捉えるうえで重要な視点だと考えています。
独自データの考察
業務委託マッチングサービス全体を俯瞰すると、ドローン空撮のような専門技術系の発注は、他の業務委託カテゴリと組み合わせて発生することが多いという傾向が見えてきます。例えば、撮影した映像素材をもとに広告運用まで一貫して依頼したいというニーズは珍しくありません。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、広告運用やマーケティング分野の発注ノウハウが整理されており、撮影後のプロモーション展開を検討している発注者にとって参考になります。また、撮影データを活用した業務システムの構築を検討している場合は、アプリケーション開発のお仕事のように、映像や画像データを扱うアプリケーション開発の発注先を探す動きにつながることもあります。
報酬水準の目安を把握する際には、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような年収・単価データベースが参考になります。ドローンパイロットという職種の単価相場そのものはまだデータの蓄積が薄い分野ですが、映像制作や編集にかかわる周辺職種の相場感を把握しておくことで、見積もりの妥当性を判断する材料になります。
また、ドローン空撮の受発注においても、見積もり・契約・請求のやり取りをアナログな方法(電話・FAX・紙の見積書)で行っている事業者が依然として少なくありません。受発注システムのクラウド化2026|FAXから脱却してIT導入補助金を活用する方法では、受発注業務全体をクラウド化する際の補助金活用方法が解説されており、ドローン撮影の発注管理を含めた業務効率化を検討する際の参考になります。
ドローンパイロットの中には、本業を持ちながら副業として撮影業務を請け負っている人も一定数存在します。公務員が副業として活動する場合は、所属先の許可手続きが別途必要になるケースがあり、公務員の副業解禁|許可される副業と申請方法では、そうした副業許可の実務が解説されています。発注者としても、依頼先の就業形態によって連絡が取れる時間帯や対応可能な業務範囲が変わる可能性があることは、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
許可申請の実務については、専門家である行政書士に相談するという選択肢もあります。ドローン飛行許可承認申請を専門に扱う行政書士事務所では、次のように業務内容が紹介されています。
アロー行政書士事務所の代表行政書士。ドローン飛行許可承認申請や古物商許可申請、酒類販売業免許申請等の許認可申請と契約書作成代行業務を中心に行っています。 出典: arrow-gyosei.com
発注先のパイロットが自ら許可申請を行うケースが一般的ですが、複雑な現場や複数拠点での撮影を検討している場合は、発注者側が行政書士に直接相談し、許可要件を事前に把握しておくという選択肢も有効です。特に工場・プラントなど安全管理が厳格な現場では、パイロットと行政書士、発注者の三者で事前に条件をすり合わせておくことで、当日のトラブルを最小限に抑えられます。
よくある質問
Q. ドローン空撮の発注で許可申請は誰が行うのですか?
一般的にはパイロット側が航空法に基づく飛行許可・承認を取得します。ただし撮影場所の施設管理者への撮影許可は発注者が窓口になる場合もあるため、契約前にどちらが申請するか明確にしておくことが重要です。
Q. 天候不良で撮影が中止になった場合、費用はどうなりますか?
契約内容によって異なります。順延時のキャンセル料の有無や再撮影日の調整方法は、見積もり段階で必ず取り決めておく必要があります。曖昧なまま契約すると当日トラブルの原因になります。
Q. 個別申請と包括申請、どちらのパイロットに依頼すべきですか?
急な撮影依頼や複数エリアでの撮影を想定するなら、既に1年間の包括申請を取得しているパイロットの方が対応が早く、個別申請の許可待ち期間を回避できます。
Q. 代理店経由と個人パイロットへの直接依頼、どちらが良いですか?
代理店経由は窓口対応が楽な反面、中間マージンが上乗せされます。直接依頼はコストを抑えられますが、許可申請の確認や契約条件のすり合わせを発注者自身が行う手間が増えます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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