ダブルワークを週40時間以内に収めるには|シフトの組み方と管理のコツ 2026

中西 直美
中西 直美
ダブルワークを週40時間以内に収めるには|シフトの組み方と管理のコツ 2026

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この記事のポイント

  • ダブルワークを週40時間以内に収めたい方へ
  • シフトの具体的な組み方
  • 超えそうなときの調整手順まで

「ダブルワークをしたいけれど、週40時間以内に収めないといけないと知って、どう組めばいいのか分からなくなりました」。このご相談、ここ数年で本当に増えました。

まず、安心してください。週40時間以内に収めるダブルワークは、きちんと設計すれば十分に成立します。むしろ、この枠を意識して働き方を組み立てた方が、長く続きますし、体も壊しません。難しいのは「ルールを知らないまま、なんとなくシフトを入れてしまう」ことなんです。

この記事では、労働時間の通算ルールをやさしく整理したうえで、週40時間以内に収めるための具体的なシフトの組み方、時間の記録のしかた、超えそうになったときの調整手順まで、順番にお話しします。読み終わるころには、あなた自身のカレンダーに数字を書き込めるようになっているはずです。

週40時間以内という枠が、いま多くの人の関心事になっている理由

ダブルワークという言葉がここまで一般的になったのは、ここ数年のことです。副業を認める企業が増え、モデル就業規則も副業を原則容認する方向に整理されました。その結果、「働いてもいい」という許可は得やすくなった一方で、「じゃあ何時間まで働けるのか」という実務の疑問が一気に表面化しました。

背景には、生活防衛の側面もあります。物価の上昇に対して、本業の給与だけでは追いつかないと感じる方が増えました。ただ、そこで多くの方が最初に選ぶのが「もう1つアルバイトを入れる」という時間の追加です。これが一番わかりやすい増やし方だからです。

ところが、ここで壁になるのが労働時間の通算ルールです。雇用契約を2つ結んでいる場合、労働時間は勤務先ごとに独立して数えるのではなく、合算して考えます。この合算という発想を知らずにシフトを入れてしまい、後から勤務先に確認されて慌てる方が、実際にとても多いのです。

週40時間という数字は、労働基準法が定める法定労働時間です。1日について8時間、1週について40時間。この2つがセットで上限として機能しています。ダブルワークをする場合、この上限は「あなた個人」に対してかかると理解しておくのが、いちばん実務に近い感覚です。

労働基準法では、労働時間の上限を「1日8時間・週40時間以内」と定めています。この制限はダブルワークをしている従業員にも適用されるため、勤務先が複数ある場合はそれぞれの労働時間を通算で考えなければなりません。また、通算での労働時間が制限を超えた場合に、残業代は本業と副業どちらが支払うべきか気になる人も多いでしょう。 出典: onehr.jp

つまり、週40時間以内に収めるという選択は、単に「法律を守る」だけの話ではありません。割増賃金の負担をどちらの勤務先が持つのかという、勤務先同士の調整が発生しない状態を保つ、という意味でもあります。手続きがシンプルになる分、あなた自身も勤務先も気持ちよく続けられます。

週40時間以内に収めることで消える3つの手間

実務的な話をします。週40時間以内に収まっていると、次の3つの手間が丸ごと消えます。

1つ目は、割増賃金の負担先をめぐる調整です。通算して法定労働時間を超えると、超過分について割増賃金の支払い義務が発生します。誰が払うのかは、契約の先後関係や所定労働時間の把握順序で決まるため、勤務先同士がやりとりを迫られる場面が出てきます。40時間以内なら、この論点自体が発生しません。

2つ目は、シフト変更のたびの再計算です。片方の勤務先で急な残業が入ると、通算時間が動きます。ぎりぎりで組んでいると、そのたびに全体を組み直す必要が出ます。あとで詳しく書きますが、余白を持たせた設計にしておくと、この再計算のストレスから解放されます。

3つ目は、健康面の不安です。週40時間は、フルタイムで働く人の標準的な労働時間です。ここを超え始めると、睡眠時間か、家事の時間か、人と過ごす時間のどれかが必ず削られます。カウンセリングの現場で見ていると、削られるのはたいてい睡眠です。そして睡眠が削られた状態が3週間続くと、判断力と気分の両方に影響が出はじめます。

労働時間の通算ルールを、まず正確につかむ

ここが一番の土台です。少しだけ丁寧に整理させてください。ここを誤解したままシフトを組むと、あとで全部やり直しになってしまいます。

通算されるのは「雇用契約が2つ以上」のとき

労働時間が通算されるのは、あなたが2つ以上の勤務先と雇用契約を結んでいる場合です。正社員とアルバイト、アルバイトとアルバイト、パートと契約社員、どの組み合わせでも同じです。「本業」「副業」という呼び分けは日常語であって、法律上は両方とも等しく労働時間としてカウントされます。

よくある誤解が、「1社ごとに週40時間以内なら問題ない」というものです。実際、こうした質問は相談サイトにも数多く投稿されています。

前回の質問にて、ダブルワークで2社合計週40時間超えても大丈夫との事だったのですが、以下の認識であっているかの再確認です。

・1社の労働時間が週40時間以内であれば大丈夫 ・自分が通報しなければバレる心配はほとんどない

この認識が合っているか、また合っていなければ何があっていないか、何が正しいのか教えてください 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

この認識は、残念ながら正しくありません。1社ごとに40時間以内でも、合計で40時間を超えれば超過として扱われます。そして「バレなければいい」という考え方は、実務上いちばん危ない発想です。労働時間の申告は本人が行うのが原則ですし、社会保険の資格取得や年末調整の書類などから、複数就労が把握される経路はいくつもあります。

隠す前提の設計は、必ずどこかで無理が出ます。逆に言えば、週40時間以内に収める設計なら、隠す必要がそもそもありません。堂々と申告できる状態は、精神的にとても楽です。

通算されない働き方もある

一方で、通算の対象にならない働き方もあります。業務委託契約や請負契約で仕事を受ける場合です。これらは雇用契約ではないため、労働基準法の労働時間規制の対象外になります。フリーランスとしてライティングやデザイン、データ入力などを受注する形がこれにあたります。

ここは、週40時間の枠で悩んでいる方にとって、かなり大きな出口になります。「本業の雇用は週35時間。あと5時間しか働けないから収入が増やせない」という状況でも、業務委託であれば時間の通算という制約からは外れます。

ただし、誤解しないでいただきたいのが、「時間の制約が外れる=いくらでも働いていい」ではないという点です。法律上の通算義務がなくなるだけで、あなたの体力と睡眠時間は有限のままです。私がカウンセリングでお伝えしているのは、「法律の枠が外れたときこそ、自分で枠を引き直してください」ということです。

また、契約の形式が業務委託でも、実態として指揮命令を受け、勤務時間や勤務場所を指定されているような働き方は、労働者性が認められて雇用とみなされる場合があります。「業務委託にしておけば通算されない」という形式だけの理解は避けてください。実態がどうかで判断されます。

法定内と法定外を分けて考える

もう1つ、混乱しやすいのが「所定労働時間」と「法定労働時間」の違いです。

所定労働時間は、勤務先とあなたの契約で決めた働く時間のことです。週30時間の契約なら、所定は30時間。法定労働時間は法律が定める上限で、週40時間です。

たとえば、本業が週30時間の契約で、副業のアルバイトを週8時間入れたとします。合計38時間。これは法定の40時間以内なので、割増賃金の対象にはなりません。副業先での8時間は通常の時給で支払われます。

ここに、本業で3時間の残業が入るとどうなるか。合計は41時間になり、1時間が法定を超えます。この1時間について割増の考え方が発生します。つまり、契約上の数字だけで「38時間だから安心」と考えるのではなく、実際の残業を含めた実労働時間で見る必要があります。

この「契約は余裕があるのに、実績で超える」というパターンが、実務でいちばん多い落とし穴です。ですから設計では、残業の平均値をあらかじめ組み込んでおきます。

週40時間以内に収めるシフトの組み方

ここからが実践編です。紙とペン、あるいはスマートフォンのカレンダーを開いて、一緒に組み立ててみてください。

手順1:本業の実績時間を、直近3か月分で平均する

最初にやるのは、副業を決めることではありません。本業の実際の労働時間を把握することです。

契約上の所定労働時間ではなく、給与明細やタイムカードから、直近3か月の実労働時間を出してください。月ごとに残業のばらつきがあるはずです。そのうえで、「平均」と「いちばん多かった月」の2つの数字を持っておきます。

シフト設計に使うのは、平均ではなく「いちばん多かった月」の方です。理由は単純で、平均で組むと、繁忙月に必ず超えるからです。悪い月に合わせて組んでおけば、通常月は余裕が生まれます。余裕は、休息に使えます。

たとえば、直近3か月の週あたり実績が34時間、36時間、38時間だったとします。使う数字は38時間。副業に回せるのは、週2時間です。

手順2:残りの枠から、さらに安全マージンを引く

38時間の本業に対して残り2時間、と計算したところで、そのまま2時間の副業シフトを入れてはいけません。ここからさらに引きます。

私がおすすめしているのは、残り枠から2時間程度を安全マージンとして確保する方法です。理由は、突発的な残業、シフトの前倒し、引き継ぎのための延長など、予定外の労働時間が必ず発生するからです。

先ほどの例だと、残り2時間からマージン2時間を引くとゼロになります。つまり、この本業の状態では、雇用契約による副業を追加する余地はほとんどない、という結論になります。冷たい結論に見えるかもしれませんが、これを最初に把握できるのは大きな価値があります。無理に入れてから破綻するより、ずっといいのです。

では、この方が収入を増やす道がないかというと、そうではありません。時間の通算を受けない業務委託の仕事に切り替えるか、本業の所定労働時間そのものを見直すか、単価の高い仕事へ移るか。選択肢は残っています。この点は後半で詳しくお話しします。

手順3:1日8時間の上限も同時にチェックする

週40時間だけを見ていると、もう1つの上限を見落とします。1日8時間です。

たとえば、本業が週4日勤務で1日8時間、合計32時間。残りは8時間ありますから、週40時間の枠には余裕があります。ここで、本業のある日の勤務後に3時間の副業を入れると、その日の合計は11時間になります。週合計では35時間なので週40時間以内ですが、その日については8時間を超えているため、超過分の扱いが発生します。

ですから、副業シフトを入れる曜日は、本業が休みの日を優先します。これが基本形です。本業のある日の後に入れる場合は、その日の合計が8時間以内に収まる範囲でしか入れられない、と考えてください。

現実的には、本業が1日8時間のフルタイムであれば、平日の勤務後に雇用契約の副業を入れる余地はほぼありません。休日に集約するか、業務委託に切り替えるか、この2択になります。

手順4:週の起算日を勤務先ごとに確認して揃える

意外と見落とされるのが、週の起算日です。労働基準法上の「1週間」は、就業規則に定めがなければ日曜始まりとして扱われるのが原則ですが、勤務先によっては月曜始まりで運用しているところもあります。

本業が日曜始まり、副業先が月曜始まりだと、あなたの手元での集計と、勤務先の集計がずれます。土曜日と日曜日の勤務が、どちらの週に入るかで通算結果が変わってしまうのです。

対処法はシンプルで、どちらか厳しい方に揃えて自分で管理することです。両方の起算日でそれぞれ集計してみて、大きい方の数字を採用しておけば、どちらの基準でも超えません。手間はかかりますが、月に1回の確認で済みます。

手順5:カレンダーに「予定」ではなく「上限」を書く

最後に、運用のコツです。カレンダーには、シフトの予定時間だけでなく、その週の残り枠を書き込んでください。

たとえば週の頭に「今週の副業枠:残り6時間」と書いておく。副業シフトを1回入れたら「残り3時間」に書き換える。本業で残業が発生したら、その分も引く。この見える化をしておくと、うっかり超えることがほぼなくなります。

アプリを使う場合は、勤怠管理アプリでも、シンプルなスプレッドシートでも構いません。大事なのは、2つの勤務先の時間が1か所に集まっていることです。それぞれのアプリに分かれていると、合計を出す作業が発生し、続かなくなります。

週40時間以内で収入を増やすための、仕事の選び方

時間の枠が決まっている以上、収入を増やす手段は「単価を上げる」か「時間の通算を受けない働き方を混ぜる」かのどちらかになります。ここでは後者を中心にお話しします。

時間の切り売りから、成果に対する報酬へ

雇用契約のアルバイトは、時間と報酬が完全に連動しています。時給1,200円で3時間働けば3,600円。とても分かりやすい代わりに、時間の上限が収入の上限になります。

一方、業務委託で受ける仕事は、成果物や納品に対して報酬が決まります。スキルが上がれば、同じ作業を短い時間でできるようになり、時間あたりの実質単価が上がっていきます。この差は、続けるほど大きくなります。

たとえばWebライティングでは、初心者向けの案件で1文字0.5円から1円程度、専門知識が必要な分野で1文字3円から5円程度が一つの目安として語られます。同じ3,000文字の記事でも、前者なら1,500円から3,000円、後者なら9,000円から1万5,000円と、報酬に大きな開きが出ます。作業時間はスキルが上がるほど短くなりますから、時間あたりの差はさらに広がります。

職種ごとの報酬相場を具体的に知りたい方は、実際の案件データをもとにした相場情報が参考になります。文章を書く仕事の報酬水準を整理した著述家,記者,編集者の年収・単価相場では、経験年数や専門性による単価の広がりが確認できます。開発系の仕事を検討している方には、言語やポジションごとの単価差をまとめたソフトウェア作成者の年収・単価相場が現実的な目安になります。

週40時間以内に収まりやすい業務委託の分野

限られた時間で成立しやすい仕事には、いくつか共通点があります。作業を細かく分割できること、納期に一定の幅があること、そして場所を選ばないことです。

データ入力、文字起こし、記事執筆、資料作成、簡単なバナー制作などは、1件あたりの所要時間が読みやすく、細切れの時間でも進められます。逆に、リアルタイムの対応が必要なカスタマーサポートや、拘束時間が長い撮影の立ち会いなどは、限られた枠では組み込みにくくなります。

近年、需要が伸びているのがAI関連の周辺業務です。生成AIの導入支援や、業務プロセスの整理、プロンプトの設計といった仕事は、まだ担い手が少ない領域です。この分野の仕事内容を整理したAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、どのような相談が持ち込まれ、何を成果物として納めるのかが具体的に書かれています。マーケティングやセキュリティまで含めた広い視野で見たい方は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事も合わせて読むと、自分の経験がどこに接続できるか見えてきます。

開発の経験がある方であれば、アプリケーション開発のお仕事のように、機能単位で切り出された案件を選ぶことで、週の限られた時間でも無理なく進められます。

資格を「時間の効率」に変える

限られた時間で単価を上げるという意味では、資格の使い方も変わってきます。資格そのものが直接お金を生むわけではありませんが、「この人に頼んで大丈夫か」という発注側の不安を減らす材料になります。不安が減ると、初回のやりとりが短く済みます。この短縮が、そのまま時間の節約になります。

文書作成の仕事を受けるなら、ビジネス文書の型を体系的に学べるビジネス文書検定が、実務にそのまま効きます。報告書や案内文の構成が身につくと、書き直しの回数が減ります。ネットワーク周りの仕事を視野に入れるなら、CCNA(シスコ技術者認定)のような技術認定が、案件選びの幅を広げてくれます。

労働時間の申告と記録の実務

制度の側から見ると、ダブルワークの労働時間管理は「本人の申告」が起点になっています。ここを丁寧にやっておくと、後のトラブルがほぼ消えます。

申告は先に、正確に

副業を始めるとき、多くの勤務先は事前の届出を求めます。就業規則に副業に関する規定がある場合、届出の様式が決まっていることもあります。

このとき記載を求められるのが、副業先の事業内容、契約の形態、そして所定労働時間です。ここで実際より少なく申告すると、あとで実績とずれたときに説明が難しくなります。多めに見積もって申告しておく方が、結果的に楽です。

申告のタイミングも大事です。始めてから報告するのではなく、始める前に届け出る。この順番を守るだけで、勤務先との関係は驚くほどスムーズになります。「隠していたわけではない」という事実が、信頼の土台になります。

記録は毎日、1か所に

労働時間の記録は、週末にまとめてつけようとすると必ず抜けます。おすすめは、勤務が終わったその場で入力してしまう方法です。

記録すべき項目は、日付、勤務先、開始時刻、終了時刻、休憩時間の5つだけで十分です。これをスプレッドシートに並べておけば、週ごとの合計は自動で出せます。月末に給与明細と突き合わせて、ずれがないか確認します。

このずれの確認が、実は一番重要です。自分では8時間のつもりが、勤務先の記録では8時間30分になっていた、ということが起こります。5分、10分の差でも、週単位で積み上がると無視できません。

超えそうになったときの調整手順

どれだけ丁寧に組んでも、超えそうな週は出てきます。そのときの手順を、あらかじめ決めておいてください。慌てて判断すると、たいてい無理な方向に倒れます。

まず、その週のうちに調整できるかを見ます。副業のシフトを翌週に振り替えられるなら、それが一番簡単です。次に、本業側で調整できるかを見ます。残業を翌週に回せる業務であれば、上司に相談する価値があります。

どちらも動かせない場合は、超過することを前提に、両方の勤務先へ事前に伝えます。事後の報告より、事前の連絡の方が、はるかに受け止められ方が違います。「今週は通算で超えそうです」と一言伝えるだけで、勤務先は必要な処理を準備できます。

そして、その週が終わったら必ず振り返ってください。なぜ超えそうになったのか。突発的な事情なのか、そもそもの設計が窮屈すぎたのか。後者であれば、シフトの前提から見直す必要があります。

週40時間以内でも見落としてはいけない4つのポイント

時間の枠を守れていても、別の制度が動くことがあります。ここも押さえておきましょう。

社会保険の加入要件

週の所定労働時間が20時間以上で、賃金や勤務期間などの条件を満たすと、その勤務先で社会保険の加入対象になる場合があります。ダブルワークで両方の勤務先が要件を満たすと、二以上事業所勤務届という手続きが必要になります。

この場合、保険料は両方の報酬を合算して計算され、それぞれの勤務先で按分されます。手取りへの影響が出ますので、副業のシフトを増やす前に、20時間のラインを意識しておくと安心です。制度の詳細は厚生労働省の情報を確認するのが確実です。

雇用保険は原則1つ

雇用保険は、原則として主たる賃金を受ける1つの勤務先でのみ加入します。副業先で週20時間以上働いていても、二重に加入することはありません。ただし、65歳以上の方については、複数の勤務先の労働時間を合算して加入できる制度が設けられています。

確定申告の要否

給与を2か所以上から受けていて、年末調整をしていない方の給与収入とその他の所得の合計が20万円を超える場合は、確定申告が必要になります。業務委託の収入がある場合も、所得が20万円を超えれば同様です。

なお、住民税については20万円以下でも申告が必要な場合があります。この点は見落とされやすいので、お住まいの自治体に確認してください。会計処理を楽にしたい方は、freeeマネーフォワードのようなクラウド会計サービスを使うと、口座の取り込みから申告書の作成までが一続きになります。

就業規則の確認

法律上問題がなくても、勤務先の就業規則で副業が制限されていることがあります。制限の内容は、競業避止、情報漏洩の防止、労務提供上の支障の回避といった観点で書かれているのが一般的です。

ここで大事なのは、「禁止」と書いてあるか「許可制」と書いてあるかを正確に読むことです。許可制であれば、申請すれば通る可能性があります。禁止と書かれていても、実態として一律禁止が有効とされるかは別の議論です。まずは規程を読み、人事に確認する。この順番で進めてください。

体力と気持ちを削らない設計

ここからは、カウンセリングの現場で見てきたことをお話しします。制度の話と同じくらい、いえ、それ以上に大事な部分です。

週40時間以内に収めていても、疲れ切ってしまう方がいます。その方たちに共通しているのが、「働いていない時間の質」が落ちていることです。

たとえば、休日に副業を集中させると、週の中に完全な休みがゼロになります。労働時間の合計は40時間以内でも、7日連続で何かしらの仕事をしている状態です。これは、数字の上では適法でも、回復という観点では成立していません。

私自身、独立してすぐの時期に同じ失敗をしました。時間の合計だけを見て「これなら大丈夫」と組んだスケジュールで、3か月ほど走ったんです。数字は守れていました。でも、4か月目に入ったころ、朝起きたときの疲れが抜けなくなりました。原因を探ってみたら、丸一日何もしない日が、その3か月で一度もありませんでした。

そこから、週に1日は仕事を一切入れない日を固定するようにしました。カレンダーに先に入れてしまって、そこには何も入れない。この1日を確保しただけで、残り6日の集中力が明らかに変わりました。

もう1つ、意外と効くのが「移動時間」です。本業のあとに副業先へ移動する形だと、往復の時間は労働時間にカウントされませんが、体感の拘束時間としては確実に積み上がります。在宅でできる副業に切り替えたことで疲労が半減した、というご相談者は本当に多いです。

在宅で働く場合の1日の流れについては、実際の時間の使い方を追った在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が具体的でイメージしやすいと思います。家事や育児と組み合わせながら、どこに作業の塊を置くかの発想が参考になります。

限られた時間で集中して終わらせたい方には、集中力を保つ工夫を7つの手法にまとめた在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが実践的です。同じ3時間でも、集中の質が変われば進む量がまったく違ってきます。

よくある失敗と、その手前で気づくサイン

これまで伺ってきた中で、繰り返し出てくる失敗パターンが3つあります。

1つ目は、繁忙期を想定せずに組むことです。本業に季節変動がある職種では、特定の月だけ残業が跳ね上がります。年間のカレンダーを見て、繁忙期には副業を減らす前提で契約を結んでおくと、無理がありません。

2つ目は、副業先に「本業がある」と伝えていないケースです。伝えていないと、シフトを増やしてほしいと頼まれたときに断りにくくなります。最初に「本業があるので週8時間までにしたい」と伝えておくだけで、その後のやりとりが全部楽になります。

3つ目は、辞めどきを決めていないことです。「いつまで、何のために」が曖昧なまま続けると、目的が達成されても惰性で続けてしまいます。目標金額でも、期間でも構いません。ゴールを先に置いてください。

気づきのサインとしては、次のようなものがあります。休みの日に何もする気が起きない。人からの連絡に返信するのが億劫になる。食事が適当になる。このどれかが2週間以上続いていたら、時間の合計に関係なく、いったん量を落とすタイミングです。

週40時間の枠を、キャリアの転換点として使う

もう一歩踏み込んだ話をします。週40時間以内という制約は、実は思考を整理してくれる装置でもあります。

時間が無限にあれば、人は「もっと働けば増える」という方向に考えます。でも上限が決まっていると、「この時間で何を得るのが一番いいか」という問いに変わります。この問いの変化が、キャリアに効いてきます。

実際、ダブルワークをきっかけに転職された方は少なくありません。副業で触れた分野が面白くなり、そちらを本業にした。あるいは、副業で身につけたスキルを評価されて、本業の中で役割が変わった。こうした流れは、時間を売る働き方だけを続けていると起こりにくいものです。

副業を選ぶとき、「時給がいくらか」だけでなく、「1年後の自分に何が残るか」を並べて考えてみてください。同じ週5時間でも、単純作業に使うのと、新しいスキルの習得に使うのとでは、1年後の選択肢がまったく変わります。

仕事の探し方そのものに不安がある方は、求人の見分け方や注意すべき募集の特徴をまとめた在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説を先に読んでおくと、応募の段階でつまずきにくくなります。

市場を20年見てきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を20年にわたって運営してきた立場から、時間の枠と収入の関係について、いくつか気づいたことをお話しします。

まず、長く続いている方ほど、労働時間そのものは増えていません。むしろ減っている方が多いのです。増えているのは、1時間あたりに生み出す価値の方です。最初は1本の記事に8時間かかっていた方が、2年後には3時間で仕上げている。同じ枠の中で、報酬が倍以上になっている。こういう変化が、実際に起きています。

運営者として見てきた限りでは、この変化を生むのは「同じ発注者と続けて仕事をすること」です。初回の仕事は、相手の要望を探る時間、書式を確認する時間、修正のやりとりの時間が上乗せされます。ところが2回目、3回目になると、この上乗せがどんどん減っていきます。5回目には、最初の半分の時間で同じ品質のものが出せるようになります。

つまり、週40時間という枠の中で収入を伸ばす一番確実な方法は、新しい仕事を次々に取ることではなく、「この人に任せると楽だ」と思ってもらえる関係を数本つくることなんです。これは、時間の制約がある方にこそ相性のいい戦略です。

もう1つ、額面と手取りの話をさせてください。仲介の手数料が乗る取引だと、発注側が10万円を出しても、受け手に届くのは8万円ということが起こります。この差は、同じ時間働いても手元に残る金額を確実に削ります。中間のマージンが乗らない直接取引の場合、手数料0%で受け渡しができるため、発注側は同じ予算でより多くを依頼でき、受け手は同じ仕事で手取りが厚くなります。

この構造は、週の時間が限られている方ほど効いてきます。時間を増やせないなら、同じ時間から手元に残る割合を上げるしかないからです。20年見てきて、この点に早く気づいた方ほど、無理のないペースで続けられています。

時間の使い道を、3つに分けて眺める

最後に、実際に相談の場でお渡ししている整理のしかたを共有します。週の労働時間を、次の3つに色分けしてみてください。

1つ目は、生活を支えるための時間です。今の収入を維持するために必要な、いわば土台の部分。本業がここにあたることが多いでしょう。

2つ目は、手取りを厚くするための時間です。単価の高い仕事や、直接取引で受けている仕事がここに入ります。同じ1時間でも、残る金額が違う部分です。

3つ目は、未来のための時間です。すぐにはお金にならないけれど、学びが残る仕事や、新しい分野への挑戦がここです。

週40時間の枠の中で、この3つの配分がどうなっているかを見てみてください。1つ目だけで埋まっている状態が続くと、収入は増えず、選択肢も増えません。2つ目と3つ目に、合わせて週5時間でも回せていれば、1年後の景色は確実に変わります。

そして、この配分は季節によって変えていいものです。繁忙期は1つ目に寄せる。落ち着いたら3つ目を厚くする。固定しないことが、続けるコツです。

週40時間以内という枠は、あなたを縛るものではありません。使い方を決めるための、ちょうどいい大きさの器です。この器の中に何を入れるかは、あなたが決められます。焦らず、少しずつで大丈夫ですよ。

よくある質問

Q. 本業と副業を合わせて週40時間を少しでも超えたら違法になりますか?

超えた分がただちに違法になるわけではありません。36協定の締結と届出があり、割増賃金が適切に支払われていれば適法です。ただし手続きが必要になり、割増賃金の負担先をめぐって勤務先同士の調整が発生します。手間を避けたいなら、40時間以内に収める設計が最もシンプルです。

Q. 副業が業務委託なら、労働時間は通算されませんか?

雇用契約ではないため、労働基準法上の労働時間の通算対象にはなりません。そのため週40時間の枠に縛られずに働けます。ただし実態として指揮命令を受け勤務時間を指定される働き方は、労働者性が認められて雇用とみなされる場合があります。契約書の形式だけでなく実態で判断される点に注意してください。

Q. 週40時間以内に収めるには、副業を何時間まで入れられますか?

本業の直近3か月で最も労働時間が多かった週の実績を基準にし、40時間から差し引いてください。さらに突発的な残業に備えて2時間程度を安全マージンとして残します。本業が週38時間なら副業に回せるのは実質ゼロという計算になることもあり、その場合は業務委託への切り替えを検討します。

Q. 副業を勤務先に申告しないまま始めても大丈夫ですか?

おすすめしません。社会保険の資格取得や住民税の通知など、複数就労が把握される経路は複数あります。多くの就業規則では事前の届出や許可申請が定められており、事後に発覚すると就業規則違反として扱われる可能性があります。始める前に届け出る方が、結果的にトラブルが少なく済みます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月27日最終更新:2026年9月6日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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